(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロータ押さえと前記位置決め部とは一体に形成されるとともに、前記位置決め部付きロータ押さえに、該位置決め部により形成された段差を横切るように前記弁軸の前記上端部がスライド自在に挿通される長穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
前記ロータ押さえと前記位置決め部とは別体に形成されるとともに、前記位置決め部に、前記弁軸の前記上端部がスライド自在に嵌挿される切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した如くの従来の閉弁レスタイプの電動弁では、最終的に、弁軸に連結固定されたロータをスライダが原点位置にセットされるまで閉弁方向に回転させて、弁体と弁シート部との間に前記所定の大きさの間隙を形成する。そのため、原点位置における弁体と弁シート部との間の前記間隙の寸法精度が、弁体や弁本体(の弁シート部)といった複雑形状を有する構成部品の部品精度に依存することとなり、概して前記間隙の寸法ばらつきが大きくなる可能性があった。
【0006】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡単な構成でもって、原点位置における弁体と弁シート部との間に形成される間隙の寸法ばらつきを抑えることのできる電動弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記する課題を解決するために、本発明に係る電動弁は、下端部に弁体が設けられた弁軸と、該弁軸が軸線方向に相対移動可能及び相対回転可能な状態で内挿される円筒部を有するガイドブッシュと、前記弁体が接離する弁シート部を有するとともに前記ガイドブッシュが取付固定された弁本体と、該弁本体に接合されたキャンと、該キャンの内側かつ前記ガイドブッシュの外側に配在されたロータと、該ロータを回転駆動すべく前記キャンの外側に配置されたステータと、前記ガイドブッシュが内挿される円筒部と前記弁軸の上端部が挿通される挿通穴が貫設された天井部とを有するとともに、前記キャン内で前記ロータを支持しながら該ロータと一体に回転される弁軸ホルダと、前記弁軸と前記弁軸ホルダとを昇降方向で離れる方向に付勢すべく前記弁軸と前記弁軸ホルダとの間に介装された付勢部材と、前記弁軸ホルダと前記ロータとの昇降方向における相対移動を防止するとともに前記弁軸と前記弁軸ホルダとを連結すべく、前記弁軸の前記上端部に外嵌固定された固定部材と、前記固定部材と前記ロータとの間に介在された平板状部材からなるロータ押さえとから構成される抜け止め係止部材と、前記ガイドブッシュの外周に形成された固定ねじ部と前記弁軸ホルダの内周に形成された可動ねじ部とからなり、前記ロータの回転駆動に応じて前記弁軸ホルダに連結された前記弁軸の前記弁体を前記弁シート部に対して昇降させるためのねじ送り機構と、前記弁軸ホルダの回転下動規制を行う下部ストッパ機構と、を備え、前記
弁軸ホルダが最下降位置にあるときに、前記弁体と前記弁シート部との間に間隙が形成される電動弁であって、前記ロータ押さえと前記固定部材との間には、前記間隙の昇降方向における寸法に相当する厚さの位置決め部が介装されるとともに、前記下部ストッパ機構により前記弁軸ホルダが最下降位置にあるときに、前記固定部材が前記ロータ押さえ上に配置されると、前記弁体が前記弁シート部に接当する着座状態と、前記弁軸が前記付勢部材の付勢力に抗して引き上げられて前記ロータ押さえと前記固定部材との間に前記位置決め部が介装されると、前記弁軸が前記弁本体に対して前記位置決め部の厚さ分だけ引き上げられ、前記弁体と前記弁シート部との間に前記間隙が形成される離間状態とをとり得るように、各部の寸法形状が設計されていることを特徴としている。
【0008】
好ましい形態では、前記ロータ押さえと前記位置決め部とは一体に形成されるとともに、前記位置決め部付きロータ押さえに、該位置決め部により形成された段差を横切るように前記弁軸の前記上端部がスライド自在に挿通される長穴が形成されている。
【0009】
別の好ましい形態では、前記ロータ押さえと前記位置決め部とは別体に形成されるとともに、前記位置決め部に、前記弁軸の前記上端部がスライド自在に嵌挿される切欠きが形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電動弁によれば、ロータ押さえと固定部材との間に、弁体が最下降位置にあるときの弁体と弁シート部との間に形成される間隙の昇降方向における寸法に相当する厚さの位置決め部が介装されることにより、弁体の最下降位置、言い換えれば弁体が最下降位置にあるときの弁体と弁シート部との間の間隙が規定される。すなわち、原点位置における弁体と弁シート部との間の間隙の寸法精度が、一定の厚さで形成された位置決め部の部品精度に依存することとなるため、例えば弁体や弁本体といった複雑形状を有する構成部品の部品精度により前記間隙の寸法精度が決められる場合と比較して、前記間隙の寸法ばらつきを抑えることができ、もって、低流量域における流体(冷媒)流量の制御性を向上させることができる。
【0011】
また、ロータ押さえと位置決め部とが一体に形成されるとともに、その位置決め部付きロータ押さえに、位置決め部により形成された段差を横切るように弁軸の上端部がスライド自在に挿通される長穴が形成されることにより、部品点数の増加を防ぐこともできる。
【0012】
また、ロータ押さえと位置決め部とが別体に形成されるとともに、その位置決め部に、弁軸の上端部がスライド自在に嵌挿される切欠きが形成されることにより、当該位置決め部の部品精度を更に高められるため、前記間隙の寸法ばらつきをより効果的に抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る電動弁の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、各図において、部材間に形成される隙間や部材間の離隔距離等は、発明の理解を容易にするため、また、作図上の便宜を図るため、誇張して描かれている場合がある。また、本明細書において、上下、左右等の位置、方向を表わす記述は、
図1及び
図8の方向矢印表示を基準としており、実際の使用状態での位置、方向を指すものではない。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る電動弁の第1実施形態を示す縦断面図である。
【0016】
図示実施形態の電動弁1は、主に、弁軸10と、ガイドブッシュ20と、弁軸ホルダ30と、弁本体40と、キャン55と、ロータ51とステータ52とからなるステッピングモータ50と、圧縮コイルばね(付勢部材)60と、抜け止め係止部材70と、ねじ送り機構28と、下部ストッパ機構29とを備える。
【0017】
前記弁軸10は、上側から、上部小径部11と、中間大径部12と、下部小径部13とを有し、その下部小径部13の下端部に、段付き逆円錐状の弁体14が一体的に形成されている。
【0018】
前記ガイドブッシュ20は、前記弁軸10(の中間大径部12)が軸線O方向に相対移動(摺動)可能及び軸線O回りに相対回転可能な状態で内挿される円筒部21と、該円筒部21の上端部から上方に延びており、該円筒部21よりも内径が大きく、前記弁軸10の中間大径部12の上端側と上部小径部11の下端側とが内挿される延設部22と、を有している。前記ガイドブッシュ20の円筒部21の外周には、ロータ51の回転駆動に応じて前記弁軸10の弁体14を弁本体40の弁シート部46aに対して昇降させるねじ送り機構28の一方を構成する固定ねじ部(雄ねじ部)23が形成されると共に、その固定ねじ部23の下端には、弁軸ホルダ30の回転下動規制を行う下部ストッパ機構29の一方を構成する固定ストッパ体24が螺着されている。
【0019】
前記弁軸ホルダ30は、前記ガイドブッシュ20が内挿される円筒部31と前記弁軸10(の上部小径部11)の上端部が挿通される挿通穴32aが貫設された天井部32とを有している。前記弁軸ホルダ30の円筒部31の内周には、前記ガイドブッシュ20の固定ねじ部23と螺合して前記ねじ送り機構28を構成する可動ねじ部(雌ねじ部)33が形成されると共に、その円筒部31の外周下端には、前記下部ストッパ機構29の他方を構成する可動ストッパ体34が一体的に突設されている。
【0020】
また、前記弁軸10の上部小径部11と中間大径部12との間に形成された段丘面と前記弁軸ホルダ30の天井部32の下面との間には、弁軸10の上部小径部11に外挿されるように、前記弁軸10と前記弁軸ホルダ30とが昇降方向(軸線O方向)で離れる方向に付勢する、言い換えれば前記弁軸10を常時下方(閉弁方向)に付勢する圧縮コイルばね(付勢部材)60が縮装されている。
【0021】
前記弁本体40は、例えば真鍮やSUS等の金属製円筒体から構成されている。この弁本体40は、内部に弁室40aを有し、該弁室40aの側部に設けられた横向きの第1開口41に第1導管41aがろう付け等により連結固定され、該弁室40aの天井部に前記弁軸10(の中間大径部12)が軸線O方向に相対移動(摺動)可能及び軸線O回りに相対回転可能な状態で挿通される挿通穴43及び前記ガイドブッシュ20(の円筒部21)の下端部が嵌合されて取付固定される嵌合穴44が形成され、該弁室40aの下部に設けられた縦向きの第2開口42に第2導管42aがろう付け等により連結固定されるとともに、前記弁室40aと前記第2開口42との間の底部壁45に前記弁体14が接離する弁シート部46aを有する弁口オリフィス46が形成されている。
【0022】
前記弁本体40の上端部には鍔状板47がかしめ等により固着される共に、該鍔状板47の外周に設けられた段差部に、天井付き円筒状のキャン55の下端部が突き合わせ溶接されている。
【0023】
前記キャン55の内側かつ前記ガイドブッシュ20及び前記弁軸ホルダ30の外側には、ロータ51が回転自在に配在され、前記キャン55の外側に、前記ロータ51を回転駆動すべく、ヨーク52a、ボビン52b、ステータコイル52c、及び樹脂モールドカバー52d等からなるステータ52が配置されている。ステータコイル52cには、複数のリード端子52eが接続され、これらのリード端子52eには、基板52fを介して複数のリード線52gが接続され、ステータコイル52cへの通電励磁によってキャン55内に配在されたロータ51が軸線O回りで回転するようになっている。
【0024】
キャン55内に配在された前記ロータ51は、前記弁軸ホルダ30に係合支持されており、当該弁軸ホルダ30は前記ロータ51とともに(一体に)回転するようになっている。
【0025】
詳細には、前記ロータ51は、
図2を参照すればよく理解されるように、内筒51a、外筒51b、及び内筒51aと外筒51bとを接続する接続部51cからなる二重管構成とされ、内筒51aの上下方向の高さは外筒51bの上下方向の高さよりも小さく、前記内筒51aは前記外筒51bの内部に収容されている。また、内筒51aの内周に、(軸線O回りで120度の角度間隔で)平面からなる受け面(Dカット面)51dと、該受け面51dの中央に上下方向に沿って形成された縦溝51eとが設けられている。なお、接続部51cは、前記受け面51d及び縦溝51eと同じ位置に(軸線O回りで120度の角度間隔で)設けられている。
【0026】
一方、前記弁軸ホルダ30の外周には、
図3を参照すればよく理解されるように、その上端に円錐台面からなるテーパ面30aが設けられ、(軸線O回りで120度の角度間隔で)該テーパ面30aから下方に向かって平坦面(弁軸ホルダ30の外周の一部をカットして形成されたDカット面)30bが連設され、かつ、該平坦面30bの上端縁よりも下側の位置から下方に向かって上下方向に延びる突条30cが突設され、該突条30cの上端部には、上方に行くに従って細くなる四角錐台状のテーパ部30dが設けられている。ここで、弁軸ホルダ30の平坦面30bは、前記ロータ51の受け面51dと相補的な形状を有すると共に、弁軸ホルダ30の突条30cは、前記ロータ51の縦溝51eに嵌合される形状を有している。また、前記平坦面30b(及び該平坦面30bの中央に上下方向に沿って形成された突条30c)は、弁軸ホルダ30の中腹部まで延設されており、当該平坦面30bの下端であって突条30cの下部両側には、前記ロータ51を支持する係止面30eが形成されている。
【0027】
前記ロータ51と弁軸ホルダ30とを組付ける工程を、
図4を参照しながら詳説すると、弁軸ホルダ30をロータ51の外筒51bの下側開口を介して該ロータ51の内筒51aに近づけていくと(
図4(A)参照)、まず、弁軸ホルダ30の上端に設けられたテーパ面30aを含む部分(テーパ面部)が内筒51a内に内挿され(
図4(B)参照)、次いで、テーパ面30aに連設された平坦面30bを含む部分(平坦面部)が内筒51a内に内挿され(
図4(C)参照)、弁軸ホルダ30の平坦面30bとロータ51の受け面51dとが係合して、弁軸ホルダ30とロータ51との中心軸線と該中心軸線回りの角度位置とがおおよそ位置合わせされる。弁軸ホルダ30が内筒51a内に更に挿入されると、平坦面30bに突設された突条30cがその上端部に設けられたテーパ部30dから内筒51a内に内挿され(
図4(D)参照)、弁軸ホルダ30の突条30cとロータ51の縦溝51eとが係合して、弁軸ホルダ30とロータ51との中心軸線と該中心軸線回りの角度位置とが精緻に位置合わせされる。そして、弁軸ホルダ30が内筒51a内に更に挿入されると、弁軸ホルダ30の係止面30eとロータ51の下面とが当接して、弁軸ホルダ30によりロータ51が支持固定される。
【0028】
このように、弁軸ホルダ30の係止面30eとロータ51の下面とが当接し、弁軸ホルダ30の平坦面30bとロータ51の受け面51d及び弁軸ホルダ30の突条30cとロータ51の縦溝51eが係合することにより、前記弁軸ホルダ30は、前記ロータ51を前記キャン55内で支持しながら当該ロータ51とともに回転される。
【0029】
前記ロータ51及び弁軸ホルダ30の上側には、
図1に示すように、弁軸ホルダ30とロータ51との昇降方向における相対移動を防止する(言い換えれば、弁軸ホルダ30に対してロータ51を下方に押し付ける)とともに弁軸10と弁軸ホルダ30とを連結すべく、前記弁軸10(の上部小径部11)の上端部に圧入・溶接等により外嵌固定されたプッシュナット(固定部材)71と、該プッシュナット71とロータ51との間に介在された平板状部材からなるロータ押さえ72とから構成される抜け止め係止部材70が配在されている。すなわち、前記ロータ51は、圧縮コイルばね60の付勢力により上方に付勢される弁軸ホルダ30と前記ロータ押さえ72との間で挟持されている。なお、弁軸ホルダ30の上端から係止面30eまでの(上下方向の)高さは、ロータ51の内筒51aの(上下方向の)高さと同じであり、弁軸ホルダ30(の天井部32)の上面は、前記ロータ押さえ72の下面(平坦面)と当接している。
【0030】
また、本実施形態では、前記ロータ押さえ72(の上面左半部)に、
図5を参照すればよく理解されるように、所定の厚さHの位置決め部73が一体に成形されると共に、その位置決め部73付きロータ押さえ72に、該位置決め部73により形成された段差(高さHの段差)を横切るように弁軸10の上端部が横方向にスライド自在に挿通される長穴74が形成されている。この位置決め部73付きロータ押さえ72は、
図1に示すように、当該ロータ押さえ72とプッシュナット71との間に位置決め部73が介装される、言い換えれば位置決め部73上にプッシュナット71が載置されるように配置され、これにより、弁体14が最下降位置(原点位置)にあるときに、位置決め部73の厚さH分だけ、前記弁体14と前記弁シート部46aとの間に間隙が形成される。
【0031】
前記位置決め部73付きロータ押さえ72による弁体14の原点位置(最下降位置)出し工程を、
図6を参照しながら詳説すると、まず、弁軸10、ガイドブッシュ20、圧縮コイルばね60、弁軸ホルダ30、ロータ51、固定ストッパ体24、弁本体40等を組み付けた状態で、ガイドブッシュ20の固定ねじ部23と弁軸ホルダ30の可動ねじ部33とからなるねじ送り機構28を利用して、前記弁軸ホルダ30、ロータ51、及び弁軸10を回転させながら下降させる。そして、弁軸10の下端部に設けられた弁体14が弁シート部46aに接当(着座)し、圧縮コイルばね60が若干圧縮され、かつ、弁軸ホルダ30の可動ストッパ体34とガイドブッシュ20に固定された固定ストッパ体24とが当接して、弁軸ホルダ30が最下降位置に配置された状態で、弁軸10の上端部に、ロータ押さえ72を嵌め込むと共にプッシュナット71を圧入・溶接等により外嵌固定する。このとき、プッシュナット71は、ロータ押さえ72の位置決め部73以外の部分上に載置された状態で固定する(着座状態、
図6(A)参照)。
【0032】
次いで、弁軸ホルダ30が最下降位置に配置されたままで、弁軸10を圧縮コイルばね60の付勢力に抗して引き上げ、長穴74に弁軸10の上端部が挿通された状態で位置決め部73付きロータ押さえ72を横方向(図中、右方)にスライドさせ、ロータ押さえ72とプッシュナット71との間に位置決め部73を介装させ、弁軸10に対する引き上げ力を開放すると、プッシュナット71はロータ押さえ72の位置決め部73上に配置され、弁軸10が弁本体40に対して前記位置決め部73の厚さH分だけ引き上げられ、これにより、前記弁体14と前記弁シート部46aとの間に、位置決め部73の厚さHに相当する間隙(昇降方向における寸法がHの間隙)が形成される(離間状態、
図6(B)参照)。
【0033】
なお、最終的に、プッシュナット71(の下端部)とロータ押さえ72の位置決め部73とを、溶接等により固着してもよい。
【0034】
これにより、弁体14が最下降位置(原点位置)にあるときに、弁体14と弁シート部46aとの間に、昇降方向における寸法が位置決め部73の厚さHに相当する間隙が形成されることとなる。
【0035】
また、前記弁軸10の上端部に固定された前記プッシュナット71には、動作時にガイドブッシュ20に対して弁軸ホルダ30が上方に移動し過ぎて、ガイドブッシュ20の固定ねじ部23と弁軸ホルダ30の可動ねじ部33との螺合が外れるのを防止すべく、弁軸ホルダ30をガイドブッシュ20側に付勢するコイルばねからなる復帰ばね75が外装されている。
【0036】
かかる構成の電動弁1では、ステータ52(のステータコイル52c)への通電励磁によってロータ51が回転せしめられると、それと一体に弁軸ホルダ30及び弁軸10が回転せしめられる。このとき、ガイドブッシュ20の固定ねじ部23と弁軸ホルダ30の可動ねじ部33とからなるねじ送り機構28により、弁軸10が弁体14を伴って昇降せしめられ、これによって、弁体14と弁シート部46aとの間の間隙(リフト量)が増減されて、冷媒等の流体の通過流量が調整される。また、弁軸ホルダ30の可動ストッパ体34とガイドブッシュ20に固定された固定ストッパ体24とが当接し、弁体14が最下降位置にあるときでも、弁体14と弁シート部46aとの間に間隙(閉弁時要求リフト量)が形成されるため、所定量の通過流量が確保される(
図7参照)。
【0037】
このように、本第1実施形態の電動弁1においては、ロータ押さえ72とプッシュナット71との間に、弁体14が最下降位置にあるときの弁体14と弁シート部46aとの間に形成される間隙の昇降方向における寸法に相当する厚さの位置決め部73が介装されるとともに、下部ストッパ機構29により弁軸ホルダ30が最下降位置にあるときに、プッシュナット71がロータ押さえ72上に配置されると、弁体14が弁シート部46aに接当する着座状態と、弁軸10が圧縮コイルばね60の付勢力に抗して引き上げられてロータ押さえ72とプッシュナット71との間に前記位置決め部73が介装されると、弁軸10が弁本体40に対して位置決め部73の厚さ分だけ引き上げられ、弁体14と弁シート部46aとの間に前記間隙が形成される離間状態とをとり得るように、各部が設計されており、ロータ押さえ72とプッシュナット71との間に前記位置決め部73が介装されることにより、弁体14の最下降位置、言い換えれば弁体14が最下降位置にあるときの弁体14と弁シート部46aとの間の間隙が規定される。すなわち、原点位置における弁体14と弁シート部46aとの間の間隙の寸法精度が、一定の厚さで形成された位置決め部73の部品精度に依存することとなるため、前記間隙の寸法ばらつきを抑えることができ、もって、低流量域における流体(冷媒)流量の制御性を向上させることができる。
【0038】
また、ロータ押さえ72と位置決め部73とが一体に形成されるとことにより、部品点数の増加を防ぐこともできる。
【0039】
[第2実施形態]
図8は、本発明に係る電動弁の第2実施形態を示す縦断面図である。
【0040】
本第2実施形態の電動弁1Aと上記第1実施形態における電動弁1との相違点は、ロータ押さえ及び位置決め部の構成のみである。そのため、ロータ押さえ及び位置決め部の構成についてのみ詳細に説明し、
図1に示した電動弁1と同じ構成については、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。なお、本実施形態の電動弁1Aの動作も上記第1実施形態における電動弁1と同様である。
【0041】
図示実施形態の電動弁1Aでは、ロータ押さえ72Aと位置決め部73Aとが別体に形成されており、前記ロータ押さえ72Aに、弁軸10A(の上部小径部11A)の上端部が挿通される丸穴74Aが穿設され、前記位置決め部73Aに、前記弁軸10A(の上部小径部11A)の上端部が横方向にスライド自在に嵌挿される切欠き(一端が開放した切欠き)76Aが形成されている(特に、
図9参照)。すなわち、本実施形態では、前記位置決め部73Aは、平面視で略C字状を有する平板状部材から構成されており、
図8に示すように、ロータ押さえ72Aとプッシュナット71Aとの間にその位置決め部73Aが介装され、これにより、弁体14Aが最下降位置(原点位置)にあるときに、その位置決め部73Aの厚さHA分だけ、弁体14Aと弁シート部46aAとの間に間隙が形成される。
【0042】
前記位置決め部73Aによる弁体14Aの原点位置(最下降位置)出し工程を、
図10を参照しながら詳説すると、まず、弁軸10A、ガイドブッシュ20A、圧縮コイルばね60A、弁軸ホルダ30A、ロータ51A、固定ストッパ体24A、弁本体40A等を組み付けた状態で、ガイドブッシュ20Aの固定ねじ部23Aと弁軸ホルダ30Aの可動ねじ部33Aとならなるねじ送り機構28Aを利用して、前記弁軸ホルダ30A、ロータ51A、及び弁軸10Aを回転させながら下降させる。そして、弁軸10Aの下端部に設けられた弁体14Aが弁シート部46aAに接当(着座)し、圧縮コイルばね60Aが若干圧縮され、かつ、弁軸ホルダ30Aの可動ストッパ体34Aとガイドブッシュ20Aに固定された固定ストッパ体24Aとが当接して、弁軸ホルダ30Aが最下降位置に配置された状態で、弁軸10Aの上端部に、ロータ押さえ72Aを嵌め込むと共にプッシュナット71Aを圧入・溶接等により外嵌固定する。このとき、プッシュナット71Aは、ロータ押さえ72A上に載置された状態で固定される(着座状態、
図10(A)参照)。
【0043】
次いで、弁軸ホルダ30Aが最下降位置に配置されたままで、弁軸10Aを圧縮コイルばね60Aの付勢力に抗して引き上げ、切欠き76Aに弁軸10Aの上端部が嵌挿されるように位置決め部73Aを横方向(図中、左方)にスライドさせながらロータ押さえ72Aとプッシュナット71Aとの間に介装させ、弁軸10Aに対する引き上げ力を開放すると、プッシュナット71Aは位置決め部73A上に配置され、弁軸10Aが弁本体40Aに対して前記位置決め部73Aの厚さHA分だけ引き上げられ、これにより、前記弁体14Aと前記弁シート部46aAとの間に、位置決め部73Aの厚さHAに相当する間隙(昇降方向における寸法がHAの間隙)が形成される(離間状態、
図10(B)参照)。
【0044】
なお、最終的に、ロータ押さえ72Aと位置決め部73A及びプッシュナット71A(の下端部)と位置決め部73Aを、溶接等により固着してもよい。
【0045】
これにより、弁体14Aが最下降位置(原点位置)にあるときに、弁体14Aと弁シート部46aAとの間に、昇降方向における寸法が位置決め部73Aの厚さHAに相当する間隙が形成されることとなる。
【0046】
このように、本第2実施形態の電動弁1Aにおいては、ロータ押さえ72Aと位置決め部73Aとが別体に形成され、当該位置決め部73Aが平板状部材から構成されることにより、当該位置決め部73Aの部品精度を更に高められるため、前記間隙の寸法ばらつきをより効果的に抑えることができる。