(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552885
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】靴
(51)【国際特許分類】
A43B 17/16 20060101AFI20190722BHJP
A43B 17/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
A43B17/16
A43B17/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-126239(P2015-126239)
(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-6449(P2017-6449A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】511266070
【氏名又は名称】有限会社楽電
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】日向野 真一
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第062052(JP,Z2)
【文献】
実開平01−081910(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3085380(JP,U)
【文献】
特開2003−070502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00−23/30
A43C 1/00−19/00
A43D 1/00−999/00
A61F 5/00−6/24
B29D 35/00−35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
踵部の内側に、弾性素材にて前記踵部とは別体に形成され、上下に弾性の異なる部位を有する撓曲部材を配した靴であって、
前記撓曲部材は、幅方向・上下方向に沿って後方側が凸となる形で弓形に湾曲し、上方側に形成された弾性率の小さい屈曲部と、下方側に形成された弾性率の大きい基部と、下端部に形成され前記基部からつま先側に向かって延設された舌部と、を有し、
前記舌部は、前記靴の中底と該撓曲部材の内面とが滑らかにつながるよう先端部側に向かって薄くなっており、
靴使用者が当該靴の履口に足を入れ前記踵部を前記足にて圧迫すると、前記撓曲部材の前記屈曲部側のみが前記基部に支持されつつ内側に曲がり、前記足が当該靴内に収まった後、前記屈曲部側は弾性的に元の状態に復帰し、湾曲した前記撓曲部材が前記踵部の内側にフィットすることを特徴とする靴。
【請求項2】
請求項1記載の靴において、前記撓曲部材は、該撓曲部材上端の上面部と前記舌部の前方側端部が同じ垂線上に配置されるように湾曲して形成されることを特徴とする靴。
【請求項3】
請求項1又は2記載の靴において、
前記撓曲部材の前記基部側は、前記屈曲部側よりも、厚さが厚く、幅が広く形成され、
前記撓曲部材の前記屈曲部側は、上方に行くほど厚さが薄く、幅が狭く形成され、
前記撓曲部材は、後方側が凸となる形で弓形に湾曲しつつ、中央部が最も厚く、幅方向両側部に向かって厚みが減少するよう形成されていることを特徴とする靴。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の靴において、前記撓曲部材の下から1/3より上の部分を前記屈曲部としたことを特徴とする靴。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の靴において、当該靴は、前記基部の後方側に該基部の後方部位を一部置換する形で配置され、前記撓曲部材よりも比重の小さい素材にて形成されたサポート部材を有することを特徴とする靴。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の靴において、当該靴は革靴であり、前記撓曲部材は、該革靴の前記踵部上部を切り離して形成した切片に固定されると共に、該切片を元の位置に配置しつつ、前記踵部の内側に固定されることを特徴とする靴。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の靴において、前記撓曲部材は、合成ゴム、天然ゴム、合成樹脂の何れかにて形成されることを特徴とする靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や要支援者・要介護者(以下、高齢者等と略記する)でも装着が容易な靴べら不要の靴に関し、特に、靴を履く際に踵部分を踏み押さえても、後に踵部分が自律的に元に戻る、高齢者等に有用な靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着脱が容易な靴として、踵部分に柔軟部材を取り付けたり(特許文献1)、踵部分を柔軟部材にて形成したり(特許文献2)したものが知られている。また、踵自体をばねにて形成したり(特許文献3)、蝶番状の部材を設けたり(特許文献4)したものや、踵部分に孔を開けて復元性を向上させたもの(特許文献5)も提案されている。さらに、近年では、靴の甲部分にファスナを設けたものも上市されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3149834号公報
【特許文献2】特開2010-104416号公報
【特許文献3】特開2012-61046号公報
【特許文献4】特開2003-70502号公報
【特許文献5】特開2003-52410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の靴では、踵部分に配した柔軟部材の戻りが悪く、靴を履き終えたにもかかわらず、踵がうまく復元しないという問題があった。また、踵に別部材を配したものでは、どうしても踵部分に異物感があり、着用感が良くないという問題があった。さらに、孔を開けたものでは、踵が外部に露出した形となり、靴と言うよりはサンダルに近く、足のサポート性が良くないという問題があった。
【0005】
これに対し、ファスナを設けたものは、上述のような問題は生じないが、ファスナ操作が必須であり、手の不自由な高齢者等には使いづらい。また、ファスナ自体も壊れやすく、ファスナの損傷により、靴自体には何の問題もないにも関わらず、その靴を破棄せざるを得ないという問題もあった。
【0006】
本発明は、履いた後の踵部分の戻りが良く、高齢者等でも履きやすく、しかも、異物感なく履き続けられる靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の靴は、踵部の内側に、弾性素材にて
前記踵部とは別体に形成され
、上下に弾性の異なる部位を有する撓曲部材を配した靴であって、前記撓曲部材は
、幅方向・上下方向に沿って後方側が凸となる形で弓形に湾曲し、上方側に
形成された弾性率の小さい屈曲部
と、下方側に
形成された弾性率の大きい基部と、
下端部に形成され前記基部からつま先側に向かって延設された舌部と、を有し、前記舌部は、前記靴の中底と該撓曲部材の内面とが滑らかにつながるよう先端部側に向かって薄くなっており、靴使用者が当該靴の履口に足を入れ前記踵部を前記足にて圧迫すると、前記撓曲部材の前記屈曲部側
のみが前記基部に支持されつつ内側に曲がり、前記足が当該靴内に収まった後、前記屈曲部側は弾性的に元の状態に復帰し、
湾曲した前記撓曲部材が前記踵部の内側にフィットすることを特徴とする。
【0008】
本発明あっては、使用者が踵部の上部を踏むようにして履口に足を入れると、踵部の上部が使用者の踵によって圧迫され、内側に折り曲げられる。このとき、踵部の内側に配された撓曲部材も圧迫され、撓曲部材上下の弾性の違いにより、基部側は折り曲げられずそのままの状態が保持され、屈曲部側の部位が内側に曲げられる。足が靴内に収まると、それまで内側に曲げられていた屈曲部が、自身の弾性力によって元の状態に戻り、踵部は元の形に復元される。これにより、使用者が靴べらなどを特に用いることなく、靴を履くことが可能となる。
【0009】
前記靴において、
前記撓曲部材を、該撓曲部材上端の上面部と前記舌部の前方側端部が同じ垂線上に配置されるように湾曲形成しても良い。また、前記撓曲部材の前記基部側を、前記屈曲部側よりも、厚さが厚く、幅が広くなるよう形成し、前記撓曲部材の前記屈曲部側を、上方に行くほど厚さが薄く、幅が狭くなるよう形成し、さらに、前記撓曲部材を、後方側が凸となる形で弓形に湾曲しつつ、中央部が最も厚く、幅方向両側部に向かって厚みが減少するよう形成して良い。加えて、前記撓曲部材の下から1/3より上の部分を前記屈曲部とするようにしても良い。
【0010】
また、前記基部の後方側に該基部の後方部位を一部置換する形でサポート部材を配置しても良く、このサポート部材を、合成樹脂等、前記撓曲部材よりも比重の小さい素材にて形成しても良い。
【0011】
さらに、当該靴が革靴の場合、該革靴の前記踵部上部を切り離して形成した切片に前記撓曲部材を固定すると共に、前記撓曲部材を、該切片を元の位置に配置しつつ、前記踵部の内側に固定するようにしても良い。
【0012】
加えて、前記撓曲部材を、合成ゴム、天然ゴム、合成樹脂の何れかにて形成するようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、踵部の内側に弾性素材にて形成された撓曲部材を配した靴にて、該撓曲部材に上下に弾性の異なる部位を設け、上方側に弾性率の小さい屈曲部、下方側に弾性率の大きい基部を配し、靴使用者が足を入れると、屈曲部側が基部に支持されつつ内側に曲がり、足が靴内に収まった後、屈曲部側が弾性的に元の状態に復帰するようにしたので、使用者が靴べらなどを特に用いることなく、靴を履くことが可能となる。従って、従来の靴のように、踵部分に配した柔軟部材の戻りが悪い、といった不具合がなく、高齢者等でも容易に着用できる履きやすい靴を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1である高齢者用の靴の構成を示す説明図である。
【
図2】
図1の靴に使用される撓曲部材の構成を示す斜視図である。
【
図3】(a)は撓曲部材の正面図、(b)は同平面図、(c)は同側面図である。
【
図4】(a)は
図1のA−A線に沿った断面図、(b)はB−B線に沿った断面図である。
【
図5】使用者が
図1の靴に足を入れたときの踵部の様子を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態2である靴の構成を示す説明図である。
【
図7】
図6の靴に使用されるサポート部材の構成を示す斜視図である。
【
図8】
図6の靴に使用される撓曲部材の断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態3である靴の構成を示す説明図であり、(a)はその斜視図、(b)は実施の形態3の靴を後側から見た構成をそれぞれ示している。
【
図10】(a)は
図9の靴に使用される撓曲部材の構成を示す説明図、(b)はその変形例を示す説明図である。
【
図11】本発明による撓曲部材の変形例を示す説明図(正面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1である高齢者用の靴1の構成を示す説明図である。
図2〜
図4は撓曲部材6の構成を示す説明図であり、
図2は撓曲部材6の斜視図、
図3(a)は正面図、同(b)は平面図、同(c)は側面図、
図4(a)は
図1のA−A線に沿った断面図、(b)はB−B線に沿った断面図である。
図2〜4に示すように、撓曲部材6は、上側ほど幅Wと厚さtが小さくなるように形成されており、靴底部5側に配される基部11と、基部11の上方の屈曲部12とから構成されている。屈曲部12は基部11と一体に形成されており、両者は明確に区画されないが、撓曲部材6の全長Lに対して、靴底部5側から概ねL/2程度の高さの部位が基部11、それより上が屈曲部12となっている。撓曲部材6は、基部11側に行くほど厚く幅が広くなるよう形成されており、基部11側の方が屈曲部12側よりも弾性率(ヤング率)が高く(曲がりにくく)なっている。
【0016】
基部11は、下部13と上部14とから構成されている。下部13は、幅広(50mm程度)かつ厚肉(10mm程度)に形成されており、
図2の撓曲部材6では、幅Wが一定となっている。下部13の最下部には、踵部4に撓曲部材6を取り付けたとき、靴1の中底7に撓曲部材6が馴染むように、舌部15が形成されている。舌部15は、撓曲部材6の厚さ方向に向かって約5mm程度延設されており、この舌部15により、中底7と撓曲部材6の内面6aとが滑らかにつながり、靴1を履いたときの撓曲部材6による違和感が抑えられる。なお、各部の寸法は一例であり、靴のサイズや形状により適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0017】
上部14は、下部13の上方に一体的に設けられ、上方に向かって、幅が狭く厚さが小さくなっている。基部11と屈曲部12の境界部分では、撓曲部材6の厚さは、下部13の約半分(5mm程度)になっている。
図3(a)に示すように、下部13と屈曲部12は、連続する形でテーパ状に幅が狭くなっており、屈曲部12の最上部は、幅4mm、厚さ1mm程度の上面部16となっている。すなわち、撓曲部材6では、下部13と屈曲部12は、全体として、三角形に近い上底の小さな等脚台形状となっている。
【0018】
図3(b)、
図4(a),(b)に示すように、撓曲部材6は、全体として、幅方向・上下方向に沿って、弓形に湾曲している。幅方向は、靴1の後方側が凸となる形で湾曲しており、中央部が最も厚く、両側部に向かって厚みが減少する形になっている。また、上下方向も靴1の後方側が凸となる形で湾曲しており、上面部16と舌部15の前方側の端部がほぼ同じ垂線P上に配置されるようになっている。このように、撓曲部材6全体を湾曲させることにより、撓曲部材6を踵部4の内側にフィットさせることができ、舌部15の存在も相俟って、靴使用者に異物感のない状態で撓曲部材6を靴1内に配置することが可能となる。
【0019】
図5は、使用者が靴1に足8を入れたときの踵部4の様子を示す説明図である。このような撓曲部材6を備えた靴1では、使用者は、踵部4の上部を踏むようにして履口3に足8を入れる。すると、踵部4の上部が使用者の踵によって圧迫され、内側に折り曲げられる(
図5(a))。このとき、踵部4の内側に配された撓曲部材6も圧迫され、撓曲部材6全体が傾斜するが、撓曲部材上下の弾性の違いにより、基部11側は折り曲げられずそのままの状態が保持され、屈曲部12側(撓曲部材全体の概ね1/2より上の部分)の部位が内側に曲げられる。
【0020】
そして、足8が靴1内に収まると、それまで内側に曲げられていた屈曲部12が、自身の弾性力によって元の状態に戻る(
図5(b))。これにより、踵部4は元の形に復元され、使用者が靴べらなどを特に用いることなく、立ったままで靴1を履くことが可能となる。なお、発明者の試作実験によれば、撓曲部材の下から1/3以下まで屈曲部12が及ぶと復元性が低下し、折り曲げられた部分が戻りにくかったり、戻らなかったりする不具合が生じる。また、屈曲部12の最上部の幅が広かったり、厚かったりすると、やはり、復元性が低下する。
【0021】
すなわち、靴1においては、上下に弾性の異なる部位を有する撓曲部材6を踵部4に配することにより、靴使用者が足8を履口3に入れたとき、撓曲部材6上方の屈曲部12側が内側に曲がり、足8が靴1内に収まった後、屈曲部12側が弾性的に復帰する。この際、撓曲部材6の下方に位置する基部11側は、靴使用者が足8を履口3に入れても折れ曲がらず屈曲部12を支持し、屈曲部12側のみが折れ曲がる。そして、屈曲部12側の拘束が解放されると、撓曲部材6は直ちに元の状態に戻る。
【0022】
このように、本発明の靴1では、屈曲部12側が鋭敏に元の状態に復帰しやすく、従来の靴のように、踵部分に配した柔軟部材の戻りが悪い、といった不具合がない。すなわち、足8が靴1内に収まると、踵部4は速やかに元の形に復元される。また、撓曲部材6は全体が湾曲した柔軟部材であるため、踵部4の内側に馴染みやすく、踵部分の異物感が抑えられ、着用感の改善が図られる。従って、本発明によれば、高齢者等でも履きやすく、しかも、異物感なく履き続けられる靴を提供することが可能となる。
【0023】
また、本発明の靴1は、踵部4に孔を開けることなく、踵部4の弾性復帰が図られる。このため、踵を外部に露出させることなく、足をサポートすることが可能となる。さらに、靴1では、その着脱に際してファスナ操作は不要であり、また、ファスナの故障もないため、手の不自由な高齢者等にとっても使いやすく、ファスナ損傷のみによる破棄という資源的な無駄も無くすことが可能となる。
【0024】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2である靴21の構成を示す説明図である。なお、以下の実施の形態では、実施の形態1と同様の部分、部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。靴21では、撓曲部材の軽量化のため、撓曲部材22の基部11に合成樹脂製のサポート部材23を配している。
図7はサポート部材23の斜視図、
図8は撓曲部材22の断面図(
図1のA−A線断面相当)である。サポート部材23は、撓曲部材22の素材(合成ゴム)よりも比重の小さな素材(ポリアミド,ポリエチレン等の合成樹脂や木材など)にて形成されている。
【0025】
図7に示すように、サポート部材23は、前述の撓曲部材6における基部11の後部を合成樹脂等の軽量部材にて置き換えたものであり、みかんの房のように円弧と弦に囲まれた平面を立体化した形となっている。サポート部材23と撓曲部材22は接着剤にて貼り付けられる。基部11は、屈曲部12よりも曲げ剛性が高いことが必要とされるが、サポート部材23は、硬質のプラスティック等にて形成されており、基部11全体としての剛性は確保される。その一方、サポート部材23はゴムよりも軽いため、撓曲部材全体の重量は軽くなり、靴21の軽量化が図られる。
【0026】
(実施の形態3)
図9(a),(b)は、本発明の実施の形態3である靴31の構成を示す説明図であり、本発明を革靴に適用した一例を示している。靴31は革靴であり、
図9に示すように、ここでは踵部4の上部を切り離し、切片32を形成する。切片32の内側には、合成ゴム製の撓曲部材33が貼り付けられる。撓曲部材33は、切片32を切り離した踵部4の残りの部位(踵残存部34)に固定される。その際、切片32は、踵部4の元の位置に収まるように配置される。
【0027】
この場合、切片32を切り離す位置Xは、靴底部5を除いた靴の高さHに対し、下から2/3以上の位置に設定されている。発明者の試作実験によると、下から1/2以下の位置にて切り離すと、撓曲部材33が戻らない場合がある。1/2を超え〜2/3未満の位置にて切り離した場合は、戻りはするものの、やや動作が鈍く、位置Xは下から2H/3以上とすることが好ましい。
【0028】
図10は、靴31に使用される撓曲部材33の構成を示す説明図である。
図10(a)に示すように、撓曲部材33は、富士山を細くしたような略三角形状に形成されている。撓曲部材33もまた、前述の撓曲部材6と同様に、全体として、幅方向・上下方向に沿って、弓形に湾曲している。但し、撓曲部材33では、切片32が取り付けられる屈曲部35が上方に寄っているため、撓曲部材上部の厚みが、撓曲部材6よりも厚く設定されている。つまり、撓曲部材6では、切り離し位置X近傍に相当する部位の厚さが、概ね3〜4mmであるのに対し、撓曲部材33では、切り離し位置Xでの部材厚が5mm程度確保されている。これにより、屈曲部35の弾性率が高くなり、切片32がより迅速に元の位置に復帰する。なお、撓曲部材6の寸法をそのまま適用しても、切片32は支障なく復帰する。
【0029】
このような靴31では、使用者が履口3に足8を入れると、切片32が使用者の踵によって圧迫されて折り曲げられる。このとき、切片32の内側に配された撓曲部材33も圧迫されるが、革靴の踵残存部34は硬いことから、踵残存部34に固定された基部36側は、やや傾斜しながらもその状態が保持され、屈曲部35側が切片32と共に内側に曲げられる。そして、足8が靴1内に収まると、それまで内側に曲げられていた屈曲部35が、自身の弾性力によって元の状態に戻り、踵部4は元の形に復元される。これにより、使用者が靴べらなどを特に用いることなく、靴31を履くことが可能となる。
【0030】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態では、撓曲部材に合成ゴム製のものを使用した例を示したが、撓曲部材の素材は合成ゴムには限定されず、天然ゴムや、シリコン等の合成樹脂など、弾性的な反発力を備えた弾性素材であれば適宜使用可能である。また、撓曲部材の形状も、撓曲部材6のように、上側を台形状としたものには限定されず、
図11のように、全体を略半円状に形成しても良い(撓曲部材41)。さらに、実施の形態3に、実施の形態1の撓曲部材6や、実施の形態2の撓曲部材22+サポート部材23を用いることも可能である。加えて、革靴はスニーカ等に比して踵部が硬いことから、実施の形態3の撓曲部材33は、
図10(b)のように基部36側を小さくしても良く、これにより、撓曲部材33の軽量化や材料の節約が図られる。
【符号の説明】
【0031】
1 靴
2 甲部
3 履口
4 踵部
5 靴底部
6 撓曲部材
6a 内面
7 中底
8 足
11 基部
12 屈曲部
13 下部
14 上部
15 舌部
16 上面部
21 靴
22 撓曲部材
23 サポート部材
31 靴
32 切片
33 撓曲部材
34 踵残存部
35 屈曲部
36 基部
41 撓曲部材
W 幅
t 厚さ
L 全長
P 垂線
X 切り離し位置
H 高さ