特許第6553050号(P6553050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553050
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ヘッド角度可変の剃毛器具
(51)【国際特許分類】
   A45D 26/00 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   A45D26/00 F
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-541987(P2016-541987)
(86)(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公表番号】特表2016-532525(P2016-532525A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】US2014051774
(87)【国際公開番号】WO2015038298
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年8月18日
(31)【優先権主張番号】61/877,990
(32)【優先日】2013年9月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510112785
【氏名又は名称】ラディアンシー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラファエリ、ドレブ
(72)【発明者】
【氏名】ソロモン、フィリップ
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/011505(WO,A1)
【文献】 特表2012−527939(JP,A)
【文献】 特表2014−516751(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/136943(WO,A1)
【文献】 特開2005−192615(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0138821(US,A1)
【文献】 特開2006−149863(JP,A)
【文献】 特表2004−535891(JP,A)
【文献】 米国特許第06825445(US,B2)
【文献】 特表2004−535890(JP,A)
【文献】 米国特許第07170034(US,B2)
【文献】 特表2006−513779(JP,A)
【文献】 米国特許第07202446(US,B2)
【文献】 特表2008−505683(JP,A)
【文献】 米国特許第08367974(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
加熱素子であって、前記加熱素子は、皮膚表面から伸びる毛を切断するのに十分な温度まで加熱されるようになっており、前記加熱素子は、前記電源からの電力により加熱される、加熱素子と、
一対の対向する壁を呈する毛剃りヘッドであって、前記加熱素子は、前記対向する壁の間に配置され、前記対向する壁それぞれの端部によって画定される開口面に隣接し、前記開口面が前記皮膚表面にほぼ平行するように配置されている、毛剃りヘッドと、
ハンドルであって、前記ハンドルは、前記毛剃りヘッドに結合されており、長手方向軸を呈し、前記長手方向軸は、前記長手方向軸と前記皮膚表面との間に装置角度を呈するように配置されている、ハンドルと、
毛剃りヘッド回転ベースであって、前記毛剃りヘッド回転ベースは、前記ハンドル及び前記毛剃りヘッドに連結される、毛剃りヘッド回転ベースと、
を含み、
前記開口面は、第1の回転軸及び第2の回転軸の周りを回転するように配置されており、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、互いにほぼ直交し、前記開口面にほぼ平行し、前記装置角度が変化したときに、前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸の周りの前記回転により、前記開口面と前記皮膚表面との間の前記ほぼ平行関係を維持し、
前記第2の回転軸の周りを回転する前記開口面の前記配置は、前記第2の回転軸の周りの前記毛剃りヘッド回転ベースの回転を含み、
前記毛剃りヘッドは、一対の下部毛剃りヘッドエクステンダと一対の上部毛剃りヘッドエクステンダを含み、
前記毛剃りヘッド回転ベースは、一対の下部ベース回転エクステンダ、一対の上部ベース回転エクステンダ、一対の下部ヘッド回転ガイド、及び、一対の上部ヘッド回転ガイドを含み、
前記ハンドルは、一対の下部ベース回転ガイド及び一対の上部ベース回転ガイドを含み、各前記一対の上部ベース回転ガイドは前記ハンドルに沿って前記一対の下部ベース回転ガイドのそれぞれから離れて配置され、
各前記一対の下部毛剃りヘッドエクステンダは各前記一対の下部ヘッド回転ガイド内に配置され、各前記一対の上部毛剃りヘッドエクステンダは各前記一対の上部ヘッド回転ガイド内に配置され、
各前記一対の下部ベース回転エクステンダは各前記一対の下部ベース回転ガイド内に配置され、各前記一対の上部ベース回転エクステンダは各前記一対の上部ベース回転ガイド内に配置され、
前記第1の回転軸の周りの前記回転は、前記下部及び上部毛剃りヘッドエクステンダがそれぞれ前記下部及び上部ヘッド回転ガイド内を摺動することにより実施され、
前記第2の回転軸の周りの前記回転は、前記下部及び上部ベース回転エクステンダがそれぞれ前記下部及び上部ベース回転ガイド内を摺動することにより実施される、
剃毛器具。
【請求項2】
前記毛剃りヘッドは、前記第1の回転軸の周りを30度回転するように配置されている、請求項1に記載の剃毛器具。
【請求項3】
前記毛剃りヘッドは、前記第2の回転軸の周りを30度回転するように配置されている、請求項1に記載の剃毛器具。
【請求項4】
前記毛剃りヘッドは、一対のローラーを含み、前記一対のローラーのそれぞれは前記対向する壁それぞれの端部に連結され、前記一対のローラーは前記開口面を画定し、前記皮膚表面と接触するように配置されており、
前記開口面と前記皮膚表面との間の前記ほぼ平行関係の前記維持は、両方の前記ローラーを前記皮膚表面と接触したままに維持することを含む、請求項1に記載の剃毛器具。
【請求項5】
制御回路と、
前記制御回路と通信し、前記皮膚表面に沿った前記毛剃りヘッドの動きを検知するようになっているモーションセンサーと、
を更に含み、
前記制御回路は、交互に、
所定の最小動作速度を超える前記皮膚表面に沿った前記検知された動きに応答して前記長尺状の加熱素子に電力を供給するよう前記電源を制御する、
そうでなければ、前記長尺状の加熱素子に電力を供給しないよう前記電源を制御するようになっている、
請求項1に記載の剃毛器具。
【請求項6】
制御可能なリフト機構であって、前記加熱素子は、前記制御可能なリフト機構に連結されている、制御可能なリフト機構と、
前記制御可能なリフト機構と通信するモータであって、前記制御可能なリフト機構は、前記モータに応答して前記加熱素子を前記開口面に向かって移動するようになっている、モータと、
を更に含み、
前記加熱素子の前記移動により、前記加熱素子は、前記皮膚表面に一定圧力を印加する、
請求項1に記載の剃毛器具。
【請求項7】
毛剃りの方法であって、
加熱素子に電力を供給するステップであって、前記供給された電力が、皮膚表面から伸びる毛を切断するのに十分な温度まで前記加熱素子を加熱するようになっており、前記加熱素子は毛剃りヘッドの対向する壁の間に配置され、前記対向する壁それぞれの端部によって画定される開口面に隣接され、前記毛剃りヘッドは、ハンドルに連結され、前記ハンドルは長手方向軸を呈し、前記長手方向軸は、前記長手方向軸と前記皮膚表面との間に装置角度を呈するように配置されているステップと、
前記開口面を前記皮膚表面に対してほぼ平行に位置決めするステップと、
前記開口面を第1の回転軸の周りを回転するステップであって、前記第1の回転軸は、前記開口面にほぼ平行する、ステップと、
前記開口面を第2の回転軸の周りを回転するステップであって、前記第2の回転軸は、前記開口面にほぼ平行し、前記第1の回転軸にほぼ直交する、ステップと、
を含み、
前記装置角度が変化したときに、前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸の周りの前記回転により、前記開口面と前記皮膚表面との間の前記ほぼ平行関係が維持され、
前記毛剃りヘッドは、毛剃りヘッド回転ベースに連結され、前記毛剃りヘッド回転ベースは、前記ハンドルに連結され、
前記第2の回転軸の周りを前記回転するステップは、前記毛剃りヘッド回転ベースが前記第2の回転軸の周りを回転することを含み、
前記毛剃りヘッドは、一対の下部毛剃りヘッドエクステンダと一対の上部毛剃りヘッドエクステンダを含み、
前記毛剃りヘッド回転ベースは、一対の下部ベース回転エクステンダ、一対の上部ベース回転エクステンダ、一対の下部ヘッド回転ガイド、及び、一対の上部ヘッド回転ガイドを含み、
前記ハンドルは、一対の下部ベース回転ガイド及び一対の上部ベース回転ガイドを含み、各前記一対の上部ベース回転ガイドは前記ハンドルに沿って前記一対の下部ベース回転ガイドのそれぞれから離れて配置され、
各前記一対の下部毛剃りヘッドエクステンダは各前記一対の下部ヘッド回転ガイド内に配置され、各一対の上部毛剃りヘッドエクステンダは各前記一対の上部ヘッド回転ガイド内に配置され、
各前記一対の下部ベース回転エクステンダは各前記一対の下部ベース回転ガイド内に配置され、各前記一対の上部ベース回転エクステンダは各前記一対の上部ベース回転ガイド内に配置され、
前記第1の回転軸の周りの前記回転するステップは、前記下部及び上部毛剃りヘッドエクステンダがそれぞれ前記下部及び上部ヘッド回転ガイド内を摺動することにより実施され、
前記第2の回転軸の周りの前記回転するステップは、前記下部及び上部ベース回転エクステンダがそれぞれ前記下部及び上部ベース回転ガイド内を摺動することにより実施される、
方法。
【請求項8】
前記第1の回転軸の周りの前記回転は、30度である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の回転軸の周りにおける前記回転は、30度である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記毛剃りヘッドは、一対のローラーを含み、前記一対のローラーのそれぞれは、前記対向する壁それぞれの端部に連結され、前記一対のローラーは、前記開口面を画定し、前記皮膚表面と接触するように配置されており、
前記開口面と前記皮膚表面との間の前記ほぼ平行関係の前記維持は、両方の前記ローラーを前記皮膚表面と接触したままに維持することを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記皮膚表面に沿った前記毛剃りヘッドの動きを検知するステップと、
所定の最小動作速度を超える前記皮膚表面に沿った前記検知された動きに応答して前記加熱素子に電力を供給するステップと、
前記所定の最小動作速度を超えない前記皮膚表面に沿った前記検知された動きに応答して前記加熱素子に電力を供給しないステップと、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱素子は、前記皮膚表面に一定圧力を印加するように、前記加熱素子を前記開口面に向かって移動するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、毛剃り機の分野に関し、より具体的には、調節可能なヘッド角度を有する毛剃り機に関する。
【背景技術】
【0002】
体からのむだ毛の除去は、機械的手段、例えば、カミソリ、ピンセット又はワックスで行うことができるが、これらはすべて使い心地が悪く、皮膚を刺激する及び/又は皮膚の損傷を引き起こす。毛除去の別の形態は、毛を切断するのに十分な温度までむだ毛を加熱することによるものである。しかし、熱を伴う毛除去用装置の懸念としては、過度の熱により皮膚を損傷する危険性である。2004年11月30日に発行の、Shalevらに付与された米国特許第6,825,445号明細書(この内容全体は参照によって本明細書中に組み込まれる)では、熱発生器と、毛を切断するのに十分な温度まで加熱される1つ以上の熱素子と、を含む電気剃り機について記載している。この熱発生器は、皮膚の損傷を引き起こすのに十分な時間、熱が1つの領域に連続的に印加されることを防止するようになっている。
【0003】
2007年1月30日に発行の、Shalevらに付与された米国特許第7,170,034号明細書(この内容全体は参照によって本明細書中に組み込まれる)では、毛を切断するのに十分な温度まで加熱される熱素子を含む電気剃り機について記載している。熱素子の加熱は、皮膚の損傷を引き起こすのに十分な時間、熱が1つの領域に連続的に印加されることを防止するためにパルス化される。
【0004】
2007年4月10日発行の、Shalevらに付与された米国特許第7,202,446号明細書(この内容全体は参照によって本明細書中に組み込まれる)では、毛を切断できる温度まで加熱される長尺状の加熱素子と、長尺状の加熱素子が取り付けられる振動構造であって、振動構造が、皮膚の損傷を防ぐようになっている振動構造と、を含む電気剃り機について記載している。
【0005】
2013年2月5日に発行の、Azarらに付与された米国特許第8,367,974号明細書(この内容全体は参照によって本明細書中に組み込まれる)では、毛を切断するようになっている剃り機の加熱ワイヤの動きを検知するように構成された検知器と、皮膚から成長した毛を加熱し、この毛を切断するのに好適な加熱ワイヤを有する毛切断除去及び抑制ヘッドと、毛切断除去及び抑制ヘッドを、検知した動きの有無に応答して、毛切断位置と、引込位置との間において移動するようになっている制御部と、を含む毛切断装置について記載している。
【0006】
残念ながら、上記の剃り機のすべてにおいて、皮膚を効果的に切断するためには、剃り機を皮膚に対して90度の角度に保持しなければならない。しかしながら、特に、真直ではない身体部分の上で剃り機を動かす場合、剃り機を正しい角度で保持することは困難である。したがって、皮膚に対して90度の角度に保持されていない場合であっても毛を効果的に切断する能力を持つ剃り機を提供することが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、主な目的は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服することである。これは、特定の実施形態において、皮膚表面から伸びる毛を切断するのに十分な温度まで加熱されるようになっている加熱素子と、一対の対向する壁を呈する毛剃りヘッドであって、加熱素子は、対向する壁の間に配置され、対向する壁それぞれの端部によって画定される開口面に隣接する、毛剃りヘッドと、毛剃りヘッドに連結され、皮膚表面との装置角度を示すようになっている長手方向軸を呈するハンドルと、を含む、剃毛器具を提供することによって実現される。開口面は、第1の回転軸及び第2の回転軸の周りを回転するように配置されており、第1の回転軸と第2の回転軸は互いにほぼ直交し、開口面にほぼ平行する。第1の回転軸及び第2の回転軸の周りの回転により、装置角度の変化にかかわらず、開口面と皮膚表面との間のほぼ平行関係が維持される。
【0008】
本明細書の実施形態は、電源と;加熱素子であって、加熱素子は、皮膚表面から伸びる毛を切断するのに十分な温度まで加熱されるようになっており、加熱素子は、電源からの電力により加熱される、加熱素子と;一対の対向する壁を呈する毛剃りヘッドであって、加熱素子は、対向する壁の間に配置され、対向する壁それぞれの端部によって画定される開口面に隣接され、開口面が皮膚表面にほぼ平行するように配置されている、毛剃りヘッドと;ハンドルであって、ハンドルは、毛剃りヘッドに連結され、長手方向軸を呈し、長手方向軸は、長手方向軸と皮膚表面との間に装置角度を呈するように配置されている、ハンドルと、を有する剃毛器具を独立的に作動させるものであって;開口面は、第1の回転軸及び第2の回転軸の周りを回転するように配置されており、第1の回転軸と第2の回転軸は、互いにほぼ直交し、開口面にほぼ平行しており、装置角度が変化したときに、第1の回転軸及び第2の回転軸の周りの回転により、開口面と皮膚表面との間のほぼ平行関係が維持されるものである。
【0009】
1つの更なる実施形態においては、剃毛器具は、毛剃りヘッド回転ベースを更に含み、毛剃りヘッド回転ベースは、ハンドル及び毛剃りヘッドに連結され、第2の回転軸の周りを回転する開口面の配置は、第2の回転軸の周りの毛剃りヘッド回転ベースの回転を含む。1つの更に別の実施形態においては、毛剃りヘッドは毛剃りヘッドエクステンダを含み、毛剃りヘッド回転ベースはベース回転エクステンダ及びヘッド回転ガイドを含み、ハンドルはベース回転ガイドを含むものであって、第1の回転軸の周りの回転には、毛剃りヘッドエクステンダをヘッド回転ガイドに沿って摺動することを含み、第2の回転軸の周りの回転には、ベース回転エクステンダをベース回転ガイドに沿って摺動することを含む。
【0010】
1つの更なる実施形態においては、毛剃りヘッドは第1の回転軸の周りを約30度回転するように配置されている。別の更なる実施形態においては、毛剃りヘッドは第2の回転軸の周りを約30度回転するように配置されている。
【0011】
1つの更なる実施形態においては、毛剃りヘッドは一対のローラーを含み、そのそれぞれは対向する壁それぞれの端部に連結され、一対のローラーは開口面を画定し、皮膚表面と接触するように配置されており、開口面と皮膚表面との間のほぼ平行関係の維持は、両方のローラーを皮膚表面と接触したままに維持することを含む。別の更なる実施形態においては、剃毛器具は、制御回路と、制御回路と通信し、皮膚表面に沿った毛剃りヘッドの動きを検知するようになっているモーションセンサーと、を更に含み、制御回路は、交互に、所定の最小動作速度を超える皮膚表面に沿った検知された動きに応答して長尺状の加熱素子に電力を供給するよう電源を制御する、そうでなければ、長尺状の加熱素子に電力を供給しないよう電源を制御するようになっている。
【0012】
1つの更なる実施形態においては、剃毛器具は、制御可能なリフト機構であって、加熱素子は、制御可能なリフト機構に連結されている、制御可能なリフト機構と、制御可能なリフト機構と通信するモータと、を更に含み、制御可能なリフト機構は、モータに応答して加熱素子を開口面に向かって移動するようになっており、加熱素子の移動により、加熱素子は、皮膚表面に一定圧力を印加する。
【0013】
本明細書の実施形態は、毛剃りの方法を独立的に可能にする。方法は、加熱素子に電力を供給するステップであって、供給された電力が、皮膚表面から伸びる毛を切断するのに十分な温度まで加熱素子を加熱するようになっており、加熱素子は、毛剃りヘッドの対向する壁の間に配置され、対向する壁それぞれの端部によって画定される開口面に隣接され、毛剃りヘッドはハンドルに連結され、ハンドルは長手方向軸を呈し、長手方向軸は、長手方向軸と皮膚表面との間に装置角度を呈するように配置されているステップと、開口面を皮膚表面に対してほぼ平行に位置決めするステップと、開口面を第1の回転軸の周りを回転するステップであって、第1の回転軸は、開口面にほぼ平行する、ステップと、開口面を第2の回転軸の周りを回転するステップであって、第2の回転軸は、開口面にほぼ平行し、第1の回転軸にほぼ直交する、ステップと、を含み、装置角度が変化したときに、第1の回転軸及び第2の回転軸の周りの回転により、開口面と皮膚表面との間のほぼ平行関係が維持される。
【0014】
1つの更なる実施形態においては、毛剃りヘッドは、毛剃りヘッド回転ベースに連結され、毛剃りヘッド回転ベースは、ハンドルに連結され、第2の回転軸の周りを回転するステップは、毛剃りヘッド回転ベースが第2の回転軸の周りを回転することを含む。1つの更に別の実施形態においては、毛剃りヘッドは、毛剃りヘッドエクステンダを含み、毛剃りヘッド回転ベースは、ベース回転エクステンダ及びヘッド回転ガイドを含み、ハンドルは、ベース回転ガイドを含み、第1の回転軸の周りを回転するステップは、毛剃りヘッドエクステンダをヘッド回転ガイドに沿って摺動することを含み、第2の回転軸の周りを回転するステップは、ベース回転エクステンダをベース回転ガイドに沿って摺動することを含む。
【0015】
1つの更なる実施形態においては、第1の回転軸の周りにおける回転は約30度である。別の更なる実施形態においては、第2の回転軸の周りにおける回転は約30度である。
【0016】
1つの更なる実施形態においては、毛剃りヘッドは一対のローラーを含み、そのそれぞれは、対向する壁それぞれの端部に連結され、一対のローラーは、開口面を画定し、皮膚表面と接触するように配置されており、開口面と皮膚表面との間のほぼ平行関係の維持には、両方のローラーを皮膚表面と接触したままに維持することを含む。別の更なる実施形態においては、方法は、皮膚表面に沿った毛剃りヘッドの動きを検知するステップと、所定の最小動作速度を超える皮膚表面に沿った検知された動きに応答して加熱素子に電力を供給するステップと、所定の最小動作速度を超えない皮膚表面に沿った検知された動きに応答して加熱素子に電力を供給しないステップと、を更に含む。
【0017】
1つの更なる実施形態においては、方法は、加熱素子は、皮膚表面に一定圧力を印加するように、加熱素子を開口面に向かって移動するステップを更に含む。
【0018】
追加の特徴及び利点は以下の図面及び記載から明らかになろう。
【0019】
本発明をより良好に理解し、本発明をどのように実施することができるかを示すため、ここで純粋に例として添付の図面を参照する。図面中では全体を通し、同一番号は対応する要素又は部分を示す。
【0020】
ここで図面を特に詳細に参照すると、示される詳細は例であり、本発明の好ましい実施形態を単に例証的に説明する目的のためであって、本発明の原理及び概念的態様の最も有用であり、かつ容易に理解されると思われる説明を提供するために提示されるものであることを強調する。この点に関して、本発明の基本的理解に必要とされる程度よりも詳細に本発明の構造の詳細を示そうとする意図はなく、説明は図面とともに、本発明のいくつかの形態が、実際、いかに具現化され得るかについて当業者に明らかにするものであると捉えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のひとつの高レベル図を示す。
図1B】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図1C】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図1D】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図1E】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図1F】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図1G】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図1H】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図1I】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図1J】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図1K】特定の実施形態による、加熱素子をベースとした剃り機のその他の高レベル図を示す。
図2】特定の実施形態による毛剃りの方法の高レベルフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその適用が、以下の記載で説明される又は図示される構成要素の構造及び配置の詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態に適用可能である、あるいは、種々の手法で実施又は実行される。また、本明細書中で用いられる表現及び用語は説明のためであり、限定と考えるべきではないことは理解すべきである。
【0023】
図1Aは、加熱素子をベースとした剃り機10の剃り機ヘッド15の高レベル底面図を示す。図1Bは、剃り機ヘッド15の高レベル側面図を示す。図1Cは、加熱素子をベースとした剃り機10の高レベル斜視図を示す。図1Dは、加熱素子をベースとした剃り機10の種々の部品の高レベル斜視図を示す。図1Eは、剃り機ヘッド15の高レベル斜視図を示す。図1Fは、加熱素子をベースとした剃り機10のハンドル50の一部の高レベル斜視図を示す。図1Gは、加熱素子をベースとした剃り機10の一部の高レベル斜視図を示す。図1Hは、加熱素子をベースとした剃り機10の毛剃りヘッド回転ベース55の高レベル斜視図を示す。図1Iは、加熱素子をベースとした剃り機10の高レベル側面図を示す。図1Jは、毛剃りヘッド15の回路の高レベル概略図を示す。図1Kは、加熱素子をベースとした剃り機10の一部の高レベル側面図を示す。図1A図1Kについては、一緒に説明する。剃り機10は、毛剃りヘッド15と、長尺状の加熱素子20と、制御回路30と、電源40と、ハンドル50と、毛剃りヘッド回転ベース55と、モーションセンサー60と、を含む。毛剃りヘッド15は、一対の対向する壁70と、一対の壁連結具75と、一対の任意のローラー80と、複数の任意の肌押下部90と、一対の下部毛剃りヘッドエクステンダ100と、一対の上部毛剃りヘッドエクステンダ105と、を含む。毛剃りヘッド回転ベース55は、一対の下部ベース回転エクステンダ110と、一対の上部ベース回転エクステンダ115と、一対の下部ヘッド回転ガイド120と、一対の上部ヘッド回転ガイド125と、を示す。ハンドル50は、一対の下部ベース回転ガイド130と、一対の上部ベース回転ガイド135と、長手方向軸137と、を示す。
【0024】
一実施形態においては、ハンドル50は中空の立方形であり、その端部53に開口部52を呈する。一実施形態においては、各下部ベース回転ガイド130は、ハンドル50の端部53内の半円形状のくぼみであり、各上部ベース回転ガイド135はハンドル50内の半円形状のスリットである。各上部ベース回転ガイド135は、ハンドル50に沿って、各下部ベース回転ガイド130から離れて配置される。別の実施形態においては、下部ベース回転ガイド130はそれぞれハンドル50の対向する側部に配置されている。ハンドル50は、加熱素子をベースとした剃り機10の使用者により快適に保持されるように配置されることが好ましい。
【0025】
毛剃りヘッド回転ベース55は、一実施形態において、中空の立方形であり、その端部57に開口部56を呈する。一実施形態においては、下部ヘッド回転ガイド120は、毛剃りヘッド回転ベース55の端部57内の半円形状のくぼみである。別の実施形態においては、下部ヘッド回転ガイド120は毛剃りヘッド回転ベース55の対向する側部内に配置される。一実施形態においては、各上部ヘッド回転ガイド125は毛剃りヘッド回転ベース55の端部58内の半円のくぼみであり、端部58は端部57に対向する。各上部ヘッド回転ガイド125は各下部ヘッド回転ガイド120と同じ側に配置されている。
【0026】
一実施形態においては、下部ベース回転エクステンダ110は、毛剃りヘッド回転ベース55の側部59の端部57から延出する半円形状伸長部である。別の実施形態においては、下部ベース回転エクステンダ110は、下部ヘッド回転ガイド120を含む側部59とは異なる毛剃りヘッド回転ベース55の対向する側部59内に配置される。一実施形態においては、各上部ベース回転エクステンダ115は、各上部ベース回転エクステンダ115を含む側部59から延出する半円伸長部であり、各上部ベース回転エクステンダ115は下部ベース回転エクステンダ110から端部58の方向にずれている。
【0027】
毛剃りヘッド15の壁70はそれぞれ、第1端部72から対向する第2端部74まで延在し、第2端部74は開口面76を画定する。壁連結具75は壁70をその第1端部72において連結する。各任意のローラー80は各壁70の第2端部74に連結されている。任意のローラー80が設けられる実施形態では、開口面76は任意のローラー80によって画定される。任意の肌押下部90は、対向する壁74の間において開口面76まで延出し、任意選択的に、壁連結具75に連結される。一実施形態においては、第1の下部毛剃りヘッドエクステンダ100及び第1の上部毛剃りヘッドエクステンダ105はそれぞれ、各壁70の第1の側部71から延出し、第1の下部毛剃りエクステンダ100及び第1の上部毛剃りヘッドエクステンダ105はそれぞれ、壁70の間の開口部全体に延びる。第1の上部毛剃りヘッドエクステンダ105は第1の下部毛剃りヘッドエクステンダ100から、開口面76から離れる方にずれている。第2の下部毛剃りヘッドエクステンダ100及び第2の上部毛剃りヘッドエクステンダ105はそれぞれ、各壁70の第2の側部73から延出する。第2の下部毛剃りエクステンダ100及び第2の上部毛剃りヘッドエクステンダ105はそれぞれ、壁70の間の開口部全体に延びる。第2の上部毛剃りヘッドエクステンダ105は第2の下部毛剃りヘッドエクステンダ100から、開口面76から離れる方にずれている。別の実施形態においては、各下部毛剃りヘッドエクステンダ100は半円形状伸長部である。
【0028】
任意の肌押下部90は壁70の間に配置され、開口面76まで延出し、長尺状の加熱素子20は任意の肌押下部90の間に配置されている。一実施形態においては、制御可能なリフト機構138が設けられる。2013年1月24日に公開されたRADIANCY INC.らの国際公開第2013/011505号パンフレット(その内容全体を参照によって本明細書中に組み込む)に記載されるように、制御可能なリフト機構138は、モータ139に応答し長尺状の加熱素子20を開口面76に向かう方及び開口面76から離れる方に移動するようになっている。特に、モータ139は制御可能なリフト機構の移動を制御するようになっている。一実施形態においては、モータ139は、短縮半径部及び伸長半径部を呈するカムを回転する。カムは長尺状の加熱素子20と機械的に通信している。伸長半径部が開口面76に面すると、長尺状の加熱素子20は開口面76に向かって移動する。短縮半径部が開口面76に面すると、長尺状の加熱素子20は開口面76から離れる方に移動する。別の実施形態においては、制御可能なリフト機構138は機械的なクレードルを含む。別の実施形態においては、制御可能なリフト機構138は、直線動作を交互するために配置される旋回レバーを含む。モータ139は長尺状の加熱素子20を開口面76に向かって移動し、一定力を示す。
【0029】
毛剃りヘッド15は毛剃りヘッド回転ベース55内に配置される。各下部毛剃りヘッドエクステンダ100は毛剃りヘッド回転ベース55の各下部ヘッド回転ガイド120内に配置され、各上部毛剃りヘッドエクステンダ105は各上部ヘッド回転ガイド125内に配置される。下部毛剃りヘッドエクステンダ100と、上部毛剃りヘッドエクステンダ105と、下部ヘッド回転ガイド120と、上部ヘッド回転ガイド125とは、毛剃りヘッド15が回転軸140の周りにおいて回転可能であるように配置される。回転軸140は開口面76にほぼ平行である。特に、回転軸140の周りにおける回転は、下部及び上部毛剃りヘッドエクステンダ100及び105がそれぞれ下部及び上部ヘッド回転ガイド120及び125内を摺動すると実施される。一実施形態においては、毛剃りヘッドは回転軸140の周りを30度回転可能である。
【0030】
毛剃りヘッド回転ベース55はハンドル50内に配置されている。各下部ベース回転エクステンダ110はハンドル50の各下部ベース回転ガイド130内に配置され、各上部ベース回転エクステンダ115はハンドル50の各上部ベース回転ガイド135内に配置されている。下部ベース回転エクステンダ110と、上部ベース回転エクステンダ115と、下部ベース回転ガイド130と、上部ベース回転ガイド135とは、毛剃りヘッド回転ベース55が回転軸150の周りを回転可能であるように配置される。回転軸150は開口面76にほぼ平行であり、回転軸140にほぼ直交する。特に、回転軸150の周りにおける回転は、下部及び上部ベース回転エクステンダ110及び115がそれぞれ下部及び上部ベース回転ガイド130及び135内を摺動すると実施される。一実施形態においては、毛剃りヘッド回転ベース55は回転軸150の周りを30度回転可能である。
【0031】
一実施形態においては、長尺状の加熱素子20はニッケルクロム合金を含む。1つの更なる実施形態においては、長尺状の加熱素子20はニクロムを含む。別の実施形態においては、長尺状の加熱素子20は二珪化モリブデン合金を含む。別の実施形態においては、長尺状の加熱素子20はフェライト系鉄−クロム−アルミニウム合金を含む。
【0032】
一実施形態においては、長尺状の加熱素子20は長尺状の直方体形状である。1つの更なる実施形態においては、長尺状の加熱素子20は、長さ対幅比2〜8、任意選択的に、長さ対幅比約5を有する矩形断面を示す。一実施形態においては、長尺状の加熱素子20の断面の幅は、幅0.06〜1mm、任意選択的に、幅約0.08mmを示す。長尺状の加熱素子20の長さは、一実施形態において、開口部55の一端から他端へと延在するように構成される。
【0033】
一実施形態においては、電源40は充電式の電源である。一実施形態においては、モーションセンサー60は、光学センサ、磁気センサ、機械的なセンサ及び超音波センサを含むが、これらに限定されない複数の標準的なモーションセンサーのいずれかを含む。1つの特定の実施形態においては、モーションセンサー60は、皮膚表面160と接触するように配置されたローラーを含む。制御回路30は、モーションセンサー60に応答し、皮膚表面160に沿った毛剃りヘッド15の相対的な動作速度を算出するようになっている。
【0034】
長尺状の加熱素子20は、長尺状の加熱素子20を流れる適切な電流に応答し、皮膚表面160から突出した毛170を切断するのに十分な温度、任意選択的に400℃〜1900℃、更に任意選択的に1000℃〜1900℃まで加熱されるようになっている。一実施形態においては、長尺状の加熱素子20と通信するサーマルセンサが設けられる(不図示)。サーマルセンサの出力は制御回路30へのフィードバックとして提供される。そのような一実施形態では、制御回路30は、長尺状の加熱素子20の温度の監視制御を維持し、長尺状の加熱素子20の温度が所定の最大値を超えることを防止し、任意選択的に、更に、動作中、長尺状の加熱素子20の温度が所定の最小値を下回らないようにするようになっている。
【0035】
動作時、毛剃りヘッド15の開口面76は、使用者がハンドル50を把持することによって皮膚表面160と隣接させる。毛剃りヘッド15を、その後、皮膚表面160上において滑らせる。制御回路30は、電源40を制御して長尺状の加熱素子20に電流を供給し、それによって長尺状の加熱素子20を加熱するようになっている。長尺状の加熱素子20によって発生した熱は、1つ以上の毛幹170を焼き、それによって毛を除去する。加えて出力される熱によって毛包が損傷し、それによって将来の毛の成長を抑制する。一実施形態においては、長尺状の加熱素子20はパルスを発生し、皮膚表面160は、したがって交互に加熱及び冷却され、これにより、その火傷を防止する。別の実施形態においては、皮膚表面160に沿った毛剃りヘッド15の相対的な動作速度が所定の最小閾値未満であることをモーションセンサー60が検知した場合、制御回路30は、長尺状の加熱素子20の加熱を停止するようになっている。一実施形態においては、長尺状の加熱素子20による熱出力の温度は、皮膚表面160に沿った毛剃りヘッド15の検知された相対的動作速度に応答する。この温度は、相対的動作速度が増加するにつれて上昇し、相対的動作速度が減少するにつれて低下する。任意の肌押下部90が設けられる実施形態では、任意の肌押下部90が皮膚表面160を押すため、長尺状の加熱素子20による熱出力に対する毛170の暴露が増加する。
【0036】
開口面76が皮膚表面160に隣接すると、長手方向軸137は皮膚表面160との装置角度を呈する。装置角度はβで示される。開口面76が皮膚表面160に平行な場合、装置角度βは使用者の手の動きに従い移動してもよい。上述のように、毛剃りヘッド回転ベース55は回転軸150の周りにおいて回転可能であり、毛剃りヘッド15は回転軸140の周りにおいて回転可能である。回転軸140と回転軸150は互いにほぼ直交し、開口面76に平行である。したがって、毛剃りヘッド15が毛剃りヘッド回転ベース55に機械的に連結されているために、回転軸150の周りにおける毛剃りヘッド回転ベース55の回転により回転軸150の周りにおける毛剃りヘッド15の回転が生じることから、開口面76は2つの直交する回転軸140及び150の周りにおいて回転可能である。その結果、装置角度βの変化にかかわらず、開口面76は皮膚表面160とその平行関係を維持する。加えて、皮膚表面160の角度が変化する身体部分上において毛剃りヘッド15を滑らせる場合、装置角度βの変化にかかわらず、開口面76は皮膚表面160とその平行関係を維持する。
【0037】
上述のように、任意のローラー80が設けられる実施形態では、開口面76は任意のローラー80によって画定される。したがって、開口面76と皮膚表面160との間の平行関係の維持には、両任意のローラー80を皮膚表面160に接触したままに維持することが必要である。上述のように、回転軸140及び回転軸150の周りにおける開口面76の回転により、装置角度βの変化にかかわらず、任意のローラー80が皮膚表面160との接触を維持することが可能になる。
【0038】
上述のように、一実施形態において、長尺状の加熱素子20は、モータ139に応答し、開口面76に向かう方及び開口面76から離れる方に移動する。モータ139によって印加される力は一定であると有利である。したがって、毛剃りヘッド15が皮膚表面160に押し付けられ、その結果、皮膚表面160の一部が肌押下部90の間に入り、長尺状の加熱素子20に接触する場合、長尺状の加熱素子20によって皮膚表面160に印加される圧力は一定である。一実施形態においては、長尺状の加熱素子20によって印加される圧力は約1gr/mm2である。
【0039】
図4は、特定の実施形態による毛剃りの方法の高レベルフローチャートを示す。段階1000では、長尺状の加熱素子に電力が供給され、それによって、長尺状の加熱素子を、皮膚表面から伸びる毛を切断するのに十分な温度まで加熱する。任意選択的に、長尺状の加熱素子は、長さ対幅比が2〜8、任意選択的に5である矩形断面を示す。任意選択的に、この矩形断面は、幅0.06〜0.1mm、任意選択的に0.08mmを示す。
【0040】
長尺状の加熱素子は、毛剃りヘッドの対向する壁の間に配置され、対向する壁それぞれの端部によって画定される開口面に隣接される。毛剃りヘッドはハンドルに連結され、ハンドルは長手方向軸を呈する。長手方向軸は、長手方向軸と皮膚表面との間に装置角度を呈するように配置される。
【0041】
段階1010では、開口面が皮膚表面にほぼ平行するように段階1000の開口面を皮膚表面に隣接させる。開口面を皮膚表面に隣接させることにより長尺状の加熱素子が皮膚表面に隣接する。任意選択的に、ローラーが段階1000の各対向壁の端部に連結される。皮膚表面への開口面の隣接には、両ローラーを皮膚表面上に配置することを含む。
【0042】
段階1020では、段階1000の開口面は、第1の回転軸の周りにおいて回転する。第1の回転軸は開口面にほぼ平行する。任意選択的に、第1の回転軸の周りにおける回転は約30度までである。
【0043】
段階1030では、段階1000の開口面は、第2の回転軸の周りにおいて回転する。第2の回転軸は開口面にほぼ平行し、段階1020の第1の回転軸にほぼ直交する。上述のように、第1の回転軸及び第2の回転軸の周りにおける開口面の回転により、段階1000の装置角度が変化したときに、開口面と皮膚表面との間のほぼ平行関係が維持される。すなわち、装置角度の変化にかかわらず、開口面と皮膚表面との間のほぼ平行関係は維持される。
【0044】
任意の段階1040では、段階1000の毛剃りヘッドは毛剃りヘッド回転ベースに連結される。毛剃りヘッド回転ベースは段階1000のハンドルに連結される。第2の回転軸の周りにおける回転には、毛剃りヘッド回転ベースを第2の回転軸の周りにおいて回転することを含む。更に任意選択的に、任意の段階1050では、毛剃りヘッドは、少なくとも1つの毛剃りヘッドエクステンダを含み、毛剃りヘッド回転ベースは少なくとも1つのベース回転エクステンダ及び少なくとも1つのヘッド回転ガイドを含み、ハンドルは少なくとも1つのベース回転ガイドを含む。各毛剃りヘッドエクステンダは各ヘッド回転ガイド内に配置されるようになっている。各ベース回転エクステンダは各ベース回転ガイド内に配置されるようになっている。第1の回転軸の周りにおける開口面の回転には、各ヘッド回転ガイドに沿った少なくとも1つの毛剃りヘッドエクステンダの摺動を含む。第2の回転軸の周りにおける開口面の回転には、各ベース回転ガイドに沿った少なくとも1つのベース回転エクステンダの摺動を含む。段階1000の各壁の端部にローラーが設けられる実施形態では、開口面と皮膚表面との間のほぼ平行関係の維持には、両方のローラーを皮膚表面と接触したままに維持することを含む。
【0045】
任意の段階1060では、皮膚表面に沿った段階1000の毛剃りヘッドの動きを検知するためにモーションセンサーが配置される。所定の最小動作速度を超える皮膚表面に沿った毛剃りヘッドの検知された動きに応答して段階1000の長尺状の加熱素子に電力が供給される。皮膚表面に沿った毛剃りヘッドの検知された動きが所定の最小動作速度を超えていない場合、長尺状の加熱素子に電力は供給されず、これによって、長尺状の加熱素子による熱出力は停止する。
【0046】
任意の段階1070では、段階1000の加熱素子は皮膚表面に接触すると一定圧力を印加する。任意選択的に、一定圧力は約1gr/mm2である。一定圧力は加熱素子を一定の力で開口面に向かって移動させることによって得られる。一実施形態においては、制御可能なリフト機構は、開口面に向かう方及び開口面から離れる方に加熱素子を定期的に移動させるために、モータによって制御される。制御可能なリフト機構は、任意選択的に、カム、機械的なクレードル及び直線動作を交互するために配置される旋回レバーのうちの1つを含む。
【0047】
明確にするために別個の実施形態の文脈で記載されている本発明の特定の特徴は、また、1つの実施形態に組み合わせて提供してもよいことは理解される。逆に、簡略にするため、1つの実施形態の文脈で記載されている本発明の種々の特徴は、また、別個に又は任意の適切な副組み合わせで提供してもよい。本出願の特許請求の範囲及び本発明の明細書において、明示の言語又は必要な含意により文脈で明確に示されない場合を除いては、「含む(comprise)」という語又は「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」などのその変化形は、任意の包含的な意味で用いられる。すなわち、記載された特徴の存在を明示するが、本発明の種々の実施形態において更なる特徴の存在又は付加を排除するものではない。
【0048】
別段に定義されていない限り、本願において使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法を、本発明を実施又は試験するために使用することが可能であるが、好適な方法及び材料を本明細書に記載する。
【0049】
本明細書中で言及したすべての刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献はそれら全体が参照により組み込まれる。記載が矛盾する場合には、用語の定義を含め本明細書が優先するものとする。更に、材料、方法、及び実施例は一例に過ぎず、制限することを意図していない。いかなる参照文献も先行技術を成すことは承認されない。参照文献の記載は、その著者の主張することを示すものであり、本出願人は引用文書の正確性及び適合性に疑問を呈する権利を有する。本明細書中ではいくつかの先行技術の問題について述べたが、この参照は、これら文書のいずれかが、いずれかの国における当技術分野の共通一般知識の一部を成すことを承認するものではないことは明確に理解されよう。
【0050】
本発明は、これまでの具体的に図示及び記載したものに限定されないことが当業者には理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、以上に説明した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに当業者であれば前述の説明を読むことによって想到するであろうそれらの変形及び修正を含む。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図2