【実施例】
【0081】
実施例1.変更されたグリコシル化を有する安定細胞株の作製
哺乳動物細胞で産生される糖タンパク質は、しばしば、複合型N−グリカン合成を含む多数の生合成ステップの結果として不均一である(
図1a)。各ステップは、100%未満の効率であり、一部の酵素は基質を競合し、多数の異なる糖型が生じる。治療糖タンパク質の不均一性は、グリカンがクリアランス及び生物活性に影響を与えるため、下流のプロセシング及びプロセスの再現性に負の影響を及ぼし、かつ変化しやすい有効性をもたらし得る
1、2。例えば、グリカンのシアル酸含有量は、しばしば、薬物動態を決定する
3。グリカンの不均一性の問題の対処では、N−グリカンは、しばしば、タンパク質の折り畳みに極めて重要であり、かつN−グリコシル化部位の突然変異によって単純に除去できないと考えなければならない。ここで、本発明者らは、ゴルジN−グリコシル化経路をショートカットして、最小サイズのシアル化三糖N−グリカンを有するタンパク質を産生させる哺乳動物細胞糖鎖工学技術を導入する(
図1a)。
【0082】
293SGnTI−/−細胞
4は、Man
5GlcNAc
2 N−グリカンで修飾された糖タンパク質を産生する。いくつかのエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ
5は、このようなグリカンを加水分解し、このときに単一アスパラギン連結N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基が残ることが知られている。本発明者らは、endoTの最適なpHが6.0であるという利点を有するため、哺乳動物細胞分泌系での発現のためにこのグリコシドヒドロラーゼファミリー18を代表する真核生物起源としてEndoT
6を選択する。これは、哺乳動物トランス−ゴルジ装置のpHに近い
7が、タンパク質の折り畳み及び品質管理におけるN−グリカンのER機能を実質的に妨げないようにERのpH(pH7.2)とは十分に異なる。本発明者らは、293SGnTI−/−細胞でのendoTの一過性のゴルジ標的発現が、糖タンパク質のin vivoでの脱N−グリコシル化をもたらすことを既に示している(例えば、欧州特許第2331701号明細書の実施例6及び7)。
【0083】
ゴルジ内でのendoTの加水分解は、折り畳み後に糖タンパク質に単一GlcNAc N−グリカン「スタンプ」を形成することになる。本発明者らは、このようなゴルジで形成される単一GlcNAc残基は、分泌の前に細胞のガラクトシルトランスフェラーゼ及びシアリルトランスフェラーゼによって認識されることになると推測した。次に、これは、最も単純なシアル化II型終端、即ち、N−グリカン及びO−グリカンの一般的な要素の合成をもたらすことになる。この3ステップ経路は、多ステップ天然N−グリコシル化経路よりも遥かに短く、不均一性が大幅に軽減され、N−グリカンの特徴付けが容易となる。上記の糖鎖工学戦略、「GlycoDelete」が、
図1aに例示されている。
【0084】
endoTが293SGnTI−/−細胞のトランスゴルジを標的とするようにするために、本発明者らは、endoTコード配列を、その予測シグナル配列なしで、通常はゴルジ内に存在する2つのヒト酵素のゴルジ標的ドメインに融合した(
図2)。endoT触媒ドメインが、ヒトβ−ガラクトシド−α−2,6−シアリルトランスフェラーゼ1(ST6GAL1)
8(本明細書では、ST−endoT融合タンパク質と呼ばれる)の標的ドメインに融合されると、このendoT触媒ドメインは、細胞内に無傷で維持される。293SGnTI(−)細胞内でのST−endoTの一過性の発現により、安定に発現され分泌されるFlt3受容体の細胞外ドメイン
9及びヒト5−ヒドロキシトリプタミン1D(5HT1D)受容体のin vivoでの脱グリコシル化が起こる(
図3)。
【0085】
St−endoT融合タンパク質を安定に発現する293SGnTI(−)由来細胞株を樹立するために、本発明者らは、コンカナバリンA(ConA)を用いて所望のグリカン表現型を有する細胞を選択した。ConAは、オリゴマンノース及びハイブリッド型N−グリカンに結合する四量体細胞障害性レクチンである。endoTによる細胞表面糖タンパク質の完全な脱グリコシル化により、ConAリガンドが存在しなくなり、従って、細胞がこのレクチンに対する耐性を得る(
図1b)。トランスフェクションの4週間後、本発明者らは、ConAに耐性のあるクローン(親293SGnTI(−)細胞の全てを死滅させる最低濃度)を得た。2つのクローンをロバストな増殖のために選択し、ConAレクチン感受性アッセイ
10を行い、最も高いConA耐性を293SGlycoDeleteと命名した(
図4)。St−endoTのゲノムの組込み及び発現をそれぞれ、PCR及び免疫ブロット法によって検証した(
図5)。293SGlycoDelete細胞と293SGnTI(−)細胞は、類似した形態を有し、これらの増殖速度は区別がつかない(
図1c)。しかしながら、本発明者らは、293SGlycoDelete細胞は、293SGnTI(−)細胞よりも付着性が低く;これは、バイオ医薬品の製造に使用される懸濁培養の所望の特徴であることに気づいた。
【0086】
本発明者らは、エクソンマイクロアレイを用いて293SGnTI(−)細胞及び293SGlycoDelete細胞のトランスクリプトームのプロフィールを得て、検出可能な発現を有する7,344の遺伝子のうちの僅かに3つが、2つの細胞株間で2倍を超えて差次的に発現する(p<0.01)ことを見出した(
図1d)。293SGnTI(−)系統と293S親との比較により、特定の経路の明確な強化なしで、約70の遺伝子の差次的転写が示された(
図6)。本発明者らは、293SGnTI(−)系統の実質的なゲノム再構成を観察し(未発表の観察)、これが、これらの相違の主な原因であり得る。従って、GlycoDelete工学は、細胞の転写プロフィールを実質的に変更するものではない。293SGlycoDelete細胞における折り畳まれていないタンパク質応答
11の転写シグネチャの非存在は、GlycoDelete戦略が、小胞体の品質管理におけるN−グリカンの役割を著しく妨げるものではないことを実証した。
【0087】
実施例2.Glycodelete細胞株は、タンパク質の融合に影響を与えずに、N−グリカンの不均一性及び長さが減少した糖タンパク質を発現させるのに適している
本発明者らは、一過性に過剰発現される分泌サイトカイン(ヒト顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子、hGM−CSF
13)、安定して過剰発現されるGPCR、5HT1DR
12(実施例3)、一過性に過剰発現されるモノクローナル抗体(抗CD20、オビヌツズマブ)
14(実施例4)、及び一過性に過剰発現されるFc含有融合タンパク質(抗TNF、エタネルセプト)(実施例5)に対する安定したGlycoDelete工学の効果を評価した。
【0088】
さらに、GM−CSFを、293S細胞、293SGnTI−/−細胞、及び293SGlycoDelete細胞で一過性に発現させて、培地から精製した。293S細胞又は293SGnTI−/−細胞で産生されるGM−CSFは、3つの主要な糖型(0、1つ、又は2つのN−グリコシル化部位の占有に対応する)
15からなり、これらの糖型は、ペプチド−N−グリコシダーゼF(PNGaseF)の処理によって低分子量(MW)のタンパク質の形態に変換し、このPNGaseFは、少なくともキトビオースコアを含むN−グリカンとアスパラギン側鎖との間のN−グリコシド結合を切断する(
図7a)。残った不均一性は、シアリダーゼ消化時のその部分的な消失によって示される、O−グリコシル化
15によるものである。対照的に、本発明者らは、293SGlycoDelete細胞から精製されたGM−CSFで低いMW範囲を観察した(
図7a)。GlycoDelete GM−CSFのPNGase F処理は、観察されたパターンに一切の変化を引き起こさず、キトビオース−コア含有N−グリカンの非存在を実証した。シアリダーゼでの処理は、GlycoDelete GM−CSFのMWの変化を引き起こし、293S細胞又は293SGnTI−/−細胞からのGM−CSFの場合にはより顕著であり、他の形態よりもGlycoDelete GM−CSFでより多くのシアル酸残基が存在することを示している(
図7a)。この結論は、以下で説明されるグリカン分析によっても裏付けられた(
図7b及び
図8及び
図9)。PNGaseF及びシアリダーゼでの消化後に、3つ全ての細胞株からのGM−CSFを、移動性を識別できない単一バンドとして実施し(これらのゲルは、非グリコシル化タンパク質を、小さいGlycoDelete N−グリカンスタンプで修飾された非グリコシル化タンパク質から分離できないことに留意されたい)、293S細胞、293SGnTI(−)細胞、及び293SGlycoDelete細胞からのGM−CSF間の相違が、グリコシル化の相違によるものであるという結論が裏付けられ;これは、無傷のタンパク質の質量分光分析によって確認された(
図10)。
【0089】
293SGlycoDelete細胞及び293SGnTI(−)細胞からのGM−CSFのN−グリカンをさらに特徴付けるために、本発明者らは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)−質量分析によってサンプルを分析した(
図7b及び
図8)。キャピラリー電気泳動法による293S GM−CSFグリカンの分析(
図9)により、多分岐複合型グリカンの典型的な不均一混合物が明らかになった。シアル化のレベルは低く、これは恐らく、タンパク質産生中の細胞の無血清培地への迅速な移動によるものである。293SGnTI(−) GM−CSFのN37を含む糖ペプチドを、以前の研究結果
4、16に従ってMan5GlcNAc2(Fuc) N−グリコシル化ペプチドとして検出した(
図7b、上部)。これらのイオンは、293SGlycoDelete細胞で産生されるGM−CSFのスペクトルには存在せず、本発明者らは、3つの新たな糖ペプチド塊を検出した。これらの塊は、N−アセチルヘキソサミン(HexNAc)糖ペプチド、Hex−HexNAc糖ペプチド、及びN−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)−Hex−HexNAc糖ペプチドに一致している(
図7b)。類似の観察が、N27を含む糖ペプチドで行われた(
図8)。
【0090】
GlycoDelete GM−CSF糖ペプチドのヘキソース及びNeu5Ac単位の同定及び結合を確認するために、本発明者らは、α−2,3−/α−2,6−/α−2,8−シアリダーゼ及びβ−1,4−ガラクトシダーゼを用いたエキソグリコシダーゼの消化を行った(
図7b)。これにより、本発明者らは、二糖修飾ペプチド及び三糖修飾ペプチドがそれぞれ、Gal−β−1,4−GlcNAc及びNeu5Ac−α−2,3−Gal−β−1,4−GlcNAcであることを立証することができた。GlycoDelete細胞で産生されたタンパク質における、単一GlcNAc endoT消化産物だけではなく、これらのグリカンの存在は、ゴルジ内のガラクトシルトランスフェラーゼ及びシアリルトランスフェラーゼが、endoTによって形成されるGlcNAcスタンプに作用することを示している。これは、GM−CSFのendoT脱グリコシル化が、細胞内で起こらなければならず、分泌後ではいけないことを裏付けている。シアリダーゼ処理の前及び後のタンパク質のスペクトルの相対ピーク強度の定量により、GlycoDelete細胞からのGM−CSFのグリカンの約75%がシアル化されたことが示された。
【0091】
次いで、本発明者らは、GM−CSFの特性に対するGlycoDeleteグリカンの変更の影響を調査した。ThermoFluorアッセイ
17は、大腸菌(Escherichia coli)(非グリコシル化、Tm=58.9±0.6℃)、293S細胞(複合型N−グリコシル化、Tm=61.2±3.2℃)、及び293SGlycoDelete細胞(Tm=61.5±0.2℃)からのGM−CSFの融解温度が、著しくは異ならないこと(Kruskal−Wallis試験、n=4、P>0.05;平均±標準偏差)を示した(
図7c)。さらに、TF1ヒト赤白血病細胞−増殖アッセイ
18(
図7d)では、293S細胞及び293SGlycoDelete細胞からのGM−CSFの生物活性が、きわめて類似していた。
【0092】
GlycoDeleteグリカンが、GM−CSFの抗原性に寄与するか否かを評価するために、本発明者らは、293SGlycoDelete細胞からのGM−CSFでウサギを免疫した。未消化シアリダーゼ処理した293SGlycoDelete GM−CSF、又はシアリダーゼ処理及びガラクトシダーゼ処理した293SGlycoDelete GM−CSFへの血清抗体の結合をELISAによって決定した。GlycoDeleteグリカン構造が除去されたGM−CSF、及びGlycoDeleteグリカンが存在するGM−CSFが十分に等しく認識され、GlycoDeleteグリカンが、ウサギのGM−CSFに新たな免疫原性エピトープを形成しないことを示している(
図7e及び
図7f)。
【0093】
実施例3.Glycodelete細胞株は、N−グリカンの不均一性及び長さが減少した糖タンパク質の安定した発現に適している
GlycoDeleteが、安定したトランスフェクションベースのタンパク質の産生に適合性であること、及びGlycoDeleteが、膜タンパク質を処理できることを確認するために、安定したGlycoDelete工学とは別に、GPCR、即ち、5HT1DR
12が安定して過剰発現される安定した細胞株を作製した。膜タンパク質抽出物のPNGase Fでの処理により、293SGnTI−/−細胞で安定して過剰産生される5HT1DRの分子量(MW)の大きな変化が明らかになった。これとは対照的に、PNGase Fで処理するしないにかかわらず、293SGlycoDelete細胞で産生される受容体は、293SGnTI−/−細胞からのPNGase Fで処理された受容体とほぼ同じMWであった。本発明者らは、293SGlycoDelete細胞では、ST−endoTが5HT1DR N−グリカンを完全に加水分解したと結論付けた(
図11)。
【0094】
実施例4.Glycodelete細胞株によって産生される抗体は、それらのリガンドに対して同じ親和性を有するが、in vivoでの循環時間が長い
GlycoDelete技術の範囲をさらに検討するために、モノクローナル抗体−CD20抗体オビヌツズマブ(GA101)
14を、293S細胞及び293SGlycoDelete細胞で一過性に発現させて、細胞培地から精製した。細胞株は、同様の量の抗体を産生した(
図12)。293S−産生抗CD20は、そのFc結合N−グリコシル化部位(重鎖Cγ2−ドメインのN297)のみに、典型的にはIgGs
19であるコア−フコシル化バイアンテナ型N−グリカンを有する(
図13)。予想通り、PNGaseFでの処理は、MWを低下させた(
図14a)。対照的に、293SGlycoDelete細胞で産生される抗体の重鎖は、293S細胞からのPNGaseF−処理抗体の重鎖とほぼ同じMWであり、このMWは、PNGaseF処理によってさらに低下することはなかった(
図14a)。この結果は、endoTによって切断されたこのIgGのN−グリカンに一致している。従って、GlycoDelete細胞は、hIgG Fc結合N−グリカンも処理する。
【0095】
293SGlycoDelete抗CD20のグリカンをさらに特徴付けるために、N−グリコシル化部位を含むトリプシンIgGペプチドの様々な糖型を、液体クロマトグラフィー−エレクトロスプレーイオン化質量分析(LC−MS/MS)を用いて選択された反応監視(SRM)モードで定量した(
図14b)。さらに、本発明者らは、還元により鎖が解離した又は解離していない無傷の抗体のLC−MS分析を行った(
図15)。LC−MS/MS分析により、本発明者らがGM−CSFでも観察したように、GlycoDeleteタンパク質が、HexNAc、Gal−HexNAc、及びNeu5Ac−Gal−HexNAc N−グリカンで修飾されたことが明らかになった。シアリダーゼ処理の前及び後のサンプルの相対糖ペプチドピーク面積の定量化により、本発明者らは、抗CD20の19%がシアル化三糖を有し、抗CD20の72%がGal−GlcNAc二糖を有し、残りがGlcNAc−修飾ペプチドであることを立証した。SRM−モードLC−MS/MSペプチド分析では、293SGnTI(−)IgGで優勢なHex5−HexNAc2糖ペプチドは、293SGlycoDelete IgGの検出限界よりも低かった。無傷のタンパク質のLC−MS分析により、293S産生抗体及び293SGlycoDelete産生抗体の両方において、残るHex5−HexNAc2糖型がほんの僅かであることが明らかになった。両方の標本におけるHex5HexNAc2の量は、両方の抗体の1:1の混合物のDNA−シーケンサー炭水化物電気泳動法によって全グリカンプールの2.5%と定量された(データは不図示)。
【0096】
加えて、CD20+細胞への結合のフローサイトメトリー分析により、GlycoDelete抗CD20抗原結合が、293S抗CD20抗原結合と同一であることが示され(
図14c)、抗原結合フォールドが影響を受けていないことが実証された。
【0097】
折り畳みパッケージングの一部を構成するN−グリカンがCγ2ドメインに接触するため、これらのグリカンのサイズ減少が、Tmの低下をもたらすと予想される。従って、Cγ2のTmは、PNGaseF−消化293S抗CD20のTmに類似して、複合型N−グリコシル化293s抗CD20で約64℃、293SGlycoDelete抗CD20で57℃である(
図14d)。本発明者らは、ゲル濾過クロマトグラフィーでは、293S細胞又は293SGlycoDelete細胞によって発現される抗CD20の凝集の証拠を見出せなかった(
図16)。
【0098】
重鎖のN297のグリコシル化は、抗体のFc−γ受容体(FcγRs)
20への結合親和性に大きな影響を与えるため、本発明者らは、293S抗CD20及び293SGlycoDelete抗CD20の様々なヒトFcγRsへの結合を評価した。表面プラズモン共鳴実験(表1)により、ヒト新生児及びマウス新生仔FcRs(FcRns)は、両方の抗CD20糖型に対して類似の親和性を有することが示された。FcRn結合部位がCγ2 N−グリカン部位の近傍に位置していないため、これは予想通りである(Roopenian et al.,2007)。本発明者らは、抗CD20抗体が溶液中でFcγR結合についてプレコートIgGと競合する、FcγRI、FcγRIIa、及びFcγRIIbについての競合ELISAを準備した。3つ全てのケースでは、本発明者らは、293S抗CD20と比較して、293SGlycoDelete抗CD20による結合競合で10分の1を超える減少を検出した(
図14e)。バイオレイヤー干渉法(表1)によって評価されたFcRIIIa結合親和性は、293SGlycoDelete抗CD20に対してが、293S抗CD20に対しての5.8分の1であった。同様に、エフェクターとしてナチュラルキラー(NK)細胞を用いる抗体依存性細胞−細胞毒性(ADCC)アッセイ(
図14e)において、本発明者らは、293SGlycoDelete抗CD20を用いる特異的溶解の50%効果濃度(EC50)が、293S抗CD20を用いる場合の6.6倍であることを見出した。全体として、ヒトIgG1 FcのGlycoDeleteグリコシル化は、FcγRsへの結合の減少をもたらし;中和抗体の産生との関連では、これは、安全性を向上させるのに望ましいであろう(Lux et al.,2013)。
【0099】
【表1】
【0100】
IgGのGlycoDeleteグリカンが免疫原性であるか否かを評価するために、本発明者らは、GM−CSF(
図14f)と類似の免疫実験を行い、GlycoDeleteグリカンが、抗CD20分子の抗原性に実質的に寄与しないと結論付けた。
【0101】
注目すべきことに、マウスでの薬物動態分析により、最初の急速除去期(注射の1時間後)に、GlycoDelete抗CD20が循環からそれほど除去されず、2倍の長期循環レベルとなることが示された。両方の糖型は、それらの類似のFcRn親和性から予想されたように、等しい(遅い)速度で実質的に除去された(
図14g及び
図17)。従って、当初の高いレベルにより、GlycoDelete抗体の濃度が必要とされる治療閾値濃度よりも低くなるまでに10〜12日長くかかるであろう。これは、GlycoDelete抗CD20の相当高いレベルが、遥かに長い期間に亘ってin vivoに維持されることを意味する。考えられる機序は、高度のシアル化が、肝臓及びマクロファージレクチン受容体への結合の減少によってクリアランスの低下をもたらすことである。潜在的に、GlycoDelete IgGのシアル化のレベルがさらに高くなる可能性があり、この知見は、GlycoDelete IgGsが、血中の長い循環期間をしばしば必要とする中和治療IgGsの投与頻度を下げることができる可能性があることを示唆している。
【0102】
実施例5.Glycodelete細胞株によって産生されるキメラFc含有分子は、より均一なグリコシル化パターンも有する
次に、本発明者らは、エタネルセプト、即ち、IgG1抗体の定常領域の端部に融合されたヒト2型TNF受容体からなる組換え融合タンパク質をGlycoDelete細胞で一過性に発現させて精製した。実施例2及び4で試験されたタンパク質と同様に、LC−MS分析により、GlycoDeleteタンパク質のFc部分が、HexNAc、Gal−HexNAc、及びNeu5Ac−Gal−HexNAc N−グリカンで修飾されていることが明らかになった(
図18)。(これは、Fc鎖からのEQQYNSTYRペプチド(配列番号:1)で評価した)。
【0103】
続くシアリダーゼ及びガラクトシダーゼ消化により、これらの糖類が何であるかをさらに確認した(
図18)。シアリダーゼ及びガラクトシダーゼ処理の前及び後の、サンプルの相対糖ペプチドのピーク面積の定量により、本発明者らは、これらの細胞で産生されたエタネルセプトの25%が、シアル化三糖を有するFc鎖を備え、エタネルセプトの68%が、Gal−GlcNAc二糖を有し、エタネルセプトの残りが、GlcNAc修飾ペプチドであることを立証することができた(表2)。これらのパーセンテージは、抗CD20抗体で観察されたパーセンテージに十分に一致し、細胞のFc鎖のグリコシル化がかなり均一であることを示している。
【0104】
【表2】
【0105】
結論
結論として、この研究は、哺乳動物細胞を用いる糖タンパク質産生でのN−グリコシルの不均一性の問題を解決するアプローチとしてGlycoDelete糖鎖工学の戦略を導入する。GlycoDeleteは、任意であるが特に考えられる、(GnTI、遺伝子MGAT1によってコードされる)単一グリコシルトランスフェラーゼの不活性化、及び脱グリコシル化酵素の過剰発現、これに続くレクチン選択を含む。GlycoDelete細胞は、Gal−GlcNAc二糖、又はそのα−2,3−シアル化三糖誘導体及び単糖中間体の一部を含むタンパク質を産生する。これは、野生型哺乳動物細胞で産生される多数のグリカン構造とは対照的である。GlycoDelete戦略は、N−グリカンの折り畳み促進機能の維持と、哺乳動物ゴルジN−グリカンプロセシングによって導入される広範な不均一性の回避とをバランスさせる。バイオ医薬品製造におけるN−グリカンの複雑さの軽減の利点に加えて、in vitroで生産される同様の短い単純なN−グリカンの治療効果の例が報告されている
21〜23。さらに、本発明者らは、治療目的が、追加のエフェクター機能を必要としない抗原の中和である場合、GlycoDelete工学が、抗体の特徴を好ましく変更することを示した。従って、GlycoDeleteは、バイオ医薬品業界で関心領域である「バイオベター」をもたらすであろう
28。この戦略は、保存されたN297残基のグリコシル化を単に変更することによって循環半減期を延長するため、Fc含有分子の発現に特に適していると思われる。これは、例えば、治療IgG注射にとって重要な治療上の利点を有し、この治療IgG注射は、その頻度を大幅に減らすことができ(例えば、半分の頻度)、しかも同じ親和性のためリガンドに対して同じ効果を維持する。
【0106】
材料及び方法
一般的な細胞の培養及びトランスフェクション
本発明者らは、293SGnTI(−)細胞を、10%FBS、292μg/mL L−グルタミン、100単位/mL ペニシリン、及び100μg/mL ストレプトマイシン(全てSigma−Aldrich)を含むDMEM/F12(Gibco)中、5%CO2、37℃の湿潤インキュベーターに維持した。
【0107】
小規模のトランスフェクションの場合は、1ウェル当たり約150,000の細胞でのトランスフェクションの前に、細胞を6ウェルプレートにプレーティングし、48時間培養した。細胞は、製造者の取扱説明書に従ってTransIT−293トランスフェクション試薬(Mirus Bio LLC)を用いてトランスフェクトした。一過性又は大規模のトランスフェクションの場合は、細胞を、リン酸カルシウムトランスフェクション法でトランスフェクトした。Raji細胞を、RPMI 1640+10% FBS+2mM L−グルタミン中で培養した。
【0108】
全ての細胞株を、Plasmotestキット(InvivoGen)を用いてマイコプラズマ汚染について定期的に試験した。
【0109】
一過性のendoTの発現
endoT融合構築物(pCAGGS−GM2S−endoT及びpCAGGS−ST−endoT)及び分泌endoT構築物(pCAGGS−s−endoT)を、上記のように293SGnTI(−)細胞に一過性にトランスフェクトした。上清及び細胞溶解物のサンプルを分析して、ドメインを標的にする能力を評価した(
図2)。
【0110】
endoT融合体の一過性のトランスフェクションによるin vivoでの脱N−グリコシル化
endoTによる脱N−グリコシル化を、全てのendoT構築物を293SGnTI(−)細胞に安定にトランスフェクトして、Flt3受容体細胞外ドメインを誘導的に発現させることによって評価した(
図3)。
【0111】
安定したST−endoTの発現のためのプラスミド(pcDNA3.1(−)/Zeo−ST−endoT)の構築
本発明者らは、ST−endoT PCR断片をpCR(登録商標)II−TOPO(登録商標)プラスミド(Life Technologies)にクローニングした。本発明者らは、得られたTopo−ST−endoTプラスミド(逆相補鎖挿入)をXhoI及びKpnIで消化し、挿入物を精製した。pcDNA3.1/zeo(−)プラスミドをXhoI及びPvuIで1回消化して1.5kbの断片を精製し、そしてPvuI及びKpnIで1回消化して3.6kbの断片を精製した。続くベクター断片及びST−endoT断片との3点ライゲーションにより、pcDNA3.1/zeo−ST−endoTプラスミドを得た。
【0112】
【表3】
【0113】
【表4】
【0114】
安定した細胞株の作製
本発明者らは、pcDNA3.1(−)Zeo−ST−endoTを用いて小規模トランスフェクションで293SGnTI(−)細胞をトランスフェクトした。本発明者らは、トランスフェクションの48時間後に、15μg/mL ConAで選択を開始した。14日後、細胞をトリプシン処理して、10μg/mL ConAを含む条件培地(滅菌濾過され、新鮮な50%(v/v) DMEM/F12と混合された、2日経過した293SGnTI(−)培養物の培地)に再プレーティングした。14日後、5つの大きな十分に分離されたクローンを採集して、10μg/mL ConAの存在下で増殖させた。2つの最も速く増殖しているクローンをさらに分析した。
【0115】
293SGnTI(−)及び293SGlycoDelete増殖曲線
70〜80%コンフルエントな培養物からの細胞を、まず約60,000細胞/mlに希釈し、(0時間の時点で)再度カウントし、6ウェルプレートに移した(180,000細胞/ウェル)。各時点で、3つのウェルを、ピペット操作で培地を上下させて取り外し、生細胞を、トリパンブルー排除及び血球計を用いて各ウェルでカウントした。
図1cに示されている結果は、2つの重複実験の1つを示している。
【0116】
遺伝子−発現分析
GeneChip Human Exon 1.0 ST Arrays(Affymetrix)での分析のためのRNAの単離及びサンプルの調製は次の通りである。
【0117】
全RNAを、製造者の取扱説明書に従って、RNeasy Midiキット(Qiagen)を用いて両方の細胞株の3つの重複培養物から抽出した。RNAの品質を、RNA 6000 Picoチップ(Agilent Technologies,Santa Clara,CA,USA)を用いる2100 Bioanalyzerで評価した。全てのサンプルは、9.5以上のRNAの品質指標(RIN:RNA Integrity Number)を有していた。全RNAサンプル(RNAサンプルの調製、Online Methodsを参照)を細菌ポリ−A RNA陽性コントロール(Affymetrix,Santa Clara,CA,USA)を用いてスパイクし、どのサンプルも逆転写し、2本鎖cDNAに変換し、in vitroで転写し、Ambion WT Expression Kitを用いて増殖させた。得られた一本鎖cDNAを、製造者の取扱説明書に従って、WT Terminal Labelingキット(Affymetrix)を用いて断片化した後にビオチン標識した。得られたサンプルをハイブリダイゼーションコントロール(Affymetrix)と混合し、GeneChip Human Exon 1.0 ST Arrays(Affymetrix)でハイブリダイズさせた。アレイを、GeneChip Fluidics Station 450(Affymetrix)で染色及び洗浄し、そして生のプローブシグナル強度についてGeneChip Scanner 3000(Affymetrix)を用いてスキャンした。エキソンアレイデータは、MIAME適合性であり、ArrayExpressデータベース(www.ebi.ac.uk/arrayexpress)からアクセッション番号:E−MEXP−3516で入手可能である。
【0118】
本発明者らは、一部が既に記載されたように
7、エキソンアレイデータの品質管理及び差次的発現分析のためにR Statisticalソフトウェアパッケージ(www.r−project.org)とAffymetrix Power Tools(APT; Affymetrix)の組み合わせを使用した。簡単に述べると、エキソンレベル及び遺伝子レベルの強度推定値を、APTを用いるRobust Multi−array Average(RMA)アルゴリズムを用いたバックグラウンド補正、正規化、及びプローブの要約によって作成した。正規化の前及び後のデータの品質管理は、様々なプロット、例えば、ボックスプロット及び密度プロットの作成によってRで行った。発現が両方の株で検出されなかった遺伝子を、さらなる分析から排除した。本発明者らは、細胞株の3つの生物学的レプリケートの少なくとも2つでバックグラウンドよりも高く、エキソンの半分超が検出された場合に遺伝子が検出されたと見なした(p<0.05)。両方の株で発現が推定ノイズレベル未満であった遺伝子も、さらなる分析から排除した。ノイズレベルの閾値は、Y染色体上の95%を超える遺伝子の発現の「検出」を排除するシグナル強度レベル(3つのレプリケートに対して平均したAPT出力強度)に設定し、このシグナル強度レベルは、(女性胚に由来する)293系統には存在せず、従って、適切な内部陰性コントロールとしての役割を果たす。
【0119】
差次的遺伝子発現分析を、唯一のコアプローブセットと見なされるR Bioconductor package Limma
8で実施される線形モデル適合を用いて行った。Benjamini−Hochberg(BH)法を、複数の試験を補正するために使用した。
【0120】
GM−CSFの産生及び精製
一過性のGM−CSFの発現のためのプラスミド(pORF−hGM−CSF−6xHis)を、293SGnTI(−)細胞株及び293SGlycoDelete細胞株の両方に一過性にトランスフェクトした。分泌GM−CSFを培地から精製した。
【0121】
pORF−hGM−CSF−6xHisプラスミドの構築
C末端に6His残基が標識されたヒトGM−CSFの部分的なCDSを、pORF−hGM−CSFプラスミド(Invivogen,CA,USA)からプライマーPR18及びPR19を用いて増幅した。本発明者らは、Apal及びEcoRIを用いてPCR断片及びpORF−hGM−CSFプラスミドを消化し、両方の断片を連結してpORF−hGM−CSF−6xHisプラスミドを得た。
【0122】
ヒトGM−CSFの精製
293SGnTI−/−細胞及び293SGlycoDelete細胞を、pORF−hGM−CSF−6xHisプラスミドを一過性にトラスフェクトした(一過性トランスフェクション、オンライン法を参照)。トランスフェクションの4日後、50mlの発現タンパク質を含む培地を回収し、3kDa MWCO膜を用いて緩衝液A(20mM NaH
2PO
4、0.5M NaCl、及び20mM イミダゾール pH7.5)を透析した。透析液を、Ni
2+イオンが充填された1ml His−Trap HPカラム(GE healthcare UK Ltd,Buckinghamshire,UK)にかけた。次いで、カラムを、A
280が低下して基準値に戻るまで緩衝液Aで洗浄した。10カラム容量の6%緩衝液B(20mM NaH
2PO
4 pH7.50+20mM NaCl+0.5M イミダゾール)でカラムを洗浄した後、結合したタンパク質を100%緩衝液Bで溶出し、1ml画分で収集した。収集した画分中のGM−CSFの存在を、トリシンSDS−PAGEゲル電気泳動法
9によって検証した。本発明者らは、盲検としての緩衝液Bに対する画分を含むGM−CSFのA
280吸光度に基づいてタンパク質濃度を測定した。濃度は、protparamツール(http://web.expasy.org/protparam)
10によって計算した、ジスルフィド結合中の全てのシステイン残基(13980M
−1 cm
−1)を用いる理論吸収係数を用いて計算した。
【0123】
抗CD20の産生及び精製
抗CD20を、上記のように293S細胞株及び293SGlycoDelete細胞株の両方で一過性に発現させて、次のように精製した:抗CD20を含むベクターでの293S細胞及び293SGlycoDelete細胞の一過性トランスフェクション(一過性トランスフェクション、オンライン法を参照)の4日後、発現タンパク質を含む培地を回収し、アフィニティーカラム5ml HiTrap MabSelect SuRe(GE healthcare UK Ltd,Buckinghamshire,UK)にかけた。次いで、カラムを、A
280が低下して基準値に戻るまでPBSで洗浄した。結合したタンパク質を50mM グリシン pH3.5で溶出し、1ml画分で収集した。収集した画分中の抗CD20の存在を、トリシンSDS−PAGEゲル電気泳動法によって検証した。本発明者らは、抗CD20を含むプールされた画分に対して、pH6.0の25mM ヒスチジン 125mM NaCl 緩衝液で緩衝液交換を行った。精製サンプル中の抗体濃度を、Synergy MX分光光度計(Biotek,VT,USA)を用いて測定した。本発明者らは、精製抗体のA
280吸光度に基づいてタンパク質濃度を測定した。濃度は、理論吸収係数を用いて計算した。
【0124】
5HT1D受容体の発現及びサンプルの調製
5HT1DRを安定に発現する細胞株の作製、5HT1Dサンプルの調製、及び分析の詳細な方法は次の通りである。
【0125】
pT−REx−5HT1DRhoプラスミド及びpT−REx−5HT1DRho−IRESdsRed2プラスミドの構築
pT−REx−DEST30プラスミド(Invitrogen)を、dam/dcmメチル化欠損大腸菌(E.coli)株で増殖し、BclI及びXbaIで消化した。dsDNAインサートを、オリゴPR11及びオリゴPR12のアニーリングによって作製した。続くdsDNAインサートの、XbaI/BclI消化pT−REx−DEST30断片へのライゲーションにより、pT−REx−MCSプラスミドを構築した。
【0126】
本発明者らは、プライマーPR13及びPR14を用いて、ヒト胎児脳cDNAライブラリーからの5−ヒドロキシトリプタミン1D受容体(NM_00864)のCDSを増幅し、pCR(登録商標)II−TOPO(登録商標)プラスミド(Invitrogen)にクローニングし、Topo−5HT1Dプラスミドを構築した。Rho1D4標識5HT1DR断片を、プライマーPR13及びPR15を用いてTopo−5HT1Dプラスミドから増幅した。本発明者らは、PCR断片をSalIで消化し、pT−REx−MCSプラスミドをPmeI及びSalIで消化し、続いて脱リン酸化した。本発明者らは、これらの断片を結合して、pT−REx−5HT1DRhoプラスミドを得た。
【0127】
本発明者らは、IRESdsRed2断片を、プライマーPR16及びPR17を用いてpLV−tTR/KRAB−Redプラスミド(a kind gift of Prof.Peter Vandenabeele,VIB−UGhent)から増幅した。pT−REx−5HT1DRhoプラスミドをPmeIで消化し、これをIRESdsRed2断片と共に、クローンEZ(GenScript USA Inc.,NJ,USA)反応で使用した。これにより、pT−REx−5HT1DRho−IRESdsRed2プラスミドが得られた。
【0128】
293SGnTI−/−クローン及び293SGlycoDeleteクローンを発現する5HT1DR
本発明者らは、293SGnTI−/−をpT−RExL−5HT1DRho−IRESdsRed2プラスミドでトランスフェクトし、293SGlycoDelete細胞をpTRExL−5HT1DRhoプラスミド又はpT−RExL−5HT1DRho−IRESdsRed2プラスミドでトランスフェクトすることによって、5HT1D受容体を安定的かつ誘導的に発現する細胞株を作製した。600μg/ml(293SGnTI−/−細胞)及び150μg/ml G418(293SGlycoDelete細胞)でG418(Sigma−Aldrich)を用いて選択を行った。次いで、本発明者らは、G418耐性細胞を、条件培地で限界希釈クローニングした。本発明者らは、2μg/ml テトラサイクリン及び1mM バルプロエート(Sigma−Aldrich)を用いて5HT1D受容体の発現を誘導した。本発明者らは、蛍光顕微鏡法による誘導の2〜3日後に、最高強度の赤色蛍光を発現する293SGnTI−/−5HT1DRクローンを選択した。
【0129】
293SGlycoDeleteクローンでの5HT1DRの発現のELISA分析
293SGlycoDeleteクローンを発現する5HT1DRのELISA分析のために、本発明者らは、2μg/mlテトラサイクリン及び1mM バルプロエート(Sigma−Aldrich)を用いた誘導の2〜3日後に、24ウェルプレートから細胞を回収した。本発明者らは、細胞を遠心分離で沈降させ、上清を廃棄した。細胞を、RIPA緩衝液+プロテアーゼインヒビターを用いて、氷上で20分間インキュベートすることによって溶解した。本発明者らは、サンプルを12,000rpmで10分間の遠心分離によって残屑を除去した。本発明者らは、製造者の取扱説明書に従って、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ(Pierce Biotechnology Inc.,Rockford,IL,USA)でタンパク質を測定した。ピキア・パストリス(P.pastoris)で産生される15μgの5HT1DRの陽性コントロールサンプル及び15μgの293SGlycoDelete陰性コントロールサンプルをmaxisorbプレートで、4℃で一晩コーティングした。本発明者らは、このプレートを、水で3回、そして洗浄緩衝液(PBS+0.1% Tween−80)で1回洗浄した。ブロッキング緩衝液(PBS+1% 粉乳)を各ウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。洗浄後、サンプル緩衝液(PBS+0.05% Tween+0.5% 粉乳)で1/100に希釈した抗rho1D4抗体(University of British Columbia,Vancouver,Canada)を添加し、サンプルを室温で1時間インキュベートした。プレートを再び洗浄し、次いで、サンプル緩衝液で1/5000に希釈したHRP二次抗体(GE Healthcare Biosciences,Pittsburgh,PA,USA)に結合された抗マウスIgGをサンプルに添加した。最後に、プレートを再び洗浄し、サンプルを、製造者の取扱説明書に従って、BD OptEIA(商標)TMB基質試薬セット(BD,Franklin Lakes,NJ,USA)で分析した。
【0130】
5HT1D受容体の発現及びサンプルの調製
本発明者らは、5HT1D受容体を安定的かつ誘導的に発現する293SGnTI−/−細胞株及び293SGlycoDelete細胞株を作製した。5HT1DR発現構築物の作製及びこれに続く安定した5HT1DR−発現クローンの作製の詳細な方法は、補足事項1に記載されている。各細胞株の選択された5HT1DR−発現クローンを、2μg/ml テトラサイクリン及び1mM バルプロエートを用いて誘導した。誘導の3日後に細胞を収集した。細胞ペレットを、5mlの20mM Tris−HCl pH8.0+1mM EDTA+コンプリートEDTAフリープロテアーゼインヒビター(Roche,Mannheim,Germany)に再懸濁した。1.25mlの各サンプルを、VCX500超音波処理器(Sonics & Materials Inc.,Newtown,CT,USA)を用いて氷上で超音波処理した(15サイクル、各サイクル:1秒オンで5秒オフ、20%の増幅)。本発明者らは、溶解物を、即座に13,000rpm及び4℃で10分間遠心分離し、上記の緩衝液+0.35mM NaCl、及び0.5% n−ドデシル−β−D−マルトシドでペレットを可溶性にした。サンプルを再び、即座に13,000rpm及び4℃で10分間遠心分離して残屑を除去した。
【0131】
5HT1D受容体のPNGase F感受性N−グリカンの存在を評価するために、1% Igepal CA−630及び200UのPNGase F(社内生産)を添加した、又は酵素を含まないサンプルの50μlのアリコートを37℃で一晩インキュベートした。1/250に希釈したマウス抗−rho1D4一次抗体(University of British Columbia,Vancouver,Canada)を用いて免疫ブロット法でサンプルを分析した。
【0132】
シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、及びPNGaseFの消化並びにSDS−PAGE
本発明者らは、糖タンパク質を、40mMのβ−メルカプトエタノール及び0.5% SDSを含む50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈した。サンプルを、98℃で10分間インキュベートした。冷却後、1% Igepal CA630及び適切な酵素を添加した:100UのPNGaseF(社内生産)、200mUのアルスロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)シアリダーゼ(社内生産)、2mUのストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)β−1,4−ガラクトシダーゼ(Prozyme)、又はこれらの組み合わせ。サンプルを37℃で一晩インキュベートし、翌日にトリシンSDS−PAGEゲルで分析した。
【0133】
Thermofluorアッセイ
Thermofluorアッセイを、Ericsson et al.
17らに記載されているように行った。簡単に述べると、精製タンパク質を、緩衝液(GM−CSF用のPBS、及び抗CD20用のHis緩衝液−25mM ヒスチジン、125mM NaCl、pH6.00)及び20倍濃縮Syproオレンジ染料(DMSO中、5000倍溶液、life technologies,Paisley,UK)を含む溶液で適切なアッセイ容量(10〜20μl)に希釈した。各実験は、技術的トリプリケートとして行い、試験タンパク質を用いないトリプリケート空測定を含めた。温度の関数である蛍光を348ウェルLightcycler 480(Roche,Basel,Switzerland)で、0.01℃/秒の温度ランプ速度で25℃〜95℃まで記録した。
【0134】
あらゆる計算及び統計分析の前に、明らかな技術的な問題のあるデータセット(異常に高い初期蛍光、測定限界を超えた蛍光)を完全に排除した。融解温度を、各実験の3つのレプリケートの平均データ点にフィッティングされたBoltzmannS字形曲線のV
50値として計算した。曲線フィッティング手順では、最大の蛍光を超えたデータ点は排除した。2つ以上の融点を1つの実験から計算する場合は、融点の直下又は直上の温度における最小蛍光値及び最大蛍光値を含む適切なデータ点のサブセットを使用した。グラフ化では、生のデータセットを平均し、ブランク(平均)補正し、そして正規化した(最小値=0%、最大値=100%)。
【0135】
GM−CSFサンプルのために、平均T
mを、一連の独立した実験(大腸菌(E.coli):n=4、293S:n=3、293SGlycoDelete:n=3)から計算した。本発明者らは、平均T
mが統計的に有意に異なるか否かを、Kruskal−Wallis one−way ANOVA(P=0.05)及び複数の比較のためのDunn試験(α=0.05)によって試験した。
【0136】
MALDI糖ペプチドの分析
異なる細胞株のGM−CSF(20μL中、1〜4μgのタンパク質)に、10μLの3×トリシンゲルローディング緩衝液(1.5M Tris−HCl、pH8.45、35% グリセロール、10% SDS、0.01% クマーシー、及び30mM DTT)が補充され、98℃で10分間インキュベートした。3μLの500mM ヨードアセトアミドストックを添加し、サンプルを、暗室で1時間インキュベートした。本発明者らは、12% トリシンSDS−PAGEゲルでサンプルを分離し、バンドを切り出した。
【0137】
ゲル内トリプシン消化の詳細な方法は、次の通りである。ゲル片を50% アセトニトリル(ACN)で3回洗浄し、100% ACNで乾燥させ、そして100mM NH
4HCO
3中で再膨張させた。ゲル片を、スピードバック(speedvac)でさらに乾燥させた。750ngのトリプシン(Promega,Madison,WI,USA)を添加し、ゲル片を5分間再膨張させた。100mM NH
4HCO
3を全てのゲル片を覆うように添加し、バイアルを37℃で一晩インキュベートした。50μlの100mM NH
4HCO
3を各バイアルに添加し、サンプルをシェーカーで15分間インキュベートした。50μlの100% ACNを添加し、バイアルをシェーカーで15分間インキュベートした。上清を新しいバイアルに収集した。50% ACN中の50μlの5% ギ酸を添加し、バイアルをシェーカーで15分間インキュベートした。上清を収集した。5% ギ酸ステップをもう1回行った。サンプル毎に上清をプールし、スピードバックで乾燥させ、次いで、20μlの50mM リン酸緩衝液、pH7.0、及び1mM Pefabloc(Sigma−Aldrich)で元に戻した。
【0138】
本発明者らは、トリプシンペプチドを、酵素なし、50mUのα−2,3−シアリダーゼ(Takara Bio Inc.)、又は200mUのアルスロバクター・ウレアファシエンス(A.ureafaciens)シアリダーゼ及び2mUのストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)β−1,4−ガラクトシダーゼ(Prozyme)で処理した。全ての消化物を、37℃で24時間インキュベートし、スピードバックで乾燥させ、10μlの0.2% トリフルオロ酢酸(TFA)(Sigma−Aldrich)で元に戻し、製造者の取扱説明書に従ってC18 ZipTipピペット先端(Millipore)で清掃した。サンプルを、陽イオンモードの4800 MALDI TOF/TOF Analyzer(Applied Biosystems)で、0.1% TFAを含む50% アセトニトリルに浸漬された6−アザ−2−チオチミン(ATT)マトリックスを用いて分析した。報告されたm/z値が、技術的最適化のいくつかの反復で観察され、完全に最適化された実験結果が示されている。
【0139】
LC−MS/MS糖ペプチドの分析
本発明者らは、9μgの抗CD20を20μLの50mM リン酸緩衝液、pH7.0で希釈した。酵素なし、100mUのアルスロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)シアリダーゼ(社内生産)、又は2mUのβ−1,4−ガラクトシダーゼ(ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae))及び100mUのシアリダーゼを添加し、この混合物を37℃で4時間インキュベートした。サンプルを、2M 尿素、10mM DTT、50mM 重炭酸アンモニウム緩衝液で、60℃で30分間変性させた。20mMの濃度になるようにヨードアセトアミドを添加し、サンプルを暗室で30分間インキュベートした。次に、サンプルを1/50(w/w)トリプシン(Promega)で消化し、37℃で一晩インキュベートした。
【0140】
サンプルを、U3000−RSLCシステム(Thermo)のAcclaim PepMap 100分析カラム(L×ID 15cm×75μm、C18、3μm、100オングストローム)(Thermo)に300nL/分の流速で直接導入した。移動相は、H2O(溶媒A)中、0.1% HCOOH及びアセトニトリル(ACN)(溶媒B)中、0.1% HCOOHとした。サンプルを、30分の勾配、2%〜40%の溶媒Bで分離し、そして溶出ペプチドを、NanoSpray II ESI source(AB Sciex)を用いて4000 QTRAP質量分析計(AB Sciex)に直接噴霧した。選択反応モニタリング(SRM)法を使用して、グリコシル化ペプチドEEQYNSTYRを標的とし、トリプル四重極で、250ミリ秒の滞留時間を用いて次のSRM転位リストを順に測定した:Pep−GlcNAc:696.8(2+)/526.3(+)及び696.8(2+)/1189.5(+)(DP 81.9V、CE 39.8eV)、Pep−GlcNAc−Gal:777.8(2+)/526.3(+)及び777.8(2+)/1,189.5(+)(DP 87.8V、CE 43.9eV)、Pep−GlcNAc−Gal−Sial:923.4(2+)/526.3(+)及び923.4(2+)/1,189.5(+)(DP 98.4V、CE 51.2eV)。526.3−Da断片イオン(y4−ion, STYR)をクオンティファイアー(quantifier)として使用し、1,189.5−Da断片イオン(糖修飾基の喪失)をクオリファイアー(qualifier)として使用した。データの分析及び処理は、Skyline
25で行った。この実験は2回行った。実験の1つは、技術的デュプリケートとして行い、もう1つの実験は、技術的トリプリケートとして行った。
【0141】
シアル化及びガラクトシル化グリカンの比率
シアル化されたGlycoDeleteグリカンのパーセンテージを計算するために、本発明者らは、未消化(A
GalGlcNAcUndig及びA
GlcNAcUndig)及びα−2,3−シアリダーゼ消化(A
GalGlcNAcDig及びA
GlcNAcDig)GlycoDelete GM−CSFサンプルの両方のGal−GlcNAc−N(m/z=3622.3)及びGlcNAc−N(m/z=3460.2)糖ペプチドのMALDI MSスペクトルのピークの下の面積を抽出した。シアル化グリカンのパーセンテージを、以下の式に示されているように計算した。Gal−GlcNAc−Nピーク面積を、両方のスペクトルにおいてGlcNAc−Nピーク面積に対してまず正規化した。未消化サンプルから得られたGal−GlcNAc−Nピークの値を、シアリダーゼ消化サンプルからのGal−GlcNAc−Nピークの値から差し引いた。次いで、この差異を、消化サンプルのGlcNAc及びGalGlcNAcピークの合計正規化ピーク面積(N27又はN37を含む糖ペプチドの合計正規化ピーク面積)で除した。
【数1】
【0142】
ガラクトシル化されたGlycoDeleteグリカン(二糖)のパーセンテージを計算するために、同じデータセットを利用した。ガラクトシル化グリカンのパーセンテージは、以下の式に示されているように計算した。同様に、Gal−GlcNAc−Nのピーク面積を、シアリダーゼ消化サンプル及び未消化サンプルの両方でまず正規化した。次いで、未消化Gal−GlcNAc−Nピークの正規化ピーク面積を、消化サンプルのGlcNAc−Nピーク及びGal−GlcNAc−Nピークの合計正規化ピーク面積(N27又はN37を含む糖ペプチドの合計正規化ピーク面積)で除した。
【数2】
【0143】
GM−CSF生物活性実験及びTF1増殖アッセイ
TF1細胞(ATCC n° CRL−2003)を、RPMI 1640、10%(v/v) FBS、2mMのL−Gln、及び2ng/mLの組換えヒトGM−CSF中、37℃、5% CO2で維持した。アッセイを開始する前に、サイトカインを含まない培地で細胞を3回洗浄した。続いて、細胞を、サイトカインを含まない培地に戻し(200,000細胞/mL)、37℃で2時間放置した。
【0144】
アッセイの開始に当たって、細胞を、96ウェルプレートにプレーティングし(100μLの培地中、20,000細胞/ウェル)、異なる糖型のGM−CSFの段階希釈液(54ng/mL〜8pg/mL)を添加した。細胞を、28に記載のMTTアッセイ(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を行う前に48時間、72時間、及び96時間インキュベートした。簡単に述べると、20μlのMTT(5mg/mLストック)を各ウェルに添加し、インキュベートした。37℃で4時間後、80μLの停止液(0.01M HCl中、10% SDS)を添加し、プレートを、37℃で一晩さらにインキュベートした。最後に、595nmで光学密度を測定した。
図2dにプロットされたデータ点は、3つの技術的レプリケートの平均値を表している。エラーバーは標準偏差である。報告されたGM−CSF糖型間の差異は、これらの実験の技術的最適化のいくつかの反復で観察された。完全に最適化された生物活性実験の結果が示されている。
【0145】
ウサギの免疫
13〜16週齢のニュージーランドホワイト雄又は雌ウサギ(各抗原に対して2匹のウサギ、1匹のウサギの結果のみが
図7及び
図14に示されている)に、293S GM−CSF、GlycoDelete GM−CSF、293S抗CD20、又はGlycoDelete抗CD20を注射した。500μLの抗原溶液中の50μgの抗原(0.9% NaCl溶液で500μLまで希釈された50μgのタンパク質)+500μLの完全フロイントアジュバントを、0日目、14日目、28日目、及び56日目に皮下注射した。ウサギの採血を、0日目(免疫前採血)、38日目、66日目、及び80日目(最終採血)に行った。免疫は、CER Groupeによって行われ、CER Groupe倫理委員会によって承認された。
【0146】
GlycoDeleteタンパク質を用いた血清ELISA
グリコシダーゼ消化を上記のように行った。Maxisorpマイクロタイタープレートのウェルを、50μlのコーティング緩衝液(0.05M Na2CO3、0.05M NaHCO3、pH9.6)中、0.25μg/mLのGM−CSF又は0.15μg/mLの抗CD20でコーティングし(一晩、4℃)、PBS+0.1% Tweenで3回洗浄し、250mM グリシンを含むPBS中、1% BSAで、室温で2時間ブロックした。ブロッキング緩衝液を除去し、プレートを一晩乾燥させた。
【0147】
検出抗体(抗GM−CSFウサギ血清、最終採血;抗(抗CD20)ウサギ血清、最終採血)を、PBS+0.1% Tween20+0.1% ヤギ血清に添加し、室温で2時間インキュベートした。
【0148】
プレートを洗浄緩衝液で4回洗浄してから、ロバ抗ウサギHRP(1:2,000)(カタログ番号:NA934,GE Healthcare)をPBS+1% BSAに添加し、室温で1時間インキュベートした。
【0149】
本発明者らは、プレートを再び洗浄緩衝液で3回洗浄してから、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、BD OptEIA)基質(100μL/ウェル)を添加し、そしてプレートを室温で30分間インキュベートした。最後に、本発明者らは、50μLの停止液(2N H2SO4)を添加し、450nmで吸光度を測定した。
【0150】
GM−CSFでのELISAを、2つの生物学的レプリケート(2匹のウサギの免疫;
図7e、
図7f)を用いて1回行った。抗CD20でのELISAを、2つの生物学的レプリケート(2匹のウサギの免疫)を用いて1回行い、次いで、生物学的レプリケートの一方を、3つの技術的レプリケートで繰り返した。後者の実験の結果が
図14fに示されている。この図面にプロットされたデータ点は、3つの技術的レプリケートの平均値を表している。エラーバーは標準偏差である。
【0151】
抗CD20によるCD20の結合
Raji細胞のFc受容体を、抗CD32抗体IV.3(参照文献29)(社内生産)及びAT10(カタログ番号:MCA1075、AbD Serotec)を10μg/mLでブロックし、そして細胞を氷上で1時間インキュベートした。次に、細胞を96ウェルプレートにプレーティングし(105細胞/ウェル)、そして293S抗CD20又は293SGlycoDelete抗CD20を、10μg/mLから開始する希釈系列に添加した。細胞を、4℃で1時間インキュベートし、次いでPBS+2% BSAで2回洗浄した。抗CD20を検出するために、DyLight 649(カタログ番号:109−496−097、Jackson laboratories)にコンジュゲートした抗F(Ab)2二次抗体を、1:200の希釈で添加した。細胞を、再び4℃で30分間インキュベートし、PBS+2% BSAで2回洗浄した。細胞を固定するために、150μLの固定液(CellFIX,Becton Dickinson)を各ウェルに添加し、4℃で1時間インキュベートした。フローサイトメトリー(FACSCalibur,Becton Dickinson)によって二次抗体を検出した。
図3cにプロットされたデータ点は、3つの技術的レプリケートの平均値を表している。エラーバーは標準偏差である。この実験は2回行った。
【0152】
FcγR表面プラズモン共鳴実験
Biacore 2000 SPRバイオセンサー(GE Healthcare)を使用して、FcRnと様々な抗CD20糖型との相互作用をアッセイする。全ての実験を25℃で行った。CM5チップを、10μL/分の流速で、EDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド)及びNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)の溶液との7分間の架橋結合のために活性化させた。次に、10mM 酢酸緩衝液、pH5.0中、10μg/mLのストレプトアビジン(Roche)を、同じ流速で7分間固定し、1,180〜1,280共鳴単位(RU)の密度が得られた。固定後、チップを、1Mのエタノールアミンを7分間注入することによってブロックした。固定を終了させるために、チップを、20μLの40mM NaOH、1M NaCl緩衝液で3回洗浄した。
【0153】
hFcRNをストレプトアビジンセンサー表面に固定するために、HBS−EP緩衝液、pH8.0(GE Healthcare)でプライミングすることによってpHを8.0に上げた。ビオチン化hFcRn(NovImmuneで製造)30をHBS−EP緩衝液で希釈し、チップに固定した。次いで、システムを、pH6.0のHBS−EP緩衝液でプライミングした。
【0154】
IgGを、67nM〜2nMの異なる濃度で注入し、HBS−EP緩衝液、pH6.0で希釈した。各注入は、30μL/分の流速で3分間、毎回2連で行った。解離を12分間監視した。HBS−EP緩衝液、pH8.0を再生のために使用した。結果を、Langmuir 1:1フィッティングモデル(BIAeval software version 4.1)を用いて二重参照して分析した。
【0155】
競合ELISA
Maxisorpマイクロタイタープレートのウェルを、50μlのPBS中、コーティング抗体(FcγRI ELISAのための8μg/mLの抗イディオタイプ抗体;FcγRIIa及びFcγRIIbそれぞれのための16μg/mL及び10μg/mLのHz 15Cl、ヒト化抗TLR4 IgG1(NovImmune))を用いて4℃で一晩コーティングし、次いで、洗浄緩衝液(PBS+0.05% Tween)で5回洗浄し、各ウェルに付き、PBS中、250μlの3% BSAで、37℃で1時間ブロックした。ブロッキング後、プレートを、洗浄緩衝液で5回洗浄した。
【0156】
50μLの抗CD20を、50μLのHis標識FcγR((FcγRI、0.030μg/mL;FcγRIIaR、0.056μg/mL;FcγRIIb、1μg/mL(R&D Systems)と共に、希釈緩衝液(PBS+1% BSA)中、段階希釈でウェルに添加した。プレートを、37℃で1.5時間インキュベートし、そして洗浄緩衝液で5回洗浄した。HRP標識抗His抗体(カタログ番号:34660、Qiagen)を、希釈緩衝液中、1:2,000の希釈で添加し、そしてプレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液で5回洗浄してから、50μLのTMB super−slow(Diarect)基質を添加した。次いで、プレートを、暗室で30分間インキュベートした。最後に、50μLの停止液(2N H2SO4)を添加した。450nmでの吸光度を、Synergy HT plate reader(Biotek)で測定した。
【0157】
図14e(上3つのパネル)にプロットされたデータ点は、3つの技術的レプリケートの平均値を表している。エラーバーは、平均値の標準偏差である。293S産生抗体と293SGlycoDelete産生抗体との間の報告された差異は、これらの実験の技術的最適化のいくつかの反復で観察され、完全に最適化されたELISAの結果が示されている。
【0158】
バイオレイヤー干渉アッセイ
精製IgGのFcγRIIIaへのリアルタイム結合を、Octet RED96システム(Fortebio,Menlo Park,CA)でバイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて評価した。アッセイは、1mM リン酸塩、15mM NaCl、0.002%(vol/vol) Tween20、0.005%(wt/vol) アジ化ナトリウム、0.1mg/mL(wt/vol) BSA、pH7.4を含むキネティクス緩衝液中、30℃の温度で行った。ヘキサヒスチジンタグで標識されたFcγRIIIaV(R&D Systems,MN,USA)を、キネティクス緩衝液中、1.5μg/mLの濃度にした。受容体を、抗ペンタ−His バイオセンサー(Fortebio,Menlo Park,CA)で10分間捕捉した。リガンド濃度は、0.5nmであった。基準値シグナルは、キネティックス緩衝液中、2分間のインキュベーションで安定した。
【0159】
第1の結合アッセイを、キネティクス緩衝液中、50μg/mlの単一濃度のIgGで行った。会合と解離を5分間監視した。センサーを10mM グリシン pH3.0 緩衝液で20秒間インキュベートし、続いてキネティクス緩衝液中で20秒間のインキュベーションによって再生を行った。これらのインキュベーションは、完全な再生を達成するために2回繰り返した。
【0160】
キネティクス実験のために、FcγRIIIaV被覆バイオセンサーを、333nM〜19.3nMの濃度のIgGと共にインキュベートした。2分間のベースライン状態の後、キネティクス緩衝液中、5分間の会合相及び15分間の解離相を続けた。上記のように再生を行った。親和性を、定常状態モデルを用いて平衡状態で決定した。全ての分析を、ForteBio Data Analysisソフトウェア(Fortebio,Menlo Park,CA)を用いて行った。
【0161】
ADCCアッセイ
末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll管(Vacutainer tube CPT,Becton Dickinson)での遠心分離後に新鮮な血液から単離した。ナチュラルキラー(NK)細胞を、陰性NK細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いてPBMCプールから単離した。これらの細胞を、増殖培地(RPMI 1640+10% FBS+2mM グルタミン)+10ng/mL IL−2中、一晩活性化させた。
【0162】
Raji細胞を、20,000細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。25μLの抗CD20抗体のサンプルを、5μg/mLから開始する(ADCC培地:RPMI 1640+1% BSA+2mM グルタミン+25μg/mL ゲンタマイシンでの)1:5希釈系列に添加した。次いで、プレートを、37℃及び5%CO2で30分間インキュベートした。NK細胞を、1:5(Raji/NK)の比率でRaji細胞に添加し、そしてプレートを、37℃及び5%CO2で4時間インキュベートした。最後に、本発明者らは、各ウェルの乳酸脱水素酵素(LDH)レベルを測定することによって特定の溶解を決定した(Cytotoxicity Detection Kit PLUS,Roche)。
【0163】
図14e(底部)のデータ点は、3つの技術的レプリケートの平均値を表している。エラーバーは、標準偏差である。報告されたプロフィールは、これらの実験の技術的最適化のいくつかの反復で観察され、完全に最適化された実験の結果が示されている。
【0164】
薬物動態
36匹の雌の8週齢のC57BL/6Jマウス(Charles River)の2つの群を、18.5μg(1mg/体重kg)の293S抗CD20又は293SGlycoDelete抗CD20のいずれかを静注するために無作為に割り当てた。各時点(1時間、24時間、48時間、4日目、7日目、10日目、14日目、21日目、及び28日目)で、1つの処置群に付き4匹のマウスを、最終採血のために屠殺し、抗CD20の濃度を、製造者の取扱説明書に従って、FastELYSAヒトIgGキット(RD−Biotech)を用いて決定した。
図14gに示されているデータ点は、各時点の(4匹のマウスの)平均値である。エラーバーは、平均値の標準偏差である。この実験は、注射後の早い時点での採血で繰り返した(
図17を参照)。実用的な理由から、研究者は、マウスの処置群割り当てについて非盲検とした。この実験は、Ghent University(Belgium)及びジュネーブのCantonal Veterinary Office(Switzerland)の倫理委員会によって承認された。
【0165】
pCAGGS−s−endoT、pCAGGS−GM
2S−endoT、及びpCAGGS−ST−endoTの構築
シグナル配列を含まないendoTコード配列
3を、PCRプライマーPR1及びPR4(ST−endoT用)、PR2及びPR4(GM
2S−endoT用)、又はPR3及びPR4(「endoT」用)を用いて、フルサイズのendoTコード配列を含むpUC19クローニングベクターから増幅した。全てのプライマー配列は、補足事項2に記載されている。ST6GalI
4(ST−endoT用)及びB4GALNTI
5(GM
2S−endoT用)のN末端部分のコード配列を、それぞれプライマーPR5、PR6、及びPR7、PR8を用いて、ヒトヘパトームG2 cDNAライブラリーから増幅した。シグナル配列を含まないST−endoT、GM
2S−endoT、及びendoTを作製するための各融合PCR反応をそれぞれ、PR5及びPR4、PR7及びPR4、並びにPR3及びPR4を用いて準備した。続く、XhoI及びBsu36Iを用いる融合PCR産物ST−endoT、GM
2S−endoT、及びendoTの消化、並びにXhoI及びBsu36Iで消化された脱リン酸化pCAGGSプラスミドへのライゲーションにより、pCAGGS−ST−endoTプラスミド及びpCAGGS−GM
2S−endoTプラスミドを得た。s−endoT構築物のdsDNAシグナル配列を、オリゴヌクレオチドPR9及びPR10のアニーリングによって作製した。pCAGGS−endoTプラスミドを、XhoI及びKpnIで消化した。続く、アダプターのプラスミドへのライゲーションにより、pCAGGS−s−endoTプラスミドを得た。
【0166】
トランスフェクション及びサンプルの調製
細胞を、上記のようにトランスフェクトした(オンライン法を参照)。pCAGGS−s−endoT、pCAGGS−GM
2S−endoT、又はpCAGGS−ST−endoTでのトランスフェクションの3日後に、細胞及び上清を回収した。細胞溶解物を得るために、細胞を、1000rpmでの遠心分離によって収集し、PBSで1回洗浄した。細胞溶解物を、約100万の細胞を500μlのRIPA緩衝液(150mM 塩化ナトリウム、1.0% Igepal CA−630、0.5% デオキシコール酸ナトリウム、0.1% ドデシル硫酸ナトリウム、及び50 mM Tris、pH8.0)と共に回転台で、4℃で30分間インキュベートし、続いて14,000rpmで10分間遠心分離し、不溶性物質を廃棄することによって調製した。20μlのサンプルに、5μlの5倍SDS−PAGEローディング緩衝液(8.3% SDS、41.7% グリセロール、0.1% ブロモフェノールブルー、208mM Tris−HCl、pH6.8、及び65mM ジチオスレイトールが添加されて新鮮)を補充し、10分間煮沸した。
【0167】
細胞培養上清の500μlのサンプルを、微量遠心機で14,000rpmで10分間遠心分離し、2倍量の氷冷アセトンの添加によりアセトン沈殿させ、そして氷上での30分間のインキュベーションによって澄ませた。沈殿したサンプルを、微量遠心機で14,000rpmで10分間遠心分離し、上清を廃棄した。80μlの超純水及び20μlの5倍SDS−PAGEローディング緩衝液の添加によってペレットを溶解し、続いて煮沸して再び溶解してタンパク質ペレットを変性させた。
【0168】
免疫ブロット法
細胞溶解物又は上清のサンプルの25μlのアリコートを、免疫ブロット法によってendoT融合タンパク質の存在について分析した。特注のendoT酵素に対するウサギポリクローナル抗体(CER groupe,Departement Sante,Marloie,Belgium)を用いて間接的な検出を行った。抗原は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)で作製され、本発明者らの研究室で以前に精製されたendoTとした。最終抗原調製物は、リン酸緩衝生理食塩水中、1mg/ml 抗原とした。二次抗体を、IRDye 680ヤギ抗ウサギIgG(LI−COR Biosciences,Lincoln,NE,USA)とした。C末端処理を評価するために、同じブロットを、mycタグに対するマウス一次抗体(Life Technologies,Paisley,UK)及びIRDye 800ヤギ抗マウスIgG二次抗体(LI−COR Biosciences,Lincoln,NE,USA)で精査した。
【0169】
endoT融合タンパク質によってin vivoでの脱N−グリコシル化を評価するために、penta−HisタグでC末端が標識された、Flt3受容体細胞外ドメイン(Flt3ECD)を安定的かつ誘導的に発現する293SGnTI−/−細胞(Prof.Dr.S.Savvides,UGhentによって親切に提供された細胞)、又はRho1D4タグでC末端が標識された、5−ヒドロキシトリプトアミン受容体1D(5HT1D)(安定した5HT1D細胞株の単離、添付の
図5の方法を参照)を安定的かつ誘導的に発現する293SGnTI−/−細胞に、融合構築物を一過性にトランスフェクトした(トランスフェクション、オンライン法を参照)。産生細胞株を、endoT融合構築物又は空プラスミドでトランスフェクトし、2μg/ml 組織培養グレードのテトラサイクリン及び5mM 酪酸ナトリウム(共にSigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA)で誘導した。上清(Flt3ECDの生産用)を、トランスフェクション/誘導の48時間後及び72時間後に回収する、又は細胞(5HT1Dの生産用)を、トランスフェクション/誘導の72時間後に回収した。
【0170】
Flt3ECDの場合は、細胞上清の20μlのアリコートをSDS−PAGEにかけ、Flt3の処理を、ウエスタンブロット法によって分析した。一次抗体は、マウス抗penta−hisタグ(Qiagen,Hilden,Germany)とし、二次抗体は、HRPに結合した抗マウスIgG(GE Healthcare Biosciences,Pittsburgh,PA,USA)とした。
【0171】
5HT1Dの場合は、細胞を、1000rpmでの遠心分離及びPBSでの1回の洗浄によって収集した。細胞溶解物を、約100万の細胞を500μlのRIPA緩衝液と共に回転台で、4℃で30分間インキュベートし、続いて14,000rpmで10分間遠心分離し、そして不溶性物質を廃棄することによって調製した。20μlのサンプルに、5μlの5倍SDS−PAGEローディング緩衝液を添加し、10分間煮沸し、そして10% SDS−PAGEゲルにかけた。ウエスタンブロット分析を、一次マウス抗Rho1D4抗体(University of British Columbia)及びHRPに結合した二次抗マウスIgGを用いて行った。
【0172】
endoT発現クローン及び293SGnTI−/−細胞の初期分裂(#+8)の両方を、上昇するConA濃度:0〜22μg/mlの存在下、30,000細胞/ウェルで24ウェルプレートにプレーティングした。ConAは、分裂時に迅速に添加した。ConAを含まないウェルの細胞がコンフルエンスまで増殖したら、終点を顕微鏡で決定した。終点は、増殖を≦10%コンフルエンスのウェルまで低下させたConAの濃度のときに位相差顕微鏡によって決定した。endoT発現の長期安定性を評価するために、後期分裂細胞(#+28)を、初期分裂細胞(#+8)と比較した。
【0173】
EndoT CDSの検証
CDSの存在を検証するために、ゲノムDNAを、製造者の取扱説明書に従って、Gentra Puregene Core kit A(Qiagen,Hilden,Germany)を用いて293SGlycoDelete細胞株及び293SGnTI−/−細胞株の両方の約100万の細胞から調製した。タッチダウンPCR反応を、各50μlの反応に対する約10ngのゲノムDNA及びプライマーPR11及びPR12を利用するPhusion(登録商標)High−Fidelity DNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Ipswich,MA,USA)で行った。PCRサイクリングは、2サイクルごとに1℃で、67℃〜64℃に下げられ、64℃で30サイクル維持される(合計36サイクルとなる)プライマーアニーリング温度を用いるタッチダウンプロトコルとした。PCR産物を、製造者の取扱説明書に従って、DNA−500試薬キット(Shimadzu Corporation,Kyoto,Japan)を利用するShimadzu MultiNAマイクロチップDNA/RNA電気泳動システムで分析した。
【0174】
EndoT融合タンパク質の検証
ST−endoTタンパク質の発現を、ウエスタンブロット法によって評価した。方法は、二次抗体がIRDye 800ヤギ抗ウサギIgG抗体(LI−COR Biosciences,Lincoln,NE,USA)であった点を除いて、添付の
図1に示されている方法と同じである。
【0175】
293S GM−CSFのDSA−FACE分析
N−結合オリゴ糖を、96ウェルプレート膜プレートのウェルのPVDF膜へのブロット時に精製タンパク質から調製し、上記
6のABI 3130キャピラリーDNAシーケンサーを用いる、レーザー誘導蛍光検出器付きキャピラリー電気泳動法(CE−LIF)によって分析した。
【0176】
【表5】
【0177】
【表6】
【0178】
【表7】
【0179】
【表8】
【0180】
【表9】
【0181】
【表10】
【0182】
【表11】
【0183】
【表12】
【0184】
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