特許第6553068号(P6553068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553068
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】環状ターボ機械燃焼チャンバ
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/52 20060101AFI20190722BHJP
   F23R 3/60 20060101ALI20190722BHJP
   F02C 7/20 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   F23R3/52
   F23R3/60
   F02C7/20 B
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-552983(P2016-552983)
(86)(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公表番号】特表2017-509853(P2017-509853A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】FR2015050179
(87)【国際公開番号】WO2015124840
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2018年1月5日
(31)【優先権主張番号】1451321
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サバリ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カレル,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】デュブールデュ,ジャン−マルク
(72)【発明者】
【氏名】ノード,ルドヴィック
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0104962(US,A1)
【文献】 特開昭63−194129(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/168636(WO,A2)
【文献】 米国特許第05291733(US,A)
【文献】 特開2008−032379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/52
F23R 3/60
F02C 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向(X)、径方向(R)、および方位方向(Y)を呈し、第一環状壁(12)および第二環状壁(14)を備える、ターボ機械(100)向けの環状燃焼チャンバ(10)であって、各壁は環状燃焼チャンバ(10)の容積(10a)の少なくとも一部を画定し、第一環状壁(12)および第二環状壁(14)は相補的取付要素(12d、14d)を持ち、第一環状壁(12)は少なくとも1つの第一貫通穴(12f)を持ち、その一方で第二環状壁(14)は少なくとも1つの第二貫通穴(14f)を持ち、燃焼チャンバ(10)はまた、1つの第一貫通穴(12f)および1つの第二貫通穴(14f)からなる1対の穴の中にはめ込まれる少なくとも1つのピン(18)を有し、前記ピン(18)は第一環状壁(12)および第二環状壁(14)取付をロックし、前記ピンはインジェクター(18)によって形成されている、環状燃焼チャンバ。
【請求項2】
1対の穴の第一貫通穴(12f)および第二貫通穴(14f)が実質的に互いに対向して設けられている、請求項1に記載の燃焼チャンバ(10)。
【請求項3】
ピン(18)が実質的に径方向に延在する、請求項1または2に記載の燃焼チャンバ(10)。
【請求項4】
相補的取付要素が、第一環状壁(12)および第二環状壁(14)のうちの1つの壁から延在する複数の軸方向の舌部(12d)と、第一環状壁(12)および第二環状壁(14)のうちの他方の壁に設けられた複数の開口(14d)と、を備え、前記開口(14d)は舌部(12d)を受容する、請求項1から3のいずれか一項に記載の燃焼チャンバ(10)。
【請求項5】
第一貫通穴(12f)および第二貫通穴(14f)のうちの穴の1つが突起ブレード(14g)の中に設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃焼チャンバ(10)。
【請求項6】
第一貫通穴(12f)および第二貫通穴(14f)のうちの他方の穴の近傍に配置された突起(16)が、スナップ嵌めによって突起ブレード(14g)と協働するように、前記他方の穴の軸と実質的に平行に延在する、請求項5に記載の燃焼チャンバ(10)。
【請求項7】
第一環状壁(12)および第二環状壁(14)のうちの壁の1つが、第一環状壁(12)および第二環状壁(14)のうちの他方の壁と軸方向に当接して協働する環状ショルダ(14e)を持つ、請求項1から6のいずれか一項に記載の燃焼チャンバ(10)。
【請求項8】
燃焼チャンバ(10)の容積(10a)を画定する環状壁を2つのみ、すなわち第一環状壁(12)および第二環状壁(14)のみを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の燃焼チャンバ(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の燃焼チャンバ(10)を含むターボ機械(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はターボ機械燃焼チャンバの分野に関し、より具体的にはターボ機械向けの、そして専用ではないものの具体的にはヘリコプタのターボシャフトエンジン向けの、環状燃焼チャンバの分野に関する。
【0002】
用語「ターボ機械」は、駆動力を発生するいずれのガスタービン装置を意味するためにも使用され、特に高速での高温ガスの噴出の反作用で推進に必要な推力を提供するターボジェットを含み、駆動力は駆動シャフトを回転させることによって送達される。たとえば、ターボシャフトエンジンは、ヘリコプタ、船舶、列車のエンジンとして、および実際には工業用発電所として、使用される。ターボプロップ(プロペラを駆動するターボシャフトエンジン)も同様に、航空エンジンとして使用されるターボシャフトエンジンである。
【背景技術】
【0003】
ターボ機械用の従来の環状燃焼チャンバは、軸方向、径方向、および方位方向を呈し、一般的に5つの環状壁を備え、各環状壁は、燃焼チャンバの容積の少なくとも一部を画定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの環状壁は従来、溶接またはボルト留めによって組み立てられる。溶接によってこれらを組み立てることで、たとえば保守のためまたは壁のうちの1つを交換する目的のため、第一壁を第二壁から分解することを不可能にする。ボルト留めによる組み立ては、発生された封鎖のためボルトが係合する穴の近傍にクラックが生じやすくなり、これにより燃焼チャンバを脆弱化するという欠点を呈する。加えて、この方法で組み立てることは、複雑であり、時間がかかり、および費用がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態はターボ機械向けの環状燃焼チャンバを提供するが、燃焼チャンバは、軸方向、径方向、および方位方向を呈し、第一環状壁および第二環状壁を備え、各壁は環状燃焼チャンバの容積の少なくとも一部を画定し、第一および第二壁は相補的取付要素を持ち、第一壁は少なくとも1つの第一貫通穴を持ち、その一方で第二壁は少なくとも1つの第二貫通穴を持ち、燃焼チャンバはまた、第一穴および第二穴を備える1対の穴の中にはめ込まれる少なくとも1つのピンを備え、前記ピンは第一および第二壁の取付具を係止する。
【0006】
第一環状壁は第一取付要素を有する一方で第二環状壁は第二取付要素を有し、第一および第二取付要素は、燃焼チャンバの軸方向および/または方位方向への取付けによって協働できるように互いにそれぞれ補完的であることは、理解される。言い換えると、第一および第二取付要素は、燃焼チャンバの軸方向および/または方位方向に沿って互いに対してこれらを移動させることによって、取付けまたは互いに係合される。
【0007】
燃焼チャンバは2つ以上の環状壁を有してもよい。2つ以上の壁があると、複数の環状壁のアセンブリはピンによって係止されることが可能である。たとえば、単一のピンで、少なくとも3つ(またはそれ以上)の異なる壁のアセンブリを互いに係止することができる。別の例では、ピンは2つの壁、すなわち第一壁および第二壁のアセンブリを互いに係止してもよく、その一方で別のピンは第一または第二壁と第三壁とのアセンブリを互いに係止する。
【0008】
第一壁は1つ以上の第一穴を持ち、第二壁は2つ以上の第二穴を持つことが、理解される。当然ながら、変形例において、第二穴と同じ数の第一穴があってもよく、各第一穴は第二穴と対になっている(またはその逆も可)。以下、および反対に指定されない限り、用語「第一穴」および「第二穴」は、1つの第一穴のみまたはすべての第一穴、あるいは1つの第二穴のみまたはすべての第二穴の、いずれかを意味する。
【0009】
燃焼チャンバは1つ以上のピンを有する。以下、および反対に指定されない限り、用語「ピン」は、1つのピンのみまたはすべてのピンを意味するために使用される。一例として、ピンは、1対の穴を形成する第一穴および第二穴の中に同時にはめ込まれるように構成された、ロッドまたはクリップであってもよい。ピンは、第一穴および第二穴を備える対の中に、間隙を伴ってまたは伴わずにはめ込まれる。このようなピンは、たとえば並進的におよび/または燃焼チャンバの軸方向の周りで回転的に、1つ以上の自由度に対して第一および第二壁をともに結合するように、そうは言ってもすべての自由度を妨げるものではないが、1対の穴の中に取り付けるかまたはこれと係合することによってのみ協働する。このようなピンは、従来のボルトの使用と比較して、クラックが生じるリスクを回避するか、またはこれを著しく低減することを、可能にする。このため、このようなピンは、従来技術の燃焼チャンバで行われるように、2つの壁を互いに溶接および/または圧着する必要性を全く伴わずに、燃焼チャンバの壁が組み立てられることを可能にする。
【0010】
当然ながら、燃焼チャンバが複数対の第一および第二穴を持つとき、前記燃焼チャンバは複数のピンを持ってもよく、各ピンは1対の穴の中にはめ込まれる。変形例において、ピンが1対の穴の中に設けられるとき、この対の穴は単一のピンを受容する。変形例において、第一および第二穴の対と同じ数のピンがある。変形例において、ピンは類似である。
【0011】
ピンは、第一および第二壁の間の軸方向および/または方位方向の相対運動を妨げる。このため、ピンが対の穴の中にはめ込まれるとき、第一および第二壁の間の取付具は係止される。したがって、第一および第二壁を互いに分離するためには、これは第一および第二穴対からピンを引き抜くことによって開始する必要がある。
【0012】
このため、燃焼チャンバは、従来技術の燃焼チャンバと比較して容易に、迅速に、および低コストで、そして溶接作業を必要とせずに、組み立てられることが可能である。さらに、このような燃焼チャンバは非常に容易に分解されることが可能であり、これにより保守作業を容易にする。
【0013】
いくつかの実施形態において、1対の穴の第一穴および第二穴は、実質的に互いに対向して設けられている。
【0014】
用語「対向」は、第一穴が第二穴と軸方向および方位方向において一致しており、同じ角度位置を呈することを意味するために用いられることもまた、理解される。言い換えると、1対の穴の第一および第二穴は、全く正反対なわけではない。このような対向構成は、単純なピンの使用を可能にし、組み立てを容易かつ有効にすることができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、ピンはインジェクターによって形成されている。
【0016】
当然ながら、燃焼チャンバは、その他の要素によって形成されたその他のピンを持ってもよい。変形例において、燃焼チャンバは複数のピンを持ってもよく、各ピンはインジェクターによって形成されている。
【0017】
インジェクターをピンとして使用することで燃焼チャンバの重量削減をもたらすが、ここで重量削減は、航空分野で使用されるターボ機械における主要な関心事である。これはまた、燃焼チャンバの構造も簡素化し、これは組み立ておよび/または分解を容易にするのに貢献することもできる。さらに、インジェクターをピンとして使用することにより、燃焼チャンバをこうして直接的にターボ機械の中に固定および位置決めすることも可能である。
【0018】
いくつかの実施形態において、ピンは実質的に径方向に延在する。
【0019】
用語「実質的に径方向」は、径方向平面と平行で、燃焼チャンバの軸に対して60°から120°の範囲内の角度を形成する方向を意味するために、使用される。
【0020】
ピンのこのような配向は、燃焼チャンバの組み立てを容易にするのに役立ち、取付具の係止ははるかに満足のいくものである。
【0021】
いくつかの実施形態において、相補的取付要素は、第一および第二壁のうちの1つの壁から延在する複数の軸方向の舌部と、第一および第二壁のうちの他方の壁に設けられた複数の開口と、を備える、前記開口は舌部を受容する。このような状況下で、相補的取付要素は、軸方向取付けのための相補的要素を形成する。
【0022】
第一壁および/または第二壁が1つ以上の舌部を有することは、理解される。このため、第二壁がいかなる舌部も持たないときは第一壁は舌部を持ってもよく、第二壁が舌部を持つときは第一壁は舌部を持たなくてもよく、あるいは第二壁が複数の第二舌部を持つときは、実際に第一壁は複数の第一舌部を持ってもよい。
【0023】
他方の壁は、舌部を受容し、軸方向取付けによってこれらと協働することが可能なように、舌部に対向して配置された開口を有する。このため、第一壁のみが舌部を持つ場合には、第二壁は開口を持ち、第二壁のみが舌部を持つ場合には、第一壁は開口を持ち、その一方で第一壁が第二舌部を持って第二壁が第二舌部を持つ場合には、第一壁は第二舌部を受容するための第一開口を持ち、第二壁は第一舌部を受容するための第二開口を持つ。
【0024】
変形例において、舌部および開口は、方位方向に規則的に分布(または離間)している。このため、隣り合う舌部および隣り合う開口の間の角度間隔が等しいことは、理解される。このような分布は、相補的取付要素の回転対称度を取得可能とし、これにより、壁同士の取付けおよびひいては燃焼チャンバの組み立ての作業を容易にする。
【0025】
いくつかの実施形態において、第一および第二壁のうちの壁の1つの穴は、突起ブレードに設けられている。
【0026】
穴が第一穴である場合にはブレードは第一壁から突起する部分であること、および穴が第二穴である場合にはブレードは第二壁から突起する部分であることは、理解される。このような構成は、ブレードの近傍の燃焼チャンバの全体的なサイズを縮小しながら、壁の重量を低減することを可能にする。さらに、このような構成は、穴の位置を燃焼チャンバ内で十分に制御される特定の位置に制限することを可能にし、これにより漏れのいかなるリスクも低減するが、このような漏れは、燃焼チャンバの性能の観点から見て不利である。
【0027】
いくつかの実施形態において、第一穴および第二穴のうちの別の穴の近傍に配置された突起は、スナップ嵌めによってブレードと協働するように、前記他方の穴の軸と実質的に平行に延在する。
【0028】
たとえば、穴の近傍は、穴の直径(または最大寸法)の3倍を超えて穴の周りに延在する壁の環状部分を含む。たとえば、突起は、たとえばダイスタンプ法によって、または壁に固定された個別の部品によってなど、壁上に直接加工された突起によって形成されている。
【0029】
スナップ嵌め(または圧着)は、相互嵌合および弾性変形(一般的には、たとえばブレードの、またはアセンブリに包含されるすべての部品を変形させることによる、局所的な変形)によって、2つの部分を互いに組み付ける技術である。2つの部分がスナップ嵌め位置で嵌合されると、これらは一般的に初期形状に戻り、もはや弾性変形を示さない(またはより軽度の弾性変形を示す)。2つの部分がスナップ嵌め位置で嵌合されると、これらは分離方向(嵌合方向の反対の方向)への前記部品間の相互運動に対抗するように、または実際に妨げるように、互いに協働する。スナップ嵌め位置において、2つの部分はまた、スナップ嵌め位置を超えて嵌合を延在させるための方向へのこれらの間の相互運動に対抗するかまたは実際に妨げるようなやり方で協働することも、可能である。
【0030】
このようなスナップ嵌め位置は、ピンを使用することによる取付具の係止に先立って、第一および第二壁が取付位置に保持されることを可能にする。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記他方の穴の境界は、スナップ嵌めによってブレードと協働するように、前記他方の穴の軸と実質的に平行に延在する突起を形成する。
【0032】
いくつかの実施形態において、第一壁および第二壁のうちの壁の1つは、第一壁および第二壁のうちの他方の壁と当接して協働する軸方向環状ショルダを持つ。
【0033】
このようなショルダは、第一および第二壁の間に接合面を形成することを可能にし、これにより、燃焼チャンバの中からの漏れは最小化されるかまたはゼロまで減少する。
【0034】
いくつかの実施形態において、燃焼チャンバは、燃焼チャンバの容積を画定する2つの環状壁のみ、すなわち第一環状壁および第二環状壁を有する。
【0035】
このため第一および第二壁は、燃焼チャンバの容積をこれらだけで画定するのに十分である。このような燃焼チャンバは、特に少ない数の壁を持ち、これにより、はるかに容易に、迅速に、および安価に組み立てることができるようにする。さらに、保守目的音ための分解作業もまた容易になる。さらに、このように少数の壁を持つ燃焼チャンバは、様々な壁の間の接合部の近傍で、特に低い漏れのリスクを呈する。
【0036】
一実施形態は、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる燃焼チャンバを含む、ターボ機械を提供する。
【0037】
本発明およびその利点は、非限定例として提示される本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を読むと、より良く理解されることが可能である。説明は、以下の添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】燃焼チャンバを有するターボ機械を示す図である。
図2図1の燃焼チャンバの環状壁の斜視図である。
図3図1の環状壁の詳細図である。
図4】組み立てられたときの図1の環状壁の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、環状燃焼チャンバ10を有するターボ機械100を示し、その一方で図2から図4は、燃焼チャンバ10の2つの環状壁12および14をより詳細に示している。燃焼チャンバ10は逆流タイプの環状チャンバであるが、しかし本発明はこの特定のタイプの燃焼チャンバに限定されないことが、わかるだろう。
【0040】
燃焼チャンバ10は、(軸Xに沿った)軸方向、径方向R、および方位方向Yを呈する。燃焼チャンバ10は、軸Xの周りで回転対称を呈する。この例において、第一壁12は、燃料が点火される、すなわち燃焼が行われる、容積を画定する内筒を形成する。第二壁14は、外部湾曲を形成し、内筒から来るガスの流れを案内するための偏向板の役割を果たす。この燃焼チャンバ例10は、燃焼チャンバ10の容積10aを画定するために2つの環状壁12および14のみを有する。
【0041】
より具体的には、第一壁12および第二壁14の各々は、実質的に環状体の半分の全体形状を呈し、環状体は、ドーナツ型のように、その回転軸に対して直角に分割されており、2つの半環状体は互いに対向して配置されている。このため、各壁12および14は、実質的に軸方向の外側部分12a、14aと、実質的に軸方向の内側部分12b、14bと、実質的に径方向であって第一壁12の外側および内側部分12aおよび12b、または第二壁14の外側および内側部分14aおよび14bを相互接続する底部12c、14cと、を有する。一般的に、および反対に指定されない限り、形容詞「内側」および「外側」は、要素の内側部分(すなわち径方向内側部分)が同じ要素の外側部分(すなわち径方向外側部分)よりも軸Xに近くなるように、径方向に対して使用されることは、想起されるべきである。
【0042】
この例において、第一壁12の外側部分12aの半径は、第二壁14の外側部分14aの半径と実質的に等しいが、しかしこれより小さく、その一方で第一壁12の内側部分12bの半径は、第二壁14の半径14bよりも大きい。このため、その外壁12aおよび14aを介して第一壁12を第二壁14とともに組み立てることが可能であり、第一壁21の外側部分12aは第二壁14の外側部分14aの内側に配置されており、その一方で内側部分12bおよび14bの半径の差は、燃焼ガスの排気ダクトを形成するのに役立つ。
【0043】
第一壁12は複数の軸方向の舌部12dを持ち、その一方で第二壁14は、第一壁12の舌部12dを受容するように構成された、複数の開口14dを持つ。この例の舌部12dおよび開口14dは、第一および第二壁12および14の相補的軸方向取付要素を形成する。当然ながら、図示される変形例において、舌部は方位方向に取り付けるための、または軸方向および方位方向の両方に取り付けるための、相補的要素を形成することができる。
【0044】
軸方向の舌部12dは、第一壁12の外側部分12aから軸方向に延在する。開口14dは、径方向に延在して第二壁14の底部14cに外側部分14aを接続する環状ショルダ14eの中に配置されている。この例において、開口14dと同じ数の舌部12dがあり、各開口14dは1つの舌部12dを受容する。
【0045】
第一壁12が第二壁14と軸方向に取り付けられるとき、舌部12dは開口14dの中に貫入させられ、その一方で第一壁の外側部分12aの自由軸方向末端は、軸方向にショルダ14eと当接することによって、これと協働する。
【0046】
第一壁12は複数の第一貫通穴12fを持ち、これらの穴12fの軸を径方向に延在させている。これらの穴12fは、壁12の外側部分12aの中に配置されている。第二壁14は、径方向に延在する軸を有する第二貫通穴14fを持つ。穴14fは、第二壁14の外側部分14aから軸方向に突起するブレード14gの中に配置されている。この例において、穴12fおよび14fは実質的に円形であるが、しかしこれらは当然ながらその他いずれかの形状を呈することもできる。第一および第二壁12および14が取り付けられるとき、穴12fおよび14fは互いに対向している。この例において、第二穴14fと同じ数の第一穴12fがある。
【0047】
インジェクター18を受容するように構成されたスリーブ16は、たとえば溶接または圧着によって、各第一穴12fの中に固定される。スリーブ16は、各第一穴12fの軸に沿って外向きに突起する、境界を形成する。スリーブ16の最大半径は、第二穴14fの半径よりも小さい。このため、第一および第二壁12および14の取付けの間、各ブレード14gは、スリーブ16とのスナップ嵌めによって協働する。
【0048】
ブレード14gのスリーブ16とのスナップ嵌めを封鎖するために、第一および第二壁12および14が取り付けられた後、リム20が第一壁12の外側部分12aの外側に実装される。一例として、リム20は溶接される。このようなリム20は、以下に記載されて取付具を係止するためのピンを形成するインジェクター18の実装に先立って、壁12および14の取付具の中間封鎖を提供する。1つ以上のリムが提供されてもよい。この例において、ブレード14gと同じ数のリム20がある。当然ながら、これらのリム20は選択的であり、したがってこれらはいくつかの燃焼チャンバ変形例において省略されてもよい。
【0049】
第一および第二壁12および14が軸方向に取り付けられると、第一穴12fは第二穴14fと対向する。するとインジェクター18は各対向する対の第一および第二穴12fおよび14fの中に挿入され、インジェクターは第一および第二壁12および14の取付具を係止するピンを形成する。インジェクター18は、各対の穴12fおよび14fを通じて径方向に延在する。インジェクター18は、異なる熱膨張による要素の各々の間の相対運動を許容するように各対の穴に各々の間隙を有してはめ込まれるが、それにもかかわらずこれらは、軸方向Xに沿って並進的に、および方位方向Yに回転的に、第一および第二壁12および14を互いに結合させる。当然ながら、スリーブ16はまた、第一および第二壁12および14を互いに結合させるのにも貢献するが、しかしこの結合は、特にいくつかの状況下でブレード14gをスリーブ16と効果的に協働させることが可能な熱膨張差のため、およびリム20にもかかわらず、比較的もろい。このため、第一および第二壁12および14の間の取付具の係止の主要部分は、インジェクター18によって形成されるピンによって、提供される。
【0050】
本発明は特定の実施形態を参照して説明されているものの、請求項によって定義される本発明の一般的範囲を逸脱することなくこれらの実施形態に対して修正および変更がなされてもよいことは、明らかである。具体的には、図示および/または言及される様々な実施形態の個々の特徴が、追加実施形態において組み合わせられてもよい。結果的に、説明および図面は、限定的ではなくむしろ説明的な意味合いで見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4