(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553045
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】特に自動車両用の表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20190722BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20190722BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20190722BHJP
B60K 37/06 20060101ALI20190722BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 362
B60R11/02 C
B60K35/00 Z
B60K37/06
G09F9/00 366A
G09F9/00 313
G06F3/041 450
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-541124(P2016-541124)
(86)(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公表番号】特表2017-503202(P2017-503202A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】FR2014000294
(87)【国際公開番号】WO2015092170
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月18日
(31)【優先権主張番号】1303043
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】アンリ、ベロー
【審査官】
佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/131192(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0038542(US,A1)
【文献】
特開2006−053241(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2009−0064147(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K35/00 −37/06 、
B60R 9/00 −11/06 、
G06F 3/03 、 3/041− 3/047、
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車両用の表示装置であって、
− 表示領域(21)及び外側部分(22)を有する前面を有する表示スクリーン(2)と、
− 前記表示スクリーンの前方に配置されたタッチパネル(5)と、
− 前記表示スクリーン(2) とタッチパネル(5)との間に配置されて前記表示スクリーン(2)の周縁の全域を覆う外枠(3)であって、前記外枠(3)は側部及び横方向延伸部を有するL字形を有し、前記外枠(3)の前記側部が前記表示スクリーン(2)の側面に沿って延び、前記外枠(3)の前記横方向延伸部が前記表示スクリーン(2)の前記外側部分(22)の全域および前記表示スクリーン(2)の前記表示領域(21)の一部分を覆って延びている、前記外枠(3)と、
− 前記タッチパネル(5)と前記外枠(3)との間において前記外枠(3)の前方に配置された第1不透明マスク(4)であって、前記外枠(3)の前記横方向延伸部の全域を覆うとともに、前記外枠(3)の前記横方向延伸部を越えて前記表示スクリーンの表示領域(21)の一部分を覆うように延びて、前記外枠(3)を覆い隠す、前記第1不透明マスク(4)と、
− 前記第1不透明マスク(4)の前方であってかつ前記タッチパネル(5)の前方に配置された第2不透明マスク(6)であって、少なくとも前記タッチパネル(5)の縁から延びて前記タッチパネル(5)の前面の外側部分を覆い隠している、前記第2不透明マスク(6)と、
を備え、
前記第2不透明マスク(6)は、前記外枠(3)の横方向に延伸する表面の一部を覆うように延び、
前記第1不透明マスク(4)は、前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央の方向へ前記第2不透明マスク(6)を越えて延びており、これにより、前記第1不透明マスク(4)における前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央に最も近い点(42)と、前記第2不透明マスク(6)における前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央に最も近い点(62)とを結ぶ直線(P2)が、前記第1不透明マスク(4)における前記表示スクリーンの前記前面の中央に最も近い点(42)の所での前記表示スクリーン(2)の前面に対する法線(P0)と、0°以上55°以下の角度(β)を成している、表示装置。
【請求項2】
前記表示スクリーン(2)の前面、前記タッチパネル(5)の前面、並びに前記第1および第2不透明マスク(4,6)は、実質的に平坦であって互いに平行である、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1不透明マスク(4)における前記表示スクリーンの前記前面の中央に最も近い点(42)と、前記第2不透明マスク(6)における前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央に最も近い点(62)とを結ぶ直線(P2)が、前記第1不透明マスク(4)における前記表示スクリーンの前記前面の中央に最も近い点(42)の所での前記表示スクリーン(2)の前面に対する法線(P0)と、15°以上55°以下の角度(β)を成している、請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1不透明マスク(4)における前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央に最も近い点(42)と、前記外枠(3)における前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央に最も近い点(32)とを結ぶ直線(P1)が、前記第1不透明マスク(4)における前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央に最も近い点(42)の所での前記表示スクリーン(2)の前面に対する法線(P0)と、10°以上55°以下の角度(α)を成している、請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示スクリーン(2)が固定されるケーシング(1)を更に備えている、請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2不透明マスク(6)は、前記ケーシング(1)の少なくとも一部を覆うように配置されている、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記タッチパネル(5)は静電容量式または抵抗式である、請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2不透明マスク(6)と前記タッチパネル(5)の前面との上に配置された透明シート(7)を更に備えている、請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1および第2不透明マスク(4,6)は、スクリーン印刷によってガラス上に被着されている、請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2不透明マスク(6)は、スクリーン印刷によって前記透明シート(7)上に被着されている、請求項8または請求項8に従属する請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1不透明マスク(4)は、スクリーン印刷によって前記タッチパネル(5)の後面上に被着されている、請求項9または10記載の表示装置。
【請求項12】
特に自動車両用の表示装置であって、
− 表示領域(21)及び外側部分(22)を有する前面を有する表示スクリーン(2)と、
− 前記表示スクリーンの前方に配置されたタッチパネル(5)と、
− 前記表示スクリーン(2) とタッチパネル(5)との間に配置されて前記表示スクリーン(2)の周縁の全域を覆う外枠(3)であって、前記外枠(3)は側部及び横方向延伸部を有するL字形を有し、前記外枠(3)の前記側部が前記表示スクリーン(2)の側面に沿って延び、前記外枠(3)の前記横方向延伸部が前記表示スクリーン(2)の前記外側部分(22)の全域および前記表示スクリーン(2)の前記表示領域(21)の一部分を覆って延びている、前記外枠(3)と、
− 前記タッチパネル(5)と前記外枠(3)との間において前記外枠(3)の前方に配置された第1不透明マスク(4)であって、前記外枠(3)の前記横方向延伸部の全域を覆うとともに、前記外枠(3)の前記横方向延伸部を越えて前記表示スクリーンの表示領域(21)の一部分を覆うように延びて、前記外枠(3)を覆い隠す、前記第1不透明マスク(4)と、
前記第1不透明マスク(4)の前方であってかつ前記タッチパネル(5)の前方に配置された第2不透明マスク(6)であって、少なくとも前記タッチパネル(5)の縁から延びて前記タッチパネル(5)の前面の外側部分を覆い隠している、前記第2不透明マスク(6)と、
を備え、
前記第1不透明マスク(4)は、スクリーン印刷によって前記タッチパネル(5)の後面上に被着されており、
前記第1不透明マスク(4)は、前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央の方向へ前記第2不透明マスク(6)を越えて延びており、これにより、前記第1不透明マスク(4)における前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央に最も近い点(42)と、前記第2不透明マスク(6)における前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央に最も近い点(62)とを結ぶ直線(P2)が、前記第1不透明マスク(4)における前記表示スクリーンの前記前面の中央に最も近い点(42)の所での前記表示スクリーン(2)の前面に対する法線(P0)と、0°以上55°以下の角度(β)を成している、表示装置。
【請求項13】
前記第1および第2不透明マスク(4,6)は、前記表示スクリーン(2)の前記前面の中央の方向へ前記外枠(3)を越えて実質的に同様に伸びている、請求項12記載の表示装置。
【請求項14】
請求項1から13のうちのいずれか一項に記載の表示装置を備えた自動車両のダッシュボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車やトラックなどの自動車両用の表示装置に関する。とりわけ本発明は、自動車のナビゲーション・システムやオンボード・コンピュータのための表示装置に関する。本発明はまた、本発明による表示装置を備えた自動車両のダッシュボードにも関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両には、タッチパネル付の表示装置を備えたヒューマン・マシン・インターフェイス類がますます備え付けられている。このタイプの装置は、自動車両における諸機能が制御されること、および使用者に役立つ情報が表示されることを可能とする。
【0003】
このタイプの表示装置は、少なくとも1つの表示スクリーンと、タッチパネルとを備えている。表示スクリーンは一般的に、ケーシングに固定されている。
【0004】
表示スクリーンは典型的には、電子素子類によってアドレスされる表示領域を備えている。電子素子類は、表示スクリーンの外側部分に配置され、一般的には、組立体を一緒に保持する金属枠によって覆い隠される。これらの「技術的部分」とも呼ばれる電子素子類は、電気配線部、半田付けされたケーブル、および/または電子回路を包含し得る。
【0005】
従来の諸構成においては、金属枠の一部が、表示スクリーンの前面上に伸びている。表示装置の使用者に金属枠が見えてしまうのは、特に美観上の理由で望ましくない。
【0006】
特定の表示装置は、外縁部に追加的な装飾枠を備えたケーシングを具備している。その装飾枠は、表示の外縁部を覆い、かくして金属枠や、表示装置の別の技術的要素を覆い隠すものである。
【0007】
他の従来技術の表示装置は、金属枠を覆い隠す単一の(一般的には黒色の)不透明マスクを備えている。
【0008】
しかしながら、このタイプの追加的な装飾枠や単一のマスクは、表示スクリーンにおける前面の中央の方向へ相当の距離を伸び、画像の一部をも使用者から覆い隠してしまう。特に、これは表示装置の前面に対して斜めに位置する使用者たちに当て嵌まる。自動車両の状況においては、斜めの位置は、最もありがちな使用者の位置なのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、表示スクリーンの全ての表示領域を使用者が見ることを可能としながら、表示スクリーンの技術的な諸要素および/または金属枠が覆われることを可能とする表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために本発明は、特に自動車両用の表示装置であって、
− 表示スクリーンと、
− 表示スクリーンの前方に配置されたタッチパネルと、
− 表示スクリーンにおける前面の一部の上に配置された外枠と、
− タッチパネルと外枠との間に配置されて、当該外枠を覆うように、表示スクリーンにおける前面の中央の方向へ外枠を越えて伸びる第1不透明マスクと、
− タッチパネルの前方に配置されて、第1マスクの前方に配置されたタッチパネルの前面の外側部分を覆う第2不透明マスクと、
を備え、
第1マスクは、スクリーンにおける前面の中央の方向へ第2マスクを越えて伸びている、表示装置に関するものである。
【0011】
互いに相対的にずらされた2つのマスクの使用によって、使用者が表示スクリーンの全ての表示領域を見ることができるようにしながら、外枠を覆うことが可能となることが有利である。単一のマスクで同様の覆い隠しを得るには、当該マスクがタッチパネルの前方に、即ち:本発明による第1マスクよりも外枠から遠く配置されねばならないであろうし、従って本発明による第1マスクよりもスクリーンにおける前面の中央の方向へ更に伸びることになるであろう。単一のマスクは従って、スクリーンの画像の一部を覆ってしまうのである。
【0012】
本発明による装置はまた、個別に、或いは技術的に可能な任意の組み合わせで考えられる、以下の特徴のうち1つないし複数を備えていてもよい:
− 表示スクリーンの前面、タッチパネルの前面、並びに第1および第2マスクは、実質的に平坦であって互いに平行であること;および/または、
− 当該表示装置の少なくとも1つの断面において、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点と、第2マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点とを結ぶ直線が、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点の所でのスクリーンの前面に対する法線と、10°以上55°以下の角度を成していること;および/または、
− 当該表示装置の少なくとも1つの断面において、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点と、外枠における表示スクリーンの前面の中央に最も近い点とを結ぶ直線が、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点の所でのスクリーンの前面に対する法線と、10°以上55°以下の角度を成していること;および/または、
− 当該表示装置は、表示スクリーンが固定されるケーシングを更に備えていること;および/または、
− 第2マスクは、ケーシングの少なくとも一部を覆うように配置されていること;および/または、
− タッチパネルは静電容量式または抵抗式であること、および/または、
− 当該表示装置は、第2マスクとタッチパネルの前面との上に配置された透明シートを更に備えていること;および/または、
− 不透明マスクは、スクリーン印刷によってガラス上に被着されていること;および/または、
− 第2不透明マスクは、スクリーン印刷によって透明シート上に被着されていること;および/または、
− 第1マスクは、スクリーン印刷によってタッチパネルの後面上に被着されていること。
【0013】
本発明はまた、特に自動車両用の表示装置であって、
− 表示スクリーンと、
− 表示スクリーンの前方に配置されたタッチパネルと、
− 表示スクリーンにおける前面の一部の上に配置された外枠と、
− タッチパネルと外枠との間に配置されて、当該外枠を覆うように、表示スクリーンにおける前面の中央の方向へ外枠を越えて伸びる第1不透明マスクと、
を備え、第1不透明マスクは、スクリーン印刷によってタッチパネルの後面上に被着されている、表示装置にも関する。
【0014】
本発明による装置はまた、個別に、或いは技術的に可能な任意の組み合わせで考えられる、以下の特徴のうち1つないし複数を備えていてもよい:
− 当該装置は、タッチパネルの前方に配置されて、第1マスクの前方に配置されたタッチパネルの前面の外側部分を覆う第2不透明マスクを更に備え、第1および第2マスクは、スクリーンにおける前面の中央の方向へ外枠を越えて実質的に同様に伸びていること;および/または、
− 第1マスクは、スクリーンにおける前面の中央の方向へ第2マスクを越えて伸びていること;および/または、
− 表示スクリーンの前面、タッチパネルの前面、並びに第1および第2マスクは、実質的に平坦であって互いに平行であること;および/または、
− 当該表示装置の少なくとも1つの断面において、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点と、第2マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点とを結ぶ直線が、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点の所でのスクリーンの前面に対する法線と、10°以上55°以下の角度を成していること;および/または、
− 当該表示装置の少なくとも1つの断面において、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点と、外枠における表示スクリーンの前面の中央に最も近い点とを結ぶ直線が、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点の所でのスクリーンの前面に対する法線と、10°以上55°以下の角度を成していること;および/または、
− 当該表示装置は、表示スクリーンが固定されるケーシングを更に備えていること;および/または、
− 第2マスクは、ケーシングの少なくとも一部を覆うように配置されていること;および/または、
− タッチパネルは静電容量式または抵抗式であること。
【0015】
本発明はまた、本発明による表示装置を備えた自動車両のダッシュボードにも関する。
【0016】
本発明は、その実施の(非限定的な例として与えられる)以下の説明を読み取ることで、また添付図面を考察することによって、より良好に理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図2の表示装置の軸線II−IIに沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の文脈では、表示装置のある要素の「前面」によって意味するものは、使用時において表示装置の最終使用者に最も近い当該要素の表面である。
【0019】
本発明の文脈では、使用時において第1の要素が第2の要素よりも表示装置の最終使用者に近いとき、第1の要素は第2の要素の「前方」に置かれている。
【0020】
本発明の文脈では、「面の外側部分」によって意味するものは、この面の縁部に位置した部分、換言すれば、この面の中央の側に置かれた面の中央部分に対するものとしての、面の外周に最も近い部分である。
【0021】
本発明の文脈では、「面の中央」によって意味するものは、当該面の外周の、内側に内接する円の中心、または周囲に外接する円の中心である。
【0022】
図2を参照すると、本発明による表示装置10は、ケーシング1と表示スクリーン2とを備えている。
【0023】
ケーシング1は、略平行六面体形状であって、各側壁と、後壁と、前壁とを有していることが好ましい。ケーシング1の前壁は、透明ないし半透明のシート7、例えばスモーク加工されたシートの形態をとり得る。この透明シート7は、それを通して使用者に表示スクリーン2の表示が見えるように設置されている。
【0024】
透明シート7は多くの場合、ケーシング1の各側壁に対して、例えば接着剤8によって固定されている。特に、透明シート7は、ガラス、プラスチック、或いは当業者に知られた他のどのような同等の材料で出来ていてもよい。そのシートは、表示装置10の諸要素を保護するのに役立ち得る。それは例えば、ケーシングの中へ塵埃が入るのを防止するためである。シート7は、本発明による表示装置を補剛したり装飾したりする機能をも有している。シート7は、表示装置における目に見えて触れられる要素となっている。
【0025】
ケーシングの内部には、表示スクリーン2が固定されている。表示スクリーン2は、TFT、LCM、LCD、またはOLEDのスクリーンであってよい。
【0026】
表示スクリーン2の前面は、表示領域21と、外側部分22とを備えている。
【0027】
表示スクリーン2は、その後面を介してケーシング1に固定されていることが好ましい。表示スクリーンはまた、(シート7に剛性がある場合には)接着性接合によってシート7の下に吊り下げられたり、バネや発泡体などの弾性要素の影響を受けてシートに押し付けられたりしていてもよい。
【0028】
表示スクリーン2の前面における外側部分22の一部の上に、外枠3が伸びている。
【0029】
外枠3は、表示スクリーンの各側面のうち1つの上にも設置されていてよい。外枠3は、表示スクリーンの機能(例えばアドレッシング)を確保する技術的要素の組を覆っている。この(一般的にはベゼルと呼ばれる)外枠3ないし装飾枠は、スクリーンの外周上に設置されて、その各端面を保護する。
【0030】
典型的には、外枠3は、薄さを保ちつつ、表示スクリーンの優れた機械的保護を可能とするため、またスクリーンの縁部上に配置された電子回路や配線部を静電気放電から保護するための材料で出来ている。ガラスの引っ掻き傷を防ぐため、外枠とスクリーンの表面との間にシールが配置されるのが一般的である。
【0031】
表示装置10は、表示スクリーンの前方に配置されたタッチパネル5を更に備えている。タッチパネル5は、表示スクリーン2と透明シート7との間に配置されている。タッチパネル5は、表示スクリーンの表示領域21の全体に渡って広がっていることが好ましい。タッチパネルは、表示スクリーンに対して相対的に固定的に配置されていることが好ましい。タッチパネル5は、抵抗式や静電容量式のものであってよい。
【0032】
透明シート7は、タッチパネル5の一面に渡って広がっている。
【0033】
図2に示すように、本発明による表示装置10は、タッチパネル5と表示スクリーン2との間に配置された第1不透明マスク4を備えている。第1マスク4は、表示スクリーンの前面における外側部分の一部を覆うように配置されている。
【0034】
第1マスクは、表示スクリーンの前面の外側部分における、少なくとも外枠3の配置される部分を覆うように配置されていることが好ましい。
【0035】
「(表)面の一部(分)を覆う」によって意味するものは、不透明マスクで当該部分を覆い隠すことによって、使用時に表示装置の最終使用者に当該部分が見えないようにする、という事である。
【0036】
表示装置10はまた、タッチパネルの前方に配置されて、第1マスク4の前方に配置されたタッチパネルにおける前面の前方の外側部分を覆う第2不透明マスク6をも備えている。
【0037】
第1マスク4は、スクリーンにおける前面の中央の方向へ第2マスク6を越えて伸びている。そのような構成によって、表示スクリーンの前面における表示部分の(とりわけ斜めから見たときの)最大限の視認性を使用者が有することを保証しつつ、表示スクリーンの外側区域の部分を覆うことが可能となって有利である。
【0038】
実際には、本発明による装置の第1および第2マスクは、薄い不透明層である。
【0039】
本発明の好適な一実施形態によれば、表示スクリーンの前面、タッチパネルの前面、並びに第1および第2マスクは、実質的に平坦であって互いに平行である。同様に、透明シートは、平坦であって、表示スクリーンの前面に対して実質的に平行であることが好ましい。
【0040】
図2に示すように、表示装置10の少なくとも1つの断面において、第1マスク4は、表示スクリーンにおける前面の中央の方向へ外枠3を越えて、第1の点42まで伸びている。
【0041】
特に、
図1で分かり得るように、表示装置の少なくとも1つの断面において、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点42と、第2マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点62との間の直線P2を定義することができる。
【0042】
直線P2は、表示装置10に対して斜めに位置した使用者の入射視覚経路を表す。
【0043】
また、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点42と、外枠における表示スクリーンの前面の中央に最も近い点32との間の直線P1も定義することができる。
【0044】
まさに上記のように、直線P1は、表示装置に対して斜めに位置した使用者の入射視覚経路を表す。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、表示装置は、直線P2と、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点42の所でのスクリーンの前面に対する法線P0との間の角度βが、0°以上(例えば10°以上、例えば15°以上)55°以下(例えば45°以下)であるように構成される。
【0046】
同様に、本発明の別の実施形態によれば、表示装置は、直線P1と、第1マスクにおける表示スクリーンの前面の中央に最も近い点42の所でのスクリーンの前面に対する法線P0との間の角度αが、10°以上(例えば15°以上)55°以下(例えば45°以下)であるように構成される。
【0047】
それらのようなαおよびβの値は、斜めに位置した使用者が、概して光沢のある外枠3の縁部を知覚してしまうことを防止する。
【0048】
また、斜め方向の使用者は、表示領域21の縁部の最大限を知覚する。
【0049】
一般的に外枠3の縁部32よりも画像の方が極めて僅か(1から2mm)だけ小さいという事実を利用して、点32が第1マスク4の位置の許容偏差を吸収するようにも定置されることとなる、即ち、第1マスク4が表示スクリーンにおける前面の中央の方向へ必要よりも少しだけ多く伸びるのが有利である。
【0050】
第2マスクのようにタッチパネルの前方に配置された単一のマスクで同じ角度αを得るには、当該マスクは、スクリーンの中央の方向へ第1マスク4よりも長く伸びなくてはならず、かくして表示領域21の一部を覆ってしまうであろう、ということが明らかであることとなる。
【0051】
かくして、第1マスク4は枠の最適な覆い隠しを可能とし、第2マスク6は悪くとも表示領域21の縁部の視認を許容する。特に、マスク4は、視野をできるだけ少ししか縮小させないよう、外枠3にできるだけ近く配置される。
【0052】
図2に示すように、タッチパネルは、1つないし複数の接着剤層8によって、外枠に対して接着性接合され得る。同じことが、ケーシングに対して固定される透明シート7にも当て嵌まる。
【0053】
透明シート7は、その透明シート7からの寄生反射を制限する偏光材9で被われていてもよい。
【0054】
表示スクリーン2は、この場合、連結要素11によってケーシングに固定され、好ましくはケーシングにネジ止め(図示せず)される。
【0055】
第1および/または第2マスクは、不透明であり、また画像を枠内に収める縁を形成するために、装飾と調和したり対照をなしたりする灰色や黒色の単色ないし複数色のものであってよく、或いは、ぼかされていてもよい。
【0056】
本発明による装置の製造は、上述したように配置されるよう第1および第2マスクの位置が定められる段階を含んでいる。一実施形態によれば、それらのマスクはガラス上へのスクリーン印刷によって作られてよい。
【0057】
このスクリーン印刷法によって、薄い層の形態をとるマスクを、透明シート7および/またはタッチパネル5上に、精確で、複写可能に、かつ低コストで作り出すことが可能となる。
【0058】
もちろん本発明は、説明した各実施形態に限定されるものではなく、依然として特許請求の範囲の範囲内にありながら他の諸変形例へ拡張されるものである。
【0059】
本明細書において、用語「備えている/備えた/備え(comprising)」は他の諸要素を除外するものではなく、不定冠詞「ある(a)」や「1つの/一(one)」は複数を除外するものではない。様々な特徴が様々な従属請求項で一緒に引用されているという単純な事実は、これらの特徴の組み合わせを有利に用いることができない、ということを示すものではない。
【0060】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、本発明の範囲を制限するものとして解釈してはならない。