【実施例】
【0109】
実施例I.酢酸グラチラマーを用いるチャレンジ後の酢酸グラチラマーで免疫化したマウスに由来するリンパ節細胞中の応答バイオマーカーmRNAを測定する酢酸グラチラマー効力アッセイの開発
GAで免疫化した(SJL/JxBALB/C)F1マウス系統に由来するT細胞のGAチャレンジ後に応答バイオマーカーmRNA発現レベルを測定する酢酸グラチラマー(GA)のための効力アッセイを開発した。免疫化したマウスから得たLN細胞により、GA刺激に応答したサイトカインmRNAレベルの実質的な増加が、刺激後、早くも2時間で、4時間までに確実に示された。
【0110】
アッセイの開発
3つの実験を行って、異なる時点、応答バイオマーカーmRNA、アッセイ形式、および効力アッセイにおける使用のための試薬を評価した。表1は、3つの試験のための実験設計、およびそれぞれ実行された免疫化を示す。
【0111】
【表3】
GA=酢酸グラチラマー (GMA, Mylan Pharmaceuticals, Inc.); CFA=完全Freundアジュバント
【0112】
表1にまとめられた3つの実験のそれぞれについて、メスの(SJL/JxBALB/C)F1ハイブリッド(Jackson Laboratory)マウスを、足蹠注射により、250μgのGMA(Mylan Pharmaceuticals,Inc.)およびCFA(Sigma Aldrich)、またはマンニトールおよびCFA(陰性対照として)を用いて免疫化した。GA溶液を、Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水を用いて5mg/mLに希釈した。次いで、良好に乳化するまで、希釈されたGA溶液(5mg/mL)およびCFA(1:1)を混合することにより、用量溶液を調製した。それぞれのマウスは、0.1mL(250μgのGA)の全注射容量を受容した。動物を、0日目に免疫化した。免疫化の後、10日目に頸椎脱臼により免疫化した動物を犠牲にした。腋下および腋窩領域中のリンパ節を、浄化クリーンベンチ中で無菌的に取り出し、約5mLの滅菌RPMI1640培地を含有する滅菌ペトリ皿に移した。LNを約5mLのRPMI培地で3回洗浄し、LNを注射筒プランジャで圧迫することにより、LN細胞を単離した。細胞懸濁液を滅菌50mL円錐チューブに移し、約4℃で10分間、約200xgで遠心分離することにより約40mLのRPMI1640培地中で洗浄し、細胞計数のためにRPMI1640培地中に再懸濁した。細胞懸濁液を約4℃で10分間、約200xgで遠心分離し、氷冷DCCM−1富化培地中に再懸濁した。LN細胞(2.5x10
6細胞/cm
2)を、48穴組織培養プレートのウェル中に播種し、GAまたは対照で刺激した。
【0113】
示された時間にわたって加湿されたCO
2インキュベータ中、約37℃でインキュベートした後、全RNAを、RNeasy Mini Kit(Qiagen、Cat.#74104)を用いて処理された細胞から単離した。細胞をRNA溶解バッファー中で溶解し、Qiagenスピンカラムに移し、洗浄し、DEPC処理された水を用いてカラムからRNAを溶出させた。High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems、Cat.#4368814)を用いて、各RNA試料からcDNAを合成した。PCR反応を、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems、Cat.#4304437)ならびに標的サイトカインおよび参照内部対照のための特異的プライマー/プローブを用いて実行した。マウスサイトカインIL−2(Cat.#4331182;ID Mm00434256_m1)、IL−4(Cat.4331182; ID Mm00445259_m1)、IL−5(Cat.#4331182;ID Mm00439646_m1)、IFN−γ(Cat.#4331182;ID Mm01168134_m1)、IL−10(ID Mm00439614_m1)、およびTNF−α(Mm00443260_g1)のためのプライマー/プローブを、Life Technologiesから入手した。サイトカインmRNAの発現を、リアルタイムPCRシステム(7500、Applied Biosystems)を用いて定量的に分析した。
【0114】
実験1(1A群マウス)において用いられた刺激およびmRNA発現の結果を、表2〜5に示す。1)マウスサイトカインアンプリコンのレベルを、同じ試料に由来するGAPDHのための内部プローブに対して正規化すること、および2)サイトカインのmRNA発現レベルを、DCCM1(培地)対照(Beit Haemek Ltd.からのDCCM1;カタログ番号05 0101 1A)中で観察されたレベルで除算することにより、各サイトカインに関する、対照に対する倍数変化を算出した。2時間群についてはMBP処理はなかった(BachemからのMBP;カタログ番号H−1964.0001)。それぞれの評価時間について、DCCM1を試験し、比較すると、すなわち、2時間はDCCM1で2時間、4時間=4時間などを表し、各時点について代表的な対照として役立った。
【0115】
表2は、示された刺激後、2、4、6、および24時間でLN細胞中で検出されたマウスIL−2 mRNAレベルを示す。DCCM1陰性対照と比較したmIL−2 mRNA発現の約5.3倍〜約20.8倍の増加が、これらの時点で観察され、最大の増加は6時間で観察された。24時間までに、増加は2時間で観察されたものよりも下まで低下した。
【0116】
【表4】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.);SD=標準偏差;NA=適用せず(n<3)。
【0117】
表3は、示された刺激後、2、4、6および24時間でLN細胞中で検出されたマウスIL−4 mRNAレベルを示す。DCCM1対照と比較したmIL−4 mRNA発現の約10倍〜約16.5倍の増加が、これらの時点で観察され、最大の増加は刺激後6時間で観察された。
【0118】
【表5】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.);SD=標準偏差;NA=適用せず(n<3)。
【0119】
表4は、示された刺激後、2、4、6および24時間でLN細胞中で検出されたマウスIL−5 mRNAレベルを示す。DCCM1対照と比較したmIL−5 mRNA発現の約1.6倍〜約5.1倍の増加が、これらの時点で観察され、最大の増加は刺激後6時間で観察された。24時間までに、増加は2時間で観察されたものの1.9近くにまで低下した。
【0120】
【表6】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.);SD=標準偏差;NA=適用せず(n<3)。
【0121】
表5は、示された刺激後、2、4、6および24時間でLN細胞中で検出されたマウスIFN−γ mRNAレベルを示す。DCCM1対照と比較したIFN−γ発現の約1.3倍〜約4.6倍の増加が、これらの時点で観察された。6時間で、増加の規模は安定することが観察された。
【0122】
時間経過試験中の試料から単離した全RNAを用いて、mIL−10およびmTNF−αに由来するmRNA発現のレベルも測定した。結果は、GAを用いる刺激後、LN細胞中のmRNAレベルの有意な増加を示さなかった(データは示さず)。刺激後6時間および24時間の両方でのモック処理対照(DCCM1)LN細胞中のものと比較した、GAで処理されたLN細胞中のmRNAレベルの倍数変化は、約1以下であった。
【0123】
【表7】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.);SD=標準偏差;NA=適用せず(n<3)。
【0124】
実験1について用いられたのと同様の条件下で実行された、実験2(2A群マウスを用いる;設計については表1を参照されたい)において、46穴および98穴プレート形式を比較した(データは示さず)。mIL−2およびmIL−4 mRNAのレベルを、GA(10μg/ml)、MBP(10μg/ml)、およびConA(2.5μg/ml)を用いる刺激後4時間および6時間の両方で、46穴プレート形式(RNeasy Mini Kit、Qiagen)、および98穴プレート形式(SV96 Total RNA Isolation System、Promega)中で測定し、DCCM1対照と比較した。GAで処理された試料中、4時間でのIL−2発現は、それぞれ、48穴形式で対照の16.3倍、および96穴形式で29.5倍で観察され、6時間では、それぞれ、48穴形式で対照の21.0倍、および96穴形式で41.7倍であった。GAで処理された試料中、4時間でのIL−4発現は、それぞれ、48穴形式で対照の8.5倍、および96穴形式で8.0倍で観察され、6時間では、それぞれ、48穴形式で対照の14.0倍、および96穴形式で16.5倍であった。
【0125】
実験3(3A群および4A群のマウス;設計については表1を参照されたい)において、様々な濃度のGAで刺激したLN細胞中で、mIL−2 mRNAを測定した。表6は、実験3の結果を示す。この試験は、第2のロットのGA、Cop(Copaxone、Teva Pharmaceuticals USA,Inc.、発売された製品)で刺激した試料を含んでいた。Cop試料セットにより、サイトカイン生成に対する、異なるロットのGAで免疫化および刺激する効果の比較が可能になった。
【0126】
【表8】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.);SD=標準偏差。
*免疫されていない動物
【0127】
表6は、示された刺激後6時間でLN細胞中で検出されたmIL−2 mRNAレベルを示す。前述のように、1)マウスサイトカインアンプリコンのレベルを、同じ試料に由来するGAPDHのための内部プローブに対して正規化すること、および2)サイトカインのmRNA発現レベルを、DCCM1対照のGA刺激に応答して観察されたレベルで除算することにより、対照に対する倍数変化を算出した。実験3については、96穴プレート形式を使用し、RNA単離を、SV96 Total RNA Isolation System(Promega)を用いて実行した。3A群および4A群の免疫化を、表1に記載する。
図1Aおよび
図1Bは、実験3で検出されたmIL−2 mRNAの発現レベルを比較するグラフである(表6に記載)。mIL−2 mRNAを、CopおよびGA(Mylan GMA)により同等に刺激した。Y軸:mIL−2の線形mRNA倍数変化。X軸:log CopおよびGA(Mylan GMA)濃度値。データセットに関する最良適合を、対数モデルを用いて実施した。全濃度を用いて回帰を実施した場合、勾配値はそれぞれ、GA(Mylan GMA)について6.779、およびCop処理された試料について5.6834であった。5つの濃度(1〜15μg/mL)を用いて回帰を実施した場合、勾配値はそれぞれ、GA(Mylan GMA)について6.214、およびCop処理された試料について5.962であった。
図1Aおよび
図1B中のグラフは、第1のロットのGAを免疫化のために用いた場合、第1のロットまたは第2のロットのGAのいずれかの濃度を増加させることにより、処理された細胞からのIL−2 mRNAが、刺激と共に用量依存的様式で増加したことを示す。
【0128】
他の実験により、処理された細胞に由来する分泌IL−2が、第1のロットのGA(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.)および第2のロットのGA(Copaxone、Teva Pharmaceuticals USA,Inc.)の濃度の増加と共に用量依存的様式で増加することが示された(データは示さず)。この用量依存的応答は、Copaxone(登録商標)またはMylan GMAを免疫化抗原として用いたかどうかに関係なく、試験化合物と参照化合物の両方について一致していた。
【0129】
第2のシリーズの実験において、10μg/mLのGAで刺激した後、4時間および6時間で、LN細胞中でのmIL−2、mIL−4、mIL−5、mIL−10およびmIFN−γ mRNAの発現を評価した。この結果は、GAで免疫化したマウスに由来するLN細胞のGA刺激が、サイトカインmRNAレベルの特異的増加を引き起こすことを示している。実験設計を表7に示す。
【0130】
【表9】
NA=適用せず;GA=酢酸グラチラマー;MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照)
【0131】
1B群の動物は、250μgのGAおよびCFA、またはマンニトールおよびCFA(陰性対照として)のいずれかで足蹠注射により免疫化したメスの(SJL/JxBALB/C)F1ハイブリッド(Jackson Laboratory)マウスであった。用量溶液を、希釈されたGA溶液(5mg/mL)およびCFA(1:1)を混合することにより調製した。それぞれのマウスは、1mL(250μgのGA)の全注射容量を受容した。動物を、0日目に免疫化した。免疫化した動物を、免疫化後10日目に頸椎脱臼により犠牲にした。免疫化したマウスに由来するリンパ節を取り出し、単離した。LN細胞(2.5x10
6細胞/cm
2)を、GAを用いる刺激のために48穴組織培養プレートのウェル中に播種した。
【0132】
全RNAを、RNeasy Mini Kit(Qiagen、Cat.#74104)を用いて、処理された細胞から単離した。細胞をRNA溶解バッファー中で溶解し、Qiagenスピンカラムに移し、洗浄し、DEPC処理された水を用いてカラムからRNAを溶出させた。High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems、Cat.#4368814)を用いて、それぞれのRNA試料からcDNAを合成した。TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems、Cat.#4304437)ならびに標的サイトカインおよび参照内部対照のための特異的プライマー/プローブを用いて、PCR反応を実行した。
【0133】
リアルタイムPCRシステム(7500、Applied Biosytems)を用いて、サイトカインmRNAの発現を4時間および6時間後に定量的に分析した。
【0134】
表8〜12は、1B群のマウスのために用いられた刺激(表7に記載)、および得られたmRNA発現の結果を示す。1)マウスサイトカインアンプリコンのレベルを、同じ試料に由来する18S RNAまたはGAPDH mRNAのための内部プローブに対して正規化すること、および2)サイトカインのmRNA発現レベルを、同じハウスキーピング遺伝子mRNAに対して正規化されたDCCM1(培養培地)対照に応答して観察されたレベルで除算することにより、各サイトカインに関する、対照に対する倍数変化を算出した。
【0135】
表8は、示された刺激後4時間および6時間でLN細胞中で検出されたmIL−2 mRNAレベルを示す。GAで免疫化したマウス(1B群)に由来するGA刺激細胞中のmIL−2 mRNAレベルは、これらの時点でDCCM−1で刺激した対照と比較して少なくとも10倍増加した。GA刺激は、マンニトール+CFAで免疫化した対照マウス(2B群)に由来する細胞中で検出されたmIL−2 mRNAの実質的な増加をもたらさなかった。さらに、mIL−2 mRNAの発現は、ConA陽性対照細胞中では実質的に増加したが、MBP陰性対照細胞中では増加しなかった。mIL−2 mRNA発現のより大きな増加が、6時間よりも4時間においてGA刺激細胞中で観察された。内部対照(参照遺伝子)は18S rRNAであった。
【0136】
【表10】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー;SD=標準偏差;NA=適用せず(n<3)。
【0137】
表9は、示された刺激後4時間および6時間でLN細胞中で検出されたmIL−4 mRNAレベルを示す。GAで免疫化したマウス(1B群)に由来するGA刺激細胞中のmIL−4 mRNAレベルは、これらの時点でDCCM−1で刺激した対照と比較して少なくとも8倍増加した。GA刺激は、マンニトール+CFAで免疫化した対照マウス(2B群)に由来する細胞中で検出されたmIL−4 mRNAの実質的な増加をもたらさなかった。さらに、mIL−4 mRNAの発現は、ConA陽性対照細胞中では実質的に増加したが、MBP陰性対照細胞中では増加しなかった。内部対照(参照遺伝子)は18S rRNAであった。
【0138】
【表11】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー;SD=標準偏差;NA=適用せず(n<3)。
【0139】
表10は、示された刺激後4時間および6時間でLN細胞中で検出されたmIL−5 mRNAレベルを示す。GAで免疫化したマウス(1B群)に由来するGA刺激細胞中のmIL−5 mRNAレベルは、これらの時点でDCCM−1で刺激した対照と比較して少なくとも4倍増加した。GA刺激は、マンニトール+CFAで免疫化した対照マウス(2B群)に由来する細胞中で検出されたmIL−5 mRNAの実質的な増加をもたらさなかった。さらに、mIL−5 mRNAの発現は、ConA陽性対照細胞中では実質的に増加したが、MBP陰性対照細胞中では増加しなかった。この実験におけるデータは、参照遺伝子に対して正規化しなかった。
【0140】
【表12】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー;SD=標準偏差;NA=適用せず(n<3)。
【0141】
表11は、示された刺激後4時間および6時間でLN細胞中で検出されたmIL−10 mRNAレベルを示す。GAで免疫化したマウス(1B群)に由来するGA刺激細胞中のmIL−10 mRNAレベルは、これらの時点でDCCM−1で刺激した対照と比較して実質的に増加しなかった。内部対照(参照遺伝子)はGAPDHであった。
【0142】
【表13】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー;SD=標準偏差;NA=適用せず(n<3)。
【0143】
表12は、示された刺激後4時間および6時間でLN細胞中で検出されたmIFN−γ mRNAレベルを示す。GAで免疫化したマウス(1B群)に由来するGA刺激細胞中のmIFN−γ mRNAレベルは、これらの時点でDCCM−1で刺激した対照と比較して少なくとも約2倍および約7倍も増加した。GA刺激は、マンニトール+CFAで免疫化した対照マウス(2B群)に由来する細胞中で検出されたmIFN−γ mRNAの実質的な増加をもたらさなかった。さらに、mIFN−γ mRNAの発現は、ConA陽性対照細胞中では増加したが、MBP陰性対照細胞中では増加しなかった。内部対照(参照遺伝子)はGAPDHであった。
【0144】
【表14】
省略:MBP=ミエリン塩基性タンパク質(陰性対照);ConA=コンカナバリンA(陽性対照);GA=酢酸グラチラマー;SD=標準偏差;NA=適用せず(n<3)。
【0145】
図2は、表8〜12に提示されたサイトカインmRNA発現の増加の概要を提供する。
【0146】
実施例II.酢酸グラチラマーを用いる刺激後の3つの系統のマウスに由来するT細胞によるサイトカインの分泌
本実施例は、GA効力アッセイのためのGA特異的T細胞の取得における使用のための3つのさらなるマウス系統を評価するために実施された実験を記載する。エクスビボでのGA刺激に応答する、CD−1、BALB/cByJ、およびC57BL/10Jマウスから単離したGA特異的T細胞による、9つのサイトカイン(IL−1β、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−12、IFN−γ、TNF−α、およびCXCL1、KCとも呼ばれる)の分泌の動力学を、同時に試験した。足底内注射により免疫化したLN細胞および下肢注射により免疫化した細胞中でサイトカイン分泌を比較した。
【0147】
表13は、実験設計を示す。
【0148】
【表15】
省略:GA=酢酸グラチラマー;CFA=完全Freundアジュバント (1 mg/ml)
【0149】
メスのCD−1、BALB/cByJおよびC57BL/10Jマウス(各14匹、それぞれ、Hilltop Laboratories、Jackson Laboratory、およびJackson Laboratoryから)を、表13に示したように、GA(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.、DPBS中で調製)またはマンニトール対照で、足底内または下肢注射により免疫化した。8週齢の動物を、27−G、1/2インチ針を有する1mL注射筒を用いて、4つの足蹠中への注射により免疫化した。足底内注射のために、各マウスは、0.1mLの全注射容量を受容した(それぞれの前足蹠中に約10μLおよびそれぞれの後足蹠中に40μL)。下肢への皮下注射のために、各マウスは、0.1mLの全注射容量を受容した(それぞれの前下肢中に約25μLおよびそれぞれの下肢の膝に25μL)。
【0150】
免疫化の10日後、免疫化した動物を頸椎脱臼により犠牲にした。免疫化したマウスに由来する腋下および腋窩領域中のリンパ節を、5mLの氷冷滅菌RPMI−1640培地を含有するペトリ皿に群毎に除去およびプールした。無傷のリンパ節を5.0mLの氷冷滅菌RPMI1640培地中で3回洗浄した。滅菌注射筒のプランジャ端部を用いてLNを圧迫することにより、LN細胞を単離した。細胞懸濁液を最初に100μmナイロン細胞ストレーナーに通過させた後、40mLの氷冷RPMI−1640培地で1回洗浄した。4℃で10分間、約200xgで遠心分離した後、細胞計数のために細胞ペレットを40mLのRPMI−1640培地中に再懸濁した。トリパンブルー色素排除法を用いて、懸濁液中の生細胞の細胞密度を決定した。細胞計数後、LN細胞を4℃で10分間、約200xgで遠心分離し、DCCM−1富化培地(DCCM−1培地中の2mM GlutaMax、1x抗生物質−抗真菌剤、55μM 2−メルカプトエタノール、1mM MEMピルビン酸ナトリウム溶液、および100μM MEM非必須アミノ酸溶液、Beit Haemek Ltd.、カタログ番号05 010 1A)中に、1.0x10
7細胞/mLの細胞密度で再懸濁した。LN細胞を、薬物刺激のために24穴組織培養プレート中に播種した。
【0151】
GAで免疫化した一次LN細胞(0.5mL、5x10
6細胞/ウェル)の各群(1、2、3、5、7および8群)を、4つの濃度のGA溶液(免疫化に用いられたMylan GMAの同じバッチ、0.5mL、最終濃度0.5、1.0、2.5および10μg/mL)で刺激した。マンニトールで免疫化した動物に由来するLN細胞の各群(3、6および9群)を、同じ手順を用いて2つのGA希釈試料(0.5および1.0μg/mL、または2.5および10μg/mLのGA)で処理した。
【0152】
加湿された5%CO
2インキュベータ中、37℃で21時間インキュベートした後、培養培地を指定の時点で収獲した。細胞破片を、4℃で10分間、約200xgで遠心分離することにより除去した。処理された細胞により分泌されたサイトカインを、Th1サイトカイン(IFN−γ、IL−2、IL−12、IL−1β、TNF−α、CXCL1)およびTh2サイトカイン(IL−4、IL−5およびIL−10)を検出するマウスTH1/TH2 9−Plex Tissue Culture Kit(Meso Scale Discovery;カタログ番号K15013B−2、ロット番号K0032839)を用いるELISAにより回収日に決定した。IFN−γについては、培養培地も、マウスIFN−γ Tissue Culture Kit(Meso Scale Discovery;カタログ番号K152AEB−2、ロット番号K0033074)を用いて45時間でアッセイした。
【0153】
陽性対照としての非特異的T細胞刺激因子であるコンカナバリンA(ConA)、および陰性対照としての、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)によるLN細胞の刺激を含めて、アッセイ性能をモニタリングするために対照試料を調製した。陽性対照については、0.5mLのLN細胞(5x10
6細胞/ウェル)を、0.5mLのConA(5μg/mL)で処理した。陰性対照については、0.5mLのLN細胞(5x10
6細胞/ウェル)を、0.5mLのMBP(20μg/mL)で処理した。モック刺激(DCCM1富化培地)したLN細胞を用いて、サイトカインのバックグラウンドレベルをモニタリングした。
【0154】
サイトカインアッセイのために、較正標準または試料を、MULTI−SPOTまたはSINGLE−SPOTプレート中でインキュベートしたところ、各サイトカインはその対応する捕捉抗体に結合した。全被験試料について2回行った。その異なるスポット上の各サイトカインの量を、MSD SULFO−TAG(商標)試薬で標識されたサイトカイン特異的検出抗体を用いて定量化した。各ウェルに由来する各スポット上の固定されたSULFO−TAG(商標)標識複合体からの電気化学発光シグナルを、被験試料中の捕捉されたサイトカインの量に直接比例するシグナルを生成する、MSD SECTOR Imager 6000により捕捉した。被験試料中のサイトカインのレベルを、MSDキットと共に提供される試薬を用いて既知の濃度の較正標準を有する較正曲線からの内挿により誘導した。キットを、製造業者のプロトコールに従って用いた。
【0155】
表14は、試験した3つのマウス系統のそれぞれに由来するGAで刺激したLN細胞により分泌されたサイトカインを示す。データを、処理された細胞培地中のサイトカイン濃度と、対照DCCM1培地との応答比として表す。
【0156】
【表16】
【0157】
【数1】
【0158】
表14に示されるように、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10およびIFN−γの分泌は、GA刺激にとって特異的であると考えられ、GA濃度と共に用量依存的増加を示した。これらのサイトカインのレベルは、GAで免疫化した動物に由来するGA刺激LN細胞において、刺激しない場合の同細胞におけるものよりも高かった。さらに、GA処理した細胞中のサイトカインの分泌は、マンニトールで免疫化した対照動物から単離した細胞中では観察されなかった。
【0159】
GA刺激に応答してIL−2、IL−4、IL−5およびIL−10(4〜6群)を分泌したBALB/cByJマウスに由来するLN細胞は、CD−1マウス(1〜3群)に由来するLN細胞中での分泌と類似するか、またはそれよりも高かった。IFN−γ分泌はGA刺激の約21時間後ではBALB/cByJ細胞中よりもCD−1 LN細胞中でより高かったが、GAインキュベーションの45h後では2つの系統に由来するLN細胞間で類似していた。GA刺激後のIL−12、TNF−αおよびKC分泌の用量応答は、3つのマウス系統のいずれの由来する細胞についても検出されなかった。IL−1βの用量応答は、細胞を足底内注射によりプライミングした場合、BALB/cByJおよびCD−1マウス系統に由来するLN細胞中で検出された。
【0160】
IL−4は、BALB/cByJ細胞中、用量依存的様式でGAに応答して分泌された。GAに対する応答は、足底内注射によりプライミングされた細胞と下肢注射によりプライミングされた細胞において類似していた。
【0161】
IL−2は、3つのマウス系統のそれぞれに由来するLN細胞中、用量依存的様式でGAに応答して分泌された。最も高いIL−2応答は、BALB/cByJ細胞中で検出された。下肢GA注射によりプライミングされた動物に由来するBALB/cByJ細胞は、足底内注射によりプライミングされた細胞よりも高い応答を有すると考えられた。C57BL/10Jマウスにおいては、GA刺激に対するIL−2応答は、足底内注射によりプライミングされたLN細胞と下肢注射によりプライミングされた細胞において類似していた。
【0162】
IFN−γは、3つのマウス系統のそれぞれに由来するLN細胞中、用量依存的様式でGAに応答して分泌された。一般に、足底内GA注射によりプライミングされた細胞は、3つ全ての系統において下肢注射によりプライミングされた細胞と類似するか、またはそれより高い応答を有すると考えられた。
【0163】
IL−5は、BALB/cByJ細胞およびCD1細胞中、用量依存的様式でGAに応答して分泌された。GAに対するIL−5応答は用量依存的であり、下肢注射によりプライミングされた細胞よりも足底内注射によりプライミングされた細胞において高かった。
【0164】
IL−10は、BALB/cByJ細胞およびCD1細胞中、用量依存的様式でGAに応答して分泌された。GAに対するIL−10応答は用量依存的であり、下肢注射によりプライミングされた細胞よりも足底内注射によりプライミングされた細胞において高かった。
【0165】
実施例III.酢酸グラチラマーでチャレンジした後に、酢酸グラチラマーで免疫化したCD−1、BALB/cByJ、およびSJL/Jマウス系統に由来するリンパ節細胞中の応答バイオマーカーmRNAを測定する酢酸グラチラマー効力アッセイ
GAで免疫化したCD−1、BALB/cByJ、およびSJL/Jマウス系統(それぞれ、Hilltop Laboratory、Jackson Laboratory、およびJackson Laboratoryから)に由来するT細胞を、本発明のGA効力アッセイにおいて用いた。GAで免疫化したマウスから得たLN細胞は、刺激後6時間で、GA刺激に応答してサイトカインmRNAレベルの実質的な増加を示した。
【0166】
表15は、3つの系統のそれぞれの免疫化のための実験設計を示す。0日目に、マウスを250μgのGA(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.)およびCFAで免疫化した。GA溶液(20mg/mL)を、Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水を用いて5mg/mLに希釈した。投与製剤は、良好に乳化するまで混合された、等量の希釈されたGA溶液(5mg/mL)とCFA溶液とからなっていた。動物を計量し、群に割り当てた。動物に、4つの足蹠への注射により投与した。動物1匹あたりの注射容量は、0.1mL(それぞれの前足蹠に約10μL、およびそれぞれの後足蹠に40μL)であった。
【0167】
【表17】
省略:F=メス;GA=酢酸グラチラマー;CFA=完全Freundアジュバント
【0168】
表16は、免疫化したマウスに由来するLN細胞の刺激のための実験設計を示す。免疫化後10日目に、免疫化した動物を頸椎脱臼により安楽死させた。リンパ節細胞を動物から単離し、表16に示されるようにミエリン塩基性タンパク質(MBP、陰性対照)、コンカナバリンA(ConA、陽性対照)またはGAで処理した。腋下および腋窩領域中のリンパ節を、浄化クリーンベンチ中で無菌的に取り出した。リンパ節を、約5mLの滅菌RPMI1640培地を含有する滅菌ペトリ皿に移した。次いで、LNを約5mLのRPMI培地で3回洗浄し、注射筒プランジャを用いてLNを圧迫することにより単離した。細胞懸濁液を滅菌50mL円錐チューブに移し、約4℃で10分間、約200xgで遠心分離することにより約40mLのRPMI培地中で洗浄し、細胞計数のためにRPMI1640培地中に再懸濁した。細胞懸濁液を約4℃で10分間、約200xgで遠心分離し、氷冷DCCM−1富化培地中に再懸濁した。細胞を96穴組織培養プレート中に播種した。
【0169】
【表18】
【0170】
GAで免疫化した動物から単離したLN細胞を、表16および表17に示した濃度のGA(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.)で刺激した。LN細胞を2.5μg/mLのコンカナバリンA(ConA、非特異的T細胞刺激剤)で処理することにより、陽性対照を調製した。ミエリン塩基性タンパク質(MBP、10μg/mL)およびDCCM−1富化培地は、陰性対照として役立った。全群に由来する細胞をそれぞれ、同じGAロットで刺激した。それぞれの反応を3組設定した。
【0171】
加湿されたCO
2インキュベータ中、約37℃で6時間インキュベートした後、全RNA単離のために細胞を溶解した。製造業者のプロトコールに従ってSV96 Total RNA Isolation System(Promega、Cat.#Z3500)を用いて、処理されたLN細胞から全RNAを単離した。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄し、RNA溶解バッファー中に溶解した。溶解物をSV96結合プレートのウェルに移した。試料をRNA洗浄溶液で洗浄し、DNaseで処理した。全RNAを、結合プレートからヌクレアーゼ非含有水を用いて溶出させた。
【0172】
製造業者のプロトコール(Life Technologies)に従ってHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Life Technologies、以前のApplied Biosystems、Cat.#4368814)を用いて、それぞれのRNA試料からcDNAを3回合成した。逆転写(RT)を、Thermal Cycler(2720、Life Technologies)により、以下のように実施した。
【0173】
【表19】
【0174】
逆転写酵素反応が完了した後、cDNA試料をリアルタイムPCRのために直接用いて、刺激された細胞により生成される応答バイオマーカーmRNAレベルを測定した。応答バイオマーカーmRNAレベルを測定するために、Life Technologiesから入手したTaqMan Universal PCR Master Mix(Cat.#4304437)ならびにマウスサイトカインIL−2(Cat.#4331182;ID Mm00434256_m1)、IL−4(Cat.#4331182;ID Mm00445259_m1)、IL−5(Cat.#4331182;ID Mm00439646_m1)、IL−10(Cat.#4331182;ID Mm00439614_m1)、IL−13(Cat.#4331182;ID Mm00434204_m1)、IFN−γ(Cat.#4331182;ID Mm01168134_m1)およびTNF−α(Cat.#4331182;ID Mm00443260_g1)のためのプライマー/プローブを用いた。参照遺伝子(内部対照)であるマウスグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH、Cat.#4352339E)も、Life Technologiesから入手した。標的遺伝子のための全てのプローブは、FAM染料を含有し、内部対照のためのプローブはVIC(登録商標)/MGB染料を含有していた。試料を調製し、リアルタイムPCRシステム(7500、Life Technologies)を用いて96穴プレート中で実行した。このシステムは、PCR反応中に蛍光放出の増加を連続的に測定することにより、PCR生成物形成の直接的検出を可能にする。相対的定量法を用いて、未処理対照(DCCM−1富化培地処理)試料と比較した、GA処理した試料中のマウスIL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−13、IFN−γおよびTNF−α発現の変化を分析した。リアルタイムPCRプログラムは、以下の通りであった。
【0175】
【表20】
【0176】
マウスサイトカインアンプリコン(IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−13、mIFN−γおよびTNF−α)のレベルを、同じ試料に由来する内部プローブレベル(GAPDH)に対して正規化した。以下の式を用いて、対照試料と比較した、GA刺激に応答した相対的増加を算出した。
【0177】
ΔC
T=C
T_標的−C
T_参照
【0178】
ΔΔC
T=ΔC
T_処理−C
T_VC
【0179】
【数2】
【0180】
式中、
標的=マウスIL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−13、IFN−γおよびTNF−α
参照=GAPDH
処理=GA、ConAまたはMBPを用いる刺激
VC(媒体対照)=DCCM−1富化培地とのインキュベーションである。
【0181】
平均値の算出:
【0182】
【数3】
【0183】
標準偏差:
【0184】
【数4】
【0185】
式中、X=個々のデータであり、n=データ点の数である。
【0186】
変動係数(CV、精度):
【0187】
【数5】
【0188】
結果を、表17にまとめる。
【0189】
【表21】
【0190】
【数6】
【0191】
表17中のデータを、
図3〜
図13にグラフ化する。mRNAレベルに対するGA刺激濃度の用量依存的効果が、3つ全部のマウス系統に由来するLN細胞中で多くの応答バイオマーカーmRNAについて観察された。
【0192】
実施例IV.GAで免疫化したマウスに由来するリンパ節細胞中でのGAを用いる刺激後のサイトカインmRNAレベルの定量的測定のためのリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の検証
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を、GA刺激後のSJL/Jマウスリンパ節細胞中でのサイトカインのmRNAレベルの定量的測定のために検証した。
【0193】
1バッチのGA(Mylan GMA)を用いて、3つの実験を行った。37℃で6時間、6つの濃度(0.3〜20μg/mL)のGAと共にインキュベートすることにより、一次LN細胞を刺激した。全RNAを、GAまたは対照で刺激したLN細胞から単離した。cDNAをRNAから合成し、7つのマウスサイトカイン、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−13、インターフェロン(IFN)−γおよび腫瘍壊死因子(TNF)−αのmRNAレベルを、リアルタイムPCR法により定量的に測定した。
【0194】
5つのサイトカイン、IL−2、IL−4、IL−5、IL−13およびIFN−γを、GA刺激に応答するGAで免疫化したマウスに由来するLN細胞中、mRNAレベルで誘導した。mRNAのレベルは用量依存的様式で増加した。ConA刺激(陽性対照)後のIL−2のmRNAレベルの増加は、最も高い濃度のGA(20μg/mL)刺激により誘導された増加よりも大きかった。陰性対照MBPによるサイトカインのmRNAレベルの有意な誘導はなかった。NTC(鋳型なしの対照)試料の増幅は、検出可能レベルよりも下であった。表18は、実験設計を示す。
【0195】
【表22】
【0196】
8〜9週齢のメスのSJL/Jマウスを、27−G、1/2インチ針を有する1mL注射筒を用いて4つの足蹠への注射により免疫化した。それぞれのマウスは、CFA中で乳化された全注射容量0.1mLのGMAを受容した(それぞれの前足蹠に約10μLおよびそれぞれの後足蹠に40μL)。動物を、0日目に免疫化した。注射後、動物をそのケージに戻し入れ、ケージあたり6匹以下で飼育した。
【0197】
免疫化の後10日目に頸椎脱臼により免疫化した動物を犠牲にした。免疫化したマウスに由来する腋下および腋窩領域中のリンパ節を取り出し、プールし、5mLの氷冷滅菌RPMI−1640培地を含有する滅菌ペトリ皿に入れた。無傷のリンパ節を、5.0mLの滅菌RPMI1640培地中で3回洗浄し、滅菌注射筒プランジャを用いてLNを圧迫することにより、LN細胞を単離した。細胞懸濁液を最初に100μmのナイロン細胞ストレーナーに通過させた後、40mLの氷冷RPMI−1640培地で1回洗浄した。4℃で10分間、約200xgで遠心分離した後、2回目の洗浄のために細胞ペレットを40mLのRPMI−1640培地中に再懸濁した。4℃で10分間、約200xgで遠心分離した後、細胞計数のために細胞ペレットを40mLのDCCM−1培地中に再懸濁した。トリパンブルー色素排除法を用いて、懸濁液中の生細胞の細胞密度を決定した。細胞計数後、LN細胞を7.5x10
6細胞/mLの密度でDCCM−1富化培地中に懸濁した。LN細胞(0.12mL)を、96穴組織培養プレートの各ウェルに播種した。
【0198】
GA(Mylan GMA)の希釈液を、希釈剤としてDCCM−1富化培地を用いて調製した。GA希釈液(0.12mL)を、96穴組織培養プレートの割り当てられたウェルに添加した。免疫化した動物から単離した同量のLN細胞(0.12mL)を、割り当てられたウェルに添加した。LN細胞を、それぞれ、2.5μg/mLのConAおよび10μg/mLのMBPで処理することにより、同じアッセイ中で陽性対照と陰性対照を常時実施した。モック刺激プロトコール(DCCM−1富化培地)を用いるLN細胞を用いて、サイトカインのバックグラウンドmRNAレベルをモニタリングした。Mylan GAを用いる刺激を、表19にまとめる。プレートを、加湿された5%CO
2インキュベータ中、37℃で6hインキュベートした。
【0199】
【表23】
【0200】
インキュベーション時間の終わりに、刺激された細胞からの培養培地を吸引により除去し、細胞をQiagenまたはPromegaの溶解バッファーを用いて溶解した。溶解物を、RNAの単離およびcDNA合成のために、RNeasy Miniカラム(Qiagen)またはSV96 Binding Plate(Promega)のウェルに移した。全ての被験試料について3回行った。
【0201】
SV96 Total RNA Isolation System(Promega;カタログ番号Z3505)を、全RNA単離のために用いた。アッセイ手順を、それぞれの製造業者のプロトコールに従って実行した。RNA試料を、使用まで−70℃で保存した。High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Qiagen;カタログ番号4368814)を、cDNAの合成のために用いた。アッセイ手順を、製造業者のプロトコールに従って実行した。
【0202】
用いられたマウスサイトカインプライマー/プローブは、IL−2(Cat.#4331182;ID Mm00434256_m1)、IL−4(Cat.#4331182;ID Mm00445259_m1)、IL−5(Cat.#4331182;ID Mm00439646_m1)、IL−10(Cat.#4331182;ID Mm00439614_m1)、IL−13(Cat.#4331182;ID Mm00434204_m1)、IFN−γ(Cat.#4331182;ID Mm01168134_m1)およびTNF−α(Cat.#4331182;ID Mm00443260_g1)であった。参照遺伝子プライマー/プローブは、マウスGAPDHに関するものであった(Life Technologies、カタログ番号4352339E)。
【0203】
cDNA試料を、TaqMan Universal PCR Master Mix(Life Technologies Cat.#4304437)ならびに標的遺伝子プライマーおよびプローブを含有する割り当てられたウェルに、多チャネルピペットを用いてピペット注入した。プレートを4℃で2分間、2000rpmで遠心分離して、内容物を沈降させ、気泡を除去した。試料を、製造業者の推奨に従ってLife TechnologiesのリアルタイムPCRシステム(以前のApplied Biosystems;モデル番号7500)を用いて96穴プレート中で調製、実行した。参照遺伝子のための混合物を、参照遺伝子プライマーを用いて同じ方法で調製した。
【0204】
相対的定量法を用いて、以下のプログラムを用いた未処理対照(DCCM−1富化処理)試料と比較した、GA処理した試料中のmIL−2、mIL−4、mIL−5、mIL−10、mIL−13、mIFN−γおよびTNF−α発現の変化を分析した。
【0205】
【表24】
【0206】
マウスサイトカインアンプリコンのレベルを、同じ試料に由来する内部プローブレベル(GAPDH)に対して正規化した。以下の式を用いて、対照試料(DCCM1富化試料)と比較したGA刺激に応答した相対的増加を算出した。
【0207】
C
T_標的とC
T_参照の平均値の算出:
【0208】
ここで、標的:IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−13、IFN−γおよびTNF−αである。
【0209】
参照:GAPDH。
【0210】
【数7】
【0211】
各平均C
T値の標準偏差の算出:
【0212】
【数8】
【0213】
式中、SD
#=C
T_標的またはC
T_参照のSDであり、X=個々のデータであり、n=データ点の数である。
【0214】
平均C
T値からのΔC
T値の算出:
【0215】
ΔC
T=C
T_標的−C
T_参照。
【0216】
ΔC
T値の標準偏差の算出:
【0217】
SD
ΔCT=(SD
2標的+SD
2参照)
1/2。
【0218】
式中、Y
1/2はYの平方根であり、Y=SD
2標的+SD
2参照である。
【0219】
ΔΔC
T値の算出:
【0220】
ΔΔC
T=ΔC
T_処理−C
T_VC。
【0221】
式中、処理:GA、ConAまたはMBPと共にインキュベートした。
【0222】
VC(媒体対照):DCCM−1と共にインキュベートした。
【0223】
ΔΔC
T値の標準偏差の算出:
【0224】
ΔΔC
T値の標準偏差は、ΔC
T値の標準偏差と同じである。
【0225】
誘導倍数および誘導範囲の算出:
【0226】
【数9】
【0227】
誘導範囲=2
−A〜2
−B。
【0228】
式中、A=ΔΔC
T+SD
ΔΔCTであり、B=ΔΔC
T−SD
ΔΔCTである。
【0229】
算出(平均、SDおよび関連する算出)を、特定されない限り、完全浮動小数点算出を用いてMicrosoft Excel(登録商標)Version 2007スプレッドシート内で実施した。表中のいくつかの番号を表示のために丸で囲んだ。これらの算出に基づいて、平均法からの差異率を用いて、外れ値を決定した。平均からの差異率を、各反復C
T値から平均C
T値を減算した後、平均C
T値で除算し、100を乗算することにより算出した。パーセンテージが4.0%(絶対値)以上である場合、反復は外れ値であった。2つの反復のパーセンテージが4.0%以上であり、第3の反復の差異率が0.5%以上であった場合、最大の絶対値を外れ値と指定した。2つの反復のパーセンテージが4.0%以上であり、第3の反復が0.5%未満であった場合、全ての値を算出のために用いた。
【0230】
試料分析を、表20に示される分析実行において完了させた。
【0231】
【表25】
P:通過、F:失敗
a:失敗:陰性対照MBPが受け入れ基準を満たさなかったことに起因する
b:失敗:陽性対照ConAが受け入れ基準を満たさなかったことに起因する
c:以前に失敗したPCR実行のための反復PCR実行
【0232】
マウスIL−2、IL−4および参照遺伝子GAPDHに関する代表的な増幅プロットを作成した。それぞれの閾値を、増幅曲線の対数期において7500ソフトウェアv2.0.6により自動的に設定した。
【0233】
試験した全てのサイトカインに関して低レベルのmRNA発現が、モック刺激したLN細胞(DCCM−1と共にインキュベートした)中で検出された。IL−2、IL−4、IL−5、IL−13およびIFN−γのmRNAレベルは、DCCM−1対照と比較してGAで処理されたLN細胞中で増加し、その増加は用量依存的であり、飽和可能であった。IL−10およびTNF−αのmRNAレベルは弱く、またはSJL/Jマウスにおけるインビトロ(in vitro)でのGA刺激に応答して誘導されなかった。
【0234】
マウスIL−2 mRNA発現
マウスIL−2 mRNAは、3つ全ての実験においてGAで刺激したLN細胞中で誘導された。20μg/mLのGAを用いて刺激した後、IL−2 mRNAの誘導はそれぞれ、実験1において31.7倍、実験2において27.8倍、および実験3において42.0倍であった(表21)。
【0235】
【表26】
(リアルタイムPCRはG1R1_011613_P2、G2R1_012113_P2、G3R1_012313_P2を実行する)
【0236】
マウスIL−4 mRNA発現
マウスIL−4 mRNAは、3つ全ての実験においてGAで刺激したLN細胞中で誘導された。20μg/mLのGAで刺激した後のIL−4 mRNAの誘導はそれぞれ、実験1において41.3倍、実験2において11.8倍、および実験3において27.6倍であった(表22)。
【0237】
【表27】
(リアルタイムPCRはG1R1_011613_P2、G2R1_012113_P2、G3R1_012313_P2を実行する)
【0238】
マウスIL−5 mRNA発現
マウスIL−5 mRNAは、3つ全ての実験においてGAで刺激したLN細胞中で誘導された。20μg/mLのGAを用いる刺激後、それぞれ実験1において5.2倍、実験2において5.3倍、および実験3において15.2倍のIL−5 mRNAの誘導が観察された(表23)。
【0239】
【表28】
(リアルタイムPCRはG1R1_011713_P2、G2R3_012213_P2、G3R3_012313_P2を実行する)
【0240】
マウスIL−10 mRNA発現
マウスIL−10 mRNAの誘導は、全ての実験においてモック刺激した対照と比較してGAによる刺激に応答してLN細胞中で観察されなかった(表24)。
【0241】
【表29】
(リアルタイムPCRはG1R1_011713_P2、G2R3_012213_P2、G3R3_012313_P2を実行する)
【0242】
マウスIL−13 mRNA発現
マウスIL−13 mRNAは、3つ全ての実験においてGAで刺激したLN細胞中で誘導された。20μg/mLを用いる刺激後のIL−13 mRNAの誘導はそれぞれ、実験1について17.6倍、実験2において21.3倍、および実験3において33.9倍であった(表25)。
【0243】
【表30】
(リアルタイムPCRはG1R3_011713_P1、G2R2_012113_P1、G3R2_012313_P1を実行する)
【0244】
マウスIFN−γ mRNA発現
インビトロでのGA刺激に応答してLN細胞中でIFN−γ mRNAの弱い誘導が観察された。3つの実験に由来するLN細胞は、GA刺激に応答して類似するパターンを示した。IFN−γ mRNAの誘導は、2.5〜10μg/mLのGAによる刺激後に2倍以上に達した。しかしながら、20μg/mLのGAによる刺激後では、IFN−γ mRNAの発現レベルは、3つ全ての実験において0.3μg/mLのGA刺激による刺激後に観察されたものと同様のレベルにまで低下した(表26)。
【0245】
【表31】
(リアルタイムPCRはG1R3_011713_P1、G2R2_012113_P1、G3R2_012313_P1を実行する)
【0246】
マウスTNF−α mRNA発現
TNF−α mRNAの誘導は、モック刺激した対照と比較してGAによる刺激後のLN細胞中で観察されなかった(全て2倍未満)(表27)。
【0247】
【表32】
(リアルタイムPCRはG1R4_011813_P1、G2R4_012213_P1、G3R4_012313_P1を実行する)
【0248】
かくして、7つのサイトカインのうちの5つ、IL−2、IL−4、IL−5、IL−13およびIFN−γのmRNAレベルが、GA刺激に応答してLN細胞中で誘導された。IL−10およびTNF−α mRNAの発現は、有意に変化しなかった。NTC(鋳型なしの対照)試料の増幅は、全てのPCR実行について検出可能レベルより下であった。全群に由来するLN細胞を、ConAおよびMBPに対するその応答について試験した。ConAで処理されたLN細胞(2.5μg/mL)に由来する全サイトカインmRNAの発現レベルは、IL−10 mRNA(実験1、表24)およびTNF−α(実験3、表27)について以外は、最も高い濃度(20μg/mL)のGAによる刺激後の発現レベルよりも高かった。MBP処理に応答するサイトカインmRNAの発現レベルは、IL−4(実験1、表22)およびIL−5(実験3、表23)について以外は、全てのPCR実行において2倍以下であった。3つのPCR実行(ConAについてはIL−10、ならびにMBPについてはIL−4およびIL−5)を反復し、ConAまたはMBP処理に対する応答とは関係なく元の実行からの結果と比較して類似する結果が得られた(データは示さず)が、これは、結果とアッセイが一致していることを示唆していた。この試験からの結果は、3つの独立した実験に由来する試験したサイトカインについてユニークなサイトカイン誘導プロファイル(誘導性対非誘導性)および一貫した誘導規模(軽度から有意)を示したが、これは、リアルタイムPCR法がGA刺激後のGAで免疫化したマウスに由来するLN細胞中のサイトカインmRNAレベルの定量的測定にとって、再現性の高い方法であることを示している。
【0249】
結論
高感度定量的リアルタイムPCR法を、インビトロでのGA刺激後のGAで免疫化したマウスに由来するLN細胞中のサイトカインmRNAをプロファイリングし、定量化するために検証した。ハウスキーピング遺伝子としてGAPDHを用いる比較C
T法により、相対的定量分析を実行した。GAで免疫化したマウスのLN細胞の、様々な濃度のGAによる刺激は、刺激されていないLN細胞中のものと比較した結果、IL−10、TNF−αの誘導はなく、IFN−γを弱く誘導し、IL−5を中程度に誘導し、IL−2、IL−4およびIL−13 mRNAレベルを強固に誘導した。この結果は、この方法がGA刺激に応答したLN細胞中のサイトカインmRNA発現を測定するのに高感度であり、再現性が高く、効率的であることを示している。
【0250】
実施例V.リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を用いる試験GAおよび参照GAロットによる刺激後のマウスリンパ節細胞中のサイトカインmRNAレベルの定量的測定
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法を用いて、GAで免疫化したSJL/Jマウスに由来するGAで刺激したLN細胞中のサイトカインmRNAの発現を測定した。2つの異なるハウスキーピング遺伝子、GAPDHおよびβ−アクチンを用いる発現の正規化を試験した。
【0251】
各群は、4つ全ての足蹠に、250μgの全用量の1ロットのGA、またはマンニトールを注射する、およびGAを注射しないことにより免疫化した6匹のメスのSJL/Jマウスからなっていた。3つのCopaxoneバッチおよび3つのGMAバッチを用いて、マウスを免疫化した。CFAを、GAとマンニトールの両方の免疫化に含有させた。免疫化の10日後、免疫化したマウスから単離したLN細胞試料を、ある濃度のCopaxoneロットおよびGMAロットを用いてそれぞれ刺激した。2.5μg/mLのConAで処理されたLN細胞の陽性対照と、10μg/mLのMBPで処理された細胞の陰性対照とを、各群に含有させた。
【0252】
初回の実行においては、サイトカインmRNAレベルをGAPDH mRNAレベルに対して正規化した場合、再現性の欠如が観察された。従って、参照遺伝子としてGAPDHとβ−アクチンの両方を用いて、IL−2、IL−4、IL−5、およびIL−13のレベルを測定するQ−PCR分析を試料に対して反復した。反復された実行に関する実験設計を、表28に示す。
【0253】
【表33】
【0254】
RNA単離および分析手順は、実施例IVに記載のものと同様であった。観察されたマウスIL−2、IL−4、IL−5およびIL−13 mRNAの発現レベルを、以下の表29〜36にまとめる。表30、32、34および36中のデータに示されるように、IL−13以外の全てのサイトカインについて、サイトカインmRNAレベルをGAPDH mRNAに対して正規化した場合、再度、結果の再現性の欠如が観察された。しかしながら、β−アクチンを参照ハウスキーピング遺伝子として用いた場合、COPおよびGMAによる同等の刺激が、分析した各サイトカインmRNAについて観察された。
【0255】
【表34】
【0256】
【表35】
【0257】
【表36】
【0258】
【表37】
【0259】
【表38】
【0260】
【表39】
【0261】
【表40】
【0262】
【表41】
【0263】
結論
ハウスキーピング遺伝子としてのβ−アクチンの使用により、CopaxoneまたはGMAのいずれかで免疫化したマウスから得たリンパ節細胞を用いてCopaxoneのロットをGMAのロットと比較した場合に観察された、様々なサイトカインmRNAの再現性のある発現が得られた。これらの実験において、CopaxoneまたはGMAのいずれかによる、CopaxoneまたはGMAで免疫化した動物から得たマウスに由来するリンパ節細胞の刺激により、同等のレベルのIL−2、IL−4、IL−5、およびIL−13 mRNAが得られた。
【0264】
実施例VI.リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法における使用のためのコンカナバリンAにより刺激されたマウス脾臓細胞を用いる参照遺伝子の評価
リアルタイムPCRデータの正規化のための参照遺伝子を評価するために、8つの参照遺伝子、β−アクチン、Atp5b、B2m、Cyc1、Hprt、Gapdh、Ppia、およびRp113aのmRNA発現プロファイルを、非特異的T細胞刺激剤である異なる濃度のコンカナバリンA(ConA)で処理されたCD−1マウス脾臓細胞中で試験した。データを、NormFinderプログラムを用いて分析し、参照遺伝子をその安定性に従って順位付けた。
【0265】
試験した8つの参照遺伝子を表37に列挙し、増幅および検出のために用いられたプライマー/プローブを表38に示す。
【0266】
【表42】
【0267】
【表43】
【0268】
5mgの凍結乾燥粉末を5.0mLの滅菌1X DPBSで再構成することにより、1mg/mLのConAストック溶液(ConA−SS1)を調製した。40μLのConA−SS1(1mg/mL)を1.96mLのDMEM−10培地に添加することにより、ConA−SS1溶液を20μg/mL(ConA−SS2)にさらに希釈した。異なる濃度を有するConA希釈試料を調製した。96穴組織培養プレートについて、120μLの各ConA試料を、120μLの脾臓細胞と共にウェルに添加した。
【0269】
脾細胞を4匹のメスのCD−1マウス(8週齢)から取得し、組織培養培地DMEM−10中に懸濁した。トリパンブルー色素排除法を用いて、懸濁液中の生細胞の細胞密度を決定した。細胞計数後、脾臓細胞懸濁液を7.5x10
6細胞/mLの密度でDMEM−10培地中で調製した。ConA希釈試料(0.12mL)を、96穴組織培養プレートの割り当てられたウェル中に添加した。同量の調製された脾臓細胞(0.12mL)を、割り当てられたウェルに添加した。モック刺激(DMEM−10培地)した脾臓細胞を用いて、各遺伝子についてバックグラウンドmRNAレベルをモニタリングした。ConAによる刺激を、表39にまとめる。プレートを、加湿された5%CO
2インキュベータ中、37℃で6hインキュベートした。
【0270】
【表44】
【0271】
試験方法XBL12094M01[1]に従って刺激後6時間で、ConA処理された脾臓細胞から全RNAを単離した。簡単に述べると、インキュベーション時間の終わりに、処理された脾臓細胞をPBSで洗浄し、RNA溶解バッファーで溶解した。溶解物を96穴結合プレートに移し、SV96 Total RNA Isolation System(Promega;カタログ番号Z3505)を用いて全RNAを単離した。試料をRNA洗浄溶液で洗浄し、DNase溶液で処理した。DNase活性を停止させ、試料をRNA洗浄溶液で再度洗浄した後、RNA試料をヌクレアーゼ非含有水を用いて真空マニホールドシステムにより96穴プレートに溶出させた。RNA試料を約−70℃で保存した。
【0272】
PHA040−036およびPHA040−037について以前に記載したように、全RNAからcDNAを合成した。簡単に述べると、High Capacity cDNA Reverse Transcription Master Mixを調製し、96穴プレート中の割り当てられたウェルに分配した。RNA試料を各ウェルに移した。逆転写を、表40に記載のプログラムに従ってThermal Cycler(2720、Applied Biosystems)により実施した。
【0273】
【表45】
【0274】
逆転写反応が完了した後、cDNA試料をリアルタイムPCRに直接用いるか、または約−20℃で保存した。
【0275】
それぞれの参照遺伝子について特異的なプライマー/プローブを用いて、リアルタイムPCRを実施した。簡単に述べると、TaqMan Universal PCR Master Mix(Cat.#4304437)、cDNA試料および特定の参照遺伝子のためのプライマー/プローブを混合することにより、PCR試料を調製した。試料プレートを、リアルタイムPCRシステム(7500、Applied Biosystems)を用いて実施した。リアルタイムPCRのためのプログラムを、表41にまとめる。
【0276】
【表46】
【0277】
NormFinder Excelマクロは、線形尺度で提供されるデータを処理する。かくして、C
T値を最初に線形尺度に変換した。試料の最も低いC
T値を、参照遺伝子内で全試料にわたって同定し、1.0に任意に設定した。相対量(RQ)を、以下の式:
RQ=1/(2
(Ct_試料−Ct_min))
を用いて他の全ての試料について算出した。
【0278】
データを、Molecular Diagnostic Laboratoryのウェブサイトからの指示に従ってNormFinder分析において処理した。
【0279】
結果および考察
全部で8つの参照遺伝子の発現レベルを、リアルタイムPCRにより評価し、値をサイクル閾値(C
T)として直接報告した。C
Tは、蛍光が特定の検出閾値レベルに達するのに必要とされるサイクル数と定義され、試料中に存在する初期RNA鋳型の量に反比例する。
【0280】
ConA刺激に応答する脾臓細胞中での発現レベルに基づいて、これらの参照遺伝子を、豊富なクラス(22.8の平均C
T値を有するActB)、中程度に豊富なクラス(Atp5b、B2m、GAPDH、PpiaおよびRp113a)ならびに少量クラス(29を超える平均C
T値を有するCyc1およびHprt)に分割することができる(表42)。
【0281】
【表47】
【0282】
各参照遺伝子について、C
T値は、DMEM−10対照と比較して低濃度のConA(0.03〜0.1μg/mL)で処理した試料から相対的に一定のままであった。C
T値は、ConA濃度が増加するにつれて(0.3〜3μg/mL)低下すると考えられた。このパターンは、ConA刺激に応答して全ての参照遺伝子について観察された。C
T値の低下は、1および3μg/mLのConAで処理された試料中のGAPDH遺伝子についてわずかに小さかった。この結果により、参照遺伝子の発現が0.3μg/mLを超える濃度のConAで処理された試料において上方調節され得ることが示唆された。
【0283】
結論
データの分析により、以前の全実験において用いられたGAPDHと、非常に安定であると見なされたβ−アクチンの2つのハウスキーピング遺伝子の使用がデータを正規化するための合理的な選択肢であることが示唆された。
【0284】
実施例VII.3つの同一の実験における酢酸グラチラマー刺激後のマウスリンパ節細胞中のサイトカインのmRNAレベルの定量的測定のためのリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法の使用
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法を用いて、GAで免疫化したマウスに由来するGAで刺激したLN細胞中のIL−2、IL−4、IL−5、およびIL−13 mRNAの発現を測定した。3つの同一の実験を実行した。各実験において、マウスをGAで免疫化し、各群のマウスに由来するLN細胞を、免疫化のために用いられたそれぞれ6つの濃度の同バッチのGAを用いて刺激した。GAPDHおよびβ−アクチンを、参照遺伝子として用いた。
【0285】
実験設計を、表43に示す。3つの群はそれぞれ、約8〜12週齢の4匹のメスCSJLF1/JRj(Janvier Labs)マウスからなっていた。0日目に、マウスを、4つの足蹠への0.1mLの注射容量の注射(それぞれの前足蹠に約10μL、それぞれの後足蹠に40μL)により免疫化した。免疫化は、250μgの全用量の1ロットのGA(Copaxone、バッチP53974)+CFA(0.5mg/mL)を含有していた。免疫化後10日目に、リンパ細胞を動物から単離し、DCCM−1富化培地(モック刺激した媒体対照)、2.5μg/mLのコンカナバリンA(ConA、陽性対照)またはGAを用いて刺激した。
【0286】
免疫化の10日後に、免疫化したマウスから単離したLN細胞試料を、表43に示されるように、それぞれ0.3、1、2.5、5、10、または20μg/mLのCopaxoneバッチP53974を用いて刺激した。
【0287】
【表48】
【0288】
製造業者のプロトコール(Promega、Cat.#Z3500)に従ってSV96 Total RNA Isolation Systemを用いて、加湿されたCO
2インキュベータ中、約37℃で6時間のインキュベーション後、刺激されたLN細胞から全RNAを単離した。製造業者のプロトコールに従ってHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Life Technologies、以前のApplied Biosystems)を用いて、各RNA試料から3回、cDNAを合成した。以下のプログラムを用いてThermal Cycler(2720、Life Technologies)を用いて逆転写を実施した。
【0289】
【表49】
【0290】
サイトカインおよびハウスキーピング遺伝子のためのマウスプライマー/プローブを、以下の表44に列挙する(Life Technologies)。
【0291】
【表50】
【0292】
試料を、TaqMan Universal PCR Master Mix II(Life Technologies)を用いて調製し、リアルタイムPCRのために以下のプログラムを用いるリアルタイムPCRシステム(7500、Life Technologies)を用いて96穴プレート中で実行した。
【0293】
【表51】
【0294】
サイトカインmRNAのレベルを、標準的なΔΔC
T法を用いて以前に記載のように算出した。観察されたマウスIL−2、IL−4、IL−5およびIL−13 mRNAの発現レベルを、以下の表45〜48にまとめる。GAPDHおよびβ−アクチン遺伝子発現による正規化後のサイトカインmRNAレベルの増加倍数は同等であった。
【0295】
【表52】
【0296】
【表53】
【0297】
【表54】
【0298】
【表55】
【0299】
最も高いGA刺激濃度である20μg/mLを用いて刺激した試料中の3つの群に由来するmRNAレベルの誘導倍数を、表49にまとめる。
【0300】
【表56】
【0301】
結論
GAで免疫化したマウスから単離したリンパ節(LN)細胞中のマウスIL−2、IL−4、IL−5およびIL−13の発現レベルを、GAを用いて刺激したGAで免疫化したマウスLN細胞中で測定した。GAPDHおよびβ−アクチン遺伝子発現による正規化後のサイトカインmRNAレベルの増加倍数は同等であった。さらに、マウスサイトカインIL−2、IL−4、IL−5およびIL−13のmRNAの発現レベルは、GAで免疫化したマウスから単離したLN細胞中でGA刺激に応答して増加し、これらの増加は用量依存的であった。
【0302】
IL−2 mRNAの測定により、最も高い変動性が示されたが、GA刺激に応答したIL−4、IL−5、およびIL−13 mRNAの検出はこれらの実験においてより再現性が高かった。これらの結果は、GAで免疫化したマウスに由来するLN細胞中のGA刺激されたIL−4、IL−5、またはIL−13 mRNAの測定が、IL−2 mRNAの測定よりも再現性が高く、信頼性が高い評価方法を提供し得ることを示唆している。
【0303】
実施例VIII.リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法を用いる12ロットのGAによる刺激後のマウスLN細胞中でのサイトカインmRNA発現の比較
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法を用いて、12のGAロットの1つによる刺激後に、GAで免疫化したマウスに由来するLN細胞中でのIL−2、IL−4、IL−5、およびIL−13 mRNAの発現を測定した。1ロットのGA(Copaxone P53974)を、免疫化のために用いた。刺激のために用いられたGAロットは、8つのCopaxoneロット(P53974、X06511、X06841、X06861、X06941、X06741、X06901、P63020)、および4つのGMAロット(GMA/0.02/001/13、GMA/0.02/002/13、GMA/0.02/003/13、およびGMA/R&D/026/11)を含んでいた。実験設計を表50に示す。約8〜12週齢の20匹のメスのCSJLF1/JRjマウス(Janvier Labs)を、0日目に4つの足蹠に0.1mLの注射容量(それぞれの前足蹠に約10μL、それぞれの後足蹠に40μL)の注射により免疫化した。免疫化は、250μgの全用量の1ロットのGA(CopaxoneバッチP53974)+CFA(0.5mg/mL)を含んでいた。免疫化後10日目に、動物からリンパ節を単離し、表50に示されるように、DCCM−1富化培地(モック刺激した媒体対照)、2.5μg/mLのコンカナバリンA(ConA、陽性対照)または0.3、1、2.5、5、10、もしくは20μg/mLのCopaxoneバッチP53974を用いて刺激した。
【0304】
【表57】
【0305】
製造業者のプロトコール(Promega、Cat.#Z3500)に従ってSV96 Total RNA Isolation Systemを用いて、刺激されたLN細胞から全RNAを単離した。製造業者のプロトコールに従ってHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Life Technologies、以前のApplied Biosystems)を用いて、各RNA試料から3回、cDNAを合成した。逆転写を、以下のプログラムを用いてThermal Cycler(2720、Life Technologies)により実施した。
【0306】
【表58】
【0307】
用いたサイトカインおよびハウスキーピング遺伝子のためのマウスプライマー/プローブは、Life Technologiesからのものであった:β−アクチン(参照遺伝子、Cat.#Mm00607939_s1)、GAPDH(参照遺伝子、Cat.#Mm99999915_g1)、IL−2(標的遺伝子、Cat.#Mm00434256_m1)、IL−4(標的遺伝子、Cat.#Mm00445259_m1)、IL−5(標的遺伝子、Mm00439646_m1)、IL−13(標的遺伝子、Mm00434204_m1)、IL−17、およびCD25。
【0308】
TaqMan Universal PCR Master Mix II(Life Technologiesを用いて試料を調製し、以下のRT−PCRプログラムを用いるリアルタイムPCRシステム(7500、Life Technologies)を用いて96穴プレート中で実行した。
【0309】
【表59】
【0310】
サイトカインmRNAのレベルを、以前に記載した標準的なΔΔC
T法を用いて算出した。観察されたマウスIL−2、IL−4、IL−5、IL−13、IL−17、およびCD25 mRNAの発現レベルを、以下の表51〜71にまとめる。
【0311】
CopaxoneロットC1〜C8を用いて刺激した試料中のIL−2、IL−4、IL−5およびIL−13の発現レベル間の変動を観察した。MylanロットM1、M2およびM3の間で観察された変動は、Copaxoneの間で観察された変動よりも大きくなかった。しかしながら、GMAロットM4(合成の最初の5分間にわたってチロシンを抑制することにより作製された、変更したロットGMA/R&D/026/11)を用いて刺激したLN細胞は、有意により低いレベルのサイトカイン発現、および異なる誘導パターンを示した(表57、61、65、67および69)。
【0312】
IL−17は、4つのロットのCopaxoneおよび4つのロットのMylan GAを用いて刺激したLN細胞において濃度依存的誘導を示した(表68および69)。CD25(IL−2ra)mRNAの刺激が刺激の6時間後に採取された試料中で観察されたが、その規模は小さく、用量応答は明らかではなかった(表70および71)。β−アクチンにより正規化されたサイトカインmRNAの発現レベルは、GAPDHにより正規化されたものよりも低い変動性を示した。
【0313】
【表60】
【0314】
【表61】
【0315】
【表62】
【0316】
【表63】
【0317】
【表64】
【0318】
【表65】
【0319】
【表66】
【0320】
【表67】
【0321】
【表68】
【0322】
【表69】
【0323】
【表70】
【0324】
【表71】
【0325】
【表72】
【0326】
【表73】
【0327】
【表74】
【0328】
【表75】
【0329】
【表76】
【0330】
【表77】
【0331】
【表78】
【0332】
【表79】
【0333】
【表80】
【0334】
結論
GAで免疫化したマウスから単離したリンパ節(LN)細胞中のマウスIL−2、IL−4、IL−5、IL−13、IL−17、およびCD25の発現レベルを、インビトロでGAを用いて刺激した、GAで免疫化したマウスLN細胞中で測定した。変更したGMAの製造バッチを含む、12の異なるGAロットを、刺激のために用いた。Copaxone(登録商標)ロットC1〜C8を用いて刺激した試料中のIL−2、IL−4、IL−5およびIL−13の発現レベル間の変動を観察した。MylanロットM1、M2およびM3間で観察された変動は、Copaxone(登録商標)ロット間で観察された変動の規模の範囲内にあった。GMAロットM4(合成の最初の5分間にわたってチロシンを抑制することにより作製された、変更したロットGMA/R&D/026/11)を用いて刺激したLN細胞は、有意により低いレベルのサイトカイン発現、および異なる誘導パターンを示した。IL−17は、4つのロットのCopaxone(登録商標)および4つのロットのMylan GAを用いて刺激したLN細胞中で濃度依存的誘導を示した。
【0335】
実施例IX.酢酸グラチラマーを用いるチャレンジ後のGAで免疫化したCSJLF1/JRjマウスに由来するT細胞中の応答バイオマーカーmRNAのパネルを測定することによる酢酸グラチラマーの試験ロットの効力の決定
実施例IIIに記載したように、CSJLF1/JRjマウスを、250μgのGAの参照標準ロット(Copaxone、Teva Pharmaceuticals USA,Inc.)を用いてそれぞれ免疫化する。免疫化後10日目に、動物からリンパ節細胞を単離し、別々の試料を、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、陰性対照)、コンカナバリンA(ConA、陽性対照)、GAの試験ロット(GMA、Mylan Pharmaceuticals,Inc.、0.5μg/mL、1μg/mL、2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、および15μg/mL)ならびにGAの参照標準ロット(0.5μg/mL、1μg/mL、2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、および15μg/mL)を用いて刺激する。
【0336】
4時間および6時間後、各試料中の細胞を溶解し、全RNAを単離し、cDNAを合成し、以前に記載したリアルタイムPCRによりGA応答バイオマーカーmRNA IL−4、IL−5、IL−13、IL−17の量を測定する。GMAで免疫化したマウスに由来する細胞中で測定された各バイオマーカーmRNAの量を、Copaxoneで免疫化したマウス中で測定された量と比較して、相対効力を決定する。
【0337】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、そのような実施形態はほんの一例として提供されることが当業者には明らかであろう。当業者であれば、ここで、本発明から逸脱することなく、いくつかの変動、変化、および置換に気付くであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な変更を、本発明の実施において用いることができることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、これらの特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にある方法および構造がそれによって包含されることが意図される。