【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0012】
本発明の熱処理装置は、
ワーク(例えば鉄鋼材)の出入りとなる搬入出室(搬入出用台を含む)と、
前記搬入出室と、開閉可能な第1密閉扉を介在させて連設されるガス置換室と、
前記ガス置換室と、開閉可能な第2密閉扉を介在させて連設されるサブゼロ処理室と、
前記ガス置換室と、開閉可能な第3密閉扉を介在させて連設されるテンパー処理室と、
を有し、
前記サブゼロ処理室と前記テンパー処理室との間に前記ガス置換室が介在しており、
前記ガス置換室において、前記ワークが置換ガスでガス置換される。
【0013】
上記発明において、前記サブゼロ処理室から前記テンパー処理室へ前記ワークを直接搬入できず、前記ガス置換室を介して前記サブゼロ処理室から前記テンパー処理室へ前記ワークを搬入する経路を有する。なお、搬入出室は全方位囲まれた部屋でなくともよく、搬入出用台であってもよい。
【0014】
上記発明において、置換ガスは、主成分として、不活性ガス、ドライエアおよび二酸化炭素の内いずれか1種のガスまたは2種以上の混合ガスから選択されてもよい。
【0015】
上記不活性ガスとして、例えば、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)が挙げられる。
【0016】
上記ドライエアは、例えば、露点が−90〜−10℃の乾燥空気である。
【0017】
上記不活性ガスは、ガス置換室からサブゼロ処理室に流入してもよく、またガス置換室からテンパー処理室に流入してもよい。
【0018】
上記ドライエアおよび二酸化酸素は、ガス置換室からサブゼロ処理室に流入してもよく、また表面酸化が許容されるワークである場合にはガス置換室からテンパー処理室に流入してもよい。
【0019】
上記発明として、熱処理装置は、前記ガス置換室に、置換ガスの供給を制御する第1制御部を有していてもよい。
上記第1制御部は、さらに、ガス置換室のガス雰囲気を制御してもよい。
上記第1制御部は、さらに、ガス置換室内を所定温度に制御してもよい。
【0020】
上記発明として、熱処理装置は、前記サブゼロ処理室に、液体窒素の供給を制御する第2制御部を有していてもよい。
上記第2制御部は、さらに、サブゼロ処理室内を所定温度に制御してもよい。
【0021】
上記発明として、熱処理装置は、前記テンパー処理室に、所定ガスの供給を制御する第3制御部を有していてもよい。
「所定ガス」は、不活性ガス、ドライエアおよび二酸化炭素の内いずれか1種のガスまたは2種以上の混合ガスが挙げられる。
上記第3制御部は、さらに、ガス置換室のガス雰囲気を制御してもよい。
上記第3制御部は、さらに、ガス置換室内を所定温度に制御してもよい。
【0022】
上記発明の一実施形態として、前記サブゼロ処理室に液体窒素が供給される経路である液体窒素経路と、前記ガス置換室に置換ガスが供給される経路である第1置換ガス経路と、前記テンパー室に置換ガスが供給される経路である第2置換ガス経路とを有していてもよい。
ガスが供給される経路は、所定の配管であってもよい。
【0023】
上記発明の一実施形態として、熱処理装置は、前記第1〜第3密閉扉の内いずれか一の密閉扉が開いた状態である場合に、その他の密閉扉が閉じた状態になるように、前記第1〜第3密閉扉の開閉を制御する開閉制御部を有する。
【0024】
上記発明の一実施形態として、熱処理装置は、前記搬入出室と前記ガス置換室との間の第1搬送経路と、前記ガス置換室と前記サブゼロ処理室との間の第2搬送経路と、前記ガス置換室と前記テンパー処理室との間の第3搬送経路とを有し、
前記第1〜第3搬送経路におけるワークの搬送を制御する搬送制御部を有する。
【0025】
本発明の熱処理システムは、上記に記載の熱処理装置と、
前記熱処理装置のサブゼロ処理室に供給される液体窒素を貯留する液体窒素供給源と、
前記液体窒素供給源から前記サブゼロ処理室へ液体窒素を供給する液体窒素経路と、
第1蒸発器が設けられている第1窒素ガス経路であって、前記液体窒素供給源からの液体窒素が、前記第1蒸発器を経由することで状態変化された窒素ガスを、前記熱処理装置のガス置換室および/またはテンパー処理室へ供給する第1窒素ガス経路と、を有する。
【0026】
上記発明の一実施形態として、熱処理システムは、前記第1窒素ガス経路に、前記第1蒸発器の後段に圧力調整器が設けられていてもよい。
【0027】
上記発明の一実施形態として、前記第1蒸発器より上流側で、前記第1窒素ガス経路が前記サブゼロ処理室を通り、当該サブゼロ処理室内の第1窒素ガス経路に熱交換器が設けられていてもよい。
【0028】
上記発明の一実施形態として、第2蒸発器が設けられている第2窒素ガス経路であって、前記液体窒素供給源からの液体窒素が、前記第2蒸発器を経由することで状態変化された窒素ガスを、前記熱処理装置のガス置換室および/またはテンパー処理室へ供給する第2窒素ガス経路と、をさらに有していてもよい。
【0029】
上記発明の一実施形態として、熱処理システムは、前記第2窒素ガス経路に、前記第2蒸発器の後段に圧力調整器が設けられていてもよい。
【0030】
他の発明は、サブゼロ処理とテンパー処理を含む熱処理が施されるワークの製造方法であって、
前記ワークを搬入出室(搬入出用台を含む)へ配置するワーク準備工程と、
前記搬入出室から当該搬入出室と連設されたガス置換室へ前記ワークを移動する第1移動工程と、
前記ワークが配置されたガス置換室において、当該ワークを所定ガス雰囲気でガス置換するガス置換工程と、
前記ガス置換室から当該ガス置換室と連設されたサブゼロ処理室へ前記ワークを移動させる第2移動工程と、
前記ワークが配置されたサブゼロ処理室において、当該ワークのサブゼロ処理を行うサブゼロ処理工程と、
前記サブゼロ処理室から当該サブゼロ処理室と連設された、所定ガス雰囲気の前記ガス置換室へ前記ワークを移動させる第3移動工程と、
前記ガス置換室で前記ワークを所定ガス雰囲気下に置くガス雰囲気工程と、
前記ガス置換室から当該ガス置換室と連設されたテンパー処理室へ前記ワークを移動させる第4移動工程と、
前記ワークが配置されたテンパー処理室において、当該ワークをテンパー処理するテンパー処理工程と、
前記テンパー処理室から当該テンパー処理室と連設された前記ガス置換室へ前記ワークを移動させる第5移動工程と、
前記ワークが配置されたガス置換室において、当該ワークを前記テンパー処理におけるテンパー温度よりも低い所定温度まで静置する低温化工程と、
前記ガス置換室から当該ガス置換室と連設された前記搬入出室へ前記ワークを移動させる第6移動工程と、を含む。
【0031】
上記発明の熱処理方法において、前記低温化工程は、前記ワークが配置されたガス置換室において、当該ワークを所定ガス雰囲気かつ当該ワークを前記テンパー処理におけるテンパー温度よりも低い所定温度まで静置する工程であってもよい。
【0032】
上記発明の熱処理方法において、第1のワークに対する前記テンパー処理工程中に、第2のワークに対する前記ガス置換工程を開始し、
第1のワークに対する前記第6移動工程の完了後に、第2のワークに対する第3移動工程を開始してもよい。
【0033】
上記発明のガス雰囲気工程は、前記ワークが配置されたガス置換室において、当該ワークを所定ガス雰囲気でガス置換する工程であってもよい。
【0034】
上記発明の熱処理方法は、前記所定ガス雰囲気のガスの主成分が、不活性ガス、ドライエアおよび二酸化炭素の内いずれか1種のガスまたは2種以上の混合ガスから選択されてもよい。
【0035】
上記発明において、前記ガス置換室における前記所定ガス雰囲気としては、サブゼロ処理前後のワークに対しては、露点が−10℃以下であり、好ましくは−50℃以下であり、より好ましくは−80℃以下であり、さらに好ましくは−100℃以下である。また、テンパー処理後のワークに対しては、露点が−10℃以下であり、好ましくは−50℃以下であり、より好ましくは−80℃以下であり、さらに好ましくは−100℃以下である。ガス置換室においてワークを所定ガス雰囲気でガス置換することで、ワークが結露することを生じないようにすることが好ましい。