特許第6552871号(P6552871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローランドディー.ジー.株式会社の特許一覧

特許6552871インクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造
<>
  • 特許6552871-インクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造 図000002
  • 特許6552871-インクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造 図000003
  • 特許6552871-インクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造 図000004
  • 特許6552871-インクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造 図000005
  • 特許6552871-インクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552871
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   B41J2/01 303
   B41J2/01 129
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-94363(P2015-94363)
(22)【出願日】2015年5月1日
(65)【公開番号】特開2016-210052(P2016-210052A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康弘
【審査官】 馬渕 貴洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−001329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0119664(US,A1)
【文献】 特開2009−291790(JP,A)
【文献】 特開2008−246825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 〜 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に沿って配置されるガイドレールに摺動可能に配置されるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造において、
副走査方向における背面側をガイドレールに摺動可能に配置され、副走査方向における前面側に係合手段を有する昇降機構と、
前記係合手段に取り外し自在に装着される板状体であるブラケットと
を有し、
前記ブラケットは、少なくとも、インクヘッドと紫外線照射ランプとを取り付けるための孔と、前記係合手段に係合可能な開口部とを配置可能な領域を有し、前記インクヘッドと前記紫外線照射ランプとを一体的に搭載しながら、前記開口部を介して前記係合手段に係合可能である
ことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造に関し、さらに詳細には、インクヘッドなどをキャリッジの片側に搭載して構成されるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造として、所謂、片持ち走査を行うキャリッジが知られている。
【0003】
ここで、従来のインクジェットプリンタにおいて、キャリッジは、インクヘッドや紫外線照射ランプなどを搭載して主走査方向に摺動しながらメディア上にインクを吐出して印刷を行う。そのため、キャリッジのインクヘッド等を搭載している面とは異なる面である副走査方向における背面側には、インクジェットプリンタ内部に主走査方向に延長して配設されるガイドレールに係合する係合手段が配置されている。
【0004】
なお、本明細書においては、印刷対象となるメディアの幅方向を「主走査方向」と適宜称することとし、メディアの長手方向を「副走査方向」と適宜称することとする。このメディアの幅方向たる主走査方向とメディアの長手方向たる副走査方向とは、互いに直交するものである。
【0005】
キャリッジの背面側はガイドレールに係合するよう構成されていることから、キャリッジに搭載されるインクヘッドなどは、キャリッジの副走査方向における前面側に配設されるベース部に固定して搭載されることとなる。
【0006】
ここで、ベース部は、例えば、板金により構成される板状体である。
【0007】
従来のインクジェットプリンタのキャリッジ構造においては、上記ベース部には、ベース部の前面側にインクヘッドや紫外線照射ランプなどを配置可能であるように複数のネジ穴が穿設されている。
【0008】
さらに、ベース部は、高さ方向において昇降可能であるように、背面側に高さ方向に延長して配設される昇降軸を有する。
【0009】
従来、インクジェットプリンタにおけるインクヘッドや紫外線照射ランプなどは、印字のためにキャリッジ上で昇降可能であることが求められる。
【0010】
そのため、昇降可能であるようにするためには、インクヘッドや紫外線照射ランプなどをすべてベース部に配置する必要がある。
【0011】
しかしながら、上記において説明したように、ベース部は、昇降軸が配置されていることや部品を搭載するために複数のネジ穴が穿設されているため、さらなる部品を設置可能である領域は限られている。
【0012】
インクヘッドや紫外線照射ランプをベース部に取り付けるためには、昇降軸が配設されている領域をよけたり、既に穿設されているネジ穴をよけたりするなどの必要があり、レイアウトに制約があることから効率的なレイアウトが難しくキャリッジが大型化するという問題点があった。
【0013】
ここで、効率的なレイアウトとは、例えば、キャリッジが大型化しないような部品の配置や、配線が複雑化しないように部品の配置を意味する。
【0014】
従って、こうした効率的なレイアウトが難しいと、キャリッジが大型化したり、キャリッジ上において配線が複雑になるという新たな問題点を招来するものである。
【0015】
さらに、上記において説明したように、ベース部は限られた領域であるため、取り付ける部品を増やすことが難しいという問題点があった。
【0016】
さらにまた、限られた領域に多くの部品が搭載されていることにより、メンテナンスや修理に手間を要するという問題点があった。
【0017】
なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャリッジを小型化するよう効率的なレイアウトで構成することができるようにしたインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造を提供しようとするものである。
【0019】
また、本発明の目的とするところは、キャリッジのメンテナンスや修理を容易に行うことができるようにしたインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は、キャリッジのベース部にブラケットを設けるようにしたものである。
【0021】
即ち、本発明は、主走査方向に沿って配置されるガイドレールに摺動可能に配置されるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造において、副走査方向における背面側をガイドレールに摺動可能に配置され、副走査方向における前面側に係合手段を有する昇降機構と、上記係合手段に取り外し自在に装着される板状体であるブラケットとを有するようにした。
【0022】
また、本発明は、上記した発明において、上記ブラケットは、少なくとも、インクヘッドと紫外線照射ランプとを取り付けるための孔と、上記係合手段に係合可能な開口部とを配置可能な領域を有し、上記インクヘッドと上記紫外線照射ランプとを一体的に搭載しながら、上記開口部を介して上記係合手段に係合可能であるようにした。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、以上説明したように構成されているので、キャリッジを小型化するよう効率的なレイアウトで構成することができるようになるという優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、キャリッジのメンテナンスや修理を容易に行うことができるようになるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造の実施の形態の一例を示した概略構成斜視説明図である。
図2図2は、本発明によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造について図1に示すII−II線における断面を示した概略構成断面説明図である。
図3図3は、本発明によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造に用いるブラケットの実施の形態の一例を示した概略構成斜視説明図である。
図4図4は、本発明によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造に用いるブラケットに対して部品を取り付けた状態の一例を示した概略構成説明図である。
図5図5は、本発明によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造の実施の形態の一例を示した概略構成斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0027】
図1および図2を参照しながら説明すると、まず、図1に示すキャリッジ10は、インクジェットプリンタ内部において主走査方向に沿って配設されるガイドレール12に対して主走査方向に摺動自在に配置されるコ字形状を有する背面側ベース部14と、背面側ベース部14内の主走査方向における両端部付近に高さ方向に沿ってそれぞれ配設される昇降軸16および昇降軸18と、背面側ベース部14の凹部内に昇降軸16および昇降軸18に挿通されて昇降自在に配設されるコ字形状を有する前面側ベース部20と、前面側ベース部20の凸部であって、副走査方向における前面側の面に後述する金具20c、金具20d、金具20eおよび金具20fにより取り外し自在に係合される板状体よりなるブラケット22と、ブラケット22の副走査方向における前面側に配置されるインクヘッド搭載部24と、ブラケット22の前面側の面に配置されるものであって、インクヘッド搭載部24の主走査方向における両端部に位置するように配置される2つの紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28と、背面側ベース部14の上方側に背面側ベース部14と連結して配設され昇降軸16および昇降軸18を回転させて前面側ベース部20を昇降させるよう駆動する駆動部32と、昇降軸16の上端部に固定されたプーリー16aと、昇降軸18の上端部に固定されたプーリー18aと、プーリー16aとプーリー18aとの間に無端状に張り渡されて駆動部32の動力をプーリー16aとプーリー18aとに伝達してプーリー16aおよびプーリー18aを回転させる駆動ベルト34とを有して構成される。
【0028】
上記において示したキャリッジ10に搭載される部品は、図2に示すように、キャリッジ10の片側、即ち、本実施の形態においては、副走査方向における前面側に搭載される。
【0029】
より詳細には、背面側ベース部14は、コ字形状の凹部を副走査方向における前面側に向けて配置され、両側面は上方側面部14bおよび下方側面部14cとしてそれぞれ高さ方向における上方側と下方側とに位置する向きで配置される。
【0030】
そして、ガイドレール12と背面側ベース部14との間は、図2に示すように、背面側ベース部14の背面側に配設された係合部14aがガイドレール12に摺動自在に嵌合する。
【0031】
次に、昇降軸16および昇降軸18は、背面側ベース部14に軸心周りに回転可能に配置されるが、昇降軸16および昇降軸18いずれも、上方側の端部を背面側ベース部14の上方側面部14bに係止され、下方側の端部を背面側ベース部14の下方側面部14cに係止される。
【0032】
また、昇降軸16の上方側であって、背面側ベース部14の上方側面部14a上にプーリー16aが配置される。プーリー16aの中心軸は、昇降軸16の中心軸と同軸上に位置するように配置され、プーリー16aと昇降軸16とは連動してプーリー16aが回転すると昇降軸16も同時に回転する。
【0033】
同様に、昇降軸18の上方側であって、背面側ベース部14の上方側面部14a上にプーリー18aが配置される。プーリー18aの中心軸は、昇降軸18の中心軸と同軸上に位置するように配置され、プーリー18aと昇降軸18とは連動しプーリー18aが回転すると昇降軸18も同時に回転する。
【0034】
次に、前面側ベース部20は、コ字形状を構成する前面側ベース部20の両側面となる上方側面部20aおよび下方側面部20bをそれぞれ高さ方向における上方側と下方側とに位置する向きで配置される。そして、コ字形状の凸部を前面側に向けるように配置され、背面側ベース部14の凹部に収納されるように配置される。
【0035】
即ち、背面側ベース部14と前面側ベース部20とは、コ字形状の凹部が互いに向かい合わせになり、かつ、背面側ベース部14が前面側ベース部20を包含するように配置される。
【0036】
その際、背面側ベース部14に配置された昇降軸16および昇降軸18は、前面側ベース部20の上方側面部20aおよび下方側面部20bとにそれぞれ挿通され、前面側ベース部20は、昇降軸16および昇降軸18に摺動自在に係合し、昇降可能であるようになされている。
【0037】
即ち、昇降軸16および昇降軸18は、それぞれ上方側から順に、前面側ベース部20の上方側面部20aと前面側ベース部20の下方側面部20bとに挿通され、その両端部をそれぞれ背面側ベース部14の上方側面部14bと下方側面部14cとに配設されており、背面側ベース部14と前面側ベース部20とは、昇降軸16および昇降軸18を介して一体となっている。
【0038】
なお、昇降軸16および昇降軸18の下方側の所定の領域には、螺旋状のネジ山がそれぞれ刻まれている。
【0039】
こうした昇降軸16および昇降軸18が有する螺旋状のネジ山には、前方側ベース部20の下方側面部20bに穿設されて昇降軸16および昇降軸18を挿通させるネジ穴が係合しており、プーリー16aおよびプーリー18aの回転に伴って昇降軸16および昇降軸18が回転すると、前面側ベース部20の下方側面部20bに穿設された孔が螺旋状の溝に沿って上方側もしくは下方側に移動し、前面側ベース部20が昇降することとなる。
【0040】
なお、プーリー16aおよびプーリー18aの間に張り渡された駆動ベルト34は、駆動部32により作動するようになされており、駆動部32が駆動することにより、駆動ベルト34が作動してプーリー16aおよびプーリー18aが回転し、同時に昇降軸16および昇降軸18が回転するようになされている。
【0041】
また、前面側ベース部20表面には、ブラケット22を係合するための係合手段が配置される。
【0042】
こうした係合手段は、上記において説明した前面側ベース部20に搭載するすべての部品の配置を決定後に配置される。
【0043】
即ち、前面側ベース部20に対して、必要な部品が配置され、また、必要な孔が穿設された後に、前面側ベース部20表面に存在する使用されていない領域に対して係合手段を配置するものである。なお、前面側ベース部20表面に存在する使用されていない領域を、以下、「設置可能領域」と適宜に称する。
【0044】
本実施の形態においては、図5に示すように、前面側ベース部20表面の設置可能領域に金具20c、金具20d、金具20eおよび金具20fを係合手段として設けるようにする。
【0045】
次に、図1および2とともに図3を参照しながら、ブラケット22について説明すると、ブラケット22は、前面側ベース部20の表面に設けられた係合手段を介して前面側ベース部20に係合される。
【0046】
そのため、ブラケット22の形状および面積は、自由に決定することが可能であるものであるが、少なくとも、上記前面側ベース部20が有する係合手段に係合可能である範囲にわたる領域を有すること、必要な部品をすべて搭載可能であること、既に穿設されている孔や配置されている部品の妨げになる領域は避けるようにすることが必要である。
【0047】
また、ブラケット22は、上記部品を搭載するため、所定の強度が必要となるため、例えば、1.6mm〜2.6mm程度の厚さで構成したり、材料として、SPCCやA5052Pなどの鋼板を用いる。
【0048】
なお、本実施の形態においては、ブラケット22が平面状の板状体を有するようにしている。
【0049】
ブラケット22が板状体から形成されることにより、副走査方向におけるキャリッジ10のガイドレール12からのオーバーハング量を少なくすることができるため、スペースを有効に活用することができる。また、ガイドレール12に対するキャリッジ10の取付け強度を確保することができる。
【0050】
また、ブラケット22が平面状であることにより、ブラケット22の剛性を高いものにすることができ、ガイドレール12に対するキャリッジ10の取付け強度を確保することができる。
【0051】
本実施の形態においては、ブラケット22は、主走査方向における左方側および右方側にそれぞれインクヘッド搭載部24、紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28を取り付けるための取付部22aおよび取付部22bを有し、取付部22aおよび取付部22bとの間には、取付部22aと取付部22bとを連結する連結部22cを有する。
【0052】
また、ブラケット22の中央部には、切り欠かれた領域である凹部22dを有する。
【0053】
こうした凹部22dは、前面側ベース部20に既に穿設された孔や配置された部品の妨げとなるためにブラケット22の一部を切り欠いて構成するようにしたものである。
【0054】
即ち、ブラケット22は、取付部22aと連結部22cと取付部22bとで、凹部22dを取り囲む平面状の板状体であるように構成されている。
【0055】
さらに、ブラケット22の取付部22aには、凹部22dに隣接する位置に、略長方形形状の開口部22−1および開口部22−2が穿設され、また、ブラケット22の取付部22bには、凹部22dに隣接する位置に、略長方形形状の開口部22−3および開口部22−4が穿設されている。
【0056】
こうした4つの開口部22−1、開口部22−2、開口部22−3および開口部22−4は、ブラケット22を前面側ベース部20表面が有する金具20c、金具20d、金具20e、金具20fと噛み合わせて前面側ベース部20とブラケット22とを連結させる。
【0057】
なお、ブラケット22の開口部22−1は前面側ベース部20の金具20cに相当する位置に穿設されており、開口部22−2は金具20eに相当する位置に穿設されており、開口部22−3は金具20dに相当する位置に穿設されており、開口部22−4は間具20fに相当する位置に穿設されている。
【0058】
図3に示すように、ブラケット22の取付部22aには、主走査方向における左方側の領域に3つの孔22−5、孔22−6、孔22−7が縦に並んで穿設されている。こうした孔22−5、孔22−6および孔22−7は紫外線照射ランプ26を係止する際に用いる。
【0059】
また、ブラケット22の取付部22aには、凹部22d側の領域に3つの孔22−11、孔22−12、孔22−13が縦に並んで穿設されている。こうした孔22−11、孔22−12および孔22−13は、インクヘッド搭載部24を係止する際に用いる。
【0060】
また、ブラケット22の取付部22bには、主走査方向における右方側の領域に3つの孔22−8、孔22−9、孔22−10が縦に並んで穿設されている。こうした孔22−8、孔22−9および孔22−10は紫外線照射ランプ28を係止する際に用いる。
【0061】
また、ブラケット22の取付部22bには、凹部22d側の領域に3つの孔22−14、孔22−15、孔22−16が縦に並んで穿設されている。こうした孔22−14、孔22−15および孔22−16は、孔22−11、孔22−12および孔22−13とともにインクヘッド搭載部24を係止する際に用いる。
【0062】
そして、ブラケット22上には、2つの紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28と、インクヘッド搭載部24とが図4に示すように配設される。
【0063】
インクヘッド搭載部24、2つの紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28は、ブラケット22へ取り付ける前は、各部品が個々に存在しているものであるが、ブラケット22に取り付けることにより一体となり、インクヘッド搭載部24と紫外線照射ランプ26と紫外線照射ランプ28とは同時に動かすことが可能となる。
【0064】
なお、上記インクヘッド搭載部24には、インクヘッドやインクノズルなどのインク吐出のための部品が搭載されるものであるが、こうしたインクヘッド搭載部24に関する技術は従来より公知の技術であるため、その説明は省略する。
【0065】
また、インクヘッド搭載部24の両端部に配置される紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28は、インクヘッドより吐出されたインクをUV光を照射することによりインクを固化させるものであるがこうした紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28に関する技術は従来より公知の技術であるため、その説明は省略する。
【0066】
以上の構成において、図5を参照しながら、本実施の形態によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造であるキャリッジ10の構成について説明すると、図5には、ブラケット22と一体となったインクヘッド搭載部24、紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28を前面側ベース部20に取り付ける前の状態を示す概念構成斜視説明図を示している。
【0067】
前面側ベース部20には、昇降軸16aおよび昇降軸18aが挿通され、また、その表面である凸部には複数の孔が穿設されている。
【0068】
そして、前面側ベース部20には、さらに、ブラケット22取り付けのために配置された金具20c、金具20d、金具20eおよび金具20fを有する。
【0069】
こうした金具20c、金具20d、金具20eおよび金具20fは、インクヘッド搭載部24や紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28などの重みに耐えるよう所定の強度が必要となるが、ブラケット22を係止することができるものであれば、複数の箇所に分散することが可能であるため、他の構成の邪魔にならない場所を自由に選択することができる。
【0070】
そして、上記金具20c、金具20d、金具20eおよび金具20fに、ブラケット22が有する開口部22−1、開口部22−3、開口部22−2および開口部22−4をそれぞれ噛み合わせることによりブラケット22を前面側ベース部20に配置する。
【0071】
本実施の形態においては、インクヘッド搭載部24と紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28とをブラケット22を介して一体的にすることを可能としているため、インクヘッド搭載部24と紫外線照射ランプ26および紫外線照射ランプ28のすべての部品を前面側ベース部20に対して一度に取り付けることが可能となる。
【0072】
なお、上記金具20c、金具20d、金具20eおよび金具20fとして、ネジを用いて前面側ベース部20とブラケット22とを連結することが好ましい。
【0073】
本実施の形態によるキャリッジ10においては、上記において説明したブラケット22を設けることによって、具体的には、キャリッジ幅を516mmから456mmへ短縮できることが確認されており、こうしたキャリッジを有するインクジェットプリンタ本体は、幅3168mmから2867mmへ短縮できることが確認されている。
【0074】
このように、本発明によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造であれば、キャリッジを小型化することが可能であり、キャリッジの小型化に伴ってインクジェットプリンタ本体を小型化することも可能である。
【0075】
上記において説明したように、本発明によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造であるキャリッジ10によれば、ブラケットを用いることにより、限られた領域に対して効率的なレイアウトが可能になるため、キャリッジを小型化することが可能である。
【0076】
また、本発明によるインクジェットプリンタにおけるキャリッジ構造であるキャリッジ10によれば、インクヘッド搭載部および2つの紫外線照射ランプをブラケットを介して一体的に構成するようにしたことにより、インクヘッド搭載部および2つの紫外線照射ランプの前面側ベース部に対する取り付けおよび取り外しが容易になり、修理やメンテナンスに要する手間を省くことが可能である。
【0077】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(4)に示すように変形することができるものである。
【0078】
(1)上記した実施の形態においては、ブラケットの形状を上記において説明したU字形状を有するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、ブラケットの形状は、上記において説明したように、配置する場所やブラケットに搭載する部品に合わせて効率的なレイアウトとなるような形状であれば自由に設計してよいものである。
【0079】
(2)上記した実施の形態においては、本発明によるキャリッジ構造をインクジェットプリンタに用いるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、加工装置に用いるカットユニットなど、キャリッジの片側に部品を搭載するものであれば利用することが可能である。
【0080】
(3)上記した実施の形態においては、ブラケットが開口部を有し、前方側ベース部が金具を有するようにし、ブラケットの開口部と前方側ベース部の金具とが係合するようにして前方側ベース部にブラケットを取り付けたが、これに限られるものではないことは勿論であり、前方側ベース部の穿設可能な領域に開口部を設け、ブラケット上の当該開口部に相当する位置に当該開口部に引っかけてブラケットを前方側ベース部に取り付けることが可能なツメのような係合手段を有するようにしてもよい。
【0081】
(4)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(3)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、インクジェットプリンタなどのキャリッジの片側に部品を搭載する際に利用することができるものである。
【符号の説明】
【0083】
10 キャリッジ、12 ガイドレール、14 背面側ベース部、16、18 昇降軸、20 前面側ベース部、22 ブラケット、24 インクヘッド搭載部、26、28 紫外線照射ランプ、32 駆動部、34 駆動ベルト
図1
図2
図3
図4
図5