(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1におけるグロープラグの端子では、コネクタの導体部と接触する部位から後端にわたって同じ外径であるため、振動および衝撃などによって端子からコネクタが抜けてしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、先端側から後端側へと軸線方向に延びた主体金具と;前記主体金具の前記先端側に設けられ、通電によって発熱するヒータ素子と;前記主体金具より前記後端側へと前記軸線方向に沿って突出した突出部を有し、導体部を有するコネクタに前記突出部が接続されることによって、前記導体部から前記ヒータ素子へと供給される電力を中継する端子と;を備えるグロープラグが提供される。このグロープラグにおいて、前記突出部は、前記導体部の内側に嵌まり合う小径部と;前記小径部より前記後端側に位置し、前記小径部より大きな外径を有する大径部とを含み、前記大径部が前記小径部より径方向に突出する高さは、30μm以上400μm以下であり、
前記小径部は、一定の外径を有し、前記軸線方向において、前記小径部の長さは、前記導体部の長さより長い。この形態によれば、コネクタの導体部が小径部よりも後端側へと移動することを大径部によって阻止できる。そのため、端子からコネクタが抜けることを防止できる。また、大径部が小径部より径方向に突出する高さを30μm以上400μm以下とするので、コネクタを嵌め合わせた際の抵抗値の増加を抑制できるとともに、後端側へのコネクタの位置ずれを抑制できる。
【0007】
(2)上記形態のグロープラグにおいて、前記大径部の前記先端側は、前記導体部の前記後端側に接触してもよい。この形態によれば、端子に対するコネクタのがたつきを防止できる。
【0008】
(3)上記形態のグロープラグにおいて、前記小径部は、一定の外径を有してもよい。この形態によれば、コネクタの導体部との接触面積を小径部において十分に確保できる。
【0009】
(4)上記形態のグロープラグにおいて、前記軸線方向において、前記小径部の長さは、前記導体部の長さより長くてもよい。この形態によれば、小径部において導体部との接触面積を十分に確保できる。
【0010】
(5)上記形態のグロープラグにおいて、前記大径部が前記小径部より径方向に突出する高さは、30μm以上400μm以下であってもよい。この形態によれば、コネクタを嵌め合わせた際の抵抗値の増加を抑制できるとともに、後端側へのコネクタの位置ずれを抑制できる。
【0011】
(6)上記形態のグロープラグにおいて、前記大径部の外径は、前記小径部の外径の1.0075倍以上1.1倍以下であってもよい。この形態によれば、コネクタを嵌め合わせた際の抵抗値の増加を抑制できるとともに、後端側へのコネクタの位置ずれを抑制できる。
【0012】
(7)上記形態のグロープラグにおいて、前記小径部より前記先端側における前記端子の外径は、一定または前記先端側に向かうに従って大きくなってもよい。この形態によれば、先端側へのコネクタのズレを防止できる。
【0013】
(8)上記形態のグロープラグにおいて、前記端子は、更に、前記端子の前記先端側に位置する先端部と;前記小径部と前記先端部との間に位置し、前記小径部および前記先端部より大きな外径を有する先端側大径部とを含んでもよい。この形態によれば、先端側へのコネクタのズレを防止できる。
【0014】
(9)上記形態のグロープラグにおいて、前記突出部は、更に、前記大径部より前記後端側に位置し、前記大径部より小さな外径を有する後端部を含んでもよい。この形態によれば、小径部に対するコネクタの円滑な装着を実現できる。
【0015】
(10)上記形態のグロープラグにおいて、前記大径部は、前記後端側における前記端子の端部を構成してもよい。この形態によれば、大径部が端子の端部ではない場合と比較して、端子の材料を削減できる。
【0016】
(11)上記形態のグロープラグにおいて、前記後端側における前記端子の端部は、前記小径部が前記導体部の内側に嵌まり合った状態で前記コネクタに接触してもよい。この形態によれば、端子の端部がコネクタに接触していない場合と比較して、端子とコネクタとの間に形成される隙間を低減できる。その結果、隙間に水分が滞留することによる不具合を抑制できる。
【0017】
(12)本発明の一形態によれば、加熱装置が提供される。この加熱装置は、上記形態のグロープラグと;前記小径部の外側に嵌まり合う導体部を、有するコネクタと;前記導体部を通じて前記グロープラグに電力を供給する電力供給部とを備える。この形態によれば、コネクタの導体部が小径部よりも後端側へと移動することを大径部によって阻止できる。そのため、端子からコネクタが抜けることを防止できる。
【0018】
本発明は、グロープラグおよび加熱装置とは異なる種々の形態で実現可能であり、例えば、センサ付きグロープラグ、グロープラグの端子、グロープラグを製造する製造方法などの形態で実現可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.実施形態
A1.加熱装置の構成
図1は、加熱装置10の構成を示す説明図である。加熱装置10は、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関(図示しない)の始動時における着火を補助するために燃焼室を加熱する。加熱装置10は、電力供給部20と、電源コード30と、コネクタ40と、グロープラグ50とを備える。
【0021】
加熱装置10の電力供給部20は、電源コード30およびコネクタ40を介してグロープラグ50に電力を供給する。加熱装置10の電源コード30は、電力供給部20とコネクタ40との間を接続する被覆電線である。加熱装置10のコネクタ40は、グロープラグ50に嵌まり合うことによって、電力供給部20から供給される電力をグロープラグ50へと中継する。加熱装置10のグロープラグ50は、コネクタ40を介して供給される電力に基づいて発熱する。
【0022】
図2は、グロープラグ50の外観構成を示す説明図である。
図3は、グロープラグ50の断面形状を示す説明図である。本実施形態の説明では、グロープラグ50における
図2の紙面下側を「先端側」といい、
図2の紙面上側を「後端側」という。
図2のXYZ軸は、互いに直交する3つの空間軸として、X軸、Y軸およびZ軸を有する。本実施形態では、Z軸は、グロープラグ50の軸線ALに沿った軸である。X軸に沿ったX軸方向のうち、+X軸方向は、紙面手前から紙面奥に向かう方向であり、−X軸方向は、+X軸方向に対する逆方向である。Y軸に沿ったY軸方向のうち、+Y軸方向は、紙面右側から紙面左側に向かう方向であり、−Y軸方向は、+Y軸方向に対する逆方向である。Z軸に沿ったZ軸方向(軸線方向)のうち、+Z軸方向は、先端側から後端側に向かう方向であり、−Z軸方向は、+Z軸方向に対する逆方向である。
図2のXYZ軸は、他の図におけるXYZ軸に対応する。
【0023】
グロープラグ50は、端子100と、中軸200と、絶縁部材300と、主体金具500と、ヒータ素子800とを備える。本実施形態では、グロープラグ50の軸線ALは、端子100、中軸200、絶縁部材300、主体金具500およびヒータ素子800などの各部材の軸線でもある。
【0024】
グロープラグ50の端子100は、コネクタ40と接続可能に構成された導体である。本実施形態では、端子100は、金属製(例えば、炭素鋼(SUM24L、SWCH10R)、黄銅(C3604BD)など)である。本実施形態では、端子100の表面には、めっき(例えば、錫(Sn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)などの少なくとも1つ)が施されている。端子100の詳細については後述する。
【0025】
グロープラグ50の中軸200は、先端側(−Z軸方向)から後端側(+Z軸方向)へ軸線方向に延びた棒状を成す導体である。本実施形態では、中軸200は、金属製(例えば、ステンレス鋼など)である。中軸200の後端側は、端子100に挿入されている。中軸200の先端側は、ヒータ素子800の後端側に圧入されている。
【0026】
グロープラグ50の主体金具500は、軸線ALを中心に延びた筒状を成す導体である。本実施形態では、主体金具500は、金属製(例えば、炭素鋼)である。本実施形態では、主体金具500の表面には、めっき(例えば、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、亜鉛−ニッケル合金など)が施されている。主体金具500は、軸孔510と、工具係合部520と、雄ねじ部540とを有する。
【0027】
主体金具500の軸孔510は、軸線ALを中心に延びた貫通孔である。軸孔510の内径は、中軸200の外径よりも大きい。軸孔510の内側には、中軸200が軸線AL上に保持される。軸孔510と中軸200との間には、軸孔510と中軸200とを電気的に絶縁する空隙が形成される。本実施形態では、軸孔510の先端側には、ヒータ素子800が圧入される圧入部514が形成されている。本実施形態では、軸孔510の後端側には、円筒状を成す絶縁部材300を介して中軸200が保持されている。
【0028】
主体金具500の工具係合部520は、グロープラグ50の取り付けおよび取り外しに用いられる工具(図示しない)と係合可能に構成されている。主体金具500の雄ねじ部540は、内燃機関(図示しない)に形成された雌ねじに固定可能に構成されている。本実施形態では、雄ねじ部540は、工具係合部520より先端側に位置する。
【0029】
グロープラグ50のヒータ素子800は、通電によって発熱する発熱素子(発熱装置)である。本実施形態では、ヒータ素子800は、導電材料で形成された発熱コイルがシース管の内側に配置されたシースヒータである。他の実施形態では、ヒータ素子800は、セラミック組成物から成るセラミックヒータであってもよい。
【0030】
図4は、端子100を中心にグロープラグ50の後端側を示す拡大断面図である。
図5は、グロープラグ50の端子100にコネクタ40が接続された状態を示す説明図である。グロープラグ50の端子100は、後端部110と、大径部130と、小径部150と、先端側大径部170と、先端部180と、軸穴190とを有する。後端部110、大径部130および小径部150は、主体金具500より後端側へと軸線方向に沿って突出した突出部を構成する。
【0031】
端子100に接続されるコネクタ40は、本体部42と、導体部44とを備える。コネクタ40の本体部42は、電気絶縁性を有する樹脂から成り、端子100の少なくとも一部を覆う。本実施形態では、本体部42は、一端が閉塞された筒状を成し、端子100の後端部110から先端部180の一部までを覆う。本実施形態では、本体部42は、後端部110、大径部130、小径部150および先端部180との間に隙間を形成するとともに、先端側大径部170に嵌まり合う。コネクタ40の導体部44は、本体部42の内側に設けられた金属製の導体であり、端子100の小径部150の外側に嵌まり合うことが可能に構成されている。導体部44は、本体部42の内部において電源コード30と電気的に接続されている。本実施形態では、導体部44は、端子100の小径部150の外側に嵌まり合う筒状を成し、径方向に塑性変形することによって大径部130を乗り越えることが可能に側面に切り欠きが形成されている。
【0032】
端子100の後端部110は、大径部130より後端側に位置し、後端側における端子100の端部を構成する。後端部110は、大径部130より小さな外径を有する。
【0033】
端子100の大径部130は、小径部150より後端側に位置し、小径部150の外径D1より大きな外径D2を有する。本実施形態では、大径部130の外径D2は、小径部150の外径D1の1.0075倍以上1.1倍以下である。本実施形態では、大径部130が小径部150より径方向に突出する高さHdは、30μm以上400μm以下である。本実施形態では、大径部130の先端側は、コネクタ40が端子100に接続された状態で、導体部44の後端側に接触する。
【0034】
端子100の小径部150は、大径部130より先端側に位置し、コネクタ40の導体部44の内側に嵌まり合うことが可能に構成されている。本実施形態では、小径部150は、円柱状を成す。小径部150の外径D1は、先端側から後端側にわたってほぼ一定である。本実施形態では、軸線方向において、小径部150の長さL1は、導体部44の長さより長い。
【0035】
端子100の先端側大径部170は、小径部150と先端部180との間に位置し、小径部150および先端部180より大きな外径を有する。本実施形態では、先端側大径部170は、コネクタ40の本体部42の内側に嵌まり合うことが可能に構成されている。
【0036】
端子100の先端部180は、先端側大径部170より先端側に位置し、先端側における端子100の端部を構成する。先端部180は、先端側大径部170より小さな外径を有する。本実施形態では、先端部180の内側には、軸穴190が形成されており、先端部180は、軸穴190に挿入された中軸200に対して、外側から内側に圧縮するかしめ固定によって固定されている。本実施形態では、先端部180は、絶縁部材300および主体金具500より後端側に位置する。他の実施形態では、先端部180は、絶縁部材300および主体金具500の内側に挿入されていてもよい。
【0037】
端子100の軸穴190は、端子100の先端側から後端側へ向けて軸線ALを中心に形成された穴である。軸穴190には、中軸200の後端側が挿入されている。本実施形態では、軸穴190は、先端部180から先端側大径部170にわたって形成されている。他の実施形態では、軸穴190は、先端部180から小径部150にわたって形成されていてもよい。
【0038】
A2.評価試験
評価試験の1つとして、試験者は、コネクタを接続したグロープラグを試料として用意し、日本工業規格JIS−D−1601:1995に準拠する振動試験を各試料に対して実施した。本振動試験における振動条件は、4種、D種、段階90である。
【0039】
本振動試験に用いた試料は、次のとおりである。
試料A1:グロープラグ50にコネクタ40を初めて組み付けたもの
試料A2:グロープラグ50に対してコネクタ40の組み付けを20回繰り返したもの
試料A3:大径部130が形成されていない端子を有するグロープラグ(大径部130が形成されていない点を除きグロープラグ50と同様)にコネクタ40を初めて組み付けたもの
試料A4:試料A3と同様のグロープラグに対してコネクタ40の組み付けを20回繰り返したもの
【0040】
本振動試験の結果は、次のとおりである。
試料A1:試験前後の端子に対するコネクタの位置ずれが軸線方向において1mm以下(◎)
試料A2:試験前後の端子に対するコネクタの位置ずれが先端側へ1mm超過(○)
試料A3:試験前後の端子に対するコネクタの位置ずれが軸線方向において1mm以下(◎)
試料A4:試験前後の端子に対するコネクタの位置ずれが後端側へ1mm超過(×)
【0041】
本振動試験の結果によれば、大径部130によって後端側へのコネクタ40の位置ずれを抑制できることが分かる。
【0042】
図6は、小径部150の長さL1を評価した評価試験の結果を示す表である。
図6の評価試験では、試験者は、小径部150の長さL1が異なる複数の端子を試料として用意した。
図6の評価試験に用いた各試料において、外径D1は、4mmであり、高さHdは、200μmである。これらの試料とは別に、試験者は、比較試料として、「起伏あり」の試料を用意した。「起伏あり」の試料では、小径部150に相当する部位の外径が先端側から後端側にわたって外径D1と外径D2との間で繰り返し変化し、小径部150に相当する部位の側面に起伏が形成され、一定の径が軸線方向に連続していない端子である。
【0043】
試験者は、端子およびコネクタの各抵抗値を個別に測定するとともに、端子にコネクタを嵌め合わせて端子とコネクタとの間の抵抗値を測定した。その後、試験者は、端子にコネクタを嵌め合わせることによる抵抗値の増加量を算出した。
図6の評価試験に用いたコネクタ40において、軸線方向における導体部44の長さは、7mmである。
【0044】
図6の評価試験によれば、小径部150の外径が一定であることによって、コネクタを嵌め合わせた際の抵抗値の増加を抑制できることが分かる。また、軸線方向において、小径部150の長さL1が導体部44の長さより長いことによって、コネクタを嵌め合わせた際の抵抗値の増加をいっそう抑制できることが分かる。
【0045】
図7は、端子100における高さHdを評価した評価試験の結果を示す表である。
図7の評価試験では、試験者は、高さHdが異なる複数の端子100を試料として用意した。
図7の評価試験に用いた各試料において、外径D1は、4mmであり、長さL1は、7mmである。
【0046】
試験者は、
図6の評価試験と同様に、各試料について抵抗値を評価した。また、試験者は、前述した振動試験と同様に、グロープラグ50に対してコネクタ40の組み付けを20回繰り返した各試料について振動試験を実施した。
図6の振動試験では、グロープラグ50に対してコネクタ40の組み付けを繰り返すことによってコネクタ40に傷や変形が発生した場合を想定し、端子100の高さHdによるコネクタ40の後端側への位置ずれを防止する効果を評価した。
【0047】
図7の評価試験の結果によれば、コネクタ40を嵌め合わせた際の抵抗値の増加を抑制する観点から、高さHdは、400μm以下が好ましい。また、後端側へのコネクタ40の位置ずれを抑制する観点から、高さHdは、30μ以上が好ましい。また、
図7の評価試験の結果から、大径部130の外径D2は、小径部150の外径D1の1.0075倍以上1.1倍以下であることが好ましい。
【0048】
A3.効果
以上説明した第1実施形態によれば、コネクタ40の導体部44が小径部150よりも後端側へと移動することを大径部130によって阻止できる。そのため、端子100からコネクタ40が抜けることを防止できる。
【0049】
また、大径部130の先端側が導体部44の後端側に接触するため、端子100に対するコネクタ40のがたつきを防止できる。
【0050】
また、小径部150が一定の外径D1を有するため、コネクタ40の導体部44との接触面積を小径部150において十分に確保できる。
【0051】
また、軸線方向において、小径部150の長さL1は、導体部44の長さより長いため、小径部150において導体部44との接触面積を十分に確保できる。
【0052】
また、大径部130が小径部150より径方向に突出する高さHdが30μm以上400μm以下であるため、コネクタ40を嵌め合わせた際の抵抗値の増加を抑制できるとともに、後端側へのコネクタ40の位置ずれを抑制できる。また、大径部130の外径D2が小径部150の外径D1の1.0075倍以上1.1倍以下であるため、コネクタ40を嵌め合わせた際の抵抗値の増加を抑制できるとともに、後端側へのコネクタ40の位置ずれを抑制できる。
【0053】
また、小径部150の先端側に先端側大径部170が存在するため、先端側へのコネクタ40のズレを防止できる。
【0054】
また、大径部130より後端側に後端部110が存在するため、小径部150に対するコネクタ40の円滑な装着を実現できる。
【0055】
B.第2実施形態
図8は、第2実施形態の加熱装置10Bにおけるグロープラグ50Bの端子100Bにコネクタ40Bが接続された状態を示す説明図である。第2実施形態の加熱装置10Bは、コネクタ40およびグロープラグ50に代えてコネクタ40Bおよびグロープラグ50Bを備える点を除き、第1実施形態の加熱装置10と同様である。
【0056】
第2実施形態のグロープラグ50Bは、端子100に代えて端子100Bを備える点を除き、第1実施形態のグロープラグ50と同様である。第2実施形態の端子100Bは、先端側大径部170を有しない点を除き、第1実施形態の端子100と同様である。端子100Bでは、先端部180は、小径部150より先端側に位置する。本実施形態では、先端部180の外径は、小径部150の外径D1より大きいとともに一定である。他の実施形態では、先端部180の外径は、先端側に向かうに従って大きくなってもよい。
【0057】
第2実施形態のコネクタ40Bは、本体部42に代えて本体部42Bを備える点を除き、第1実施形態のコネクタ40と同様である。第2実施形態の本体部42Bは、端子100Bの後端部110から小径部150までを覆う点、および、端子100に接触しない点を除き、第1実施形態の本体部42と同様である。
【0058】
評価試験の1つとして、試験者は、コネクタを接続したグロープラグを試料として用意し、日本工業規格JIS−D−1601:1995に準拠する振動試験を各試料に対して実施した。本振動試験における振動条件は、4種、D種、段階90である。
【0059】
本振動試験に用いた試料は、次のとおりである。
試料B1:グロープラグ50Bにコネクタ40Bを初めて組み付けたもの
試料B2:グロープラグ50Bに対してコネクタ40Bの組み付けを20回繰り返したもの
試料B3:大径部130が形成されていない端子を有するグロープラグ(大径部130が形成されていない点を除きグロープラグ50Bと同様)にコネクタ40Bを初めて組み付けたもの
試料B4:試料A3と同様のグロープラグに対してコネクタ40Bの組み付けを20回繰り返したもの
【0060】
本振動試験の結果は、次のとおりである。
試料B1:試験前後の端子とコネクタとの位置ずれが先端側へ1mm超過(○)
試料B2:試験前後の端子とコネクタとの位置ずれが先端側へ1mm超過(○)
試料B3:試験前後の端子とコネクタとの位置ずれが後端側へ1mm超過(×)
試料B4:試験前後の端子とコネクタとの位置ずれが後端側へ1mm超過(×)
【0061】
本振動試験の結果によれば、大径部130によって後端側へのコネクタ40Bの位置ずれを抑制できることが分かる。
【0062】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、端子100Bからコネクタ40Bが抜けることを防止できる。また、第2実施形態によれば、先端側大径部170を有しないため、第1実施形態と比較して端子100Eの材料を抑制できる。また、第2実施形態によれば、先端側大径部170を有しないため、第1実施形態と比較して端子100Eを軽量化できる。また、第2実施形態によれば、先端側大径部170を有しないため、第1実施形態と比較して端子100Eを加工する工程を簡素化でき、例えば、ヘッダー加工であれば加工段数を削減できる。また、第2実施形態によれば、先端側大径部170を有しないため、先端側大径部170の先端側に加工によって形成されたダレによってコネクタが損傷することを防止できる。
【0063】
C.第3実施形態
図9は、第3実施形態の加熱装置10Cにおけるグロープラグ50Bの端子100Bにコネクタ40Cが接続された状態を示す説明図である。第3実施形態の加熱装置10Cは、コネクタ40Bに代えてコネクタ40Cを備える点を除き、第2実施形態の加熱装置10Bと同様である。第3実施形態のコネクタ40Cは、本体部42Bに代えて本体部42Cを備える点を除き、第2実施形態のコネクタ40Bと同様である。第3実施形態の本体部42Cは、小径部150が導体部44に嵌まり合った状態で後端側における端子100Bの端部に接触する点を除き、第2実施形態の本体部42Bと同様である。
【0064】
評価試験の1つとして、試験者は、コネクタを接続したグロープラグを試料として用意し、日本工業規格JIS−D−1601:1995に準拠する振動試験を各試料に対して実施した。本振動試験における振動条件は、4種、D種、段階90である。
【0065】
本振動試験に用いた試料は、次のとおりである。
試料C1:グロープラグ50Bにコネクタ40Cを初めて組み付けたもの
試料C2:グロープラグ50Bに対してコネクタ40Cの組み付けを20回繰り返したもの
【0066】
本振動試験の結果は、次のとおりである。
試料C1:試験前後の端子とコネクタとの位置ずれが軸線方向において1mm以下(◎)
試料C2:試験前後の端子とコネクタとの位置ずれが軸線方向において1mm以下(◎)
【0067】
本振動試験の結果によれば、後端側における端子100Bの端部がコネクタ40Cの本体部42Cに接触することによって、後端側へのコネクタ40Cの位置ずれをいっそう抑制できることが分かる。
【0068】
以上説明した第3実施形態によれば、第2実施形態と比較して、端子100Bからコネクタ40Cが抜けることをいっそう防止できる。また、後端側における端子100Bの端部は、小径部150が導体部44の内側に嵌まり合った状態でコネクタ40Cに接触するため、端子の端部がコネクタに接触していない場合と比較して、端子100Bとコネクタ40Cとの間に形成される隙間を低減できる。その結果、隙間に水分が滞留することによる不具合を抑制できる。
【0069】
D.第4実施形態
図10は、第4実施形態の加熱装置10Dにおけるグロープラグ50Bの端子100Bにコネクタ40Dが接続された状態を示す説明図である。第4実施形態の加熱装置10Dは、コネクタ40Bに代えてコネクタ40Dを備える点を除き、第2実施形態の加熱装置10Bと同様である。第4実施形態のコネクタ40Dは、本体部42Bに代えて本体部42Dを備える点を除き、第2実施形態のコネクタ40Bと同様である。第4実施形態の本体部42Dは、小径部150が導体部44に嵌まり合った状態で小径部150の先端側に接触する点を除き、第2実施形態の本体部42Bと同様である。本実施形態では、本体部42Dは、導体部44より先端側において小径部150に接触する。
【0070】
評価試験の1つとして、試験者は、コネクタを接続したグロープラグを試料として用意し、日本工業規格JIS−D−1601:1995に準拠する振動試験を各試料に対して実施した。本振動試験における振動条件は、4種、D種、段階90である。
【0071】
本振動試験に用いた試料は、次のとおりである。
試料D1:グロープラグ50Bにコネクタ40Dを初めて組み付けたもの
試料D2:グロープラグ50Bに対してコネクタ40Dの組み付けを20回繰り返したもの
【0072】
本振動試験の結果は、次のとおりである。
試料D1:試験前後の端子とコネクタとの位置ずれが軸線方向において1mm以下(◎)
試料D2:試験前後の端子とコネクタとの位置ずれが軸線方向において1mm以下(◎)
【0073】
本振動試験の結果によれば、小径部150の先端側がコネクタ40Dの本体部42Dに接触することによって、後端側へのコネクタ40Dの位置ずれをいっそう抑制できることが分かる。
【0074】
以上説明した第4実施形態によれば、第2実施形態と比較して、端子100Bからコネクタ40Dが抜けることをいっそう防止できる。
【0075】
E.第5実施形態
図11は、第5実施形態の加熱装置10Eにおけるグロープラグ50Eの端子100Eにコネクタ40Eが接続された状態を示す説明図である。第5実施形態の加熱装置10Eは、コネクタ40Bおよびグロープラグ50Bに代えてコネクタ40Eおよびグロープラグ50Eを備える点を除き、第2実施形態の加熱装置10Bと同様である。
【0076】
第5実施形態のグロープラグ50Eは、端子100Bに代えて端子100Eを備える点を除き、第2実施形態のグロープラグ50Bと同様である。第5実施形態の端子100Eは、後端部110に代えて後端部110Eを有する点を除き、第2実施形態の端子100Bと同様である。端子100Eの後端部110Eは、コネクタ40Eの本体部42Eに嵌まり合うことが可能に、第2実施形態の後端部110より軸線方向に延びた形状を成す点を除き、第2実施形態の後端部110と同様である。
【0077】
第5実施形態のコネクタ40Eは、本体部42Bに代えて本体部42Eを備える点を除き、第2実施形態のコネクタ40Bと同様である。第5実施形態の本体部42Eは、小径部150が導体部44に嵌まり合った状態で後端部110Eの側面に接触する点を除き、第2実施形態の本体部42Bと同様である。
【0078】
以上説明した第5実施形態によれば、第4実施形態と同様に、端子100Eからコネクタ40Eが抜けることを防止できる。
【0079】
F.第6実施形態
図12は、第6実施形態の加熱装置10Fにおけるグロープラグ50Bの端子100Bにコネクタ40Fが接続された状態を示す説明図である。第6実施形態の加熱装置10Fは、コネクタ40Bに代えてコネクタ40Fを備える点を除き、第2実施形態の加熱装置10Bと同様である。第6実施形態のコネクタ40Fは、本体部42Bに代えて本体部42Fを備える点を除き、第2実施形態のコネクタ40Bと同様である。第4実施形態の本体部42Fは、両端が開放された筒状を成し、大径部130および小径部150の側面を覆う点を除き、第2実施形態の本体部42Bと同様である。第6実施形態によれば、第2実施形態と同様に、端子100Bからコネクタ40Fが抜けることを防止できる。
【0080】
G.第7実施形態
図13は、第7実施形態の加熱装置10Gにおけるグロープラグ50Bの端子100Bにコネクタ40Gが接続された状態を示す説明図である。第7実施形態の加熱装置10Gは、コネクタ40Bに代えてコネクタ40Gを備える点を除き、第2実施形態の加熱装置10Bと同様である。第7実施形態のコネクタ40Gは、本体部42Bに代えて本体部42Gを備える点を除き、第2実施形態のコネクタ40Bと同様である。第7実施形態の本体部42Gは、端子100Bの全体および主体金具500の後端側を覆うとともに主体金具500の後端側に嵌まり合う点を除き、第2実施形態の本体部42Bと同様である。本実施形態では、本体部42Gは、主体金具500における工具係合部520と雄ねじ部540との間に嵌まり合う。第7実施形態によれば、第4実施形態と同様に、端子100Bからコネクタ40Gが抜けることを防止できる。
【0081】
H.第8実施形態
図14は、第8実施形態の加熱装置10Hにおけるグロープラグ50Hの端子100Hにコネクタ40Bが接続された状態を示す説明図である。第8実施形態の加熱装置10Hは、グロープラグ50Bに代えてグロープラグ50Hを備える点を除き、第2実施形態の加熱装置10Bと同様である。第8実施形態のグロープラグ50Hは、端子100Bに代えて端子100Hを備える点を除き、第2実施形態のグロープラグ50Bと同様である。第8実施形態の端子100Hは、大径部130が後端側における端子100Hの端部を構成し、後端部110を有しない点を除き、第2実施形態の端子100Bと同様である。第8実施形態によれば、第2実施形態と同様に、端子100Hからコネクタ40Bが抜けることを防止できる。また、大径部130が端子100Hの端部ではない場合と比較して、端子100Hの材料を削減できる。
【0082】
I.他の実施形態
本発明は、上述した実施形態、実施例および変形例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、実施形態、実施例および変形例における技術的特徴のうち、発明の概要の欄に記載した各形態における技術的特徴に対応するものは、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えおよび組み合わせを行うことが可能である。また、本明細書中に必須なものとして説明されていない技術的特徴については、適宜、削除することが可能である。例えば、端子100における大径部130の先端側は、コネクタ40が端子100に接続された状態で、導体部44の後端側に接触しなくてもよい。また、端子100の大径部130は、コネクタ40が端子100に接続された状態で、コネクタ40の本体部42に接触してもよい。