(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照してこの発明に係る第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の電源制御装置10が適用された電源制御システム4の構成例を示す図である。
電源制御システム4は、電源制御装置10およびシステムコントローラ11を備える。
電源制御装置10は、船舶、潜水艦等の洋上移動体または車両等の移動体の動力源として使用され得る。また、電源制御装置10は、充電時に充電装置30に接続されることによって、充電装置30から供給される電力を使用して充電され得る。また、電源制御装置10は、移動体の内部に設けられるモータ、照明、空調設備等のような負荷装置40と接続しており、充電した電力を負荷装置40に供給する。このように、電源制御装置10は、移動体の移動のためのエネルギー源として使用される。
【0017】
まず、電源制御装置10内の構成について説明する。電源制御装置10は、二次電池群13−1,13−2,・・・,13−N、二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−N、リレー装置15−1,15−2,・・・,15−N、および緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nを備える。
【0018】
また、電源制御装置10は、各二次電池監視制御装置14と、各二次電池監視制御装置14によって監視制御される各二次電池群13と、各リレー装置15、および各緊急発進検出装置16から構成される複数のユニットを、並列的に接続することによって構成してなる。例えば、二次電池監視制御装置14−1と、二次電池監視制御装置14−1によって監視制御される二次電池群13−1と、リレー装置15−1、および緊急発進検出装置16−1が1つのユニットとして構成してなる。
【0019】
なお、
図1では、代表的に、N個のユニット、すなわちN個の二次電池群13−1,13−2,・・・,13−N、N個の二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−N、N個のリレー装置15−1,15−2,・・・,15−N、およびN個の緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nを示している。
【0020】
さらに、二次電池群13−1,13−2,・・・,13−Nの各々は、直列接続されたM個の二次電池20−K−1,20−K−2,・・・,20−K−Mと、各二次電池20−K−1,20−K−2,・・・,20−K−Mそれぞれに設けられたM個のモニタ装置21−K−1,21−K−2,・・・,21−K−Mとを備えてなる。なお、NおよびMは、1以上の整数であり、NとMとは等しくてもよい。Kは、1以上N以下の整数である。
【0021】
また、二次電池20−K−1,20−K−2,・・・,20−K−Mの各々は、直列に接続された複数の電池セル(図示せず)を内部に備えてなる。また、二次電池20−K−1,20−K−2,・・・,20−K−Mの各々は、移動体を高速に移動させることためのリチウムイオン電池等の高出力可能な二次電池である。
【0022】
モニタ装置21−K−1,21−K−2,・・・,21−K−Mの各々は、対応する二次電池20−K−1,20−K−2,・・・,20−K−Mに付随して設けられており、対応する電池セルの電圧や温度等を計測する。モニタ装置21−K−1,21−K−2,・・・,21−K−Mの各々は、計測された電池セルの電圧や温度等を定周期で、対応する二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nに送信する。
【0023】
また、電源制御装置10は、各ユニットの前段に、対応する二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nによる制御に応じて、後述する充電装置30と、各ユニットとを接続/切断するためのリレー装置15−1,15−2,・・・,15−Nを設けている。
【0024】
以下、二次電池群13−1を有するユニットについて説明するが、二次電池群13−2,・・・,13−Nを有する各ユニットについても同様に説明することができる。
【0025】
二次電池監視制御装置14−1は、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mの監視制御を行う。二次電池監視制御装置14−1は、移動体の移動速度または移動速度の継続時間に基づき検出される移動体の緊急発進に応じて、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mのうちの少なくとも1つに対する監視電圧を変化させる。なお、以下に記載する緊急発進は、移動体の緊急発進を意味する。
【0026】
また、二次電池監視制御装置14−1は、移動体の移動速度または移動速度の継続時間に基づき検出される緊急発進に応じて、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mに対する監視電圧を変化させるとともに、緊急発進が検出されたことをシステムコントローラ11に通知する。
【0027】
監視電圧は、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mのうちの少なくとも1つが過放電であることを示す過放電判定電圧、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mのうちの少なくとも1つが完放電であることを示す放電停止判定電圧、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mのうちの少なくとも1つが過充電であることを示す過充電判定電圧、または、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mのうちの少なくとも1つが完充電であることを示す充電停止判定電圧を含む。以下、過放電判定電圧、放電停止判定電圧、過充電判定電圧、および、充電停止判定電圧をまとめて電池保護判定電圧と称す。
【0028】
具体的には、二次電池監視制御装置14−1は、モニタ装置21−1−1,21−1−2,・・・,21−1−Mから受信した電池セルの電圧値と電池保護判定電圧値の何れかとを比較する。そして、受信した電池セルの電圧値が過充電判定電圧値または充電停止判定電圧値を超過している場合または受信した電池セルの電圧値が過放電判定電圧値未満または放電停止判定電圧値未満である場合、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mの状態が危険な状態または過度の性能劣化を招く恐れがある状態であるため、このような危険な状態を回避するためにまたは過度の性能劣化を防ぐために、リレー装置15−1を開放するための制御を行うことによって、負荷装置40への電力供給ラインを切断する。
【0029】
また、二次電池監視制御装置14−1は、例えば、負荷装置40への電力供給ラインを切断するとともに、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mの充電または放電を停止させることをシステムコントローラ11に通知する。
【0030】
また、二次電池監視制御装置14−1は、モニタ装置21−1−1,21−1−2,・・・,21−1−Mの各々から受信した電池セルの電圧や温度等に基づいて、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mの全体の監視制御を行うとともに、モニタ装置21−1−1,21−1−2,・・・,21−1−Mの各々から受信した電池セルの電圧や温度等のうちの何れかを定周期でシステムコントローラ11に送信する。
【0031】
リレー装置15−1は、二次電池監視制御装置14−1からの通知に基づいて、充電装置30から二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mへの充電のための電力供給ライン、および、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mから負荷装置40への電力供給ラインを開放または切断する。このように、電力供給ラインを開放または切断することによって、電源制御装置10を強制的に保護する。
【0032】
緊急発進検出装置16−1は、加速度センサ17−1を備える。加速度センサ17−1は、移動体の移動速度または移動加速度を計測する。緊急発進検出装置16−1は、加速度センサ17−1によって計測された移動体の移動速度または移動加速度、あるいは、計測された移動速度または移動加速度の継続時間とのうちの少なくとも1つに基づき、緊急発進を検出する。
【0033】
また、緊急発進検出装置16−1は、二次電池監視制御装置14−1に接続されており、検出された緊急発進を示す情報を、例えば緊急発進検出信号として、二次電池監視制御装置14−1に通知する。
【0034】
システムコントローラ11は、電源制御装置10の全体の制御を行う。より詳細には、システムコントローラ11は、二次電池監視制御装置14−1に接続されており、緊急発進に応じて、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mに対する監視電圧を変化させるように二次電池監視制御装置14−1に指示する。
【0035】
充電装置30は、電源制御装置10を充電するために使用される。充電装置30は、例えば、移動体の内部に設けられる。また、充電装置30は、例えば、電源制御装置10の電圧、温度、エネルギー残量、故障状態等の電池の状態をシステムコントローラ11から例えば通信を行うことによって取得し、これら電池状態に基づいて、充電方式、充電レート等を決定する。充電方式は、例えば、定電流定電圧充電方式(CC−CV方式)、定電流充電方式、定電圧充電方式である。また、充電レートは、例えば、充電に使用する電流量のレートである。
【0036】
負荷装置40は、電源制御装置10の電力を使用する装置であり、上述したように、移動体の内部に設けられるモータ、照明、空調設備等である。
【0037】
なお、請求項において、移動体の動力源として使用される二次電池は、例えば、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mに対応する。二次電池の監視制御を行う二次電池監視制御装置は、例えば、二次電池監視制御装置14−1に対応する。
【0038】
ここで、
図2を参照して、電池保護判定電圧の一例について説明する。なお、
図2では、緊急発進が検出されていない場合における電池保護判定電圧値の一例を示している。また、以下、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Mを二次電池20と称する。また、モニタ装置21−1−1,21−1−2,・・・,21−1−Mをモニタ装置21と称す。
【0039】
過充電判定電圧値は、この値を越えて充電を継続した場合、二次電池20が発火や発煙する可能性がある電圧値、例えば3.0Vである。
充電停止判定電圧値は、二次電池20の性能として満充電であることを示す電圧値、例えば2.8Vである。
放電停止判定電圧値は、二次電池20の性能として完放電を示す電圧値であり、例えば1.8Vである。
過放電判定電圧値は、この値を越えて放電を継続すると二次電池20を過剰に劣化させる可能性がある電圧値、例えば1.5Vである。
【0040】
このように、過充電判定電圧値は、充電停止判定電圧値よりも大きいまたは等しい電圧値であればよい。また、放電停止判定電圧値は、充電停止判定電圧値よりも小さく、かつ、過放電判定電圧値よりも大きいまたは等しい電圧値であればよい。また、過放電判定電圧値は、放電停止判定電圧値よりも小さいまたは等しい電圧値であればよい。
【0041】
また、電池保護判定電圧に関する情報は、例えば、二次電池監視制御装置14−1によって保持される。
次に、
図3を参照して、二次電池監視制御装置14−1による二次電池20の監視制御処理シーケンスの一例について説明する。また、
図3に示す監視制御処理シーケンスは、過充電、過放電、充電停止、または放電停止を判定するための電圧判定処理シーケンスの一例でもある。電圧判定処理シーケンスは、例えば、二次電池20の電圧が電池保護判定電圧の何れかであるか否かを監視するためのシーケンスである。
【0042】
始めに、二次電池監視制御装置14−1によって、二次電池20の各電池セルの電圧に関する電圧情報がモニタ装置21−1から収集される(STEP10−1)。次に、収集された電圧情報のうち最大の電圧値が抽出される(STEP10−2)。また、収集された電圧情報のうち最小の電圧値が抽出される(STEP10−3)。
【0043】
次に、二次電池監視制御装置14−1によって、抽出された最大電圧値と過充電判定電圧値とが比較され、抽出された最大電圧値が過充電判定電圧値よりも大きいか否かが判定される(STEP10−4)。抽出された最大電圧値が過充電判定電圧値よりも大きい場合(STEP10−4:YES)、過大電圧を示す過大電圧信号がシステムコントローラ11に通知される(STEP10−5)。なお、システムコントローラ11は、過大電圧信号を受信した場合、充電装置30に対して充電を停止するための充電停止指令を通知してもよい。また、リレー装置15−1を開放するための制御が行われる(STEP10−6)。一方、抽出された最大電圧値が過充電判定電圧値よりも小さいまたは過充電判定電圧値に等しい場合(STEP10−4:NO)、STEP10−7に進む。
【0044】
次に、二次電池監視制御装置14−1によって、抽出された最小電圧値と過放電判定電圧値とが比較され、抽出された最小電圧値が過放電判定電圧値よりも小さいか否かが判定される(STEP10−7)。抽出された最小電圧値が過放電判定電圧値よりも小さい場合(STEP10−7:YES)、過小電圧を示す過小電圧信号がシステムコントローラ11に通知される(STEP10−8)。なお、システムコントローラ11は、過小電圧信号を受信した場合、負荷装置40に対して放電を停止するための放電停止指令を通知してもよい。また、リレー装置15−1を開放するための制御が行われる(STEP10−9)。一方、抽出された最小電圧値が過放電判定電圧値よりも大きいまたは過放電判定電圧値に等しい場合(STEP10−7:NO)、STEP10−10に進む。
【0045】
次に、二次電池監視制御装置14−1によって、抽出された最大電圧値と充電停止判定電圧値とが比較され、抽出された最大電圧値が充電停止判定電圧値よりも大きいか否かが判定される(STEP10−10)。抽出された最大電圧値が充電停止判定電圧値よりも大きい場合(STEP10−10:YES)、充電を停止させための充電停止信号がシステムコントローラ11に通知される(STEP10−11)。そして、システムコントローラ11は、充電停止信号を受信した場合、充電装置30に対して充電を停止するための充電停止指令を通知する。一方、抽出された最大電圧値が充電停止判定電圧値よりも小さいまたは充電停止判定電圧値に等しい場合(STEP10−10:NO)、STEP10−12に進む。
【0046】
次に、二次電池監視制御装置14−1によって、抽出された最小電圧値と放電停止判定電圧値とが比較され、抽出された最小電圧値が放電停止判定電圧値よりも小さいか否かが判定される(STEP10−12)。抽出された最小電圧値が放電停止判定電圧値よりも小さい場合(STEP10−12:YES)、放電を停止させための放電停止信号がシステムコントローラ11に通知される(STEP10−13)。そして、システムコントローラ11は、放電停止信号を受信した場合、負荷装置40に対して放電を停止するための放電停止指令を通知する。一方、抽出された最小電圧値が放電停止判定電圧値よりも大きいまたは放電停止判定電圧値に等しい場合(STEP10−12:NO)、STEP10−1に戻る。
【0047】
なお、二次電池監視制御装置14−1は、充電に関する判定を行う充電判定モードと放電に関する判定を行う放電判定モードを切替えて
図3に示すような処理を行う場合、例えば、充電判定モードではSTEP10−7またはSTEP10−12の処理を行わなくてもよいし、一方、放電判定モードではSTEP10−4またはSTEP10−10の処理を行わなくてもよい。
【0048】
次に、
図4を参照して、緊急発進検出装置16−1によって判定される緊急発進検出処理シーケンスの一例について説明する。
まず、システムコントローラ11等によって緊急発進検出処理の開始を指示されることによって緊急発進検出処理が開始されると、加速度センサ17−1を用いて、移動体の移動速度が計測される(STEP20−1)。次に、計測された移動速度が緊急発進判定速度よりも大きいか否かが判定される(STEP20−2)。なお、緊急発進判定速度は、例えば、移動体または電源制御装置11等の性能に応じて緊急発進検出装置16−1に予め設定される速度であり、緊急発進を判定するために閾値として使用される速度でもある。
【0049】
計測された移動速度が緊急発進判定速度よりも大きい場合(STEP20−2:YES)、緊急発進判定速度よりも大きい移動速度が継続して検出されている時間がカウントアップされる(STEP20−3)。そして、STEP20−5に進む。
【0050】
一方、計測された移動速度が緊急発進判定速度よりも小さいまたは緊急発進判定速度に等しい場合(STEP20−2:NO)、緊急発進判定速度よりも大きい移動速度が継続して検出されている時間がクリアされる(STEP20−4)。そして、緊急発進が検出されなかった、すなわち緊急発進未検出、と判定される(STEP20−7)。
【0051】
STEP20−3の後、STEP20−3でカウントアップされた時間が継続判定時間よりも長いか否か判定される(STEP20−5)。なお、継続判定時間は、例えば、移動体または電源制御装置11等の性能に応じて緊急発進検出装置16−1に予め設定可能な所定の時間である。カウントアップされた時間が継続判定時間よりも長い場合(STEP20−5:YES)、緊急発進が検出されたと判定される(STEP20−6)。一方、カウントアップされた時間が継続判定時間よりも短いまたは継続判定時間に等しい場合(STEP20−5:NO)、緊急発進が検出されなかったと判定される(STEP20−7)。
【0052】
このように、
図4に示すように、移動体の移動速度が継続判定時間を超過する状態が一定時間継続した場合、緊急発進であると判定される。なお、
図4に示す緊急発進検出処理は一定の周期で繰り返し行われ得る。
【0053】
次に、
図5を参照して、緊急発進検出装置16−1によって判定される緊急発進検出処理シーケンスの他の例について説明する。なお、
図4と同様の内容および処理については説明を省略する。
【0054】
まず、システムコントローラ11等によって緊急発進検出処理の開始を指示されることによって緊急発進検出処理が開始されると、加速度センサ17−1を用いて、移動体の移動速度および移動加速度が計測される(STEP30−1)。次に、計測された移動加速度が緊急発進判定加速度よりも大きいか否かが判定される(STEP30−2)。なお、緊急発進判定加速度は、例えば、移動体または電源制御装置11等の性能に応じて緊急発進検出装置16−1に予め設定される加速度であり、緊急発進を判定するために閾値として使用される加速度でもある。
【0055】
計測された移動加速度が緊急発進判定加速度よりも大きい場合(STEP30−2:YES)、緊急発進判定加速度よりも大きい加速度が継続して検出されている時間がカウントアップされる(STEP30−3)。そして、STEP30−5に進む。
【0056】
一方、計測された移動加速度が緊急発進判定加速度よりも小さいまたは緊急発進判定加速度に等しい場合(STEP30−2:NO)、緊急発進判定加速度よりも大きい加速度が継続して検出されている時間がクリアされる(STEP30−4)。そして、緊急発進が検出されなかった、すなわち緊急発進未検出、と判定される(STEP30−8)。
【0057】
STEP30−3の後、STEP30−3でカウントアップされた時間が継続判定時間よりも長いか否か判定される(STEP30−5)。なお、
図4を参照して上述した継続判定時間と
図5における継続判定時間は、必ずしも同じでなくてもよい。
【0058】
次に、カウントアップされた時間が継続判定時間よりも長い場合(STEP30−5:YES)、STEP30−1において計測された速度が緊急発進判定速度よりも大きいか否かが判定される(STEP30−6)。計測された速度が緊急発進判定速度よりも大きい場合(STEP30−6:YES)、緊急発進が検出されたと判定される(STEP30−7)。一方、計測された速度が緊急発進判定速度よりも小さいまたは緊急発進判定速度に等しい場合(STEP30−6:NO)、または、カウントアップされた時間が継続判定時間よりも短いまたは継続判定時間に等しい場合(STEP30−5:NO)、緊急発進が検出されなかったと判定される(STEP30−8)。
【0059】
このように、
図5に示すように、加速度と速度とを組み合わせて緊急発進が検出される。
なお、STEP30−1において移動速度を計測しない場合、計測された移動加速度のみを用いて緊急発進を検出してもよい。この場合、例えば、STEP30−6の処理を行うことなく、カウントアップされた時間が継続判定時間よりも長い場合(STEP30−5:YES)、緊急発進が検出されたと判定される(STEP30−7)。
【0060】
また、STEP20−1またはSTEP30−1において、加速度センサ17−1の代わりに速度センサ(図示せず)を用いて、移動体の移動速度または移動加速度を計測してもよい。
【0061】
次に、
図6を参照して、緊急発進が検出された場合における電池保護判定電圧の変更例について説明する。
電源制御装置10は、緊急発進を検出した場合、例えばSTEP20−6またはSTEP30−7において緊急発進が検出された場合、
図1の電源制御装置10が適用される移動体が可能な限り高速度で可能な限り遠くに移動することを優先的に行うために、放電方向の電池保護判定電圧値を緩和するための処理を行う。
【0062】
具体的には、二次電池監視制御装置14−1は、緊急発進検出装置16−1によって緊急発進が検出され、緊急発進検出装置16−1から送信された緊急発進検出信号を受信した場合、放電方向の電池保護判定電圧値である放電停止判定電圧値または過放電判定電圧値を変更する。
【0063】
例えば、
図6に示すように、二次電池監視制御装置14−1は、放電停止判定電圧値および過放電判定電圧値が、最下限値である0Vまで下げるための制御を行う。換言すると、放電停止に関する判定および過放電に関する判定が行われないように制御を行う。なお、放電停止判定電圧値および過放電判定電圧値の何れか1つを最下限値まで下げるようにしてもよい。
【0064】
一方、過充電判定電圧値および充電停止判定電圧値は放電方向の電池保護判定電圧値ではないため、二次電池監視制御装置14−1は、過充電判定電圧値および充電停止判定電圧値を、
図2に示すような過充電判定電圧値および充電停止判定電圧値から変更しないように制御を行う。
【0065】
これらの第1の実施形態によれば、移動体が緊急発進した場合、二次電池を用いて、可能な限り高速度でまたは可能な限り遠方まで移動体を移動させることを優先的に行うことが可能となる。
【0066】
また、電池保護判定電圧は電池セルの特性によって決定されるものであるが、二次電池20を利用して緊急発進等を行う移動体では、移動体による二次電池20の使用状況、例えば緊急発進状態、に応じて、電池保護判定電圧値を変化させることによって、その可用性を高めることが可能となる。
【0067】
また、緊急発進検出装置16は、加速度センサ17から出力される情報に基づき、二次電池の使用状態を判断することが可能となる。
【0068】
また、加速度センサ17によって計測される移動速度または移動加速度が緊急発進判定速度を超過する状態が一定時間以上継続した場合、緊急発進と判定することが可能となる。
【0069】
また、
図5に示すように、移動速度と移動加速度を組み合わせて緊急発進を検出することによって、移動速度または移動加速度の何れか1つを用いて緊急発進を検出した場合よりも、高精度に緊急発進を検出することが可能となる。
【0070】
次に、
図7を参照して、第1の実施形態の電源制御装置10が適用された電源制御システム4の他の構成例について説明する。なお、
図1と同様の内容については、説明を省略する。
【0071】
図1では、緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nの各々が二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・14−Nそれぞれに接続されているが、
図7では、緊急発進検出装置16がシステムコントローラ11に接続されている。これに伴い、電源制御装置10は、各二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・14−N毎に緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nを備えていなくてもよい。
【0072】
緊急発進検出装置16は、緊急発進を検出した場合、緊急発進検出信号を、システムコントローラ11を介して二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nの各々に通知する。
【0073】
また、電源制御システム4の用途または緊急発進の検出の重要度に応じて、
図1に示す電源制御システム4の構成と
図7に示す電源制御システム4の構成が予め選択されていてもよい。例えば、緊急発進の検出が他の制御よりも重要である場合、複数の緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nを備えている
図1の構成が選択される。
【0074】
このように、緊急発進検出装置16をシステムコントローラ11に接続するように構成することによって、二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nの各々に緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nを備える必要はなくなるので、電源制御システム4に関する全体の装置コストを抑えることが可能としつつ、前述したような、移動体が緊急発進した場合、二次電池を用いて、可能な限り高速度でまたは可能な限り遠方まで移動体を移動させることを優先的に行うことが可能となる。
(第2の実施形態)
以下、
図8乃至
図12を参照してこの発明に係る第2の実施形態を説明する。
なお、以下では、第1の実施形態において示した構成と異なる部分を中心に説明する。そのため、第1の実施形態と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0075】
まず、第2の実施形態の概要について説明する。前述したように充電装置30は移動体内に設置されている。また、ここでは、充電装置30としてディーゼル発電機を使用する場合を想定しており、ディーゼル発電機を使用して発電しその電力で充電する場合、大気の取り込みおよび排出が必要である。そのため、例えば、潜水艦のように大気の取り込みおよび排出を常にできる訳ではないような場合、海上においてこのような充電に必要な動作を行う。しかしながら、地理的に安全な場所から遠方の場所において充電を行う場合、移動体の安全を確保するために、可能な限り短時間で充電を完了させる必要がある。
【0076】
このような事情に対処すべく、第2の実施形態の電源制御装置100が適用された電源制御システム4の構成例について
図8を参照して説明する。
本実施形態の電源制御装置100は、第1の実施形態の電源制御装置10に設けられた緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nの代わりに、安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nを備える。
【0077】
さらに、安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nの各々は、対応するGPS25−1,25−2,・・・,25−N、対応する加速度センサ17−1,17−2,・・・,17−N、および、対応する安全度マップ26−1,26−2,・・・、26−Nを備えてなる。
【0078】
また、第2の実施形態では、例えば、二次電池監視制御装置14−1と、二次電池群13−1と、リレー装置15−1、および安全度判定装置18−1を1つのユニットとして構成してなる。なお、以下、二次電池群13−1を有するユニットについて説明するが、二次電池群13−2,・・・,13−Nを有する各ユニットについても同様に説明することができる。
【0079】
安全度判定装置18−1は、移動体の位置情報に基づいて、移動体が存在する場所に応じて移動体が安全であるか否かを示す指標である安全度を判定する。より詳細には、GPS25−1または加速センサ17−1を用いて、移動体の位置情報を取得する。取得される位置情報は、例えば、北緯X度、東経Y度などの地理的な絶対位置に関する情報を含む。
【0080】
また、安全度判定装置18−1は、移動体の現在位置と安全度が高い場所までの距離とに基づいて、安全度を判定する。また、安全度判定装置18−1は、移動体の現在位置と安全度との対応付けが定義された安全度マップに基づいて、安全度を判定する。
【0081】
また、二次電池監視制御装置14−1は、安全度判定装置18−1によって判定された安全度に応じて、二次電池20−1−1,20−1−2,・・・,20−1−Nに対する監視電圧を変化させるとともに、安全度判定装置18によって判定された安全度をシステムコントローラ11に通知する。
【0082】
具体的には、安全度判定装置18−1は、移動体が陸上または海上等を移動している場合、GPS25−1を用いて絶対位置を取得する。一方、潜水艦のように潜航する場合、GPS25−1の代わりに加速度センサ17−1を用いて取得される移動速度に関する情報に基づき、移動体の移動方向または移動距離を算出する。そして、算出された移動方向または移動距離に基づき、移動体の現在の位置情報を算出する。
【0083】
そして、安全度判定装置18−1は、算出された移動体の現在の位置情報に基づき、移動体の安全度を算出する。また、算出された安全度に関する情報を二次電池監視制御装置14−1に送信する。
【0084】
なお、安全度は、例えば、危険または安全という2値で表現してもよいし、安全度1、安全度2、または安全度3のような複数のレベルで表現してもよい。
【0085】
次に、
図9および
図10を参照して、安全度の判定方法の一例について説明する。
図9に示すように、安全度は、移動体の現在位置から安全な場所までの距離(以下、「安全度判定距離」と称す。)に基づいて判定される。具体的には、安全度判定距離が20kmよりも短い場合、安全度は、非常に安全であることを意味する安全度1であると判定される。同様に、安全度判定距離が20kmから100kmである場合、安全度は、やや安全であることを意味する安全度2であると判定される。また、安全度判定距離が100kmよりも長い場合、安全度は、安全でないことを意味する安全度3であると判定される。
【0086】
このように、安全度は、安全度判定距離が長くなるにつれて、安全ではない場所であると判定される。
【0087】
なお、安全度判定距離は、移動体の現在位置から安全な場所までの直線距離でなくてもよい。例えば、安全度判定距離は、移動体が移動体の現在位置から安全な場所まで移動する移動距離、換言すると、移動体が安全な場所に戻るまでの距離、でもよい。
【0088】
また、安全な場所の定義について、例えば、安全な場所が所定の範囲を有する安全なエリアである場合、安全な場所を、移動体の現在位置から安全なエリアまでの距離が最も短い距離となるような地点と定義してもよいし、安全なエリア内に存在する移動体を充電するための充電設備が存在する地点と定義してもよい。
【0089】
次に、
図10を参照して、安全度に応じた充電停止判定電圧値の変更例について説明する。
図10は、安全度に対する充電停止判定電圧値の変換テーブルの一例である。
二次電池監視制御装置14−1は、安全度判定装置18−1から受信した安全度に関する情報に基づき、充電停止判定電圧値または過充電判定電圧値を変化させる。例えば、安全度に応じて、充電停止判定電圧値を、
図10に示すような変換テーブルによって定義された充電停止判定電圧値に変化させる。
【0090】
具体的には、安全度1は非常に安全な場所であるため、二次電池の性能に応じて、充電停止判定電圧値が決定される。したがって、安全度1では、充電停止判定電圧値は、
図2に示す2.8Vから変更されない。
【0091】
安全度2はやや安全な場所であるため、充電時間を例えば10%低減するように、充電停止判定電圧値が決定される。したがって、安全度2では、充電停止判定電圧値は、安全度1における値よりも小さい値である例えば2.6Vに変更される。
【0092】
安全度3は安全ではない場所であるため、充電時間を例えば30%低減するように、充電停止判定電圧値が決定される。したがって、安全度3では、充電停止判定電圧値は、安全度2における値よりも小さい値である例えば2.4Vに変更される。
【0093】
なお、
図10では、充電停止判定電圧値について説明したが、充電停止判定電圧値の代わりに過充電判定電圧値を変更してもよい。
【0094】
次に、
図11を参照して、安全度マップ110を用いた安全度の判定について説明する。
安全度マップ110は、地理的位置と安全度の関係を示している。また、安全度マップ110は、安全な場所からの距離、安全ではない場所からの距離、安全な場所の所有者と安全ではない場所の所有者との関係、安全ではない場所の所有者が保有する移動体の性能、等に基づいて生成される。安全な場所の所有者と安全ではない場所の所有者との関係は、例えば、安全な場所の所有者と安全ではない場所の所有者との友好関係である。例えば、安全な場所が自国領土、安全ではない場所が他国領土である場合、自国と当該他国との友好関係となる。
【0095】
具体的には、
図11は陸地Aが安全な場所であり、陸地Bまたは陸地Cが安全ではない場所である場合を示しており、例えば、安全度1は安全度マップ110の安全度1で示されるエリアに対応し、安全度2は安全度マップ110の安全度2で示されるエリアに対応し、安全度3は安全度マップ110の安全度3で示されるエリアに対応している。
【0096】
このように、安全度マップ110は、例えば、陸地Aから陸地Bまたは陸地Cへの方向の距離に応じて安全度のレベルが変わるように生成されている。また、安全度マップ110は、陸地Aと陸地Bまたは陸地Cとを結ぶ曲線に対して、一定の割合で安全度のレベルが割り当てられるように生成されている。また、この一定の割合に関して、陸地Aの所有者と陸地Bまたは陸地Cの所有者との友好関係が良好な場合、安全度レベル3に対する割合が小さくなるように生成してもよい。
【0097】
これらの第2の実施形態によれば、第1の実施形態において前述したようなことに加えて、潜水艦のような移動体が洋上において充電を行っており再び潜航することが重要とされるような場合でも、充電が完了するまでの時間を低減することが可能となり、移動体の安全な移動が可能となる。
【0098】
次に、
図12を参照して、第2の実施形態の電源制御装置100が適用された電源制御システム4の変形例である他の構成例について説明する。なお、
図8と同様の内容については、説明を省略する。
【0099】
図8では、安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nの各々が二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・14−Nそれぞれに接続されているが、
図12では、安全度判定装置18がシステムコントローラ11に接続されている。これに伴い、電源制御装置100は、各二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・14−N毎に安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nを備えていなくてもよい。
【0100】
安全度判定装置18は、安全度を判定した場合、安全度に関する安全度情報を、システムコントローラ11を介して二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nの各々に通知する。換言すると、システムコントローラ11は、安全度判定装置18によって判定された安全度に応じて対応する二次電池に対する監視電圧を変化させるように、二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nの各々に指示する。
【0101】
また、電源制御システム4の用途または安全度の判定の重要度に応じて、
図8に示す電源制御システム4の構成と
図12に示す電源制御システム4の構成が予め選択されていてもよい。例えば、安全度の判定が他の制御よりも重要である場合、複数の安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nを備えている
図8の構成が選択される。
【0102】
このように、第2の実施形態の変形例によれば、安全度判定装置18をシステムコントローラ11に接続するように構成することによって、二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nの各々に安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nを備える必要はなくなるので、第2の実施形態で奏される作用効果を、電源制御システム4に関する全体の装置コストを抑えつつ可能とすることができる。
(第3の実施形態)
以下、
図13および
図14を参照してこの発明に係る第3の実施形態を説明する。
なお、以下では、第1の実施形態または第2の実施形態において示した構成と異なる部分を中心に説明する。そのため、第1の実施形態または第2の実施形態と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0103】
第3の実施形態では、緊急発進検出装置16と安全度判定装置18とを組み合わせて緊急発進を検出する。
【0104】
そのため、本実施形態の電源制御装置200は、
図13に示すように、第1の実施形態の電源制御装置10に設けられた緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nの各々に、安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nをさらに備える。
【0105】
また、第3の実施形態では、例えば、二次電池監視制御装置14−1と、二次電池群13−1と、リレー装置15−1、緊急発進検出装置16−1、および安全度判定装置18−1を1つのユニットとして構成してなる。なお、以下、二次電池群13−1を有するユニットについて説明するが、二次電池群13−2,・・・,13−Nを有する各ユニットについても同様に説明することができる。
【0106】
安全度判定装置18−1は、加速度センサ17−1−2を用いて安全度を判定する。緊急発進検出装置16−1は、安全度判定装置18−1によって判定された安全度に関する安全度情報を受信する。
【0107】
そして、緊急発進検出装置16−1は、安全度に基づき、所定の移動速度または所定の移動速度の継続時間を変更する。所定の移動速度または所定の移動速度の継続時間は、例えば、前述した緊急発進判定速度または移動速度の継続時間である。具体的には、受信された安全度情報に基づき、前述した緊急発進判定速度または移動速度の継続時間を変更する。緊急発進検出装置16−1は、変更された緊急発進判定速度または移動速度の継続時間に基づき、例えば、変更された緊急発進判定速度と、加速度センサ17−1−1によって計測された移動体の移動速度と、を比較することによって、緊急発進を検出する。なお、この場合、例えば
図4または
図5に示すような緊急発進の検出手順を用いて、緊急発進を検出する。
【0108】
そして、二次電池監視制御装置14−1は、緊急発進検出装置16−1から緊急発進検出信号を受信した場合、
図13の電源制御装置200が適用される移動体が可能な限り高速度で可能な限り遠くに移動することを優先的に行うために、放電方向の電池保護判定電圧値を緩和するための処理を行う。
【0109】
なお、緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nの各々に備えられている加速度センサ17−1−1,17−1−2,・・・,17−1−Nと、ユニット毎に対応する、安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nの各々に備えられている加速度センサ17−2−1,17−2−2,・・・,17−2−Nとは同様の機能を有している。そのため、例えば、安全度判定装置18−1が加速度センサ17−1−2を備えていなくてもよい。この場合、加速度センサ17−1−2によって行われる処理は、代わりに、加速度センサ17−1−1によって行われる。
【0110】
次に、
図14を参照して、安全度に応じた緊急発進判定速度等の変更例について説明する。
図14は、安全度に対する緊急発進判定速度等の変換テーブルの一例である。
緊急発進検出装置16−1は、受信された安全度情報に安全度1を示す情報が含まれていた場合、緊急発進判定速度を初期設定値である30ノットのまま変更しない、緊急発進判定加速度を初期設定値である0.20ノット/秒のまま変更しない、または、加速度センサ17−1−1によって計測される移動体の移動速度の継続時間または移動加速度の継続時間を初期設定値である180秒のまま変更しない。
【0111】
一方、緊急発進検出装置16−1は、受信された安全度情報に安全度2を示す情報が含まれていた場合、緊急発進判定速度を、例えば初期設定値である30ノットから20ノットに変更する、または、緊急発進判定加速度を、例えば初期設定値である0.20ノット/秒から0.15ノット/秒に変更する。なお、この場合、
図14に示すように、加速度センサ17−1−1によって計測される移動体の移動速度の継続時間または移動加速度の継続時間を初期設定値である180秒のまま変更しなくてもよいが、180秒から180秒よりも小さい値に変更してもよい。
【0112】
また、緊急発進検出装置16−1は、受信された安全度情報に安全度3を示す情報が含まれていた場合、緊急発進判定速度を、例えば初期設定値である30ノットから安全度2の場合よりも小さい15ノットに変更する、または、緊急発進判定加速度を、例えば初期設定値である0.20ノット/秒から安全度2の場合よりも小さい0.1ノット/秒に変更するが、または、加速度センサ17−1−1によって計測される移動体の移動速度の継続時間または移動加速度の継続時間を、例えば初期設定値である180秒から安全度1または安全度2よりも小さい60秒に変更する。
【0113】
これらの第3の実施形態によれば、第1の実施形態または第2の実施形態において前述したようなことに加えて、このように、安全度のレベル高くなるとともに緊急発進判定速度の値を小さくすることによって、速度に関してより広い範囲で緊急発進を検出することも可能となる。
【0114】
なお、図示していないが、
図7または
図12と同様に、電源制御装置200が適用された電源制御システム4を次のように構成してもよい。例えば、安全度判定装置18−1が接続されている緊急発進検出装置16−1をシステムコントローラ11に接続するように構成してもよい。これに伴い、電源制御装置200は、各二次電池監視制御装置14−2,・・・14−N毎に緊急発進検出装置16−2,・・・,16−Nおよび安全度判定装置18−2,・・・,18−Nを備えていなくてもよい。
【0115】
また、第1の実施形態の
図1の緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nの各々と二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nの各々とは、一体化されて構成してもよい。同様に、第2の実施形態の
図8の安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nの各々と二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nの各々とは、一体化されて構成してもよい。また、第3の実施形態の
図13の緊急発進検出装置16−1,16−2,・・・,16−Nの各々と、安全度判定装置18−1,18−2,・・・,18−Nの各々と、二次電池監視制御装置14−1,14−2,・・・,14−Nの各々とは、一体化されて構成してもよい。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。