(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553019
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】広帯域可変掃引光源
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20190722BHJP
H01S 5/022 20060101ALI20190722BHJP
G01N 21/01 20060101ALI20190722BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20190722BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/022
G01N21/01 D
G01N21/17 630
A61B3/10 100
【請求項の数】47
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-503103(P2016-503103)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-513889(P2016-513889A)
(43)【公表日】2016年5月16日
(86)【国際出願番号】US2014029458
(87)【国際公開番号】WO2014144866
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月13日
(31)【優先権主張番号】61/793,730
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515256512
【氏名又は名称】プレビウム リサーチ インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】515256523
【氏名又は名称】ソーラボス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤラマン、ビジェイセカー
(72)【発明者】
【氏名】バーグナー、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、デミス
(72)【発明者】
【氏名】ハイム、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ケーブル、アレックス エズラ
【審査官】
百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−165723(JP,A)
【文献】
特開2011−086911(JP,A)
【文献】
特開2003−133639(JP,A)
【文献】
特開2009−283736(JP,A)
【文献】
特開平07−074431(JP,A)
【文献】
特開2007−013135(JP,A)
【文献】
特開平08−204289(JP,A)
【文献】
特開2005−210120(JP,A)
【文献】
特開2013−003583(JP,A)
【文献】
特開2005−266567(JP,A)
【文献】
米国特許第8263426(US,B2)
【文献】
特表2004−538621(JP,A)
【文献】
特開2004−172340(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0031221(US,A1)
【文献】
特表2001−511604(JP,A)
【文献】
特開2004−235532(JP,A)
【文献】
特開2011−258828(JP,A)
【文献】
特開平09−270567(JP,A)
【文献】
特表2013−504216(JP,A)
【文献】
特開2009−87956(JP,A)
【文献】
特開平3−84985(JP,A)
【文献】
特開2009−260093(JP,A)
【文献】
特開2009−302512(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/133234(WO,A1)
【文献】
国際公開第99/19689(WO,A1)
【文献】
Jayaraman 他,Rapidly swept, ultra-widely-tunable 1060 nm MEMS-VCSELs,Electronics Letters,2012年10月11日,Vol.48, No.21,第1,2頁
【文献】
Grulkowski 他,Rentinal, anterior segment and full eye imaging using ultrahigh speed swept source OCT with vertical-cavity surface emitting lasers,Biomedical Optics Express,2012年11月 1日,Vol.3, No.11,p.2733-2751
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
H01S 3/00−3/30
G02B 6/35
G02B 26/00−26/08
A61B 3/00−3/18
G01N 21/00−21/01
G02N 21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、
当該波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域(120)を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、
前記垂直キャビティレーザは、第1のミラー(130)を含む第1の部分(110)と、支持構造(185)を有する柔軟性のある膜(170)を含む機械構造に取り付けられた第2のミラー(140)を含む第2の部分(100)と、前記第2の部分(100)と前記第1の部分(110)との間に設けられた調節可能なエアギャップ(150)と、電子及びホールを前記利得領域に注入する第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、前記波長の調整範囲にわたって実質的に単一の縦方向及び横方向のモード動作をさせる第3の手段と、前記エアギャップ(150)に配置された粘性空気と、をさらに備え、
前記量子井戸の歪が1から1.8%までの範囲であるように、前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約20nm超だけ短く、
前記柔軟性のある膜(170)は、100MPaを超える引張り応力を生じ、
前記機械構造の周波数応答は、前記粘性空気の影響を受けてスクイーズフィルム減衰によって平坦化される、
波長可変光源。
【請求項2】
前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約50nm超だけ短い、
請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項3】
前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約70nm超だけ短い、
請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項4】
前記第1のミラーは、
Al(x1)Ga(1−x1)Asの第1の層とAl(x2)Ga(1−x2)Asの第2の層とを含む交互のスタックを備え、
x1及びx2は、0から1の範囲にある、
請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項5】
前記第1のミラーは、
アルミニウム及び酸素を含む第1の材料とAl(x)Ga(1−x)Asである第2の材料とを含む交互のスタックを備え、
xは、0から1の範囲にある、
請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項6】
約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、
当該波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有するVCL利得領域(120)を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、
前記垂直キャビティレーザは、第1のミラー(130)を含む第1の部分(110)と、支持構造(185)を有する柔軟性のある膜(170)を含む機械構造に取り付けられた第2のミラー(140)を含む第2の部分(100)と、前記第2の部分(100)と前記第1の部分(110)との間に設けられた調節可能なエアギャップ(150)と、電子及びホールを前記利得領域に注入する第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、前記波長の調整範囲にわたって実質的に単一の縦方向及び横方向のモード動作をさせる第3の手段と、前記エアギャップ(150)に配置された粘性空気と、をさらに備え、
当該波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む、少なくとも1つの半導体光増幅器(SOA)の量子井戸を備えるSOAをさらに備え、
前記少なくとも1つのSOAの量子井戸は、約1050nmから1085nmの範囲において室温フォトルミネッセンス波長を有し、
前記圧縮歪量子井戸の歪が1から1.8%までの範囲であるように、前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約20nm超だけ短く、
前記柔軟性のある膜(170)は、100MPaを超える引張り応力を生じ、
前記機械構造の周波数応答は、前記粘性空気の影響を受けてスクイーズフィルム減衰によって平坦化される、
波長可変光源。
【請求項7】
前記半導体光増幅器は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む厳密に1つの圧縮歪SOAの量子井戸を含む、
請求項6に記載の波長可変光源。
【請求項8】
前記少なくとも1つのSOAの量子井戸の厚さは、約5から10nmの範囲にある、
請求項6に記載の波長可変光源。
【請求項9】
前記半導体光増幅器は、少なくとも1つの引張歪の障壁を有する厳密に2つのSOAの量子井戸を含む、
請求項6に記載の波長可変光源。
【請求項10】
前記少なくとも1つのSOAの量子井戸は、2つの閉じ込められた量子状態を有する、
請求項6に記載の波長可変光源。
【請求項11】
前記半導体光増幅器の垂直ビームの発散は、半値全幅で約25°よりも小さい、
請求項6に記載の波長可変光源。
【請求項12】
前記第1のミラーは、
Al(x1)Ga(1−x1)Asの第1の層とAl(x2)Ga(1−x2)Asの第2の層とを含む交互のスタックを備え、
x1及びx2は、0から1の範囲にある、
請求項6に記載の波長可変光源。
【請求項13】
前記第1のミラーは、
アルミニウム及び酸素を含む第1の材料とAl(x)Ga(1−x)Asである第2の材料とを含む交互のスタックを備え、
xは、0から1の範囲にある、
請求項6に記載の波長可変光源。
【請求項14】
約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、
前記波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域(120)を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、
前記垂直キャビティレーザは、第1のミラー(130)を含む第1の部分(110)と、支持構造(185)を有する柔軟性のある膜(170)を含む機械構造に取り付けられた第2のミラー(140)を含む第2の部分(100)と、前記第2の部分(100)と前記第1の部分(110)との間に設けられた調節可能なエアギャップ(150)と、電子及びホールを前記利得領域に注入する第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、当該垂直キャビティレーザを取り囲む真空環境と、前記エアギャップ(150)に配置された粘性空気と、をさらに備え、
前記量子井戸の歪が1から1.8%までの範囲であるように、前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約20nm超だけ短く、
前記柔軟性のある膜(170)は、100MPaを超える引張り応力を生じ、
前記機械構造の周波数応答は、前記粘性空気の影響を受けてスクイーズフィルム減衰によって平坦化される、
波長可変光源。
【請求項15】
前記真空環境は、真空バタフライパッケージによって提供される、
請求項14に記載の波長可変光源。
【請求項16】
前記真空環境は、真空トランジスタアウトライン(TO)パッケージによって提供される、
請求項14に記載の波長可変光源。
【請求項17】
前記波長の範囲は、前記機械構造の機械的共振周波数で繰り返しスキャンされる、
請求項14に記載の波長可変光源。
【請求項18】
前記波長の範囲は、約10Vより低い最高電圧でカバーされる、
請求項14に記載の波長可変光源。
【請求項19】
約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、
前記波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域(120)を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、
前記垂直キャビティレーザは、第1のミラー(130)を含む第1の部分(110)と、支持構造(185)を有する柔軟性のある膜(170)を含む機械構造に取り付けられた第2のミラー(140)を含む第2の部分(100)と、前記第2の部分(100)と前記第1の部分(110)との間に設けられた調節可能なエアギャップ(150)と、電子及びホールを前記利得領域に電気的注入する手段であって、トンネル接合を含む、第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、前記波長の調整範囲にわたって実質的に単一の縦方向及び横方向のモード動作をさせる第3の手段と、前記エアギャップ(150)に配置された粘性空気と、をさらに備え、
前記量子井戸の歪が1から1.8%までの範囲であるように、前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約20nm超だけ短く、
前記柔軟性のある膜(170)は、100MPaを超える引張り応力を生じ、
前記機械構造の周波数応答は、前記粘性空気の影響を受けてスクイーズフィルム減衰によって平坦化される、
波長可変光源。
【請求項20】
開口部への電流の注入を抑制する第4の手段をさらに備える、
請求項19に記載の波長可変光源。
【請求項21】
前記第4の手段は、酸化開口部を備える、
請求項20に記載の波長可変光源。
【請求項22】
前記第4の手段は、埋込みトンネル接合を備える、
請求項20に記載の波長可変光源。
【請求項23】
電流が注入される前記開口部の上部にn型の電流拡散層をさらに備える、
請求項20に記載の波長可変光源。
【請求項24】
前記トンネル接合は、前記VCLのキャビティ内の定常波のプロファイルが最小であるように実質的に配置される、
請求項19に記載の波長可変光源。
【請求項25】
前記酸化開口部は、前記VCLの定常波のプロファイルが最小であるように実質的に配置される、
請求項21に記載の波長可変光源。
【請求項26】
前記第1のミラーは、
Al(x1)Ga(1−x1)Asの第1の層とAl(x2)Ga(1−x2)Asの第2の層とを含む交互のスタックを備え、
x1及びx2は、0から1の範囲にある、
請求項19に記載の波長可変光源。
【請求項27】
前記第1のミラーは、
アルミニウム及び酸素を含む第1の材料とAl(x)Ga(1−x)Asである第2の材料とを含む交互のスタックを備え、
xは、0から1の範囲にある、
請求項19に記載の波長可変光源。
【請求項28】
電荷がアルミニウム及び酸素を含む少なくとも1つの絶縁層の周囲を移動し、基板のコンタクトに至る、
請求項19に記載の波長可変光源。
【請求項29】
インジウム、ガリウム及びヒ素を含む厳密に3つの圧縮歪量子井戸と、
ガリウム、ヒ素及びリンを含む少なくとも1つの引張歪障壁と、
を備える、
請求項19に記載の波長可変光源。
【請求項30】
前記波長可変放射が第1の波長反復周波数及び第1の反復周期で時間と共に周期的な波長の変化をするように、前記VCLは前記エアギャップを周期的に調整する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源であって、
少なくとも1つの前記波長可変放射の時間的に遅延した複製を生成する少なくとも1つの光学的遅延線と、
多重化された波長掃引放射を生成するためにすべての前記時間的に遅延した複製を組み合わせて1つの共通の光路にするコンバイナと、
前記第1の反復周期の時間的ウインドウの間、前記VCLをオフにする第5の手段と、
をさらに備え、
前記多重化された波長掃引放射は前記第1の波長反復周波数の整数倍である第2の波長反復周波数を有する、
請求項1に記載の波長可変光源。
【請求項31】
前記第5の手段は電気的にポンピングされるVCLにおいて駆動電流を変化させることを備える、
請求項30に記載の波長可変光源。
【請求項32】
少なくとも1つの請求項1に記載の波長可変光源であって、前記波長可変放射が前記波長の範囲にわたって繰り返し調整されるように、前記VCLは、前記エアギャップを周期的に調節する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源と、
前記波長可変放射をサンプル及び基準光路に分割するスプリッタと、
前記サンプルからの反射と前記基準光路を横切る光との間の干渉信号を検出する光検出器と、
前記干渉信号からイメージを構成する信号処理システムと、
を備える、光コヒーレンストモグラフィのためのシステム。
【請求項33】
前記サンプルは、生体内のヒトの眼である、
請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記イメージは、前眼部及び網膜の両方の部分を含む、
請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
波長掃引放射の動的コヒーレンス長は、100mmを超える、
請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
少なくとも1つの請求項6に記載の波長可変光源であって、前記波長可変放射が前記波長の範囲にわたって繰り返し調整されるように、前記VCLは、前記エアギャップを周期的に調節する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源と、
前記波長可変放射をサンプル及び基準光路に分割するスプリッタと、
前記サンプルからの反射と前記基準光路を横切る光との間の干渉信号を検出する光検出器と、
前記干渉信号からイメージを構成する信号処理システムと、
を備える、光コヒーレンストモグラフィのためのシステム。
【請求項37】
前記サンプルは、生体内のヒトの眼である、
請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記イメージは、前眼部及び網膜の両方の部分を含む、
請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
波長掃引放射の動的コヒーレンス長は、100mmを超える、
請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
少なくとも1つの請求項14に記載の波長可変光源であって、前記波長可変放射が前記波長の範囲にわたって繰り返し調整されるように、前記VCLは、前記エアギャップを周期的に調節する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源と、
前記波長可変放射をサンプル及び基準光路に分割するスプリッタと、
前記サンプルからの反射と前記基準光路を横切る光との間の干渉信号を検出する光検出器と、
前記干渉信号からイメージを構成する信号処理システムと、
を備える、光コヒーレンストモグラフィのためのシステム。
【請求項41】
前記サンプルは、生体内のヒトの眼である、
請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記イメージは、前眼部及び網膜の両方の部分を含む、
請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
波長掃引放射の動的コヒーレンス長は、100mmを超える、
請求項40に記載のシステム。
【請求項44】
少なくとも1つの請求項19に記載の波長可変光源であって、前記波長可変放射が前記波長の範囲にわたって繰り返し調整されるように、前記VCLは、前記エアギャップを周期的に調節する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源と、
前記波長可変放射をサンプル及び基準光路に分割するスプリッタと、
前記サンプルからの反射と前記基準光路を横切る光との間の干渉信号を検出する光検出器と、
前記干渉信号からイメージを構成する信号処理システムと、
を備える、光コヒーレンストモグラフィのためのシステム。
【請求項45】
前記サンプルは、生体内のヒトの眼である、
請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記イメージは、前眼部及び網膜の両方の部分を含む、
請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
波長掃引放射の動的コヒーレンス長は、100mmを超える、
請求項44に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、現在係属中である、2013年3月15日にされた米国仮特許出願第61/793730号の優先権を主張する。米国仮特許出願第61/793730号の開示事項は、ここで参照によって取り込まれる。
【0002】
(連邦によって支援された研究又は開発に関する宣言)
本発明は、国立衛生研究所の助成第R44CA101067号及び第R44EY022864号によりなされた。米国政府は本発明に関し、一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、一般的に光コヒーレンストモグラフィ及び可変レーザに関する。
【背景技術】
【0004】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、サンプルの表面下のそのサンプルの高解像度の深度プロファイリングのための技術である。近年では、掃引光源光コヒーレンストモグラフィ(SSOCT)システムが優れたイメージング速度、イメージング範囲及び画像品質を実証してきている。SSOCTシステムの重要な技術要素は波長掃引レーザ源である。MEMS可変垂直キャビティレーザ(MEMS−VCL)は、例えば、非特許文献1に記述されているように、1300nm及び1050nmにおいてSS−OCTの重要な波長掃引光源であると証明された。SS−OCTシステムが商業的に実現可能であるためには、1050nmのVCLに基づく掃引光源が、広い調整範囲にわたって縦方向、横方向、及び偏光の、実質的に単一モード動作を提供し、数百kHzで数千億サイクルにわたり掃引されなければならない。そして、掃引光源は、SSOCTイメージングに十分な出力強度を提供し、且つ、製造可能で長期間信頼可能でなければならない。
【0005】
前述した事項から、1050nmで動作するMEMS−VCLが調整範囲、速度、コヒーレンス長及び出力強度のSS−OCTシステムの必要条件を満たし、且つ、製造可能で長期間信頼可能であることの両方が必要とされることは明らかである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】I. Grulkowski、 J Liu、 B. Potsaid、 V. Jayaraman、 C.D. Lu、 J. Jiang、 A.E. Cable、 J.S. Duker及びJ.G. Fujimoto著 「Retinal, anterior segment,and full−eye imaging using ultra−high speed swept source OCT with vertical cavity surface−emitting lasers」 Biomedical Optics Express 第3巻 第11号 P2733〜P2751
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、可変の1050nm付近のVCLに基づく、高速で、単一モードの、強力で、信頼性が高く且つ製造可能な掃引レーザ源の、好適で代替的に製造可能で信頼性の高い複数の実施形態を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態は、約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、当該波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、前記垂直キャビティレーザは、第1のミラーを含む第1の部分と、支持構造を有する柔軟性のある膜を含む機械構造に取り付けられた第2のミラーを含む第2の部分と、前記第2の部分と前記第1の部分との間に設けられた調節可能なエアギャップと、電子及びホールを前記利得領域に注入する第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、前記波長の調整範囲にわたって実質的に単一の縦方向及び横方向のモード動作をさせる第3の手段と、をさらに備え、前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約20nm超だけ短い、波長可変光源を提供する。
【0009】
別の実施形態は、約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、前記波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、前記垂直キャビティレーザは、第1のミラーを含む第1の部分と、支持構造を有する柔軟性のある膜を含む機械構造に取り付けられた第2のミラーを含む第2の部分と、前記第2の部分と前記第1の部分との間に設けられた調節可能なエアギャップと、電子及びホールを前記利得領域に注入する第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、当該垂直キャビティレーザを取り囲む真空環境と、をさらに備える、波長可変光源を提供する。
【0010】
別の実施形態は、約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、前記波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、前記垂直キャビティレーザは、第1のミラーを含む第1の部分と、支持構造を有する柔軟性のある膜を含む機械構造に取り付けられた第2のミラーを含む第2の部分と、前記第2の部分と前記第1の部分との間に設けられた調節可能なエアギャップと、電子及びホールを前記利得領域に電気的注入する手段であって、トンネル接合を含む、第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、前記波長の調整範囲にわたって実質的に単一の縦方向及び横方向のモード動作をさせる第3の手段と、をさらに備える、波長可変光源を提供する。
【0011】
別の実施形態は、約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、当該波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、前記垂直キャビティレーザは、第1のミラーを含む第1の部分と、支持構造を有する柔軟性のある膜を含む機械構造に取り付けられた第2のミラーを含む第2の部分と、前記第2の部分と前記第1の部分との間に設けられた調節可能なエアギャップと、電子及びホールを前記利得領域に注入する第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、前記波長の調整範囲にわたって実質的に単一の縦方向及び横方向のモード動作をさせる第3の手段と、をさらに備え、当該波長可変光源は、1つの半導体光増幅器をさらに備える、波長可変光源を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る光学的にポンピングされるMEMS−VCLデバイスの説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るMEMS−VCLの上部ミラーのスペクトルである。
【
図3】本発明の実施形態に係るWDM分波を備えたデバイスの説明図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る底部放射デバイスの説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る軸外のポンピングのデバイスの説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るデバイスの伝導帯及びVCLの定常波のプロファイルを示す図である。
【
図7】本発明の別の実施形態に係るデバイスの伝導帯及びVCLの定常波のプロファイルを示す図である。
【
図8】本発明の別の実施形態に係るデバイスの伝導帯及びVCLの定常波のプロファイルを示す図である。
【
図9】FSRの定義及び好ましいゼロバイアスの波長を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る静的及び動的調整範囲を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る電気的にポンピングされるMEMS−VCLデバイスの概略図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る埋込みトンネル接合を伴う電気的にポンピングされるMEMS−VCLデバイスの概略図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る蒸着底部ミラーを伴う電気的にポンピングされるMEMS−VCLデバイスの概略図である。
【
図14】本発明の実施形態に係るデバイスの前置及び後置増幅されたVCLのスペクトルを示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に係るリッジ導波半導体光増幅器を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に係るデバイスの構成、駆動電流、波長軌跡及び時間に対する多重化された出力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、本発明に係る、性能が高く、製造可能で且つ信頼性が高い波長掃引光源の好適な実施形態の概略図を示す。調整機構と利得媒質の両方の設計が、平均故障間隔が1000時間をはるかに上回ることを可能にする。故障とは達成可能な調整範囲又は出力強度のいずれかが10%以上低下する時点として定義される。応用によっては、100時間などのより短い平均故障間隔でも十分であろう。この掃引光源は、平均出力強度及びピーク強度波長を伴う約950nmから約1150nmの間の範囲に含まれる波長の調整範囲にわたって、波長掃引放射を放出する。光学的にポンピングされるMEMS−VCLは、固定された第1の部分110及び可動の第2の部分100を含む。示された好適な調整機構はMEMS調整機構であるが、抵抗加熱を用いる展開膜による電熱アクチュエーションなどの他の調整機構も可能である。第1の部分は、GaAsの障壁を備えた、少なくとも1つ、理想的には3つの圧縮歪インジウムガリウムヒ素(InGaAs)量子井戸が設けられたInGaAsのMQW利得領域120を有するが、それは光学的にポンピングされるレーザ源125からのポンプ放射を吸収するであろう。InGaAs量子井戸は利得帯域幅の強化のために2つの量子状態を持ち得る。光学的にポンピングされるレーザ源125は約750から870nmの波長範囲の波長を有し、好ましくは約850nmであり、レーザ発振を可能とするように電子及びホールを利得領域120に注入する役割を果たす。第1の部分110は、底部ミラー130をも含むが、それは十分に酸化されたGaAs/AlxOyミラーであり、GaAs/AlAsの交互の堆積を横方向に酸化することによって形成される。このミラーの低い屈折率の部分は、xが好ましくは0.9より大きい、Al(x)Ga(1−x)Asの酸化によっても形成され得る。高い屈折率の部分もまたGaAsである必要はなく、AlGaAsでもよい。可動である第2の部分100は、上部の浮遊する誘電体のミラー140を含み、エアギャップ150によって第1の部分110から分離されている。第1の部分110とエアギャップ150との間の界面に位置する反射防止(AR)コーティング160は、不要な反射を抑制し、且つ、レーザの調整範囲を広くする。五酸化タンタル(Ta2O5)は、ニオブ、ハフニウム、チタンの酸化物によって、ケイ素によって、又は、VCSELの設計及び製造の分野における当業者によく知られている多数の他の高い屈折率を有する材料によって置き換えられ得るが、誘電体のミラー140は、理想的には二酸化ケイ素(SiO2)と五酸化タンタル(Ta2O5)との4分の1波長の堆積によって形成される。誘電体のミラーはさらに、高い能力の単一モード動作を促進する、半対称のキャビティを提供するように曲げられている。誘電体のミラーは膜170上に配置されているが、それは好ましくは窒化ケイ素であり、末端で支持構造185によって支持され、それは好ましくはゲルマニウムである。この支持構造は、理想的には膜170をアンダーカットする犠牲層として使われるものと同一の物質である。支持構造に適した他の候補材料は、ケイ素、ポリイミド、フォトレジスト又はSU−8を含む。窒化ケイ素の膜を用いることにより、多数の高速SS−OCTシステムにおいて必要とされるような、1兆サイクルを超えるたわみに耐え得る極めて信頼性の高い膜が提供される。理想的な支持構造は、湿式化学エッチングの代わりに、二フッ化キセノン又は酸素などの乾燥気体によってアンダーカットされ得るものである。アンダーカットに用いられる気体は、実質上、VCL構造の他の要素をエッチングすべきではない。湿式化学エッチングされる犠牲層の使用は、臨界点乾燥を必要とするが、それは、デバイスのプロセス、ダイシング及びパッケージングを複雑化させる。例えば、構造に取扱時の丈夫さを維持することを可能とするため、犠牲層をアンダーカットする前に複数のVCLの処理済みウェハを個々のVCLにダイシングすることが望ましい。もし臨界点乾燥が必要ならば、ダイレベルでの犠牲層のアンダーカットは非常に困難である。
【0014】
窒化ケイ素の膜170は、理想的には誘電体のミラーに統合され、実際にはその誘電体のミラーの第1の層を形成する。さらに、浮遊する誘電体のミラー140の横方向の広がり165は、膜170の横方向の広がり155より小さい。これは、MEMSアクチュエータの質量を低減し、且つ、その共振周波数を上昇させる。窒化ケイ素の厚さは、理想的には波長範囲の中央における4分の1波長の奇数個であり、好ましくは4分の3波長の厚さである。可変VCL出力180(1060nmの可変放射)は、光コヒーレンストモグラフィ及びスペクトル分析などの様々な応用に用いられ得る強力な波長可変放射195を生成するために半導体光増幅器190によって増幅される。波長の調整はエアギャップ150の調節により、理想的には
図1のMEMS構造における電極間に電圧を与えることにより達成される。
図1のようなうまく設計された構造は、約100V未満の最大調整電圧を要する。
【0015】
図1におけるVCLのミラーの選択は、広いミラーの帯域幅のため、幅広い調整を促進する。十分に酸化されたミラーの代わりに、x1及びx2が0と1の間である、より標準的なAl(x1)Ga(1−x1)As/Al(x2)Ga(1−x2)Asの半導体ミラーを用いるなどの、他のミラーの組合せが可能である。理想的には出力の浮遊ミラーは調整範囲にわたって99.0から99.9%の間の反射率、固定ミラーは99.9%より高い反射率を有するよう設計される。あまり好ましくない別のミラーの実装では、浮遊ミラーの代わりに高コントラスト格子(HCG)を用いる。
【0016】
光ポンプ源125が
図1におけるVCLへ効率的に光結合するためには、上部の誘電体のミラー140がポンプの波長において透明であるスペクトルを有することを要する。例示のスペクトルが
図2に示されている。そのミラーの設計は、上位層として8分の1波長のSiO2層を伴う、4分の3波長のSiN膜の上に堆積した4分の1波長のSiO2/Ta2O5の10.25周期から構成されている。この8分の1波長の層は850nmのポンプの波長付近のスペクトルを平らにする。
【0017】
図1のレーザ源の1つの必要条件は、950nmから1150nmの範囲において望ましい放射からポンプ光を分離することである。これは
図3に示されているようにWDMカプラによって達成され得るが、入力ファイバ200がWDMカプラ220に850nmのポンプ光をもたらし、出力ファイバ210が可変VCL240から可変の1050nmの放射を取り出す。光ファイバ230は、入射する850nmのポンプ光と、GaAsの基板250に配置されている可変VCL240から出て行く1050nmのVCLの放射の両方を導く。
図4の代替的な分離方法において、VCL240は底部放射であるように構成され、GaAsの基板250は可変の1050nmのVCLの放射だけを透過させつつ、850nmのポンプ放射を吸収する。
図5のまた別の実施形態において、可変VCL240は、その可変VCLの光軸260とは異なる軸に沿ってポンピングされる。
【0018】
図1の構造の多数の特徴が、低雑音の単一モード動作を促進する。まず、単一の横方向及び縦方向のモードのポンプレーザを用いることは、単一横モード動作と雑音の相対強度の低減の両方を促進する。ポンプのビームをVCLの最低次の横方向のモードの位置に慎重に合わせることも、高次の横方向のモードを理想的には45dBをより良くなる(下回る)までに十分抑制することを確実にするために極めて重要である。この抑制は、SSOCTイメージングのための長いコヒーレンス長を維持し、且つ、イメージに誤りの線が出現しないようにするために重要である。エアギャップを約0.7から1.8μmの範囲に保ちながら、半対称のキャビティの曲面を約0.5から3mmの範囲に適切に制御することも、横方向の単一モード動作を促進する。単一縦モード動作は、キャビティの空きスペクトル範囲(FSR)の端付近の回り込み点の端から離しておくことによって保証される。FSRはさらに後述され、
図9の助けを借りて説明される。理想的にはレーザの調整範囲は、単一縦モード動作を促進するために、FSRの約95%未満であるべきである。
【0019】
図1は、GaAsの基板175の裏面に存在する金属層198をも示す。金属層は電気的な接触のためには必要ではないが、その金属がチタン、クロム又は白金ならば、裏面反射の低減を促進する。低い裏面反射は、出力強度のスペクトル上の周期的なリプルを約1%未満に抑えながら、調整範囲にわたって調整を可能とするために必要である。このリプルは、レーザが調整される際に底部ミラー130で位相が合ったり外れたりする基板反射によって引き起こされる。このリプルは、基板175の裏面をラッピングペーパー又は約30μmから約120μmの範囲の大きさの粒子の入った溶液で覆うことでさらに低減される。その上、リプルの低減は、GaAs−AlxOyミラーの反射率を向上させることによって達成される。もし、理論的な損失のないミラーの反射率が約99.95%よりも向上されれば、裏面の覆いは通常、依然として必要であるが、基板による反射はあまり重要ではなくなる。理論的な損失のない反射率とは、ミラー層における損失をゼロと仮定した計算上の反射率を意味する。この反射率は、6又はそれより多い周期のGaAs−AlxOyミラーの使用を通して達成され得る。十分に酸化されたミラーもまた異方性応力の取込みのため、定常の偏光状態における動作を促進する。
【0020】
図1の好適な実施形態の多数の他の特徴は、高い性能、信頼性及び製造可能性を促進する。まず、利得領域は、量子井戸が、レーザの最大動作波長よりも実質的に短い室温フォトルミネッセンス(RTPL)のピーク波長を有するように設計される。例えば、もし、
図1に示されているレーザの波長調整範囲が1000から1100nmならば、RTPLのピークは1020nmにまで短くされ得る。これは量子井戸において必要とされる歪を低減し、信頼性を高める。量子井戸の歪は約1から1.8%の範囲であるべきである。一般に、RTPLのピークをレーザの最大動作波長よりも少なくとも20nm短くすることは、デバイスの信頼性を高める。そして、PLの波長が短くなればなるほど、そのデバイスの信頼性も向上する。
【0021】
図1に示されている波長掃引光源及び
図11乃至13において後述する電気的にポンピングされる実施形態の調整範囲は、主としてVCLの調整範囲によって決められる。最大調整範囲は空きスペクトル範囲(FSR)であるから、VCLの調整範囲は広いFSRを有する薄いキャビティによって最大化される。FSRは、Δλ=λ
2/2L
effとして計算される。ここで、L
effは空気中における有効キャビティ長であり、反射率及びデバイスのミラーへの進入を説明する。これは、
図9に示されているように、縦方向のキャビティモード同士の波長の間隔である。眼科のSSOCTにおいて使用するには、FSRは100nm程度の調整範囲での高解像度イメージングのために100nmより大きいことが理想的であるが、70nm又は40nmを超えるFSRもまた、例えば長いイメージング範囲における低解像度イメージングのための有益なデバイスを提供し得る。
【0022】
図9には、好ましいゼロバイアスの波長370も破線で示されている。MEMS構造においては、小さいバイアスを印加するとモードが短い側に同調し、380におけるFSRの長い側のエッジまで包み込むため、ゼロバイアスの波長の理想的な位置は1つのFSRの左側のエッジ360までである。これにより、調整の際、FSR全体にアクセスすることが可能となる。MEMS構造における電圧の印加は一般的にエアギャップを短くし得るだけなので、もし、ゼロバイアスの位置370が380における右側のエッジにより近ければ、完全な調整は達成困難であろう。もし、ゼロバイアスの波長が380における右側のエッジに近ければ、次のFSRを巻き込むために極めて高い電圧が必要とされるであろう。そのような電圧はおそらくデバイスのスナップダウン電圧を超えるであろう。慣性効果を通して動的な反復掃引動作でデバイスのゼロバイアスの波長を飛び越え、この方法でゼロバイアスの波長をよりも長い波長にアクセスし得ることに注意されたい。しかしながら、これはSS−OCTイメージングには好ましくない。
【0023】
全体の調整範囲にアクセスするには、最初のエアギャップを適切に設計する必要もある。1つのFSRをカバーするためには、1060nm付近で半波長、すなわち約0.53μmに等しい膜のたわみを必要とするため、そして全ギャップの3分の1を超える静的なたわみは、MEMS構造におけるスナップダウンにより禁じられているため、理想的なエアギャップは3半波長、すなわち約1.6μmを超えるべきである。SSOCTシステムの実際においては、調整はスナップダウンを超過する可能性のある動的動作中に行われる。このように、2乃至3半波長の範囲内の空隙は、スナップダウンの問題なしに数100kHzでの動的動作中の完全な調整を保証するに十分である。
図10は1050nmのVCLにおける静的及び動的調整の例を示し、ここで100nmの動的調整範囲は90nmの静的調整範囲を超える。
【0024】
キャビティ内部の量子井戸の、レーザキャビティにおける光定常波に対する配置もまた、性能及び信頼性を促進する。
図6乃至8は、
図1の構造における量子井戸の配置の3つの好ましい設計を説明する。これらの図の横軸はVCLのキャビティの光伝搬軸に沿った距離である。それぞれの図の上部は、量子井戸及び吸収体の位置を説明する構造における材料の伝導帯を示す。それぞれの図の下部はそれぞれの構造におけるキャビティ内放射の定常波を示す。
図6において、多重量子井戸領域300に関する3つの量子井戸が、光キャビティの定常波の波形310の3つの離れた極大値と整列している。この周期的な利得構造においては、利得が定常波のピークから離れた量子井戸の配置に対して向上するだけでなく、これらの井戸が歪の蓄積に対して結合しないように十分に分離されている。これは、量子井戸の歪と厚さの積の総計が通常の歪と厚さの積の限界である200オングストローム%を超え得ることを意味する。約0.45μmの厚さを有する吸収領域315も示されているが、それは850nmのポンプの強度の40%を超える吸収につながる。吸収の大部分は量子井戸のGaAs障壁305で起こり、井戸中ではほんの少量の吸収しか起こらない。すべての光生成電子及びホールは量子井戸300の中に拡散するので、吸収されたポンプ光は可変VCLの光に効率的に変換される。
【0025】
別の好適なMQWの実施形態が
図7によって示されている。ここにおいて、MQW領域320の3つのすべての量子井戸は、VCLの光キャビティ内部の定常波の波形330の単一の定常波のピークと整列している。この場合、引張歪のGaAsPの歪補償障壁が圧縮歪のInGaAsの量子井戸を補償するために提供される。
図7の長所は、キャビティの厚さを低減できることであり、より大きいキャビティの空きスペクトル範囲及びより広い範囲の調整につながることである。短所は、低減された厚さの吸収領域335は、約0.1μmの厚さのため、必要とされるポンプの強度の増大を引き起こすことである。ここで、大部分の吸収は、構造の井戸と障壁の両方で起こる。
【0026】
3番目の好適な実施形態が
図8に示されているが、MQW領域340における2セットの2量子井戸が光定常波の波形350の2つの定常波のピークに沿っている。ここで、厚さが約0.3μmの吸収体355が用いられるため、ポンプの吸収と広い空きスペクトル範囲との間で妥協することにつながる。この構造も引張歪GaAsP障壁を用いる。
【0027】
図1に示されているVCLの信頼できる動作は、VCLに供給されるポンプの強度を限定することによっても促進される。0.3から30mWの吸収強度が信頼性の高い動作を維持することが好ましく、約15mW未満の吸収ポンプ強度が理想的である。
【0028】
図11は本発明に係る波長掃引光源の別の好適な実施形態を説明する。この図において、電子及びホールが光学的ポンプの代わりに電気的ポンプの電流を通して利得領域に供給される。底部のMEMsコンタクト400は、量子井戸への電流の注入のための上部コンタクトとしての役割も果たす。コンタクト400はn領域410に電子を注入するが、その電子は、好ましくはn+GaAs/p+GaAsであるn+/p+トンネル接合420を通して、p型領域430においてホールに変換される。n層410へのコンタクトは、電流の効率的な横方向への拡散を可能にし、単一モード動作を促進する。p型領域430は、AlGaAsの横方向の酸化によって形成される電流狭窄酸化開口部440を備える。キャリアは、領域430から電流開口部440を通してGaAsP障壁460を備えるInGaAsの多重量子井戸(MQW)450で構成される利得領域に注入される。反対の電荷を有するキャリアは、基板コンタクト470から、絶縁AlxOy層からなる十分に酸化されたミラー500の周囲にあるGaAs基板480及びGaAsのクラッド490を通して、MQWに注入される。この構造において、トンネル接合420は、高濃度にドープされた領域における自由キャリアの損失に対する感度を低減するために、好ましくはキャビティ内部の光学的定常波の波形の節に位置する。加えて、節の付近に酸化開口部440を配置することは、酸化物の導波路の閉じ込めを低減するため、単一モード動作を促進する。
【0029】
この構造の偏光の制御は、十分に酸化されたミラーの異方性応力によって部分的に提供されるが、さらなる偏光の選択が浮遊するDBRの上部又は下部における1若しくは複数のナノワイヤ485又はサブ波長格子475の組込みによって提供され得る。これらの手法は
図1のような光学的にポンピングされる構造においても用いられ得る。電気的にポンピングされる構造においては、以前の作業者は固定波長構造において非対称な電流の注入を用いてきたが、それは、この電気的にポンピングされる可変VCLにも用いられ得る。
【0030】
代替となる好適な電気的にポンピングされる実施形態が
図12に示されるが、それにおいては、
図11の酸化開口部440の代わりに、狭窄は限定された横方向の広がりを有する埋込みトンネル接合510によって提供される。埋込みトンネル接合は、リソグラフィ的に決められ、それゆえ、酸化時間及び温度によって決定される酸化開口部440よりも制御しやすいという長所を有するが、トンネル接合を埋めるための再成長ステップを必要とするという欠点を有する。理想的には、埋込みトンネル接合510は自由キャリアの損失を最小化するために、定常波の節に沿って配置される。
【0031】
図13は、電気的ポンピングされるVCLの3番目の好適な実施形態を示す。ここで、十分に酸化されたミラー500は、基板のビアホール530を通して蒸着された蒸着ミラー520によって置き換えられている。蒸着ミラーの好適な実施形態は、フッ化アルミニウム及び硫化亜鉛の4分の1波長のスタックであり、金などの金属層によって終端される。他の高屈折率差の広帯域幅蒸着スタックは、フッ化マグネシウムなどの他のフッ素化合物を低屈折率の層として含む。
【0032】
図1及び11乃至13に示された電気的又は光学的にポンピングされる実施形態は、すべてがVCLによって放出された可変放射を増幅する半導体光増幅器(SOA)を有する。SOAはすべての応用に必要とされるわけではないが、波長範囲にわたって高い平均強度を要する多くの掃引光源OCTの応用において望まれる。SOAの設計は性能、信頼性及び製造可能性に対して極めて重要である。
図14は、SOAの利得飽和が、前置増幅のVCL放射の半値全幅(FWHM)610に対して、どれほど後置増幅のVCL放射の改善されたFWHM600を提供し得るかを説明する。スペクトルのピーク波長も前置増幅のピーク波長620から後置増幅のピーク波長630に移動している。この移動も、多数の応用にとって有利になり得る。
【0033】
好適なSOAは圧縮歪InGaAsの量子井戸を歪レベル約1から1.8%の範囲で用いる。好適なSOAは偏光に鋭敏でもあるため、1方向の偏光だけを増幅する。あまり好ましくない別の実装は、InGaAsの量子ドット増幅器を用いる。1つの好適な設計は、
図15の発散角度の例に示されているように、FWHMの垂直ビームの発散が25°未満の導波路において、引張歪のGaAsP障壁を備えた2つのInGaAsの量子井戸を有するリッジ導波路の設計を使用する。発散角度は、スーパールミネッセントダイオードとして動作しているときの、増幅器により放出される増幅された自発的な放射の角度として定義される。低発散角度はファイバ結合の効率及びSOAのチップ間の利得を改善する。利得は2つの量子井戸を用いることによっても補助される。いくつかの応用には、より小さい利得を提供する単一の量子井戸が用いられ得、1つの量子井戸では歪補償は不要である。InGaAsを用いるすべての歪QWSOAにおいては、好適な井戸の幅は5から10nmの範囲にある。より薄い量子井戸によって信頼性が改善するが、約8から10nmの幅の範囲の井戸に現れる第2の量子状態が利得帯域幅を改善する。信頼性は、量子井戸の室温フォトルミネッセンス(RTPL)の波長を最小化することによっても改善するところ、約1050から1085nmの範囲が良好な信頼性のために望ましく、約980nmから約1120nmの波長範囲は高利得である。
【0034】
InGaAsの量子井戸のSOAの設計における別の要素は、信頼性を犠牲にすることなく高い利得を提供することである。これは適切な範囲のデバイス長及び動作電流における動作を必要とする。理想的には、デバイス長は約1.2mmから約2.0mmの間であるべきであり、且つ、駆動電流は約200mAから約700mAの間であるべきである。このことは、0.3から3mWの入力電流で10から30mWの出力強度を可能とする。
【0035】
上述の
図1、11乃至13における波長掃引光源の設計における別の考慮事項は、調整速度である。MEMS可変構造において、設計の選択が多数あることは、調整速度を改善する。その1つは、SiNの膜170において応力を利用することである。100MPaを超える引張り応力が好ましく、ゼロ応力のフィルムに対して実質的に向上した機械的共振を提供する。400MPaを超える引張り応力は、500kHzに近づく非常に高い共振につながり、形状により高く依存する。圧縮歪もまた利用され得るが、引張歪はより良好な波長の制御を可能とする。応力が加えられた膜は、犠牲層のアンダーカットの量を通して、ゼロバイアスの波長の制御も可能とする。ゼロバイアスの波長は犠牲層のアンダーカットの量の関数であり、それは製造中にゼロバイアスの波長の調整を可能とする。増大した応力と小さい形状を結びつけることは、MEMSの機械的共振を1MHz超まで高め得る。重要な共振領域は10kHz、100kHz、200kHz、400kHz及び1MHzである。これらのすべてが形状及び応力の制御によって達成され得る。
図1の構造は3つの支持アームを説明しているが、2、4又は8は、様々な応用にとって望ましい支持アームの数である。複数の支持アームを有する中央板の基本的形状は、アームの長さがゼロになり、穿孔が中央板に導入される限界において、穴の開いたダイヤフラムに変更され得る。
【0036】
機械的共振に加えて、MEMS構造の周波数応答は、粘性空気によって導かれるスクイーズフィルム減衰を利用して平らにされ得る。これは、バックグラウンド気体若しくは圧力を調整することにより、又は、中央板及びアームの領域を制御することによって制御され得る。一般に、高められた圧力、より重い気体、そして、より広いアーム及び板は減衰を増大させ、周波数応答を平らにする。これらのパラメータを用いれば、臨界制動に近い動作が達成され得る。いくつかの応用においては、完全な調整のために必要とされる電圧を典型的には10V未満に下げるので、真空における高度な不足減衰の共振動作が望まれる。真空環境は真空バタフライ又はトランジスタアウトライン(TO)パッケージによって提供され得る。
【0037】
図1、11乃至13の光学的又は電気的にポンピングされる掃引光源の速度は、1又は複数の遅延線の組合せ及び時間遅延出力の多重化によっても向上され得る。掃引レートを2倍にするこの1つの遅延線の例が
図16に示されている。第1の波長反復周期700を有する電気的にポンピングされるVCL出力が図に示されている。16Cは第1の光路710と第2の時間遅延する光路720とに分割されるが、
図16Aに示されているように、経路720は反復周期の半分だけ遅延する。波長は、
図16Cに示されているように双方向にスキャンされるが、VCSELは、
図16Bに示されているように後方掃引の間、駆動電流730をオフにすることによりオフにされる。VCLの出力及び遅延出力の両方を含む多重化された出力が
図16Dに示されている。複製は空きの後方掃引の間に挿入され、100%近くのデューティサイクルで、反復周期700(反復周波数の2倍)の半分である反復周期740によって最終的な一方向のスキャンとなる。
図16の技術は、元のVCL掃引の反復周波数のN倍である反復周波数を有する最終的な多重化された掃引を有するN個の遅延線に展開され得る。
【0038】
ここで記述された波長掃引光源は、ヒトの眼の掃引光源OCT(SSOCT)イメージングにおいて応用される。単一モード動作は100mmを超える長いコヒーレンス長を保証し、前眼部及び網膜層の両方を含む眼全体のイメージングを可能とする。
【0039】
ここで記述された発明は950nmから約1150nmのウインドウに注目してきたが、開示された多数の設計の基本は、他の波長領域にも応用され得る。さらに、電気的にポンピングされるデバイスに関して記述された多数の設計の基本は、光学的にポンピングされるデバイスに応用され得、且つ、逆もまた同様である。この発明は、特にその好適且つ代替可能な実施形態との関係で示され、説明されてきたが、付属する請求の範囲によって定義される発明の本質及び範囲からかい離することなく、その中で形式及び詳細における様々な変更が施されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0040】
図1は、光学的にポンピングされる1050nmのMEMS−VCLを示す。
図2は、1050nmのMEMS−VCLの上部のミラーのスペクトルを表し、850nmのポンプの波長での低反射率を示す。
図3は、WDMの分離を示す。
図4は、底部放射デバイスを示す。
図5は、軸外のポンピングを示す。
図6は、3つの異なる光定常波のピークに沿った3つのQWを有する光学的にポンピングされるVCLの伝導帯(上)及び定常波のプロファイル(下)を示す。
図7は、1つの光定常波のピークに沿った3つのQWを有する光学的にポンピングされるVCLの伝導帯(上)及び定常波のプロファイル(下)を示す。
図8は、2つの光定常波のピークに沿った4つのQWを有する光学的にポンピングされるVCLの伝導帯(上)及び定常波のプロファイル(下)を示す。
図9は、FSRの定義及び望ましいゼロバイアスの波長を示す。
図10は、1050nmのVCLの静的(90nm)及び動的(100nmの青い曲線)調整範囲を示す。
図11は、電気的にポンピングされる1050nmのMEMS−VCLを示す。
図12は、埋込みトンネル接合を有する電気的にポンピングされる1050nmのMEMS−VCLを示す。
図13は、電気的にポンピングされる1050nmのMEMS−VCLの蒸着された底部のミラーを示す。
図14は、前置及び後置増幅されたVCLのスペクトルを示す。
図15は、リッジ導波路の半導体光増幅器を表し、垂直ビームの発散が25°未満であることを示す。
図16は、時間的に遅延した複製を伴うVCLを用いた波長掃引光源を示す。Aは、デバイスの構成を示しており、光学的遅延は反復周期の半分である。Bは、適切な時点においてVCLをオン及びオフにすることを表すVCSELへの駆動電流を示す。Cは、VCLの出力及び時間的に遅延した複製の波長軌跡を示す。Dは、VCLの出力及び時間的に遅延した複製の両方を含む多重化された出力を示す。
[付記]
[付記1]
約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、
当該波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域(120)を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、
前記垂直キャビティレーザは、第1のミラー(130)を含む第1の部分(110)と、支持構造(185)を有する柔軟性のある膜(170)を含む機械構造に取り付けられた第2のミラー(140)を含む第2の部分(100)と、前記第2の部分(100)と前記第1の部分(110)との間に設けられた調節可能なエアギャップ(150)と、電子及びホールを前記利得領域に注入する第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、前記波長の調整範囲にわたって実質的に単一の縦方向及び横方向のモード動作をさせる第3の手段と、をさらに備え、
前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約20nm超だけ短い、
波長可変光源。
[付記2]
前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約50nm超だけ短い、
付記1に記載の波長可変光源。
[付記3]
前記利得領域のピークの室温フォトルミネッセンス波長は、可変である前記レーザの最大動作波長よりも約70nm超だけ短い、
付記1に記載の波長可変光源。
[付記4]
前記第1のミラーは、
Al(x1)Ga(1−x1)Asの第1の層とAl(x2)Ga(1−x2)Asの第2の層とを含む交互のスタックを備え、
x1及びx2は、0から1の範囲にある、
付記1に記載の波長可変光源。
[付記5]
前記第1のミラーは、
アルミニウム及び酸素を含む第1の材料とAl(x)Ga(1−x)Asである第2の材料とを含む交互のスタックを備え、
xは、0から1の範囲にある、
付記1に記載の波長可変光源。
[付記6]
約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、
当該波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有するVCL利得領域(120)を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、
前記垂直キャビティレーザは、第1のミラー(130)を含む第1の部分(110)と、支持構造(185)を有する柔軟性のある膜(170)を含む機械構造に取り付けられた第2のミラー(140)を含む第2の部分(100)と、前記第2の部分(100)と前記第1の部分(110)との間に設けられた調節可能なエアギャップ(150)と、電子及びホールを前記利得領域に注入する第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、前記波長の調整範囲にわたって実質的に単一の縦方向及び横方向のモード動作をさせる第3の手段と、をさらに備え、
当該波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む、少なくとも1つの半導体光増幅器(SOA)の量子井戸を備えるSOAをさらに備え、
前記少なくとも1つのSOAの量子井戸は、約1050nmから1085nmの範囲において室温フォトルミネッセンス波長を有する、
波長可変光源。
[付記7]
前記半導体光増幅器は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む厳密に1つの圧縮歪SOAの量子井戸を含む、
付記6に記載の波長可変光源。
[付記8]
前記少なくとも1つのSOAの量子井戸の厚さは、約5から10nmの範囲にある、
付記6に記載の波長可変光源。
[付記9]
前記半導体光増幅器は、少なくとも1つの引張歪の障壁を有する厳密に2つのSOAの量子井戸を含む、
付記6に記載の波長可変光源。
[付記10]
前記少なくとも1つのSOAの量子井戸は、2つの閉じ込められた量子状態を有する、
付記6に記載の波長可変光源。
[付記11]
前記半導体光増幅器の垂直ビームの発散は、半値全幅で約25°よりも小さい、
付記6に記載の波長可変光源。
[付記12]
前記第1のミラーは、
Al(x1)Ga(1−x1)Asの第1の層とAl(x2)Ga(1−x2)Asの第2の層とを含む交互のスタックを備え、
x1及びx2は、0から1の範囲にある、
付記6に記載の波長可変光源。
[付記13]
前記第1のミラーは、
アルミニウム及び酸素を含む第1の材料とAl(x)Ga(1−x)Asである第2の材料をと含む交互のスタックを備え、
xは、0から1の範囲にある、
付記6に記載の波長可変光源。
[付記14]
約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、
前記波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域(120)を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、
前記垂直キャビティレーザは、第1のミラー(130)を含む第1の部分(110)と、支持構造(185)を有する柔軟性のある膜(170)を含む機械構造に取り付けられた第2のミラー(140)を含む第2の部分(100)と、前記第2の部分(100)と前記第1の部分(110)との間に設けられた調節可能なエアギャップ(150)と、電子及びホールを前記利得領域に注入する第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、当該垂直キャビティレーザを取り囲む真空環境と、をさらに備える、
波長可変光源。
[付記15]
前記真空環境は、真空バタフライパッケージによって提供される、
付記14に記載の波長可変光源。
[付記16]
前記真空環境は、真空トランジスタアウトライン(TO)パッケージによって提供される、
付記14に記載の波長可変光源。
[付記17]
前記波長の範囲は、前記機械構造の機械的共振周波数で繰り返しスキャンされる、
付記14に記載の波長可変光源。
[付記18]
前記波長の範囲は、約10Vより低い最高電圧でカバーされる、
付記14に記載の波長可変光源。
[付記19]
約950nmと約1150nmの間の波長スパンに含まれる波長の範囲にわたって波長可変放射を放出するように動作する波長可変光源であって、
前記波長可変光源は、インジウム、ガリウム及びヒ素を含む少なくとも1つの圧縮歪量子井戸を有する利得領域(120)を有する垂直キャビティレーザ(VCL)を備え、
前記垂直キャビティレーザは、第1のミラー(130)を含む第1の部分(110)と、支持構造(185)を有する柔軟性のある膜(170)を含む機械構造に取り付けられた第2のミラー(140)を含む第2の部分(100)と、前記第2の部分(100)と前記第1の部分(110)との間に設けられた調節可能なエアギャップ(150)と、電子及びホールを前記利得領域に電気的注入する手段であって、トンネル接合を含む、第1の手段と、前記エアギャップを調節する第2の手段と、前記波長の調整範囲にわたって実質的に単一の縦方向及び横方向のモード動作をさせる第3の手段と、をさらに備える、
波長可変光源。
[付記20]
開口部への電流の注入を抑制する第4の手段をさらに備える、
付記19に記載の波長可変光源。
[付記21]
前記第4の手段は、酸化開口部を備える、
付記19に記載の波長可変光源。
[付記22]
前記第4の手段は、埋込みトンネル接合を備える、
付記19に記載の波長可変光源。
[付記23]
電流が注入される前記開口部の上部にn型の電流拡散層をさらに備える、
付記19に記載の波長可変光源。
[付記24]
前記トンネル接合は、前記VCLのキャビティ内の定常波のプロファイルが最小であるように実質的に配置される、
付記19に記載の波長可変光源。
[付記25]
前記酸化開口部は、前記VCLの定常波のプロファイルが最小であるように実質的に配置される、
付記21に記載の波長可変光源。
[付記26]
前記第1のミラーは、
Al(x1)Ga(1−x1)Asの第1の層とAl(x2)Ga(1−x2)Asの第2の層とを含む交互のスタックを備え、
x1及びx2は、0から1の範囲にある、
付記19に記載の波長可変光源。
[付記27]
前記第1のミラーは、
アルミニウム及び酸素を含む第1の材料とAl(x)Ga(1−x)Asである第2の材料とを含む交互のスタックを備え、
xは、0から1の範囲にある、
付記19に記載の波長可変光源。
[付記28]
電荷がアルミニウム及び酸素を含む少なくとも1つの絶縁層の周囲を移動し、基板のコンタクトに至る、
付記19に記載の波長可変光源。
[付記29]
インジウム、ガリウム及びヒ素を含む厳密に3つの圧縮歪量子井戸と、
ガリウム、ヒ素及びリンを含む少なくとも1つの引張歪障壁と、
を備える、
付記19に記載の波長可変光源。
[付記30]
前記波長可変放射が第1の波長反復周波数及び第1の反復周期で時間と共に周期的な波長の変化をするように、前記VCLは前記エアギャップを周期的に調整する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源であって、
少なくとも1つの前記波長可変放射の時間的に遅延した複製を生成する少なくとも1つの光学的遅延線と、
多重化された波長掃引放射を生成するためにすべての前記時間的に遅延した複製を組み合わせて1つの共通の光路にするコンバイナと、
前記第1の波長反復周期の時間的ウインドウの間、前記VCLをオフにする第5の手段と、
をさらに備え、
前記多重化された波長掃引放射は前記第1の波長反復周波数の整数倍である第2の波長反復周波数を有する、
付記1に記載の波長可変光源。
[付記31]
前記第5の手段は電気的にポンピングされるVCLにおいて駆動電流を変化させることを備える、
付記30に記載の波長可変光源。
[付記32]
少なくとも1つの付記1に記載の波長可変光源であって、前記波長可変放射が前記波長範囲にわたって繰り返し調整されるように、前記VCLは、前記エアギャップを周期的に調節する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源と、
前記波長可変放射をサンプル及び基準光路に分割するスプリッタと、
前記サンプルからの反射と前記基準光路を横切る光との間の干渉信号を検出する光検出器と、
前記干渉信号からイメージを構成する信号処理システムと、
を備える、光コヒーレンストモグラフィのためのシステム。
[付記33]
前記サンプルは、生体内のヒトの眼である、
付記32に記載のシステム。
[付記34]
前記イメージは、前眼部及び網膜の両方の部分を含む、
付記33に記載のシステム。
[付記35]
前記波長掃引放射の動的コヒーレンス長は、100mmを超える、
付記32に記載のシステム。
[付記36]
少なくとも1つの付記6に記載の波長可変光源であって、前記波長可変放射が前記波長範囲にわたって繰り返し調整されるように、前記VCLは、前記エアギャップを周期的に調節する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源と、
前記波長可変放射をサンプル及び基準光路に分割するスプリッタと、
前記サンプルからの反射と前記基準光路を横切る光との間の干渉信号を検出する光検出器と、
前記干渉信号からイメージを構成する信号処理システムと、
を備える、光コヒーレンストモグラフィのためのシステム。
[付記37]
前記サンプルは、生体内のヒトの眼である、
付記36に記載のシステム。
[付記38]
前記イメージは、前眼部及び網膜の両方の部分を含む、
付記37に記載のシステム。
[付記39]
前記波長掃引放射の動的コヒーレンス長は、100mmを超える、
付記36に記載のシステム。
[付記40]
少なくとも1つの付記14に記載の波長可変光源であって、前記波長可変放射が前記波長範囲にわたって繰り返し調整されるように、前記VCLは、前記エアギャップを周期的に調節する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源と、
前記波長可変放射をサンプル及び基準光路に分割するスプリッタと、
前記サンプルからの反射と前記基準光路を横切る光との間の干渉信号を検出する光検出器と、
前記干渉信号からイメージを構成する信号処理システムと、
を備える、光コヒーレンストモグラフィのためのシステム。
[付記41]
前記サンプルは、生体内のヒトの眼である、
付記40に記載のシステム。
[付記42]
前記イメージは、前眼部及び網膜の両方の部分を含む、
付記41に記載のシステム。
[付記43]
前記波長掃引放射の動的コヒーレンス長は、100mmを超える、
付記40に記載のシステム。
[付記44]
少なくとも1つの付記19に記載の波長可変光源であって、前記波長可変放射が前記波長範囲にわたって繰り返し調整されるように、前記VCLは、前記エアギャップを周期的に調節する周期的な調整波形によって駆動される、波長可変光源と、
前記波長可変放射をサンプル及び基準光路に分割するスプリッタと、
前記サンプルからの反射と前記基準光路を横切る光との間の干渉信号を検出する光検出器と、
前記干渉信号からイメージを構成する信号処理システムと、
を備える、光コヒーレンストモグラフィのためのシステム。
[付記45]
前記サンプルは、生体内のヒトの眼である、
付記44に記載のシステム。
[付記46]
前記イメージは、前眼部及び網膜の両方の部分を含む、
付記45に記載のシステム。
[付記47]
前記波長掃引放射の動的コヒーレンス長は、100mmを超える、
付記44に記載のシステム。