特許第6553017号(P6553017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553017
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】コンクリート構造物の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   E04G23/02 B
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-252512(P2016-252512)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-104996(P2018-104996A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】517000265
【氏名又は名称】エスティーキコウ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136504
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】高田 成一
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 正知
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 和夫
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−307534(JP,A)
【文献】 特開2005−023520(JP,A)
【文献】 特開2004−251010(JP,A)
【文献】 特開平08−086096(JP,A)
【文献】 特開2001−012084(JP,A)
【文献】 特開2006−169715(JP,A)
【文献】 特開2011−157734(JP,A)
【文献】 特開2002−070319(JP,A)
【文献】 特開平04−001367(JP,A)
【文献】 特開2005−023723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物のひび割れに沿って前記コンクリート構造物の表面に現れている前記ひび割れの任意の位置から前記コンクリート構造物の厚さ方向に止まり穴を穿孔するステップと、
補修材又は止水材を前記ひび割れに注入するための注入プラグを注入ガンに接続し、接続した前記注入プラグを前記止まり穴に挿入するステップと、
前記止まり穴と前記止まり穴に挿入された前記注入プラグとの間に形成される前記補修材又は前記止水材の充填空間に前記注入プラグから前記補修材又は前記止水材を注入するステップと、
を有し、
前記注入プラグと前記止まり穴の内壁との間を弾性体でシールし、前記弾性体の位置及び前記注入プラグの先端の位置が、前記コンクリート構造物の厚さ方向における中心位置よりも深い位置まで到達するように前記注入プラグを前記止まり穴に挿入することによって、前記充填空間を、前記コンクリート構造物の厚さ方向における中心位置よりも深い位置に、前記コンクリート構造物に埋設される鉄筋であって前記コンクリート構造物の背面側における鉄筋よりも前記コンクリート構造物の厚さ方向における中心位置側となるように形成するコンクリート構造物の施工方法。
【請求項2】
前記補修材又は前記止水材として粘度が10Pas以上1000Pas以下の補修材又は止水材を20MPa以上35MPa以下の圧力で前記充填空間に注入する請求項1記載のコンクリート構造物の施工方法。
【請求項3】
前記補修材又は前記止水材に非イオン系界面活性剤を0.5重量%以上3.5重量%以下となるように添加する請求項1又は2記載のコンクリート構造物の施工方法。
【請求項4】
前記注入プラグと前記止まり穴の底面との間における距離が、前記止まり穴の直径以上かつ前記止まり穴の直径の5倍以下となるように前記注入プラグを前記止まり穴に挿入する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の施工方法。
【請求項5】
前記注入プラグと前記注入ガンとを連結する接続管と、前記止まり穴の内壁との間を更に別の弾性体でシールする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の施工方法。
【請求項6】
横断面の形状がU字状又はV字状の溝を前記コンクリート構造物のひび割れに沿って前記コンクリート構造物の表面側に形成し、形成した前記溝にシール材を充填することによって、前記コンクリート構造物の表面側において前記コンクリート構造物のひび割れをシールする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の施工方法。
【請求項7】
前記補修材にシランカップリング剤を0.1重量%以上0.5重量%以下となるように添加する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の施工方法。
【請求項8】
前記注入プラグと前記注入ガンとを前記止まり穴の直径よりも細い直径を有する接続管で連結し、前記接続管と前記止まり穴の内壁との間における隙間を利用して前記コンクリート構造物内における空気を排出するようにした請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の施工方法。
【請求項9】
前記注入プラグと前記注入ガンとを連結する接続管に、前記止まり穴の深さ方向における前記注入プラグの位置を確認するための位置確認手段を設ける請求項1乃至8のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンクリート構造物の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物の補修個所を補修する方法として、高粘度の補修材を高圧力で注入する方法が提案されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。より具体的には、コンクリート構造体に生じたひび割れに沿って補修材の注入穴を施工してプラグを挿入し、挿入したプラグから補修材として粘度が10Pasから1000Pasの高粘度のエポキシ樹脂を、20MPaから35MPa程度の高圧で注入することによってコンクリート構造体に生じたひび割れを補修する方法が提案されている。また、コンクリート構造体同士の打継ぎ部分における継ぎ目に生じた空隙を補修する場合においても、同様な高粘度補修材の高圧注入による補修が提案されている。
【0003】
高粘度の補修材を高圧で補修個所に注入することによってコンクリート構造体の補修を行えば、3Pas前後の低粘度の補修材を低圧で時間をかけて補修個所に注入することによって補修を行う従来の施工方法に比べて、高品質な補修を行うことが可能となる。すなわち、低粘度の補修材を用いて補修を行うと、補修材は注入箇所から空隙内を均等に浸透せずに重力によって下方に流れてしまう。このため、外観上はひび割れが補修材によって塞がれたように見えても、実際には、内部のひび割れが塞がれておらず、強度の劣化が十分に改善されたとは言い難い状態で補修作業が完了することになる。従って、低粘度の補修材を用いた補修方法は外観上の表面的な補修方法であると言える。
【0004】
これに対して、高粘度の補修材を高圧で空隙に注入すれば、重力方向に左右されることなくほぼ均等に浸透させることが可能で、閉塞対象となる空隙に十分に補修材を充填することが可能である。このため、表面的な補修ではなく、内部構造も含めた本質的な補修が可能となる。これは、止水材を空隙に注入することによって止水を行う場合についても同様である。
【0005】
しかしながら、高粘度の補修材を使用する場合には、補修材が下方に速やかに流れずに高圧で四方に浸透する。このため、補修材を注入するための器具を取り外す際における補修材の逆流を防止することが問題となる。そこで、プラグ内における補修材の逆流を防止するためにプラグ内に逆止弁を設ける技術やプラグと穴の内壁との間における補修材の逆流を防止するためにプラグの先端を弾性体のチューブで覆う技術が提案されている(例えば特許文献3及び特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−1998号公報
【特許文献2】特開2001−012084号公報
【特許文献3】特開2002−070319号公報
【特許文献4】特開2005−023520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の補修材の逆流防止構造を採用しても、補修材の圧力やプラグと穴との間における隙間の大きさ等の条件によっては、依然としてプラグに設けられた弾性体と穴の内壁との間における隙間から補修材の逆流が生じる。この場合、補修材がプラグを伝って不均一に浸透し、補修材が空隙の隅々まで十分に到達しない恐れがある。
【0008】
これは、止水材を用いてコンクリート構造物の止水を行う場合においても同様である。
【0009】
そこで、本発明は、コンクリート構造物の対象部分に補修材や止水材等の充填材をより適切な条件で浸透させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係るコンクリート構造物の施工方法は、コンクリート構造物のひび割れに沿って前記コンクリート構造物の表面に現れている前記ひび割れの任意の位置から前記コンクリート構造物の厚さ方向に止まり穴を穿孔するステップと、補修材又は止水材を前記ひび割れに注入するための注入プラグを注入ガンに接続し、接続した前記注入プラグを前記止まり穴に挿入するステップと、前記止まり穴と前記止まり穴に挿入された前記注入プラグとの間に形成される前記補修材又は前記止水材の充填空間に前記注入プラグから前記補修材又は前記止水材を注入するステップとを有し、前記注入プラグと前記止まり穴の内壁との間を弾性体でシールし、前記弾性体の位置及び前記注入プラグの先端の位置が、前記コンクリート構造物の厚さ方向における中心位置よりも深い位置まで到達するように前記注入プラグを前記止まり穴に挿入することによって、前記充填空間を、前記コンクリート構造物の厚さ方向における中心位置よりも深い位置に、前記コンクリート構造物に埋設される鉄筋であって前記コンクリート構造物の背面側における鉄筋よりも前記コンクリート構造物の厚さ方向における中心位置側となるように形成するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係るコンクリート構造物の補修方法を説明するための概念図。
図2】従来のコンクリート構造物の補修方法を説明するための概念図。
図3図1に示すシール材をUカット工法で充填する場合における横断面図。
図4図1に示すシール材をVカット工法で充填する場合における横断面図。
図5】補修材に非イオン系界面活性剤を添加した場合における浸透速度の変化を表すグラフ。
図6図5に示すデータを取得するために形成した補修材の充填空間の位置及びサイズを示す図。
図7】エポキシ樹脂にエマルゲンを添加した場合における引張強度の変化を表すグラフ。
図8】エポキシ樹脂にエマルゲンを添加した場合における曲げ強度の変化を表すグラフ。
図9】エポキシ樹脂にエマルゲンを添加した場合における付着強度の変化を表すグラフ。
図10図9に示す乾燥状態における付着強度と湿潤状態における付着強度との比を表すグラフ。
図11図7に示す引張強度のデータを取得するために使用した試験片の形状及びサイズを示す斜視図。
図12図8に示す曲げ強度のデータを取得するための試験条件を示す正面図。
図13図12に示す試験片の上面図。
図14図9に示す付着強度のデータを取得するための試験条件を示す正面図。
図15図14に示す試験片の上面図。
図16】本発明の第2の実施形態に係るコンクリート構造物の補修方法を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るコンクリート構造物の施工方法について添付図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
(構成及び機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係るコンクリート構造物の補修方法を説明するための概念図であり、図2は従来のコンクリート構造物の補修方法を説明するための概念図である。
【0016】
図1は、コンクリート構造物1に生じた2次元的なひび割れに沿う断面を示している。コンクリート構造物1は、縦筋2A及び横筋2Bからなる鉄筋2を骨組みとしてコンクリート3を固めた構造を有する。コンクリート構造物1にひび割れが生じた場合、補修材4をひび割れに注入して浸透させ、ひび割れ内において補修材4を固めることが必要となる。すなわち、コンクリート構造物1の強度を確保するための補修が必要となる。
【0017】
そこで、図1に例示されるように、コンクリート構造物1のひび割れに沿ってコンクリート構造物1の表面側からコンクリート構造物1の厚さ方向に止まり穴5を穿孔することができる。コンクリート構造物1は、鉄筋2によって補強されているため、ひび割れはコンクリート構造物1の厚さ方向に生じる。すなわち、ひび割れは、コンクリート構造物1の表面に対して概ね垂直となるように生じる。従って、コンクリート構造物1の表面に現れているひび割れの任意の位置からコンクリート構造物1の表面に対して略垂直に穿孔すれば、ひび割れに沿う止まり穴5を穿孔することができる。尚、図1に示す例では、コンクリート構造物1の厚さ方向における中心位置付近が底面となるように止まり穴5が設けられている。
【0018】
次に、補修材4をひび割れに注入するための注入プラグ6を注入ガン7に接続し、接続した注入プラグ6を止まり穴5に挿入することができる。注入プラグ6は、接続管8で注入ガン7と連結することができる。注入プラグ6は、止まり穴5の底面まで達しない深さまで挿入される。このため、止まり穴5の底面と止まり穴5に挿入された注入プラグ6の先端との間には、補修材4の充填空間9が形成される。
【0019】
次に、止まり穴5と止まり穴5に挿入された注入プラグ6との間に形成される補修材4の充填空間9に注入プラグ6から補修材4が注入される。そうすると、充填空間9に充填された補修材4がひび割れを伝って浸透し、ひび割れ内を浸透した補修材4が固化することによってコンクリート構造物1のひび割れを補修することができる。
【0020】
コンクリート3用の補修材4としては、強度を確保する観点からエポキシ接着剤が好適である。特に、粘度が10Pas以上1000Pas以下の高粘度の補修材4を20MPa以上35MPa以下の高い圧力で充填空間9に注入することが高品質なひび割れの補修を行う観点から好適である。これは、高粘度の補修材4を充填空間9に高圧で注入すれば、重力の影響を受けたとしても下方のみに流れずに、ひび割れ内に十分に補修材4を浸透させることができるためである。
【0021】
また、従来の低粘度の補修材を低圧で注入する工法では、注入した補修材が重力の影響を受けて下方に流れてしまう。このため、より高い位置に補修材の注入穴を穿孔することが必要となる。これに対して、高粘度の補修材4を高圧で注入する施工法の場合には、補修材4が重力の影響をあまり受けずに拡散する。このため、低い位置に補修材4の注入穴を穿孔することが可能となる。その結果、補修対象物の高さにもよるが、補修作業の足場を組まずに補修作業を行うことができるという利点がある。従って、手間がかからず効率的な補修作業を行うことができる。
【0022】
加えて、従来の低圧で補修材を注入する工法の場合には、使用後の器具等の廃棄物が出るため廃棄物の処理が必要となる。これに対して、高粘度の補修材4を高圧で注入する施工法の場合には、注入プラグ6から締込み部品や接続管8を取外すだけで補修作業を完了させることが可能である。しかも、取外した締込み部品や接続管8は、リサイクルすることができる。従って、高粘度の補修材4を高圧で注入する施工法を採用すれば、低粘度の補修材を低圧で注入する従来の施工法を採用する場合に比べて様々な利点が得られる。
【0023】
但し、補修材4が注入プラグ6と止まり穴5の内壁との間における隙間5Aを流れると、図2に例示されるように補修材4が不均一に浸透することになる。すなわち、大部分の補修材4が注入プラグ6と止まり穴5の内壁との間における隙間5Aに流入し、止まり穴5からひび割れに向かって補修材4が浸透することになる。また、ひび割れ面に沿って補修材4が拡散するのみならず、ひび割れ面を介して止まり穴5の隙間5Aに補修材4が流れ込んで埋まることにより、コンクリート構造物1の表面側に補修材4が偏り、十分な強度が得られない恐れがある。
【0024】
また、止まり穴5の隙間5Aに補修材4が流れ込むと、止まり穴5よりも深い位置におけるひび割れ部分を含めたひび割れ全体への補修材4の浸透を完了させるために要する補修材4の注入時間が長くなる恐れがある。加えて、補修材4を浸透させることが可能な範囲が狭くなる恐れもある。その結果、補修材4の注入ポイントの間隔を狭くする必要が生じ、止まり穴5の施工箇所や注入プラグ6の使用本数の増加に繋がる。これは、補修コストの増加に繋がる。従って、止まり穴5の隙間5Aに補修材4が流れ込む事態を回避することが重要である。
【0025】
また、十分な量の補修材4が充填空間9に吐出された後、通常は数時間後に止まり穴5にも補修材4を充填して閉塞するために注入プラグ6を残して接続管8が止まり穴5から引き抜かれる。或いは、補修材4の逆流防止用の弁が設けられている場合であれば、補修材4の残圧が十分に低くなっていることを確認した後、接続管8を止まり穴5から速やかに引き抜くこともできる。すなわち、少なくとも補修材4が固まる前に、注入プラグ6とネジ等で連結された接続管8が注入プラグ6から取外されて引き抜かれる。このため、接続管8が引き抜かれた後の止まり穴5からの補修材4の逆流を防止することも、補修材4をひび割れに沿ってより均一に浸透させる観点から重要となる。
【0026】
そこで、図1に例示されるように補修材4が均一にひび割れに沿って浸透するように、注入プラグ6及び注入プラグ6と注入ガン7とを連結する接続管8の少なくとも一方と止まり穴5の内壁との間を、変形可能な素材により形成される筒体、例えば、横断面が矩形でリング状等の弾性体10A、10Bでシールすることが好適である。これにより、注入プラグ6及び接続管8と止まり穴5の内壁との間における隙間から補修材4が漏れ出ることを防止することができる。
【0027】
図1に示す例では、注入プラグ6及び接続管8のコンクリート表面付近にそれぞれ弾性体10A、10Bとして横断面が矩形のリングが取付けられている。すなわち、弾性体10Aを周囲に設けた注入プラグ6と、弾性体10Bを周囲に設けた接続管8が、止まり穴5に圧入されている。
【0028】
更に、コンクリート構造物1の表面側においてコンクリート構造物1のひび割れをエポキシ樹脂等のシール材11でシールすることも効果的である。すなわち、コンクリート構造物1の表面側においてひび割れをシールすれば、コンクリート構造物1の表面側からの補修材4の漏れを防止することができる。実際に、コンクリート構造物1のひび割れを模擬したシミュレーションボードで実験を行った結果、ひび割れをシールした場合には図1に示すように四方に浸透するが、ひび割れをシールしない場合には、補修材4が不均一にひび割れに流れることが確認された。
【0029】
但し、コンクリート構造物1の表面側においてエポキシ樹脂等のシール材11でひび割れを単純にシールすると、補修材4の圧力でシール材11が破れてしまう恐れがある。そこで、Uカット工法又はVカット工法でシールすることにより、シール効果をより確実に維持することができる。すなわち、コンクリート構造物1の表面側からの補修材4の漏れを、より確実に防止することができる。
【0030】
図3図1に示すシール材11をUカット工法で充填する場合における横断面図であり、図4図1に示すシール材11をVカット工法で充填する場合における横断面図である。
【0031】
シール材11をUカット工法で充填する場合には、図3に示すように、横断面の形状がU字型の溝20がコンクリート構造物1のひび割れに沿ってコンクリート構造物1の表面側に形成される。そして、形成したU字状の溝20にシール材11を充填することによって、ひび割れをシールすることができる。
【0032】
一方、シール材11をVカット工法で充填する場合には、図4に示すように、横断面の形状がV字型の溝21がコンクリート構造物1のひび割れに沿ってコンクリート構造物1の表面側に形成される。そして、形成したV字状の溝21にシール材11を充填することによって、ひび割れをシールすることができる。
【0033】
また、図1に模式的に示されるように、充填空間9から補修材4をより均一に浸透させるためには、深さ方向における長さが直径以上直径の5倍以下である止まり穴5の空間を充填空間9として形成することが好適であることが確認された。この場合、注入プラグ6と止まり穴5の底面との間における距離が、止まり穴5の直径以上かつ止まり穴5の直径の5倍以下となるように注入プラグ6を止まり穴5に挿入することが必要となる。例えば、止まり穴5の内径が13mmであれば、円柱状の充填空間9の長さを13mm以上65mm以下とすることが、補修材4をより均一に浸透させる観点から好適な条件となる。
【0034】
従って、注入プラグ6を止まり穴5に挿入する際には、止まり穴5に対する注入プラグ6の相対的な位置を確認できるようにすることが重要である。すなわち、注入プラグ6の止まり穴5への注入深さ及び注入プラグ6と止まり穴5の底面との間における距離を確認できるようにすることが重要である。
【0035】
そこで、注入プラグ6と注入ガン7とを連結する接続管8に、止まり穴5の深さ方向における注入プラグ6の位置を確認するための位置確認手段を設けるようにしてもよい。図1に示す例では、止まり穴5の深さ方向における注入プラグ6の位置を確認するための位置確認手段として、テープの貼付によって接続管8にマーキング12が施されている。このように、止まり穴5への注入プラグ6の挿入長さがコンクリート構造物1の厚さの半分以上であることを確認するための目印を接続管8に設けることができる。尚、注入プラグ6の挿入深さが一定である場合には、接続管8に目印を刻印してもよい。
【0036】
マーキング12等の目印の位置は、止まり穴5の深さから充填空間9の長さを差し引いた長さが、注入プラグ6の先端から目印の位置までの距離となるように決定することができる。これにより、充填空間9の長さを、必要な長さとすることができる。尚、止まり穴5の深さを確認するために、止まり穴5の穿孔に使用されるドリルにも目印を付することができる。
【0037】
また、コンクリート構造物1の背面側に埋設される鉄筋2よりも内側、つまりコンクリート構造物1の厚さ方向における中心位置側に充填空間9を形成することが、高圧で注入された補修材4によってひび割れが押し広げられる弊害を回避する観点から適切である。
【0038】
補修材4をより均一にひび割れ内に拡散させ、止まり穴5内を伝って外部に漏れないようにするためには、補修材4の浸透速度を増加させることも効果的である。実験の結果、補修材4に非イオン系界面活性剤を添加すると、非イオン系界面活性剤を添加しない場合に比べて補修後におけるコンクリート構造物1の強度を向上できるのみならず、濡れ性が向上し、補修材4の浸透速度を増加させることができることを確認した。このため、補修材4に適量の非イオン系界面活性剤を添加すれば、補修材4をより均一にひび割れ内に拡散させ、かつ補修時間を短縮させることができる。尚、非イオン系界面活性剤は、水に溶解した場合においてイオン性を示さず、かつ界面活性を呈する界面活性剤である。
【0039】
但し、補修材4に非イオン系界面活性剤を過剰に添加すると補修材4が固まらなくなってしまうことが確認された。逆に、非イオン系界面活性剤の含有量が少なすぎれば、非イオン系界面活性剤の性質が現れないことになる。実験の結果、補修材4に非イオン系界面活性剤を0.5重量%以上3.5重量%以下となるように添加することが、補修材4を固化させつつ、非イオン系界面活性剤の添加による効果を有意な程度で発現させるための条件であることが確認された。
【0040】
図5は補修材4に非イオン系界面活性剤を添加した場合における浸透速度の変化を表すグラフであり、図6図5に示すデータを取得するために形成した補修材4の充填空間9の位置及びサイズを示す図である。
【0041】
図6に示すように、900mm×900mmの板状の2枚のシミュレーションボードを0.3mmの隙間が形成されるように配置し、実際の鉄筋に相当するように300mm間隔でスペーサを挟んでボルトで締付ることによってコンクリート構造物1のひび割れを模擬した。そして、一端から直径13mmの止まり穴5を底面が中央となるように設けた。更に、充填空間9の長さが50mmとなるように注入プラグ6を止まり穴5に挿入した。そして、花王株式会社製のエマルゲン103を3.5重量%添加したコニシ株式会社製のエポキシ樹脂(ボンドE209)と、エマルゲン103が添加されていないエポキシ樹脂(ボンドE209)をそれぞれ充填空間9に注入してシミュレーションボード間における各浸透速度を調べた。尚、水平方向をX軸とし、鉛直方向をY軸とした。その結果、補修材4の注入圧力によって0.3mmの隙間が広がることなく、補修材4が拡散することが確認された。
【0042】
図5(A)は、図6のX軸方向におけるエポキシ樹脂の浸透速度を表すグラフであり、図5(B)は、図6のY軸方向におけるエポキシ樹脂の浸透速度を表すグラフである。すなわち、図5(A)、(B)において各横軸はエポキシ樹脂の注入時刻からの経過時間(秒)を示し、各縦軸はエポキシ樹脂の浸透距離(mm)を表している。また、図5(A)、(B)において各実線は、エマルゲン103を添加材としてエポキシ樹脂に添加した場合におけるエポキシ樹脂の浸透速度を示し、各点線はエマルゲン103が添加されていないエポキシ樹脂の浸透速度を示す。
【0043】
図5に示す実験結果からエポキシ樹脂にエマルゲン103を添加すると、エポキシ樹脂の浸透速度が速くなることが分かる。尚、図5に示す実験結果では、エポキシ樹脂にエマルゲン103を添加することによってX軸方向(水平方向)におけるエポキシ樹脂の浸透速度が約2倍となっており、Y軸方向(鉛直方向)におけるエポキシ樹脂の浸透速度が約1.38倍となっている。
【0044】
加えて、図6に示す条件において充填空間9の長さを変えて同様の試験を行った。その結果、深さ方向における長さが直径以上直径の5倍以下である止まり穴5の空間を充填空間9として形成することが、補修材4をより均一に浸透させるための条件であることも確認できた。
【0045】
このように非イオン系界面活性剤を補修材4に添加すると、補修材4の浸透速度を速くすることができる。そこで、非イオン系界面活性剤の一例としてエマルゲンを補修材4に添加した場合における機械的強度の変化についても試験を行った。
【0046】
図7はエポキシ樹脂にエマルゲンを添加した場合における引張強度の変化を表すグラフ、図8はエポキシ樹脂にエマルゲンを添加した場合における曲げ強度の変化を表すグラフ、図9はエポキシ樹脂にエマルゲンを添加した場合における付着強度の変化を表すグラフ、図10図9に示す乾燥状態における付着強度と湿潤状態における付着強度との比を表すグラフである。
【0047】
また、図11図7に示す引張強度のデータを取得するために使用した試験片の形状及びサイズを示す斜視図、図12図8に示す曲げ強度のデータを取得するための試験条件を示す正面図、図13図12に示す試験片の上面図、図14図9に示す付着強度のデータを取得するための試験条件を示す正面図、図15図14に示す試験片の上面図である。
【0048】
図11に示すような横断面が矩形の棒状構造体を試験片としてエポキシ樹脂にエマルゲンを添加した場合における引張強度の変化を引張試験機で調べた。具体的には、エマルゲンが添加されていないコニシ株式会社製のエポキシ樹脂(ボンドE209)、花王株式会社製のエマルゲン103の添加量(重量%)を変えて添加したエポキシ樹脂(ボンドE209)及び花王株式会社製のエマルゲン108の添加量(重量%)を変えて添加したエポキシ樹脂(ボンドE209)でそれぞれ構成される試験片を対象として引張試験を行った。
【0049】
その結果、図7に示すような結果が得られた。図7において縦軸は、エマルゲンが添加されていないエポキシ樹脂(ボンドE209)の引張強度に対する比を示している。図7によれば、適量のエマルゲンを添加すれば、エポキシ樹脂の伸び及び引張強度が向上することが分かる。尚、エマルゲン103を5重量%添加するとエポキシ樹脂が硬化せず、エマルゲン108を4重量%添加するとエポキシ樹脂に空隙が生じることが確認された。
【0050】
また、JIS A1106 2006の規格に沿って、図12及び図13に示すように横断面が矩形の2枚の板材を試験対象となる接着剤で接着し、荷重を負荷することによって接着剤の曲げ強度を測定した。具体的には、接着剤で接着されていない母材の曲げ強度に対する曲げ強度の比と、湿潤状態で接着された板材の曲げ強度に対する乾燥状態で接着された板材の曲げ強度の比を測定した。
【0051】
その結果、図8に示すような結果が得られた。尚、図8において縦軸は、基準となる曲げ強度に対する比を示している。また、湿潤状態の板材は、予め半分に割った板状のコンクリートを水の中に一昼夜浸漬した後に板状のコンクリートを補修材4で接着し、温度が20℃で相対湿度(RH:Relative Humidity)が50%の条件下において1週間放置することによってコンクリートと補修材4との間に水分を介在させたものである。
【0052】
図8に示すように、曲げ強度の試験については、エマルゲンが添加されていないコニシ株式会社製のエポキシ樹脂(ボンドE209)及び添加量(重量%)を変えてエマルゲン108を添加したエポキシ樹脂(ボンドE209)の他、日本シーカ株式会社製の高強度弾性接着剤であるシーカフレックス(登録商標)−252J及びシーリング材であるシーカフレックス(登録商標)−221NSJを対象として試験を行った。
【0053】
この試験では、エマルゲン108の添加量が3.5重量%を超えると曲げ強度が低下することが確認された。また、シーカフレックス(登録商標)−252J及びシーカフレックス(登録商標)−221NSJについては、いずれもエポキシ樹脂に比べて曲げ強度が低く、特に湿潤状態では曲げ強度が極端に低下することが確認された。
【0054】
また、図14及び図15に示すように板材に棒状部材を取り付けた試験片を、試験対象となる接着剤でコンクリートに接着し、棒状部材を引っ張ることによって接着剤の付着強度を調べた。具体的には、図9に示すように、エマルゲンが添加されていないエポキシ樹脂(ボンドE209)、エマルゲン103の添加量(重量%)を変えて添加したエポキシ樹脂(ボンドE209)及びエマルゲン108の添加量(重量%)を変えて添加したエポキシ樹脂(ボンドE209)を対象として、乾燥状態及び湿潤状態における付着強度を測定した。その結果、図9に示すようにエマルゲン103又はエマルゲン108の添加によってエポキシ樹脂の付着強度が向上することが確認された。更に、図10に示すように、乾燥状態における付着強度と、湿潤状態における付着強度との比についても測定した。
【0055】
上述した例では、ひび割れが生じたコンクリート構造物1の補修、すなわちコンクリート構造物1のひび割れに補修材4を注入して固化することによってコンクリート構造物1の強度を改善する場合について説明したが、コンクリート構造物1の止水を行う場合、すなわちコーキング材等の止水材をコンクリート構造物1のひび割れ等に注入することによって止水を行う場合においても同様な施工方法で止水を行うことができる。コンクリート構造物1の止水を行う場合には、補修材4に代えて止水材が注入される。止水材の例としては一液タイプ耐水性エラストマーが挙げられる。
【0056】
また、図8に示す曲げ強度の試験の対象となったシーカフレックス(登録商標)−252J及びシーカフレックス(登録商標)−221NSJについても、乾燥状態及び湿潤状態のいずれにおいても密閉効果が確認できたことから、止水材として使用できると考えられる。
【0057】
更に、補修材4にシランカップリング剤を0.1重量%以上0.5重量%以下となるように添加しても非イオン系界面活性剤を添加した場合と同様に強度特性を向上させることができることが確認された。すなわち、シランカップリング剤を添加すれば、強度や密着性を向上させる効果を得ることができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図16は本発明の第2の実施形態に係るコンクリート構造物の補修方法を説明するための概念図である。
【0059】
図16に示された第2の実施形態におけるコンクリート構造物1の補修方法は、主として補修材4を充填するための充填空間9をコンクリート構造物1の厚さ方向における中心位置よりも深い位置に形成した点が第1の実施形態におけるコンクリート構造物1の補修方法と相違する。第2の実施形態における他の特徴については第1の実施形態における特徴と実質的に異ならないため同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
【0060】
図16に示すように注入プラグ6と止まり穴5の内壁との間を弾性体10Aでシールし、弾性体10Aで覆われた注入プラグ6の位置が、コンクリート構造物1の厚さ方向における中心位置を跨ぐ位置となるように、注入プラグ6を止まり穴5に挿入することができる。そうすると、補修材4の充填空間9は、コンクリート構造物1の厚さ方向における中心位置よりも奥に形成される。
【0061】
このため、補修材4が弾性体10Aで覆われた注入プラグ6と止まり穴5の内壁との間から漏れ出たとしても、コンクリート構造物1の表面までの距離が長いため、コンクリート構造物1の厚さ方向における中心位置から見て補修材4をより均等に拡散させることができる。つまり、補修材4がコンクリート構造物1の表面側に偏って浸透したとしても、補修材4の充填空間9がコンクリート構造物1の厚さ方向における中心位置よりもコンクリート構造物1の背面側に形成されているため、コンクリート構造物1の厚さ方向における中心位置から見て補修材4をより均等に拡散させることができる。
【0062】
この場合においても、補修材4が高圧で注入されることによってひび割れが押し広げられないように、充填空間9をコンクリート構造物1の背面側に埋設される鉄筋2よりも内側に形成することが適切である。従って、充填空間9をコンクリート構造物1の背面側に埋設される鉄筋2よりも内側で、かつコンクリート構造物1の厚さ方向における中心位置よりも外側に形成することが好適な条件となる。
【0063】
従って、第2の実施形態においても、止まり穴5の深さ方向における注入プラグ6の位置を確認するためのマーキング12等の位置確認手段を、注入プラグ6と注入ガン7とを連結するための接続管8に設けることができる。例えば、止まり穴5への注入プラグ6の挿入深さがコンクリート構造物1の厚さの半分以上であることを確認するための目印を接続管8に設けることができる。
【0064】
尚、第1の実施形態と同様に、接続管8に弾性体10Bを設けてシールしてもよいが、止まり穴5の直径よりも細い直径を有する接続管8で注入プラグ6と注入ガン7とを連結し、接続管8と止まり穴5の内壁との間における隙間を利用してコンクリート構造物1内における空気を排出するようにしてもよい。その場合には、接続管8の一端がコンクリート構造物1の表面から突出するように接続管8の長さを決定し、コンクリート構造物1の表面から突出した接続管8の一端に、注入ガン7を連結すればよい。これにより、補修材4の注入孔を空気抜き用の穴として利用することができる。
【0065】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【0066】
例えば、上述した実施形態における施工方法で、コンクリート構造物に生じた低密度脆弱部位(ジャンカ)の補強を行うこともできる。すなわち、コンクリート構造物内に生じたジャンカに向けて止まり穴を穿孔し、ジャンカに向けて補強材を注入することができる。
【0067】
尚、ジャンカは、コンクリート構造物において、粗骨材が多く存在する部分に生じる空隙の多い不良部分である。ジャンカの発生原因としては、材料の分離、締め固め不足、型枠からのセメントペーストの漏れ等が挙げられる。ジャンカは、浸透した雨水の影響によるコンクリートの中性化による劣化や鋼材の腐食を促進するため、補修することが望ましい。
【0068】
しかしながら、施工後に発見されたジャンカについては、ジャンカが生じた部分までコンクリート構造物をえぐる施工が従来必要であった。具体例として、ジャンカが生じた箇所をえぐって、アンカーで固め、脱落防止のために繊維ネットを掛ける施工法が知られている。このようなコンクリート構造物をえぐる施工は、大掛かりな作業となることから従来はジャンカの補修を簡易に行うことが困難であった。これに対して、本発明の工法を用いれば、コンクリート構造物をえぐるといった大掛かりな施工を実施せずに、穿孔を行うのみでジャンカの補修が可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1 コンクリート構造物
2 鉄筋
2A 縦筋
2B 横筋
3 コンクリート
4 補修材
5 止まり穴
5A 隙間
6 注入プラグ
7 注入ガン
8 接続管
9 充填空間
10A、10B 弾性体
11 シール材
12 マーキング
20 溝
21 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16