特許第6552960号(P6552960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6552960組換えペプチドを生産するための方法および得られるペプチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552960
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】組換えペプチドを生産するための方法および得られるペプチド
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/06 20060101AFI20190722BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20190722BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20190722BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20190722BHJP
【FI】
   A61K38/06
   A61K38/08
   A61P15/00 171
   !C12P21/02 CZNA
【請求項の数】11
【全頁数】83
(21)【出願番号】特願2015-503152(P2015-503152)
(86)(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公表番号】特表2015-515855(P2015-515855A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】RU2013000433
(87)【国際公開番号】WO2013151467
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年5月27日
【審判番号】不服2018-2606(P2018-2606/J1)
【審判請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】514244653
【氏名又は名称】アイビックス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IVIX LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミャソエドフ,ニコライ・フェドロビチ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリーバ,リュドミラ・アレクサンドロブナ
(72)【発明者】
【氏名】ゴリコフ,ドミトリー・ビクトロビチ
【合議体】
【審判長】 田村 聖子
【審判官】 吉田 知美
【審判官】 冨永 みどり
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/140926(WO,A1)
【文献】 特開2018−118973(JP,A)
【文献】 Annals of Neurology,2003,Vol.54,No.5,p.655−664
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K38/00-38/58
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
性的または生殖機能の刺激を必要とする哺乳類における性的または生殖機能を刺激するための医薬組成物であって、一般式:
Thr-Lys-Pro-X
(ここにおいて、XはC末端OH、OCH3、NH2である)
を有するペプチドを含む医薬組成物。
【請求項2】
一般式:
Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-X
(ここにおいて、XはC末端OH、OCH3、NH2である)
を有するペプチドを含む医薬組成物
【請求項3】
一般式:
Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-Phe-X
(ここにおいて、XはC末端OH、OCH3、NH2である)
を有するペプチドを含む医薬組成物
【請求項4】
前記ペプチドが組換え微生物における発現により産生される、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ペプチドが化学合成により産生される、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ペプチドは、塩の形態で組成物中に存在する、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
性的または生殖機能の刺激を必要とする哺乳類における性的または生殖機能を刺激するための医薬を製造するための、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
前記哺乳類が生殖または性的機能障害である、請求項に記載の使用。
【請求項9】
生殖または性的機能障害の治療または予防処置を必要とする哺乳類における生殖または性的機能障害の治療または予防処置のための医薬を製造するための、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
性的または生殖機能の刺激を必要とする哺乳類における性的または生殖機能を刺激するためのものである、請求項2に記載の医薬組成物
【請求項11】
性的または生殖機能の刺激を必要とする哺乳類における性的または生殖機能を刺激するためのものである、請求項3に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2012年3月28日に出願されたロシア連邦特許出願第2012111965号の優先権を主張する、2013年5月28日に出願された国際特許出願第PCT/RU2013/000433号の米国特許法第371条に基づく米国国内段階出願である。国際出願は、特許協力条約第21条(2)に基づく国際公報第WO2013/151467号として、2013年10月10日に公開された。これらの出願の内容全体が、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書中に援用される。2014年10月31日に作成された上記ASCIIの写しは、246273.000002_SL.txtと称され、サイズは503,566バイトである。
【0003】
発明の分野
本発明は生化学の分野に関し、ペプチドの生産のための組換え方法および得られるペプチドに関する。特に、本発明は、次の一般式:
A-Thr-Lys-Pro-B-C-D-X
(式中、
A - 0, Met, Met (O), Thr, Ala, His, Phe, Lys, Gly
B - 0, Gly, Asp, Trp, Gln, Asn, Tyr, Pro, Arg
C - 0, Arg, Phe, Tyr, Gly, His, Pro, Lys
D - 0, Val, Gly, Tyr, Trp, Phe, His
X - OH, OCH3, NH2
であり、式中、0はアミノ酸残基が存在しない。但し、A≠0の場合、Bおよび/またはCおよび/またはD≠0であり、B≠0の場合、Cおよび/またはD≠0であり、Phe-Thr-Lys-Pro-Gly、Thr-Lys-Pro-Pro-Arg、Thr-Lys-Pro-Arg-Glyのペプチドを除く。)
を有するペプチドに関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
低分子ペプチドは、非常に高い活性を示し、障害が生じた器官において自然治癒を促すことが知られている。一般に知られるように、より低分子のペプチドは、初めは動物組織に由来し、後に実験室条件下で生産されるようになる。ペプチドを含有する医薬品は、損傷した体細胞を修復し、影響を受けた器官に失われた機能を戻し、若返らせることが可能である。ペプチドを含有する医薬品は30年以上前に開発されており、その時から、何百もの実験が行われ、さまざまな全身の疾患の処置および予防、ならびに個々の器官および体全体の若返りにおけるペプチドの有効性が証明されてきた。
【0005】
体内では、ペプチドは情報メッセンジャーを務めている。ペプチドは、すべてがうまく時間通りに行われ得るように、ある細胞から別の細胞へ情報を伝達する。1つの細胞が適切に機能すれば、対応する器官はうまく働く。機能不全が生じると、それは器官全体に影響を及ぼし、疾患を引起す。体内に欠損している物質を導入することにより、疾患を処置することが可能であるのは明らかであるが、このアプローチは、細胞を完全に「損なって」しまい、適切な機能の働きを止めてしまうおそれがある。したがって、体が自然治癒するように細胞を機能させるペプチドメッセンジャーを細胞に送達する必要がある。各器官は、貯蔵幹細胞の供給を有する。この供給が均等に消費されれば、人は100〜110歳まで生きる。ペプチドは、すべての哺乳類について同じである。したがって、仔ウシペプチドがヒトに導入されれば、ヒトの体は生来の分子としてそれを取入れる。主な課題は、動物器官からペプチドを単離する方法を見つけることであった。この技術は、早くも1971年に、軍病院のVladimir Morozov教授およびVyacheslav Havinson教授によって発明
された。医薬品が開発され、その後これらに基づいて、栄養補助食品が使用し易いため作られた。老化過程および老化に影響を及ぼす方法の研究において、サンクトペテルブルク老年医学研究所の研究員らは、ペプチドをマウスの実験群の飼料に導入すると、平均寿命が30〜38%延びたことを結論づけた。その後、キエフ老年医学研究所およびサンクトペテルブルクにおいて、高齢者に対してペプチドの研究が行われた。これは、死亡率のほぼ2倍の低下を示し、ペプチドの高い老化保護的活性が示唆された。ペプチド医薬品の長期的な研究および使用は、異なる年齢群の患者においてこれらの高い有効性を示したものの、高齢者(50歳以上)において特別な有効性が観察された。ペプチド生体調節剤の絶対的利点は、副作用が一切無いことである。26年以内に、さまざまな病状をかかえる1
500万人を超える人々が、このような製品を受け入れた。これらの有効性は、平均75〜95%にまでなった。年齢および病状変化とともに発生するペプチド不足は、組織消耗および体老化を顕著に加速させる。実際、細胞および組織が適当に機能するには適量のペプチドが必要であり、適量のペプチドはまた、最適な遺伝子の働きをサポートする。ペプチドに特異的な細胞において機能するペプチドは、その細胞において合成される。したがって、病状変化において、さらに年齢とともに、細胞機能は破壊されるため、ペプチド複製も影響を受ける。その結果、細胞機能は二次的に影響を受ける。したがって、組織の退化が進行し、結局は臨床的に表れる。そのため、低分子ペプチドの適用は、医学における主要な革新のひとつであり、細胞増殖および組織再生を刺激するとともに、細胞寿命を向上させることにより、老化の速度を顕著に遅めることができる。ペプチドの別の重要な利点は、抗腫瘍作用である。現在、ペプチドの使用は、活性化 (体の若返り)および癌予防
において最善な妥協のない解決策である。なぜなら、それは、すべての循環過程の調節および同期によってのみでなく、非定型性(非定型性は、誤った細胞構造、または異常である)なしに細胞分裂能を増大させることにより、細胞および組織を若返らせることができるためである。
【0006】
当然のことながら、技術の現段階では、動物組織からの低分子ペプチドの生産は非実用的である。なぜなら、この方法は、生産プロセスの人道性は言うまでもないが、非常に高額なためである。
【0007】
現代的で高度な生産方法は、組換え微生物の使用を含む。最も便利な微生物は大腸菌である。大腸菌K12、大腸菌O104など、実験室条件下での使用に好適な大腸菌の商用菌株が先行技術において知られている。これらおよび同様の既知の大腸菌を使用して、請求の範囲の低分子ペプチドを産生する菌株を得ることができる。対応する標的低分子ペプチドをエンコードする核酸は、実験室条件下での使用に好適な任意の既知の菌株に組込まれることができる。細菌性プラスミド、ウィルス、ビリオン、ファージDNAを含有するハイブリッドベクター、およびプラスミドなどのベクターは、宿主細胞にDNAを挿入するために使用される。これらのベクターとしては、たとえば、コスミドおよびファスミドが含まれる。
【0008】
さらに、従来の化学合成によりペプチドを生産することが可能である。
提案されるペプチドは、生殖および性的機能の刺激ならびに生殖および性的機能障害の処置のための手法の範囲を拡大するという、現在も未だ重要な課題を解決する。現在、このような病状の病原的処置は、精神療法、抗うつ剤、抗不安剤、アダプトゲン、ならびにビタミン剤、一般の工場系刺激剤、およびダイエット栄養補助食品を用いて行われている。このような処置は長く、非能率的で、多くの副作用を伴う。
【0009】
生殖および性的機能の刺激剤の生産に好適な、最も有効的なクラスの生理活性物質のひとつはペプチドであり、ペプチドは内在性物質として、マイナスの副作用を事実上有さない。
【0010】
我々自身の調査は、内在的に産生されるペプチドであるタフトシンの合成類似体である、一般式Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-Gly-ProのヘプタペプチドであるSelankが、生殖および性
的機能障害の処置および予防のための手法として使用可能であることを示した(ロシア連邦特許第2404793号)。しかしながら、ヘプタペプチドであるSelankの合成は多段であり、これに基づく医薬品のコストは大幅に増加してしまう。さらに、体内で強い蛋白質分解に晒されるため、生殖および性的機能障害の予防および処置に対するその刺激効果が低減する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の開示
発明の目的は、生殖および性的機能刺激活性を有する手法の範囲を拡大することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明を実施すると達成される技術的成果は、生殖および性的機能障害の予防および処置の有効性の増大、治療の経過の期間の短縮、ならびに薬剤のコスト低下である。ここで、次の一般式を有するペプチドが医薬品として提案される。
【0013】
A-Thr-Lys-Pro-B-C-D-X
(式中、
A - 0, Met, Met (O), Thr, Ala, His, Phe, Lys, Gly
B - 0, Gly, Asp, Trp, Gln, Asn, Tyr, Pro, Arg
C - 0, Arg, Phe, Tyr, Gly, His, Pro, Lys
D - 0, Val, Gly, Tyr, Trp, Phe, His
X - OH, OCH3, NH2
であり、式中、0はアミノ酸残基が存在しない。
但し、A≠0の場合、Bおよび/またはCおよび/またはD≠0であり、B≠0の場合、Cおよび/またはD≠0であり、Phe-Thr-Lys-Pro-Gly、Thr-Lys-Pro-Pro-Arg、Thr-Lys-Pro-Arg-Glyのペプチドを除く。)
【0014】
A、B、C、D、およびX位のアミノ酸残基の選択は、データベース[EROP-Moscow (http://erop.inbi.ras.ru/) Zamyatin A.A.]中のN末端およびC末端アミノ酸残基の対応する位置でのアミノ酸残基頻度の生物情報学的分析に基づく。これらのアミノ酸残基の選択は、その位置のアミノ酸残基の50%を超える出現率の基準に基づいて行われた。このアミノ酸残基のサンプルは、個々のペプチドを合成し、生体内モデルにおける生殖および性的機能活性の刺激についてこれらを試験することにより、実験により確認された。ペプチド中のファルマコフォア位置は、実験により決定される。すべてのペプチドは、ペプチダーゼに晒され、特定のフラグメントに分解することが知られている。この目的のために、Thr-Lys, Thr-Lys-Pro, Pro-Gly-Pro, Arg-Pro-Gly-Pro, Pro-Arg-Pro-Gly-ProのSelank
ヘプタペプチドフラグメントを合成し、これらの活性を研究した。結果を表4に示す。この分析では、ファルマコフォアがThr-Lys-Proであると決定された。実験により特定され
た個々のアミノ酸残基のC末端への結合は、(生殖および性的機能を刺激して)ペプチドの活性を維持することが示された。但し、研究により示されるように(表5、実施例10)、ペプチド中のアミノ酸残基の数は、3であるまたは4を超える。テトラペプチドは、生殖および性的機能刺激活性を有さない。
【0015】
上述の技術的成果は、一般式A-Thr-Lys-Pro-B-C-D-X(テトラペプチドを除く)を有す
るさまざまなペプチドを直接的に合成し、これらのペプチドを生殖および性的機能障害の予防および処置のための生殖および性的機能の刺激剤として用いることにより達成される。我々自身の調査は、生殖および性的機能の刺激剤として、一般式A-Thr-Lys-Pro-B-C-D-Xに対応する、合成されたペプチド、すなわち、Thr-Lys-Proトリペプチド、Thr-Lys-Pro-Arg-Proペンタペプチド、およびThr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheヘキサペプチドが推奨され得ることを示した。
【0016】
生殖および性的機能の刺激剤として推奨されるA-Thr-Lys-Pro-B-C-D-X(テトラペプチ
ドを除く)を有するすべてのペプチドは、共通のパターンを有する。すなわち、それらの分子構造中にThr-Lys-Proトリペプチド分子が存在する。
【0017】
Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-Gly-Proヘプタペプチド(Selank)がコントロールとして用いら
れた。
【0018】
行われた研究の成果は、一般式A-Thr-Lys-Pro-B-C-D-X(テトラペプチドを除く)を有
するペプチドが生殖および性的機能刺激活性を有し、生殖および性的機能障害の予防および処置のための医薬品として使用され得ることを示した。一般式A-Thr-Lys-Pro-B-C-D-X
のペプチドの一部を表1に示す。
【0019】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】Arg-Pro-Gly-Proテトラペプチド合成の図である。
図2】Pro-Arg-Pro-Gly-Proペンタペプチド合成の図である。
図3】Pro-Gly-Proトリペプチド合成の図である。
図4】Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheヘキサペプチド合成の図である。
図5】Thr-Lys-Pro-Arg-Proペンタペプチド合成の図である。
図6】Thr-Lysジペプチド合成の図である。
図7】Thr-Lys-Pro-Pheテトラペプチド合成の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の最良の形態
以下は、発明を例示する実施例である。
【0022】
Lアミノ酸を用いた溶液中ペプチド化学法により、一般式A-Thr-Lys-Pro-B-C-D-Xを
有するペプチドの合成が行われた。ペプチド鎖の逐次延長、ならびに、混合無水物法、補助求核分子として1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを添加するカルボジイミド法、活性化エステル法、および混合無水物法を用いたフラグメント縮合により、ペプチド合成を実施した。中間生成物および最終生成物は、すべて単離され、特徴化された。溶液の蒸発は、40℃で真空蒸発器を用いて行われた。Boethius装置で求められた融点は、較正なしで示される。得られた化合物の同一性を、Silufolシリカゲル被覆プレート(チェコ共和国)
上でTLCにより試験した。塩素環境下、ニンヒドリン、バートン試薬、Pauly試薬、Reindel-Hoppe試薬、およびo−トリジンを用いてUV光により物質を検出した。比旋光度は
、AI−EPO旋光計により求めた。ペプチド均質性は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により試験し、ペプチド構造は、質量分析法により確認した。溶媒はすべて対応して無水化された。融点は較正されていない。
【0023】
さらに、大腸菌の既知の実験室菌株により設計された宿主細胞を用いた遺伝子工学手法
により、ペプチドを得た。これらの大腸菌株は、標的ペプチドをエンコードする核酸を含有する既知の市販のプラスミドで形質転換された。
【0024】
実施例においてペプチド合成を説明する。
【実施例1】
【0025】
Arg-Pro-Gly-Proテトラペプチドの合成
図1に示す図に従ってテトラペプチドの合成を行った。
【0026】
合成には、混合無水物法、アジド法、およびカルボジイミド法が用いられた。Lアミノ酸の誘導体が合成のために用いられた。溶液の蒸発は、40℃で回転式蒸発器を用いて行われた。Boethius装置で求められた融点は、較正なしで示される。得られた化合物の同一性を、Silufolシリカゲル被覆プレート(チェコ共和国)上でTLCにより試験した。物質
は、ニンヒドリンおよび(または)o−トリジンの溶液をプレートに噴霧することにより
検出された。次の溶媒系中でのクロマトグラフィーの移動率(Rf)値が示される。アセトン:ベンゼン:酢酸(50:100:1)−(1);クロロホルム:メタノール(9:1)−(2);ヘキサン:アセトン(3:2)−(3);ブタノール:酢酸:水(4:1:1)−(4);ブタノール:酢酸:ピリジン:水(30:6:20:24)−(5);クロロホルム:メタノール:アンモニア(6:4:1)−(6);ベンゼン:エタノール(8:2)−(7);酢酸エチル:アセトン:50%酢酸:水(2:1:1)−(8);クロロホルム:メタノール(14:1)−(9);クロロホルム:メタノール:アンモニア(8:1.75:0.25)−(10);クロロホルム:メタノール:アンモニア(6.5:3.0:0.5)−(11)。
【0027】
比旋光度は、AI−EPO旋光計により求めた。
元素分析は、Carlo−Erbaモデル1106分析器を用いて行った。
【0028】
I.Boc-Pro-Gly-OEt. 8.3g(3.45mmol)のBoc−Pro−OHを50mlのCHClに溶解し、5℃に冷却した。その後、38.45mmol(5.38ml)のTEAを添加した。反応混合物を−25〜−30℃に冷却した。この温度で、38.45mmol(4.84ml)のクロロぎ酸イソブチルをピペットを用いて添加した。反応混合物温度を−18〜−20℃の範囲内に20分間維持した。同時に、5.92mlのTEAを含有する、75mlのクロロホルム中の5.9g(42.3mmol)の1.1倍過剰のHCl・H-Gly-OEtの溶液。この溶液を−25℃に冷却し、第1のフラスコにおける混合無水物の形成後、内容物を即座にエーテル溶液に注いだ。反応混合物を−10℃で1時間インキュベートし、その後、マグネチックスターラーで4℃で12時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、その後250mlの酢酸エチルを添加した。その後、酢酸エチル溶液を25mlの0.1N HClで3回、25mlのHOで3回、NaClの飽和溶液で1回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。残渣をP/KOHおよびパラフィンにより真空下乾燥させた。
収率:10.2g(30.3mmol) 78.83%
Rf 0.5(7);0.862(8)
融点 68〜70℃
【0029】
II. Boc-Pro-Gly-N2H3. 10.2gのBoc-Pro-Gly-OEt(30.3mmol)を80mlの無水メタノールに溶解し、4倍過剰、すなわち、5.88ml(121.2mmol)のヒドラジン水化物を添加した。この溶液を室温でマグネチックスターラーで12時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、その後エーテルで2回蒸発させた。その後、残渣にエーテル(〜5ml)を注ぎ、冷蔵庫に一晩放置した(より良い結晶化のために、シーディング剤を添加した)。析出した結晶をろ過し、フィルタを用いてエーテルで洗浄し、デシ
ケーターで乾燥させた。
収率:6.9g(20.79mmol) 68.62%
Rf 0.284(7);0.474(8);0.189(9)
融点 98〜100℃
【0030】
III. Boc-Pro-Gly-Pro-OBzl. 40mlのDMF中に4.7g(14.6mmol)を含有するBoc-Pro-Gly-N2H3の溶液に、酢酸エチル中の58.4mmol(4倍過剰)の塩化水素を添加し、−20℃に冷却し、1.73mL(14.6mmol)の新しく蒸留した亜硝酸tert−ブチルを即座に添加した。その後、反応混合物を−5℃で30分間撹拌した。反応混合物を−40℃に冷却し、−10℃に冷却した4mLのDMF中の8.2mL(58.4mmol)のTEAの溶液を添加した。反応混合物の温度が−20℃に上昇したとき、20mlのDMFおよび2.14mlのTEAに、3.7g(15.3mmol)の1.05倍過剰のHCl・H-Pro-OBzlを添加した。その後、マグネチックスターラー
で24時間4℃で撹拌した。反応混合物を蒸発させ、残渣を200mLの酢酸エチルに溶解し、20mlのHOで2回、20mlの10%ナトリウムKHSOで3回、20mlのHOで3回、20mlの5%NaHCOで3回、20mlのHOで3回洗浄した。酢酸エチル溶液をMgSOにより乾燥させた。その後、蒸発させて、少量のエーテル(〜10mL)を残渣に添加した。その後、冷蔵庫に放置して結晶化させた。より良い生成物結晶化のために、シーディング剤を添加した。析出した結晶をろ過し、フィルタを用いて少量のエーテルで洗浄した。その後、デシケーターで乾燥させた。
収率:5.358g(11.65mmol) 79.92%
Rf 0.326(7);0.947(8);0.390(9)
融点 125〜126℃
[α]22=−101.18°(c=0.85;CHOH)
元素分析:С62.89(62.73);N9.21(9.14);H7.52(7.24)
【0031】
IV. TFA・H-Pro-Gly-Pro-OBzl. 5.358g(11.65mmol)のBoc-Pro-Gly-Pro-OBzlを29.13mlの塩化メチレンに溶解した。その後、29.13mLのTFAを添加し、室温で45分間インキュベートし、無水エタノールで2回、ベンゼンで2回、エーテルで2回蒸発させ、ベンゼンに溶解した。その後、ヘキサンを上に注いだ。ヘキサンを傾瀉し、得られた物質をKOH、Pおよびパラフィンによりデシケーターで真空下乾燥させ、その間、乾燥剤を数回交換した。
収率:4.63g(9.7mmol) 98%
Rf 0.043(7);0.247(8);0.018(9)
【0032】
V. Boc-Arg(NO2)-Pro-Gly-Pro-OBzl.
3.09gのBoc-Arg (NO2)-OH(9.7mmol)を50mLのTHFおよび10ml
DMFに溶解し、2.07g(10.67mmol)のDCCを添加し、0℃に冷却し、40分間攪拌した。その後、TFA・H-Pro-Gly-Pro-OBzlの溶液を50mlのTHFおよ
び4.46ml(9.7mmol)のTEAに添加した。反応混合物を3日間攪拌した。DCM析出物をろ去し、溶液を真空下蒸発させ、その後、200mlのヘキサンを残渣に添加した。これを用いて、所望の生成物を油として分離し、油を500mLの酢酸エチルに溶解し、25mlの0.1N HClで3回、25mlのHOで3回、NaClの飽和溶液で1回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、乾燥エーテルで析出させた。析出物をろ過し、P/KOHおよびパラフィンにより真空下乾燥させ、その間、乾燥剤を数回交換した。
収率:4.76g(7.9mmol) 85%
Rf 0.44(1);0.8(11)
融点 108〜110℃
[α]22=−77.8°(c=0.5;CHCOOH)
【0033】
VI. Boc-Arg-Pro-Gly-Pro. 4.76g(6.5mmol)のBoc-Arg(NO2)-Pro-Gly-Pro-OBzlを100mlのメタノールに溶解し、その後、1ml 1N塩酸および4.67
gの触媒、すなわち、中性酸化アルミニウム上の10%酸化パラジウムを添加し、1at
m下室温で乾燥水素を流しつつ、水素付加を6時間行った。その後、触媒をろ去し、メタノールによりフィルタ上で洗浄した。プールされたろ液を蒸発乾固した。残渣を無水メタノールからエーテルにより析出した。その後、真空下乾燥させ、その間、乾燥剤を数回交換した。
収率:4.23g(5.8mmol) 89%
Rf 0.125(4);0.57(6);0.37(5)
融点 123〜125℃
【0034】
VII. Arg-Pro-Gly-Pro. 4.23g(5.8mmol)のBoc-Arg-Pro-Gly-Pro-OHを
ジオキサン中の10mlの2N塩酸に懸濁し、45分間室温でインキュベートした。その後、乾燥エーテルを添加し、析出物を乾燥エーテルによる傾潟により洗浄した。無水メタノールからエーテルにより再析出した。得られた析出物を7.5mlの30%エタノールに溶解し、酢酸/塩酸塩塩交換のためにAmberlyst A-21 (AcO-形態)カラムに適用した。
ペプチドを200mlの30%エタノールで溶出させ、真空下蒸発乾固させ、メタノールから無水エーテルにより析出した。
収率:3.69g(4.93mmol) 85%
Rf 0.287(4);0.145(5);0.338(14)
融点 120〜122℃
HPLC結果:カラム:Supercosil ABZ Plus、サイズ 4.6x250mm、流速
1mL/分、溶剤A:NHPO+HPO(50mM,pH2.8)、溶剤B:MeOH
勾配:0〜20分(0〜40%B)、保持時間 21.21分
Rf 0.24(6)
融点 151℃
[α]22=−65.0°(c=0.5 CHCOOH)
HPLC結果:カラム:Zorbax ODS d=4.6mm;t=35℃
流速 1mL/分;A=50mM NHPO(pH 2.5);B=A+MeOH(1:1);10〜60%B(25分以内)
保持時間 16.5分
【実施例2】
【0035】
Pro-Arg-Pro-Gly-Proペンタペプチドの合成
図2に示す図に従った天然Lアミノ酸を用いたペプチド化学の古典的方法によりペプチド合成を行った。
【0036】
初めに、Pro-Gly-Proトリペプチドを生産し、その後、N末端からのペプチド鎖の段階
的堆積によりペンタペプチドが得られた。合成では、混合無水物法、アジド法およびカルボジイミド法が用いられた。
【0037】
次の溶媒系中でのクロマトグラフィーの移動率(Rl)値が示される。ブタノール:酢酸:水(4:1:1)−(1);クロロホルム:メタノール:アンモニア(6:4:1)−(2);アセトン:ベンゼン:酢酸(50:100:1)−(3);クロロホルム:メタノール(9:1)−(4);ヘキサン:アセトン(3:2)−(5);ブタノール:酢酸:ピリジン:水(30:6:20:24)−(6);クロロホルム:メタノール(14:1)−(7)。
【0038】
I. Boc-Pro-Gly-OEt. 8.3gのBoc-Pro(38.45mmol)を50mlのCHClに溶解し、+5℃に冷却し、38.45mmol(5.38ml)のTEAを添加した。反応混合物を−25〜−30℃に冷却した。この温度で、38.45mmol(4.84ml)のクロロぎ酸イソブチルをピペットを用いて添加した。反応混合物温度を−18〜−20℃の範囲内に20分間維持した。同時に、5.92mlのTEAを含有する、75mlのクロロホルム中の5.9g(42.3mmol)の1.1倍過剰のHCl・H-Gly-OEtの溶液。溶液を−25℃に冷却し、第1のフラスコ中での混合無水物の形成後、内容物を直ちにエーテル溶液に注いだ。反応混合物を−10℃で1時間インキュベートし、その後、マグネチックスターラーで4℃で12時間攪拌した。反応混合物を蒸発させ、250mlの酢酸エチルを添加した。酢酸エチル溶液を25mlの0.1N HClで3回、25ml HOで3回、NaClの飽和溶液で1回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。残渣をP/KOHおよびパラフィンにより真空下乾燥させた。
収率:10.2g(30.3mmol) 78.83%
Rf 0.5(3);0.862(4)
【0039】
II. Boc-Pro-Gly-N2H3. 10.2gのBoc-Pro-Gly-OEt(30.3mmol)を80mlの無水メタノールに溶解し、4倍過剰のヒドラジン水化物、すなわち、5.88ml(121.2mmol)を添加した。溶液を室温でマグネチックスターラーで12時間攪拌した。反応混合物を蒸発させ、その後、エーテルで2回蒸発させ、その後、エーテル(〜5ml)を残渣に注ぎ、冷蔵庫に一晩放置した(より良い結晶化のために、シーディング剤を添加した)。析出した結晶をろ過し、フィルタを用いてエーテルで洗浄し、デシケーターで乾燥させた。
収率:6.9g(20.79mmol) 68.62%
融点 98〜100℃
Rf 0.284(3);0.474(4);0.189(5)
【0040】
III. Boc-Pro-Gly-Pro-OBzl.
酢酸エチル中の58.4mmol(4倍過剰)の塩化水素を、−20℃に冷却させた、40mlのDMF中に4.7g(14.6mmol)を含有するBoc-Pro-Gly-N2H3の溶液に添加し、1.73mL(14.6mmol)の新しく蒸留した亜硝酸tert−ブチルを即座に添加した。その後、反応混合物を−5℃で30分間攪拌した。反応混合物を−40℃に冷却し、−10℃に冷却した4mLのDMF中の8.2mL(58.4mmol)のTEAの溶液を添加した。反応混合物の温度が−20℃に上昇したとき、20mlのDMFおよび2.14mlのTEAに、3.7g(15.3mmol)の1.05倍過剰のHCl・H-Pro-OBzlを添加した。その後、マグネチックスターラーで4℃で24時間攪拌した
。反応混合物を蒸発させ、残渣を200mLの酢酸エチルに溶解し、20mlのHOで2回、20mlの10%ナトリウムKHSOで3回、20mlのHOで3回、20mlの5%NAHCOで3回、3mlのHOで3回洗浄した。酢酸エチル溶液をMgSOにより乾燥させた。その後、蒸発させ、少量のエーテル(〜10mL)を残渣に添加した。その後、冷蔵庫に放置した。より良い生成物結晶化のために、シーディング剤を添加した。析出した結晶をろ過し、フィルタを用いて少量のエーテルで洗浄した。その後、デシケーターで乾燥させた。
収率:5.358g(11.65mmol) 79.92%
Rf 0.326(3);0.947(4);0.390(5)
融点 125〜126℃
[α]22=−101.2°(c=0.85;CHOH)
元素分析:C62.89(62.73);N9.21(9.14);H7.52 (7.24)
【0041】
IV. TFA・H-Pro-Gly-Pro-OBzl. 5.358g(11.65mmol)のBoc-Pro-Gly-Pro-OBzlを29.13mlの塩化メチレンに溶解し、29.13mLのTFAを添加し、室温で45分間インキュベートし、無水エタノールで2回、ベンゼンで2回、エーテルで2回蒸発させ、ベンゼンに溶解した。その後、ヘキサンを上に注いだ。ヘキサンを傾潟させ、得られた物質をP/KOHおよびパラフィンによりデシケーターで真空下乾燥させた。
収率:4.63g(9.7mmol) 98%
Rf 0.043(3);0.247(4);0.018(5)
【0042】
V. Boc-Arg(NO2)-Pro-Gly-Pro-OBzl. 3.09g(9.7mmol)のBoc-Arg (NO2)を50mlのTHFおよび10ml DMFに溶解し、その後、2.07g(10.67mmol)のDCCを添加し、0℃に冷却し、40分間攪拌した。TFA・H-Pro-Gly-Pro-OBzlの溶液を50mlのTHFおよび4.46ml(9.7mmol)のTEAに添加し
た。反応混合物を3日間攪拌した。DCM析出物をろ去し、溶液を真空下で蒸発させ、その後、200mlのヘキサンを残渣に添加した。これを用いて、所望の生成物を油として分離し、油を500mLの酢酸エチルに溶解し、25mlの0.1N HClで3回、mlのHOで3回、NaClの飽和溶液で1回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。残渣をP/KOHおよびパラフィンにより真空下乾燥させた。
収率:4.76g(7.9mmol) 85%
Rf 0.44(1);0.8(6)
融点 108〜110℃
【0043】
VI. TFA-Arg(NO2)-Pro-Gly-Pro-OBzl. 4.76g(7.9mmol)のBoc-Arg (NO2)-Pro-Gly-Pro-OBzlを20mlの塩化メチレンに溶解し、20mLのTFAを添加し、室温で45分間インキュベートし、無水エタノールで2回、ベンゼンで2回、エーテルで2回蒸発させ、その後ベンゼンに溶解した。その後、ヘキサンを上に注いだ。ヘキサンを傾潟させ、得られた物質をP/KOHおよびパラフィンによりデシケーターで真空下乾燥させた。
収率は定量的である。
Rf 0.16(1);0.27(6)
【0044】
VII. Boc-Pro-Arg(NO2)-Pro-Gly-Pro-OBzl. 1.7g(7.9mmol)のBoc-Proを20mLのTHFに溶解し、1.07g(7.9mmol)のBTを添加し、0℃に冷却し、50mlのTHF中の1.8gのDCCを添加した。40分以内に、50mLのTHF中のTFA-Arg(NO2)-Pro-Gly-Pro-OBzl(7.9mmol)の溶液および1.1mL(7
.9mmol)のTEAを反応混合物に添加した。0℃で2時間攪拌し、さらに室温で2日間攪拌した。その後、DCMをろ去し、真空下で蒸発させて、500mLの酢酸エチルに溶解し、Boc-Pro-Arg(NO2)-Pro-Gly-Pro-OBzlと同様に処理した。
収率:4.07g(67.8%)
Rf 0.42(1);0.72(6);0.31(7)
融点 147〜148℃
【0045】
VIII. Boc-Pro-Arg-Pro-Gly-Pro. 4.07g(6.5mmol)を100mlのメタノールに溶解し、1mlの1N塩酸および0.85gの触媒、すなわち、中性酸化アルミニウム上の10%酸化パラジウムを添加し、1atm下室温で乾燥水素を流しつつ、水素
付加を6時間行った。その後、触媒をろ去し、メタノールによりフィルタ上で洗浄した。プールされたろ液を蒸発乾固させた。残渣を無水メタノールからエーテルにより析出した。
収率:3.02g(5.8mmol) 89%
Rf 0.125(1),0.57(2),0.37(6)
【0046】
IX. Pro-Arg-Pro-Gly-Pro. 3.02g(5.8mmol)のBoc-Pro-Arg-Pro-Gly-Proをジオキサン中の10mlの2N塩酸に懸濁し、45分間室温でインキュベートした。
その後、乾燥エーテルを添加し、析出物を乾燥エーテルによる傾潟により洗浄した。無水メタノールからエーテルにより再析出した。得られた析出物を7.5mlの30%エタノールに溶解し、酢酸/塩酸塩塩交換のためにAmberlyst A-21 (AcO-形態)に適用した。ペ
プチドを200mlの30%エタノールで溶出させ、真空下蒸発乾固させ、メタノールから無水エーテルにより析出した。
収率:2.27g(75%)
Rf 0.2(2);0.1(6)
融点 180〜185℃
[α]20=−105°(c=0.4;CHCOOH)
アミノ酸組成対アルギニン:Pro 2.78(3);Gly 1.1(1)
HPLC結果:カラム:Supercosil ABZ Plus、サイズ 4.6x250mm、流速
1mL/分、溶離剤A:NHPO+HPO(50mM,pH2.8)、溶離剤B:MeOH
勾配:0〜20分(0〜40%B)、保持時間 10.13分
【実施例3】
【0047】
Pro-Gly-Proトリペプチドの合成
Pro-Gly-Proトリペプチドの合成を、図3に示す図に従って実施した。Pro-Gly-Proトリペプチドの合成は、現代の保護基および溶液中ペプチド結合形成の方法を用いて実施した。ペプチド結合形成のために、PivClを用いた混合無水物法を使用した。tert−ブチルオキシカルボニル保護(Boc)をアミノ基の保護のために用い、ベンジルエステル(OBzl)をカルボキシル基の保護のために補充した。ペプチド鎖伸長に対しては段階的なアプローチが用いられた。
【0048】
Lアミノ酸の誘導体を合成に用いた。溶液の蒸発は、40℃で真空蒸発器を用いて行った。Boethius装置で求められた融点は、較正なしで示される。
【0049】
得られた化合物の同一性を、Silufolシリカゲル被覆プレート(チェコ共和国)上でTL
Cにより試験した。物質は、ニンヒドリンおよび(または)o−トリジンの溶液をプレー
トに噴霧することにより検出された。次の溶媒系中でのクロマトグラフィーの移動率(Rf)値が示される。(酢酸エチル:アセトン:50%酢酸:水(2:1:1);ベンゼン:エタノール(8:2);クロロホルム:メタノール:アンモニア(6:4:1);クロロホルム:メタノール:酢酸(42:7:1);アセトン:ベンゼン:酢酸(50:100:1);クロロホルム:メタノール(9:1);ヘキサン:アセトン(3:2);ブタノール:酢酸:水(4:1:1);ブタノール:酢酸:ピリジン:水(30:6:20:24);ヘキサン:酢酸エチル(4:1);クロロホルム:メタノール:アンモニア(8:1.75:0.25);(イソプロパノール:ぎ酸:水)(20:5:1);(クロロホルム:メタノール:アンモニア)(7:2.5:0.5);メタノール。比旋光度は、AI−EPO旋光計により求めた。)元素分析は、Carlo−Erbaモデル1106分析器を用いて行った。
【0050】
I. Boc-Pro-Gly-OHの生産
1. 10.75g(50mmol)のBoc-Proを150mlのアセトニトリルに溶解
し、−5℃に冷却し、その後、7.7ml(50mmol)のトリエチルアミン(TEA)を溶液に添加した。マグネチックスターラーで攪拌しつつ、−20℃に冷却した。6.
8ml(55mmol)の塩化ピバロイル(PivCl)を冷却された溶液に添加し、−10℃で20分間マグネチックスターラーで攪拌し、その後、−30℃に冷却し、その後、予め冷却されたGlyの溶液を添加した。同時に、Gly溶液を調製した。
【0051】
2. 4.5gのGly(60mmol、1.2倍過剰)を35mlの水および60mlのアセトニトリルに溶解し、8.4ml(60mmol)のトリエチルアミンを添加した。混合物を−10℃に冷却し、20分後に第1のフラスコ中の溶液に添加した。反応混合物を−10℃で1時間インキュベートし、マグネチックスターラーで18〜20℃で2時間攪拌した。反応混合物を回転式蒸発器で蒸発させた。約50mLの水を残渣に添加した。水溶液を3倍過剰のNaHSO(24.84g)でpH=3に酸性化し、100mlの酢酸エチルで5倍に抽出した。プールされた酢酸エチル溶液をHO(50mL)、KHSO(50mL)の10%溶液、HO(50mL)、および飽和NaCl(50mL)で洗浄した。酢酸エチル溶液をMgSOにより乾燥させた。乾燥させた酢酸エチルをろ過し、蒸発させた。乾燥エーテルを残渣に添加した。エーテルをフラスコに添加すると、生成物が析出され、これをろ過し、フィルタを用いて乾燥エーテルで洗浄した。得られた物質をKOH、Pおよびパラフィンによりデシケーターで真空下乾燥させ、その間、デシケーターを数回交換した。
生成物 M.W.272.3
収率:5.97g(21.74mmol);(43.5%)
融点 70℃
Rf 0.863(アセトン−ベンゼン−酢酸)(50:100:1);
0.746(ベンゼン−エタノール)(8:2);0.903(クロロホルム:メタノール)(9:1);
0.847(酢酸エチル:アセトン:50%酢酸:水)(2:1:1)
【0052】
II. Boc-Pro-Gly-Pro-OBzlの生産
1. 5.97g(21.74mmol)のBoc-Pro-Gly-OHを100mlのアセトニトリルに溶解し、−5℃に冷却した。その後、1.1倍過剰(3.35ml、23.9mmol)のトリエチルアミン(TEA)を溶液に添加し、マグネチックスターラーで攪拌しつつ−20℃に冷却した。1.1倍過剰(2.34ml、23.9mmol)の塩化ピバロイル(PivCl)を冷却させた溶液に添加し、−10℃で20分間マグネチックスターラーで攪拌し、その後、−30℃に冷却し、その後、予め冷却されたHCl・Pro-OBzlの
溶液を添加した。同時に、HCl・Pro-OBzlを調製した。
【0053】
2. 6.3gのHCl・Pro-OBzl(26.1mmol、1.2倍過剰)を50mlのア
セトニトリルに溶解し、4.0ml(28.71mmol、1.1倍過剰)のトリエチルアミンを添加した。混合物を−10℃に冷却し、20分後第1のフラスコ中の溶液に添加した。反応混合物を−10℃で1時間インキュベートし、マグネチックスターラーで18〜20℃で2時間攪拌した。反応混合物を蒸発させた。蒸発させた残渣に300mlの酢酸エチルを添加した。酢酸エチル溶液をHO(25mLで3回)、10%溶液KHSO(25mlで3回)、HO(25mlで3回)、5%NaHCO(25mlで3回)、HO(25mLで3回)、およびNaClの飽和溶液(25mLで1回)で洗浄した。酢酸エチル溶液をMgSOにより乾燥させた。乾燥させた酢酸エチルをろ過し、蒸発させた。約100μmの乾燥エーテルを残渣に添加した。フラスコにエーテルを添加すると、生成物が析出され、これをろ過し、フィルタを用いて乾燥エーテルで洗浄した。得られた物質をKOH、Pおよびパラフィンによりデシケーターで真空下乾燥させ、その間、乾燥剤を数回交換した。
生成物 M.W.459.82
収率:8.12g(17.66mmol);(81.23%)
融点 125〜126℃
Rf 0.326(アセトン:ベンゼン:酢酸)(50:100:1)
0.390(ヘキサン:アセトン)(3:2)
0.947(クロロホルム:メタノール)(9:1)
0.716(メタノール)
0.620(ベンゼン:エタノール)(8:2)
【0054】
III. Boc-Pro-Gly-Pro-OHの生産
8g(17.4mmol)のBoc-Pro-Gly-Pro-OBzlを100mlのメタノールに溶解し、マグネチックスターラーで攪拌しつつ、0.5mlのCH3COOHおよびパラジウムブラッ
クを添加し、水素を2時間流した。溶液をろ過し、蒸発させ、ベンゼンで3回、酢酸エチルで2回蒸発させた。その後、アセトンからエーテルヘキサンにより析出し、フラスコに形成された析出物をP/KOHおよびパラフィンによりデシケーターで乾燥させた。
生成物 M.W.369.39
収率:6.3g(17.05mmol) 98%
融点 99〜100℃
Rf 0.560(クロロホルム−メタノール)(9:1)
0.812(クロロホルム−メタノール−酢酸)(42:7:1)
0.187(アセトン:ベンゼン:酢酸)(50:100:1)
0.164(ヘキサン:アセトン)(3:2)
【0055】
IV. Pro-Gly-Proの生産
40.6mlの塩化メチレンおよび40.6mlのTFAを6.0g(16.24mmol)のBoc-Pro-Gly-Pro-OHに添加し、室温で45分間インキュベートした。保護基の除去後、溶液を無水メタノールで2回、ベンゼンで2回、エーテルで2回蒸発させた。アセトンからエーテルにより析出した。残渣をP、KOHおよびパラフィンにより真空下乾燥させた。乾燥させた生成物を無水MeOHから乾燥ジエチルエーテルにより再析出した。
生成物 M.W.381.39
収率:5.6g(14.72mmol)(90.62%)
【0056】
TFA・Pro-Gly-Pro-OHの得られた析出物を10mlの30%エタノールに溶解し、その
後、トリフルオロアセテートの酢酸塩への交換のために、25mLのAmberlyst A-21 (CH3COO-)イオン−交換樹脂を添加し、マグネチックスターラーで45分間攪拌した。その後、150mlの30%エタノールで洗浄し、真空下蒸発乾固させ、無水メタノールから乾燥ジエチルエーテルにより析出した。得られた析出物をろ去し、P、KOHおよびパラフィンにより真空下デシケーターで乾燥させ、その間、乾燥材を数回交換した。
生成物 M.W.328.34
収率:4.54g(13.84mmol)(94%)
融点 143〜145℃
[α]22 −31.5°(cl,MeOH)
Rf 0.59(クロロホルム:メタノール:アンモニア)(6:4:1)
0.52(クロロホルム:メタノール:アンモニア)(4:4.5:1.5)
0.524(エタノール:アンモニア)(7:3)
【実施例4】
【0057】
Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheヘキサペプチドの合成
Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheヘキサペプチドの合成を図4に示す図に従って行った。
【0058】
Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheヘキサペプチドの合成は、現代の保護基および溶液中ペプチ
ド結合形成の方法を用いて実施した。ペプチド結合形成のために、TBA塩法、活性化エステル法、カルボジイミド法および混合無水物法を用いた。段階的およびブロック的アプローチの両方が用いられた。
【実施例5】
【0059】
Thr-Lys-Pro-Arg-Proペンタペプチドの合成
Thr-Lys-Pro-Arg-Proペンタペプチドの合成を図5に示す図に従って行った。
【0060】
Thr-Lys-Pro-Arg-Proペンタペプチドの合成は、現代の保護基および溶液中ペプチド結
合形成の方法を用いて実施した。ペプチド結合形成のために、TBA塩法、活性化エステル法およびカルボジイミド法を用いた。段階的およびブロック的アプローチの両方が用いられた。
【実施例6】
【0061】
Thr-Lysジペプチドの合成
Thr-Lysジペプチドの合成は、図6に示す図に従って行われた。
【0062】
Thr-Lysジペプチドの合成は、現代の保護基および溶液中ペプチド結合形成の方法を用
いて実施した。ペプチド結合形成のために、TBA塩法が用いられた。
【0063】
実施例7〜9に記載されるペプチドの合成のために、保護および遊離のLアミノ酸の両方の誘導体が用いられた。ペプチド合成に用いられた溶媒は、対応して無水化された。Milichrome-A02マイクロカラム液体クロマトグラフィーシステムを用いた高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によりペプチド均質性を試験した。合成されたペプチドは、ブルカー質量分光計((登録商標)ブルカー・ダルトニクス社)を用いた質量分析法により特徴化された。
【実施例7】
【0064】
Thr-Lys-Pro-Pheテトラペプチドの合成
Thr-Lys-Pro-Pheテトラペプチドの合成を図7に示す図に従って実施した。
【0065】
Thr-Lys-Pro-Pheテトラペプチドの合成は、現代の保護基および溶液中ペプチド結合形
成の方法を用いて実施した。ペプチド結合形成のために、TBA塩法および活性化エステル法を用いた。ペプチド鎖伸長に対する段階的アプローチが用いられた。
【0066】
保護および遊離の両方のLアミノ酸の誘導体が合成のために用いられた。40℃で真空蒸発器を用いて、溶液の蒸発を行った。Boethius装置で求められた融点は、較正なしで示される。得られた化合物の同一性を、Silufolシリカゲル被覆プレート(チェコ共和国)上
でTLCにより試験した。物質は、ニンヒドリンおよび(または)o−トリジンの溶液を
プレートに噴霧することにより検出された。次の溶媒系中でのクロマトグラフィーの移動率(Rf)値が示される。(ブタノール:酢酸:水)(4:1:1);(ベンゼン−エタノール)(8:2);(クロロホルム:メタノール)(9:1);(イソプロパノール:ぎ酸:水)(20:5:1);(クロロホルム−メタノール−酢酸)(42:7:1);(クロロホルム:メタノール:アンモニア)(8:1.75:0.25);(アセトン−ベンゼン−酢酸)(50:100:1);(クロロホルム:メタノール:アンモニア)(6:4:1);(クロロホルム:メタノール:アンモニア)(44.5:1.5);(ブタノール: 酢酸:ピリジン:水)(30:6:20:24)。
【0067】
I. Z-Lys(Boc)-Pro-OHの生産
TBA(98ml)の13%溶液を46.32mmol(5.34g)のProに添加し
、エタノールで2回、エタノール/ベンゼン混合物で2回、ベンゼンで2回蒸発させた。300mlの無水酢酸エチルを添加した。反応混合物を0℃に冷却し、23.16mmol(12.66g)の先に合成したZ-Lys (Boc)-OPfpを添加し、1時間マグネチックスターラーで攪拌した。反応物質を蒸発させ、40mlの水を蒸発残渣に添加した。水溶液を80mlのエーテルで3回洗浄した。エーテルで洗浄後、水溶液をクエン酸でpH3に酸性化した。酸性化後、水溶液を40mlアリコートの酢酸エチルで3回抽出した。抽出後のプールされた酢酸エチルを20mlの水で3回、20mlのKHSOの10%溶液で3回、20mlの水で3回洗浄した。酢酸エチル溶液をMgSOにより乾燥させた。その後、ろ過し、回転式蒸発器で蒸発させた。得られた物質を酢酸エチルからヘキサンにより析出した。ヘキサンを傾潟させ、得られた物質をKOH、Pおよびパラフィンによりデシケーターで真空下乾燥させ、その間、乾燥剤を繰返し交換した。
収率:9.68g(20.26mmol);(87.51%)
融点 76〜77℃
Rf 0.705(ブタノール:酢酸:水)(4:1:1);
0.560(ベンゼン−エタノール)(8:2);
0.476(クロロホルム:メタノール)(9:1);
0.813(イソプロパノール:ぎ酸:水)(20:5:1);
0.297(アセトン−ベンゼン−酢酸)(50:100:1)
【0068】
I. H-Lys(Boc)-Pro-OHの製造
9.68g(20.26mmol)のZ-Lys(Boc)-Pro-OHに300mlの無水メタノー
ル、2mlの酢酸、およびパラジウムブラックを添加し、1atm下室温で乾燥水素を流しつつ、水素付加を8時間行った。その後、触媒をろ去し、メタノールによりフィルタ上で洗浄した。プールされたろ液を蒸発乾固した。残渣を無水メタノールからエーテルにより析出した。その後、真空下乾燥させ、その間、乾燥剤を数回交換した。
収率:6.38g(18.58mmol);(91.87%)
融点 98〜99℃
Rf 0.110(クロロホルム−メタノール−酢酸)(42:7:1);
0.166(ブタノール:酢酸:水)(4:1:1);
0.235(クロロホルム:メタノール:アンモニア)(8:1.75:0.25);
0.494(イソプロパノール:ぎ酸:水)(20:5:1)(2:1:1)
【0069】
III. Boc-Thr-Lys-(Boc)-Pro-OHの製造
TBA(39.4ml)の13%溶液を18.58mmol(6.38g)のLys (Boc)-Pro-OHに添加し、エタノールで2回、エタノール/ベンゼン混合物で2回、ベンゼンで2回蒸発させた。250mlの無水酢酸エチルを添加し、反応混合物を0℃に冷却し、9.2mmol(3.74g)の先に合成したBoc-Thr-OPfpを添加し、1時間マグネチックスターラーで攪拌した。反応物質を蒸発させ、蒸発残渣に40mlの水を添加した。水溶液を80mlのエーテルで3回洗浄した。エーテルで洗浄後、水溶液を18.58mmol(3.95g)のクエン酸でpH3に酸性化した。酸性化後、水溶液を40mlアリコートの酢酸エチルで3回抽出した。抽出後のプールされた酢酸エチルを20mlの水で3回、20mlのKHSOの10%溶液で3回、20mlの水で3回洗浄した。酢酸エチル溶液をMgSOにより乾燥させた。
【0070】
その後、ろ過し、回転式蒸発器で蒸発させた。得られた物質を酢酸エチルからヘキサンにより析出した。ヘキサンを傾潟させ、得られた物質をKOH、Pおよびパラフィンによりデシケーターで真空下乾燥させ、その間、乾燥剤を数回交換した。
収率:3.32g(6.1mmol);(66.26%)
融点 105〜107℃
Rf 0.297(アセトン−ベンゼン−酢酸)(50:100:1);
0.234(クロロホルム:メタノール)(9:1);
0.560(ベンゼン−エタノール)(8:2)
【0071】
IV. Boc-Thr-Lys(Boc)-Pro-Phe-OHの生産
1. Boc-Thr-Lys(Boc)-Pro-OSuの生産
3.53mmol(0.38g)のヒドロキシスクシンイミドを50mlの無水酢酸エチル中の1.66g(3.05mmol)のBoc-Thr-Lys(Boc)-Proに添加し、マグネチックスターラーで攪拌しつつ、得られた溶液を0℃に冷却した。その後、0.76g(3.53mmol)DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)を添加し、室温でマグネチックスターラーで2時間攪拌した。反応の停止後、得られた反応混合物をろ去し、析出物を廃棄した。得られた溶液に200mlの無水酢酸エチルを添加した。プールされた酢酸エチルを20mlのNaClの飽和溶液で2回、20mlの10%ナトリウムKHSOで2回、20mlのNaClの飽和溶液で2回、20mlの5%MaHCOで2回、20mlのNaClの飽和溶液で2回洗浄した。酢酸エチル溶液をMgSOにより乾燥させた。その後、ろ過し、回転式蒸発器で蒸発させた。得られた物質を酢酸エチルからエーテルおよびヘキサンで析出した。析出物をろ過し、KOH、Pおよびパラフィンにより真空下乾燥させ、その間、乾燥剤を数回交換した。
収率:1.52g(2.37mmol) 77.74%
Rf 0.560(ベンゼン−エタノール)(8:2);0.457(クロロホルム:メタノール)(9:1)
【0072】
2. 調製後、1.52g(2.37mmol)のBoc-Thr-Lys (Boc)-Pro-OSuを25
mlのジメチルホルムアミドに溶解し、25mlのジメチルホルムアミド中に0.392g(2.37mmol)のL−Pheを含有する、調製された溶液に添加した。溶液を室温でマグネチックスターラーで攪拌した。反応混合物を回転式蒸発器で蒸発させ、ベンゼンからエーテルにより析出した。析出物をろ過し、P/KOHおよびパラフィンにより真空下乾燥させ、その間、乾燥剤を数回交換した。
収率:1.03g(1.64mmol) 69.0%
Rf 0.063(イソプロパノール:ぎ酸:水)(20:5:1)(2:1:1)
0.745(クロロホルム:メタノール:アンモニア)(8:1.75:0.25)
【0073】
V. H-Thr-Lys-Pro-Phe-OHの生産
1.03g(1.64mmol)のBoc-Thr-Lys (Boc)-Pro-Phe-OHを8.2mLの塩化メチレンおよび8.2mlのTFAに添加し、その後、混合物を室温で45分間インキュベートし、保護基の除去後、溶液を無水メタノールで2回、ベンゼンで2回、エーテルで2回蒸発させた。メタノールからエーテルにより析出した。残渣をP KOHおよびパラフィンにより真空下乾燥させた。得られた析出物を5mlの30%エタノールに溶解し、酢酸/塩酸塩塩交換のためにAmberlyst A-21 (AcO-形態)カラムに適用した。ペプ
チドを100mlの30%エタノールで溶出し、真空下蒸発乾固させ、無水メタノールから無水エーテルにより析出した。得られた析出物をろ過し、P、KOHおよびパラフィンにより真空下デシケーターで乾燥させ、その間、乾燥剤を数回交換した。
収率:0.7g(1.43mmol)(87%)
融点 129〜131℃
Rf 0.201(ブタノール:酢酸:ピリジン:水)(30:6:20:24);
0.156(クロロホルム:メタノール:アンモニア)(4:4.5:1.5)
【0074】
実施例1〜7に記載した、ペプチド配列のクロマトグラフィーおよび質量分析計による分析を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
表3は、合成ペプチドの分離についての勾配形状を示す。
【0077】
【表3】
【実施例8】
【0078】
ファルマコフォア位置の同定
ファルマコフォアを同定するために、親ペプチドSelankのフラグメント、Thr-Lys; Thr-Lys-Pro; Pro-Gly-Pro; Arg-Pro-Gly-Pro; Pro-Arg-Pro-Gly-Proを合成し、関連する前
臨床モデルを用いて有効性試験を生体内で行なった(ロードシス試験)。
【0079】
我々は、雌ラットの性行動に関連して、100μg/ラットの用量で、Thr-Lys; Thr-Lys-Pro; Pro-Gly-Pro; Arg-Pro-Gly-Pro; Pro-Arg-Pro-Gly-Proからなるペプチドの群の
有効性を研究した。性的に活動的な雄と直接接触した、またはこのような接触が不可能であったときの、卵巣摘出され、ホルモンで刺激された雌において性行動を記録した。監視中、Thr-Lys-Proペプチドは、雌における交尾に好意的な行動(proceptive behavior)の強さを14±4から29±6の行為に増加させたことが認められた(p=0.028、ウィルコクソン検定)。雌におけるロードシス反応に対する効果も同様の傾向を有しており(p=0.09)、Thr-Lys-Proペプチドの作用下でのロードシスの数は、0.73±0
.12から0.97±0.12に増加した。これらの結果は、Thr-Lys-Proペプチド作用
を背景とした性的意欲の強化を示している。効果は特異的であり、適切な行動状況下で表される。ロードシスのモデルにおけるThr-Lys; Thr-Lys-Pro; Pro-Gly-Pro; Arg-Pro-Gly-Pro; およびPro-Arg-Pro-Gly-Proのペプチドの有効性研究の結果を表4に示す。
【0080】
【表4】
【実施例9】
【0081】
ファルマコフォア試験
ファルマコフォアを試験するために、ファルマコフォアに基づくペプチド、すなわち、一般式A-Thr-Lys-Pro-B-C-D-Xに対応する、Thr-Lys-Proトリペプチド、Thr-Lys-Pro-Arg
およびThr-Lys-Pro-Pheテトラペプチド、Thr-Lys-Pro-Arg-Proペンタペプチド、ならびにThr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheヘキサペプチドを合成し、関連する前臨床モデルを用いて有効
性試験を生体内で行なった(ロードシス試験)。
【0082】
我々は、雌ラットの性行動に関連して、100μg/ラットの用量で、Thr-Lys-Pro; Thr-Lys-Pro-Arg; Thr-Lys-Pro-Arg-Pro; およびThr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheからなるペプチドの群の有効性を研究した。性的に活動的な雄と直接接触した、またはこのような接触が不可能であったときの、卵巣摘出され、ホルモンで刺激された雌において性行動を記録した。監視中、Thr-Lys-Pro、Thr-Lys-Pro-Arg-Pro、およびThr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheを含
む群からのペプチドは、雌における交尾に好意的な行動の強さを14±4から26±4〜36±6の行為に増加させたことが認められた(p=0.028、ウィルコクソン検定)。同時に、Thr-Lys-Pro-ArgおよびThr-Lys-Pro-Pheは、雌の交尾に好意的な行動(proceptive behavior)の強さに影響を及ぼさず、ロードシスの数を増加させず、Thr-Lys-Pro-ArgおよびThr-Lys-Pro-Pheテトラペプチドの基本的パラメータは、陰性コントロールのレ
ベルに留まっている。雌におけるロードシス反応に対する効果も同様の傾向を有していた(p=0.09)。パートナーの直接的な接触が無くても、ペプチド作用は表された。結果は、Thr-Lys-Pro、Thr-Lys-Pro-Arg-Pro、Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheのペプチド作用を
背景とした性的意欲の強化と、Thr-Lys-Pro-ArgおよびThr-Lys-Pro-Pheテトラペプチドにおける性的意欲効果の欠如を示している。効果は特異的であり、適切な行動状況下で表される。ロードシスのモデルにおけるペプチドThr-Lys-Pro; Thr-Lys-Pro-Arg; Thr-Lys-Pro-Phe; Thr-Lys-Pro-Arg-Pro; Thr-Lys-Pro-Arg-Pro-Pheの有効性研究の結果を表5に示
す。
【0083】
【表5】
【0084】
産業上の利用可能性
発明は、生化学の分野に関し、特に、非常に高い活性を示し、障害が生じた器官において自然治癒を刺激することの可能なペプチドを生産するための方法に関する。特に、発明は、治療の経過の期間を短縮し、薬剤のコストを低下しつつ、性的機能の刺激および性的機能障害の処置のための手法の範囲を拡大することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]