特許第6552862号(P6552862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三洋スーパースタンド株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6552862-ペット用ケージ 図000002
  • 特許6552862-ペット用ケージ 図000003
  • 特許6552862-ペット用ケージ 図000004
  • 特許6552862-ペット用ケージ 図000005
  • 特許6552862-ペット用ケージ 図000006
  • 特許6552862-ペット用ケージ 図000007
  • 特許6552862-ペット用ケージ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552862
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ペット用ケージ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/035 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   A01K1/035 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-80292(P2015-80292)
(22)【出願日】2015年4月9日
(65)【公開番号】特開2016-198037(P2016-198037A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】593113422
【氏名又は名称】三洋スーパースタンド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】三浦 洋一
【審査官】 川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−276006(JP,A)
【文献】 実開昭56−098990(JP,U)
【文献】 特開2008−178299(JP,A)
【文献】 米国特許第06318295(US,B1)
【文献】 中国実用新案第201726732(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00− 3/00
A01K 15/02−15/04
A01K 29/00
A01K 31/00−31/24
E04H 17/18
E06B 1/00− 1/70
E06B 11/00−11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケージ本体の開口部の下側縁および上側縁にそれぞれレールを配設し、該レールに沿って水平方向に摺動可能なる摺動体を設け、扉の一側縁の下部および上部を該摺動体にそれぞれ軸支することにより該扉を前方へ回転可能に支持し、該扉を閉状態に保持する錠を備え、該錠を解錠し該扉を前記摺動体を支点として前方に回転させたうえで該扉を水平方向に動かすことで前記摺動体が前記レールに沿って摺動し、該扉が開かれるようにしたことを特徴とするペット用ケージ。
【請求項2】
前記扉の前方への回転可能な角度を制限する回転規制手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載したペット用ケージ。
【請求項3】
前記回転規制手段は、前記レールに第2の摺動体を設け、該第2摺動体と前記扉の軸支部付近とをリンクにより連節した構成であることを特徴とする請求項2に記載したペット用ケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬、猫等のペット(愛玩動物)を収納・展示するためペットショップ等に設置されるペット用ケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
犬、猫等のペットを収納・展示するためにペットショップ等に設置されるペット用ケージは、一般に前面または背面が開放面となっており、該開放面の一側縁に、板状、網格子状、或いはガラス板からなる扉が水平面内で回転自在なるように軸支され、該開放面の他側縁には錠が設けられ、該錠を開けて該扉を手前に引くことにより、ペットを出し入れできるように構成されている。
また、下記特許文献1、2に示されたペット用ケージでは、開放面に一対の扉が観音開き式に設けられ、該扉を閉状態にロックする閂錠が備えられている。
【特許文献1】特開平10−246151号公報
【特許文献2】特開2008−178299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ペットショップでは多数のペット用ケージが縦横に隣り合って密に並べられるが、ペットを該ケージから出し入れするに際し、扉が従来のように水平面内で回転自在なるように軸支されていると、該扉を手前に引いたときに開口が一気に大きくなるので、その開口部からペットを外に逃がしてしまうおそれがあった。即ち、扉を手前に引く状態ではケージ内に手が未だ入れられないのでペットを手で捕まえておくことができず、ペットを逃がしてしまうおそれがあった。同様のことはケージ内にペットを入れようとする際にもあった。即ち、ペットをケージ内に入れて手を離してから素早く扉を締めないとペットを逃がしてしまうおそれがあった。また、こうした従来の扉は、開くと大きく前方に張り出すので、通路を邪魔することがあり、衝突事故を起こす危険があった。
なお、通路を邪魔しないようにするため引き戸のように横にスライドする扉を設けることも考えられたが、そうすると、扉を開けようとする際に該扉が横隣に設置されたケージに衝突することとなるので、横に扉を開けるためのスペースが必要になるといった問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るペット用ケージは上記課題を解決しようとするもので、ケージ本体の開口部の下側縁および上側縁にそれぞれレールを配設し、該レールに沿って水平方向に摺動可能なる摺動体を設け、扉の一側縁の下部および上部を該摺動体にそれぞれ軸支することにより該扉を前方へ回転可能に支持し、該扉を閉状態に保持する錠を備え、該錠を解錠し該扉を前記摺動体を支点として前方に回転させたうえで該扉を水平方向に動かすことで前記摺動体が前記レールに沿って摺動し、該扉が開かれるようにしたことを特徴とする。
また本発明は、上記ペット用ケージにおいて、前記扉の前方への回転可能な角度を制限する回転規制手段を設けたことを特徴とする。
また本発明は、上記ペット用ケージにおける回転規制手段は、前記レールに第2の摺動体を設け、該第2摺動体と前記扉の軸支部付近とをリンクにより連節した構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係るペット用ケージでは、例えば同様のケージが横隣に並べられていても扉を衝突することなく開け閉めできるとともに、大きく前方へ張り出すことなく扉が開けられるので、事故のおそれなく、安全に使用できる。また、扉を摺動させることによりケージを常に適宜幅だけ開口できるので、ペットを出し入れする際に従来のようにペットを逃がしてしまうおそれがなく使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態を示したペット用ケージの扉閉止状態の正面図。
図2図1のペット用ケージの右側面図。
図3図1のA−A線断面図。
図4図1のB−B線断面図。
図5図1のC−C線断面図。
図6】本発明の実施形態を示したペット用ケージの扉開状態の要部の平面図。
図7】本発明の実施形態を示したペット用ケージの扉開状態の斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に本発明の実施形態を図面に従い説明する。ケージ本体1は、直方形に形成されたフレーム2に底板3、両側板4、背板5、天板6が固着され、前面の下縁部には一定幅の縁板7aが起立状に形成され、前面の上縁部には一定幅の縁板7bが垂下状に形成され、該縁板7aと縁板7bとの間が開口部8となる。そして、該開口部8の下側縁にチャンネル部材からなるレール9aをそのチャンネル開口側が上を向くように固着し、該開口部8の上側縁にチャンネル部材からなるレール9bをそのチャンネル開口側が下を向くように固着し、レール9aとレール9bが相対するように設けられる。なお、該各レール9a,9bの両端部には該各レール9a,9bの端部開口を塞ぐ軸状のストッパ9xが横断状に貫挿されている。
【0008】
そして、第1の摺動体10aと第2の摺動体11aを前記レール9aに沿って摺動自在なるように設け、第1の摺動体10bと第2の摺動体11bを前記レール9bに沿って摺動自在なるように設ける。第1の摺動体10a,10bは、レール9a,9bの外面に摺動可能に配置された軸受板12a,12bとレール9a,9b内に配設されたプラスチック等の滑り易い材料からなるブロック状のシュー13a,13bとをそれぞれ一体的に固着してなる。また、第2の摺動体11a,11bは、レール9a,9bの外面に摺動可能に配置された軸受板14a,14bとレール9a,9b内に配設されたプラスチック等の滑り易い材料からなるブロック状のシュー15a,15bとをそれぞれ一体的に固着してなる。
【0009】
扉16は長方形のフレーム17内に透明な板ガラス18が嵌められており、該扉16の一側縁の下部および上部に軸支部材19a,19bが固着され、該軸支部材19aに下方に向けて突設された支軸20aを前記軸受板12aに回転自在なるように貫挿し、該軸支部材19bに上方に向けて突設された支軸20bを前記軸受板12bに回転自在なるように貫挿することにより、該扉16は図6に矢印aで示したように該支軸20a,20bを支点として水平面内で前方に回転可能なるように支持される。
【0010】
次に、扉16の他側縁(自由端縁)に設けられた錠21を説明する。錠21は前記扉16の回転を制止することによりケージ本体1の開口部8を該扉16によって閉状態に保持するもので、鍵穴22が該扉16の前面に露呈するように設けられ、該鍵穴22に所定のキーを差し込んで回転することにより該扉16の内側に突設された鉤状の係合片23が回転する。そして、ケージ本体1の開口部8の内側縁の前記フレーム2の一部に縦長スリット状の係合孔24が形成され、鍵穴22にキーを差し込んで係合片23を回転させることにより、該係合片23が該係合孔24に嵌脱する構成である。なお、係合片23の基部はカバー25によって囲われていて、ペットが内部から回転操作できないようにしている。
【0011】
次に、前記扉16の前方への回転可能な角度を制限する回転規制手段を説明する。該回転規制手段は、前記レール9a,9bに設けられた第2の摺動体11a,11bと該扉16の軸支部付近とをリンク26a,26bにより連節する構成である。即ち、扉16の下側縁の下面にピン27aを固植し、前記摺動体11aの軸受板14aにピン28aを固植し、該ピン27aとピン28aにリンク26aの両端部を枢着するとともに、扉16の上側縁の上面にピン27bを固植し、前記摺動体11bの軸受板14bにピン28bを固植し、該ピン27bとピン28bにリンク26bの両端部を枢着してなる。
また、扉16の下側縁および上側縁のフレーム17の内面に板バネ29a,29bをそれぞれ内方に向けて突出するように固着し、該板バネ29aの先端部が前記縁板7aに弾性的に圧着し、該板バネ29bの先端部が前記縁板7bに弾性的に圧着し得るようにしている。
【0012】
このように構成したペット用ケージでは、錠21を解錠することで、扉16は前記摺動体11a,11bに貫挿された支軸20a,20bを支点として図6に矢印aで示したように前方に回転し得る。なお、該扉16の前方への回転可能な角度は前記リンク26a,26bによって一定以下に制限される。このためこの状態でペットが逃げ出すことはない。次いで扉16の前方への回転状態をこの程度に保ったまま、該扉16を図6の矢印bで示したように左方向、即ち、水平方向に動かすと、前記摺動体10a,10b、摺動体11a,11bはそれぞれレール9a,9bに沿って同図中左方向に摺動し、該扉16は2点鎖線で示したように移動する。このため、図7にも示したように開口部8がその移動距離に応じて大きくなり、ペットを出し入れできるようになる。
【0013】
なお、このように扉16は前方に回転させた状態でレール9a,9bに沿って水平に移動されるので、横隣に同様のケージ等が配置されていてもそのケージ等の物品に衝突することなく、該扉16を開けることができ、該扉16は開けた際に前方に大きく張り出すこともないので、通路を邪魔するおそれもなく安全に開閉できる。
また、扉16は必要に応じて適宜距離だけレール9a,9bに沿って水平に移動させられるので、ペットの大きさに従い開口幅を所望に調節することができる。このため出し入れ時にペットが逃げ出すことが防止されるとともに、使い勝手が向上する。
また、扉16を最大限横方向に動かすことで、ケージ本体1の前面を略々全幅にわたって広く開けることができるので、ケージ本体1内の隅々まで手が届き、掃除などの必要が生じたときに作業がし易くなる。
【0014】
なお、この実施形態では透明な板ガラス18を設けた扉16を示したが、通気性のある網格子状、柵状、或いはボード状の扉にしてもよい。
また、この実施形態ではケージ本体1の前面にのみ扉16を設けたが、ケージ本体1の背面や側面、或いは上面に同様の扉を設け、ペットを出し入れできるようにしてもよい。
また、図示していないが、前記摺動体10aと前記摺動体10bとは一体的に連結した構成とすることもでき、このように一体的な構成とすることによっては、該摺動体10a,10bのレール9a,9bに沿っての摺動が一層スムースになり得る。また、摺動体10a,10bに滑車を設け、該滑車が回転することで、摺動体10a,10bをレール9a,9bに沿って摺動させる構造としてもよい。摺動体11aと摺動体11bについても同様に一体的な構成としても、滑車を設けた構造としてもよい。
さらに、第1の摺動体10aと第2の摺動体11aとを一体の構造とし、第1の摺動体10bと第2の摺動体11bとを一体の構造とすることもできる。
【符号の説明】
【0015】
1 ケージ本体
8 開口部
9a,9b レール
10a,10b 第1の摺動体
11a,11b 第2の摺動体
16 扉
20a,20b 支軸
21 錠
26a,26b リンク
27a,28a,27b,28b ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7