(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553061
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】横並びに整列される変換器のための超音波ソノトロード
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20190722BHJP
B29C 65/08 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
B23K20/10
B29C65/08
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-548726(P2016-548726)
(86)(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公表番号】特表2017-506159(P2017-506159A)
(43)【公表日】2017年3月2日
(86)【国際出願番号】US2015013085
(87)【国際公開番号】WO2015116587
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2018年1月5日
(31)【優先権主張番号】14/166,036
(32)【優先日】2014年1月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512237268
【氏名又は名称】エジソン・ウェルディング・インスティチュート,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ショート,マシュー・エイ
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−544625(JP,A)
【文献】
特開平2−131922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
B29C 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
節領域および腹領域を有し、節領域において受けられる超音波を第1の方向に沿って伝搬するように構成される、本体と、
前記本体に形成された複数の方向変更特徴部であって、前記第1の方向に沿って伝搬する受けられた超音波を、方向変更特徴部のうちの1つまたは複数と衝突したとき前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って伝搬させるように構成される、方向変更特徴部と、を備え、
前記本体が、前記第2の方向に沿って伝搬する対応する前記波の山および谷に基づいて、前記第2の方向に沿って伸張および圧縮するようにさらに構成され、
前記伸張および圧縮に基づいて発振するように構成される、前記本体の腹領域にある少なくとも1つの超音波溶接表面を備え、
前記本体が、細長い構造の長い側に沿って腹領域をおよび短い側に沿って節領域を有する、前記細長い構造を備え、
前記ソノトロードの対向する両端部が前記節領域を備え、前記対向する両端部の少なくとも一方が前記超音波を受けるように構成される、
超音波ソノトロード。
【請求項2】
前記方向変更特徴部が、前記本体を通して形成され前記第2の方向に沿って延在する細長いスロットを備える、請求項1に記載の超音波ソノトロード。
【請求項3】
前記細長いスロットが、前記本体にわたって実質的に等しく離間される、請求項2に記載の超音波ソノトロード。
【請求項4】
前記細長いスロットが、各スロット長さに沿って実質的に等しい幅を各々備える、請求項2に記載の超音波ソノトロード。
【請求項5】
前記細長いスロットが様々な長さを備える、請求項2に記載の超音波ソノトロード。
【請求項6】
前記本体の前記端部に近い方の細長いスロットの長さが、前記本体の前記端部から遠い方の細長いスロットの長さよりも大きい、請求項5に記載の超音波ソノトロード。
【請求項7】
前記本体の厚さが、前記第1の方向に沿って延在する前記本体の中心部分から、前記第2の方向に沿って前記本体の縁部まで、先細とされる、請求項1に記載の超音波ソノトロード。
【請求項8】
前記本体の前記縁部が、自体の長さに沿って実質的に均一な厚さを有する前記本体の腹領域を各々備え、前記腹領域のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの溶接表面を備える、請求項7に記載の超音波ソノトロード。
【請求項9】
前記本体の前記中心部分が、前記第1の方向に沿って均一な厚さを備え、前記先細りが、均一な厚さの前記中心部分から前記縁部まで延在する、請求項7に記載の超音波ソノトロード。
【請求項10】
節領域および腹領域を有する本体を形成するステップであって、前記本体が、節領域において受けられた超音波を第1の方向に沿って伝搬するように構成され、かつ腹領域において少なくとも1つの超音波溶接表面を備える、形成するステップと、
前記本体に複数の方向変更特徴部を形成するステップであって、前記方向変更特徴部が、前記第1の方向に沿って伝搬する受けられた超音波を、前記方向変更特徴部のうちの1つまたは複数と衝突したとき前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って伝搬させるように構成される、形成するステップと、を含み、
前記本体が、前記第2の方向に沿って伝搬する対応する前記波の山および谷に基づいて前記第2の方向に沿って伸張および圧縮し、このことにより、前記伸張および圧縮に基づいて前記少なくとも1つの溶接表面を発振させるようにさらに構成される、
前記本体を形成するステップが、細長い構造の長い側に沿って腹領域をおよび短い側に沿って節領域を有する、前記細長い構造を形成するステップをさらに含み、
前記本体を形成するステップが、前記本体の対向する両端部を前記節領域として形成するステップをさらに含み、前記対向する両端部の少なくとも一方が、前記超音波を受けるように構成される、
超音波ソノトロードを製造する方法。
【請求項11】
複数の方向変更特徴部を形成するステップが、前記本体を通り前記第2の方向に沿って延在する細長いスロットを形成するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細長いスロットを形成するステップが、前記細長いスロットを前記本体にわたって実質的に等しく離間して形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記細長いスロットを形成するステップが、各スロット長さに沿って実質的に等しい幅を有する前記細長いスロットを形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記細長いスロットを形成するステップが、前記細長いスロットを様々な長さに形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記本体の前記端部に近い方の細長いスロットの長さが、前記本体の前記端部から遠い方の細長いスロットの長さよりも大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記本体を形成するステップが、前記本体の厚さを、前記第1の方向に沿って延在する前記本体の中心部分から、前記第2の方向に沿って前記本体の縁部まで、先細とするステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記本体を形成するステップが、前記本体の縁部を、自体の長さに沿って実質的に均一な厚さを有する腹領域として形成するステップをさらに含み、前記腹領域のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの溶接表面を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記本体を形成するステップが、前記中心部分を前記第1の方向に沿って均一な厚さで形成するステップをさらに含み、前記先細りが、均一な厚さの前記中心部分から前記縁部まで延在する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、超音波溶接に関する。より詳細には、本明細書において開示される発明は、超音波溶接組立体において横並びに整列される変換器とともに使用するように構成される、超音波ソノトロードに関連する。
【背景技術】
【0002】
[0002]超音波溶接は、熱可塑性物質、ならびにさらにはアルミニウムおよび銅のような柔らかい金属などの、薄い展性の材料を接合するために採用される技法である。工業において、超音波溶接は、材料を接合するために通常使用される糊、ねじ、またはスナップ嵌合技術に対する、自動化された優れた代替物である。超音波溶接の利点は、従来の接着剤または溶媒よりも、はるかに時間がかからないことである。乾燥時間は非常に短時間であり、接合部が乾燥または硬化するのを待ちながら、部片が冶具内に長い時間の期間の間留まる必要がない。超音波溶接処理は、容易に自動化され得、手直しの作業をほとんど必要としない、きれいで精確な接合部を作る。含まれる材料に対する低い熱的衝撃は、より大きな数の材料が1つに溶接されることも可能にする。さらに、処理中に糊または他の添加剤が採用されないので、超音波溶接は、チップおよび他のスナック用に採用される種類のようなプラスチックまたはアルミニウム製の袋などの、食物系のパッケージの溶接のための、大きな選択肢である。
【0003】
[0003]超音波溶接処理中、部品は固定された形状のネスト(nest)(「アンビル」と呼ばれる)とソノトロード(「ホーン」と呼ばれる)との間に置かれる。ソノトロードは変換器に接続され、この変換器は電気エネルギーを音響振動へと変換するために使用される。そのような低振幅の音響振動は、意図される接合場所においてソノトロードから溶接中の材料内へと発せられる。超音波溶接において使用される典型的な周波数は、15kHzから40kHzまでの範囲にわたるが、場合によっては、70kHzもの高さが見られる場合もある。超音波エネルギーは、部品間の接触点を溶融させ、接合部を創出する。超音波溶接は、溶接されるべき接合部にわたって導入される振動エネルギーの吸収に起因する、材料の局所的な溶融を生じさせることによって機能する。溶接中の接合部が所望の場所にありかつ適正なサイズであることを保証するために、2つの材料のインタフェースは、溶融(溶接)処理を集中させるように、特別に設計され得る。接合部区域においてある程度の加熱は生じるものの、これは通常、材料を溶融させるのに十分ではなく、これに代わって材料を1つに溶接させるのは、溶接中の接合部に沿って導入される振動である。
【0004】
[0004]超音波溶接の用途は幅広く、電気、コンピュータ、自動車、航空宇宙、医療、および包装を含め、多くの産業において見出される。2つの物品が超音波溶接され得るかどうかは、それらの厚さによって決定される。したがって、材料が厚過ぎる場合、超音波溶接処理はこれらを接合しないことになる。有利には、超音波溶接処理は、非常に時間がかからず、容易に自動化され、溶接時間は多くの場合1秒未満である。また、熱または排気を除去するために必要とされる換気システムが存在せず、このことは、全体的な製造コストを低減するのを助ける。加えて、超音波溶接は、より一般的な溶接技法にとっては通常小さ過ぎる、複雑過ぎる、または繊細もしくは危険過ぎる組立体用として非常に好適である。
【0005】
[0005]食品産業界では、超音波溶接は、時間がかからず、衛生的であり、密封封止部を作り出せるので、従来の接合技法よりも好ましいと考えている。例示の従来の超音波溶接組立体100が、
図1に示されている。この従来の組立体100には、超音波溶接用の音響振動を提供するために、超音波ソノトロード110が含まれている。音響振動は、超音波変換器120を使用してソノトロード110に導入され、組立体100の長手軸L
1に沿って伝搬される。上述されたように、超音波変換器120は、電気入力125を音響波へと変換し、これらの音響波は次いで、増幅器130を使用して増幅され得る。超音波ソノトロード110は、この例では溶接縁部115である溶接領域115を含み、この溶接縁部115は、ソノトロード110を通して溶接縁部115に向かって音響振動が伝搬している間、超音波溶接されるべき材料140に接触する。
【0006】
[0006]材料140を超音波溶接するために、ソノトロード110は、溶接縁部115が材料140と接触するように移動されこれをアンビル150に対して押圧する間、そこを通って伝搬する音響波により発振する。示されるように、従来の組立体100では、変換器120、増幅器130、およびソノトロード110の溶接縁部115を使用する溶接に関する方向は、長手軸L
1と同一線上にあり、したがって音響波は、組立体100全体にわたって、単一の軸L
1に沿って伝搬する。材料140をアンビル150に押し付けている間の、材料140上への溶接縁部115の発振により、材料140が超音波溶接される。
【0007】
[0007]残念ながら、変換器120および溶接縁部115が単一の長手軸L
1に沿って位置付けられるので、超音波溶接組立体100の早期故障が生じる場合がある。より具体的には、超音波溶接中、発振する溶接縁部115がアンビル150に(これらの間に材料140のある状態で)押し付けられるので、発振するソノトロード110、材料140、およびアンビル150の物理的接触から引き起こされる振動フィードバックが、ソノトロード110を通り、増幅器130を通って戻り、最終的に変換器120内へと戻るように伝搬する。変換器120内にフィードバックされる振動は、一貫して変換器120の早期故障をもたらす。加えて、従来の超音波組立体の直線状の配置構成は、超音波溶接装置内で大量の空間を占める。さらに、そのような直線状の配置構成は、材料140の超音波溶接の発生ごとに、組立体100が、アンビル150に向かっておよびこれから離れるように移動することを必要とする。そのような移動は、時間がかかるだけでなく、溶接操作ごとに組立体100を前後に繰り返し移動させるための追加の機械設備およびエネルギーも必要とする。そのような追加の設備およびエネルギーは、そのような従来の手法において結果的に、増加されたコストおよび潜在的な設備故障をももたらす。そのような欠点を考慮すると、当技術分野において、従来の超音波組立体に見られる欠点による困難を有さない、改善された超音波溶接の装置および方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008]開示される原理の目的は、ソノトロード組立体が厳しい作動条件下に置かれるときに、ひび割れたもしくは損傷したソノトロードホーンおよび変換器、不均一な変位、またはシステム共振をもたらす結果となる、潜在的な問題を回避することである。参照により本明細書に組み込まれる、本開示と同一出願人による、2014年1月28日に出願された「Transverse Sonotrode Design for Ultrasonic Welding」という名称の、同時継続中の米国特許出願第14/166,081号(代理人整理番号CFLAY.00878)において、超音波組立体において、1つまたは複数の変換器を作動変位の方向から「切り離し」、ソノトロードの腹領域ではなく節領域において溶接組立体を駆動して、ポアソン効果を利用する、新規な技法が紹介されている。上で検討されたように、高い力または高い振幅を必要とする用途では、超音波変換器は、負荷を受けている間に、すなわちアンビルまたは他の器具との物理的接触中に、起動に起因するかなりの応力を見込み得る。そのような機械的衝撃は通常、変換器内へと戻る反射波を生成し、このことは結果的に組立体およびシステムに電気ショックをもたらし、最終的に壊滅的な故障につながる。この同時継続中の出願において開示されるように変換器を横並びに整列させることによって、超音波溶接組立体は、開示される原理により提供される横並びの装着配置構成により、工作物または材料に超音波エネルギーを送達することから生じる損傷をもたらすようなフィードバックに、もはや曝されない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]超音波溶接組立体において変換器を横並びに整列させる技法とともに使用するために、ここで開示される原理は、そのような横並びに整列される変換器を有する超音波溶接組立体において使用するための、独自の超音波ソノトロードを提供する。1つの実施形態では、例示の超音波ソノトロードは、節領域および腹領域を有する本体を備え、節領域において受けられる超音波を第1の方向に沿って伝搬するように構成される。そのような例示のソノトロードは、本体に形成された複数の方向変更特徴部であって、第1の方向に沿って伝搬する受けられた超音波を、方向変更特徴部のうちの1つまたは複数と衝突したとき第1の方向に対して垂直な第2の方向に沿って伝搬させるように構成される、方向変更特徴部をさらに備え得る。そのような実施形態では、本体はさらに、第2の方向に沿って伝搬する対応する波の山および谷に基づいて、第2の方向に沿って伸張および圧縮するように構成される。そのようなソノトロードは、本体の腹領域において、伸張および圧縮に基づいて発振するように構成される、少なくとも1つの超音波溶接表面も含み得る。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるような超音波ソノトロードは、細長い構造の長い側に沿った腹領域および短い側に沿った節領域を有する細長い構造を備える本体をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、ソノトロードの対向する両端部は節領域を備え、これらの対向する両端部の少なくとも一方は、超音波を受けるように構成される。関連する実施形態では、方向変更特徴部は、本体を通して形成され第2の方向に沿って延在する、細長いスロットを備える。そのような実施形態では、細長いスロットは、本体にわたって実質的に等しく離間され得る。いくつかの実施形態では、細長いスロットは、各スロット長さに沿って実質的に等しい幅を各々備える。さらに、いくつかの実施形態では、細長いスロットは、様々な長さを有する。またさらに、いくつかの関連する実施形態では、本体の端部に近い方の細長いスロットの長さは、本体の端部から遠い方の細長いスロットの長さよりも大きい。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、本体の厚さは、第1の方向に沿って延在する本体の中心部分から、第2の方向に沿って本体の縁部まで先細とされる。いくつかの関連する実施形態では、本体の縁部が、自体の長さに沿って実質的に均一な厚さを有する本体の腹領域を各々備え、これらの腹領域のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの溶接表面を備える。また、いくつかの例示の実施形態では、本体の中心部分は、第1の方向に沿って均一な厚さを備え、先細りは、均一な厚さの中心部分から縁部まで延在する。
【0012】
[0012]本発明の他の態様、実施形態、および特徴は、添付の図と併せて検討されるときの以下の本発明の詳細な説明から明らかとなるであろう。添付の図は概略的なものであり、縮尺通りに描かれるように意図されていない。明晰さの目的により、あらゆる図においてあらゆる構成要素に符号が付されるとは限らず、また、当業者が本発明を理解可能とするために説明が必要ではない場合、本発明の各実施形態のあらゆる構成要素が示されない。参照により本明細書に組み込まれる全ての特許出願および特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。対立する場合は、定義を含め、本明細書が優先するものとする。
【0013】
[0013]本発明の特徴であると考えられる新規な特徴が、付属の特許請求の範囲において記載される。しかしながら、本発明自体、ならびに好ましい使用の様式、本発明のさらなる目的および利点は、以下の添付の図と併せて読まれるときの以下の例示的な実施形態の詳細な説明を参照することによって、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[0014]従来の超音波溶接組立体の1つの実施形態を描写する図である。
【
図2】[0015]開示される原理に従って構築された超音波溶接組立体の、1つの実施形態を描写する図である。
【
図3】[0016]材料を通してその長手軸に沿って発振する音響振動の2分の1波長(λ/2)の図である。
【
図4】[0017]音響発振の全波長(λ)中にポアソン効果を受ける材料の図である。
【
図5】[0018]単一の音響波伝達線の幾何学形状を有する、従来の超音波溶接組立体の側面図である。
【
図6】[0019]開示される原理に従って構築された超音波溶接ソノトロードの斜視図である。
【
図7】[0020]
図6に示される超音波ソノトロードの端面図である。
【
図8】[0021]
図6および
図7に示される超音波ソノトロードの側面図である。
【
図9】[0022]開示される原理に従って構築された超音波ソノトロードを組み込んだ、超音波溶接組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0023]開示される原理は、独自の超音波溶接ソノトロードの設計および構造を組み込むことにより、超音波システムによる薄い材料の溶接可能性を高め、そのような独自の超音波ソノトロードを製造する新規な方法を伴う。開示される原理は、横並びに装着される超音波変換器とともに採用され得るソノトロードを提供し、この場合、そのような横並びの整列は結果的に、組立体の溶接表面において見出される負荷条件からの、変換器の音響波伝達軸の切り離しをもたらす。したがって、開示される原理によるソノトロードは、ソノトロードに投入される音響波に対して横断方向に発振する発振をもたらす。より詳細には、超音波溶接用途に関して、開示される原理は、超音波組立体(たとえば増幅器)の第1の導波路の腹から誘導され第1の伝達軸に沿って伝搬する音響振動を、第2の導波路の節が第1の導波路の腹に結合されるときに、第2の導波路(たとえばソノトロード)内を第1の伝達軸に対して垂直な第2の伝達軸に沿って伝搬する振動へと変換する。超音波溶接用途に関して、開示される原理は、従来の慣例とは対照的に、ソノトロードの節領域を変換器/増幅器の腹領域に結合することによって、変換器/増幅器組立体の伝達軸に対して垂直である溶接表面を有するソノトロードを提供する。
【0016】
[0024]
図2を見ると、開示される原理に従って構築されたソノトロードを有する超音波組立体200が示されている。開示される組立体200は、材料240の超音波溶接を容易にするための、超音波ソノトロード210を含む。この例示された実施形態では、ソノトロード210は、ソノトロード210の対向する両側面上にある2つの溶接領域または表面215a、215bを含む。当然ながら、他の実施形態では、ソノトロード210は、特定の超音波溶接用途の各々が必要とし得るような、より多数のまたはより少数の溶接領域を含み得る。
【0017】
[0025]この例示された実施形態では、ソノトロード210は、その長手軸L
1を中心に回転し得るという点で、回転式のソノトロードである。材料240を超音波溶接するために、溶接領域215a、215bは、材料240をアンビル250に押し付ける。この例示の回転式の実施形態では、アンビル250は、その長手軸L
2を中心にしても回転し得る。より詳細には、
図1に示されるような従来の組立体におけるように、ソノトロード210をアンビル250に向けておよびこれから離れるように側方に移動させるのではなく、代わりに回転式の組立体は、ソノトロード210およびアンビル250の両方を単純に回転させて、これらの間の溶接されるべき材料240を把持することができる。超音波溶接が行われた後で、ソノトロード210およびアンビル250の回転により材料240を解放することができ、次いで材料240は、材料240の別の区域がソノトロード210とアンビル250との間に置かれ得るように前進され得、こうして溶接され得る。当然ながら、開示される原理は、回転式でない溶接組立体においても同様に適用され得、この例示の実施形態に対する限定は意図されていない。
【0018】
[0026]
図2において組立体200を用いて超音波溶接処理がどのように発生し得るかをより詳細に見ると、示される超音波溶接組立体200は、入来する電気225を音響振動へと変換するための、超音波変換器220を含む。例示の実施形態では、変換器220は、電気エネルギーを機械的発振(すなわち音響振動)に変換するとき、約15〜100kHzの間で動作し得る、高出力超音波変換器220である。音響波が生成される際、この波は変換器220からソノトロード210に向かって、長手伝達軸L
1に沿って伝搬する。高出力の実施形態では、変換器220は、システムを10,000ワット程度の大きさで駆動することのできる発電機によって電力供給され得る。当然ながら、開示される原理により実施されるシステムまたは方法に関して、他の発振周波数および駆動電力も採用され得、本明細書において検討される例は、開示される原理をいずれかの特定の実施形態に限定するように読まれるべきではない。
【0019】
[0027]変換器220には、増幅器230が結合され、これは超音波組立体200の利得(たとえば振幅)を調整するために採用され得る。より詳細には、増幅器230は通常、機械的発振が、(変換器により)材料のある腹において提供され、次いで材料の第2の腹を通して通常は調整された振幅で伝達される、単純化された形態のソノトロードである。たとえば、典型的な20kHzの変換器は、音響波に関して28μmの山同士の間の変位の出力を有し得る。1:1の利得の増幅器を用いると、(増幅器の入力における)第1の腹における変位は、この28μmの振幅となり、一方で、(増幅器の出力における)第2の腹における変位も、28μmの振幅となる。しかしながら、1.5:1の利得の増幅器が採用されると、増幅器出力における結果的な変位は42μmとなり、これは、増幅器に入力される28μmの振幅に対して1.5倍の利得である。逆に、用途が要求する場合は、材料を通って伝搬する音響波の振幅を低減するための増幅器が採用され得る。
【0020】
[0028]増幅器の別の目的は、超音波溶接用途にとって適切な(発振によって引き起こされる)力が適用され得るように、超音波ソノトロードの伝達線または伝達軸を動かないように保持する手段を提供することである。従来の超音波溶接組立体において、このことは、結合点が理論上ゼロの変位を有するように、増幅器の節領域の周囲に特別な幾何学形状を創出することによって達成される。この手法は、以下で提供される、音響波の導入によって引き起こされる材料に対する物理的効果を理解することで、よりよく理解され得る。
【0021】
[0029]手短に
図3を見ると、材料320を通ってその長手伝達軸L
1に沿って発振する音響振動310の、2分の1波長(λ/2)を描写する
図300が示されている。音響波310は、材料320を通ってX方向に伝搬し、この場合、振動の発振が、材料320上に、応力曲線330によって示されるような応力を誘起する。より詳細には、振動波310の山および谷は材料320の腹を規定し、一方、波310の移行は材料320の節において発生して、これらの腹領域においては、材料320上に理論上はゼロの応力を生じさせる。結果として、音響波310が材料320を通って伝搬する際、節領域の周囲で、材料320を圧縮および伸張(すなわち軸方向変位)する応力が生じる。この現象は、「ポアソン効果」と呼ばれ、これは、結果的に材料の節位置の周囲における膨出および縮減効果をもたらす、弾性固体の圧縮および伸張である。たとえば、
図4は、音響発振410の全波長(λ)中にポアソン効果を受ける材料420の
図400を示す。波410の山および谷は、音響波410が材料420を通って伝搬する際、材料420に対して伸張/圧縮応力を与える。この連続的な圧縮および伸張は、超音波溶接組立体中のソノトロードに駆動をもたらす。
【0022】
[0030]したがって、従来の超音波溶接組立体においては、ソノトロードの伝達軸は、溶接縁部の最大変位に関する駆動点として、腹の領域を利用する。また延長線上で考えると、「増幅器リング」などの増幅器は、増幅器の節領域の周囲で放射状の様式で生み出される振動が小さいレベルであるので、この場所において、ソノトロードに音響波を提供するために使用される構成要素の伝達線を強固に挟持することを可能にする。結果として、従来の超音波音響波伝達線は通常、複数の半波(λ/2)区間を組み込んでおり、ソノトロードを含め、超音波溶接組立体の構成要素の全てを通して超音波振動を駆動するようになっている。したがって、従来の組立体におけるソノトロードは、(
図6に示されるようにその腹を介して)増幅器の第2の(出力)腹に結合され、ソノトロードの溶接縁部における対向する腹に音響波エネルギーを伝達し、この結果、超音波エネルギーが材料内に導入される。
【0023】
[0031]
図5は、単一の音響波伝達軸/線の幾何学形状を有する、従来の超音波溶接組立体500の側面図を示す。より詳細には、組立体500は、変換器510、増幅器520、変換器510および増幅器520を結合する変換器インタフェース530、および、増幅器520を超音波ソノトロード(図示せず)に結合するように構成されるソノトロードインタフェース540を含む。
【0024】
[0032]例示されるように、組立体500内の構成要素は各々、伝達線の2分の1波長を提供する。組立体500内の各構成要素のサイズおよび幾何学形状は、用途に基づいて選択される。したがって、音響波成分伝達線は、より多くの構成要素を半波(λ/2)の間隔で含んで、より複雑であり得る。重要なことには、この従来の配置構成では、変換器510は、再び増幅器/ソノトロードの腹に結合され、このことにより各半波(λ/2)成分の中心線伝達軸L
1に沿って長手方向の振動550を導入する。長手方向の振動550は、各構成要素を通って連続的に伝達され、最終的には、ソノトロード内におよびしたがって工作物または材料内に超音波エネルギーを送達するための最終の腹の点において、単一の伝達軸L
1に沿った長手方向変位を送達する。次いで、従来の慣例によれば、組立体500は、超音波ソノトロードに、ソノトロードの腹において結合される。
【0025】
[0033]しかしながら、従来の手法とは対照的に、開示される原理は、ソノトロードの腹の点においてではなく節の点において、増幅器の腹(すなわち出力)に結合される、独自のソノトロードを提供する。
図6は、開示される原理に従って構築された例示の超音波ソノトロード600の斜視図を示す。開示される原理は、超音波溶接組立体または類似の組立体において変換器を横並びに整列させる技法を用いて使用するためのソノトロードを提供する。
【0026】
[0034]示される実施形態では、超音波ソノトロード600は、節領域および腹領域の両方を有する本体610を含む。本体610は、本体610を通した音響波の伝搬を可能にする材料で構築される。たとえば、本体610は、超音波の容易な伝搬を通常可能にする、アルミニウムまたは鋼などの金属から構築され得る。当然ながら、本体610に関して金属を使用することは例示に過ぎず、したがって、現存するかまたは今後開発されるかのいずれかである他の有利な材料も採用され得る。
【0027】
[0035]上で検討されたように、通常、物体は、節領域および腹領域を有することになり、その物体を備える材料のこれらの点における反応は、その物体を通って伝搬する波に応じて、様々に反応することになる。この物体を備える材料を通過する波の周波数がその材料と共振しているとき、ポアソン効果が結果的に、伝搬する波の山および谷と共振している材料の、膨張および収縮をもたらすことになる。したがって、上で検討されたように、ポアソン効果中、材料の腹において、最大の膨張および収縮が生じることになる。開示される原理に従って構築されたソノトロード600においては、こうしてソノトロード600の腹が溶接表面620を備えることになるが、これは、そこが最大の発振が生じることになる場所だからである。ただし、従来のソノトロードとは対照的に、開示される原理によるソノトロードは、ソノトロード600の節において、超音波溶接組立体(図示せず)の残りの部分に結合され、こうしてそこから超音波を受けるように構成される。
【0028】
[0036]重要なことには、ソノトロード600を、その腹ではなくその節において結合することは、溶接表面620が、入来する波の方向に対して垂直に整列されるという結果をもたらす。結果として、開示される原理は、入来する波の伝搬方向の「方向変更」をもたらし、これらの波が、ソノトロード600の腹に向かって、およびしたがってその溶接表面620に向かって、適正に伝搬しているようにする。
図6は、入来する波の第1の伝搬方向をD1として示し、また、第1の伝搬方向に対して垂直である第2の伝搬方向をD2として示す。第1の方向D1から第2の方向D2への波の伝搬の変化を創出するために、開示される原理は、本体610に形成される複数の方向変更特徴部630をさらに提供する。方向変更特徴部630は、第2の方向D2に沿って形成されて、第1の方向D1に沿って伝搬する受けられた超音波を、方向変更特徴部630のうちの1つまたは複数と衝突したとき第2の方向D2に沿って伝搬させる。
【0029】
[0037]実施形態に応じて、方向変更特徴部630は、
図6の実施形態において描写されるように、本体610を通して形成され第2の方向に沿って延在する、細長いスロット630を備え得る。そのような実施形態では、細長いスロット630は、同じく示されるように、本体610にわたって実質的に等しく離間され得る。ただし、他の実施形態では、方向変更特徴部は、他の形状を備え得るとともに、直線状ではなく多方向の特徴部とすることができる。さらに、示される実施形態では、細長いスロット630は各々、各スロット630の長さに沿って、実質的に等しい幅を備える。ただし、開示される原理は、そのように限定されない。したがって、本明細書で検討されるような入来する波の方向変更を特徴部がもたらす限りは、ソノトロード600において様々な幅の特徴部もまた構築され得る。
【0030】
[0038]またさらに、
図6に示される細長いスロット630は、様々な長さを備える。具体的には、本体610の端部(節領域)に近い方の細長いスロットの長さは、本体610の端部から遠い方の細長いスロットの長さよりも大きい。ただしここでも、このことは必須ではない。したがって、幅および全体的な方向の潜在的な変動に加えて、第2の方向D2に沿ったスロット630または他の特徴部の長さは、必要に応じて変更され得る。たとえば、示される実施形態では、一番外側のスロットは、一番内側のスロットよりも長く、この結果、ソノトロード600の中にその対向する両端部(すなわち節領域)から入る超音波の良好な方向変更をもたらすソノトロード600が得られる。しかしながら、代替の実施形態では、本明細書で開示されるようなソノトロードの、一方の端部上のみの特徴部の長さを最も長くすることができ、一方、対向する端部における最後の特徴部を最も短くすることができ、このことは、最短の特徴部長さを有する、節である端部からのみ入来する波の、より良好な方向変更をもたらし得る。こうして、これまでのように、特徴部形状が、入来する波を、ソノトロードの節から腹へと最も効率的に方向変更するように選択され得るだけでなく、特徴部長さも、同様に方向変更の効率を高めるように選択され得る。
【0031】
[0039]したがって、ソノトロード600の例示される実施形態は、細長い構造の長い側に沿って腹領域をおよび短い側に沿って節領域を有する、細長い構造であるが、開示される原理によるソノトロードの他の実施形態が、異なるまたは代替の形状を有し得ることが、留意されるべきである。さらに、本明細書において開示される原理におけるどのようなことも、ソノトロードの全体的な形状を実質的に矩形であるものに限定しない。代わりに、開示される原理は、波を生成し提供する組立体にソノトロードが横並びに装着され得るように、ある方向に伝搬する入来超音波が第2の方向に沿って伝搬するように変わることを可能にする任意のソノトロード形状または構成を提供する。波生成組立体と横並びに整列され得るソノトロードを提供することにより、開示される原理は、従来の慣例とは対照的に、ソノトロードの節位置を入来する音響波に関する駆動場所として使用し、この結果、横断方向の伝達軸を提供することによって、変換器をソノトロードから「切り離す」。したがって、ソノトロード内で、変換器/増幅器の伝達軸に沿って提供される入力変位に対して横断方向に発振する、縦波が作り出される。別の方法で述べれば、ソノトロードの腹領域を入力構成要素に対して横並びに整列することにより、入力伝達方向D1から出力伝達方向D2を切り離すことは、開示される原理による組立体が、アンビルまたは他の受容表面に影響を与える溶接縁部620からの、通常であれば破壊的なフィードバックを、回避することを可能にする。そのような手法は結果的に、ソノトロード600の溶接縁部620から変換器を通して戻るフィードバックをほとんどまたは全くもたらさず、このことにより、従来の超音波溶接技法における、システム故障を促進するフィードバック応力を排除する。
【0032】
[0040]ここで
図7に目を向けると、
図6において示された超音波ソノトロード600の端面図が示されている。この端面図から、ソノトロード600の独自の外形が見られ得る。より詳細には、ソノトロード600の本体610の厚さは、第1の方向D1に沿って延在する本体610の中心部分640から、第2の方向に沿って本体610の縁部620まで、先細とされる。実施形態に応じて、中心部分640から第2の方向D2に沿った先細部は、直線状とすることができ、またはこれらは、示される実施形態におけるように、僅かな曲率(slight radius)を有し得る。そのような先細部を提供することにより、第2の方向D2に伝搬するよう方向変更された波の集中は、ソノトロード600の溶接表面620に向かって集中され得る。また、いくつかの例示の実施形態では、本体610の中心部分640は、同じく示されるように、第1の方向D1に沿って均一な厚さになるように構築され得る。そのような実施形態では、先細りは、均一な厚さのこの平坦な中心部分640から、ソノトロード600の縁部620まで延在する。別法として、ソノトロード600の表面の先細りは、設けられる必要はない。
【0033】
[0041]ここで
図8を見ると、
図6および
図7において示された超音波ソノトロードの側面図が描写されている。この側面図から、本明細書で開示されるようなソノトロード600のこの実施形態の中心部分640が、よりよく見られ得る。加えて、この実施形態における方向変更スロット630の均一な幅も見られ得る。ただし、上で検討されたように、そのような特徴部のサイズおよび形状は例示に過ぎず、したがって開示される原理は、ある方向に伝搬しその後第2の方向に沿って伝搬するように修正される入来超音波を提供し、このことによりソノトロードが、超音波を生成し提供する変換器組立体に横並びに装着され得るようにする、任意のソノトロードの設計および構造、ならびに形状および構成に及び得る。
【0034】
[0042]開示される原理を示すために、
図9は、開示される原理に従って構築された超音波ソノトロードを組み込んだ、超音波溶接組立体700の斜視図を描写する。以下で詳細に検討されるように、独自の超音波ソノトロードの出力変位は、入来する音響波の入力長手方向変位に対して、横断方向または垂直である。
【0035】
[0043]
図9における組立体700は、変換器710、増幅器720、およびソノトロード730を含む。しかしながら、組立体構成要素の構造および位置付けの両方が、従来の手法から大きく異なる。具体的には、変換器710および増幅器720は同じ長手伝達軸L
1に沿って配置構成されるが、これらの構成要素は、ソノトロード730の「側部」と見なされ得るところにおいて、ソノトロード730に接続される。ソノトロード730の側部は、示されるように、その節領域を備える。こうして、ソノトロード730の溶接縁部735a、735bは、第2の伝達軸L
2に沿って配置構成され、この場合、この第2の伝達軸L
2は、第1の伝達軸L
1に対して垂直である。
【0036】
[0044]構成要素のこの革新的な配置構成を用いれば、変換器710によって生成され増幅器720によって増幅される音響波は、第1の伝達軸L
1に沿って伝搬し、腹の点において増幅器720から出る。これらの音響波は、ソノトロード730に、従来の手法において行われるようなその腹領域においてではなく、節領域において入力される。たとえば、2分の1波長(λ/2)の変換器710は、2分の1波長(λ/2)のソノトロード730の4分の1波長(λ/4)における節位置に、強固に結合され得るが、これは、結合されるソノトロード730を介して変換器710の駆動方向に対して横断方向の縦波を生成するという目的による。別の方法で述べれば、開示される原理は、ソノトロード730の節の点に対応する、2分の1波長(λ/2)のソノトロード730の4分の1波長(λ/4)での共振を強制する。結果として、節位置に対してもたらされる膨張/収縮のサイクルが、ソノトロード730を外向きの様式で駆動させ始め、元の変換器710の駆動方向に対して横断方向に、ソノトロード730の溶接表面735a、735bの長手方向変位を創出する。このことは、ソノトロード730を、その腹ではなく節である、(変位の線を介して示される)4分の1波長(λ/4)の点において結合することによって達成される。
【0037】
[0045]開示される原理に従って構築されたソノトロード730は、入力波の第2の横断方向の軸L
2に沿った伝搬、およびしたがって超音波溶接用途のためのソノトロード730の腹である溶接縁部735a、735bにおける出力を促進するように、特別に設計される。開示される原理を用いて実施されるように構成されるソノトロードのサイズおよび幾何学形状は、用途および必要とされる変位の量に基づいて選択される。さらに、
図9のソノトロード730上に設けられる2つの溶接縁部735a、735bは、
図2において示される組立体200などの、回転式の溶接組立体における使用に適用できる。そのような適用例では、第1の伝達線L
1は、生成される音響波に関する入力伝達軸であるだけでなく、そのような実施形態においてソノトロード730が周りで回転され得る軸でもある。当然ながら、本明細書で開示されるようなソノトロードに関して、任意の数の溶接縁部が設けられ得ること、および開示される原理は、そのような回転式の用途に限定されないことが、理解されるべきである。
【0038】
[0046]追加の実施形態では、
図9において示される種類のような回転式の超音波溶接組立体700は、ソノトロード730の、変換器/増幅器構成要素を受容する節領域の反対側の節領域上に結合された、構造740も含み得る。いくつかの実施形態では、この反対側の構造740は、ソノトロード730のこの反対側の節領域に支持を提供するための、心棒に類似した単なる支持構造とすることができる。他の実施形態では、反対側の構造740は、ソノトロード730に同じ入力伝達軸L
1に沿って2つの入力を提供するであろう、第2の変換器および/または増幅器組立体とすることができる。そのような実施形態では、2つの変換器に供給される電力は半分にされ得、2分の1が各変換器に提供される。さらに、2つの変換器の実施形態では、ソノトロード730の対向する両端部からの超音波の入力は、ソノトロード730全体にわたる、およびしたがって溶接表面735a、735bへの、均一な波の分布をより容易にする結果をもたらし得る。
図9において示される実施形態では、ソノトロード730は、一方の端部(すなわち節領域)のみから波を送り出す単一の変換器からの、均一な波の分布を促進するような設計および幾何学形状を有するが、2つの変換器の実施形態では、ソノトロード730は、対向する両端部/入力部に基づいて異なる設計および幾何学形状を有し得、この場合、これらの対向する両端部は、ソノトロードの節領域を備える。ただし、全ての実施形態において、2つの変換器の実施形態において開示される原理は依然として、溶接表面735a、735bを超音波溶接用途にとって十分な程度に発振させるための、ソノトロード730の伸張および圧縮が、入力伝達軸L
1に対して横断方向または垂直である伝達軸L
2に沿って発生する、ということを提供する。
【0039】
[0047]要約すると、超音波溶接のための従来の技法は、入力音響波に関する駆動場所としてソノトロードの腹を用いて機能するものである。既に述べられたように、従来の慣例による超音波エネルギーの導入は腹において生じるが、これは、そこが最も変位が高いが応力の小さい位置であるからである。しかし、開示される原理は、従来の慣例に反する教示をしており、この場合、強度の作動条件下に置かれている間でさえも均一な溶接縁部の変位を達成するために、超音波エネルギーは、節位置(最低の変位および最高の応力)において導入される。
【0040】
[0048]開示される原理はさらに、開示される原理を用いると、超音波エネルギーが、ソノトロード内の負荷または振動方向に対して横断方向に(すなわち垂直に)導入されるという点で、従来の慣例に反する教示をしている。従来の組立体では、変換器およびソノトロードは、上で検討されたように、同じ伝達線または伝達軸に沿って配置構成される。残念ながら、上で検討されたように、この単一軸の配置構成は結果的に、ソノトロードから変換器へのかなりの振動フィードバックをもたらし、このことは通常、早期の壊滅的な組立体故障につながる。開示される原理は、従来の慣例とは対照的に、横断方向の伝達軸を提供することによって変換器をソノトロードから「切り離す」ために、入来する音響波に関する駆動場所として、ソノトロードの節位置を使用する。したがって、ソノトロード内で、変換器の伝達軸に沿って提供される入力変位に対して横断方向に発振する縦波が作り出される。別の方法で述べれば、ソノトロードの腹領域を入力構成要素に対して横並びに整列することにより、入力伝達軸L
1から出力伝達軸L
2を切り離すことは、開示される原理による組立体が、アンビルまたは他の受容表面に影響を与える溶接縁部からの、通常であれば破壊的なフィードバックを回避することを可能にする。そのような手法は結果的に、ソノトロードの溶接縁部から変換器を通して戻るフィードバックをほとんどまたは全くもたらさず、このことにより、従来の超音波溶接技法における、システム故障を促進するフィードバック応力を排除する。
【0041】
[0049]本明細書において開示される原理に従う様々な実施形態が上で記載されたが、これらは限定ではなく単なる例として提示されていることが理解されるべきである。したがって、本開示の広さおよび範囲は、上記の例示の実施形態のいずれによっても限定されるべきでなく、本開示から生じる任意の請求項およびそれらの等価物に従ってのみ規定されるべきである。さらに、上記の利点および特徴は、記載される実施形態において提供されるが、そのような公開される請求項の適用を、上記の利点のいずれかまたは全てを達成する工程または構造に限定するものではない。
【0042】
[0050]加えて、本明細書における項目の見出しは、37C.F.R.1.77による規定に従って、さもなければ編成上の手がかりを提供するように、提供される。これらの見出しは、本開示により公開され得るいずれかの請求項において記載される本発明を、限定するかまたは特徴付けるものではない。具体的には、かつ例として、これらの見出しには「技術分野」があるが、いわゆる分野を説明するためにこの見出しの下に選択された表現によって、特許請求の範囲が限定されることはない。さらに、「背景技術」における技術の説明は、特定の技術が本開示における任意の実施形態に対する先行技術であることを承認するものとして、解釈されるべきではない。「発明の概要」もまた、公開される請求項において記載される実施形態を特徴付けるものとして考慮されるべきでない。さらに、本開示における単数形の「発明(invention)」へのどのような言及も、本開示において新規な点が1つしか存在しない、ということを主張するために使用されるべきではない。本開示により公開される複数の請求項の限定に従って、複数の実施形態が記載される場合があり、そのような請求項は、それらによって保護されるこれらの実施形態およびそれらの等価物を、相応に定義する。全ての例において、そのような請求項の範囲は、本開示に照らしてそれら自体の利点に基づいて考慮されるべきであり、本明細書において記載される見出しによって制約されるべきではない。