特許第6553006号(P6553006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553006
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】エレベーター保守システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20190722BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B3/00 U
   B66B5/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-173021(P2016-173021)
(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-39588(P2018-39588A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2018年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土本 秀男
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−216472(JP,A)
【文献】 特開2007−241749(JP,A)
【文献】 特開2001−313983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターを制御する制御装置と、前記エレベーターを監視する監視装置と、前記監視装置と接続された無線装置と、前記無線装置に無線接続され複数の保守端末装置とを備えるエレベーター保守システムであって、
前記無線装置は、
前記監視装置に接続された制御部と、
保守端末情報が記憶されていないときに前記保守端末装置から保守端末情報が送信された場合、当該保守端末情報を記憶する記憶部と、
複数の前記保守端末装置のうちの1つの通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が、前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致するか否か判定する通信判定部とを有し、
前記無線装置の前記制御部は、
前記通信希望保守端末装置から前記保守端末情報が送信された際、他に通信している前記保守端末装置が有るか否かを判別し、あると判別された場合、前記通信希望保守端末装置との通信を不可とし、
前記通信判定部で、前記通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致しないと判定されたときに、前記通信希望保守端末装置との通信を不可とすることを特徴とするエレベーター保守システム。
【請求項2】
エレベーターを制御する制御装置と、前記エレベーターを監視する監視装置と、前記監視装置と接続された無線装置と、前記無線装置に無線接続され複数の保守端末装置とを備えるエレベーター保守システムであって、
前記無線装置は、
前記監視装置に接続された制御部と、
保守端末情報が記憶されていないときに前記保守端末装置から保守端末情報が送信された場合、当該保守端末情報を記憶する記憶部と、
複数の前記保守端末装置のうちの1つの通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が、前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致するか否か判定すると共に、前記通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報がエレベーター操作に関係する特定コマンドを含むか否か判定する通信判定部とを有し、
前記無線装置の前記制御部は、
前記通信希望保守端末装置から前記保守端末情報が送信された際、他に通信している前記保守端末装置が有るか否かを判別し、あると判別された場合、前記通信希望保守端末装置との通信を不可とし、
前記通信判定部で、前記通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致しないと判定され、かつ、前記特定コマンドを含むと判定されたときに、前記通信希望保守端末装置との通信を不可とすることを特徴とするエレベーター保守システム。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベーター保守システムであって、
前記無線装置の前記制御部は、
前記通信判定部で、前記通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致しないと判定され、かつ、前記特定コマンドを含むと判定されたときに、通信接続不可の旨の警告文を前記通信希望保守端末装置に送信した後に前記通信希望保守端末装置との通信を不可とすることを特徴とするエレベーター保守システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載のエレベーター保守システムであって、
前記無線装置の前記制御部は、
前記通信判定部で、前記通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致しないと判定され、かつ、前記特定コマンドを含まないと判定されたときに、前記通信希望保守端末装置との通信を許可することを特徴とするエレベーター保守システム。
【請求項5】
請求項4に記載のエレベーター保守システムであって、
前記無線装置の前記制御部は、
前記通信判定部で、前記通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致しないと判定され、かつ、前記特定コマンドを含まないと判定されたときに、新たな接続が構築される旨の注意文を前記通信希望保守端末装置に送信した後に、前記通信希望保守端末装置との通信を許可することを特徴とするエレベーター保守システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターを監視する監視装置に接続された無線装置に無線接続された複数の保守端末装置を備えるエレベーター保守システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの保守や定期点検、故障修理等を行う保守員は、一般にPC等から成る保守端末装置を携帯し、その保守端末装置をエレベーターと接続してエレベーターの保守に必要な動作指令を、エレベーターを制御する制御装置に対して有線もしくは無線で送信している。
【0003】
無線使用時に2名以上の保守員が近くで作業する際に、誤って別の保守員が使用する無線装置に対して、誤接続してしまいエレベーターの誤操作が行われてしまう虞がある。ところで、無線使用時に予期しない無線装置と誤接続してエレベーターの誤操作を生じさせないように保守端末装置と無線装置にそれぞれ共通コードを設定し、他の無線装置とは接続しない構成が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−306358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された従来技術では、事前に共通コードを保守端末装置と無線装置に登録しておく必要がある。したがって、保守端末装置もしくは無線装置のいずれかが故障で交換した際には、再度共通コードを登録することが必要になる。また、共通コードが重複しないように管理サーバなどで発行した共通コードの管理を行う必要がある。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の目的は、保守端末装置と無線装置の共通コードの発行及び管理を要することなく、保守端末装置と無線装置との誤接続を防止することができるエレベーター保守システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るエレベーター保守システムは、エレベーターを制御する制御装置と、前記エレベーターを監視する監視装置と、前記監視装置と接続された無線装置と、前記無線装置に無線接続され複数の保守端末装置とを備えるエレベーター保守システムであって、前記無線装置は、前記監視装置に接続された制御部と、保守端末情報が記憶されていないときに前記保守端末装置から保守端末情報が送信された場合、当該保守端末情報を記憶する記憶部と、複数の前記保守端末装置のうちの1つの通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が、前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致するか否か判定する通信判定部とを有し、前記無線装置の前記制御部は、前記通信希望保守端末装置から前記保守端末情報が送信された際、他に通信している前記保守端末装置が有るか否かを判別し、あると判別された場合、前記通信希望保守端末装置との通信を不可とし、前記通信判定部で、前記通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致しないと判定されたときに、前記通信希望保守端末装置との通信を不可とすることを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、エレベーターを制御する制御装置と、前記エレベーターを監視する監視装置と、前記監視装置と接続された無線装置と、前記無線装置に無線接続され複数の保守端末装置とを備えるエレベーター保守システムであって、前記無線装置は、前記監視装置に接続された制御部と、保守端末情報が記憶されていないときに前記保守端末装置から保守端末情報が送信された場合、当該保守端末情報を記憶する記憶部と、複数の前記保守端末装置のうちの1つの通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が、前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致するか否か判定すると共に、前記通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報がエレベーター操作に関係する特定コマンドを含むか否か判定する通信判定部とを有し、前記無線装置の前記制御部は、前記通信希望保守端末装置から前記保守端末情報が送信された際、他に通信している前記保守端末装置が有るか否かを判別し、あると判別された場合、前記通信希望保守端末装置との通信を不可とし、前記通信判定部で、前記通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が前記記憶部に記憶された保守端末情報と一致しないと判定され、かつ、前記特定コマンドを含むと判定されたときに、前記通信希望保守端末装置との通信を不可とすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るエレベーター保守システムによれば、従来のように保守端末装置と無線装置の共通コードの発行及び管理を要することなく、無線装置使用時の保守作業に際しての保守員によるエレベーターの誤操作を防ぐことができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るエレベーター保守システムの一実施形態の基本構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態の詳細構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態の処理手順の一部を示すフローチャートである。
図4図3の処理手順に続く本実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るエレベーター保守システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るエレベーター保守システムの一実施形態の基本構成を示すブロック図である。
【0013】
この図1に示すエレベーター1は、例えばビルの昇降路内に設けられており、図示しないが乗りかごと、釣り合い錘と、これらの乗りかごと釣り合い錘を接続する主ロープと、主ロープを移動させる巻上機とを備えている。このようなエレベーター1では、巻上機が制御装置2から送信された制御信号によって回転駆動することにより、主ロープが移動し、乗りかごが階床間を昇降する。
【0014】
制御装置2は、エレベーター1に通信接続され、エレベーター1の乗りかごの昇降速度やドアの開閉動作を制御する。また、制御装置2は、監視装置3に通信接続され、エレベーター1に異常が発生したときに監視装置3へ通知する機能を備えている。
【0015】
監視装置3は、制御装置2に通信接続され、制御装置2を介してエレベーター1の故障や不具合等の異常を監視する。また、監視装置3は、無線装置4と接続され、保守員7が携帯する保守端末装置5、あるいは保守員8が携帯する保守端末装置6からの要求に従って、エレベーター1に関する情報等を無線装置4を介して保守端末装置5あるいは保守端末装置6へ送信する。
【0016】
前述のように無線装置4は、監視装置3に接続され、保守端末装置5あるいは保守端末装置6からの要求を監視装置3に送信する。また、監視装置3からの要求を保守端末装置5あるいは保守端末装置6に送信する。
【0017】
保守端末装置5あるいは保守端末装置6は、無線装置4を介して、監視装置3と接続することでエレベーター1の運行情報や監視情報を取得し、保守員7あるいは保守員8に伝える。
【0018】
図2は、本実施形態の詳細構成を示すブロック図である。
【0019】
この図2に示すように、制御装置2は、乗りかごの昇降速度やドアの開閉動作を含むエレベーター1の全体の動作を制御するための各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)等の制御部201、及び制御部201による演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、制御部201がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)等の記憶部202を含むハードウェアと、記憶部202に記憶され、制御部201により実行されるソフトウェアとを含んで構成される。また、記憶部202は、エレベーター1の動作履歴、操作履歴、及び故障履歴等を記憶する。このような構成の制御装置2では、ハードウェアとソフトウェアとの協働によりエレベーター1を制御する。
【0020】
監視装置3は、例えば制御装置2と同様に、エレベーター1の異常の有無を監視するための各種の演算を行うCPU等の制御部301、並びに制御部301による演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD、及び制御部301がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等の記憶部302を含むハードウェアと、この記憶部302に記憶され、制御部301により実行されるソフトウェアとを含んでいる。このような構成の監視装置3では、ハードウェアとソフトウェアとの協働により、エレベーター1の動作を監視する。
【0021】
なお、記憶部302は、監視情報記憶部302A、認証保守員情報記憶部302B、復旧プログラムリスト記憶部302Cを備えている。
【0022】
監視情報記憶部302Aは、制御装置2から定期的に取得している動作履歴、操作履歴、及び故障履歴等を記憶する。さらに図1に示す通信回線10を介して監視センタ11へ通信するための通信情報を記憶する。認証保守員情報記憶部302Bは、監視センタ11と接続可能な保守員情報が格納されている。また、復旧プログラムリスト記憶部302Cには、エレベーター1の機種に応じたエレベーター1の復旧にのみ使用する保守プログラムの名称と保守プログラムの起動条件が格納されている。
【0023】
無線装置4は、監視装置3と通信するための各種の演算を行うCPU等の制御部401、及び制御部401による演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD、制御部401がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等の記憶部402を含むハードウェアと、記憶部402に記憶され、制御部401により実行されるソフトウェアとを含んでいる。
【0024】
記憶部402は、保守端末情報を記憶する保守端末情報記憶部402A、及び操作記録を記憶する操作記録記憶部402Bを備えている。保守端末情報記憶部402Aは、無線接続される保守端末装置5,6の固有情報、例えば製造番号を記憶する機能を備えている。操作記録記憶部402Bは、保守端末装置5,6から送信されたエレベーター1への操作コマンド、例えばエレベーター1の昇降や運転方法の切替え情報を操作履歴として記憶する機能を備えている。
【0025】
通信判定部403は、制御部401、及び記憶部402と接続されており、制御部401により起動され、保守端末装置5,6から送信された保守端末情報が、保守端末情報記憶部402Aに記憶された保守端末情報と一致するか否か判定すると共に、保守端末装置5,6のうちの1つの通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報がエレベーター操作に関係する特定コマンド、例えばエレベーター停止操作、及びブレーキに関する操作を含むか否か判定する。
【0026】
制御部401は、通信判定部403で、通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が保守端末情報記憶部402Aに記憶された保守端末情報と一致しないと判定され、かつ、エレベーター停止操作、及びブレーキに関する操作を含むと判定されたときに、接続不可を該当する通信希望保守端末装置に送信する。
【0027】
また、制御部401は、通信判定部403で、通信希望保守端末装置から送信された保守端末情報が保守端末情報記憶部402Aに記憶された保守端末情報と一致したと判定されたとき、及び一致しないと判定され、かつ、エレベーター停止操作、及びブレーキに関する操作を含まないと判定されたときに、接続許可を該当する通信希望保守端末装置に送信する。
【0028】
保守端末装置5,6のうちの保守端末装置5は、監視装置3と通信するための各種の演算を行うCPU等の制御部501、及び制御部501による演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD、制御部501がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等の記憶部502を含むハードウェアと、保守プログラムのメニューを表示する表示部503と、記憶部502に記憶され、制御部501により実行されるソフトウェアとを含んでいる。記憶部502は、保守端末情報記憶部502Aを備え、保守端末装置5の固有情報、例えば製造番号を記憶する。このような構成の保守端末装置5では、ハードウェアとソフトウェアとの協働により、保守端末装置5,6が実行する処理に必要な機能が実現される。別の保守端末装置6も保守端末装置5と同様の構成となっており、制御部601、保守端末情報記憶部602Aを有する記憶部602、及び表示部603を備えている。
【0029】
図3は本実施形態の処理手順の一部を示すフローチャート、図4図3の処理手順に続く本実施形態の処理手順を示すフローチャートである。これらの図3,4に基づいて本実施形態における処理動作について説明する。
【0030】
例えば図1に示す保守員7がエレベーター1が設置されている場所に行き、保守端末装置5を起動後、無線装置4に無線で接続する(ステップS1)。
【0031】
無線装置4は、保守端末装置5が無線で接続されると、制御部401に他に通信している保守端末装置が有るか否か、すなわち保守端末装置6が無線で接続されているか否か確認する(ステップT1)。保守端末装置6が通信中のとき(T1/Yes)には、通信不可を保守端末装置5に送信する(ステップT2)。保守端末装置6が通信中でないとき(T1/No)には、次のデータを受信するまで待つ。
【0032】
保守端末装置5は、保守端末情報記憶部502Aの保守端末情報を無線装置4に送信する(ステップS2)。
【0033】
無線装置4は、受信した保守端末情報記憶部502Aの保守端末情報と、記憶部402に含まれる保守端末情報記憶部402Aの保守端末情報とを比較する(ステップT3)。データが無いとき(T3/No)には、保守端末情報記憶部402Aに保守端末情報を設定する(ステップT4)。なお、データが有るとき(T3/Yes)には、後述のステップT8に進む。
【0034】
保守端末装置5は、エレベーター1への操作コマンドを無線装置4に送信する(ステップS3)。
【0035】
無線装置4は、監視装置3に操作コマンドを送信し、操作コマンドの履歴を操作記録記憶部402Bに格納する(ステップT5)。
【0036】
ここで、別の保守員8が操作する保守端末装置6(通信希望保守端末装置)が、無線装置4に無線接続されて通信を開始したものとする(ステップU1)。
【0037】
無線装置4の制御部401は、通信中の保守端末装置が有るか否か確認する(ステップT6)。
【0038】
今例えば保守端末装置5が通信中であるとすると(T6/Yes)、制御部401は通信不可を保守端末装置6に送信する(ステップT7)。
【0039】
なお保守端末装置5との通信が終了し、通信中の保守端末装置が無くなったとき(T6/No)には、次のデータを受信するまで待つ。
【0040】
保守端末装置6が保守端末情報記憶部602Aに記憶された保守端末情報を送信する(ステップU2)。
【0041】
前述したステップT3で保守端末情報のデータが有ると判定されたときには、通信判定部403は、ステップU2において保守端末装置6から送信された保守端末情報が、保守端末情報記憶部402Aに記憶された保守端末情報と一致するか否か判定する(ステップT8)。
【0042】
一致したとき(ステップT8/Yes)には、同一の保守員が操作していると判断し、制御部401は、継続して通信を許可する。不一致のとき(ステップT9/No)のときには、ステップT9に進む。
【0043】
ステップT9で通信判定部403は、操作記録記憶部402Bに記録されている操作がエレベーター停止操作、及びブレーキに関する操作を含むか否か判定する(ステップT9)。
【0044】
ステップT9で、エレベーター停止操作、及びブレーキに関する操作を含むと判定された(T9/Yes)とき、制御部401は、通信接続不可の旨の警告文、例えば「保守端末装置5にてエレベーターの停止操作がされているため通信を切断します。」を通信希望保守端末装置である保守端末装置6に送信し、続いて保守端末装置6に接続不可を送信する(ステップT10)。警告文は、保守端末装置6の表示部603に表示される。
【0045】
ステップT9で、エレベーター停止操作、及びブレーキに関する操作を含まないと判定された(T9/No)とき、制御部401は、新たな接続が構築される旨の注意文、例えば「保守端末装置5が接続されていましたが、保守端末装置6で新たに接続を開始してよろしいですか。」を保守端末装置6に送信し、続いて保守端末装置6に接続許可を送信する(ステップT11)。注意文は、保守端末装置6の表示部603に表示される。
【0046】
このように構成した本実施形態によれば、保守端末装置5,6と無線装置4の共通コードの発行及び管理を要することなく、保守端末装置5,6と無線装置4との誤接続を防止することができる。すなわち本実施形態は、保守端末装置5,6と無線装置4の共通コードの発行及び管理を要することなく、無線装置4の使用時の保守員7による保守作業に際しての保守員8によるエレベーター1の誤操作を防ぐことがで、保守作業時の保守員7に対する優れた安全性を確保できる。
【0047】
なお、前述した実施形態にあっては、無線装置4の通信判定部403が、通信希望保守端末装置である保守端末装置6から送信された保守端末情報が記憶部402に記憶された保守端末情報と一致するか否か判定すると共に、保守端末装置6から送信された保守端末情報が、エレベーター操作に関係する特定コマンド、例えばエレベーター停止操作、及びブレーキに関する操作を含むか否か判定するものから成っているが、本発明は、通信判定部403をこのように構成することには限られない。通信判定部403が、通信希望保守端末装置である保守端末装置6から送信された保守端末情報が記憶部402に記憶された保守端末情報と一致するか否かのみ判定するものから成り、制御部401が、通信判定部403で、通信希望保守端末装置である保守端末装置6から送信された保守端末情報が記憶部402に記憶された保守端末情報と一致すると判定されたときに保守端末装置6との通信を許可し、一致しないと判定されたときに、保守端末装置6との通信を不可とする構成としてもよい。
【0048】
また、前述した実施形態では、通信判定部403の判定対象である特定コマンドを、エレベーター停止操作、及びブレーキに関する操作であったが、特定コマンドは、エレベーター停止操作、及びブレーキに関する操作には限定されない。ドアの開閉操作等のように保守員7,8の作業時の安全性に関係するエレベーター操作であれば、特定コマンドとして設定し得る。
【0049】
なお、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1・・エレベーター、2・・制御装置、3・・監視装置、301・・制御部、4・・無線装置、401・・制御部、402・・記憶部、402A・・保守端末情報記憶部、402B・・操作記録記憶部、403・・通信判別部、5・・保守端末装置、501・・制御部、502・・記憶部、502A・・保守端末情報記憶部、503・・表示部、6・・保守端末装置、601・・制御部、602・・記憶部、602A・・保守端末情報記憶部、603・・表示部、7,8・・保守員
図1
図2
図3
図4