特許第6552825号(P6552825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILの特許一覧

<>
  • 特許6552825-排水トラップ及びこれを備える浴室 図000002
  • 特許6552825-排水トラップ及びこれを備える浴室 図000003
  • 特許6552825-排水トラップ及びこれを備える浴室 図000004
  • 特許6552825-排水トラップ及びこれを備える浴室 図000005
  • 特許6552825-排水トラップ及びこれを備える浴室 図000006
  • 特許6552825-排水トラップ及びこれを備える浴室 図000007
  • 特許6552825-排水トラップ及びこれを備える浴室 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552825
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】排水トラップ及びこれを備える浴室
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/20 20060101AFI20190722BHJP
   E03C 1/28 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   E03C1/20 E
   E03C1/28 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-2335(P2015-2335)
(22)【出願日】2015年1月8日
(65)【公開番号】特開2016-125322(P2016-125322A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】夏目 昌寿
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真弘
(72)【発明者】
【氏名】竹内 立行
【審査官】 中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−114814(JP,A)
【文献】 特開2007−039956(JP,A)
【文献】 特開2009−249902(JP,A)
【文献】 特開2012−237153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12−1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から導入される第1排水を流入させる第1排水流入口と、側方から導入される第2排水を流入させる第2排水流入口と、流入された第1排水及び第2排水を流出させる受入側流出口と、を有する受入室と、
前記受入側流出口から流出された第1排水及び第2排水を流入させる流出側流入口と、前記流出側流入口よりも上方において水平方向に開口され前記流出側流入口から流入された第1排水及び第2排水を流出させる流出側流出口と、を有する流出室と、
第2排水が導入される導入路と、上流側が前記導入路に接続されると共に下流側が前記流出側流出口側に位置する第1分岐流路と、上流側が前記導入路に接続されると共に下流側が前記第2排水流入口に接続される第2分岐流路と、を有する第2排水流通路と、
前記受入室と前記流出室との間に着脱自在に配置され、該受入室と該流出室とを区画する区画部材と、を備え、
前記区画部材の上端部の高さは、前記流出側流出口の下端部の位置よりも高く、
前記区画部材は、前記受入室の壁部材のうちの前記受入側流出口の上方側の部分により構成されると共に、該区画部材の下方の縁部が、前記受入側流出口の上端部側の上方構成縁部により構成され、
前記第2分岐流路は、管状に形成され、前記区画部材に沿って上方に延びている排水トラップ。
【請求項2】
上方から導入される第1排水を流入させる第1排水流入口と、側方から導入される第2排水を流入させる第2排水流入口と、流入された第1排水及び第2排水を流出させる受入側流出口と、を有する受入室と、
前記受入側流出口から流出された第1排水及び第2排水を流入させる流出側流入口と、前記流出側流入口よりも上方において水平方向に開口され前記流出側流入口から流入された第1排水及び第2排水を流出させる流出側流出口と、を有する流出室と、
第2排水が導入される導入路と、上流側が前記導入路に接続されると共に下流側が前記流出側流出口側に位置する第1分岐流路と、上流側が前記導入路に接続されると共に下流側が前記第2排水流入口に接続される第2分岐流路と、を有する第2排水流通路と、
前記受入室と前記流出室との間に着脱自在に配置され、該受入室と該流出室とを区画する区画部材と、を備え、
前記区画部材の上端部の高さは、前記流出側流出口の下端部の位置よりも高く、
前記区画部材は、前記受入室の壁部材のうちの前記受入側流出口の上方側の部分により構成されると共に、該区画部材の下方の縁部が、前記受入側流出口の上端部側の上方構成縁部により構成され、
前記第2分岐流路は、前記区画部材と一体的に形成される排水トラップ。
【請求項3】
前記第1分岐流路は、前記導入路を流通する第2排水を、前記受入室を迂回して前記流出側流出口に案内するように延びており、
前記第2分岐流路は、前記導入路を流通する第2排水を、前記受入室の内部の上方において渦流を発生させるように、前記第2排水流入口に案内するように延びている請求項1又は2に記載の排水トラップ。
【請求項4】
前記受入室の内面は、略球面状である請求項1〜のいずれかに記載の排水トラップ。
【請求項5】
前記第2排水流入口は、前記受入室の前記内面の接線方向に向けて第2排水を排出するように開口する請求項に記載の排水トラップ。
【請求項6】
請求項1〜のいずれかに記載の排水トラップと、浴槽と、洗い場と、を備える浴室であって、
前記第1排水は、前記洗い場から排出された洗い場排水であり、前記第2排水は、前記浴槽から排出された浴槽排水である浴室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水トラップ及びこれを備える浴室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排水流路に排水トラップを設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。排水トラップは、排水流路を封水により塞いで、臭気や害虫が室内へ侵入することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3886055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浴室を新たに設置するようなリフォームを行う場合、排水流路に新たな排水トラップを設けることがある。この場合に、新たな排水トラップを設けた排水流路において、既に排水トラップが設けられていることがある。このように、排水流路(配管)に直列に2個以上の排水トラップが存在する構造を、二重トラップ構造又はダブルトラップ構造という。二重トラップ構造(ダブルトラップ構造)が存在する場合には、排水の流れの抵抗が増大して、排水不良の原因となりやすい。そのため、二重トラップを解消する必要性が生じる。
【0005】
二重トラップ構造(ダブルトラップ構造)を解消するためには、例えば、既設の排水トラップを取り除くか、新設の排水トラップを取り除く必要がある。しかしながら、既設の排水トラップや新設の排水トラップを取り除いて二重トラップ構造(ダブルトラップ構造)を解消するには、大掛かりな作業が必要となったり、余計な手間や費用も生じることになる。従って、簡単に、二重トラップ構造を解消できることが望まれる。
【0006】
本発明は、簡単に、二重トラップ構造を解消できる排水トラップ及びこれを備えた浴室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上方から導入される第1排水を流入させる第1排水流入口と、側方から導入される第2排水を流入させる第2排水流入口と、流入された第1排水及び第2排水を流出させる受入側流出口と、を有する受入室と、前記受入側流出口から流出された第1排水及び第2排水を流入させる流出側流入口と、前記流出側流入口よりも上方において水平方向に開口され前記流出側流入口から流入された第1排水及び第2排水を流出させる流出側流出口と、を有する流出室と、第2排水が導入される導入路と、上流側が前記導入路に接続されると共に下流側が前記流出側流出口側に位置する第1分岐流路と、上流側が前記導入路に接続されると共に下流側が前記第2排水流入口に接続される第2分岐流路と、を有する第2排水流通路と、前記受入室と前記流出室との間に着脱自在に配置され、該受入室と該流出室とを区画する区画部材と、を備え、前記区画部材の上端部の高さは、前記流出側流出口の下端部の位置よりも高い排水トラップに関する。
【0008】
また、前記第1分岐流路は、前記導入路を流通する第2排水を、前記受入室を迂回して前記流出側流出口に案内するように延びており、前記第2分岐流路は、前記導入路を流通する第2排水を、前記受入室の内部の上方において渦流を発生させるように、前記第2排水流入口に案内するように延びていることが好ましい。
【0009】
また、前記第2分岐流路は、管状に形成され、前記区画部材に沿って上方に延びていることが好ましい。
【0010】
また、前記第2分岐流路は、前記区画部材と一体的に形成されることが好ましい。
【0011】
また、前記受入室の内面は、略球面状であることが好ましい。
【0012】
また、前記第2排水流入口は、前記受入室の前記内面の接線方向に向けて第2排水を排出するように開口することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、前記排水トラップと、浴槽と、洗い場と、を備える浴室であって、前記第1排水は、前記洗い場から排出された洗い場排水であり、前記第2排水は、前記浴槽から排出された浴槽排水である浴室に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単に、二重トラップ構造を解消できる排水トラップ及びこれを備えた浴室を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る浴室1の全体構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る排水トラップ5の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る排水トラップ5を示す縦断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る排水トラップ5を示す横断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る排水トラップ5を示す斜視断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る排水トラップ5から、区画プレート65及び上昇管83を取り外した状態を示す縦断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る排水トラップ5から、区画プレート65及び上昇管83を取り外した状態を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の浴室1の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る浴室1の全体構成を示す概略図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の浴室1は、浴槽2と、洗い場パン3と、排水枡31と、排水トラップ5と、ヘアキャッチャー11と、浴槽排水排出管12と、外部導出排出管13と、を備える。洗い場パン3と浴槽2との間には、仕切板4が立設されている。
【0018】
浴槽2は、複数の脚部42に支持された浴槽架台23の上に、支持台24を介して、設置されている。複数の脚部42は、梁等に吊られた吊架台43の上に立設され、浴槽架台23及び洗い場床材41(後述)を下方から支持している。
【0019】
浴槽2の底部には、浴槽排水口21が形成されている。浴槽排水口21は、浴槽2から排出された浴槽排水(第2排水)を、浴槽2の外部に排出する。浴槽排水口21の上部には、排水栓22が着脱可能に取り付けられている。浴槽排水口21には、浴槽排水排出管12が接続されている。浴槽排水排出管12においては、上流側の端部が浴槽排水口21に接続され、下流側の端部が排水トラップ5に接続される。
【0020】
洗い場パン3は、浴室1において、仕切板4に対して、浴槽2の反対側に配置される。洗い場パン3は、複数の脚部42に支持された洗い場床材41の上に配置される。洗い場パン3は、浴室1の洗い場を構成する。
【0021】
洗い場パン3は、全体として板状に形成され、洗い場床材41における洗い場領域の全体を覆うように形成される。洗い場パン3の上面の一部又は全部は、浴槽2側が下り勾配になるように傾斜している。洗い場パン3の上面は、洗い場床となっており、防水機能を有する。
【0022】
洗い場パン3における浴槽2側には、排水枡31が配置される。洗い場パン3及び排水枡31は、一体的に形成される。
【0023】
排水枡31は、洗い場パン3から下方に窪む凹状に形成される。排水枡31の上方は、開口している。排水枡31には、洗い場パン3から、洗い場排水(第1排水)が導入される。排水枡31の上部には、洗い場排水の排水流路が確保された状態で、排水口カバー32が取り付けられている。排水枡31の下端部には、洗い場排水口33が形成されている。排水枡31は、洗い場排水を、洗い場排水口33を介して、排水トラップ5に排出する。
【0024】
排水トラップ5は、排水枡31の下方に配置される。排水トラップ5は、排水枡31の洗い場排水口33に連結されている。排水トラップ5は、浴槽排水排出管12の下流側の端部に接続されている。排水トラップ5は、外部導出排出管13の上流側の端部に接続されている。
【0025】
排水トラップ5には、洗い場パン3からの洗い場排水が、排水枡31を通り、洗い場排水口33を介して、上方から流入される。排水トラップ5には、浴槽2からの浴槽排水が、浴槽排水排出管12を通り、一方の側部から流入される。排水トラップ5の他方の側部には、外部導出排出管13が接続されており、排水トラップ5は、外部導出排出管13に、洗い場排水及び浴槽排水を排出する。
【0026】
排水トラップ5の受入室6(後述、図3参照)の上部には、ヘアキャッチャー11が着脱可能に装着されている。ヘアキャッチャー11は、洗い場パン3から流れてきた髪の毛などの異物を受け止めて捕捉する。ヘアキャッチャー11は、上方が開放したカゴ(籠)状に形成される。ヘアキャッチャー11には、例えば、縦リブ(不図示)及び横リブ(不図示)により多数の小開口が形成されている。
【0027】
次に、本発明の特徴部分である排水トラップの詳細について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る排水トラップ5の外観を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係る排水トラップ5を示す縦断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る排水トラップ5を示す横断面図である。図5は、本発明の一実施形態に係る排水トラップ5を示す斜視断面図である。図6は、本発明の一実施形態に係る排水トラップ5から、区画プレート65及び上昇管83を取り外した状態を示す縦断面図である。図7は、本発明の一実施形態に係る排水トラップ5から、区画プレート65及び上昇管83を取り外した状態を示す斜視断面図である。
【0028】
図2図5に示すように、本実施形態に係る排水トラップ5は、受入室6と、流出室7と、配管接続管78と、第2排水流通路としての浴槽排水流通管8と、を備える。
【0029】
受入室6は、図3図5に示すように、壁部材の内面に囲まれることにより形成される。受入室6の内面は、略球面状である。なお、略球面状とは、全体としての概略形状が球面状であることを意味し、例えば、開口や、多少の凹凸、すなわち、後述する上昇管83の出っ張りや、洗い場排水流入口61の開口で球面形状が中断している場合も含まれる。
【0030】
受入室6は、図3に示すように、第1排水流入口としての洗い場排水流入口61と、第2排水流入口としての浴槽排水流入口62と、受入側流出口としての連通口63と、を有する。
洗い場排水流入口61は、排水トラップ5の長手方向の一方側において、受入室6の上部に設けられる。洗い場排水流入口61は、排水枡31(図1参照)の洗い場排水口33(図1参照)に連通する。洗い場排水流入口61は、受入室6の上方から導入される洗い場排水(第1排水)を流入させる。
【0031】
浴槽排水流入口62は、受入室6の内面の上方に設けられる。浴槽排水流入口62は、受入室6の側方から導入される浴槽排水(第2排水)を、浴槽排水流通管8(後述)の上昇管83(後述)を通らせて、受入室6の内面の上方から流入させる。
【0032】
浴槽排水流入口62は、受入室6の略球面状の内面の接線方向の斜め上方に向けて洗い場排水を排出するように開口する。浴槽排水流入口62は、封水面F(後述、図3参照)の高さよりも上方に位置する。
【0033】
連通口63は、図3に示すように、受入室6における流出室7(後述)側において、受入室6の内面の側方の下部に設けられる。連通口63は、受入室6の壁部材を貫通して、受入室6と流出室7とを連通させる。連通口63は、受入室6と流出室7との共通の開口である。つまり、連通口63は、受入室6に流入された浴槽排水を流出室7(後述)に流出させる受入側流出口であり、且つ、受入室6から流出された浴槽排水を流出室7(後述)に流入させる流出側流入口でもある。
連通口63は、受入室6に流入された洗い場排水及び浴槽排水を、流出室7に流出させる。
【0034】
連通口63は、図4及び図5に示すように、上方の外郭を形成する上方構成縁部631と、下方の外郭を形成する下方構成縁部632と、で構成される貫通孔である。
上方構成縁部631は、図4及び図5に示すように、受入室6の壁部材における上方側に略円弧状に窪む縁部である。上方構成縁部631は、後述する区画プレート65における下方に形成される略円弧状に窪む縁部でもある。上方構成縁部631の上端部は、連通口63の上端部であり、封水面F(後述、図3参照)の高さよりも下方に位置する。
【0035】
下方構成縁部632は、図4及び図5に示すように、受入室6の壁部材おける下方側に略円弧状に窪む部分であって、上方構成縁部631よりも緩やかな円弧曲線(上方構成縁部631の円弧の径よりも大きな円弧の径の円弧曲線)である。下方構成縁部632は、後述する区画プレート65が受入室6から取り外された場合に形成されるトラップ解除開口68(後述、図6及び図7参照)の下方の周縁部でもある。
【0036】
受入室6の壁部材は、図3に示すように、区画部材としての区画プレート65を有する。区画プレート65は、受入室6と流出室7(後述)との間に、着脱自在に配置されている。区画プレート65は、受入室6と流出室7とを区画する。
【0037】
区画プレート65は、図4及び図5に示すように、受入室6の壁部材のうちの連通口63側の壁部材の一部を円形状に切り取った湾曲円形状の部分から、下部において、連通口63に対応する部分が切り取られた湾曲板状の部分により形成される。区画プレート65が受入室6の壁部材を切り取った形状であるため、区画プレート65の内面の湾曲面の曲率は、受入室6の内面の球面形状の湾曲面の曲率と同じである。区画プレート65の下方の縁部は、連通口63の上端部側の上方構成縁部631でもある。
【0038】
図3に示すように、区画プレート65の上端部651の高さTは、区画プレート65を受入室6から取り外した場合に、後述する二重トラップを解消するという観点から、封水面F(後述、図3参照)の高さよりも上方において、通気空間を十分に確保することが好ましい。そのため、区画プレート65の上端部651の高さTは、排水流出口72(後述)の下端部721の位置よりも高いことが好ましい。
【0039】
なお、排水流出口72(後述)の下端部721の位置は、封水壁742(後述)の上端部742aの高さと同じ位置である。そのため、封水壁742(後述)の上端部742aの位置との関係においても、区画プレート65の上端部651の高さTは、封水壁742(後述)の上端部742aの位置よりも高いことが好ましい。
【0040】
また、区画プレート65の上端部651の高さTは、区画プレート65を受入室6から取り外した場合に、通気空間を十分に確保できることが更に好ましい。そのため、区画プレート65の上端部651の高さTは、上面段差板754(後述)における受入室6側の第1上面水平板754a(後述)の下面と、排水流出口72(後述)の下端部721と、の高さ方向の中央位置Cよりも高いことが更に好ましい。第1上面水平板754aは、受入室6の上部から連続して水平方向に、流出室7側に延びている。
【0041】
区画プレート65の外周縁部の側面には、不図示の係合溝が形成されている。受入室6の壁部材における区画プレート65が取り付けられる部分の縁部の側面には、区画プレート65を係合可能な不図示の係合溝が形成されている。区画プレート65は、受入室6の壁部材に対して回転することで係合されて又は係合が解除されて、受入室6の壁部材に対して着脱可能である。
【0042】
浴槽排水流通管8は、浴槽排水を排水トラップ5に流入させると共に、浴槽排水を受入室6を迂回させて外部へ排出する。浴槽排水流通管8は、図3に示すように、導入路としての導入管81と、第1分岐流路としてのバイパス管82と、第2分岐流路としての上昇管83と、を有する。導入管81、バイパス管82及び上昇管83は、管状に形成される。
【0043】
導入管81は、図3及び図5に示すように、受入室6の下部の外方において、排水トラップ5が延びる方向に沿って水平方向に延びて、排水トラップ5に導入されている。導入管81は、平面視において、図4に示すように、排水トラップ5の幅方向の一端部側において、受入室6の球面状の内面の接線方向に延びて、排水トラップ5に導入されている。導入管81には、浴槽2(図1参照)からの浴槽排水が、浴槽排水排出管12を通って導入される。
【0044】
導入管81は、図5に示すように、バイパス管82及び上昇管83に分岐される。導入管81により導入された浴槽排水は、バイパス管82と、上昇管83と、に分岐されて流通する。
【0045】
バイパス管82は、図4及び図5に示すように、上流側が導入管81に接続されると共に、下流側が排水流出口72側に位置する。バイパス管82は、導入管81を流通する浴槽排水を、受入室6を迂回して、排水流出口72に案内するように延びている。バイパス管82は、図3に示すように、導入管81から受入室6の下部の外方を通って水平に延在し、流出室7の内部に入って流出室7の筒状底板部741に沿って水平に延び、封水壁742において上方側に屈曲し、封水壁742に沿って所定長さ上方に延び、排水流出口72において水平方向に湾曲して、端部821が、排水流出口72の近傍に位置して、流出室7における合流部77(後述)に向けて開口している。
【0046】
上昇管83は、図5に示すように、上流側が導入管81に接続されると共に、下流側が第2排水流入口62に接続される。上昇管83は、導入管81を流通する浴槽排水を、受入室6の内部の上方において渦流を発生させるように、浴槽排水流入口62に案内するように延びている。
【0047】
上昇管83は、図3図5に示すように、区画プレート65と一体的に形成される。上昇管83は、管状に形成され、受入室6の下部から、区画プレート65に沿って斜め上方に向かうように湾曲して延びている。上昇管83は、区画プレート65を厚さ方向に跨ぐように、区画プレート65に埋め込まれて形成されている。上昇管83の上端部には、浴槽排水流入口62が形成されている。浴槽排水流入口62は、区画プレート65の内面において、受入室6の内部側に開口する。
【0048】
上昇管83と区画プレート65とは、一体的に、受入室6と流出室7との間に着脱自在に配置される。上昇管83及び区画プレート65が、受入室6と流出室7との間から取り外された場合には、図6及び図7に示すように、導入管81がバイパス管82と上昇管83とに分岐する部分において、浴槽排水流通管8には、連結部開口812が形成される。上昇管83及び区画プレート65を受入室6と流出室7との間に取り付ける場合には、導入管81の下端部を、連結部開口812に取り付ける。
【0049】
流出室7は、図3図5に示すように、区画プレート65を挟んで、受入室6と反対側に形成される。流出室7は、連通口63を介して受入室6と連通する。流出室7には、連通口63を介して、受入室6から、洗い場排水及び浴槽排水が流入される。
【0050】
流出室7は、図3に示すように、封水部74と、上方空間部75と、流出側流入口としての連通口63と、流出側流出口としての排水流出口72と、を有する。
【0051】
連通口63は、流出室7における受入室6側において、流出室7の内面の側方の下部に設けられる。連通口63は、受入室6の壁部材を貫通して、受入室6と流出室7とを連通させる。連通口63は、前述の通り、受入室6の受入側流出口でもあり、且つ、後述する流出室7の流出側流入口でもある。
連通口63は、受入室6から連通口63通して流出された洗い場排水及び浴槽排水を、流出室7に流入させる。
【0052】
封水部74は、図3に示すように、流出室7における下方の部分である。封水部74は、流出室7の下方において、連通口63を介して、受入室6と連通する。封水部74は、底部に設けられる半筒状の筒状底板部741と、筒状底板部741から所定高さで立設された封水壁742と、区画プレート65における封水壁742の上端部742aから下方の部分と、連通口63と、に囲まれる部分である。
【0053】
封水部74には、図3に示すように、洗い場排水及び浴槽排水が封水面Fまで溜まり、封水面Fまで溜まった洗い場排水及び浴槽排水は、封水となる。封水面Fは、封水壁742の上端部742aから受入室6側に水平方向に延びる仮想面である。連通口63は、封水面Fよりも下方に位置して、封水の中に没する。
【0054】
上方空間部75は、図3に示すように、封水部74の上方に、封水部74に連続して形成される。上方空間部75は、封水部74の上方から、受入室6とは反対側に、水平方向に延びる。上方空間部75は、封水部74と上面段差板754との間の部分から、下面板751と上面段差板754との間の部分までと、一対の排出口側面板753(図4参照)とに囲まれる部分である。上面段差板754は、第1上面水平板754aと、上面傾斜板754bと、第2上面水平板754cと、を有する。
【0055】
第1上面水平板754aは、受入室6の洗い場排水流入口61の上端部から流出室7側に連続して水平に延びる。上面傾斜板754bは、第1上面水平板754aにおける受入室6とは反対側の端部から、排水流出口72に向かうにしたがって下方から上方に向かうように傾斜して延びる。第2上面水平板754cは、上面傾斜板754bにおける第1上面水平板754aとは反対側の端部から、水平に延びる。
【0056】
下面板751は、板状に形成され、封水壁742の上端部742aから受入室6とは反対側に水平に延びる。一対の排出口側面板753は、板状に形成され、上方空間部75の側部を塞ぐように配置される。
【0057】
上方空間部75における排水流出口72側の端部には、合流部77が形成される。合流部77は、水平方向において、バイパス管82の下流側の端部821から、上方空間部75における下流側の端部までの部分である。合流部77には、バイパス管82から流出する浴槽排水と、上方空間部75を流通する洗い場排水及び浴槽排水と、が合流する。
【0058】
排水流出口72は、上方空間部75の下流側の合流部77の端部から、受入室6とは反対側の側方に連続して形成される。排水流出口72は、管状の配管接続管78に囲まれる部分である。配管接続管78は、合流部77の開口面積よりも小さい開口面積で、合流部77から延在する。排水流出口72の下端部721の位置は、封水壁742の上端部742aの高さと同じ位置である。
【0059】
配管接続管78は、上方空間部75における受入室6とは反対側の端部から、受入室6とは反対側に延びている。配管接続管78は、排水トラップ5と外部導出排出管13とを接続する接続部である。配管接続管78には、外部導出排出管13が差し込まれて接着されて接続される。
【0060】
排水流出口72は、連通口63から流出室7に流入された洗い場排水及び浴槽排水を、排水トラップ5の外部へ流出させる。排水流出口72は、図3に示すように、連通口63よりも上方において、排水トラップ5の外方に向けて、水平方向に開口する。連通口63から流出室7に流入された洗い場排水及び浴槽排水は、封水面Fを超えた場合に、流出室7の上方空間部75に流入して、排水流出口72により、排水トラップ5の外部へ流出される。
【0061】
次に、本発明に係る排水トラップ5について、区画プレート65を受入室6と流出室7との間に取り付けた場合と、区画プレート65を受入室6と流出室7との間から取り外した場合と、における作用について説明する。
【0062】
まず、区画プレート65を受入室6と流出室7との間に取り付けた場合について説明する。この場合、排水トラップ5は、封水を溜めて排水流路を塞ぐ機能と、渦流を発生させる機能と、を有する。
【0063】
まず、排水トラップ5において、封水を溜めて排水流路を塞ぐ機能について説明する。
図1及び図3に示すように、洗い場パン3(図1参照)から排出された洗い場排水は、ヘアキャッチャー11(図1参照)を通過して受入室6の内部に流入する。浴槽2からの浴槽排水は、浴槽排水口21及び浴槽排水排出管12を通って、排水トラップ5に導入される。排水トラップ5(図3参照)に導入された浴槽排水は、浴槽排水流入口811、導入路81、上昇管83及び浴槽排水流入口62を通って受入室6に流入する。
【0064】
受入室6に流入した洗い場排水及び浴槽排水は、連通口63、流出室7及び排水流出口72を通って、外部導出排出管13に流出される。洗い場排水や浴槽排水の流出が停止すると、受入室6及び流出室7の内部には、封水面F(図3参照)まで封水が溜まる。封水面Fに溜まった封水の内部には、連通口63が位置するため、排水流路が封水により塞がれる。これにより、浴室1に、外部導出排出管13からの臭気が逆流することが防止される。また、浴室1に、害虫等が侵入することが防止される。
【0065】
次に、排水トラップ5において、渦流を発生させる機能について説明する。
図1及び図3に示すように、浴槽2(図1参照)の排水栓22(図1参照)が開けられると、浴槽2から排出された浴槽排水は、浴槽排水排出管12(図1参照)を通り、浴槽排水流入口811から、排水トラップ5の内部に流入される。そして、浴槽排水は、上昇管83を通って、浴槽排水流入口62を介して、受入室6の内部の上方に流入される。受入室6の内部の上方に流入された浴槽排水は、受入室6の上方において内周面に沿って旋回して渦流となり、発生した渦流は、上昇渦流となり上昇する。
【0066】
この上昇渦流は、排水枡31(図1参照)の上面に装着された排水口カバー32付近まで上昇する。上昇渦流により、排水枡31の内周面やヘアキャッチャー11に付着しているゴミや髪の毛は、良好に落とされる。ゴミや髪の毛は、渦の中心に集められて、渦の中心から下方へ落下する。そして、ゴミや髪の毛は、ヘアキャッチャー11の底面の中央部に集められる。これにより、ヘアキャッチャー11は、その中央部分以外に髪の毛が付着していない状態に保たれ、且つ、ヘアキャッチャー11の内面及び外面に付着しているヌメリ等を除去できる。その結果、ヘアキャッチャー11は、通水が良好となる。また、受入室6の内周面に付着しているヌメリ等も除去できる。
【0067】
ここで、図3に示すように、上昇管83は、管状に形成され、区画プレート65に沿って上方に延びている。そのため、浴槽排水を、上昇管83の管状の部分の内部を通らせて、受入室6の内部の上方に導入できる。これにより、受入室6の内部の上部、すなわち、ヘアキャッチャー11の付近に強力な渦流が形成される。よって、ヘアキャッチャー11の内部のゴミが効率よく中心付近に集められると共に、ヘアキャッチャー11が強力な渦流によって洗浄される。
【0068】
また、図3に示すように、受入室6の内面は、略球面状である。そのため、浴槽排水を受入室6の略球面状の内面に沿って導入することで、渦流を勢いよく発生させることができる。
【0069】
また、図3に示すように、浴槽排水流入口62は、受入室6の略球面状の内面の接線方向に向けて浴槽排水を排出するように開口する。そのため、浴槽排水を受入室6の略球面状の内面の接線方向に導入することで、浴槽排水を、その水の勢いを維持して、上昇管83を経て浴槽排水流入口62から受入室6の内部に流入することができる。これにより、受入室6の内面に沿うように渦流が発生するため、渦流を勢いよく発生させることができる。
【0070】
また、図3に示すように、導入管81からバイパス管82に分岐した浴槽排水は、排水流出口72から、外部導出排出管13に流出される。このため、上昇管83へ分岐させる浴槽排水の流量を調整して、受入室6から洗い場排水及び浴槽排水が溢れ出すことを抑制できる。また、浴槽2の浴槽排水を短時間で排出できる。
【0071】
次に、区画プレート65及び上昇管83を取り外した場合の作用について説明する。
従来、浴室を新たに設置するようなリフォームを行う場合、排水流路に新たな排水トラップを設けることがある。ここで、新たな排水トラップを設けた排水流路において、既に排水トラップが設けられていると、排水の流れの抵抗が増大して、排水不良の原因となる。このように、排水流路(配管)に直列に2個以上の排水トラップが存在する構造を、二重トラップ構造又はダブルトラップ構造という。
【0072】
二重トラップ構造(ダブルトラップ構造)となっている場合に、二重トラップ構造を解消する必要性が生じる。この場合において、本発明においては、図3及び図5に示す状態から図6及び図7に示す状態に、受入室6と流出室7との間から区画プレート65を取り外すことができる。具体的には、本実施形態においては、区画プレート65及び上昇管83を、一体的に、受入室6から取り外すことができる。
【0073】
図6及び図7に示すように、区画プレート65を受入室67と流出室7との間から取り外すと、受入室6と流出室7との区画が開放され、トラップ解除開口68が形成される。区画プレート65の上端部651は、区画プレート65が受入室67と流出室7との間に取り付けられた場合に、排水流出口72の下端部721よりも高い位置に位置する。そのため、トラップ解除開口68の上端部681は、排水流出口72の下端部721よりも高い位置に位置する。
【0074】
従って、封水が封水面Fまで溜まっていても、封水面F(図3及び図6参照)の高さよりも上方側に受入室67と流出室7とを連通する連通空間が形成される。そのため、排水トラップ5においては、封水の上方に空気が通過する十分大きな連通空間が確保され、封水で排水流路が塞がれなくなる。よって、区画プレート65を取り外すことにより、二重トラップ構造を解消できる。
【0075】
また、図6及び図7に示すように、区画プレート65及び上昇管83を、一体的に、受入室6と流出室7との間から取り外すことができるため、バイパス管82や連通口63付近等の清掃及び点検等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、区画プレート65及び上昇管83の清掃及び点検等のメンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0076】
具体的には、受入室67の上部に装着されたヘアキャッチャー11(図1参照)を外し、図3及び図5に示す状態から、連通口63から流出室7側に指を差し入れて、区画プレート65を掴んで回すことで、受入室6から、区画プレート65及び上昇管83を、一体的に、図6及び図7に示す状態に、取り外すことができる。取り外した区画プレート65及び上昇管83を装着するときには、連通口63に対応する部分で区画プレート65を指で掴んで、区画プレート65を受入室6の壁部材に係合させて、上昇管83の下端部を、浴槽排水流通管8の連結部開口812(図6及び図7参照)に取り付けて、装着することができる。
【0077】
以上説明した本実施形態の排水トラップ5によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の排水トラップ5は、上方から導入される洗い場排水を流入させる洗い場排水流入口61と、側方から導入される浴槽排水を流入させる浴槽排水流入口62と、流入された洗い場排水及び浴槽排水を流出させる連通口63と、を有する受入室6と、連通口63から流出された洗い場排水及び浴槽排水を流入させる連通口63と、連通口63よりも上方において水平方向に開口され連通口63から流入された洗い場排水及び浴槽排水を流出させる排水流出口72と、を有する流出室7と、浴槽排水が導入される導入路81と、上流側が導入管81に接続されると共に下流側が排水流出口72側に位置するバイパス管82と、上流側が導入管81に接続されると共に下流側が浴槽排水流入口62に接続される上昇管83と、を有する浴槽排水流通管8と、受入室6と流出室7との間に着脱自在に配置され、受入室6と流出室7とを区画する区画プレート65と、を備え、区画プレート65の上端部651の高さは、排水流出口72の下端部721の位置よりも高い。
【0078】
そのため、排水流出口72が連通口63よりも上方において水平方向に開口されるため、受入室6及び流出室7の内部には、封水面Fまで封水が溜まる。封水面Fまで溜まった封水の内部には、連通口63が位置するため、排水流路が封水により塞がれる。これにより、浴室1に、外部導出排出管13からの臭気が逆流することが防止される。また、浴室1に、害虫等が侵入することが防止される。
【0079】
また、浴槽排水は、上昇管83を通って、浴槽排水流入口62を介して、受入室6に流入される。受入室6に流入された浴槽排水は、受入室6の内周面に沿って旋回して渦流となり、発生した渦流は、上昇渦流となり上昇する。これにより、ヘアキャッチャー11は、その中央部分以外に髪の毛が付着していない状態に保たれ、且つ、ヘアキャッチャー11の内面及び外面に付着しているヌメリ等を除去できる。これにより、ヘアキャッチャー11は、通水が良好となる。
【0080】
また、区画プレート65は、受入室6と流出室7と間に着脱自在に配置される。そのため、区画プレート65を受入室6と流出室7との間から取り外すだけで、簡単に、二重トラップ構造を解消できる。
【0081】
以上により、本発明は、封水を溜めて排水流路を塞ぐ機能と、渦流を発生させる機能とを併せて備え、更に、二重トラップ構造を簡単に解消できる構造を備えることができる。
【0082】
また、本実施形態においては、バイパス管82は、導入管81を流通する浴槽排水を、受入室6を迂回して排水流出口72に案内するように延びている。そのため、バイパス管82は、上昇管83へ分岐させる浴槽排水の流量を調整して、受入室6から洗い場排水及び浴槽排水が溢れ出すことを抑制できる。また、バイパス管82は、浴槽2の浴槽排水を短時間で排出できる。
【0083】
また、上昇管83は、導入管81を流通する浴槽排水を、受入室6の内部の上方において渦流を発生させるように、浴槽排水流入口62に案内するように延びている。そのため、上昇管83により受入室6の内部の上方において渦流を発生させて、受入室6の内部の上部、すなわち、ヘアキャッチャー11の付近に強力な渦流が形成される。これにより、ヘアキャッチャー11の内部のゴミが効率よく中心付近に集められると共に、ヘアキャッチャー11が強力な渦流によって洗浄される。
【0084】
また、本実施形態においては、上昇管83は、管状に形成され、区画プレート65に沿って上方に延びている。そのため、浴槽排水を、上昇管83の管状の内部を通らせて、受入室6の内部の上方に導入できる。これにより、受入室6の内部の上部、すなわち、ヘアキャッチャー11の付近に強力な渦流が形成される。これにより、ヘアキャッチャー11の内部のゴミが効率よく中心付近に集められると共に、ヘアキャッチャー11が強力な渦流によって洗浄される。
【0085】
また、本実施形態においては、上昇管83は、区画プレート65と一体的に形成される。そのため、上昇管83と区画プレート65とは、一体的に、受入室6と流出室7との間から取り外すことができるため、バイパス管82や連通口63付近等の清掃及び点検等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、区画プレート65及び上昇管83の清掃及び点検等のメンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0086】
また、本実施形態においては、受入室6の内面は、略球面状である。そのため、浴槽排水を受入室6の略球面状の内面に沿って導入することで、渦流を勢いよく発生させることができる。
【0087】
また、本実施形態においては、浴槽排水流入口62は、受入室6の内面の接線方向に向けて浴槽排水を排出するように開口する。そのため、浴槽排水を受入室6の略球面状の内面の接線方向に導入することで、受入室6の内面に沿うように渦流が発生するため、渦流を勢いよく発生させることができる。
【0088】
また、本実施形態においては、排水トラップ5と、浴槽2と、洗い場パン3と、を備える浴室1である。そのため、新たに浴室1を設置した場合において、二重トラップ構造を解消できる。また、排水トラップ5を浴室1に備えることにより、ヘアキャッチャー11に付着したゴミや髪の毛の除去作業の頻度が少なくなり、浴室1の清掃の手間が軽減される。
【0089】
以上、本発明の排水トラップの好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、受入室6の内面を、略球面状に形成したが、これに限られない。例えば、受入室6の内面を、略筒状に形成してもよい。
【0090】
また、前記実施形態では、受入室6の受入側流出口と、流出室7の流出側流入口とを共通の連通口63としたが、これに限られない。例えば、流出室7の流出側流入口と間に接続管を配置して、接続管の一端部を受入室6の受入側流出口とし、接続管の他端部を流出室7の流出側流入口としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 浴室
2 浴槽
3 洗い場パン(洗い場)
5 排水トラップ
6 受入室
7 流出室
8 浴槽排水流通管(第2排水流通路)
61 洗い場排水流入口(第1排水流入口)
62 浴槽排水流入口(第2排水流入口)
63 連通口(受入側流出口、流出側流入口)
65 区画プレート(区画部材)
72 排水流出口(流出側流出口)
81 導入管(導入路)
82 バイパス管(第1分岐流路)
83 上昇管(第2分岐流路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7