特許第6553002号(P6553002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553002
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】デジタル画像のアップロードシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/91 20060101AFI20190722BHJP
   H04N 5/765 20060101ALI20190722BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   H04N5/91
   H04N5/765
   H04N5/225
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-150995(P2016-150995)
(22)【出願日】2016年8月1日
(65)【公開番号】特開2018-22940(P2018-22940A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000121844
【氏名又は名称】応用地質株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 理説
(72)【発明者】
【氏名】寺田 悠祐
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−217166(JP,A)
【文献】 特開2003−196487(JP,A)
【文献】 特開2016−053827(JP,A)
【文献】 特開2010−057057(JP,A)
【文献】 特開2003−244601(JP,A)
【文献】 特開2012−208768(JP,A)
【文献】 特開2006−311271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 − 5/956
H04N 5/222− 5/257
G06F 12/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ機能付端末機に複数のステップを実行させる画像処理プログラムであって、
前記複数のステップは、撮影ステップ、保存ステップ、入力ステップ及び送信ステップを含んでおり、
前記撮影ステップにおいて、
前記カメラ機能を起動させることにより、前記端末機のユーザーによる撮影を可能とし、
前記保存ステップにおいて、
前記撮影による撮影画像を作成し、
当該撮影画像から縮小済み画像を作成し、
当該縮小済み画像のサイズ容量を100kB以下とし、
前記撮影画像及び前記縮小済み画像に同一のIDを付与し、
前記撮影画像、前記縮小済み画像及び前記IDを保存し、
前記入力ステップにおいて、
前記撮影画像、前記縮小済み画像及び前記IDが保存された後で、
前記端末機に付与情報記入欄を表示し、
当該付与情報記入欄に入力された付与情報を保存し、
前記送信ステップにおいて、
前記縮小済み画像に前記ID及び前記付与情報をデータとして付加し、
前記端末機に送信ボタンを表示し、
当該送信ボタンが前記ユーザーによって押されることにより、前記縮小済み画像、前記ID及び前記付与情報を単一のデータとして送信することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項2】
カメラ機能付端末機により実行される画像処理方法であって、
撮影ステップ、保存ステップ、入力ステップ及び送信ステップを含んでおり、
前記撮影ステップにおいて、
前記カメラ機能を起動させることにより、前記端末機のユーザーによる撮影を可能とし、
前記保存ステップにおいて、
前記撮影による撮影画像を作成し、
当該撮影画像から縮小済み画像を作成し、
当該縮小済み画像のサイズ容量を100kB以下とし、
前記撮影画像及び前記縮小済み画像に同一のIDを付与し、
前記撮影画像、前記縮小済み画像及び前記IDを保存し、
前記入力ステップにおいて、
前記撮影画像、前記縮小済み画像及び前記IDが保存された後で、
前記端末機に付与情報記入欄を表示し、
当該付与情報記入欄に入力された付与情報を保存し、
前記送信ステップにおいて、
前記縮小済み画像に前記ID及び前記付与情報をデータとして付加し、
前記端末機に送信ボタンを表示し、
当該送信ボタンが前記ユーザーによって押されることにより、前記縮小済み画像、前記ID及び前記付与情報を単一のデータとして送信することを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔地や災害地の状況を撮影したデジタル画像を、情報集約場所にアップロードするためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、山間部等の現場における砂防堰堤等の点検や地盤調査等を行う場合や、災害地の状況を把握する場合には、一般的に図2に示すように、現場において撮影した写真を撮影者が情報集約場所に持ち帰り、手動で地図上に登録する等の方法が採られていた。
【0003】
一方、近年においては、スマートフォン等の携帯端末機に組み込まれたカメラ機能の向上から、図3に示すように、上記端末機で撮影したデジタル画像(以下、単に画像と略す。)を、当該端末機が有する通信機能を利用してパーソナルコンピュータに送信し、データベース化する方法が広く用いられている(例えば、下記特許文献1)。
【0004】
ところで、このような端末機のカメラ機能および通信機能を利用して、山間部等の現場における砂防堰堤等の点検や地盤調査等を行う場合には、通信環境が悪いために、円滑に上記画像を送信することができないことが多々生じている。特に、上記カメラ機能の向上に伴って撮影画像の容量が数MB以上になった結果、上記通信環境下においては一層送信が難しくなっている。
【0005】
また、災害時の現場の状況を把握するために上記端末機を利用しようとしても、通信インフラの破壊や大量の情報が一度に流れることによる通信環境の悪化により、通常時よりも送信が困難になる可能性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−208768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、通信環境が悪い遠隔地や災害地の現場においても、効率的に撮影した画像を送信してその状況を迅速に伝達することが可能になるデジタル画像のアップロードシステムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、カメラ機能付端末機に複数のステップを実行させる画像処理プログラムであって、前記複数のステップは、撮影ステップ、保存ステップ、入力ステップ及び送信ステップを含んでおり、前記撮影ステップにおいて、前記カメラ機能を起動させることにより、前記端末機のユーザーによる撮影を可能とし、前記保存ステップにおいて、前記撮影による撮影画像を作成し、当該撮影画像から縮小済み画像を作成し、当該縮小済み画像のサイズ容量を100kB以下とし、前記撮影画像及び前記縮小済み画像に同一のIDを付与し、前記撮影画像、前記縮小済み画像及び前記IDを保存し、前記入力ステップにおいて、前記撮影画像、前記縮小済み画像及び前記IDが保存された後で、前記端末機に付与情報記入欄を表示し、当該付与情報記入欄に入力された付与情報を保存し、前記送信ステップにおいて、前記縮小済み画像に前記ID及び前記付与情報をデータとして付加し、前記端末機に送信ボタンを表示し、当該送信ボタンが前記ユーザーによって押されることにより、前記縮小済み画像、前記ID及び前記付与情報を単一のデータとして送信することを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、カメラ機能付端末機により実行される画像処理方法であって、撮影ステップ、保存ステップ、入力ステップ及び送信ステップを含んでおり、前記撮影ステップにおいて、前記カメラ機能を起動させることにより、前記端末機のユーザーによる撮影を可能とし、前記保存ステップにおいて、前記撮影による撮影画像を作成し、当該撮影画像から縮小済み画像を作成し、当該縮小済み画像のサイズ容量を100kB以下とし、前記撮影画像及び前記縮小済み画像に同一のIDを付与し、前記撮影画像、前記縮小済み画像及び前記IDを保存し、前記入力ステップにおいて、前記撮影画像、前記縮小済み画像及び前記IDが保存された後で、前記端末機に付与情報記入欄を表示し、当該付与情報記入欄に入力された付与情報を保存し、前記送信ステップにおいて、前記縮小済み画像に前記ID及び前記付与情報をデータとして付加し、前記端末機に送信ボタンを表示し、当該送信ボタンが前記ユーザーによって押されることにより、前記縮小済み画像、前記ID及び前記付与情報を単一のデータとして送信することを特徴とするものである。


【発明の効果】
【0010】
一般的に、山間部等における点検や調査あるいは災害地の現地調査において、速報としての情報を得るためには、ひとまず高解像度の画像は必要なく、100kB以下の容量に縮小された画像であっても十分に概略の状況を把握することができる。
【0011】
このような観点から、請求項1または2に記載の発明にあっては、先ず山間部や災害地等の通信環境が悪い現場において、端末機に保存されている送信が容易な100kB以下の容量の縮小済み画像を情報集約場所に設置されているコンピュータに送信することにより、上記現場における概略の状況を迅速に伝達することができる。
【0012】
そして、撮影者が、より通信環境のよい場所や上記コンピュータの設置場所に移動した後に、撮影した画像をWi-Fi やLAN等を通じてコンピュータに送信し、当該コンピュータにおいて同じIDの縮小済み画像に上書きして保存することにより、以降は解像度の高い撮影時の画像に基づいて詳細な状況を確認することが可能になる。
【0013】
この結果、通信環境が悪い遠隔地や災害地の現場においても、効率的に撮影した画像を送信してその状況を迅速に伝達することができるとともに、最終的には撮影時の高解像度の画像に基づいて詳細な状況を確認することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の作用を説明するためのフロー図である。
図2】従来の写真のアップロード方法を示すフロー図である。
図3】従来のデジタル画像のアップロード方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1に基づいて、本発明に係るデジタル画像のアップロードシステムの一実施形態について説明する。
このアップロードシステムは、通信環境が悪い遠隔地や災害地等の現場において写真を撮る作業者が携帯するスマートフォン等の携帯端末機1と、撮影した画像の情報集約場所となる会社内に設置したコンピュータ2とから概略構成されたものである。
【0016】
ここで、携帯端末機1は、カメラ機能とこのカメラ機能で撮影した画像を送信可能な通信機能を備えたものであり、上記カメラ機能は、撮影する際に適宜設定することによって複数段階の容量の画像ファイルに保存可能な機能を有している。また、この携帯端末機1には、撮影した画像を送信するための送信用アプリケーションソフトが格納されている。
【0017】
この送信用アプリケーションソフトは、カメラ機能を起動させるステップと、当該カメラ機能によって撮影した画像およびこの画像を数十kB程度の容量に縮小した縮小済み画像の2枚のデータを保存するステップと、撮影場所の位置情報、撮影日時入力およびIDなどの付帯情報を保存するステップと、撮影状況に関するコメントや報告すべき数値等データなどの付与情報を入力させて保存するステップと、上記撮影画像および縮小済み画像に上記付帯情報および付与情報を付加して個別に送信するステップとを上記携帯端末機1に実行させる機能を有している。
【0018】
他方、上記コンピュータ2は、全体を統括制御するCPU(主制御部)に入出力制御部を介して、RAMやハードディスク等の記憶装置、キーボードやマウス等の入力装置、および入出力データを表示するモニタ(表示手段)が接続された周知のものである。また、このコンピュータ2は、インターネットを介して送受信を行う通信機能を有している。
【0019】
そして、上記記憶装置には、携帯端末機1から送信された上記撮影画像または縮小済み画像を受信して保存する受信用アプリケーションソフトが格納されている、
【0020】
この受信用アプリケーションソフトは、携帯端末機1から受信した上記縮小済み画像を上記IDとともに記憶装置に保存するステップと、この縮小済み画像を受信した後に上記撮影画像を受信した際に、この撮影画像を同じ上記IDの縮小済み画像に上書きして記憶装置に保存するステップとをコンピュータ2に実行させる機能を有している。
【0021】
次いで、図1に基づいて、上記構成からなる画像のアップロードシステムの作用について説明する。
山間部等の現場における砂防堰堤等の点検や地盤調査等を行う場合や、災害地の状況を把握する場合に、各々の現場において、携帯端末機1によって写真撮影を行う作業者は、先ず当該携帯端末機1の送信用アプリケーションソフトを起動する。
【0022】
そして、上記カメラ機能によって必要とされる現場の状況等を撮影する。すると、上記送信用アプリケーションソフトによって、撮影時のサイズ容量(数MB程度)の画像と、この撮影画像を数十kB程度に縮小した縮小済み画像の両方および携帯端末機1が取得した付帯情報(撮影場所の位置情報、撮影日時入力およびID等)が保存される。
【0023】
次いで、上記送信用アプリケーションソフトが表示する記入欄に、撮影状況に関するコメントや報告すべき数値等データ等の情報を入力して(付与情報)、縮小済み画像を送信するボタンを押下する。すると、送信用アプリケーションソフトは、縮小済み画像と付帯情報(撮影位置情報、撮影日時、ID等)と付与情報(撮影状況コメント、入力数値等)をコンピュータ2に送信する。
【0024】
この際に、通信が可能な環境であれば送信が終了するが、例えば山の中での利用や災害時の利用においては、当該送信場所から送信できるとは限らない。このため、送信できなかった場合には、数分置き、または接続できた状態になった場合、あるいは場所を変えて再送信を試みる。
【0025】
このようにして、携帯端末機1からコンピュータ2への送信が完了すると、受信したコンピュータ2において、上記縮小済み画像と付帯情報(撮影位置情報、撮影日時、ID等)と付与情報(撮影状況コメント、入力数値等)が記憶装置に自動登録される。
【0026】
このコンピュータ2の記憶装置に登録された縮小済み画像、付帯情報および付与情報は、初期情報として集計することや印刷出力することで利用可能になる。これにより、現場で得られた情報がすぐに情報集約場所で情報共有することが可能となり、災害時などの緊急時や刻一刻と変化する状況を伝えるのに役立つ。
【0027】
次いで、作業者は、現場から移動して、良好な通信環境が整えられている拠点事務所や宿泊所などに到達した後に、再度携帯端末機1の送信用アプリケーションソフトを起動して、容量の大きい撮影画像を上記IDと共にコンピュータ2に送信する。あるいは、コンピュータ2の設置場所に戻った後に、Wi-Fi やLANを通じて上記撮影画像をIDと共にコンピュータに送信する。
【0028】
すると、これを受信したコンピュータ2においては、受信用アプリケーションソフトによって上記IDが参照され、当該撮影画像が、先に受信して同じIDで既に登録されている縮小済み画像に上書き保存される。
【0029】
これにより、以降、情報集約場所においては、コンピュータ2の記憶装置に保存されている解像度が高い撮影画像を閲覧することにより、レポート作成や詳細な災害分析を行うことが可能になる。
【0030】
このように、上記構成からなる画像のアップロードシステムによれば、山間部や災害地等の通信環境が悪い現場において、携帯端末機1に保存されている送信が容易な100kB以下の容量の縮小済み画像を情報集約場所に設置されているコンピュータ2に送信することにより、上記現場における概略の状況を迅速に伝達することができる。
【0031】
そして、作業者が、より通信環境のよい場所やコンピュータ2の設置場所に移動した後に、容量が大きい撮影画像をWi-Fi やLANを通じてコンピュータに送信し、当該コンピュータ2において同じIDの縮小済み画像に上書きして保存することにより、以降は解像度に優れる撮影画像に基づいて詳細な状況を確認することができる。
【0032】
この結果、通信環境が悪い遠隔地や災害地の現場においても、効率的に撮影した画像を送信してその概況を迅速に伝達することができるとともに、最終的には撮影時の高解像度の撮影画像に基づいて詳細な状況を確認することが可能になる
【符号の説明】
【0033】
1 携帯端末機
2 コンピュータ
図1
図2
図3