特許第6552997号(P6552997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6552997
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   F02D 11/04 20060101AFI20190722BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20190722BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20190722BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20190722BHJP
【FI】
   F02D11/04 E
   F02D29/00 B
   E02F9/20 Q
   E02F9/20 L
   G05G1/30 E
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-122785(P2016-122785)
(22)【出願日】2016年6月21日
(65)【公開番号】特開2017-227151(P2017-227151A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】岩本 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】衣川 亮祐
【審査官】 丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−150216(JP,A)
【文献】 特開平06−313326(JP,A)
【文献】 特開2011−027091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 9/00 − 11/10
F02D 29/00 − 29/06
E02F 9/20 − 9/22
G05G 1/00 − 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
操作された操作量に基づいて前記原動機の目標回転数を設定可能なアクセルと、
前記アクセルの操作量を検出する検出装置と、
前記アクセルの操作量と前記原動機の目標回転数との関係に基づいて前記原動機の回転数を制御する制御部と、前記検出装置で検出された前記アクセルの操作量である検出操作量が所定以上であるか否かを判断する判断部と、前記検出操作量が所定以上であると前記判断部が判断した場合に、前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係を変更する変更部とを有する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記原動機が駆動すると、予め設定されたアクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係を示す初期データを読み込み、
前記検出操作量が所定値以上であると前記判断部が判断した場合、当該検出操作量をアクセルの操作量の最大値としてセットし、当該検出操作量がアクセルの操作量の最大値としてセットされると、前記所定値をセットされた最大値に設定し、
現在の検出操作量がセットされた最大値を超えている場合は、この最大値を超える検出操作量をアクセルの操作量の最大値として再セットし、
現在の検出操作量が前回の検出操作量未満であると前記判断部が判断した場合、前記前回の検出操作量がアクセルの操作量の最大値としてセットされたか否かを判断し、
前記最大値としてセットされていると判断した場合、前記前回の検出操作量に基づいて前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係を変更し、セットされていないと判断した場合、前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係として初期データを使用する作業機。
【請求項2】
前記変更部は、前記検出装置で検出した前記検出操作量に基づいて、前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係を変更する請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記変更部は、前記制御部による原動機の回転数の制御が行われていないときに、前記関係における前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係を変更する請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記変更部は、前記判断部が所定以上であると判断した前記検出操作量を、アクセルの最大の操作量として設定し、且つ、当該検出操作量での原動機の目標回転数を、前記最大の操作量に対応する最大の目標回転数に設定し、前記最大の操作量及び最大の目標回転数に基づいて、前記アクセルの操作量と前記原動機の目標回転数との関係を変更する請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記変更部における前記アクセルの操作量と前記原動機の目標回転数との関係の変更後は、前記変更後の関係を保持する請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記原動機を停止させた際に、前記アクセルの操作量と前記原動機の目標回転数との関係を、初期状態に戻す請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールローダ、スキッドステアローダ、コンパクトトラックローダ等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機として特許文献1に開示された技術が知られている。
特許文献1に開示された作業機は、原動機と、操作された操作量に基づいて原動機の目標回転数を設定可能なアクセルと、アクセルの操作量を検出する検出装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−338051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の作業機では、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係を調整するのが面倒であった。また、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係を運転者のアクセルの操作傾向に相応させるのが困難であった。
そこで、本発明は、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係の調整が容易であり、且つ、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係を運転者のアクセルの操作傾向に相応させることが可能な作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の作業機は、原動機と、操作された操作量に基づいて前記原動機の目標回転数を設定可能なアクセルと、前記アクセルの操作量を検出する検出装置と、前記アクセルの操作量と前記原動機の目標回転数との関係に基づいて前記原動機の回転数を制御する制御部と、前記検出装置で検出された前記アクセルの操作量である検出操作量が所定以上であるか否かを判断する判断部と、前記検出操作量が所定以上であると前記判断部が判断した場合に、前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係を変更する変更部とを有する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記原動機が駆動すると、予め設定されたアクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係を示す初期データを読み込み、前記検出操作量が所定値以上であると前記判断部が判断した場合、当該検出操作量をアクセルの操作量の最大値としてセットし、当該検出操作量がアクセルの操作量の最大値としてセットされると、前記所定値をセットされた最大値に設定し、現在の検出操作量がセットされた最大値を超えている場合は、この最大値を超える検出操作量をアクセルの操作量の最大値として再セットし、現在の検出操作量が前回の検出操作量未満であると前記判断部が判断した場合、前記前回の検出操作量がアクセルの操作量の最大値としてセットされたか否かを判断し、前記最大値としてセットされていると判断した場合、前記前回の検出操作量に基づいて前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係を変更し、セットされていないと判断した場合、前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係として初期データを使用する
【0006】
また、前記変更部は、前記検出装置で検出した前記検出操作量に基づいて、前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係を変更する。
また、前記変更部は、前記制御部による原動機の回転数の制御が行われていないときに、前記関係における前記アクセルの操作量と前記目標回転数との関係を変更する。
また、前記変更部は、前記判断部が所定以上であると判断した前記検出操作量を、アクセルの最大の操作量として設定し、且つ、当該検出操作量での原動機の目標回転数を、前記最大の操作量に対応する最大の目標回転数に設定し、前記最大の操作量及び最大の目標回転数に基づいて、前記アクセルの操作量と前記原動機の目標回転数との関係を変更する。
【0007】
また、前記制御装置は、前記変更部における前記アクセルの操作量と前記原動機の目標回転数との関係の変更後は、前記変更後の関係を保持する。
また、前記制御装置は、前記原動機を停止させた際に、前記アクセルの操作量と前記原動機の目標回転数との関係を、初期状態に戻す。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係に基づいて原動機の回転数を制御する制御部と、検出装置で検出されたアクセルの操作量である検出操作量が所定以上であるか否かを判断する判断部と、検出操作量が所定以上であると判断部が判断した場合に、アクセルの操作量と目標回転数との関係を変更する変更部とを有する制御装置を備えている。これにより、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係の調整を容易に行える。また、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係を運転者のアクセ
ルの操作傾向に相応させることができる。
【0009】
また、変更部は、検出装置で検出した検出操作量に基づいて、アクセルの操作量と目標回転数との関係を変更する。このため、アクセルの操作量と目標回転数との関係を変更するに際して、検出操作量をベースに、簡単に、アクセルの操作量と目標回転数との関係を変更することができる。
また、変更部は、制御部による原動機の回転数の制御が行われていないときに、関係におけるアクセルの操作量と目標回転数との関係を変更する。これにより、必要に応じて様々な場合に、アクセルの操作量と目標回転数との関係を変更することができる。
【0010】
また、変更部は、判断部が所定以上であると判断した検出操作量を、アクセルの最大の操作量として設定し、且つ、当該検出操作量での原動機の目標回転数を、最大の操作量に対応する最大の目標回転数に設定し、最大の操作量及び最大の目標回転数に基づいて、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係を変更する。これにより、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係の調整を容易に行える。
【0011】
また、制御装置は、変更部におけるアクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係の変更後は、変更後の関係を保持する。
また、制御装置は、原動機を停止させた際に、アクセルの操作量と原動機の目標回転数との関係を、初期状態に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】作業機の全体側面を示す概略図である。
図2】作業機の全体平面を示す概略図である。
図3】作業機の後部を示す側面図である。
図4】第2操作レバーの操作系の斜視図である。
図5】第2操作レバーの操作系の側面図である。
図6】第2操作レバーの操作系の背面図である。
図7】第1アーム及び取付アーム等の斜視図である。
図8】操縦台の下部回りの斜視図である。
図9】アクセル装置の斜視図である。
図10】アクセル装置の内部の斜視図である。
図11】アクセル装置の内部の側面図である。
図12】アクセル装置の内部の正面図である。
図13】作業機の制御ブロック図である。
図14】エンジンの始動制御を示すフローチャートである。
図15】エンジンの目標回転数の自動設定を示すフローチャートである。
図16】アクセルペダルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明が採用される作業機1の全体側面を示す概略図である。図2は、作業機1の全体平面を示す概略図である。本実施形態では、作業機1としてホイールローダを例示している。このホイールローダ1は、アーティキュレート式の作業機である。
図1図2に示すように、ホイールローダ1は、機体2と、フロントフレーム(フレーム部材)3と、キャビン4と、走行装置5と、作業装置6とを備えている。
【0014】
キャビン4は、機体2に搭載されている。キャビン4内には、運転席7が設けられている。キャビン4は、運転席7の上方を覆うルーフ30を有する。また、キャビン4は、側面に乗降ドア31を有すると共に、背面に、上下に揺動可能なハッチバック式の後ドア32を有する。
なお、本発明の実施形態において、運転席7に着座した運転者の前側(図1図2の矢印A1方向)を前方、運転者の後側(図1図2の矢印A2方向)を後方、運転者の左側(図2の矢印B1方向)を左方、運転者の右側(図2の矢印B2方向)を右方として説明する。
【0015】
また、機体2(ホイールローダ1)の前後に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって機体2から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって機体2に近づく方向である。
【0016】
図1図2に示すように、走行装置5は、機体2の側方に設けられている。走行装置5は、複数の前輪8L,8Rと複数の後輪9L,9Rとを有する車輪型の走行装置5が採用されている。複数の前輪8は、フロントフレーム3に設けられている。複数の前輪8L,8Rは、左前輪8Lと右前輪8Rとを含む。左前輪8Lは、フロントフレーム3の左側に設けられている。右前輪8Rは、フロントフレーム3の右側に設けられている。複数の後輪9L,9Rは、機体2に設けられている。複数の後輪9L,9Rは、左後輪9Lと右後輪9Rとを含む。左後輪9Lは、機体2の左側に設けられている。右後輪9Rは、機体2の右側に設けられている。走行装置5(後輪9L,9R)は、ホイールローダ1に装備されたHST(静油圧式トランスミッション)によって駆動される。
【0017】
機体2の前端側には連結体10が前後方向の軸心回り回転自在に設けられている。この連結体10にフロントフレーム3の後端側が連結ピン11によって回転自在に連結されている。連結ピン11は、上下方向の軸心を有する。したがって、フロントフレーム3は、機体2に対して左及び右に揺動可能である。
連結体10(機体2)とフロントフレーム3とにわたってステアリングシリンダ12が設けられている。ステアリングシリンダ12は、複動型の油圧シリンダによって構成されている。ステアリングシリンダ12を伸縮させることにより、機体2に対してフロントフレーム3が左又は右に揺動する。これによって、ホイールローダ1が左又は右に旋回可能とされている。
【0018】
作業装置6は、フロントフレーム3に設けられている。また、作業装置6は、左リフトアーム13Lと、右リフトアーム13Rと、バケット14とを有する。左リフトアーム13Lの基端側(後端側)は、フロントフレーム3の左側の後部の上部に枢支されている。右リフトアーム13Rの基端側(後端側)は、フロントフレーム3の右側の後部の上部に枢支されている。バケット14は、左リフトアーム13L及び右リフトアーム13Rの先端側(前端側)に機体幅方向の軸心回りに揺動自在に連結されている。
【0019】
左リフトアーム13Lは、左リフトシリンダ15Lによって駆動される。右リフトアーム13Rは、右リフトシリンダ15Rによって駆動される。バケット14は、バケットシリンダ(作業具シリンダ)16によって駆動される。リフトシリンダ15L,15Rとバケットシリンダ16は、複動型の油圧シリンダによって構成されている。左リフトシリンダ15L及び右リフトシリンダ15Rを伸縮させることで、左リフトアーム13L及び右リフトアーム13Rが上下に揺動する。バケットシリンダ16を伸縮させることで、バケット14がスクイ動作又はダンプ動作をする。
【0020】
バケット14はリフトアーム13L,13Rに対して着脱自在に設けられている。このバケット14の代わりに、スイーパー、モアー等のアタッチメントをリフトアームの先端側に取り付け可能とされている。
図2に示すように、フロントフレーム3には、エアコン用のコンデンサ354を有するコンデンサユニット17が設けられている。
【0021】
図3に示すように、機体2の後部の上部には、カバー部材18が設けられている。カバー部材18の上方には、ボンネット(カバー)19が設けられている。ボンネット19の上部には、運転席7が設けられている。言い換えれば、運転席7は、機体2に設けられている。また、ボンネット19は、運転席7を支持している。運転席7の前方であって、機体2の前部には、ステップ(床板)20が設けられている。ステップ20の前方には、操縦装置21が設けられている。操縦装置21は、ステアリング22、コラム23、ステアリングバルブ24、コラムカバー25等を有する。コラム23は、ステアリング22を支持する部材である。ステアリングバルブ24は、ステアリングシリンダ12を制御する部材であって、ステアリング22によって操作される。コラムカバー25は、コラム23、
ステアリングバルブ24等を覆うカバーである。コラムカバー25は、第1コラムカバー25aと、第2コラムカバー25bと、第3コラムカバー25cとに分割されている。コラムカバー25を分割することにより、組み付け性の向上が図られている。
【0022】
コラムカバー25内には、第1制御装置26が設けられている。機体2内の前部には、第2制御装置27が設けられている。第1制御装置26は、ホイールローダ1の作業等に関する制御を行う制御装置である。第2制御装置27は、エンジン28を制御する制御装置である。
また、コラムカバー25内の上部には、燃料切れを報知する報知ブザー427が設けられている。
【0023】
操縦装置21の下部の左側方には、接続部材29が設けられている。この接続部材29は、ホイールローダ1に装備されたCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークにアクセスするための接続部材29である。
操縦装置21の右側には、ホイールローダ1の車速を増減するアクセル装置33が設けられている。運転席7の側方(右側)には、複数の操作部材34,35が設けられている。複数の操作部材34,35は、第1操作レバー34と、第2操作レバー35とを含む。第1操作レバー34は、リフトシリンダ15L,15R及びバケットシリンダ16を操作するレバーである。第2操作レバー35は、バケット14の代わりに取り付けられるアタッチメントを操作するレバーであって、アタッチメントに装備された油圧アクチュエータを操作するレバーである。
【0024】
機体2の後部の下部(図4に示す後壁54の背面)には、ウエイト36が取り付けられている。機体2の前部の左側には、エンジン28用の燃料を貯留する燃料タンク37が設けられている。機体2内には、エンジン(原動機)28、冷却ファン38、冷却ユニット39、浄化装置40、エアクリーナ41、スタータ(セルモータ)42、燃料フィルタ43等が設けられている。
【0025】
エンジン28は、コモンレール式燃料噴射装置を備えたディーゼルエンジンによって構成されている。また、エンジン28は、HSTポンプ44、メインポンプ45、パイロットポンプ(チャージポンプ)46を駆動するための駆動力発生源である。HSTポンプ44は、HSTの一部を構成する可変容量形の油圧ポンプである。メインポンプ45は、アクチュエータ用の油圧を発生させる油圧ポンプである。パイロットポンプ46は、パイロット油の供給用に使用される油圧ポンプであると共に、HSTにチャージ油を供給する油圧ポンプでもある。
【0026】
エンジン28は機体2の前後中途部に位置する。HSTポンプ44、メインポンプ45、パイロットポンプ46は、エンジン28の前部に設けられている。冷却ファン38は、エンジン28の後部に支持されており、エンジン28によって駆動される。冷却ファン38は、機体2の後方側から空気を吸引して前方に送風する。冷却ファン38の後方に冷却ユニット39が設けられている。冷却ユニット39は、冷却ファン38によって冷却される機器を有するユニットであり、シュラウド47、インタークーラ(冷却器)48、ラジエータ49、オイルクーラ50を有する。シュラウド47は、冷却ファン38を覆うと共に冷却ファン38とラジエータ49との間を囲む部材である。インタークーラ48は、過給機からエンジン28に供給される圧縮空気を冷却する冷却器である。インタークーラ48は、シュラウド47内であって、冷却ファン38の後方に位置する。ラジエータ49は、エンジン28の冷却水を冷却する冷却器であって、シュラウド47の後方に設けられている。オイルクーラ50は、作動油を冷却する冷却器であって、ラジエータ49の後方に設けられている。浄化装置40は、エンジン28の排ガスを浄化する装置である。本実施形態では、浄化装置40は、エンジン28から排気される排ガスに混入された未燃燃料を酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)で触媒燃焼させるディーゼルエンジン酸化触媒装置(DOC装置という)で構成されている。DOC装置40は、エンジン28の下部の後方で且つ冷却ユニット39(シュラウド47)の下方に設けられている。エアクリーナ41は、エンジン28に吸入する空気に含まれる塵や埃などの異物を取り除く部材である。このエアクリーナ41は、エンジン28の左側の上部に設けられている。スタ
ータ42は、エンジン28を始動させるモータである。このスタータ42は、エンジン28の左側の下部に設けられている。燃料フィルタ43は、エンジン28の燃料用のフィルタである。この燃料フィルタ43は、エンジン28の後部の左側上部に設けられている。
【0027】
図3に示すように、機体2の左側には、環状の縁部で形成された開口である点検窓79と、点検窓79を塞ぐ蓋板80とが設けられている。点検窓79は、スタータ42の側方(左側方)に形成されている(スタータ42に対応する部位に形成されている)。蓋板80は、点検窓79を機体2の外側から塞いでいる。また、蓋板80は、ネジによって、機体2に取り外し可能に取り付けられている。蓋板80を外すことにより、スタータ42を、機体2の外部から点検することが可能とされている。
【0028】
ボンネット19は、前部が機体2に枢支されていて上下に揺動自在(開閉自在)である。ボンネット19を上方に揺動することにより、機体2(エンジン28、シュラウド47、ラジエータ49、オイルクーラ50、エアクリーナ41)の上方が開放されている。
エアクリーナ41は、ボンネット19の内側に位置している。エアクリーナ41の前方には、エアクリーナ41の汚れを表示するインジケータ91が設けられている。インジケータ91は、カバー部材18の上面よりも上方に位置する。したがって、ボンネット19を開くと、インジケータ91は、側方(機体2の左側)から視認可能とされている。また、図1に示すように、インジケータ91は、キャビン4の左側の乗降ドア31の後部下端側の機体内方に位置している。これにより、左側の乗降ドア31を開いた状態でボンネット19を開くと、インジケータ91は、側方から視認可能とされている。
【0029】
図4図6に示すように、第2操作レバー35は、操作フレーム256に支持されている。操作フレーム256は、第2支持板58上に取り付けられる。操作フレーム256の上部の第1構成板257には、支持筒258が設けられている。この支持筒258は、レバー軸259を機体幅方向の軸心回りに回転自在に支持している。第2操作レバー35は、レバー軸259の基部259aに固定されている。これによって、第2操作レバー35は、前後に揺動可能である。レバー軸259には、ベルクランク状の第1アーム260の屈曲部分が取り付けられている。したがって、第1アーム260は、第2操作レバー35と共に揺動(一体揺動)する。第1アーム260は、第1揺動部261と、第2揺動部262とを有する。第1揺動部261の先端(前端)には、操作ケーブル263の一端が連結されている。操作ケーブル263は、インナーケーブルとアウターケーブルとを有するプッシュプルケーブルによって構成されている。操作ケーブル263の他端は、アタッチメント用制御弁に連結されている。したがって、第2操作レバー35を中立位置から前又は後に操作することにより、第1アーム260が揺動して、アタッチメント用制御弁が操作される。図4〜7は、第2操作レバー35が中立位置に位置している状態を示している。
【0030】
図5に示すように、第2揺動部262の先端(下端)には、第1溝264、第2溝265、第3溝266が設けられている。これら第1溝264、第2溝265、第3溝266は、第2揺動部262の揺動方向に配設されている。また、第1溝264、第2溝265、第3溝266は、下方に開放状とされている。第1溝264、第2溝265、第3溝266には、ロックピン267が下方から挿入可能とされている。第1溝264にロックピン267が嵌ると、第2操作レバー35を中立位置から前に揺動させた状態で、第2操作レバー35がロックされる。第2溝265にロックピン267が嵌ると、第2操作レバー35が中立位置でロックされる。第3溝266にロックピン267が嵌ると、第2操作レバー35を中立位置から後に揺動させた状態で、第2操作レバー35がロックされる。
【0031】
ロックピン267は、第2アーム268の先端に固定されている。第2アーム268の基部は、回動筒269に固定されている。回動筒269は、アーム軸270によって機体幅方向の軸心回りに回転自在に支持されている。アーム軸270は、操作フレーム256の第2構成板271に支持されている。回動筒269には、第3アーム272の基部が固定されている。第3アーム272の先端部には、操作ロッド273の基部が枢支されている。操作ロッド273は、操作フレーム256に上下に移動可能に支持されている。操作ロッド273の基部側には、バネ掛け片274が固定されている。バネ掛け片274と、
ロックピン267とにわたってバネ部材275が設けられている。バネ部材275は、引張りコイルバネによって形成されている。ロックピン267が第1溝264、第2溝265、第3溝266のいずれかに嵌っている状態では、バネ部材275は、ロックピン267を、第1溝264、第2溝265、第3溝266のいずれかに嵌る方向に付勢する。この状態から、操作ロッド273を引き上げると、ロックピン267が、第1溝264、第2溝265、第3溝266のいずれかから、離脱する。操作ロッド273を引き上げた状態では、バネ部材275は、ロックピン267を、第1溝264、第2溝265、第3溝266のいずれから、離脱する方向に付勢する。
【0032】
図4図6に示すように、支持筒258の下方には、検出センサ276が設けられている。検出センサ276は、近接センサによって構成されている。検出センサ276は、操作フレーム256の第3構成板277に取り付けられている。
図6図7に示すように、レバー軸259の基部259aには、取付アーム278の上端が固定されている。したがって、取付アーム278は第2操作レバー35と共に揺動(一体揺動)する。取付アーム278の下部は、機体幅方向において検出センサ276の検出部276aに対応する位置に位置している(取付アーム278の下部は、検出センサ276の検出部276aの右方に位置している)。取付アーム278の下部であって、検出部276aに対向する側には、検出部材279が取り付けられている。検出部材279は、マグネットによって構成されている。検出部材279の前側には、第1規制部材280が設けられている。検出部材279の後側には、第2規制部材281が設けられている。第1規制部材280及び第2規制部材281は、検出部材279に接当し、検出部材279の位置決めをする。検出センサ276は、第2制御装置27に接続されている。第2操作レバー35を中立位置に操作した状態では、検出部材279が検出部276aに対向する。検出部材279が検出部276aに対向することにより、検出部276aが検出部材279を検出する。したがって、検出センサ276によって、第2操作レバー35の中立位置(アタッチメント用制御弁の中立状態)を検出することができる。第2操作レバー35を中立位置から一方又は他方に操作した状態では、検出センサ276は検出部材279を検出しない。
【0033】
図8に示すように、機体2の前部の上端側には、厚板材からなる支持基板282が設けられている。支持基板282は、第3支持板59の上面から第4支持板60の上面にわたって設けられている。支持基板282の左側は、第1固定ボルト283と、第1固定ボルト283の後方に位置する第2固定ボルト284とによって第3支持板59に固定されている。支持基板282の右側は、第3固定ボルト285と、第3固定ボルト285の後方に位置する第4固定ボルト286とによって第4支持板60に固定されている。
【0034】
第1固定ボルト283と第2固定ボルト284との間隔及び第3固定ボルト285と第4固定ボルト286との間隔は、振動を抑制するためにできるだけ広くするのが好ましい。
支持基板282の機体幅方向の中央部には、操縦装置21が設置されている。支持基板282の右側部であって、操縦装置21の右側方は、アクセル装置33を取り付ける取付部287とされている。
【0035】
図9図10図11図12に示すように、アクセル装置33は、アクセルペダル(アクセル)288と、アクセルブラケット289と、検出装置291と、連動機構292と、揺動部材293と、戻しバネ294と、収容カバー295とを有する。
図9に示すように、アクセルペダル288は、運転者が踏み込み操作する操作部材であって、収容カバー295の後方に配置されている。アクセルペダル288は、前方に行くに従って上方に移行する傾斜状に支持されている。
【0036】
図9図12に示すように、アクセルブラケット289は、ベース板296と、前部板297と、後部板298と、側部板299と、枢支部290とを有する。ベース板296は、ボルトによって取付部287に取り付けられる複数の固定部300,301,302を有する。複数の固定部は、第1固定部300と、第2固定部301と、第3固定部302とを含む。第1固定部300は、ベース板296の左側の前部に設けられている。第2
固定部301は、ベース板296の左側の後部に設けられている。第3固定部302は、ベース板296の右側の前後中途部に設けられている。第1固定部300、第2固定部301及び第3固定部302は、収容カバー295の外側に設けられている。前部板297は、ベース板296の前部に設けられている。前部板297は、縦壁297aと、上壁297bとを有する。縦壁297aは、ベース板296の前部に立設されている。上壁297bは、縦壁297aの上端から後方に延出されている。後部板298は、ベース板296の後部に設けられている。後部板298は、縦板部298aと、上板部298bとを有する。縦板部298aは、ベース板296の後部に立設されている。上板部298bは、縦板部298aの上端から前方に行くに従って上方に移行する傾斜状とされている。前部板297の上壁297b後端と、後部板298の上板部298b上端との間は間隔が設けられている。この上板部298bには、当たり303が設けられている。この当たり303は、アクセルペダル288を踏み込んだ際に、アクセルペダル288が接当することで、アクセルペダル288の踏み込みを規制する部材である。側部板299は、縦板部298aの前面左側と、縦壁297aの左端とを連結している。
【0037】
図11に示すように、枢支部290は、後部板298の縦板部298aの背面に、後方突出状に固定された板材によって構成されている。この枢支部290には、機体幅方向の軸心を有するペダル軸304が設けられている。アクセルペダル288の前面下部には、枢支ブラケット305が設けられている。この枢支ブラケット305が、枢支部290にペダル軸304によって機体幅方向の軸心回りに回転自在に枢支されている。これによって、アクセルペダル288の上部が踏み込み可能(揺動可能)とされている。アクセルペダル288は、背面が踏み面288aとされている。
【0038】
検出装置291は、アクセルペダル288の操作量(踏み込み量)、即ち、アクセルの操作量を検出するセンサである。この検出装置291は、例えば、ポテンショメータ等の角度センサによって構成される。図10図12に示すように、検出装置291は、側部板299の左側面に固定された取付ブロック306に取り付けられている。検出装置291の下部は、取付部287に形成された第1通し穴309を挿通している。検出装置291の下部には、ハーネスの端子が接続される取付部308が設けられている。図8に示すように、支持基板282の左側の下方には、第2制御装置27が配置されている。第2制御装置27に取付部308に接続されたハーネスが接続されている。図12に示すように、検出装置291の検出軸310は、側部板299を貫通している。検出軸310には、連動軸311が機体幅方向の軸心回りに一体回転自在に嵌合している。連動軸311は、側部板299の右側に固定された枢支筒312に回転自在に支持されている。連動軸311は、枢支筒312から右方に突出している。枢支筒312の右側には、回転筒313が設けられている。回転筒313は、連動軸311に軸心回りに回転自在に外嵌されている。連動軸311は、回転筒313から右方に突出している。
【0039】
連動機構292は、アクセルペダル288と検出装置291とを連動する機構である。言い換えれば、連動機構292は、アクセルペダル288の操作量を検出装置291に伝達する機構である。図10図11図12に示すように、連動機構292は、第1リンク314と、第2リンク315とを有する。第1リンク314は検出装置291に連結され、第2リンク315は、アクセルペダル288と第1リンク314とを連結している。
【0040】
第1リンク314は、板材によって形成され、一端側(前部)が連動軸311の右端側に固定されている。したがって、第1リンク314は、連動軸311及び検出軸310と共に一体回転する。第2リンク315は、長さ調整可能なロッド部材によって形成されている。第2リンク315の一端側(上部)は、機体外方に向けて屈曲されている。この第2リンク315の一端側が機体幅方向の軸心を有する第1枢軸316とされている。一方、アクセルペダル288の前面上部には、固定片317が設けられている。固定片317には、機体幅方向の軸心を有する連結筒318が固定されている。この連結筒318に第1枢軸316が挿通されている。これによって、第2リンク315の一端側がアクセルペダル288の上部に枢支されている。
【0041】
第2リンク315の他端側(下部)には、第2枢軸319を有する球継ぎ手320が設
けられている。第2枢軸319は、第1リンク314の他端側(後部)に機体幅方向の軸心回りに回転自在に連結されている。これによって、第2リンク315の他端側が第1リンク314の他端側に枢支されている。図11図12に示すように、第2リンク315は、アクセルペダル288の踏み面とは反対側に配置されている。これによって、第2リンク315がアクセルペダル288によって覆われている。
【0042】
図11図12に示すように、揺動部材293は、板材によって形成されている。揺動部材293は、基部293aと、ストッパ部293bとを有する。基部293aは、回転筒313の右端側に固定されている。また、基部293aは、第1リンク314にボルト324によって固定されている。したがって、揺動部材293は、第1リンク314と共に揺動(一体揺動)する。ストッパ部293bは、基部293aから下方側に延出している。ストッパ部293bは、ベース板296に形成された穴部321、及び、取付部287に形成された開穴322を挿通している。ストッパ部293bは、穴部321の後端に接当することで、第1リンク314の上方揺動を規制する。穴部321の後端が、規制部323とされている。
【0043】
本実施形態では、ストッパ部293bは、第1リンク314と別体で形成されているが、第1リンク314がストッパ部293bを兼用してもよい(ストッパ部を293bを第1リンク314の一部分で構成してもよい)。この場合、規制部は、アクセルブラケット289に設けられる。第1リンク314と揺動部材293とを一枚の板材で一体形成してもよい。
【0044】
図11図12に示すように、戻しバネ294は、捩りコイルバネによって構成されている。戻しバネ294は、揺動部材293と側部板299との間に配置されている。また、戻しバネ294は、枢支筒312及び回転筒313に外嵌されている。戻しバネ294の一端は、第1リンク314に係止されている。戻しバネ294の他端は、前部板297の縦壁297aの下端に係止されている。戻しバネ294の付勢力は、第1リンク314及び第2リンク315並びにアクセルペダル288の上部を押し上げる方向に付勢している。
【0045】
収容カバー295は、検出装置291、連動機構292、戻しバネ294及び揺動部材293を収容するカバーである。収容カバー295は、アクセルブラケット289の前部板297及び後部板298にボルト等で固定されていて、取り外し可能である。図9に示すように、収容カバー295の上壁部分には、当たりを突出させる第1切欠き溝325と、第2リンク315を突出させると共に第2リンク315との干渉を回避させるための第2切欠き溝326とが形成されている。第1切欠き溝325と第2切欠き溝326は連続状に形成されている。
【0046】
図8図12は、アクセルペダル288を踏み込まない状態を示している。この状態では、ストッパ部293bは、規制部323に接当している。この状態からアクセルペダル288を踏み込むと、第2リンク315が押し下げられて第1リンク314が下方に揺動する。第1リンク314が下方に揺動すると、連動軸311及び検出軸310が回転し、アクセルペダル288の操作量が検出装置291によって検出される。この検出されたアクセルペダル288の操作量は、第2制御装置27に入力される。この入力されたアクセルペダル288の操作量に基づいて、第2制御装置27は、エンジン28及びHSTポンプ44を制御する。これによって、ホイールローダ1の車速が、アクセルペダル288の操作量に対応した車速になる。
【0047】
以上のアクセル装置33では、アクセルブラケット289に、アクセルペダル288と検出装置291と連動機構292と揺動部材293と戻しバネ294と収容カバー295とを組み付けた状態で、アクセル装置33を取付部287に取り付けることができる。これによって、アクセル装置33の組み付けが容易に行える。
また、連動機構292が、検出装置291に連結された第1リンク314と、アクセルペダル288と第1リンク314とを連結する第2リンク315とを有して構成されることにより、連動機構292の簡素化を図ることができる。
【0048】
第1リンク314と共に揺動するストッパ部293bが規制部323に接当することで
、第1リンク314が規制され、これによって、アクセルペダル288に対する踏み込みを解除した状態でアクセルペダル288を規制することができる。
ストッパ部293bを、第1リンク314の一部分で構成することにより、部材の兼用化を図ることができる。
【0049】
第2リンク315が、アクセルペダル288の踏み面とは反対側に配置されていてアクセルペダル288によって覆われていることにより、第2リンク315が踏まれるのを防止することができる。
アクセルブラケット289が、取付部287に取り付けられる固定部300,301,302であって、収容カバー295の外側に設けられた固定部300,301,302を有することにより、収容カバー295を取り外さなくても、アクセル装置33を取付部287から取り外すことができる。
【0050】
図13は、ホイールローダ1の制御ブロック図を示している。この図13に示すように、第1制御装置26と第2制御装置27とは車載ネットワーク等により接続されている。
第1制御装置26には、検出センサ276と、ブレーキセンサ431と、ニュートラルセンサ432と、報知装置433とが接続されている。検出センサ276は、前述したように、第2操作レバー35が中立位置であることを検出するセンサである。ブレーキセンサ431は、駐車ブレーキが作動されていることを検出するセンサである。ニュートラルセンサ432は、ホイールローダ1を前進状態又は後進状態に切り換える切換え装置のニュートラル位置を検出するセンサである。報知装置433は、第2操作レバー35が中立位置にないことを外部に知らせる装置である。検出センサ276、ブレーキセンサ431及びニュートラルセンサ432の信号(検出値)は、第1制御装置26に入力される。
【0051】
第2制御装置27には、アクセルペダル288の操作量を検出する検出装置291が接続されている。検出装置291で検出されたアクセルの操作量(検出操作量)は、第2制御装置27に入力される。
第1制御装置26は、始動判断部434を有する。始動判断部434は、第1制御装置26に組み込まれたプログラム、電気・電子部品等から構成されている。始動判断部434は、エンジン28の始動を判断する。始動判断部434は、例えば、イグニッションスイッチが操作された信号が入力された状態で、第2操作レバー35が中立であることを示す信号が検出センサ276から第1制御装置26に入力された場合、始動判断部434は、エンジン28の始動を行ってよいと判断して、エンジン28の始動の許可を示す許可信号を第2制御装置27に出力する。一方、イグニッションスイッチが操作された信号が入力された状態で、第2操作レバー35が中立であることを示す信号が第1制御装置26に入力されなかった場合、始動判断部434は、エンジン28の始動は行わないと判断して、エンジン28の始動の許可を示す許可信号を第2制御装置27に出力しない。
【0052】
第2制御装置27は、制御部435と、判断部436と、変更部437とを有する。制御部435、判断部436及び変更部437は、第2制御装置27に組み込まれたプログラム、電気・電子部品等から構成されている。
制御部435は、エンジン28を制御するもので、例えば、スタータ42にエンジン28を始動させる始動信号を出力したり、エンジンの回転数を制御する。
【0053】
図14は、エンジンの始動のフローチャートを示した図である。エンジンの始動について説明する。
先ず、第1制御装置26の始動判断部434は、エンジン28を始動するための操作(始動操作)が行われたか否かを判断する(ステップS1)。例えば、始動判断部434は、イグニッションスイッチが操作されたか否かを判断する。イグニッションスイッチの操作(始動操作)がされない場合(ステップS1、No)は、始動判断部434は、始動操作がされるまで待機する。始動判断部434は、始動操作がされたと判断されると(ステップS1、yes)、第2操作レバー35が中立であるか否かを判断する(ステップS2)。始動判断部434は、第2操作レバー35が中立でない場合(ステップS2、No)は、許可信号を第2制御装置27に出力しない(ステップS3)。なお、第2操作レバー35が中立でない場合は、始動判断部434は、エンジンを始動できないことを第2制御
装置27に通知してもよい。
【0054】
始動判断部434は、第2操作レバー35が中立である場合(ステップS2、yes)、第2制御装置27に許可信号を出力する(ステップS4)。
第2制御装置27の制御部435は、第1制御装置26からの許可信号を取得したか否かを判断し(ステップS5)、許可信号を取得した場合(ステップS5、yes)は、スタータ42にエンジン28を始動させる始動信号を出力する。これによって、エンジン28を始動することができる(ステップS6)。
【0055】
第2制御装置27の制御部435は、第1制御装置26からの許可信号を取得できなかった場合(第1制御装置26から許可信号が出力されなかった場合)は、エンジン28を始動せず、第1制御装置26にエンジンを始動していないことを第2制御装置27に通知する。この場合、第2制御装置27は、報知装置433に報知信号を出力し、報知装置433は、例えば、「第2操作レバーが中立ではありません」とモニターに表示したり、ブザーを鳴らしたりして、運転者に第2操作レバー35が中立でないことを報知したり、エンジンが始動できないことを報知する(ステップS7)。なお、第2制御装置27は、エンジンの始動しなかった通知を制御部435から取得した時に、報知信号を報知装置433に出力しているが、これに代え、始動判断部434において、第2操作レバー35が中立でない場合(ステップS2、No)と判断した時に、報知信号を報知装置433に出力してもよい。
【0056】
以上のように、第2操作レバー35が中立位置にないと(検出センサ276が検出部材279を検出しないと)、エンジン28を始動することができないように構成されている。検出センサ276が検出部材279を検出すると、エンジン28を始動することが可能となる。
なお、第2操作レバー35の中立位置の検出に加えて、駐車ブレーキが作動されている状態でエンジン28が始動できるようにしてもよい。また、第2操作レバー35の中立位置の検出及び駐車ブレーキの作動の検出に加えて、ニュートラルセンサ432が切換え装置のニュートラル位置を検出した状態で、エンジン28を始動できるようにしてもよい。また、第2操作レバー35の中立位置の検出と、切換え装置のニュートラル位置の検出とを条件に、エンジン28を始動できるようにしてもよい。
【0057】
また、制御部435は、図16に示すようなアクセルペダルの操作量(アクセルの操作量)と、エンジンの目標回転との関係に基づいて、エンジン28の回転数を制御する。図16において、横軸はエンジンの目標回転数であり、縦軸は、アクセルの操作量である。アクセルの操作量N1(MAX)は、予め定められたアクセルの操作量の最大値(最大操作量)である。また、エンジンの目標回転数MAXは、予め定められたエンジンの目標回転数の最大値である。以降、説明の便宜上、図16に示すようなアクセルの操作量とエンジンの目標回転との関係のことを、「アクセルエンジン特性」ということがある。
【0058】
具体的には、制御部435は、検出装置291で検出されたアクセルの操作量(検出操作量)が予め設定された所定以上(例えば、初期設定値以上)である場合、当該操作量(検出操作量)を、アクセルエンジン特性に示されたアクセルの操作量に適用して、エンジンの目標回転を求め、エンジンの実回転数がエンジンの目標回転数と一致するように、エンジンの実回転数を制御する。
【0059】
例えば、第2制御装置27(制御部435)は、アクセルの最大の操作量(最大操作量)N1に対して80%である「N3」を初期設定値として記憶している。そして、第2制御装置27(制御部435)は、初期設定値を、エンジンの目標回転数の最大値(最大目標回転数MAX)に設定している。その他の操作量に対しては、後述する第1特性ラインL1に示すように、初期設定値N3及び最大目標回転数MAXを基に、操作量に対してエンジンの目標回転数を割り当てている。検出装置291で検出されたアクセルの操作量(検出操作量)が初期設定値以上であるか否かは、判断部436で行う。
【0060】
この実施形態では、第2制御装置27(制御部435)は、アクセルの最大操作量の80%をデフォルト値N3としているが、この数値は限定されず、例えば、最大操作量N1の50%であってもよいし、それ以外の数値であってもよい。
変更部437は、判断部436において、検出操作量が所定以上であると判断した場合に、検出装置291で検出した検出操作量に基づいて、アクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係(アクセルエンジン特性)を変更する。
【0061】
なお、変更部437によるアクセルエンジン特性の変更は、制御部435によるエンジンの回転数の制御が行われていないとき、例えば、工場出荷時、メンテナンス時、設定変更時などに行うことが好ましい。例えば、第2制御装置27に接続する変更スイッチ等を設けておき、変更スイッチの操作によって、アクセルエンジン特性の変更可、或いは、アクセルエンジン特性の変更不可を切り換えられるようにする。そして、変更スイッチを、工場出荷時、メンテナンス時、設定変更時などに、アクセルエンジン特性の変更可に切り換えれば必要に応じて、アクセルエンジン特性の変更を行うことができる。
【0062】
或いは、第2制御装置27にタイマ(計時部)等を設けておき、エンジンの始動から所定時間(数秒〜数分)が経過するまでは、アクセルエンジン特性を変更できるようにしてもよい。
以下、変更部437によるアクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係(アクセルエンジン特性)の変更について、図16を用いて詳しく説明する。
【0063】
図16に示すように、第1特性ラインL1は、予め設定された初期データ(初期状態)におけるアクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を示している。この第1特性ラインL1は、予め制御部435に記憶されており、第1特性ラインL1は保持されている。したがって、変更部437によってアクセルエンジン特性が変更される前は、制御部435は、第1特性ラインL1に、アクセルの操作量(検出操作量)が適用し、エンジンの目標回転数を制御する。
【0064】
第2特性ラインL2は、変更部437によってアクセルエンジン特性が変更された後のアクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を示している。変更部437によってアクセルエンジン特性が変更されると、制御部435は、第2特性ラインL2に、アクセルの操作量(検出操作量)を適用し、エンジンの目標回転数を制御する。
例えば、検出装置291で検出されたアクセルの検出操作量が初期設定値N3以上であって、当該検出操作量がN2であったとする。変更部437は、判断部436が初期設定値以上であると判断した検出操作量N2を、アクセルの最大操作量として設定する。また、変更部437は、検出操作量N2に対応するエンジンの目標回転数を、最大操作量N2に対応する最大の目標回転数(最大目標回転数MAX)に設定する。変更部437は、最大操作量N2及び最大目標回転数MAXに基づいて、アクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を変更する。即ち、変更部437は、最大操作量N2及び最大目標回転数MAXと、検出操作量が零であってエンジンがアイドリング時の回転数M1とを通る第2特性ラインL2を作成する。第2特性ラインL2は、制御部435が記憶する。
【0065】
したがって、変更部437が、アクセルエンジン特性を変更した後において、アクセルを検出操作量N2に操作した場合は、エンジンの目標回転数は、最大目標回転数MAXとなる。
また、第2制御装置27は、変更部437におけるアクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係の変更後は、変更後の関係(第2特性ラインL2)を、エンジン28が停止するまで保持する。即ち、第2制御装置27は、第2特性ラインL2が設定された後は、アクセルの操作量(検出操作量)が最大操作量N2を超えない限り、イグニッションスイッチがオフするまで、当該第2特性ラインL2を保持して、第2特性ラインL2に基づき、エンジンの回転数を制御する。一方、第2制御装置27は、エンジン28を停止させた際には、アクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を、初期状態に戻す。即ち、第2制御装置27は、イグニッションスイッチがオフされると、制御部435に記憶している第2特性ラインL2を消去(クリア)にして、再始動の際は、第1特性ラインL1に戻す。
【0066】
さて、変更部437が第2特性ラインL2を作成した後、検出操作量が最大操作量N2を超えて、アクセルの最大操作量N1(MAX)になったとする。即ち、判断部436が、検出操作量(検出装置291で検出されたアクセルの検出操作量)が最大操作量N2を
超えたと判断する。この場合、変更部437は、アクセルの操作量とエンジンの目標回転数とを再設定する。変更部437は、検出操作量N1に対応するエンジンの目標回転数を、最大操作量N1に対応する最大の目標回転数(最大目標回転数MAX)に設定する。変更部437は、最大操作量N1及び最大目標回転数MAXに基づいて、アクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を変更する。即ち、変更部437は、最大操作量N1及び最大目標回転数MAXと、検出操作量が零であってエンジンがアイドリング時の回転数M1とを通る第3特性ラインL3を作成する。第3特性ラインL3は、制御部435が記憶する。アクセルの最大操作量とは、アクセルペダル288に連結するストッパ部293bが規制部323に接当したときの操作量である。
【0067】
このように、変更部437によってアクセルエンジン特性が再設定された場合も、制御部435は、第3特性ラインL3に、アクセルの操作量(検出操作量)を適用し、エンジンの目標回転数を制御する。なお、図16のL4に示すように、検出装置291で検出されたアクセルの検出操作量が、最大操作量N1(ストッパ部293b及び規制部323で規定された最大操作量)を超えて検出された場合、変更部437による特性ラインの再設定は行わず、制御部435は、最大目標回転数MAXに固定してもよい。この場合、最大操作量N1(ストッパ部293b及び規制部323で規定された最大操作量)は、第2制御装置27(制御部435)に予め記憶しおき、制御部435は上述した制御を実行する。
【0068】
図15は、アクセルエンジン特性の変更のフローチャートを示す図である。図15では、アクセルエンジン特性の変更は自動的行っている。図15に示す処理は、第2制御装置27が行う。
先ず、エンジン28が始動すると(ステップS11)、第2制御装置27は、初期データを読み込む(ステップS12)。初期データは、予め設定されたアクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を示す第1特性ラインL1である。次に、判断部436は、アクセルの操作量(検出操作量)が所定以上であるか否か判断する(ステップS13)。検出操作量が所定以上であると判断される(S13、yes)と、当該検出操作量をアクセルの操作量の最大値としてセットする(ステップS14)。ステップS14において、検出操作量がアクセルの操作量の最大値としてセットされると、判断部436は、判断するための所定値を、セットされた最大値に設定し、ステップS13に移行する。ステップS13において、現在のアクセルの踏み込み量(検出操作量)が、ステップS14でセットされた最大値を超えている場合(S13、yes)は、再び、ステップ14に移行して、当該検出操作量をアクセルの操作量の最大値として再セットする。即ち、前回判断した(アクセルの操作量の最大値としてセットされた)検出操作量を超える場合は、この前回の検出操作量を超える検出操作量を、ステップS14において、アクセルの操作量の最大値としてセットする。
【0069】
一方、ステップ13において、現在の検出操作量が、前回の検出操作量未満である場合(S13、No)、ステップS15に移行する。ステップS15では、検出操作量がアクセルの操作量の最大値としてセットされたか否かが判断される。検出操作量がアクセルの操作量の最大値としてセットされていると判断されると(ステップS15、yes)、変更部437は、検出操作量に基づいてアクセルの操作量と目標回転数との関係を変更する(ステップS16)。検出操作量に基づいてアクセルの操作量と目標回転数との関係が変更されると、変更後のアクセルの操作量と目標回転数との関係が、制御部435に保持(記憶)される(ステップS17)。アクセルの操作量と目標回転数との関係が変更された後(保持された後)は、変更されたアクセルの操作量と目標回転数との関係で、エンジン28の目標回転数が制御される。一方、ステップS15において、検出操作量がアクセルペダル288の操作量の最大値としてセットされていないと判断された場合(ステップS15、No)は、アクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係として、初期データを使用する(ステップS18)。
【0070】
エンジン28を停止すると(ステップS19)、ステップS17で実行された保持が解除、即ち、アクセルの操作量とエンジン目標回転数との関係が初期状態に戻される(ステ
ップS20)。その後、エンジン28を始動すると、ステップS11からステップS17までのフロー、及び、ステップS11からステップS18までのフローを行う。なお、図15のフローチャートでは、変更部437によるアクセルの操作量と目標回転数との変更を1回行っているが、エンジン停止前(ステップS19に移行する前)に、複数回行っても良い。即ち、ステップS17及びステップ18の処理後、エンジンが停止していなければ、ステップS13に戻り、S13〜S18までを繰り返してもよい。
【0071】
以上の実施形態では、検出装置291で検出されたアクセルの操作量である検出操作量が所定以上であるか否かを判断する判断部436と、検出操作量が所定以上であることが判断部436で判断された場合に検出操作量に基づいてアクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を変更する変更部437とを有する第2制御装置27を備えている。
具体的には、変更部437は、判断部436が所定以上であると判断した検出操作量を、最大の操作量として設定し、且つ、当該検出操作量でのエンジンの目標回転数を、最大の操作量に対応する最大の目標回転数に設定し、最大の操作量及び最大の目標回転数に基づいて、アクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を変更している。これにより、アクセル(アクセルペダル288)の操作量とエンジン28の目標回転数との関係の調整を容易に行える。また、アクセルペダル288の操作量とエンジン28の目標回転数との関係を運転者のアクセルペダル288の操作傾向に相応させることができる。
【0072】
制御部435によるエンジンの回転数の制御が行われていないときに、アクセルの操作量と目標回転数との関係を変更する。例えば、工場出荷時、メンテナンス時、設定変更時等に簡単にアクセルの操作量と目標回転数との関係を変更することができる。
また、第2制御装置27は、変更部437におけるアクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係の変更後は、変更後の関係を保持する。例えば、変更後は、運転者のアクセルペダル288の操作傾向を反映して、エンジンの回転数を制御することができ、運転者は自分自身に合った操作感覚で運転することができる。
【0073】
また、第2制御装置27は、検出操作量が所定以上でないことが判断部436で判断された場合に、予め設定されたアクセルペダル288の操作量とエンジン28の目標回転数との関係でエンジン28を制御する。これにより、検出操作量が所定以上でない場合でも、ホイールローダ1を運転することができる。
また、第2制御装置27は、エンジン28を停止させた際に、アクセルの操作量とエンジンの目標回転数との関係を初期状態に戻す。これにより、運転者が変わった場合に、アクセルペダル288の操作量とエンジン28の目標回転数との関係を当該運転者のアクセルペダル288の操作傾向に相応させることができる。
【0074】
なお、本実施形態では、アクセルとしてアクセルペダル288を例示したが、アクセルは、アクセルレバーやその他の操作部材であってもよい。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
27 制御装置(第2制御装置)
28 原動機
288 アクセル(アクセルペダル)
291 検出装置
436 判断部
437 変更部
図1
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図16