特許第6552920号(P6552920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6552920-スロープ体のパネル連結構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552920
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】スロープ体のパネル連結構造
(51)【国際特許分類】
   A61G 3/06 20060101AFI20190722BHJP
   E01C 9/08 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   A61G3/06 705
   E01C9/08 B
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-170471(P2015-170471)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-46759(P2017-46759A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】根尾 正志
(72)【発明者】
【氏名】川口 聡
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−002695(JP,A)
【文献】 実公昭44−001787(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/06
E01C 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルを相互に嵌合連結して形成されるスロープ体のパネル連結構造であって、
一方の第1パネルは端部に嵌合凹部を有し、他方の第2パネルは端部に前記嵌合凹部の内側に挿入嵌合される嵌合凸部を有し、
前記嵌合凹部は上下の嵌合片部と、凹部の底部側に挿入凹部を有し、
前記嵌合凸部は前記上下の嵌合片部の内側に挿入される上下の挿入片部と前記上下の嵌合片部の先端部が突き当たる上下の当接部を有し、
前記第2パネルの上下の挿入片部を前記第1パネルの嵌合片部の内側に嵌合挿入すると上下の嵌合片部の先端部が第2パネル側の上下の当接部にそれぞれ当接し、第2パネル側の上側の挿入片部が第1パネル側の挿入凹部に挿入されており、前記下側の嵌合片部と挿入片部とが連結固定具で連結され、
前記スロープ体は複数の嵌合連結してあるパネル体のサイド側端部を固定するレール部を有し、
前記下側の、嵌合片部と挿入片部とを嵌合させた状態で当該嵌合片部、挿入片部及び前記レール部とが前記連結固定具で連結固定されていることを特徴とするスロープ体のパネル連結構造。
【請求項2】
前記レール部は嵌合溝部を有し、前記パネルのサイド側端部が前記嵌合溝部に挿入嵌合されていることを特徴とする請求項記載のスロープ体のパネル連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロアー部と地面との間や建築物の段差部に架け渡されるスロープ体のスロープ面を形成するための複数のパネルの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、これまでに車両のフロアーから地面に向けてスライド式に展開するスロープ装置(特許文献1)や、段差部に架け渡して使用する簡易スロープ(特許文献2)において、複数のパネル体を前後方向に連結してスロープ面を形成する技術を提案している。
本発明は、この複数のパネル体の新たな連結構造の提案に関する。
例えば、特許文献3にはパネル体の端部を相互の爪部による嵌合構造が開示されているが、スロープ面に車椅子等の局部荷重が加わると嵌合爪部が外れてしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3909739号公報
【特許文献2】特許第5537136号公報
【特許文献3】特開2013−106879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、パネル体の連結部の強度に優れたスロープ体のパネル連結構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数のパネルを相互に嵌合連結して形成されるスロープ体のパネル連結構造であって、一方の第1パネルは端部に嵌合凹部を有し、他方の第2パネルは端部に前記嵌合凹部の内側に挿入嵌合される嵌合凸部を有し、前記嵌合凹部は上下の嵌合片部と、凹部の底部側に挿入凹部を有し、前記嵌合凸部は前記上下の嵌合片部の内側に挿入される上下の挿入片部と前記上下の嵌合片部の先端部が突き当たる上下の当接部を有し、前記第2パネルの上下の挿入片部を前記第1パネルの嵌合片部の内側に嵌合挿入すると上下の嵌合片部の先端部が第2パネル側の上下の当接部にそれぞれ当接し、第2パネル側の上側の挿入片部が第1パネル側の挿入凹部に挿入されており、前記下側の嵌合片部と挿入片部とが連結固定具で連結されていることを特徴とする。
本明細書では、複数のパネルを連結して形成されるスロープ方向を前後方向と表現し、それと直交する左右方向端部をサイド側と表現する。
【0006】
本発明において、スロープ体は複数の嵌合連結してあるパネル体のサイド側端部を固定するレール部を有し、前記下側の、嵌合片部と挿入片部とを嵌合させた状態で当該嵌合片部、挿入片部及び前記レール部とが前記連結固定具で連結固定されていてもよい。
この場合にさらに、レール部は嵌合溝部を有し、前記パネルのサイド側端部が前記嵌合溝部に挿入嵌合されているのが好ましい。
このようにすると、前後のパネル体とレール部とが一体的に連結固定されるので、連結部の固定強度が更に強くなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るパネル体の連結構造にあっては、前後のパネル端部を相互に嵌合連結した際に、一方の第1パネル側の上下の嵌合片部の先端部が他方の第2パネルの挿入片部の根元側に形成した上下の当接部に当接しているとともに、上側の挿入片部の端部が第1パネル側の挿入凹部に挿入された状態になるので、連結部の上部に局部荷重が付加されても上側の嵌合片部先端部と挿入片部先端部とが他方の当接部と挿入凹部にそれぞれ突き当たるので、撓みに対する変形力が吸収される。
また、この際に下の嵌合片部と挿入片部とがビスやボルト等の連結固定具で連結されているので、相互に離れる方向に撓むのを抑える。
【0008】
これにより、複数のパネルの連結強度に優れ、全体としてスロープ体の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は相互のパネル連結部の前後方向断面図を示し、(b)はA−A線断面図(左右方向)を示す。
図2】(a)はスロープ体の部分平面図を示し、(b)はスロープ体の前後方向の部分断面図を示す。(c)はパネルの断面形状例を示す。(d)は第2スロープ体を第1スロープ体に沿って縮小方向にスライドさせた状態を示す。
図3】パネルをレール部に連結固定する手順を示す。(a)はレール部及びそのB−B線断面図、(b)は第2パネルの挿入片部(嵌合凸部)の形状例を示す。(c)は第1パネルの嵌合片部(嵌合凹部)の形状例を示す。(d)は第1パネルと第2パネルを嵌合させた状態、(e)はレール部に連結固定する説明図を示す。
図4】パネル間の連結構造例を示す。(a)は連結部の斜視図、(b)はナットの取り付け例、(c)はボルト,ナットによる連結例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るスロープ体のパネル連結構造例を車両のフロアー部から外側にスライド展開するスロープ装置を例に説明するが、本発明は建築物の段差解消を目的としたスロープ体等、スロープの用途に制限はない。
【0011】
図2(a)に第1スロープ体10から第2スロープ体20がスライド伸縮するスロープ装置の部分的な平面図を示す。
その前後方向の断面図を図2(b)に示し、参考として第2スロープ体20を第1スロープ体に沿ってスライド縮小した状態を図2(d)に示す。
本実施例では、第1スロープ体10も第2スロープ体20も同様のパネル連結構造を採用しており、以下第1スロープ体10にて説明する。
連結するパネルの枚数に制限はなく、便宜上、一方のパネルを第1パネル11,他方のパネルを第2パネル12と表現して、その連結端部の構造を以下説明する。
図2(c)には、上記2つのパネルの断面形状例を示す。
パネル11,12は、下面部11a,12aと上面部11b,12bとの間を複数の縦リブ11d,12dで連結した中空断面形状の例になっている。
パネル11,12は、一方の端部に上下の嵌合片部からなる嵌合凹部を形成し、他方の端部にこの上下の嵌合片部の内側に挿入嵌合される上下一対の挿入片部からなる嵌合凸部を有する。
説明の便宜上、第1パネル11の嵌合凹部の上下の嵌合片部を符号11f,11gで表現し、第2パネルの嵌合凸部の上下の挿入片部を符号12e,12fで表現し、それに合せて対応する構造を符号を付けて説明する。
【0012】
図1にパネルの連結部の断面図を示し、図3に連結手順を示す。
第1パネル11は、下面部11aと上面部11bとを連結した端部の縦リブ11cから、それぞれ延在するように突設した上側の嵌合片部11fと、下側の嵌合片部11gで内側に嵌合凹部を形成し、嵌合凹部の底部の上部側にさらに凹ませた挿入凹部11eを有する。
第2パネル12は、端部の縦リブ12cの上部に上面部12bから一段下がった段差状の当接部12hと、下部に下面部12aから一段上がった段差状の当接部12gを形成しつつ、第1パネルの嵌合凹部の内側に嵌合挿入される上側の挿入片部12eと下側の挿入片部12fとからなる嵌合凸部を形成してある。
第1パネル11,第2パネル12は、図4に示すような連結部を有する。
第1パネルは、下側の嵌合片部11gにボルト挿入孔11jを有し、第2パネルは上側の挿入片部12eにナット作業孔12iを有し、予め下側の挿入片部12fに設けたボルト挿入孔の内側にナットを圧入等により取り付ける。
第1パネル11の上下の嵌合片部11f,11gの内側に、第2パネル12の上下の挿入片部12e,12fを挿入すると、嵌合片部11f,11gの先端部が第2パネルの上下の当接部12h,12gに突き当たる。
この際に、上側の挿入片部12eの先端部がさらに第1パネルの凹部の底部に設けた挿入凹部11e内に挿入及び支持される。
この状態で、下側の嵌合片部11gと挿入片部12fとが重なり、下側からボルト13aで連結する。
【0013】
本実施例では、図1(b),図2(a),(b),(d)に示すように、パネルのサイド端部をレール部14にて固定した例になっており、第1スロープ体10のレール部14に沿って、第2スロープ体20がスライドするようになっている。
レール部14は、ベース部14aから立設壁14cを形成し、内側に第2スロープ体20のスライド溝部14fを形成してある。
立設壁14cの途中から嵌合つば部14dを水平方向内側に突設し、ベース部14aと嵌合つば部14dとの間に嵌合溝部14eを形成してある。
ベース部14aからは、内側に延在させた連結部14bをフランジ状に設けてある。
これにより、相互に嵌合させた第1,第2パネルのサイド端部をレール部14の嵌合溝部14eに挿入嵌合させ、第1パネル11と第2パネル12との連結に用いた連結固定具により、このレール部14の連結部14bにボルト挿入孔14gを設けてパネルとレール部とも連結固定した例になっている。
これにより、前後方向に連結したパネルとレール部とが一体的に連結固定されているので、スロープ体に局所的な荷重が付加されても連結部の開きを防止し、強度に優れる。
【符号の説明】
【0014】
10 第1スロープ体
11 第1パネル
12 第2パネル
13 連結固定具
20 第2スロープ体
図1
図2
図3
図4