(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シートはナイロン樹脂(登録商標)製であり、前記シートの前記非浸透部は再溶融層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンター。
前記シートは、前記キャップに当接させる第1シートと、前記記録ヘッドに当接させる第2シートを有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインクジェットプリンター。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、記録ヘッドのクリーニングユニットを説明する図である。
記録ヘッドをクリーニングするクリーニングユニット1を説明する。キャップ2は記録ヘッドのノズル面に密着し、密封する。吸引ポンプ6は、キャップ2内を吸引するためのポンプで図示されていないポンプモーターにより駆動され、キャップ2と記録ヘッドのノズル面によってできる密封空間を負圧にして、ノズルからインクを吸引することができる。キャップ2はキャップベース9に取り付けられている。キャップベース9には7つのキャップ2が備わる。キャップ2は記録ヘッドの数分備わる。
【0012】
昇降モーター7の回転を、カムを介して上下運動に変換し、キャップベース9を昇降させる。これにより記録ヘッドにキャップ2を接離させることができる。この時、吸引ポンプ6を駆動するモーターとキャップベース9の昇降モーター7を兼用させても良い。すなわち、吸引ポンプ6を駆動するための回転方向と、キャップベース9を昇降させるための回転方向を逆方向にし、各回転方向で機能を変える。
【0013】
また、当接制御カム8が、キャップベース9の四隅に取り付けられている。この当接制御カム8は、キャップ2と記録ヘッドの当接位置を制御する。すなわち、当接制御カム8は、後述するキャリッジと当接し、当接制御カム8の回転中心とキャリッジまでの距離に応じて、キャップ2の変形量の制御ができる。距離が短いとキャップ2は大きく変形し、距離が長いとキャップ2は小さく変形する。また、変形しすぎることを防止している。
【0014】
キャップ2の上部に2枚のシート、すなわち第1シート3と第2シート4を載置することができる。第1シート3は主にキャップ2を洗浄するシートである。キャップ2の上部に載置し、第1シート3に洗浄液を塗布する。その洗浄液は、第1シート3に滲み込む。第1シート3は多孔質であるので洗浄液を滲み込ませることができる。その後、第2シート4を載置する。第2シート4の四隅には、キャップベース9に設けられた爪部5に掛けることのできる貫通孔10が設けられている。第2シート4は、記録ヘッドのノズル側の面と当接し、ノズル側の面を清掃する。記録ヘッドのノズル面を清掃でき、またノズル内のインクが滲み出る。貫通孔10は、第2シートの長辺側の端部に設けられた凸部に、孔の一部が係るように配置されている。第2シートの貫通孔10の周辺は、変形しやすくなり、爪部5に掛けやすくなっている。
【0015】
貫通孔10を爪部5に掛ける。このとき貫通孔10が伸ばされて変形する。第2シート4の貫通孔10間の距離は、爪部5間の距離より短い。また、キャップ2の先端より低い位置に爪部5が設けられている。そのため、第2シート4を伸ばして爪部5に掛けることになる。第2シート4は、キャップ2上に配置された第1シート3をキャップ2側に押圧して固定できる。このようにすることで、第1シート3と第2シート4の位置が移動しないように固定できる。
【0016】
第1シート3は可撓性のある多孔質部材が好ましく、例えば、合成樹脂製のスポンジである。第1シート3は、キャップ2の全てを覆うように載置され、また、複数あるキャップ2間で撓まないことが好ましい。なぜなら、撓んでしまうとその上に載置する第2シートに皺等ができてしまい、ノズル面の全面に第2シートが接しなくなる場合があるからである。また、第2シート4は、ノズル面より柔らかい素材でできているものが好ましく、例えばナイロン(登録商標)やポリエステルなどの可撓性のある合成樹脂製の布が好ましい。ノズル面に当接した時に、ノズル面を傷つけることなく、また繊維のカスが出ない物が好ましい。
【0017】
第1シート3はキャップ2に、第2シート4は記録ヘッド2のノズル面に当接させて用いる。第1シート3は第2シート4に比べ剛性を高くするのが好ましい。キャップ2は周囲が凸状になっているが、ノズル面はほぼ平坦である。そのため、キャップ2側をノズル面側よりも硬くして平面を保ちやすくし、ノズル面の全面にシートが当接しやすくしている。また、第1シート3は第2シート4に比べ厚くするのが好ましい。前述の他に洗浄液を含ませやすくできる。また、第1シート3を用いずに、第2シート4だけを用いて清掃することも可能であるが、効果の大きい2枚のシートを用いる方が好ましい。
【0018】
図2は、クリーニングシートの説明図である。第1シート3と第2シート4を用いて記録ヘッドおよびキャップ2を清掃した後のクリーニングユニット1の様子を示している。第1シート3に塗布した洗浄液は、第2シート4を濡らす。洗浄液によって濡れている範囲11を点線で示した。洗浄液で濡らす範囲は、記録ヘッドのノズル面に当接する範囲を含む範囲である。第1シート3および第2シート4は、夫々1層構造ででも良いし、複数層構造としても良い。どちらであっても多孔質であるので、洗浄液を滲み込ませることができる。キャップ2とノズル面によってつぶされた時に洗浄液が染み出ることで、好適に付着物を清掃できる。さらに、昇降手段によって、記録ヘッドに当接させることで、ノズル面に付着しているインクとノズル内の一部のインクが第2シート4に滲み出す。例えば、インクが染み出した範囲12を破線で示してある。この範囲12の夫々の部分に対して対応する記録ヘッドのノズル面が当接し、そこに付着しているインクやノズル内のインクが染み出し、第2シート4を汚している。すなわちノズル面に固着したいインクを清掃できる。キャップ2とノズル面との間に、第1シート3と第2シート4を挟んだ状態で所定の時間放置する。増粘したインクを軟化させ、第1シート3及び第2シート4に付着させる。
【0019】
当接制御カム8の当接位置を変えることで、強く当接させたり、弱く当接させたりすることができ、それによって、クリーニングシートの変形量を変えることができる。例えば、汚れがひどい場合には、当接圧を高くし、シートの変形量を大きくし、強く洗浄する。すなわち、当接制御カム8の回転中心からキャリッジまでの距離を短くする位置に回転させ、停止させる。また、当接制御カム8の回転中心からキャリッジまでの距離を長くする位置に回転させ、停止させれば、当接圧を低くし、シートの変形量を小さくし、弱く洗浄できる。また、強く当接させることと弱く当接させることを繰り返すことで、シートおよびキャップの伸縮によって、好適に汚れを取り除ける。すなわち清掃力を強化できる。
【0020】
記録ヘッドとキャップ2とでは汚れ方や表面の硬さなどが異なり、同じシートを使うこともできるが、同じものを使うよりは、異なるシートを使用する方が好適に汚れを取り除くことができる。第1シート3と第2シート4の異なる2種類のシートを使うことで、記録ヘッドとキャップ2を同時に好適に清掃できる。
【0021】
図3は、クリーニングシートの汚れを説明する図である。第2シート4は、破線で示した記録ヘッドと当接する位置13の両側に非浸透部15を設けてある。この非浸透部15を超えてインクの滲み出し範囲14が広がることが無いように設けられている。
【0022】
記録ヘッドは夫々異なる色のインクを吐出する。すなわち、染み出したインクが隣の記録ヘッドやキャップに到達すことが無いよう非浸透部15を設けてある。仮に、異なるインクが少しでも混じっている状態でインクを吐出すると、混色により、画質が悪化する恐れがある。そのために、隣り合う記録ヘッドが互いに悪影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
【0023】
ナイロン(登録商標)製等の樹脂製多孔質の材質の第2シート4の非浸透部15の部分は、熱によって再溶融させた後に冷まして固めることで、無孔質とした部分である。このように再溶融層を備えることで、インクの浸透を防げる。無孔質の非浸透部15を設けることで、この部分を超えてインクや洗浄液などの液体が浸透することを防止できる。また、無孔質の部分を設けるよりは効果が劣るが、非浸透部15の部分に穴を開け、液体が通過出来るエリアを狭くすることで、滲み出し速度を低減させることができる。この染み出す時間より短い時間の間に、シートと記録ヘッドを当接させる方法も考えられる。また、複数列の孔を千鳥状に空けることで液体が通過できるエリアを狭くすると共に、経路を長くすることができ、滲み出し速度をさらに低減させることができる。また、無孔質にした部分に穴を空けることもできる。第2シート4をクリーニングユニット1にセットした場合に、第2シート4のキャップ2に対応する部分間に非浸透部15が位置する。
【0024】
また、非浸透部15は、第2シート4の表面側と裏面側から押圧し、多孔質部分をつぶすことで浸透を防止する手段も考えられる。この場合に第2シート4の表面側と裏面側から棒あるいは板状の部材によって挟み、押圧する押圧手段が必要となる。この場合に好ましくは、単に表面側と裏面側から押圧してつぶすだけではなく、一方を凹状に形成し、他方側を凸状、板状、あるいは棒状などの部材として、他方側の部材を、一方側の凹状の窪みに嵌めることで、第2シート4をつぶして非浸透状態にして固定し、非浸透部15を設ける。
【0025】
また、第2シート4は多孔質の材質の単層の構造でもよいし、シートを貼り合わせて複数構造にしても良い。どちらであっても、洗浄液やインクが滲みこむことができる構造が好ましい。インクなどが滲みこまない場合には、表面をインクなどが流れて予期せぬ場所に付着し、問題が生じる恐れがある。
【0026】
図4は、インクジェットプリンターの概略図である。インクジェットプリンター20は、プラテン23を備える。プラテン23は、インクジェットプリンター20の長手方向に多数配置された搬送ローラー24によって搬送される記録媒体を、平面に支持する平板である。図示はしていないが、表面に多数の孔があり、吸引することで記録媒体をプラテン23表面に吸着する。プラテン23に沿ってキャリッジ27が往復走査する。キャリッジ27にはインクジェット式の記録ヘッドが搭載され、プラテン23に支持された記録媒体にインクを吐出する。記録媒体は、紙、塩化ビニル製などの樹脂フィルムなどである。記録ユニット21は、キャリッジ27、キャリッジ27に搭載された記録ヘッドを含む。記録媒体の搬送方向に対してキャリッジは交差する方向に往復移動する。例えば直交する方向である。
【0027】
レール26は、インクジェットプリンター20の長手方向に沿って配置される直線状のレールである。キャリッジ27はこのレール26に沿って移動する。キャリッジ27は、ベルト25に固定されている。ベルト25は駆動モーター22によって駆動される。また、ベルト25は、レール26の両脇側に配置されたプーリーに掛け回された無端ベルトであり、駆動モーター22によって駆動され、レール26に沿ってキャリッジ27を移動させる。不図示のリニアスケールがレール26に沿って配置され、キャリッジ27にそのスケールの目盛を検出するセンサーが搭載されている。センサーによって目盛が検出され、キャリッジ27の位置を検出することができる。
移動するキャリッジ27の位置が検出できるので、その位置に応じてインクを吐出し、所望の画像を記録媒体に記録できる。
【0028】
ワイプユニット28は、キャリッジ27に搭載されている記録ヘッドのノズル面を、ワイパーによって払拭する装置である。プラテン23の側方に配置してある。キャリッジ27をワイプユニット28上に移動させ、記録ヘッドの長手方向に沿って、ワイパーを移動させて、ノズル面を払拭する。この例では、記録ヘッドの数分のワイパーを備えている。ワイパーによって、ノズル面を清掃することができる。
【0029】
図5は、インクジェットプリンターのブロック図である。制御手段30はインクジェットプリンター20の全体の動作を制御する制御手段である。ROM31に記憶するプログラムに従って動作する。RAM32は、制御手段30のワークメモリー、情報を一時的に記憶するメモリー、設定値などの所定の値を記憶するメモリーである。ROM31はプログラムの他に、初期値などの制御に必要な値を記憶する不揮発性メモリーである。
【0030】
メディア搬送手段33は搬送ローラー24を含み、記録媒体を搬送する手段である。記録媒体のことをメディアとも呼ぶ。メディア搬送手段33は制御手段30によって制御される。記録媒体を所定の長さ毎に、プラテン23上に搬送し、記録ヘッド36により記録する。キャリッジ搬送手段34は駆動モーター22、ベルト25、プーリーを含み、制御手段30によって動作が制御される。キャリッジ搬送手段34はキャリッジ27をレール26に沿って往復移動させる。
【0031】
印字制御手段35は制御手段30の制御によって動作する。印字制御手段35は記録ヘッド36を駆動し、インクを吐出させることができる。印字制御手段35は、後述のキャリッジ位置取得手段37によって取得されたキャリッジ27の位置に応じて記録ヘッド36の吐出駆動を行い、記録媒体にインクを吐出し、画像を記録する。キャリッジ位置取得手段37は制御手段30の制御によって動作し、キャリッジ27の位置を制御手段30に取得させる。キャリッジ位置取得手段37は、レール26に沿って配置されたリニアスケールおよびその目盛を検出するセンサーを含む。センサーでリニアスケールを読取り、キャリッジ27の位置を演算する。制御手段30は、キャリッジ27の位置を取得し、例えば、ワイプユニット28、クリーニングユニット1上などの所定の位置にキャリッジ27を移動する。また、制御手段30は、所得した位置に応じてインクを吐出する制御をする。キャリッジ27の特定の位置に記録ヘッドを配置することで、キャリッジ27の位置を取得することで、記録ヘッドの位置を取得でき、また、位置に応じてインクの吐出制御もできる。
【0032】
昇降手段38は制御手段30の制御によって動作する。昇降手段38は、キャップ2を昇降させる手段である。また、昇降手段38は、当接制御カム8を含む。当接制御カム8は不図示のモーターによって回転駆動させることができ、そのモーターを制御して、当接制御カム8の回転位置を制御する。また、昇降手段38は、昇降モーター7を含み、昇降モーター7を駆動し、キャップベース9を昇降させる。
【0033】
吸引手段39は、吸引ポンプ6を含み、制御手段30の制御によって動作する。吸引ポンプ6を駆動することで、キャップ2から空気、インクなどを吸引することができる。また、ノズル面にキャップ2が密着している時に吸引することで、密閉空間の気圧を下げ、インクをノズルから吸引することができる。
【0034】
払拭手段40は制御手段30の制御によって動作し、記録ヘッドを払拭する。払拭手段40はワイプユニット28を含む。払拭手段40は、記録ヘッドの払拭回数、払拭スピードなどを制御手段30から制御される。画像メモリー41は制御手段30の制御によって動作し、記録する画像データを記憶するメモリーである。例えば、キャリッジ27の1回の走査分の画像をこの画像メモリー41に記憶させ、キャリッジの位置に合わせてその画像データからデータを取得し、記録ヘッドからインクを吐出する。外部機器IF42は制御手段30の制御によって動作し、外部機器とのインターフェースであり、ホストコンピューターと接続し、外部機器から記録する画像データや機器の設定値などを制御手段30が取得することができる。操作パネル43は制御手段30の制御によって動作する。操作パネル43は、操作者の操作による入力手段、LCD表示装置による機器の状態、操作者への指示などの表示を行う。
【0035】
図6は、記録ヘッドのクリーニングの動作のフローチャートである。制御手段30の制御によって動作する。記録ヘッドのノズル面およびキャップ2をクリーニングする動作である。
【0036】
先ずステップS1では、記録ヘッドをクリーニングユニット1上から退避させる。このとき、クリーニングをする前に、余分な付着物などを予め除去することが好ましい。そこで、まずキャリッジ27をワイプユニットの上方に移動させ、ワイプユニットによってノズル面を払拭する。
【0037】
次にステップS2では、クリーニングユニット1のキャップ2の上に第1シート3を載置する。このとき、操作パネル43には、操作者に第1シート3をキャップ2上に載置する旨の指示の表示を行う。また、その操作が完了したことを入力させる指示の表示をする。操作が完了した旨の入力が無い場合は、次の処理に進まず、予め決められた所定時間、例えば1分、を超えても入力が無い場合は、クリーニング中に何か問題が生じたものと判断し、エラーの表示およびクリーニング動作を中止する。
【0038】
次にステップS3では、第1シート3に洗浄液を塗布する。このとき、操作パネル43には、操作者に第1シート3に洗浄液を塗布する旨の指示の表示を行う。また、その操作が完了したことを入力させる指示の表示をする。操作が完了した旨の入力が無い場合は次の処理に進まず、予め決められた所定時間、例えば1分、を超えても入力が無い場合は、クリーニング中に何か問題が生じたものと判断し、エラーの表示およびクリーニング動作を中止する。
【0039】
次にステップS4では、第1シート3の上に第2シートを載置する。このとき、操作パネル43には、操作者に第1シート3の上に第2シートを載置する旨の指示の表示を行う。また、その操作が完了したことを入力させる指示の表示をする。操作が完了した旨の入力が無い場合は次の処理に進まず、予め決められた所定時間、例えば1分、を超えても入力が無い場合は、クリーニング中に何か問題が生じたものと判断し、エラーの表示およびクリーニング動作を中止する。
次にステップS5では、クリーニングユニット1の上方にキャリッジ27を移動させる。
【0040】
次にステップS6では、昇降手段38を制御してキャップベース9を上昇させ、当接制御カム8とキャリッジ27の底面を当接させる。キャップ2、第1シート3、第2シート4は、変形する。第1シート3に滲み込んだ洗浄液は、キャップ2に付着して乾燥し、増粘したインクを軟化させる。また、第1シート3に滲み込んだ洗浄液は第2シート4にも滲み込み、そして、記録ヘッドのノズル面に付着して乾燥し、増粘したインクを軟化させる。ノズル面の全面を洗浄液の浸透した第2シート4で押えることで強固に固着したインク等の異物を払拭できる。
【0041】
キャップ2の先端部分が徐々に第1シート3に強く当接し、また第2シート4が徐々にノズル面に強く当接していく。キャップ2の先端部分が、変形を始めると第1シート3、第2シート4も変形を始める。この変形により、擦ることもできる。その後、変形が止まる位置まで移動する。変形により第1シート3に含まれる洗浄液は漏れ出し、漏れ出した洗浄液がインクの固まった物や増粘した物や異物などに到達し、浸透する。このとき、当接制御カム8を回転させて、当接圧の強弱を可変させながら当接させても良い。
非浸透部15を備える第2シート4を用いることで、隣同士の記録ヘッドのインクが混じることを防止できる。
【0042】
次にステップS7では、第2シート4を記録ヘッドに当接させたまま所定時間、例えば3分間、記録ヘッドおよびキャップ2の付着したインクを軟化させるのに十分な時間接触させる。キャップ2の先端とノズル面の汚れが洗浄できるので、密着の不具合を解消できる。非浸透部15を備える第2シート4を用いることで、隣同士の記録ヘッドのインクが混じることを防止できる。
【0043】
次にステップS8では、キャップ2を、昇降手段38を制御して降下させる。そして、キャリッジ27を移動させ、第1シート3と第2シート4を取り除く。第1シート3と第2シート4には、夫々キャップ2とノズル面のインク等が付着し洗浄が完了する。
【0044】
洗浄液は、記録ヘッドやキャップ部についたインクの顔料・染料成分や樹脂成分を再溶解させる性能が必要でインクの主溶剤を主成分とするのが好ましい。また、制御手段30は、前回のクリーニングからの間隔を計測し、所定の時間、例えば1日間、以上の間隔があく場合は、ノズル面とキャップ2の間隔を小さくし、接触する圧力を高める制御をしてもよい。例えば、制御手段30によって当接制御カム8を回転させ、当接位置を変える。接触の圧が高くなると、各部がクリーニングシートに強く当たり、洗浄液が多く染み出すことと、接触圧が高くなることで洗浄力が向上する。当接制御カム8の回転より接触圧を制御することができるので、洗浄力のばらつきが無く、常に同様の洗浄力を得ることができる。
【0045】
また、昇降手段38を制御して、徐々に、例えば段階的に、キャップ2を上昇させ、キャップ2の先端をゆっくり変形させてもよい。そうすることで、キャップ2の先端と第1シート3の擦れることで洗浄力を高めることができる。また、ゆっくり行うので、洗浄液によって固化したインクを溶かしながらこすることができる。また、ノズル面側もする距離は短いが、洗浄液によって固化したインクを溶かしながら第2シート4とノズル面を擦ることができる。
【0046】
図7は、記録ヘッドのクリーニングの別の例のフローチャートである。隣り合うキャップ2の一方がひどく汚れている場合に、洗浄液で溶けたそのキャップ2の汚れが、洗浄材を伝わって他方のキャップ2を再汚染してしまう場合があった。そこで、第2シート4のみを用いることで、この様な再汚染を防止できる。その動作を説明する。制御手段30の制御によって動作する。記録ヘッドのノズル面およびキャップ2をクリーニングする動作である。
【0047】
先ずステップS11では、記録ヘッドをクリーニングユニット1上から退避させる。このとき、クリーニングをする前に、余分な付着物などを予め除去することが好ましい。そこで、まずキャリッジ27をワイプユニットの上方に移動させ、ワイプユニットによってノズル面を払拭するのが好ましい。
【0048】
次にステップS12では、クリーニングユニット1のキャップ2の上に第2シート4を載置する。このとき、操作パネル43には、操作者に第2シート4をキャップ2上に載置する旨の指示の表示を行う。また、その操作が完了したことを入力させる指示の表示をする。操作が完了した旨の入力が無い場合は、次の処理に進まず、予め決められた所定時間、例えば1分、を超えても入力が無い場合は、クリーニング中に何か問題が生じたものと判断し、エラーの表示およびクリーニング動作を中止する。
【0049】
次にステップS13では、第2シート4に洗浄液を塗布する。このとき、操作パネル43には、操作者に第2シート4に洗浄液を塗布する旨の指示の表示を行う。また、その操作が完了したことを入力させる指示の表示をする。操作が完了した旨の入力が無い場合は次の処理に進まず、予め決められた所定時間、例えば1分、を超えても入力が無い場合は、クリーニング中に何か問題が生じたものと判断し、エラーの表示およびクリーニング動作を中止する。
次にステップS14では、クリーニングユニット1の上方にキャリッジ27を移動させる。
【0050】
次にステップS15では、昇降手段38を制御してキャップベース9を上昇させ、当接制御カム8とキャリッジ27の底面を当接させる。当接することで、キャップ2、第2シート4は、変形する。変形過程でキャップ2と第2シート4の当接位置が徐々に変わり、キャップ2を拭くことができる。第2シート4に滲み込んだ洗浄液は、キャップ2に付着して乾燥し、増粘したインクを軟化させる。また、第2シート4に滲み込んだ洗浄液は、記録ヘッドのノズル面に付着して乾燥し、増粘したインクを軟化させる。ノズル面の全面を洗浄液の浸透した第2シート4で押えることで強固に固着したインク等の異物を払拭できる。
【0051】
キャップ2の先端部分が第2シート4に当接し、また第2シート4がノズル面に当接していく。キャップ2の先端部分が、変形を始めると第2シート4も変形を始める。この変形により、擦ることもできる。その後、変形が止まる位置まで移動する。変形により第2シート4に含まれる洗浄液は漏れ出し、漏れ出した洗浄液がインクの固まった物や増粘した物や異物などに到達し、浸透する。このとき、当接制御カム8を回転させて、当接圧の強弱を可変させながら当接させても良い。
非浸透部15を備える第2シート4を用いることで、隣同士の記録ヘッドのインクが混じることを防止できる。
【0052】
次にステップS15では、第2シート4を記録ヘッドに当接させたまま所定時間、例えば3分間、記録ヘッドおよびキャップ2の付着したインクを軟化させるのに十分な時間接触させる。キャップ2の先端とノズル面の汚れが洗浄できるので、密着の不具合を解消できる。非浸透部15を備える第2シート4を用いることで、隣同士の記録ヘッドのインクが混じることを防止できる。
【0053】
次にステップS16では、キャップ2を、昇降手段38を制御して降下させる。そして、キャリッジ27を移動させ、第2シート4を取り除く。第2シート4には、夫々キャップ2とノズル面のインク等が付着し清掃が完了する。
【0054】
洗浄液は、記録ヘッドやキャップ部についたインクの顔料・染料成分や樹脂成分を再溶解させる性能が必要でインクの主溶剤を主成分とするのが好ましい。例えば、使用するインクの主溶剤と同じ成分を主に、例えば50%以上含むことが好ましい。また、さらに、主溶剤よりも溶解性の優れた溶剤をさらに含むことが好ましい。また、制御手段30は、前回のクリーニングからの間隔を計測し、所定の時間、例えば1日間、以上の間隔があく場合は、ノズル面とキャップ2の間隔を小さくし、接触する圧力を高める制御をしてもよい。例えば、制御手段30によって当接制御カム8を回転させ、当接位置を変える。接触の圧が高くなると、各部がクリーニングシートに強く当たり、洗浄液が多く染み出すことと、接触圧が高くなることで洗浄力が向上する。当接制御カム8の回転より接触圧を制御することができるので、洗浄力のばらつきが無く、常に同様の洗浄力を得ることができる。
【0055】
また、昇降手段38を制御して、徐々に、例えば段階的に、キャップ2を上昇させ、キャップ2の先端をゆっくり変形させてもよい。そうすることで、キャップ2の先端と第1シート3の擦れることで洗浄力を高めることができる。また、ゆっくり行うので、洗浄液によって固化したインクを溶かしながらこすることができる。また、ノズル面側も擦る距離は短いが、洗浄液によって固化したインクを溶かしながら第2シート4とノズル面を擦ることができる。