特許第6552901号(P6552901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552901
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】便器洗浄装置及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/24 20060101AFI20190722BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   E03D1/24
   E03D9/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-142472(P2015-142472)
(22)【出願日】2015年7月16日
(65)【公開番号】特開2017-25499(P2017-25499A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】張岳 和彦
(72)【発明者】
【氏名】濱田 修平
(72)【発明者】
【氏名】深川 雅史
【審査官】 小林 俊久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−256529(JP,A)
【文献】 実開平01−031170(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00 − 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体と、
前記便器本体の後方上面に取付けられるベースプレートと、
前記ベースプレートに取付けられる洗浄水タンクと、
手洗い部を備え、前記洗浄水タンクの全体を覆うタンクカバーと、
前記手洗い部に設けられる吐水部と、
前記吐水部と前記吐水部に水を導く導水管とに接続され、前記導水管からの水を前記吐水部へ流通させる接続部材と、
前記導水管及び前記接続部材を支持する導水管支持部材と、を備えた便器洗浄装置であって、
前記タンクカバーは、一体的に成形されて構成され、
前記導水管支持部材は、前記洗浄水タンクの外側に着脱可能に取付けられる便器洗浄装置。
【請求項2】
前記導水管は、一端部が前記洗浄水タンクに接続され、他端部が前記接続部材に接続される継ぎ目のない連続した1本の管部材により構成される請求項1に記載の便器洗浄装置。
【請求項3】
前記導水管及び前記接続部材は、前記導水管支持部材に対して着脱自在である請求項1又は請求項2に記載の便器洗浄装置。
【請求項4】
吐水部が設けられた手洗い部を備え、便器本体の後方上面に取付けられるベースプレートに取付けられる洗浄水タンクを覆うタンクカバーを、前記洗浄水タンクの全体を覆うように被せる工程と、
前記タンクカバーの外部から、前記タンクカバーの前記手洗い部に吐水部を取付ける工程と、を備え、
前記タンクカバーとして、一体的に成形されて構成された前記タンクカバーを用い、
前記洗浄水タンクに前記タンクカバーを被せる工程の前に、前記洗浄水タンクに、前記吐水部と前記吐水部に水を導く導水管とに接続された接続部材であって、前記導水管からの水を前記吐水部へ流通させる接続部材と、前記導水管と、を前記洗浄水タンクの外側に取り付けられた導水管支持部材に支持させた状態とする工程を有する便器洗浄装置の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器洗浄装置及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器を洗浄するための便器洗浄装置は、洗浄水タンクと、洗浄水タンクを覆うタンクカバーとを有している。洗浄水タンクは、便器本体の後方上面に取付けられる。タンクカバーは、洗浄水タンクの上方から洗浄水タンクを覆うようにして、設けられている。タンクカバーの上部は、手洗部を備えている。
【0003】
手洗部には、吐水部が設けられている。また、タンクカバーの背部側には、中空のバックガードが設けられており、その内部は、洗浄水タンクからの給水系の配管スペースとして用いられている。バックガードの中に給水系に連通させた接続管が固定され、これに吐水部が連結される。吐水部は、接続管を介してタンクカバーに固定される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、タンクカバーの背面には、開口部が形成され、開口部を覆う背面カバー体が設けられる。背面カバー体が開口部から取り外された状態とされて、吐水部には給水管が接続される。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−3381号公報
【特許文献2】特開2011−256529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報記載の従来の便器洗浄装置においては、給水管からの水を吐水部から吐出可能とするために、タンクカバーの手洗部に吐水部を取り付け、開口部から手や治具を差し込み、給水管と吐水部とを接続することは容易である。しかし、タンクカバーをこれらとは異なる形状、例えば、ベースプレートの上方から洗浄水タンクを覆うように被せる形状であって、洗浄水タンクがタンクカバーによって覆われて洗浄水タンクに対して固定された状態とされることにより、タンクカバーの外部からの、タンクカバーの内部の部材へのアクセスを不能とする形状とする場合には、上記公報記載の構成では、手や治具をタンクカバーの内部へ差し込むこと等ができないため、吐水部と給水管とを容易に接続することができない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンクカバーの外部からの、タンクカバーの内部の部材へのアクセスを不能とする形状を有する場合であってもタンクカバーをベースプレートの上方から洗浄水タンクを覆うように被せる際に、吐水部と、吐水部へ水を供給する給水のための部材とを容易に接続できる便器洗浄装置及びその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、便器本体(例えば、後述の便器本体11)と、前記便器本体の後方上面に取付けられるベースプレート(例えば、後述のベースプレート20)と、前記ベースプレートに取付けられる洗浄水タンク(例えば、後述の洗浄水タンク30)と、手洗い部(例えば、後述の手洗い部40)を備え、前記洗浄水タンクを覆うタンクカバー(例えば、後述のタンクカバー50)と、前記手洗い部に設けられる吐水部(例えば、後述の手洗い吐水管42)と、前記吐水部と前記吐水部に水を導く導水管(例えば、後述の手洗い側給水管33)とに接続され、前記導水管からの水を前記吐水部へ流通させる接続部材(例えば、後述の接続部材38)と、前記導水管及び前記接続部材を支持する導水管支持部材(例えば、後述の導水管支持部材34)と、を備えた便器洗浄装置(例えば、後述の便器洗浄装置100)であって、前記タンクカバーは、上部と下部とに分かれておらず上下一体で構成され、前記導水管支持部材は、前記洗浄水タンクに着脱可能に取付けられる便器洗浄装置を提供する。
【0009】
前記導水管は、一端部が前記洗浄水タンクに接続され、他端部が前記接続部材に接続される継ぎ目のない連続した1本の管部材により構成されることが好ましい。
【0010】
前記導水管及び前記接続部材は、前記導水管支持部材に対して着脱自在であることが好ましい。
【0011】
本発明は、吐水部(例えば、後述の手洗い吐水管42)が設けられた手洗い部(例えば、後述の手洗い部40)を備え、便器本体(例えば、後述の便器本体11)の後方上面に取付けられるベースプレート(例えば、後述のベースプレート20)に取付けられる洗浄水タンク(例えば、後述の洗浄水タンク30)を覆うタンクカバー(例えば、後述の洗浄水タンク30)を、前記洗浄水タンクに被せる工程と、前記タンクカバーの外部から、前記タンクカバーの前記手洗い部に吐水部を取付ける工程と、を備え、前記タンクカバーとして、上部と下部とに分かれておらず上下一体で構成された前記タンクカバーを用い、前記洗浄水タンクに前記タンクカバーを被せる工程の前に、前記洗浄水タンクに、前記吐水部と前記吐水部に水を導く導水管(例えば、後述の手洗い側給水管33)とに接続された接続部材(例えば、後述の接続部材38)であって、前記導水管からの水を前記吐水部へ流通させる接続部材と、前記導水管と、を支持させた状態とする工程を有する便器洗浄装置の施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タンクカバーの外部からの、タンクカバーの内部の部材へのアクセスを不能とする形状を有する場合であってもタンクカバーをベースプレートの上方から洗浄水タンクを覆うように被せる際に、吐水部と、吐水部へ水を供給する給水のための部材とを容易に接続できる便器洗浄装置及びその施工方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置100の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置100の分解斜視図である。
図3】上記実施形態に係る便器洗浄装置100のベースプレート20を示す斜視図である。
図4】上記実施形態に係る便器洗浄装置100のタンクカバー50を示す背面図である。
図5】上記実施形態に係る便器洗浄装置100のタンクカバー50の内部を示す下方斜視図である。
図6】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34を示す斜視図である。
図7】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の接続部材38を示す側面図である。
図8】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34に接続部材38が支持されている様子を示す斜視図である。
図9】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34が洗浄水タンク30のタンク本体31に固定されている様子を示す斜視図である。
図10】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34の、挟持部341を示す後方斜視図である。
図11】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34の、挟持部341を示す前方斜視図である。
図12】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の手洗い吐水管42と導水管支持部材34との位置関係を示す正面図である。
図13】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管クリップ44を示す正面図である。
図14】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43を示す下方斜視図である。
図15】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43を示す側方斜視図である。
図16】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43をタンクカバー50に接続する様子を示す拡大断面図である。
図17】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43に手洗い吐水管42の吐水管導水部421が挿入された様子を示す拡大断面図である。
図18】上記実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43に手洗い吐水管42の吐水管導水部421が挿入された様子を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の便器洗浄装置100の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置100の全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置100の斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置100の分解斜視図である。
【0015】
本実施形態の便器洗浄装置100は、図1及び図2に示すように、便器10と、ベースプレート20と、洗浄水タンク30と、手洗い部40と、タンクカバー50と、給水部60と、操作ダイヤル部71を有する流動操作機構70と、を備える。
【0016】
便器10は、便器本体11と、この便器本体11の上部に便器本体11に対して開閉可能に取り付けられる便座12及び便蓋13と、を含んで構成される。
【0017】
ベースプレート20は、便器本体11の後方の上面に取り付けられる。ベースプレート20の上方には、洗浄水タンク30が配置される。
ベースプレート20には、図2に示すように、後述する流動操作機構70の操作ダイヤル部71が取り付けられている。操作ダイヤル部71は、後述する給水部60から洗浄水を洗浄水タンク30に給水する給水流路部(図示せず)を流通する水の流れを調整する操作を行うことができる。洗浄水タンク30への水の供給が停止している場合においても、操作ダイヤル部71を操作することにより給水流路部に少量の水を流通させることができる。これにより、例えば、寒冷地等の冬季に給水部60の凍結のおそれがある地域において、少量の水を給水流路部に連続的に流通させて、給水部60の凍結を防ぐことができる。なお、便器洗浄装置100は、流動操作機構70を有していなくてもよい。
【0018】
洗浄水タンク30は、ベースプレート20の上方において、便器10の後方かつ上方に配置され、ベースプレート20に取り付けられており、便器本体11を洗浄する洗浄水を貯留する。この洗浄水タンク30は、図2に示すように、上面が開口したタンク本体31と、このタンク本体31の上面に配置され、タンク本体31の上面を覆う蓋部32と、を備える。
【0019】
以上の洗浄水タンク30の内部には、図2に示すように、給水部60が配置される。洗浄水タンク30には、給水部60を介して洗浄水が供給される。
また、タンク本体31の下部には、フロート弁(図示せず)により開閉される排水口(図示せず)が形成されている。そして、フロート弁を引き上げて排水口を開放することにより、タンク本体31の内部に貯留された洗浄水が排水口から流出して便器10に供給され、便器本体11が洗浄される。
【0020】
手洗い部40は、洗浄水タンク30の上方に配置される。手洗い部40は、手洗いボウル部41と、手洗い吐水管42と、吐水管固定部43と、吐水管クリップ44と、を備える。
【0021】
手洗いボウル部41は、タンクカバー50における上部カバー部51(後述)の一部により構成される。手洗いボウル部41は、手洗い吐水管42から吐出される手洗い水を受ける。この手洗いボウル部41の底部には、排水口(図示せず)が形成されている。
【0022】
手洗い吐水管42は、手洗いボウル部41の背部側の前面から前方に突出するように配置される。この手洗い吐水管42の先端部は、下方に開口している。
手洗い吐水管42は、基端部が手洗いボウル部41の背部側の前面に形成された吐水管取付穴41aに固定された吐水管固定部43に取り付けられた状態で、吐水管クリップ44により固定される。
【0023】
以上の手洗い部40には、洗浄水タンク30に供給される洗浄水の一部が、手洗い側給水管33を介して手洗い吐水管42に供給される。これにより、給水部60の動作により洗浄水タンク30に洗浄水が貯留される場合に、この貯留される洗浄水の一部が手洗い吐水管42から吐出される。
また、手洗い部40から排出される排水は、手洗い側排水管(不図示)を介して洗浄水タンク30に排出される。
【0024】
タンクカバー50は、上部カバー部51と、下部カバー部52と、を有する。タンクカバー50は、上部カバー部51と下部カバー部52とが、上部と下部とに分かれておらず、例えば、樹脂材料により一体的に成形されることで、上下一体で構成されて形成される。従って、タンクカバー50においては、例えば、上部カバー部51から下部カバー部52が分離する等のように、分離可能な複数の部材から構成されてはいない。
【0025】
上部カバー部51は、手洗い部40の手洗いボウル部41を含んで構成される。上部カバー部51は、タンクカバー50の上部に配置され、タンクカバー50の上部を塞ぐように形成される。
下部カバー部52は、方形筒状に形成される。下部カバー部52は、洗浄水タンク30の周囲を囲むように形成される。
【0026】
洗浄水タンク30にタンクカバー50を被せる場合には、図2に示すように、ベースプレート20の上部に洗浄水タンク30を配置して、ベースプレート20に操作ダイヤル部71を取り付ける。
この状態で、洗浄水タンク30を覆うように、タンクカバー50を洗浄水タンク30に被せて、タンクカバー50の下端部をベースプレート20に取り付ける。
そして、手洗いボウル部41の吐水管取付穴41aに吐水管固定部43を取り付けると共に、吐水管固定部43に手洗い吐水管42を取り付ける。その後、吐水管クリップ44を用いて、手洗い吐水管42を吐水管固定部43に固定する。また、タンクカバー50の一方の側部において、タンクカバー50の外部から洗浄操作レバーハンドル81を洗浄操作部82に取り付ける。
このようにして、図1に示すように、タンクカバー50は、洗浄水タンク30を覆うように、洗浄水タンク30に被せられる。
【0027】
次に、各部について詳細に説明する。以下の説明においては、洗浄水タンク30から便器10へと向う方向(図1の右下方向)を前方向とし、その反対方向を後方向とし、これらを前後方向と定義する。また、下部カバー部52から上部カバー部51へと向う方向を(図1の上方向)を上方向とし、その反対方向を下方向とし、これらを上下方向と定義する。また、タンクカバー50の側面であって洗浄操作レバーハンドル81が付いていない側から洗浄操作レバーハンドル81が付いている側へと向う方向を(図1の左下方向)を左方向とし、その反対方向を右方向とし、これらを左右方向と定義する。
【0028】
図3に示すように、ベースプレート20は、底板部21と、周壁22と、ガイド部23と、を有している。図3は、本実施形態に係る便器洗浄装置100のベースプレート20を示す斜視図である。底板部21は、略長方形状の板状を有しており、中央部に円形の貫通孔211が形成されている。また、底板部21の上面には、洗浄水タンク30をベースプレート20に対して固定するための凸部212が、複数形成されている。周壁22は、ベースプレート20の周縁から上方向かって延びるとともに、ベースプレート20の周囲を全周にわたって取り囲むように存在している。また、周壁22と底板部21とに跨るように、リブ221が設けられている。リブ221は、周壁22と底板部21とに一体的に成形されて形成されており、底板部21の周縁に沿った方向から見たときに、略三角形状の板状を有している。底板部21の四隅には、底板部21の上面に沿った方向において周壁22よりも外方に突出する所定位置決め凸部213が設けられている。所定位置決め凸部213は、底板部21の四隅の湾曲した形状に沿った形状を有して僅かに外方へ突出している。
【0029】
ガイド部23は、略長方形状の底板部21の前後方向に延びる一対の短辺の前端の両方の角部と、前後方向に延びる一対の短辺の途中の部分(中央部の部分)とに位置して、計4つ設けられている。ガイド部23は、平面視でコの字形状を有しており、コの字の開口部分は、底板部21の前側の2つの角部に位置するガイド部23においては、略長方形状の底板部21の長辺及び短辺に対して、45°の角度をなす方向であって、底板部21の外方へ開口している。また、前後方向に延びる短辺の中央部に位置するガイド部23においては、コの字の開口部分は、当該短辺に直交する方向へ開口している。
【0030】
より具体的には、ガイド部23は、略台形状を有する同一形状の一対の横側壁部231と、長方形状の奥側壁部232と、を有しており、一対の横側壁部231の奥側の側端縁同士が奥側壁部232に一体的に成形されて接続されている。一対の横側壁部231、奥側壁部232は、底板部21から上方へ向かって延びており、周壁22よりも上方に突出している。従って、ガイド部23は、ベースプレート20から上方へ立ち上がる周壁22から上方へ突出している。
【0031】
ガイド部23においては、奥側壁部232の上端が最も高い位置にあり、奥側壁部232の上端から横側壁部231の上端に沿って、底板部21の上面に平行に底板部21の外方へ向かうにつれて、徐々に下方へ延びる傾斜面235が、奥側壁部232の上端、及び、横側壁部231の上端によって形成されている。そして傾斜面235は、弧状に湾曲し、横側壁部231の側端縁に接続されている。そして横側壁部231の側端縁は、底板部21の上面に平行に底板部21の外方へ向かうにつれて、急激に下方へ延びる傾斜面236により構成されている。横側壁部231の側端により形成される傾斜面236の下端は、周壁22に一体的に成形されて接続されている。これらの傾斜面235、236はガイド面部を構成する。ガイド部23は、ベースプレート20に対する所定の位置、即ち、最終的に、タンクカバー50がベースプレート20に固定される位置(タンクカバー50の下端縁が所定位置決め凸部213に当接する位置(以下「カバー固定位置」とする))へ近づくようにタンクカバー50をガイドする。
【0032】
ベースプレート20の左右の下端部には、貫通口により構成されるビス孔222が形成されている。ビス孔222は、ベースプレート20の左右の下端部の、前後方向における中央の位置と、前寄りの位置との2箇所に形成されており、左右で計4箇所形成されている。
【0033】
図4に示すように、タンクカバー50は、前述のように上部カバー部51と、下部カバー部52とが一体的に成形されて形成されている。図4は、本実施形態に係る便器洗浄装置100のタンクカバー50を示す背面図である。上部カバー部51には、タンクカバー50の外部と内部とを連通する貫通孔として、多数のスリットを有する背面スリット部511と、吐水管取付穴41a(図2参照)のみが形成されている。背面スリット部511の各スリットは、それぞれ極めて細いため、背面スリット部511を通して、後述の接続部材38等にアクセスして、後述の接続部材38等の位置調整を行うことはできない。また、吐水管取付穴41aには、手洗い吐水管42が取り付けられるため、手洗い吐水管42の取付の際に、吐水管取付穴41aを通して、後述の接続部材38等にアクセスして、後述の接続部材38等の位置調整を行うことはできない。即ち、タンクカバー50は、ベースプレート20に取付けられ固定されることにより、タンクカバー50の外部からの、タンクカバー50の内部の部材へのアクセスを不能とし、タンクカバー50の内部の部材の位置調整を不能とする。
【0034】
タンクカバー50の上部カバー部51の内部には、図4図5に示すように、それぞれカバー側ガイド部を構成する水平方向ガイド部531と、規制部535とを有する。図5は、本実施形態に係る便器洗浄装置100のタンクカバー50の内部を示す下方斜視図である。水平方向ガイド部531は、底面視でL字状を有する一対の板状の部材により構成されており、左右方向におけるタンクカバー50の中央を中心として、左右対称の位置関係で存在している。
【0035】
より詳細には、水平方向ガイド部531は、前後方向ガイド板部532と、左右方向ガイド板部533と、を有している。前後方向ガイド板部532は、前後方向及び上下方向に平行な位置関係を有している。左右方向ガイド板部533は、左右方向及び上下方向に平行な位置関係を有している。前後方向ガイド板部532は、タンクカバー50の背壁501及び上壁502と一体的に成形されることにより、タンクカバー50の内部に設けられている。左右方向ガイド板部533は、タンクカバー50の上壁502と一体的に成形されることにより、タンクカバー50の内部に設けられている。一対の水平方向ガイド部531の左右方向ガイド板部533は、面一の位置関係を有している。一対の水平方向ガイド部531の左右方向ガイド板部533の下端縁は、図4に示すように、左右方向におけるタンクカバー50の中央に近づくにつれて上方向に向かって傾斜する傾斜面534を有している。傾斜面534には、後述の導水管支持部材34の側壁上方突出部365が当接可能であり、側壁上方突出部365は、傾斜面534に当接した状態で、傾斜面534に沿って移動可能である。即ち、水平方向ガイド部531は、タンクカバー50に対して導水管支持部材34を位置決めするとともに、導水管支持部材34に支持された接続部材38をタンクカバー50に対して水平方向における所定位置にガイドする。
【0036】
ガイド部23によりタンクカバー50がガイドされ始めた後に、タンク側被ガイド部としての側壁上方突出部365がカバー側ガイド部としての水平方向ガイド部531、規制部535にガイドされ始める位置関係をガイド部23は有する。
【0037】
具体的には、上下方向において、ベースプレート20のガイド部23の上端から、後述する支持部材支持部361の上端(側壁上方突出部365の上端)までの高さは、タンクカバー50の下端からタンクカバー50の水平方向ガイド部531の最下端(水平方向ガイド部531の左右方向ガイド板部533の下端縁の最下端)までの高さよりも短く、且つ、ベースプレート20の底板部21の下端面(所定位置決め凸部213の上面)から、後述する接続部材38のバネ395に外部から力が作用していないときの接続部381の上端までの高さは、タンクカバー50の下端から、タンクカバー50の規制部535の接続部当接部板部536の下端面の、弧状の凹部を形成している部分の最上端までの高さよりも長い。
【0038】
規制部535は、接続部当接部板部536と、接続部前後方向固定部538とを有している。接続部当接部板部536は、左右方向及び上下方向に平行な位置関係を有する一枚の板状を有しており、接続部当接部板部536の下端部は、上に凸を描く弧状の凹部537が形成されている。凹部537には、接続部材38の接続部381の上端が当接可能である。接続部前後方向固定部538は、前後方向及び上下方向に平行な位置関係を有する一対の板状を有しており、左右方向におけるタンクカバー50の中央を中心として、左右対称の位置関係で存在している。一対の接続部前後方向固定部538の下端部の後端部は、下方に突出する凸部539をそれぞれ有している。一対の凸部539の前方に、接続部材38の接続部381の上端が、凸部539及び接続部前後方向固定部538から離間し且つ接続部当接部板部536の下端部に当接した状態で配置される。即ち、規制部535は、接続部381の上方から接続部381の位置を規制する。
【0039】
図2に示すように、タンクカバー50の手洗い部40には、手洗い吐水管42を取付けるため吐水管取付穴41aが形成されている。吐水管取付穴41aは開口が略円形状を有している。吐水管取付穴41aを形成しているタンクカバー50の手洗い部40の部分は、取付部の周囲部を構成する。また、タンクカバー50の左右の下端部には、貫通口により構成されるビス孔522が形成されている。ビス孔522は、タンクカバー50の左右の下端部の、前後方向における中央の位置と、前寄りの位置との2箇所にそれぞれ形成されており、計4箇所形成されている。
【0040】
図9に示すように、タンク本体31の後部の上部であって、左右方向における中央部は、導水管支持部材34を支持するための後部支持部311を有している。図9は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34が洗浄水タンク30のタンク本体31に固定されている様子を示す斜視図である。図9においては、説明の便宜上、タンク本体31及び導水管支持部材34のみを図示し、他の部材の図示を省略している。後部支持部311は、タンク本体31の内方(前方)へ窪んで形成されている後部凹部314に対して、一段後方に下がった後退部312を有しており、後退部312の上端縁は、後方へ突出し上端縁に沿って左右方向に延びる係合突出部313を有している。後退部312には、導水管支持部材34が係合することにより、導水管支持部材34はタンク本体31に支持される。
【0041】
図6等に示すように、タンク側被ガイド部としての導水管支持部材34は、挟持部341と、延出部351と、支持部材支持部361とを有している。図6は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34を示す斜視図である。挟持部341は、図9図11に示すように、略平板部342と、波状板部346とを有している。略平板部342は、下方へ延びており、前面には、図11に示すように、一対のリブ343が設けられている。図10は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34の、挟持部341を示す後方斜視図である。図11は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34の、挟持部341を示す前方斜視図である。リブ343は、側方視で三角形状を有している。リブ343の前後方向における幅は、上方にゆくにつれて大きくなる。後面には、図10に示すように、僅かに後面から後方へ突出し上下方向に延びる線状凸部344が設けられている。線状凸部344は、略平板部342の左右方向における端縁近傍の位置において、上下方向に延びている。
【0042】
波状板部346は、側方視で波状を有する板状を有している。具体的には、波状板部346は、図10に示すように、波状板部346の上端から、先ず後方へ突出した後に下方且つ僅かに前方へ向って延びている。そして前方へ折れ曲がり、僅かに前方へ延びている。この部分により段部347が形成されており、この段部347には、タンク本体31の係合突出部313(図9参照)に係合可能である。そして、波状板部346は、下方へ折れ曲がり、僅かに略平板部342に近づき、その後、後方へ湾曲して、波状板部346の下端部へ至る。上記構成の略平板部342と、波状板部346とによって、後退部312が挟まれた状態で、前述のように波状板部346がタンク本体31の係合突出部313に係合して、導水管支持部材34は、タンク本体31から容易に外れないように取付けられ、タンク本体31に固定可能である。また、波状板部346を後方へ引き、タンク本体31の係合突出部313への波状板部346の係合を解除することにより、導水管支持部材34をタンク本体31から取外すことが可能である。
【0043】
延出部351は、略四角柱を半割したような形状を有して、上下方向に延びている。延出部351の下端部は、挟持部341に一体的に成形されることにより接続されている。延出部351の上端部は、支持部材支持部361に一体的に成形されることにより接続されている。延出部351の側壁により囲まれる空間には、図8等に示すように、手洗い吐水管42から吐出される手洗い水を手洗い吐水管42に供給するための手洗い側給水管33を収容可能である。図8は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の導水管支持部材34に接続部材38が支持されている様子を示す斜視図である。
【0044】
図8等に示すように、支持部材支持部361は、隔壁部362と、中壁363と、接続部材案内部364と、側壁上方突出部365と、を有している。隔壁部362は、手洗い側給水管33を収容可能な、延出部351の側壁により囲まれる空間の上端部形成する壁部により構成されている。隔壁部362の中央部には、隔壁部362を上下方向へ貫通する切り欠き366が形成されている。また、中壁363は、隔壁部362の前後方向中央位置から上方向へ延びている一対の壁部により構成されている。中壁363は、上下方向及び左右方向に平行な位置関係を有しており、上下方向に細長い長方形状を有している。一対の中壁363の互いに対向する側部の端縁には、接続部材案内部364がそれぞれ設けられている。接続部材案内部364は、あたかも円筒を軸方向に沿って割ったような形状を有しており、平面視では、弧状を有している。この一対の接続部材案内部364によって、軸心が上下方向に指向する仮想的な円柱状の空間が形成されている。この空間には、接続部材38の部分であって、バネ395の下端よりも上側の部分が収容され、接続部材案内部364は、接続部材38のこの部分を、接続部材案内部364に対して、上下方向に摺動可能に支持する。側壁上方突出部365は、一対の板状を有しており、中壁363の上端部の左右方向における両端部から、それぞれ上方へ延びており、吐水部としての手洗い吐水管42と、手洗い側給水管33が接続された接続部材38の接続部381との接続位置まで延びている。
【0045】
図7図8に示すように、接続部材38は、接続部381と、導水部384と、弾性部材としてのバネ395とを有している。図7は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の接続部材38を示す側面図である。接続部381は、後端部が閉塞された円筒形状を有しており、接続部381の軸心は、前後方向へ指向する位置関係を接続部381は有している。開口する接続部381の前端部の開口の周囲は、フランジ部382を有している。
【0046】
導水部384は、上端及び下端がそれぞれ開口する略円筒形状を有している。導水部384の軸心は、上下方向に指向する位置関係を、導水部384は有している。導水部384の上端部は、接続部381の後部の下部に一体的に成形されることにより接続されている。これにより、導水部384の内部の空間と、接続部381の内部の空間とは、連通している。導水部384の左右の側面には、接続部381から導水部384の下部に至るまで延びるリブ385がそれぞれ設けられている。また、導水部384の上部には、上下に2重の二重フランジ部386を有している。二重フランジ部386は、導水部384の上端部よりも少し下の部分に設けられている。二重フランジ部386は、一対の接続部材案内部364(図8参照)に対して、上下方向に摺動可能である。
【0047】
また、導水部384の前面及び後面には、バネガイド387が設けられている。バネガイド387は、二重フランジ部386から導水部384の中部に至るまで延びている。バネガイド387の下端部は、導水部384の半径方向外方へ突出するフック部388を有している。図7図8に示すように、フック部388と、二重フランジ部386と間には、弾性部材としてのバネ395が存在している。バネ395の上端部は、二重フランジ部386に当接している。バネ395の下端部は、フック部388に当接している。また、バネ395の下端部は、図8に示すように、接続部材38が支持部材支持部361に支持されているときには、支持部材支持部361の隔壁部362に当接する。
【0048】
接続部381がタンクカバー50の規制部535の接続部当接部板部536に当接することにより、弾性部材としてのバネ395が弾性変形して、接続部材案内部364に対して接続部材38が上下方向に摺動することにより、接続部381は、上下方向において導水管支持部材34に対する位置を調整可能である。バネ395が弾性変形することによる、接続部381を位置調整可能な範囲は、製品のばらつきを吸収できる範囲に設定される。二重フランジ部386及びバネ395は、吐水部としての手洗い吐水管42に水を導水する導水部材としての導水部384を支持する支持部材を構成する。
【0049】
以上のように、タンクカバー50及び接続部材38は、接続部381の位置をタンクカバー50に対する所定の位置に調整する調整機構を備える。調整機構は、水平方向ガイド部531と、規制部535と、バネ395と、ガイド部23と、を有している。
【0050】
図7に示すように、導水部384の下部には下部フランジ390が設けられている。導水部384の下部であって下部フランジ390よりも下方の部分には、手洗い側給水管33の上端部が容易に導水部384の下部から抜けないようにするための抜け止め391が形成されている。手洗い側給水管33には、手洗い側給水管33の上端部が下部フランジ390に至るまで、導水部384の下部が差し込まれる。従って、導水管支持部材34は、手洗い吐水管42に水を導く導水管としての導水部384や手洗い側給水管33を支持する。そして、手洗い側給水管33が接続された接続部材38の導水部384が、導水管支持部材34に対して着脱自在であることから、導水部384に接続され吐水部に水を導く導水管としての手洗い側給水管33についても、導水管支持部材34に対して着脱自在である。即ち、導水管支持部材34は、洗浄水タンク30のタンク本体31に固定されているため、接続部材38の導水部384や手洗い側給水管33は、タンク本体31に対して着脱自在である。
【0051】
手洗い吐水管42は、図17等に示すように、後方に延びる吐水管導水部421を有している。図17は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43に手洗い吐水管42の吐水管導水部421が挿入された様子を示す拡大断面図である。吐水管導水部421は、略円筒状を有している。吐水管導水部421は、固定部材としての吐水管固定部43に挿入されて吐水管固定部43を貫通し、吐水管導水部421の後端部は、接続部381の内部に位置している。従って、接続部381は、パッキン(図示せず)が介在した状態で、吐水部としての吐水管42と接続されており、接続部381の内部は、吐水管導水部421の内部に直接接続されて連通している。従って、吐水管導水部421は、タンクカバー50の内部の導水管としての手洗い側給水管33(図8等参照)と、接続部材38を通して接続されている。図12に示すように、手洗い吐水管42の下部には、貫通孔422が形成されている。貫通孔422から、吐水管クリップ44を、手洗い吐水管42の内部へ挿入可能である。図12は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の手洗い吐水管42と導水管支持部材34との位置関係を示す正面図である。図12においては、説明の便宜上、タンクカバー50の図示を省略している。
【0052】
図14図15に示すように、固定部材としての吐水管固定部43は、固定部筒状部431と、前側板状部432と、後側板状部433と、を有している。図14は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43を示す下方斜視図である。図15は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43を示す側方斜視図である。吐水管固定部43は、導水の機能を有しておらず、手洗い吐水管42をタンクカバー50に固定するためのものである。手洗い側給水管33からの手洗い水は、接続部材38を介して、吐水管固定部43を介さずに、手洗い吐水管42へ供給される。
【0053】
固定部筒状部431は、略筒状を有しており、固定部筒状部431の内周面により形成される空間は、貫通孔を構成する。前側板状部432は、固定部筒状部431の前端部に、一体的に成形されることにより接続されており、固定部筒状部431の周囲から固定部筒状部431の半径方向外方へ突出するフランジ形状を有している。後側板状部433は、固定部筒状部431の後端部近傍に、一体的に成形されることにより接続されており、固定部筒状部431の周囲から固定部筒状部431の半径方向外方へ突出するフランジ形状を有している。
【0054】
前側板状部432は、正面視で略長方形状の板状を有しており、上側に位置する長辺の中央には、上方へ湾曲して突出する湾曲凸部4321を有している。湾曲凸部4321は、前側板状部432から後方へ、前側板状部432と後側板状部433との略中間の位置まで突出して延びて形成されている。湾曲凸部4321の部分には、図14に示すように、固定部筒状部431の内周面が略直方体形状に固定部筒状部431の外方へ向って窪んだ直方体凹部4322が形成されている。前側板状部432の下端部(図15に示す前側板状部432の下端部)は、前方の上方から後方の下方へカットしたような斜面、即ち、斜面の法線が前方の下方から後方の上方へ指向する斜面を有している。
【0055】
前側板状部432の背面には、前側クリップ位置決め凸部4323が設けられている。前側クリップ位置決め凸部4323は、前側板状部432の背面の上部及び下部であって、固定部筒状部431よりも右側及び左側にそれぞれ1つずつ計4つ設けられている。前側クリップ位置決め凸部4323は、それぞれ左右方向に延びる直線状を有しており、前側板状部432の背面から僅かに後方へ突出している。前側板状部432の背面からの4つの前側クリップ位置決め凸部4323の突出量は、全て同一である。
【0056】
後側板状部433は、正面視で略長方形状の板状を有している。後側板状部433の前面には、後側クリップ位置決め凸部4331が設けられている。後側クリップ位置決め凸部4331は、後側板状部433の前面における固定部筒状部431の周囲であって、固定部筒状部431よりも右側に3つ、左側に3つ、下側に1つ、計7つ設けられている。後側クリップ位置決め凸部4331は、それぞれ左右方向に延びる直線状を有しており、後側板状部433の前面から前方へ突出している。更に、固定部筒状部431よりも下側に1つ設けられた後側クリップ位置決め凸部4331の、左右方向における中央位置には、後側クリップ位置決め凸部4331から固定部筒状部431へ向って延びる中央方向延出凸部4332が設けられている。後側板状部433の前面からの後側クリップ位置決め凸部4331の突出量は、上方へゆくほど多くなる。
【0057】
固定部筒状部431は、クリップ係合角部4311と、後側フランジ部4312と、後端部フック部4313と、位置決め凸部4314と、を有している。クリップ係合角部4311は、前後方向における前側板状部432と後側板状部433との間に位置する固定部筒状部431の周面の上部の左右に1つずつ、計一対設けられており、上下方向に延びる面と左右方向に延びる面とが交差することにより形成される角状部分により構成されている。後側フランジ部4312は、後側板状部433のすぐ後方の固定部筒状部431から、固定部筒状部431の半径方向外方へ僅かに突出するフランジ状を有している。後端部フック部4313は、固定部筒状部431の後端部において、左右に1つずつ存在しており、前方へ向うにつれて固定部筒状部431の半径方向における厚さが厚くなる楔形状を有している。位置決め凸部4314は、固定部筒状部431の後端部から下方へ延びる凸部により構成されている。位置決め凸部4314は、吐水管固定部43が吐水管取付穴41aに取付けられるときに、吐水管取付穴41aにおいて吐水管固定部43が回転しないように、位置決め凸部4314は、吐水管取付穴41aの下部に形成された係合凹部41bに係合する。
【0058】
図13に示すように、吐水部固定用係合部材としての吐水管クリップ44は、下端板状部441と、基部板状部444と、U字状係合部446と、を有している。図13は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管クリップ44を示す正面図である。下端板状部441は、手洗い吐水管42の後部の下部に形成された貫通孔422(図12等参照)に一致する略長方形の板状を有している。後述のように、U字状係合部446を貫通孔422に挿入し、U字状係合部446を固定部筒状部431に係合させたときに、貫通孔422を塞ぐように構成されている。下端板状部441の中央部には、長方形状の開口を有する貫通孔442が形成されている。基部板状部444は、下端板状部441に対して交差する位置関係を有する板状を有している。基部板状部444の下端部は、下端板状部441の上面に一体的に成形されることにより接続されている。基部板状部444の上端部は、U字状係合部446の中央部に一体的に成形されることにより接続されている。
【0059】
U字状係合部446は、前後方向に所定の幅を有する板状のU字状を有している。U字状係合部446の一対の先端部には、一方の当該先端部から他方の当該先端部に近づく方向へ突出する固定用突起447がそれぞれ設けられている。固定用突起447は、吐水管固定部43のクリップ係合角部4311に係合する。またU字状係合部446の中央部には、位置合わせ凸部448が設けられている。位置合わせ凸部448は、基部板状部444から離間する方向である上方へ向って、U字状係合部446の中央部から略直方体形状で突出しており、固定部筒状部431に当接して、固定部筒状部431に対する吐水管クリップ44の位置決めが行われる。
【0060】
以上の構成を備える本実施形態に係る便器洗浄装置100の組み立てについて、即ち、タンクカバー50を、洗浄水タンク30に被せ、タンクカバー50に吐水部を取付ける工程を有する施工方法について説明する。先ず、図2に示すように、便器本体11の後方の上面に取り付けられたベースプレート20に、洗浄水タンク30等を取り付けて固定する。次に、タンクカバー50をベースプレート20の上方から洗浄水タンク30を覆うようにして、洗浄水タンク30に被せてゆく。この際、タンクカバー50の下部の開口の前部の2つの角部の内面を、ベースプレート20の前部に位置している2つのガイド部23のガイド面部(傾斜面235、236)に当接させ、摺動させる。また、タンクカバー50の左右の側部の内面を、ベースプレート20の前後方向における中ほどに位置している2つのガイド部23のガイド面部に当接させ、摺動させる。これにより、ガイド面部によってタンクカバー50の下部がガイドされ、徐々にタンクカバー50は、カバー固定位置へ近づくようにガイドされる。
【0061】
このように、タンクカバー50がカバー固定位置へガイドされ始めると、支持部材支持部361の側壁上方突出部365の上端部は、タンクカバー50の内部の水平方向ガイド部531の左右方向ガイド板部533の傾斜面に当接して摺動する。この摺動により、一対の側壁上方突出部365の上端部は、それぞれ左右方向ガイド板部533と、規制部535の接続部当接部板部536と、の間の位置にガイドされる。
【0062】
そして、接続部材38の接続部381の上端部は、規制部535の接続部前後方向固定部538に当接するとともに、接続部当接部板部536の下端部の弧状の凹部537の部分に当接する。更に、タンクカバー50は、更に下方へ移動させられて、カバー固定位置へ近づくようにガイドされる。このとき、接続部材38の接続部381の上端部は、規制部535の接続部当接部板部536に当接しているため、接続部前後方向固定部538及び接続部当接部板部536によって下方へ押圧される。接続部材38は、弾性部材としてのバネ395を有しているため、バネ395が圧縮される。そして、最終的に、カバー固定位置へ、タンクカバー50が位置決めされたときに、接続部材38の接続部381の開口は、正面視で吐水管取付穴41aに一致した位置関係となる。また、側方視で、ベースプレート20のビス孔222と、タンクカバー50のビス孔522とが一致した位置関係となる。
【0063】
次に、図16に示すように、タンクカバー50の外部から、吐水管固定部43の固定部筒状部431を、固定部筒状部431の後端部から(後端部フック部4313から)吐水管取付穴41aに挿入してゆき、後端部フック部4313を吐水管取付穴41aへ押し込み、吐水管取付穴41aの周囲の部分に係合させて固定する。図16は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43をタンクカバー50に接続する様子を示す拡大断面図である。この状態では、固定部筒状部431の内周面により形成されている空間には、何も挿入されていないため、後端部フック部4313は、固定部筒状部431の半径方向内方へ移動しやすく、後端部フック部4313の、吐水管取付穴41aの周囲の部分への係合は、外れ易い状態にある。
【0064】
次に、手洗い吐水管42の吐水管導水部421を、タンクカバー50の前方の外部から、吐水管固定部43の固定部筒状部431に挿入し、固定部筒状部431により形成された貫通孔を貫通させ、吐水管導水部421を接続部材38の接続部381に接続させる。これにより、図17に示すように、固定部筒状部431の内周面により囲まれる空間に吐水管導水部421が充填されたような状態になる。これにより、図18に示すように、後端部フック部4313は、固定部筒状部431の半径方向内方(図18において矢印Aで示す方向)へ移動しようとしても、すぐに吐水管導水部421の側面に当接するため、固定部筒状部431の半径方向内方へほとんど移動できなくなる。図18は、本実施形態に係る便器洗浄装置100の吐水管固定部43に手洗い吐水管42の吐水管導水部421が挿入された様子を示す要部拡大断面図である。
【0065】
即ち、吐水管固定部43に挿入された状態の手洗い吐水管42の吐水管導水部421は、後端部フック部4313の、取付穴の周囲部(吐水管取付穴41aを形成しているタンクカバー50の手洗い部40の部分)への係合が外れる方向へ後端部フック部4313が移動することを阻害するように当接可能である。これにより、後端部フック部4313が吐水管取付穴41aの周囲の部分へ係合している状態が維持され、後端部フック部4313が吐水管取付穴41aの周囲の部分から、外れにくい状態が維持される。また、吐水管導水部421を接続部材38の接続部381に接続させる際に、吐水管導水部421が押し込まれることにより接続部381が後方へ押圧されるが、このとき、接続部381の上端部は、接続部前後方向固定部538の凸部539に当接することにより、接続部381の後方への移動が規制される。
【0066】
次に、吐水管クリップ44を、手洗い吐水管42の後部の下部に形成された貫通孔422に、U字状係合部446から挿入してゆく。そして、図15に示す吐水管固定部43に対して、図15の下方から吐水管クリップ44のU字状係合部446(図13参照)を上方へ移動させてゆき、U字の開口が上方に向けて開口する位置関係で、U字の開口に、固定部筒状部431を相対的に挿入してゆく。この際、一対のU字状係合部446は、図15に示す固定部筒状部431の手前側と奥側とにおいて、それぞれ前側板状部432の背面の前側クリップ位置決め凸部4323と、後側板状部433の前面の後側クリップ位置決め凸部4331との間に挿入される。そして、更にU字状係合部446を上方へ移動させてゆき、U字状係合部446の固定用突起447を、クリップ係合角部4311に係合させる。この係合は、タンクカバー50の外部において行われる。これにより、吐水管クリップ44は、吐水管固定部43に固定され、また、吐水管クリップ44の下端板状部441は、手洗い吐水管42の後部の下部に形成された貫通孔422に係合し、手洗い吐水管42は、タンクカバー50から外れない状態とされる。
【0067】
上記構成の実施形態による便器洗浄装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
前述のように、便器洗浄装置100は、便器本体11と、便器本体11の後方上面に取付けられるベースプレート20と、ベースプレート20に取付けられる洗浄水タンク30と、洗浄水タンク30を覆うタンクカバー50と、を備える。タンクカバー50は、上部と下部とに分かれておらず上下一体で構成され、ベースプレート20は、タンクカバー50をベースプレート20に対する所定の位置(カバー固定位置)にガイドする少なくとも2つのガイド部23を有する。
【0068】
この構成により、タンクカバー50をベースプレート20の上方から洗浄水タンク30を覆うようにして、洗浄水タンク30に被せてゆく際に、タンクカバー50をガイド部23によって、高い精度で、カバー固定位置にガイドすることができる。このため、タンクカバー50の内部の部材である接続部材38に対して、高い精度でタンクカバー50を位置決め可能とすることができる。また、ベースプレート20に対してタンクカバー50が斜めに固定されてしまうことを防止することができるため、ベースプレート20に対してタンクカバー50を固定するための、ベースプレート20のビス孔222とタンクカバー50のビス孔522とを高い精度で一致させることができ、ビスによるベースプレート20に対するタンクカバー50の固定を容易とすることができ、生産性を向上させることができる。また、ベースプレート20とタンクカバー50との位置ずれを抑制できるため、タンクカバー50と他の部品との干渉、誤組みを防止することができ、品位向上を図ることができる。
【0069】
また、ガイド部23は、ベースプレート20から上方へ立ち上がる周壁22から突出する。この構成により、タンクカバー50をベースプレート20の上方から洗浄水タンク30を覆うようにして、洗浄水タンク30に被せてゆく際に、周壁22の上端縁にタンクカバー50の下端縁が到達する前に、ガイド部23によってタンクカバー50をガイドすることができる。これにより、高い精度で、周壁22に対する所定の位置にタンクカバー50を位置決めすることができる。
【0070】
また、ガイド部23は、周壁22の内側から周壁22の外側へ向う方向、且つ、下方へ延びるガイド面部(傾斜面235、236)を有する。この構成により、底板部21に沿った方向における周壁22の内側においてガイド部23にガイドされ始めたタンクカバー50を、周壁22の外側までガイドすることができる。
【0071】
また、ベースプレート20は、長方形状を有する底板部21を備え、ガイド部23は、底板部21の少なくとも2つの角部に存在する。より詳細には、ベースプレート20は、前後方向に延びる一対の辺を有する長方形状を有する底板部21を備える。ガイド部23は、底板部21の一対の辺の前端の両方の角部と、底板部21の一対の辺のそれぞれの途中の部分と、に存在する。この構成により、ベースプレート20の後方に壁等が存在する場合であっても、前方から容易にタンクカバー50をガイド部23にガイドさせることができる。
【0072】
また、タンクカバー50は、洗浄水タンク30に接続されたタンク側被ガイド部としての導水管支持部材34がガイドされるカバー側ガイド部としての水平方向ガイド部531及び規制部535をタンクカバー50の内部に有する。ガイド部23によりタンクカバー50がガイドされ始めた後に、タンク側被ガイド部がカバー側ガイド部にガイドされ始める位置関係をガイド部は有する。
【0073】
この構成により、タンクカバー50をベースプレート20の上方から洗浄水タンク30を覆うようにして、洗浄水タンク30に被せてゆく際に、ガイド部23によりタンクカバー50がガイドされ始めてから、タンク側被ガイド部(導水管支持部材34)をカバー側ガイド部(水平方向ガイド部531、規制部535)にガイドさせることができる。このため、ガイド部23により、ベースプレート20に対するタンクカバー50の位置決めがなされてゆく途中で、先ず、ベースプレート20に対するタンクカバー50のおおよその位置決めがなされた後で、タンク側被ガイド部(導水管支持部材34)がカバー側ガイド部(水平方向ガイド部531、規制部535)にガイドされて、高い精度で、タンク側被ガイド部(導水管支持部材34)をタンクカバー50に対して位置決めすることができる。
【0074】
また、ガイド部23の上端からタンク側被ガイド部(導水管支持部材34)の上端までの高さは、タンクカバー50の下端からカバー側ガイド部(水平方向ガイド部531)までの高さよりも短い。
【0075】
この構成により、タンクカバー50をベースプレート20の上方から洗浄水タンク30を覆うようにして、洗浄水タンク30に被せてゆく際に、ガイド部23によりタンクカバー50がガイドされ始めてから、タンク側被ガイド部をカバー側ガイド部にガイドさせる構成を容易に実現することができる。
【0076】
また、便器洗浄装置100は、便器本体11と、便器本体11の後方上面に取付けられるベースプレート20と、ベースプレート20に取付けられる洗浄水タンク30と、手洗い部40を備え、洗浄水タンク30を覆うタンクカバー50と、手洗い部40に設けられる吐水部(手洗い吐水管42)と、吐水部と吐水部へ水を導く導水管(手洗い側給水管33)とを接続し、吐水部と接続される接続部381を有する接続部材38と、を備える。タンクカバー50は、上部と下部とに分かれておらず上下一体で構成され、タンクカバー50及び接続部材38は、接続部381の位置をタンクカバー50に対する所定の位置に調整する調整機構(水平方向ガイド部531と、規制部535と、バネ395と、ガイド部23)を備える。
【0077】
この構成により、接続部381の位置をタンクカバー50に対する所定の位置に調整できるため、タンクカバー50をベースプレート20の上方から洗浄水タンク30を覆うようにして、洗浄水タンク30に被せてゆく際に、高い精度で、接続部381をタンクカバー50に対する所定の位置に位置決めできる。この結果、吐水部を、タンクカバー50の外部から、容易に接続部381に接続することができる。この結果、ベースプレート20に取付けられ固定されることにより、タンクカバー50の外部からの、タンクカバー50の内部の部材の位置調整を不能とする形状を有するタンクカバー50を用いることができ、タンクカバー50のベースプレート20に対する着脱を容易とすることができる。また、従来のように、背面カバー体を取り外す手間を省くことができ、また、意匠性を向上させることができる。
【0078】
また、接続部材38は、調整機構を構成する弾性部材としてのバネ395を備え、接続部381がタンクカバー50に当接することによりバネ395が弾性変形して、接続部381の位置を調整可能である。この構成により、接続部381がタンクカバー50に当接することにより弾性部材としてのバネ395が弾性変形して、接続部381をタンクカバー50に対する所定の位置、即ち、手洗い吐水管42を接続部381に接続可能な位置に、容易に位置決めすることができる。
【0079】
また、タンクカバー50は、接続部381の上方から接続部381の位置を規制して調整機構を構成する規制部535をタンクカバー50の内部に有する。この構成により、上下方向において接続部381を、タンクカバー50に対する所定の位置、即ち、吐水部としての手洗い吐水管42を接続部381に接続可能な位置に、容易に位置決めすることができる。
【0080】
また、タンクカバー50は、接続部材38をタンクカバー50に対して水平方向における所定位置にガイドして調整機構を構成する水平方向ガイド部531を備える。この構成により、水平方向において接続部381を、タンクカバー50に対する所定の位置、即ち、吐水部を接続部381に接続可能な位置に、容易に位置決めすることができる。
【0081】
また、接続部材38は、吐水部としての手洗い吐水管42に水を導水する導水部材としての導水部384と、導水部384を支持する支持部材としての二重フランジ部386及びバネ395と、を備える。この構成により、タンクカバー50をベースプレート20の上方から洗浄水タンク30を覆うようにして、洗浄水タンク30に被せたときに、接続部381を、タンクカバー50に対する所定の位置、即ち、吐水部としての手洗い吐水管42を接続部381に接続可能な位置に、容易に配置させることができる。
【0082】
また、便器洗浄装置100は、便器本体11と、便器本体11の後方上面に取付けられるベースプレート20と、ベースプレート20に取付けられる洗浄水タンク30と、手洗い部40を備え洗浄水タンク30を覆うタンクカバー50と、手洗い部40に設けられる吐水部としての手洗い吐水管42と、吐水部と吐水部に水を導く導水管としての手洗い側給水管33とに接続され、前記導水管からの水を前記吐水部へ流通させる接続部材38と、導水管としての手洗い側給水管33及び前記接続部材38を支持する導水管支持部材34と、を備えている。タンクカバー50は、上部と下部とに分かれておらず上下一体で構成され、導水管支持部材34は、洗浄水タンク30に着脱可能に取付けられる。
【0083】
この構成により、手洗い吐水管42と手洗い側給水管33との接続部381をタンクカバー50に対する所定の位置に保持することができる。このため、従来では、タンクカバーに設けられた吐水部としての手洗い吐水管へ手洗い水を供給するための導水管としての手洗い側給水管は、洗浄水タンクに接続される構成を有していたが、この接続を不要とし、連続した構成とすることができる。このため、タンクカバー50の外部からの、タンクカバー50の内部の部材(接続部材38等)の位置調整を不能とするタンクカバー50を洗浄水タンク30から取外す際に、取外しを容易とすることができる。また、タンクカバー50をベースプレート20の上方から洗浄水タンク30を覆うようにして、洗浄水タンク30に被せてゆく際に、高い精度で、接続部381をタンクカバー50に対する所定の位置に位置決めできる。この結果、吐水部としての手洗い吐水管42を、タンクカバー50の外部から、容易に接続部381に接続することができる。また、導水管支持部材34は、洗浄水タンク30に着脱可能であるため、便器洗浄装置が手洗い部を有していない場合であっても、洗浄水タンク30を共通化して用いることができる。
【0084】
また、導水管としての手洗い側給水管33は、一端部が洗浄水タンク30に接続され、他端部が接続部材38に接続される継ぎ目のない連続した1本の管部材により構成される。この構成により、手洗い側給水管33の構成を簡単にすることができる。
【0085】
また、導水管としての手洗い側給水管33及び接続部材38は、導水管支持部材34に対して着脱自在である。この構成により、洗浄水タンク30と導水管としての手洗い側給水管33との接続部を設けずに済み、導水管としての手洗い側給水管33を連続した構成とし、必要に応じて、手洗い側給水管33及び接続部材38を導水管支持部材34から取外すことができる。従って、適宜、手洗い側給水管33及び接続部材38を導水管支持部材34に対して着脱して、便器洗浄装置100の組み立ての工程の自由度を高めることができる。
【0086】
また、便器洗浄装置の施工方法では、吐水部としての手洗い吐水管42が設けられた手洗い部40を備え、便器本体11の後方上面に取付けられるベースプレート20に取付けられる洗浄水タンク30を覆うタンクカバー50を、洗浄水タンク30に被せる工程と、タンクカバー50の外部から、タンクカバー50の手洗い部40に吐水部としての手洗い吐水管42を取付ける工程を備える。
タンクカバー50として、上部と下部とに分かれておらず上下一体で構成された前記タンクカバー50を用い、洗浄水タンク30にタンクカバー50を被せる工程の前に、洗浄水タンク30に、吐水部としての手洗い吐水管42と吐水部に水を導く導水管としての手洗い側給水管33とに接続された接続部材38であって、手洗い側給水管33からの水を吐水管42へ流通させる接続部材38と、吐水管42と、を支持させた状態とする工程を有する。この構成により、便器洗浄装置100の組み立てを容易とすることができる。
【0087】
また、便器洗浄装置100は、便器本体11と、便器本体11に接続される洗浄水タンク30と、手洗い部40を備え洗浄水タンク30を覆うタンクカバー50と、洗浄水タンク30の外側から手洗い部40に取付けられる吐水部としての手洗い吐水管42と、を備えた便器洗浄装置100であって、タンクカバー50は、上部と下部とに分かれておらず上下一体で構成され、タンクカバー50に形成された吐水管取付穴41aにタンクカバー50の外部から固定されて、吐水部としての吐水管42をタンクカバー50に固定する固定部材としての吐水管固定部43を備え、吐水管固定部43には、手洗い吐水管42の導水部(吐水管導水部421)がタンクカバー50の外部から貫通する貫通孔が形成され、手洗い吐水管42の吐水管導水部421は、貫通孔を貫通した状態で、タンクカバー50の内部の導水管(手洗い側給水管33)と接続される。
【0088】
この構成により、固定部材としての吐水管固定部43は導水の機能を有していないため、吐水管固定部43と他の部材との接続部分においてシール性を考慮せずに済む。また、吐水管固定部43に吐水部の導水部(吐水管導水部421)が挿入され、吐水管導水部421は、タンクカバー50の内部の手洗い側給水管33と接続されるため、吐水部の導水部(吐水管導水部421)をタンクカバー50の内部の手洗い側給水管33と接続するための、タンクカバー50の背面の開口部を形成しなくて済む。この結果、タンクカバー50として、ベースプレート20に取付けられ固定されることにより、タンクカバー50の外部からの、タンクカバー50の内部の部材(接続部材38等)の位置調整を不能とする形状を有するタンクカバー50を用いることができ、タンクカバー50の着脱を容易とすることができる。また、従来のように、背面カバー体を取り外す手間を省くことができ、また、意匠性を向上させることができる。
【0089】
また、固定部材としての吐水管固定部43は、吐水管固定部43の貫通孔の周囲に形成され取付穴(吐水管取付穴41a)の周囲部に係合可能なフック部4313を有し、貫通孔を貫通する吐水管導水部421は、吐水管取付穴41aの周囲部に係合しているフック部4313が吐水管取付穴41aの周囲部から外れることを阻害するように、フック部4313に当接可能である。この構成により、吐水管固定部43をタンクカバー50から外れにくくすることができ、これにより、吐水部をタンクカバー50から外れにくくすることができる。
【0090】
また、便器洗浄装置100は、吐水部としての手洗い吐水管42、及び、固定部材としての吐水管固定部43に係合することにより、吐水管42を吐水管固定部43に固定する吐水部固定用係合部材としての吐水管クリップ44を有する。この構成により、吐水管42を吐水管固定部43に対して容易に固定することができる。
【0091】
また、吐水部固定用係合部材としての吐水管クリップ44は、タンクカバー50の外部において、手洗い吐水管42及び吐水管固定部43に係合する。この構成により、タンクカバー50の外部において、容易に吐水管クリップ44を手洗い吐水管42及び吐水管固定部43に係合させることができる。
【0092】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0093】
例えば、便器洗浄装置の各部の構成は、本実施形態における各部の構成に限定されない。例えば、ガイド部23はベースプレート20に4つ設けられたが、この個数に限定されない。例えば、ガイド部は、底板部の少なくとも2つの角部に存在すればよい。また、接続部材38は、弾性部材としてバネ395を有していたが、バネ395に限定されない。例えば、接続部材38は、蛇腹や伸縮可能なロッドアンテナのようなもの等により構成されてもよい。
【0094】
また、タンクカバー50は、上部カバー部51と下部カバー部52とが一体的に成形されることにより形成され、タンクカバー50の外部と内部とを連通する貫通孔として、多数のスリットを有する背面スリット部511と、吐水管取付穴41aのみが形成されていたがこの構成に限定されない。タンクカバーは、上部と下部とに分かれておらず上下一体で構成されていればよい。この構成により、本実施形態のように、タンクカバーがベースプレートに取付けられ固定されることにより、タンクカバーの外部からの、タンクカバーの内部の部材へのアクセスを不能とし、タンクカバーの内部の部材の位置調整を不能とする構成をタンクカバーが有している場合でも、前述した効果を得ることができる。
【0095】
ここで、「ベースプレートに取付けられ固定されることにより、タンクカバーの外部からの、タンクカバーの内部の部材へのアクセスを不能とし、タンクカバーの内部の部材の位置調整を不能とする構成」とは、タンクカバーによって洗浄水タンクが覆われたときに、タンクカバーの外部からタンクカバーの内部の部材(接続部材38等)に対してアクセスすることができず、この結果、タンクカバーの外部からタンクカバーの内部の部材の位置調整ができなくなることを意味する。従って、タンクカバーが開閉可能な蓋部材によって塞がれた開口を有しており、タンクカバーによって洗浄水タンクが覆われた後に、蓋部材を開くことにより内部の部材の位置調整ができる場合や、手や治具を挿入して内部の部材の位置調整ができる程度の貫通孔が、タンクカバーによって洗浄水タンクが覆われた後に、タンクカバーに開放された状態で形成されている場合には、タンクカバーが「ベースプレートに取付けられ固定されることにより、タンクカバーの外部からの、タンクカバーの内部の部材へのアクセスを不能とし、タンクカバーの内部の部材の位置調整を不能とする構成」を有していることに該当しない。
【0096】
従って、例えば、タンクカバーが複数の部材を接合することにより構成されている場合であっても、当該複数の部材が接着剤等により互いに接合されていて、便器洗浄装置が組み立てられる際に、タンクカバーによって洗浄水タンクが覆われた後に、当該複数の部材のうちのいずれも取外すことができず、このため、タンクカバーの外部からタンクカバーの内部の部材に対してアクセスできず、タンクカバーの内部の部材の位置調整が不能となっていればよい。
【0097】
また、タンクカバー50及び接続部材38は、接続部381の位置をタンクカバー50に対する所定の位置に調整する調整機構を備え、調整機構は、水平方向ガイド部531と、規制部535と、バネ395と、ガイド部23と、を有していたが、この構成に限定されない。タンクカバー又は接続部材が、接続部の位置をタンクカバーに対する所定の位置に調整する調整機構を備えている構成を有していてもよい。
【符号の説明】
【0098】
20…ベースプレート
22…周壁
23…ガイド部(調整機構)
30…洗浄水タンク
33…手洗い側給水管(導水管)
34…導水管支持部材
38…接続部材(内部の部材)
40…手洗い部
42…手洗い吐水管(吐水部)
43…吐水管固定部(固定部材)
44…吐水管クリップ(吐水部固定用係合部材)
50…タンクカバー
100…便器洗浄装置
235、236…傾斜面(ガイド面部)
365…側壁上方突出部(タンク側被ガイド部)
381…接続部
384…導水部(導水部材)
386…二重フランジ部(支持部材)
395…バネ(弾性部材、支持部材、調整機構)
421…吐水管導水部
531…水平方向ガイド部(カバー側ガイド部、調整機構)
535…規制部(カバー側ガイド部、調整機構)
4313…後端部フック部
4314…位置決め凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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