【実施例】
【0102】
[実施例1]
ウラシル化環状ssDNAの作製
本発明において、ウラシル化環状ssDNAは、DNA鋳型分子、ウラシル化環状ssDNA媒介体、又はその両方として機能してよい。ウラシル化環状ssDNA分子は、ファージ又はファージミドssDNA分子であってよい。ウラシル化環状ssDNA分子を作製する1つの方法は、CJ236大腸菌細胞を使用する(遺伝子型: FΔ(HindIII)::cat (Tra
+ Pil
+ Cam
R)/ ung-1 relA1 dut-1 thi-1 spoT1 mcrA;New England Biolabs)。この株の細胞は、機能的dUTPase及びウラシル-Nグリコシラーゼを欠く。最初に、エレクトロコンピテントCJ236細胞のアリコート(25μl)を、冷却した0.1mmギャップキュベット内にピペットで入れ、1μlのpAPIII6プラスミドDNAをCJ236細胞に添加した。BioRadエレクトロポレーター中で1.6ボルトにて細胞をエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションの直後に、1mlのSOC培地を添加し、培地及び細胞を、14ml Falcon製培養チューブに移した。培養物を、振とうしながら(およそ225rpm)37℃にて1時間インキュベートした。その時間の終わりに、250μlの形質転換された細胞を、LB +CAM +AMPプレートに直接播種した。これらのプレートを、37℃で一晩インキュベートした。
【0103】
ファージを作製するため、LB及びアンピシリン(60μg/ml)を含有する1mlの増殖培地、並びに100μlのM13K07ヘルパーファージ(NEB、10
11 PFU/ml)を、培養チューブに添加した。次いで、単一の10μlピペットチップを用いて、一晩の形質転換プレートから30個のコロニーを培地に接種した。培養物を200rpmにて37℃で2時間振とうし、その後、0.5μlのカナマイシンストック(終濃度30μg/ml)を添加し、培養物を225rpmにて37℃で6時間又は濁るまで振とうした。培養物を、250mlのガラスバッフル付フラスコ中で、アンピシリン(60μg/ml)、カナマイシン(30μg/ml)及びウリジン(0.3μg/ml)を含有する新鮮な30mlの2YT培地に希釈した。培養物を225rpmにて30℃で一晩(およそ18時間)振とうした。
【0104】
一晩振とうした後、30mlの培養物を、丸底遠心チューブに移し、細胞を、4℃にて、SS34ローター又は同等のローターを用いたSorvall RC-5B遠心分離機中で、15,000rpmで15分間の遠心分離によってペレット化した。上清を、0.22μmチューブトップフィルターを用いてろ過し、ろ液を、6mlの20% PEG8000/2.5M NaClを含有する新しい丸底チューブに移した。各チューブをパラフィルムで覆い、数回転倒して混合し、次いで、氷上で60分間インキュベートした。各チューブを、SS34ローターを用いたSorvall RC-5B遠心分離機中で10K rpmで20分間、4℃で遠心分離した。上清を移し、チューブを、SS34ローターを用いたSorvall RC-5B遠心分離機中で5K rpmで5分間再び遠心分離した。残りの液体を、ピペットを用いて吸引し、ファージペレットを残した。ファージペレットを、500μlの1×滅菌PBS中に再懸濁し、1.7mlチューブに移した。再懸濁したファージを、トップスピード(14K rpm)で4℃でベンチトップ微小遠心分離機中で4℃で5分間遠心分離した。
【0105】
遠心分離した再懸濁ファージの上清を、新しい1.5mlチューブに移した。次に、7μlのバッファーMP(Qiagen M13キット)を、ファージプレップ(phage prep)に添加し、混合し、その後、5分間室温でインキュベーションした。サンプルを、QIAprepスピンカラム(Qiagen M13キット)に適用した。カラムを、ベンチトップ微小遠心分離機中で8K rpmにて30秒間遠心分離し、フロースルーを廃棄した。次いで、700μlのバッファーMLBをカラム(Qiagen M13キット)に添加し、カラムを、15秒間、ベンチトップ微小遠心分離機中で8K rpmにて遠心分離した。700μlのさらなるバッファーMLBをカラムに添加し、カラムを少なくとも1分間室温にてインキュベートし、次いで、30秒間、ベンチトップ微小遠心分離機中で8K rpmにて遠心分離した。次に、700μlのバッファーPE(Qiagen M13キット)を添加し、カラムを、ベンチトップ微小遠心分離機中で15秒間8K rpmにて遠心分離した。このステップを繰り返した。カラムを新しい1.7mlチューブに移した。100μlのバッファーEB(M13キット)を、カラムメンブレンに添加し、カラムを、10分間室温にてインキュベートし、次いで、ベンチトップ微小遠心分離機中で8K rpmにて30秒間遠心分離した。dU-ssDNAを含有する溶出液を、1%アガロースTAEゲルに1.0μlの溶出液を流すことによって分析した。DNAは、主要な単一バンドとして現れたが、電気泳動移動度がより低いかすかなバンドが見えることが多く、これは、dU-ssDNAにおける二次構造によって生じた可能性が高い。
【0106】
[実施例2]
エラープローンPCR
本発明において、エラープローンPCRを使用して、目的配列の変異体を作製することができる。この実施例では、1つのPCRプライマーは、ホスホロチオエートの導入によって5'末端で修飾される。3個以上の5'ホスホロチオエートを有し、かつ目的配列の一方の鎖にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドと、目的配列の逆鎖にハイブリダイズすることができる、3個未満のホスホロチオエートを有する第二のオリゴヌクレオチドとを用いて、目的配列は増幅される。エラープローンPCRを実施するために、10μLの10×突然変異誘発PCRバッファー[70mM MgCl
2、500mM KCl、100mM Tris(pH 8.3)、0.1%(wt/vol)ゼラチン]を、10μLの10×dNTPミックス(2mM dGTP、2mM dATP、10mM dCTP、10mM dTTP)、目的DNAを増幅するために設計されたフォワード及びリバースプライマーのそれぞれ30pモルと混合した。scFv遺伝子のために、本発明者らは、以下を使用した: (AXL6AS4-PCRR 5'Phos G*T*C*G*ACTGAGGAGACGGTGACC); 及び(AXL6KunkPCRF2 AAGCTTTCCTATGAGCTGACACAGCC)、アスタリスクは、ホスホロチオエートによって接続された塩基対の境界を定めている。反応は、1、10又は20fモルのいずれかのインプットDNAを使用し(すなわち、各量について別の反応)、水を、総体積88μLまで添加した。次いで、10μLの5mM MnCl
2を添加し、よく混合した; いずれの沈殿物もないことを確認した。2μLのTaq DNAポリメラーゼを添加し、最終体積を100μLとした。反応を、Biorad T100サーマルサイクラーで30回(94℃ 1分、55℃ 1分、72℃ 1分)、サイクルした。PCRが完了した後、反応クリーンアップを、Qiagen QIAquick PCR精製キットを用いて製造業者のプロトコールにしたがって行った。生成物サイズは、およそ800塩基対であった。
【0107】
[実施例3]
T7処理
3個未満のホスホロチオエートを有する鎖を消化するために、Qiagen QIAquick PCR精製キットを用いて精製した40μlのPCR生成物を、BioRad T100サーマルサイクラー中で1時間25℃にて1×NEBバッファー4中の10μlのT7エキソヌクレアーゼ(1mlあたり10,000ユニット)とインキュベートした。T7処理した生成物を、Qiagen QIAquick PCR精製キットを用いて精製し、反応あたり40μlのEBバッファー中に溶出した。
【0108】
これらのホスホロチオエートは、5'から3'のエキソヌクレアーゼT7の加水分解作用からの、最初の二本鎖PCR生成物の保護を提供し、一方、反対の保護されない鎖は加水分解される。本発明者らは、1又は2個のホスホロチオエートが、加水分解を阻止するのに十分ではないが、3又は4個のホスホロチオエートの付加が、対応する鎖の完全な保護をもたらしたことを見出した。
【0109】
ホスホロチオエートは、大腸菌においてサイトゾルエキソヌクレアーゼによる分解から、不完全にライゲートしたヘテロ二本鎖生成物を保護し、突然変異の偏った取り込みを阻止することによって、in vivoでさらなる利点を提供し得る。
【0110】
二本鎖PCR生成物の一本鎖DNA変異体への変換
ヌクレオチドの誤取り込みに有利に働く条件下での800塩基対scFv遺伝子の増幅からのPCR生成物を、T7若しくはラムダエキソヌクレアーゼあり又はなしのいずれかで、25℃で1時間処理した。処理後、生成物を、SYBR-Goldで染色したネイティブアクリルアミドゲルで可視化した。ssDNA生成物は、対応するdsDNAより遅い移動度を示す(
図2)。予想通り、T7エキソヌクレアーゼは、いずれのプライマーもホスホロチオエートを含有しない場合、保護されないDNAを完全に分解する。5'末端における1又は2個のホスホロチオエート残基はまた、酵素の加水分解作用からの十分な保護を提供しない(
図2)。しかし、5'末端の1つが3又は4個のホスホロチオエートを有する場合、PCR生成物は、ssDNAに完全に変換される(
図2)。ラムダエキソヌクレアーゼはまた、dsDNAをssDNAに変換するが、反応は、非ホスホロチオエートプライマーが5'リン酸化されている場合に、より効率的である。
【0111】
[実施例4]
ヘテロ二本鎖形成
エラープローンPCRとその後のT7消化の一本鎖生成物の、DNAヘテロ二本鎖への取り込みのために、40μlのT7処理及びクリーンアップ反応物を、13μlのpAX143 ssDNA、25μlの10×TM(0.1M MgCl
2、0.5M Tris、pH 7.5)バッファー、及び172μlのdH
20に添加した。pAX143は、バクテリオファージM13 gpIIIコートタンパク質に融合した単鎖可変断片抗体(scFv)を有するファージミドpAP-III
6の誘導体である。pAX143中のscFvは、CDRのそれぞれにおいて終止コドン及びSac II制限部位を含有し、そのため、非組み換えクローンは非機能的になる。合成オリゴヌクレオチドとの反応において、200ngのオリゴヌクレオチドを、20μgの環状一本鎖鋳型に添加した。アニーリング反応を、BioRad T100サーモサイクラー中で、90℃で2分間インキュベートし、その後、1分あたり-1℃で90℃から55℃へ徐々に低下させることによって実施した。次いで、アニールした生成物を、10μlの10mM ATP、10μlの100mM dNTPミックス、15μlの100mM DTT、0.5μl(30U)のT4 DNAリガーゼ及び3μl(30U)のT7 DNAポリメラーゼと混合した。混合物を、5個のPCRチューブに等しく分注し、BioRad T100サーモサイクラー中で20℃にて一晩(16時間)インキュベートする。
【0112】
得られたDNAを、Qiagen QIAquick DNA精製キットを用いて、脱塩及び精製した。反応物を1.0mlのバッファーQG(Qiagen QIAquick DNA精製キット)と混合することによって、これを達成した。サンプルを、各カラムへの35μlのバッファーEB(Qiagen QIAquick DNA精製キット)の添加によって溶出した。2個のカラムからの溶出液(70μl 最終)を混合し、2μlの生成物を、2μlのssDNAと並行して、アガロースゲルで可視化した。最大3個のバンドが観察された。上の(最もよく見られることが多い)バンドは、鎖が置換された(stand displaced)DNAに対応し、真ん中の(通常薄い)バンドは、ニックDNA(すなわち、適切に伸長及びライゲートされていない)に対応し、下のバンドは、正確に伸長及びライゲートされた生成物を表す。ssDNAは、正確にライゲートされたバンドより下に移動する。
【0113】
エラープローンPCR生成物の標準的クローニングのため、DNAを、HindIII及びSalIで消化し、ファージディスプレイ用のpAPIII
6ベクターにライゲートした。
【0114】
[実施例5]
CJ236株の形質転換
CJ236株(遺伝子型: FΔ(HindIII)::cat (Tra
+ Pil
+Cam
R)/ ung-1 relA1 dut-1 thi-1 spoT1 mcrA)をNew England Biolabsから購入した。この株は、機能的なdUTPase及びウラシル-Nグリコシラーゼを欠き、ウラシル化された一本鎖DNA鋳型を作製するために使用される。エレクトロコンピテントCJ236細胞のアリコート(25μl)を、冷却した0.1mmギャップキュベット内にピペットで入れ、1μlのpAPIII6プラスミドDNAをキュベット中のCJ236細胞に添加した。BioRadエレクトロポレーター中で1.6ボルトにて細胞をエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションの直後に、1mlのSOC培地を添加し、培地及び細胞を、14ml Falcon製培養チューブに移した。培養物を、振とうしながら(およそ225rpm)37℃にて1時間インキュベートした。その時間の終わりに、250μlの形質転換された細胞を、LB +CAM +AMPプレートに直接播種する。プレートを、37℃で一晩インキュベートした。
【0115】
[実施例6]
ライブラリー形質転換
TG1大腸菌株(F' [traD36 proAB+ lacIq lacZΔM15]supE thi-1 Δ(lac-proAB) Δ(mcrB-hsdSM)5, (rK-mK-))をLucigenから購入した。形質転換反応のため、0.5μlのヘテロ二本鎖DNA又はライゲーション生成物を、25μlのTG1エレクトロコンピテント細胞(Lucigen)と混合し、0.1cmギャップキュベットに添加した。細胞及びDNAを、1.6kV(「セットボルト」についてr1.60)、200ohms、25μFに設定したGenePulserを用いてエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションした細胞を、1mlのLucigenリカバリーと混合し、14mlのFalcon培養チューブに移し、次いで、37℃で振とうした。1時間後、2μlの培養物を取り出し、198μlの2YT培地に10
-2希釈し、ボルテックスして混合した。次いで、きれいなピペットを用いて、2μlの10
-2希釈物を、198μlの2YT培地にさらに希釈し、10
-4希釈物とした。これらの10
-2連続希釈を、10
-14まで繰り返した。100μlの各希釈物を、TYE- AMP-グルコースプレートに滅菌スプレッダーによって播種し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。
【0116】
[実施例7]
Kunkel突然変異誘発
5'ホスホロチオエート結合を有するssDNA生成物の、Kunkel突然変異誘発の効率、及び特に、in vitro合成された組み換え鎖を優先したウラシル化DNA鎖の偏った修復、に対する影響を、大腸菌において調べた。5'末端に4個のホスホロチオエートを含有する合成オリゴヌクレオチドを、ホスホロチオエートを欠く同じオリゴヌクレオチドと並行して、標準的Kunkel突然変異誘発反応に使用した。ヘテロ二本鎖DNA生成物を、DNAにおけるウラシルの除去に必要な酵素の野生型バージョンをコードし、かつ組み換え非ウラシル化鎖の増殖に有利に働く、大腸菌TG1細胞に形質転換した。組み換え体は、非修飾及び修飾オリゴヌクレオチドの両方から、それぞれ44%及び50%の割合で作製され(表1)、このことは、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを、Kunkel突然変異誘発に使用できることを示す。
【0117】
合成オリゴヌクレオチドを、突然変異したscFv遺伝子に対応する800塩基対エラープローンPCR断片のT7エキソヌクレアーゼ処理によって作製されたssDNA変異体の代わりに用いた。突然変異したssDNA変異体は、オリゴヌクレオチドより20倍大きいため、ssDNA変異体の、ウラシル化環状一本鎖鋳型に対する比率を、ヘテロ二本鎖生成物の効率的な生成を達成するために最適化しなければならなかった(
図3)。dsDNA生成物のTG1細胞へのエレクトロポレーション後、個々のクローンを配列決定に送り、組み換え体の数を決定した。組み換え体は、46%の割合で作製され、これは、合成オリゴヌクレオチドで観察された効率と同等である。完全な組み換え体に加え、ssDNA変異体反応は部分的組み換え体ももたらし、これでは、ssDNA変異体配列の一部が35%の頻度で組み込まれた(26個中9個の組み換え体; 表1)。
【0118】
【表1】
【0119】
[実施例8]
AXM突然変異誘発を用いた、多様なライブラリーの作製
本方法を、エラープローンPCRによってアフィニティ成熟ライブラリーを作製する従来のアプローチと比較するため、上と同じscFv遺伝子をエラープローンPCRによって増幅し、標準的技術を用いてファージミドベクターにサブクローニングした。ライゲートした生成物のTG1細胞へのエレクトロポレーション後、形質転換体の数の推定値を得るため、連続希釈を固体培地上に播種した。個々のクローンを配列決定し、組み換え体のパーセンテージ及び突然変異頻度を決定した。
【0120】
標準的ライブラリーからの形質転換体のうち、75%が組み換え体であり、平均して、各組み換え体クローンは8個の突然変異を有しており、これは、およそ1%の点突然変異率に等しい(表2)。1.5%の類似した突然変異率が、AXM突然変異誘発アプローチを用いて観察された(表2)。組み換え体の頻度は、AXM突然変異誘発ライブラリーより標準的ライブラリーについてわずかに高かったが、形質転換体の全体数は、AXM突然変異誘発アプローチを用いて数桁高かった(それぞれ、2.8×10
8対1×10
5)。これらの効率に基づいて、AXM突然変異誘発アプローチを用いた単一形質転換からの全体的ライブラリー多様性は、およそ10
8組み換え体クローンであった(表2)。標準的アプローチを用いて類似のサイズのライブラリーを達成するためには1000回の形質転換を要する。この結果は、本方法により、単一形質転換から10
8組み換え体クローンを有するライブラリーの効率的な作製が可能であることを示す。従来のエラープローンPCR及びサブクローニングアプローチは、同等のサイズのライブラリーを生じるために1000回の形質転換を要した。
【0121】
【表2】
【0122】
[実施例9]
突然変異誘発の効率を決定する方法
青色/白色選抜を使用して、突然変異誘発の効率を決定した。β-ガラトシダーゼを発現することができるlacZ遺伝子を含むpBluescriptベクターを、これらの実験に使用した。標準的PCRによって増幅されたLacZ ssDNA変異体にハイブリダイズされたpBluescriptベクターで、対照細胞を形質転換した。これらの形質転換細胞を、X-galの存在下で培養した; これらの細胞の1490個のうち1480個が青色であった(0.01%白色コロニー)。エラープローンPCRによって増幅されたLacZ ssDNA変異体にハイブリダイズされたpBluescriptベクターで形質転換された細胞を、X-galの存在下で別に培養した。627個のうち525個の細胞が青色であった(19%白色コロニー)。エラープローンPCRによって増幅されたscFv鋳型で、さらなる細胞を別に形質転換した。scFv鋳型がエラープローンPCRによって増幅され、ベクターにハイブリダイズされ、X-gal上で培養された2つのサンプルのそれぞれにおいて、コロニーの100%が白色であった。これらの細胞について21%のKunkel効率が決定された(表3)。
【0123】
【表3】
【0124】
[実施例10]
別々のベクター上の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の突然変異誘発
本発明の一例では、第一の目的配列は、免疫グロブリン重鎖をコードし、第二の目的配列は、免疫グロブリン軽鎖をコードする。それぞれは、本発明の方法にしたがって突然変異誘発され、dsDNA変異体を生成し、次いで、これはssDNA変異体に変換され、ssDNA媒介体にハイブリダイズされ、ヘテロ二本鎖を形成する。免疫グロブリン軽鎖ssDNA変異体は、第一のssDNA媒介体にハイブリダイズされ、一方、免疫グロブリン重鎖ssDNA変異体は、第二の別のssDNA媒介体にハイブリダイズされる。ハイブリダイズされたssDNA変異体は、ssDNA媒介体を鋳型分子として用いてDNA伸長をプライムする。伸長反応は、リガーゼを含む。その後、ssDNA媒介体は、細菌への形質転換の前又は後のいずれかに分解される。いずれかの又は全てのステップは、単一の反応プールにおいて生じてもよく、又は、例えば免疫グロブリン軽鎖変異体について少なくとも1つ及び免疫グロブリン重鎖変異体についてもう1つを含む、2つ以上の別の反応プールにおいて生じてもよい。細菌の単一プールは、生成された免疫グロブリン軽鎖ベクター及び生成された免疫グロブリン重鎖ベクターで形質転換される。形質転換された細胞のサブセットは、1つ以上の免疫グロブリン軽鎖ベクター及び1つ以上の免疫グロブリン重鎖ベクターの両方で形質転換される。そのような場合、重鎖変異体及び軽鎖変異体は共発現され、発現された重鎖タンパク質及び発現された軽鎖タンパク質が免疫グロブリン複合体、すなわち抗体を形成することを可能にし得る。重鎖変異体及び軽鎖変異体の発現は、ベクターが最初に形質転換される細菌細胞種において生じてもよく、又はベクター若しくはそれに由来するベクターが次に移行される異なる細胞種において生じてもよい。
【0125】
[実施例11]
単一のベクター上の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の突然変異誘発
本発明の一例では、第一の目的配列は、免疫グロブリン重鎖をコードし、第二の目的配列は、免疫グロブリン軽鎖をコードする。免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖配列は、単一ベクターにクローニングされる。それぞれは、本発明の方法にしたがって突然変異誘発され、dsDNA変異体を生成し、次いで、これはssDNA変異体に変換され、ssDNA媒介体にハイブリダイズされ、ヘテロ二本鎖を形成し、ここで、それぞれのssDNA媒介体は、免疫グロブリン重鎖ssDNA変異体にハイブリダイズすることができる少なくとも1つの位置、及び免疫グロブリン軽鎖ssDNA変異体にハイブリダイズすることができる別の位置を有する。ハイブリダイズされたssDNA変異体は、ssDNA媒介体を鋳型分子として用いてDNA伸長をプライムする。伸長反応は、リガーゼを含む。その後、ssDNA媒介体は、細菌への形質転換の前又は後のいずれかに分解される。本発明の方法によって単一ベクターにクローニングされた重鎖変異体及び軽鎖変異体は、共発現され、発現された重鎖タンパク質及び発現された軽鎖タンパク質が免疫グロブリン複合体、すなわち抗体を形成することを可能にし得る。重鎖変異体及び軽鎖変異体の発現は、ベクターが最初に形質転換される細菌細胞種において生じてもよく、又はベクター若しくはそれに由来するベクターが次に移行される異なる細胞種において生じてもよい。
【0126】
[実施例12]
回復されたベクターについて選択するためのEco29kI制限部位の使用
本発明のいくつかの場合において、複数の異なるポリヌクレオチドセグメントに対応するssDNA変異体を、単一の回復されたベクターに組み込むことが望ましい。この実施例では、本発明の方法は、単一構築物において、単鎖抗体の6個の相補性決定領域のそれぞれを、それにハイブリダイズすることができるssDNA変異体の配列に置き換えるために使用される。単鎖抗体は、軽鎖可変ドメイン(V
L)相補性決定領域(CDR)1(合わせてV
L-CDR1)、V
L-CDR2、V
L-CDR3、リンカー、重鎖可変ドメイン(V
H)CDR1(合わせてV
H-CDR1)、V
H-CDR2、及びV
H-CDR3を含む。任意の2つの隣接するCDR間の距離は、例えば30〜40塩基対であってよい。
【0127】
CDRのそれぞれにハイブリダイズすることができるssDNA変異体は、CDRのそれぞれに対応する鋳型配列に基づいて作製される。鋳型配列は、SacII制限部位又はopal終止コドンを含まない(
図4)。ssDNA変異体は、CDR ssDNA変異体がハイブリダイズすることができる配列を有するが、対応するssDNA変異体がハイブリダイズすることができる各CDRのセグメント内にSacII制限部位及びopal終止コドンをさらに含む、ウラシル化ssDNA媒介体にハイブリダイズする(
図4)。ssDNA変異体は、ssDNA媒介体にハイブリダイズされ、次いで、細菌に移行され、そこでミスマッチヌクレオチドは回復される。これらの細菌は、完全なSacII制限部位を含むベクターを分解することができるEco29kI制限酵素を発現する。したがって、媒介体鎖の6個のCDRの任意の1つがssDNA変異体にハイブリダイズしない場合、又は6個のCDRの任意の1つが、対応するssDNA変異体にハイブリダイズするが、ハイブリダイズされたssDNA変異体よりもssDNA媒介体鎖を優先してSacII制限部位において回復しない場合、得られるベクターは、1つ以上のSacII制限部位を含む。そのようなベクターはEco29kIを発現する細菌中で分解される。6個のCDRのそれぞれにおいてssDNA変異体を優先して回復されないベクターを除去することによって、全ての6個のCDRにおいて改変された構築物を同定する効率が増加する。同様に、いずれかのopal突然変異の存在は、回復されたベクターにコードされる単鎖抗体又はその変異体の発現を破壊する。
【0128】
[実施例14]
組み換え体のパーセンテージを改善するためのEco29kI制限の使用
本明細書に記載されるEco29kI制限方法を用いた場合に組み換え体が同定される頻度の増加を実証するために、いくつかの条件を試験した。第一の条件では、ssDNA変異体を、scFv鋳型(scFv1又はscFv2)から作製した。ssDNA変異体は、SacII制限部位を含まない。ssDNA変異体は、ssDNA変異体がハイブリダイズすることができるssDNA媒介体のセグメント内にSacII制限部位を含むssDNA媒介体にハイブリダイズされた。Eco29kIを発現するTG1細胞への形質転換は、ミスマッチヌクレオチドの回復、及びSacII制限部位を含むベクターの分解をもたらす。第二の条件では、scFv2鋳型を使用して、ssDNA変異体を作製し、ssDNA変異体は、SacII制限部位を含まないssDNA媒介体にハイブリダイズされた。この第二の条件では、Eco29kIを発現するTG1細胞への形質転換は、SacII 制限部位を含むベクターの分解をもたらさない。SacII制限部位を含むベクターの分解は、組み換えを完了しなかったベクターを選択的に分解するため、組み換え体のパーセンテージは増加する。この効果は、SacIIでのin vitro処理有り又は無しで、Eco29kIを発現しない細胞(TG1細胞)において比較される。
【0129】
以下の結果は、Eco29kIを発現するTG1細胞における非組み換えベクターの制限が、Eco29kIを発現しないTG1細胞で観察されるより、組み換え体の高いパーセンテージをもたらすことを示す。
【0130】
【表4】
【0131】
他の実施形態
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
具体的な実施形態に関連して発明を記載したが、さらなる改変が可能であることが理解される。したがって、本明細書は、当分野内の公知の又は慣習的な実施の範囲にある本開示からの発展を含めて、概して本発明の原理に従う本発明の任意の変形、使用、又は応用をカバーすることが意図される。
本発明はまた、以下に関する。
[項目1]
目的配列の変異体のライブラリーを作製する方法であって、以下:
(a)前記目的配列を含む鋳型DNA分子を提供するステップ;
(b)オリゴヌクレオチドのペアを提供するステップであって、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列の逆鎖にハイブリダイズし、前記オリゴヌクレオチドの一方は保護され、他方のオリゴヌクレオチドは保護されず、かつ、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列に隣接する、ステップ;
(c)前記オリゴヌクレオチドを用いて、前記鋳型DNA分子に対して増幅反応を実施し、それによってdsDNA変異体の集団を作製するステップ;
(d)dsDNA変異体の前記集団を、前記dsDNA変異体の保護されない鎖を保護された鎖より優先して選択的に分解することができる酵素とインキュベートし、それによってssDNA変異体の集団を作製するステップ;
(e)ssDNA変異体の前記集団をssDNA媒介体にハイブリダイズさせ、ヘテロ二本鎖DNAを作製するステップであって、前記ssDNA媒介体は、前記目的配列又はその断片と実質的に同一の配列を含む、ステップ; 及び
(f)前記ヘテロ二本鎖DNAを細胞に形質転換し、それによって前記目的配列の変異体のライブラリーを作製するステップ
を含む、方法。
[項目2]
前記鋳型DNA分子が、直鎖状dsDNA分子である、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記鋳型DNA分子が、環状dsDNA分子である、項目1に記載の方法。
[項目4]
前記鋳型DNA分子が、環状ssDNA分子である、項目1に記載の方法。
[項目5]
前記鋳型DNA分子が、ウラシル化又はメチル化環状ssDNA分子である、項目4に記載の方法。
[項目6]
前記鋳型DNA分子の配列が、前記ssDNA媒介体の配列と実質的に同一である、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[項目7]
前記目的配列が、100塩基対を超える、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[項目8]
前記目的配列が、300塩基対を超えるか、500塩基対を超えるか、又は700塩基対を超える、項目7に記載の方法。
[項目9]
前記目的配列が、100〜2000塩基対である、項目7に記載の方法。
[項目10]
前記目的配列が、300〜1500塩基対である、項目9に記載の方法。
[項目11]
前記目的配列が、700〜1200塩基対である、項目10に記載の方法。
[項目12]
前記保護されたオリゴヌクレオチドが、3個以上の5'ホスホロチオエートを含むオリゴヌクレオチドであり、かつ、前記保護されないオリゴヌクレオチドが、3個以上の5'ホスホロチオエートを含まないオリゴヌクレオチドである、項目1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項目13]
前記保護されたオリゴヌクレオチドが、3、4、又は5個の5'ホスホロチオエートを含む、項目12に記載の方法。
[項目14]
保護されない鎖を保護された鎖より優先して選択的に分解することができる前記酵素が、T7エキソヌクレアーゼである、項目12又は13に記載の方法。
[項目15]
保護されない鎖を保護された鎖より優先して選択的に分解することができる前記酵素が、ラムダエキソヌクレアーゼである、項目12又は13に記載の方法。
[項目16]
前記保護されたオリゴヌクレオチドが、5'ホスフェートを含むオリゴヌクレオチドであり、かつ、前記保護されないオリゴヌクレオチドが、5'ホスフェートを含まないオリゴヌクレオチドである、項目1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[項目17]
保護されない鎖を保護された鎖より優先して選択的に分解することができる前記酵素が、ラムダエキソヌクレアーゼである、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記増幅反応が、PCR反応である、項目1〜17のいずれか一項に記載の方法。
[項目19]
前記増幅反応が、エラープローンPCR反応である、項目18に記載の方法。
[項目20]
前記増幅反応が、等温増幅反応である、項目1〜17のいずれか一項に記載の方法。
[項目21]
前記増幅反応が、ローリング
サークル増幅反応である、項目1〜17のいずれか一項に記載の方法。
[項目22]
dsDNA変異体の前記集団のdsDNA変異体の50%が、前記目的配列と99.5%未満の同一性を有する、項目1〜21のいずれか一項に記載の方法。
[項目23]
dsDNA変異体の前記集団のdsDNA変異体の50%が、前記目的配列と98%未満の同一性を有する、項目22に記載の方法。
[項目24]
保護されない鎖を保護された鎖より優先して選択的に分解することができる前記酵素とのインキュベーションの前に、dsDNA変異体の前記集団を精製するステップをさらに含む、項目1〜23のいずれか一項に記載の方法。
[項目25]
前記ssDNA媒介体へのハイブリダイゼーションの前に、ssDNA変異体の前記集団を精製するステップをさらに含む、項目1〜24のいずれか一項に記載の方法。
[項目26]
前記ssDNA媒介体が、前記目的配列又はその断片と少なくとも50%の同一性を有する配列を含む、項目1〜25のいずれか一項に記載の方法。
[項目27]
前記ssDNA媒介体が、前記目的配列又はその断片と少なくとも70%の同一性を有する配列を含む、項目26に記載の方法。
[項目28]
前記ssDNA媒介体が、前記目的配列又はその断片と少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、項目27に記載の方法。
[項目29]
前記ssDNA媒介体が、前記目的配列又はその断片と100%の同一性を有する配列を含む、項目28に記載の方法。
[項目30]
前記ssDNA媒介体が、ファージミド、又はファージミドの配列と実質的に同一である配列断片を含むベクターである、項目1〜29のいずれか一項に記載の方法。
[項目31]
ssDNA変異体の前記集団の、前記ssDNA媒介体への前記ハイブリダイゼーションが、ssDNA変異体の前記集団及び前記ssDNA媒介体の変性温度での共インキュベーションと、その後の、アニーリング温度までの徐冷却を含む、項目1〜30のいずれか一項に記載の方法。
[項目32]
前記変性温度が約90℃である、項目31に記載の方法。
[項目33]
前記アニーリング温度が約55℃である、項目31又は32に記載の方法。
[項目34]
前記徐冷却が、1分あたり約-1℃の速度で生じる、項目31〜33のいずれか一項に記載の方法。
[項目35]
前記細胞が、真核細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞又は細菌細胞である、項目1〜34のいずれか一項に記載の方法。
[項目36]
前記ssDNA媒介体が、修飾核酸塩基、又はアデニン、グアニン、シトシン及びチミン以外の核酸塩基を含む、項目1〜35のいずれか一項に記載の方法。
[項目37]
前記細胞が、前記ssDNA媒介体を選択的に分解することができる細胞である、項目1〜36のいずれか一項に記載の方法。
[項目38]
前記ssDNA媒介体が、ウラシル化ssDNA媒介体である、項目1〜37のいずれか一項に記載の方法。
[項目39]
前記ssDNA媒介体が、メチル化ssDNA媒介体である、項目1〜37のいずれか一項に記載の方法。
[項目40]
前記ssDNA媒介体を選択的に分解することができる前記細胞が、Ung
+細菌細胞である、項目38に記載の方法。
[項目41]
前記細胞が、TG1大腸菌(E. coli)細胞である、項目40に記載の方法。
[項目42]
前記ssDNA媒介体を選択的に分解することができる前記細胞が、Mcr+細菌細胞である、項目39に記載の方法。
[項目43]
ステップ(e)が、前記ヘテロ二本鎖DNAのDNAポリメラーゼとのインキュベーションによって、前記ssDNA媒介体にハイブリダイズされた前記ssDNA変異体を伸長することをさらに含む、項目1〜42のいずれか一項に記載の方法。
[項目44]
前記ヘテロ二本鎖DNAのDNAポリメラーゼとの前記インキュベーションが、前記ヘテロ二本鎖DNAのDNAポリメラーゼ及びDNAリガーゼとのインキュベーションを含む、項目43に記載の方法。
[項目45]
前記ssDNA媒介体がメチル化ssDNA媒介体であり、かつ、ステップ(e)が、前記ヘテロ二本鎖DNAを変性するステップ、及び変性した生成物を、メチル化DNAを選択的に分解する酵素とインキュベートするステップをさらに含む、項目43又は44に記載の方法。
[項目46]
前記メチル化ssDNA媒介体が、メチル化アデニン核酸塩基を含み、かつ、メチル化DNAを選択的に分解する前記酵素が、DpnIである、項目45に記載の方法。
[項目47]
前記ssDNA変異体がメチル化され、前記ssDNA媒介体がメチル化されず、かつ、ステップ(e)が、前記ヘテロ二本鎖DNAを変性するステップ、及び変性した生成物を、非メチル化DNAを選択的に分解する酵素とインキュベートするステップをさらに含む、項目43又は44に記載の方法。
[項目48]
前記メチル化ssDNA変異体が、メチル化されたシトシン又はグアニン核酸塩基を含み、かつ、非メチル化DNAを選択的に分解する前記酵素が、DNA配列5'-GATC-3'を認識する制限酵素である、項目47に記載の方法。
[項目49]
前記細胞への形質転換の前に、前記ヘテロ二本鎖DNAを精製するステップをさらに含む、項目1〜48のいずれか一項に記載の方法。
[項目50]
前記ヘテロ二本鎖DNAの前記細胞への前記形質転換が、前記細胞の2個以上、10個以上、20個以上、又は50個以上のアリコートの独立した形質転換を含む、項目1〜49のいずれか一項に記載の方法。
[項目51]
前記目的配列が、抗体又はそのドメイン若しくは断片をコードする、項目1〜50のいずれか一項に記載の方法。
[項目52]
前記目的配列が、ポリメラーゼ又はそのドメイン若しくは断片をコードする、項目1〜50のいずれか一項に記載の方法。
[項目53]
前記目的配列が、酵素又はそのドメイン若しくは断片をコードする、項目1〜50のいずれか一項に記載の方法。
[項目54]
ステップ1(a)〜1(d)が、ssDNA変異体の2種以上の集団を作製するために、2種以上の異なる目的配列のそれぞれから並行して実施され、ここで、前記オリゴヌクレオチド、前記増幅反応、及び前記酵素は、前記2種以上の異なる目的配列のそれぞれに対するステップ1(a)〜1(d)のいずれか又は全ての適用において異なってよく、かつ、ssDNA変異体の前記集団は、ステップ1(e)の前又は最中に混合される、項目1〜53のいずれか一項に記載の方法。
[項目55]
前記2種以上の異なる目的配列の少なくとも2つが、単一の鋳型DNA分子から増幅される、項目54に記載の方法。
[項目56]
前記2種以上の異なる目的配列の全てが、単一の鋳型DNA分子から増幅される、項目55に記載の方法。
[項目57]
前記2種以上の異なる目的配列の少なくとも2つが、異なる鋳型DNA分子から増幅される、項目54に記載の方法。
[項目58]
前記2種以上の異なる目的配列のそれぞれが、異なる鋳型DNA分子から増幅される、項目57に記載の方法。
[項目59]
並行して実施される前記ステップの1つ以上が、前記2種以上の異なる目的配列の少なくとも2つについて単一の反応において実施される、項目54〜58のいずれか一項に記載の方法。
[項目60]
並行して実施される前記ステップの1つ以上が、前記2種以上の異なる目的配列の全てについて単一の反応において実施される、項目59に記載の方法。
[項目61]
並行して実施される前記ステップの1つ以上が、前記2種以上の異なる目的配列の少なくとも2つについて別々に実施される、項目54〜58のいずれか一項に記載の方法。
[項目62]
並行して実施される前記ステップの1つ以上が、前記2種以上の異なる目的配列のそれぞれについて別々に実施される、項目61に記載の方法。
[項目63]
前記ssDNA媒介体が、前記2種以上の異なる目的配列のそれぞれ、又はその断片、と実質的に同一の配列を含み、かつ、ステップ1(e)が、ssDNA変異体の前記2種以上の集団のそれぞれの、前記ssDNA媒介体へのハイブリダイゼーションを包含する、項目54〜62のいずれか一項に記載の方法。
[項目64]
ssDNA変異体の前記2種以上の集団が、前記ssDNA媒介体に同時にハイブリダイズされる、項目63に記載の方法。
[項目65]
ssDNA変異体の前記2種以上の集団が、前記ssDNA媒介体に連続的にハイブリダイズされる、項目63に記載の方法。
[項目66]
エラープローンPCRによってdsDNA変異体の集団を作製する方法であって、以下:
(a)前記目的配列を含む鋳型DNA分子を提供するステップ;
(b)オリゴヌクレオチドのペアを提供するステップであって、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列の逆鎖にハイブリダイズし、前記オリゴヌクレオチドの一方は3個以上の5'ホスホロチオエートを含み、他方のオリゴヌクレオチドは3個以上の5'ホスホロチオエートを含まず、かつ、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列に隣接する、ステップ; 及び (c)前記オリゴヌクレオチドを用いて、前記鋳型DNA分子に対してエラープローンPCRを実施し、それによってdsDNA変異体の集団を作製するステップ
を含む、方法。
[項目67]
エラープローンPCRによってssDNA変異体の集団を作製する方法であって、以下:
(a)前記目的配列を含む鋳型DNA分子を提供するステップ;
(b)オリゴヌクレオチドのペアを提供するステップであって、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列の逆鎖にハイブリダイズし、前記オリゴヌクレオチドの一方は3個以上の5'ホスホロチオエートを含み、他方のオリゴヌクレオチドは3個以上の5'ホスホロチオエートを含まず、かつ、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列に隣接する、ステップ;
(c)前記オリゴヌクレオチドを用いて、前記鋳型DNA分子に対してエラープローンPCRを実施し、それによってdsDNA変異体の集団を作製するステップ; 及び
(d)dsDNA変異体の前記集団を、前記dsDNA変異体の非ホスホロチオエート鎖を加水分解することができるが、ホスホロチオエート鎖を加水分解することができない酵素とインキュベートし、それによってssDNA変異体の集団を作製するステップ
を含む、方法。
[項目68]
PCRによってdsDNA分子の集団を作製する方法であって、以下:
(a)前記目的配列を含む鋳型DNA分子を提供するステップ;
(b)オリゴヌクレオチドのペアを提供するステップであって、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列の逆鎖にハイブリダイズし、前記オリゴヌクレオチドの一方は3個以上の5'ホスホロチオエートを含み、他方のオリゴヌクレオチドは3個以上の5'ホスホロチオエートを含まず、かつ、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列に隣接する、ステップ; 及び (c)前記オリゴヌクレオチドを用いて、前記鋳型DNA分子に対してPCRを実施し、それによってdsDNA分子の集団を作製するステップ
を含む、方法。
[項目69]
PCRによってssDNA分子の集団を作製する方法であって、以下:
(a)前記目的配列を含む鋳型DNA分子を提供するステップ;
(b)オリゴヌクレオチドのペアを提供するステップであって、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列の逆鎖にハイブリダイズし、前記オリゴヌクレオチドの一方は3個以上の5'ホスホロチオエートを含み、他方のオリゴヌクレオチドは3個以上の5'ホスホロチオエートを含まず、かつ、前記オリゴヌクレオチドは前記目的配列に隣接する、ステップ;
(c)前記オリゴヌクレオチドを用いて、前記鋳型DNA分子に対してPCRを実施し、それによってdsDNA分子の集団を作製するステップ; 及び
(d)dsDNA分子の前記集団を、前記dsDNA分子の非ホスホロチオエート鎖を加水分解することができるが、ホスホロチオエート鎖を加水分解することができない酵素とインキュベートし、それによってssDNA分子の集団を作製するステップ
を含む、方法。
[項目70]
ファージディスプレイの方法であって、以下:
(a)項目1〜65のいずれか一項に記載の変異体のライブラリーを提供するステップ; (b)変異体の前記ライブラリーの1つ以上のアリコートを培養して、変異体の培養ライブラリーを作製するステップ;
(c)変異体の前記培養ライブラリーの1つ以上のアリコートを、ヘルパーファージとインキュベートし、ファージディスプレイライブラリーを作製するステップであって、前記ファージディスプレイライブラリーの細胞が、前記目的配列によってコードされるタンパク質の変異体を提示する、ステップ;
(d)前記ファージディスプレイライブラリーの前記細胞を、標的分子と接触させるステップであって、前記目的配列によってコードされるタンパク質の前記変異体の1つ以上が、前記標的分子と相互作用し得る、ステップ; 及び
(e)前記ファージディスプレイライブラリーの前記細胞の中から、前記標的分子と相互作用する変異体タンパク質を提示する細胞を単離するステップ
を含む、方法。
[項目71]
非組み換え核酸を選択的に分解する方法であって、以下:
(a)制限部位を有する少なくとも1つのセグメントを含む第一の核酸を提供するステップ;
(b)前記制限部位を含まない少なくとも1つのセグメントを含む第二の核酸を提供するステップ;
(c)前記第一の核酸及び前記第二の核酸を、前記第一の核酸の前記セグメントが前記第二の核酸の前記セグメントに置き換えられるように前記第一の核酸及び前記第二の核酸を組み換えるための反応に供し、それによって前記制限部位を含まない組み換え生成物を作製するステップ;
(d)前記反応の生成物を、前記制限部位を切断することができる制限酵素を発現する細胞に形質転換するステップ; 及び
(e)前記細胞を、前記細胞によって発現される前記制限酵素による切断を可能にするのに十分な様式でインキュベートするステップ
を含む、方法。
[項目72]
前記細胞が、前記制限酵素によって切断される制限部位を含まない組み換え生成物を含むかどうかを決定するステップをさらに含む、項目71に記載の方法。
[項目73]
前記細胞から前記組み換え生成物を単離するステップをさらに含む、項目71に記載の方法。
[項目74]
前記制限酵素がEco29kIである、項目71〜73のいずれか一項に記載の方法。
[項目75]
前記組み換え生成物が、免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖をコードし、前記免疫グロブリン軽鎖及び前記免疫グロブリン重鎖の1つ以上が、前記第一の核酸の少なくとも一部及び前記第二の核酸の少なくとも一部によってコードされる、項目71〜74のいずれか一項に記載の方法。
[項目76]
突然変異されていない核酸を選択的に分解する方法であって、以下:
(a)制限部位を有する少なくとも1つのセグメントを含む第一の核酸を提供するステップ;
(b)前記制限部位を含まず、かつ前記制限部位を有する前記第一の核酸の少なくともセグメントにハイブリダイズすることができる、少なくとも1つのセグメントを有する、第二の核酸を提供するステップ;
(c)前記第二の核酸を前記第一の核酸にハイブリダイズさせ、ヘテロ二本鎖DNAを作製するステップ;
(d)前記ヘテロ二本鎖DNAを回復させ、それによって前記制限部位を含まない生成物を作製するステップ;
(e)前記反応の生成物を、前記制限部位を切断することができる制限酵素を発現する細胞に形質転換するステップ; 及び
(f)前記細胞を、前記細胞によって発現される前記制限酵素による切断を可能にするのに十分な様式でインキュベートするステップ
を含む、方法。
[項目77]
前記細胞が、前記制限酵素によって切断される制限部位を含まない生成物を含むかどうかを決定するステップをさらに含む、項目76に記載の方法。
[項目78]
前記細胞から前記生成物を単離するステップをさらに含む、項目76に記載の方法。
[項目79]
前記制限酵素がEco29kIである、項目76〜78のいずれか一項に記載の方法。
[項目80]
前記生成物が、免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖をコードし、前記免疫グロブリン軽鎖及び前記免疫グロブリン重鎖の1つ以上が、前記第二の核酸の少なくとも一部又はその配列によってコードされる、項目76〜79のいずれか一項に記載の方法。
[項目81]
前記第一の核酸がssDNA媒介体であり、前記第二の核酸がssDNA変異体である、項目76〜80のいずれか一項に記載の方法。
[項目82]
突然変異されたオープンリーディングフレームからタンパク質を選択的に発現する方法であって、以下:
(a)1つ以上の終止コドンを、もしそれがなければ発現可能なオープンリーディングフレームの少なくとも1つのセグメント中に含む第一の核酸を提供するステップ;
(b)終止コドンを含まない少なくとも1つのセグメントを含む第二の核酸を提供するステップ;
(c)前記第一の核酸及び前記第二の核酸を、前記第一の核酸の前記セグメントが前記第二の核酸の前記セグメントに置き換えられるように前記第一の核酸及び前記第二の核酸を組み換えるための反応に供し、それによって前記オープンリーディングフレーム中に終止コドンを含まない組み換え生成物を作製するステップ;
(d)前記反応の生成物を細胞に形質転換するステップ; 及び
(e)前記細胞を、前記オープンリーディングフレームの発現を可能にするのに十分な期間インキュベートするステップ
を含む、方法。
[項目83]
前記細胞が、前記第一の核酸の一部の配列及び前記第二の核酸の少なくとも一部の配列を含むオープンリーディングフレームから発現されるタンパク質又はその一部を含むかどうかを決定するステップをさらに含む、項目82に記載の方法。
[項目84]
前記第一の核酸の一部の配列及び前記第二の核酸の少なくとも一部の配列を含むオープンリーディングフレームから発現されるタンパク質又はその断片を前記細胞から単離するステップをさらに含む、項目82に記載の方法。
[項目85]
前記組み換え生成物が、免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖をコードし、前記免疫グロブリン軽鎖及び前記免疫グロブリン重鎖の1つ以上が、前記第一の核酸の少なくとも一部及び前記第二の核酸の少なくとも一部によってコードされる、項目82〜84のいずれか一項に記載の方法。
[項目86]
前記組換え反応が、第一の核酸がssDNA媒介体であり、第二の核酸がssDNA変異体である、突然変異誘発反応である、項目82〜85のいずれか一項の記載の方法。
[項目87]
突然変異されたオープンリーディングフレームからタンパク質を選択的に発現する方法であって、以下:
(a)1つ以上の終止コドンを、もしそれがなければ発現可能なオープンリーディングフレームの少なくとも1つのセグメント中に含む第一の核酸を提供するステップ;
(b)終止コドンを含まず、かつ前記終止コドンの1つ以上を有する前記第一の核酸の少なくともセグメントにハイブリダイズすることができる、少なくとも1つのセグメントを含む、第二の核酸を提供するステップ;
(c)前記第二の核酸を前記第一の核酸にハイブリダイズさせ、ヘテロ二本鎖DNAを作製するステップ;
(d)前記ヘテロ二本鎖DNAを回復させ、それによって前記オープンリーディングフレーム中に終止コドンを含まない生成物を作製するステップ;
(e)前記反応の生成物を細胞に形質転換するステップ; 及び
(f)前記細胞を、前記オープンリーディングフレームの発現を可能にするのに十分な期間インキュベートするステップ
を含む、方法。
[項目88]
前記細胞が、前記第一の核酸の一部の配列及び前記第二の核酸の少なくとも一部の配列を含むオープンリーディングフレームから発現されるタンパク質又はその一部を含むかどうかを決定するステップをさらに含む、項目87に記載の方法。
[項目89]
前記第一の核酸の一部の配列及び前記第二の核酸の少なくとも一部の配列を含むオープンリーディングフレームから発現されるタンパク質又はその断片を前記細胞から単離するステップをさらに含む、項目87に記載の方法。
[項目90]
前記生成物が、免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖をコードし、前記免疫グロブリン軽鎖及び前記免疫グロブリン重鎖の1つ以上が、前記第二の核酸の少なくとも一部又はその配列によってコードされる、項目87〜89のいずれか一項に記載の方法。
[項目91]
前記組換え反応が、第一の核酸がssDNA媒介体であり、第二の核酸がssDNA変異体である、突然変異誘発反応である、項目87〜90のいずれか一項に記載の方法。