(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の装置において、前記サブマージヒーターは、前記るつぼのるつぼ壁の一部を形成し、かつ前記るつぼの前記床面よりも前記融液の前記露出面により近接して配置する上部領域を有し、また前記加熱素子を前記るつぼ壁の外部に配置する、装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、シリコン融液のような融液内の熱流を制御する装置を提供する。様々な実施形態は、融液を容れ、融液が露出面を有するよう構成したるつぼを備える、融液処理装置を提供する。従来の装置では、るつぼヒーターとして機能する従来のヒーターを、露出面側とは反対側のるつぼ床面の少なくとも一部の下方に配置する。このようなるつぼヒーターは、るつぼを通して融液内に流れる熱を供給して融液をその融解温度に少なくとも維持するために使用する。従来の装置とは異なり、本明細書で「サブマージ(浸漬)ヒーター」と称する、付加的ヒーターをさらに設けて、集中した熱流を融液の露出面における標的領域に供給するのに使用する。このサブマージヒーターは、標的領域から熱を除去する晶析装置と連係して使用し、シリコン結晶シートの安定した成長フロントを生じ、この成長フロントから水平リボン成長が起こるようにする。
【0011】
以下に詳述するように、本発明によって得られる利点は、サブマージヒーターが融液の露出面で30W/cm
2を超える、幾つかの場合においては50W/cm
2を超える熱流密度を生ずることができ、このレベルは、従来の装置の使用では達成されない。本発明の発明者が認識することには、直感的予想に反して、融液の露出面内に熱を流すためのこのような高いレベルの熱流密度は、本明細書で開示するように水平成長装置における結晶シートの成長を安定化させる有用であり得る点である。言い換えれば、融液表面からの結晶シートの成長は結晶化が前縁で起こる場所で局所的に温度減少を伴って高品質の結晶シートを達成するが、それにも関わらず、前縁領域内への熱流の流率を、従来の融液成長装置によって供給される熱流よりも増加するのが望ましい。もちろん、前縁領域内へのこの増加した流率の熱流は、前縁が形成して結晶化が起こる同じ領域において融液の露出面からの除熱を増加させることによって均衡を取ることができる。
【0012】
本発明において、サブマージヒーターは、るつぼの床面の外側から融液を加熱するのに使用する従来型ヒーターによって加熱する装置におけるよりも、融液の露出面に一層近づけて設置することができる。特に、サブマージヒーターの厳密な構成を度外視すると、サブマージヒーターは、本明細書で加熱素子と称する加熱コンポーネントを有し、この加熱素子は、るつぼの床面よりも融液の露出面により一層近接配置する。本発明のサブマージヒーターは、加熱素子と融液との間に配置して、融液が加熱素子と接触しないようにするシェルを加熱素子有する。シェルは、石英ガラスのような不活性材料から構成することができる。このようにして、加熱素子は、結晶シートの水平成長が開始する融液の露出面に近接して設置でき、しかも、潜在的に腐食性又は反応性の融液に加熱素子を露出させることなく設置できる。
【0013】
図1Aは、本発明に基づく融液処理装置の断面図を示す。融液処理装置100は、結晶シートの水平成長が起こる露出面108を有する融液104を容れるるつぼ102を備える。るつぼ102は、露出面108側とは反対側の床面112を有する。熱は、床面112に近接したるつぼ102の外側に配置した従来型のヒーター(図示せず)によって融液104に供給する。この熱は、融解温度又はそれ以上に融液104を維持するのに使用することができる。この実施形態及び他の実施形態において、サブマージヒーター106として示す、サブマージヒーターも設け、融液104に対する付加的加熱を生ずる。サブマージヒーター106は、露出面108の領域114に高流率の熱流を供給することができる加熱素子107を備える。領域114は、融液104における露出面108の直下、例えば、露出面108の下方1〜3ミリメートルにある部分を含むことができる。
【0014】
十分高流率の熱流を領域114内に供給するとき、シリコンから成る結晶シートのような結晶シートの安定成長が起こる。特に、本発明の発明者が認識したのは、結晶シートの平面内に〔100〕配向を有する水平成長シリコンシートの前縁で形成されたファセットの性質は、前縁に高流率の熱流を供給することによってより一層安定化することができる点であった。特に、(111)ファセットは、前縁で形成することができ、融液の露出面に対して54.7゜の角度をなすことができる。この高角度のファセットは、るつぼを加熱するのに外部ヒーターを使用する従来の装置供給する熱流を上回る熱流を供給することによってより一層安定化することができる。
【0015】
本発明の実施形態において、
図1Aにおいて示すように、少なくともサブマージヒーター106の加熱素子は、るつぼ102の床面112よりも融液104の露出面108により近接させて配置する。
図1Aにおいて示すように、床面112は、図示したデカルト座標系におけるY軸に平行な方向に沿って露出面108から距離h
1だけ離れるとともに、サブマージヒーター106の加熱素子107の頂部は、同一方向に沿って露出面108から距離h
2の位置に配置し、この距離h
2は加熱素子の浸漬深さを表す。この実施形態及び以下に説明する他の実施形態において、融液の露出面に対する加熱素子の頂部又は頂面の距離は、露出面に対する加熱素子の距離と称することができる。しかし、理解すべきは、他に明記しない限りにおいて、加熱素子の頂面からの距離は、加熱素子の「頂部」と称することができる加熱素子の露出面に一番近い部分の距離を意味する。この実施形態及び他の実施形態において、この距離h
2は距離h
1よりも短く、またサブマージヒーター106は、床面112の下方に配置する従来型のヒーターによって生ずるよりも領域114に一層近くで熱を発生することができる。このため、従来型のヒーターよりも一層高流率の熱流をサブマージヒーター106によって領域114に対して発生することができる。加えて、高流率の熱流をより一層選択的な様態で発生することができ、これにより領域114の外側の領域は低い流率の熱流を受ける。このことは望ましくあり、なぜなら、成長する結晶シート(図示せず)の下方のような他の領域では、過剰な熱流によって成長する結晶シートを融液へと望ましくなく戻してしまうからである。
【0016】
留意すべきは、従来型のヒーターを使用して融液の露出面に送給可能な熱の量は、加熱素子が発生できる熱流によって制限されるのではなく、従来型の結晶成長装置に使用する材料の特性によって制限される。例えば、石英ガラスを融解シリコンのるつぼ材料として使用するが、これは、融解シリコンと反応せず、またこのような融液から成長した結晶シートに対する汚染材料源とならないからである。しかし、その熱伝導率が低いため、大きな熱勾配が、石英ガラスるつぼの外側の熱源とるつぼ内のシリコン融液との間に展開する。シリコン結晶シートの前縁を安定化するため、前縁を形成する融液の露出面に20W/cm
2又はそれ以上の熱流を生成することが望ましい。この程度の熱流は、石英ガラスるつぼを加熱するのに使用するるつぼヒーターとして機能する、従来型外部ヒーターのような熱源で容易に発生できる。しかし、20W/cm
2の範囲の熱流を石英ガラスるつぼに加えるとき、その熱伝導抵抗は0.05W/cm-Kであり、400K/cmの熱勾配がるつぼ厚さの両側間に発生する。条件を満たするつぼの厚さは4mmであるため、この結果るつぼを横切って160Kの温度降下となり、るつぼの加熱側の温度は、シリコンの融液温度よりも少なくとも160K高く又は約1845Kにすべきこととなる。加えて、シリコン融液自体の熱伝導抵抗のため、30K〜50Kの範囲における更なる温度降下が、外部ヒーターに近接する融液底部と結晶化が起こる露出面との間で発生する。従って、このことは、石英ガラスるつぼの外側に1875K〜1895Kの範囲の温度を、例えば、上述した石英ガラスの厚さに対して供給することを伴う。しかし、石英ガラスは1880K以上では容認できない程度まで柔化する。従って、従来型の装置を使用して20W/cm
2を上回る熱流を供給することは実行可能ではない。シリコン融液は、融液への低い流率の熱流を使用して融解状態に維持するが、このレベルの熱流は、前縁への熱流が少なすぎるため、高品質なシリコン結晶シートを生成するのに不十分である。
【0017】
本発明の実施形態は、この問題に対して多岐にわたる方法で対処する。一例として、サブマージヒーターの加熱素子を露出面により一層近接させて配置するサブマージヒーターを設けることによって、熱源と、結晶シートの成長が起こる融液の露出面との間で熱の消散が少なくなる。これは、熱源(加熱素子)と融液の露出面との間の温度降下を減少し、並びに、結晶シートの前縁へ送給可能な単位面積当たりの熱流低下も減少する。加えて、様々な実施形態において、加熱素子を備える熱源のZ軸に沿う寸法は、Z軸方向に沿って1mm〜数ミリメートルのような融液深さと比べて小さい。したがって、増大させた熱流は、主に標的領域に対して、例えばZ軸方向に沿う標的長さが1mm〜2mmである領域114に局部的に供給することができる。最後に、サブマージヒーターは後で詳述するように、比較的小さく、また比較的低質量であるため、サブマージヒーターを保護する石英ガラスシェルの厚さは、後で詳述するように、従来型のるつぼよりも相当薄いものとすることができる。
図2A〜2Cにつき詳述するように、この特性によって、ヒーターから融液への所定温度降下に対してより高い流率の熱流を発生でき、それによって、石英ガラスの機械的完全性を危うくすることなくより多い熱量の熱流を供給する。
【0018】
様々な理由から、露出面108に増加した熱流を送給し、また領域114における熱流を集中させる能力は、従来型の装置によっては達成できない。例えば、h
1に対応する、下側表面から露出面108までの融液104の深さは、10〜20mmの範囲にわたるものとすることができる。従って、床面112より下方で発生したいかなる熱も、領域114における露出面108に到達する前に10〜20mmの範囲内における距離を移動することができる。従って、シリコンの高い熱伝導性に起因して、領域114に集中した熱流を供給することは困難しく、熱が露出面108に到達する前にX?Y平面に平行な側方の方向に熱流を消散させてしまう。
【0019】
様々な実施形態において、サブマージヒーター106の加熱素子107は、露出面108から1〜3mmの範囲内の距離に配置することができ、それは、
図1Aに示すh
2に対応する。さらに以下に詳述する幾つかの実施形態において、サブマージヒーターは、移動するよう構成して距離h
2を変化させることができるようにし、これによって、露出面まで送給される熱流量及び熱流プロファイルを変化させることができる。
【0020】
図1Bは、処理装置100の操作の一実施例を示す。この実施例において、サブマージヒーター106は、領域114に集中した熱流120を発生するのに携わる。同時に、晶析装置110を露出面108の上方に設け、露出面から除熱する冷却を行う、この除熱を熱流122として示す。様々な実施形態において、晶析装置110は、融液104の融解温度よりも低い温度に維持する冷却ブロックとすることができる。熱流は、表面から晶析装置110に導くことができる。一実施例において、晶析装置110は融液104の融解温度よりも冷たいヘリウムガスのガス噴射を供給することができ、露出面からの除熱を促進する。幾つかの実施形態において、この結果、露出面108から晶析装置110に向かって外方に100W/cm
2を超える熱流を発生する除熱が起こる。この除熱速度(率)は、露出面を局所的に冷却するのに効果的であり、高品質のシリコン結晶シートを露出面108に沿って領域から引き出すことができる。例えば、結晶引出し機(図示せず)をZ軸に平行な方向126に沿って移動する時、結晶シート124は図示のように融液104から引き出すことができる。同時に、熱流120が領域114において50W/cm
2を超える時、異なる実施形態において0.5〜3mmの幅となることができる。しかし、実施形態はこの文脈内容に限定されない。この熱流120の領域114内への高い値は、
図1Cの拡大図において示すように、前縁128の安定化を助長する。
【0021】
前述したように、領域114への熱流を調製するため、幾つかの実施形態は、移動可能なサブマージヒーターを設け、サブマージヒーターの位置は、融液104の露出面108に対して調整可能である。
図1Dは、一変更例による融液処理装置150を示し、サブマージヒーター156は、露出面108に対して少なくとも一方向に移動可能である。幾つかの実施形態において、ドライブ158をホルダー154に連結し、このホルダー154は次にサブマージヒーター156に連結する。ドライブ158は、幾つかの実施形態において、X軸、Y軸、及びZ軸に沿ってサブマージヒーター156を移動するように構成することができる。特定の実施形態において、例えば、ドライブ158は、垂直方向、すなわちY軸に平行かつ露出面108に直交する方向にサブマージヒーター156を移動するように構成することができ、X?Y平面に平行に配置することができる。外部ヒーターは、融液104を加熱して、融液104をその融解温度以上に維持するように設ける。操作において、ヒーター152Aのような外部ヒーターは熱流160を発生するとともに、ヒーター152Bのような他の外部ヒーターは熱流162を発生する。同時に、晶析装置110は、発生した熱流122を露出面108の一部から外方に流出させて冷却を行い、上述のように結晶シート166の形成を促進する。一実施例において、結晶シート166の下側に配置したヒーター152Bは、熱流160よりも少ない熱流162を発生し、るつぼ102の床面112に近接した融液104の領域を、露出面108の領域において形成する結晶シート166を融解することなく、融解状態に維持することができる。加えて、サブマージヒーター156は、表面熱流164を発生し、この表面熱流164は、熱流160及び熱流162よりも多いものであり得る。用語「表面熱流」は、W/cm
2のような単位面積当たりの熱流を示す。従って、サブマージヒーターを露出面108に対して所望距離の位置(h
2は1ミリメートル〜3ミリメートル)に位置決めすることができるため、例えば、表面熱流164は幾つかの実施例において50W/cm
2を超えることができ、結晶シート166の前縁の安定化を支援する。
【0022】
様々な実施形態において、サブマージヒーターは異なる形状にすることができる。サブマージヒーターは、円形断面、長方形断面、又は他の断面形状にすることができる。実施形態はこの文脈内容に限定されない。シリコン融液を処理する実施形態において、サブマージヒーターは石英ガラスから成る外表面を有することができる。
図2A〜2Cは、サブマージヒーターの代替的な実施形態における垂直断面図である。
図2Aは、円形断面を有するサブマージヒーター200を示し、加熱素子204は石英ガラスから成るシェル202によって包囲する。本明細書に記載した加熱素子204及び他の加熱素子は、幾つかの実施例において抵抗加熱素子であり、グラファイト加熱素子又は当業者には既知の他の抵抗加熱素子がある。サブマージヒーター200の例示的な直径は、2mm〜1cmであり、実施形態はこの文脈内容に限定されない。
図2Bは、シェル212によって包囲した加熱素子214を有する他のサブマージヒーター210を提示する。サブマージヒーター200のように、サブマージヒーター210は、加熱素子としてグラファイト材料を含むことができ、シェル212は石英ガラスから構成することができる。サブマージヒーター210の断面の寸法は、サブマージヒーター200と類似しているが、断面は図示のように長方形形状とする。
【0023】
特定の実施形態において、加熱素子214のような加熱素子は、炭化ケイ素(SiC)でコーティングしたグラファイトから構成し、より堅牢な加熱素子を得る。本発明の発明者が見いだしたこと、コーティングしないグラファイトの加熱素子の高温での操作は、石英ガラスシェルとの反応を引き起こし、石英ガラスシェルからクリストバライト結晶物質の形成を引き起こし、シェル及びヒーターの性能における劣化を招く。従って、SiCの層をグラファイトと石英ガラスシェルとの間に設けて、クリストバライト形成を妨げ加熱素子の耐用寿命を延ばすことができる。
【0024】
図2Cは、サブマージヒーター220の更なる実施形態を示し、この場合、サブマージヒーター220は、概して、シェル222が加熱素子224を包囲する円形断面を有するが、外表面228が円形ではなく平坦な領域で肉薄部226が形成される点を除く。この実施形態が提供する利点は、サブマージヒーター220から外部へのより高流率の熱流が、更なる実施形態につき詳述するように、肉薄部226に隣接する領域において発生できる点である。
【0025】
図2A〜2Cの全ての実施形態を実現する一実装例において、或るサブマージヒーターのシェル厚は、外部ヒーターから熱を受け取る従来の石英ガラスるつぼの壁厚よりも薄くすることができる。上述したように、石英ガラスるつぼの厚さは4mmとすることができ、これは、特に、シリコン融液温度1685K又はそれ以上の温度で動作する時にるつぼに機械的完全性を与えるのに必要な最小厚さである。逆に、
図2A〜2Cの実施形態のサブマージヒーターに加わる可能性がある荷重が小さいことに起因して、サブマージヒーターシェルの厚さは、これも石英ガラスから構成することができ、1mmの範囲内とすることができる。これによって、加熱素子と接触する石英ガラス側面からシリコン融液と接触する側面に至る温度降下を大幅に減らす。例えば、石英ガラスに対する熱特性が上述したのと同一であると仮定すると、1mm厚さの石英ガラスシェルを横切って20W/cm
2を供給するためには、温度効果は40Kである。サブマージヒーターの外面における融液温度が最低の1685Kであると仮定すると、石英ガラスシェルの内面における温度を単に1725Kに設定でき、これは容認できないほど柔化をもたらす温度よりも十分低い。さらに、他の場合において、サブマージヒーターは、サブマージヒーターシェルを容認できないほど柔化することなく、80W/cm
2の熱流を発生するように設定することができ、これは、この熱流が1mmの厚さの石英ガラスシェルを横切って160Kの温度勾配を発生するからである。この場合において、石英ガラスシェルの内面は少なくとも温度1845K(1685+160)を受けるが、これは、依然として石英ガラスの容認できない柔化が起こらない容認可能な温度範囲内である。さらに、サブマージヒーターは、融液の露出面に近接して設置できるため、サブマージヒーターによって発生した熱流の大部分が露出面まで送給される。
【0026】
図3Aは、サブマージヒーター300の一実施形態の上面斜視図である。
図3Aは、融液処理装置320内のサブマージヒーター300を示し、融液処理装置320の部分は分かり易くするため幾つかのコンポーネントを省略した状態で示す。サブマージヒーター300は、ヒーター部304に連結したホルダー部302を有する。ホルダー部は、図示のように、後方部分306及びアーム部分308を有する。本明細書で使用する用語「ヒーター部」は、加熱素子とともに、この加熱素子を包囲する若しくは封入する構体又はシェルに言及する。本明細書で使用する「加熱素子」は、抵抗又は誘導ヒーターのような、熱を発生する能動的コンポーネントに言及し、またさらに、能動的コンポーネントからサブマージヒーターのシェルに熱を伝導する、熱伝導素子にも言及することができる。従って、一実施例において、加熱素子は抵抗ヒーターコンポーネントを有することができ、この抵抗ヒーターコンポーネントは、ヒーターコンポーネント、並びに抵抗ヒーターコンポーネントから熱を伝導するが、それ自体は抵抗加熱しないグラファイト部分に電流を流すことによって加熱される。もちろん、抵抗ヒーターコンポーネント自体はグラファイトから構成することができる。これら変更例の異なる態様を説明する実施形態を以下に記載する。
【0027】
図3Aに示すように、ホルダー部302はまた、ドライブ310に連結することができ、このドライブ310は、ホルダー部を晶析装置110及び露出面108に対してX軸、Y軸、Z軸に沿って移動することができる。このことは、例えば、ヒーター部304を晶析装置110に対する所望位置に位置決めすることを容易にする。図示のように、ヒーター部304は、X軸において細長い。この実施例において、ヒーター部304は、ロッドの形状を有し、またヒーター部304内にロッド状の加熱素子を含むことができる。ホルダー部302及びヒーター部304は双方ともグラファイト又は抵抗ヒーターとしての使用に適した他の材料から構成することができる。ホルダー部302及びヒーター部304の双方は、後に詳述するように石英ガラスから成る外側構体を有することができる。
【0028】
動作にあたり、ヒーター部は、露出面108の表面領域に沿って細長い加熱ゾーンに対する局所的加熱をもたらす。
図3Bは、ヒーター部304及び晶析装置110の平面図であって、ヒーター部304によって露出面108に生ずる加熱ゾーン314を示す。図示のように、加熱ゾーン314は、X軸に沿って細長く、X軸に沿ってヒーター部304のヒーター幅と同一又は同様の幅を有することができる。やはり
図3Bに示すように、晶析装置110は、結晶シート330の結晶化が起こる領域を生ずる冷却ゾーン316を発生することができる。冷却ゾーン316も、X軸に沿って細長い。結晶シート330は、X軸に直交する方向、即ち方向126に引っ張ることによって引き出すことができる。晶析装置110は、方向126に沿う引っ張りが起こるとき、X軸に沿う結晶シート330の前縁340を形成するよう構成することができる。加熱ゾーン314は冷却ゾーン316にオーバーラップすることができる。加熱ゾーン314は、前縁340を安定化するのに十分な熱を供給することができる。様々な実施形態において、加熱ゾーン314の幅は、冷却ゾーン316の幅と同様又は同一のものとすることができ、150mm又は200mm又は300mmの範囲にわたるものとし、同一の対応する幅の結晶シートを生産することができるようにする。
【0029】
図4Aは、サブマージヒーター300の変更例の詳細を示す。この変更例において、サブマージヒーター400の一部であって、ホルダー406及びヒーター部408の片側を含んだ状態で示す。ホルダー406は、内部構体402、及びこの内部構体402を包囲するシェル404を有する。内部構体402は、グラファイト又は他の導電性材料とすることができる。シェル404は、石英ガラスから構成することができ、また内部構体402を少なくとも高さHに沿って封入することができ、この高さHは、動作中融液の露出面108の上方にくるよう設計する。ヒーター部408も、グラファイト又は他の導電性材料から構成し、石英ガラス内に封入する。
【0030】
図4Bは、
図4Aの区域Cを示すサブマージヒーター400の一部の端部断面図を示す。図示のように、ヒーター部408は、加熱素子410を封入するシェル412を有する。加熱素子410は、内部構体402に機械的に添着することができる、又は内部構体と同一材料から一体形成することができる。このようにして、加熱素子410は内部構体402に電気的に接続することができる。
【0031】
図4Cは、
図4Bに示した平面A?Aにおけるサブマージヒーター400の垂直断面図を示す。動作にあたり、電流を内部構体402及び加熱素子410に通電し、それによって加熱素子410内で抵抗加熱を起こさせる。内部構体402の断面積C
1の加熱素子410の断面積C
2に対する相対比を調整して、加熱素子410が内部構体402を過剰に加熱することなく1800K又はそれ以上の温度を発生できるようにする。従って、サブマージヒーター400によって発生した熱は、ヒーター部408にすぐ近接した領域に集中することができる。幾つかの実施形態において、ヒーター部408の直径D
1は、5mm未満とする、また一実施例においては3mmとすることができる。一実施例において、加熱素子410の直径D2は、1mmとし、シェル412の厚さも1mmとすることができる。シェル412を石英ガラスから構成する実施例において、この厚さによって、上述した過剰な温度降下なしにシェル412に熱を伝導することができる。一実施例において、
図4Bにおいて示すように、ホルダー406のシェル404の寸法D
3は5mmであり、内部構体402の寸法D
4は3mmである。しかし、実施形態はこの文脈内容に限定されない。
図4Dは、ヒーター部420の他の実施形態の端部断面図を示す。この実施形態において、ヒーター部は、中間領域において肉薄部分426を有する加熱素子424を封入するシェル422を含む。肉薄部分426の小さい断面積のために、熱を肉薄部分426内さに集中せることができる。
【0032】
様々な実施形態において、サブマージヒーターを配置して、融液の露出面に30W/cm
2を超える熱流を供給することができる。
図5は、融液の露出面に対するサブマージヒーターの位置の関数として、露出面に対する熱流束のCFD計算の結果を示す。曲線530は、曲線522
、524、526及び528と同様に、融液の表面に平行な方向に沿う位置の関数として、融液の露出面での熱流(流束)を示す熱流プロファイルである。曲線530は、サブマージヒーターが露出面の5mm下方に位置するときの熱流を示す。位置X=0は、サブマージヒーターの中心の直ぐ上方の位置を示す。従って、曲線530の鏡像であるX=0の左側に対する対称熱流曲線を含意する。図示のように、最大熱流33W/cm
2はX=0で発生し、その熱流はX=6mmで20W/cm
2未満まで減少する。曲線528は、サブマージヒーターが露出面の4mm下方に位置するときの熱流を示す。図示のように、最大熱流40W/cm
2はX=0で発生する。サブマージヒーターの露出面下方の深さが減少するにつれて、熱流のピーク値は増加し、これを曲線526(3mm)、曲線524(2mm)及び曲線522(1mm)によって示す。1mm深さの場合、熱流ピーク値90W/cm
2を達成する。加えて、ピークの半値全幅(FWHM)の値は、5mmの深さに対する7mm以上から、1mmの深さに対する5mmのFWHMまで減少する。
【0033】
前述の実施形態は、サブマージヒーターのヒーター部が融液によって全体を包囲される装置を示すが、他の実施形態において、ヒーター部の一部が融液の露出面上に突出することができる。
図6Aは、融液処理装置600の更なる実施形態を示し、サブマージヒーター602は、露出面108の下方に部分的にだけ浸漬し、ヒーター部の少なくとも一部が露出面108上方に位置する。特に、分かり易くするためサブマージヒーター602のホルダー部は図示せず、またヒーター部のみ可視化し、このヒーター部は
図3及び
図4A〜4Dにつき上述した円筒形状を有することができる。
図6Bは、融液処理装置620の更なる実施形態を示し、長方形断面を有するサブマージヒーター622を露出面108の下方に部分的にだけ浸漬させる。
図6A及び
図6Bの実施形態において、サブマージヒーターは、先に記載した実施形態につき詳述したように、加熱素子及び石英ガラスシェルから成る。
図6Cは、融液処理装置632の更なる実施形態を示し、この場合、サブマージヒーター632をるつぼ634に添着する。一実施例において、サブマージヒーター632は、石英ガラスから成るシェル638内にオフセットした加熱素子636を有する。加熱素子636は、表面640近傍であって、表面640の晶析装置110により近接する位置にオフセットする。従って、サブマージヒーター632からの熱流は、
図6Cの図における左側よりも、サブマージヒーター632の右側の方がずっと多くなる。これによって、上述したように結晶シートの前縁が形成される晶析装置の下方領域に熱を集中できる。例えば、表面熱流は、表面640の直ぐ右側位値で急峻ピークとなり得る。このタイプのピークを有する熱流プロファイルは、結晶シートの前縁に近接する狭い処理ゾーンに高流率の熱流を閉じ込めるのが望ましいときに有用である。
【0034】
図6A、6B、6Cの実施形態の利点は、それぞれのサブマージヒーターを単一の位置に添着でき、またそれによって、露出面108及び晶析装置110に対して異なる位置にサブマージヒーターを移動するのに使用する何らかのアクチュータ又は複合ホルダーを使用しないで済む点である。
図6A〜6Cの実施形態のサブマージヒーター動作はさらに、
図9A及び9Bにつき以下に詳述する、それらの上面がシリコン融液によって濡れるのを確実にするような手順を何ら持たない。
【0035】
図7Aは他の実施形態を示し、この場合、融液処理装置700は、融液処理装置700のるつぼ702と一体形成したサブマージヒーター704を備える。サブマージヒーター704は、るつぼ702のるつぼ壁710の一部を形成する上部領域706から成る。るつぼ壁710は、図示のように上部領域706がるつぼの下部領域712よりも露出面108に一層近接する。これによって、サブマージヒーター704の加熱素子708を上部領域706に近接配置する、又は接触配置し、この配置は、加熱素子708がるつぼの融液104には接触しない側に位置するように行う。したがって、サブマージヒーターの上部領域706に位置するるつぼ壁710の部分は、加熱素子を保護するシェルとして機能する。このようにして、加熱素子708の頂部は、加熱素子708を露出面108から離す距離h
2に安全に設置でき、この距離h
2は、露出面とるつぼ702の下部領域712との間の距離h
1よりも相当短い。
【0036】
図7Bは、融液処理装置720がるつぼ722のるつぼ壁710の一部を形成する上部領域730も有するサブマージヒーター724を備える更なる実施形態を示す。しかし、この実施形態において、加熱素子732は、2つの部分、すなわち、能動的ヒーターコンポーネント726及び熱伝導体部分728から構成する。能動的ヒーターコンポーネント726は、るつぼ702の下部領域712に又はその下方に配置し、また熱伝導体部分728経由で融液104内に伝導する熱を発生するよう構成する。熱伝導体部分728は、グラファイトのような高熱伝導性材料とすることができる。これによって、熱伝導体部分728の上部領域は、能動的ヒーターコンポーネント726と同様の、または同一温度に達することができる。融液104の観点からは、加熱素子732の上部領域730は熱源のように見え、この熱源の上面は、加熱素子732の上部733を露出面108から離す距離h
2の位置に配置する。この実施形態の利点は、加熱素子732によって生ずる熱源を、能動的ヒーターコンポーネント726を上部領域730内に配置することなく、露出面108に近接して設置できる点である。
【0037】
他の実施形態において、移動可能なサブマージヒーターは、るつぼのるつぼ壁から形成した不動部分及び加熱素子を有する可動部分を有することができる。
図8Aは、サブマージヒーター804として示す、可動サブマージヒーターを備える融液処理装置800の一実施形態の垂直断面図を示す。サブマージヒーター804は、可動部分812及び固定部分810を含む可動キャップ構体を有する。固定部分810は、るつぼ802のるつぼ壁814の一部を形成することができる。固定部分810の壁は、露出面108に対して90゜のような角度をなして突出する。固定部分810は、可動部分812に適合するよう構成し、それによって、可動部分812は、固定部分810に対して少なくともY軸に沿って摺動可能である。さらに
図8Aに示すように、可動部分812は、石英ガラスから成る不活性部品808及び加熱素子806を有することができる。加熱素子806は、不活性部品808に添着することができ、それによって、熱を加熱素子806から融液104内に効率的に伝達する。
【0038】
図8Bは、融液処理装置800の動作の一段階を示す。この実施例において、可動部分812は、
図8Aのシナリオにおけるよりも露出面108の近傍に配置する。様々な実施形態において、可動部分812は、加熱素子806の頂部を露出面108から離す距離h
2を変化させるよう構成することができる。例えば、可動部分812は、幾つかの場合、5mm〜1mmの間におけるh
2の範囲(Rh
2)を得るよう構成する。
図8Bの実施例において、可動部分812は距離h
2に配置し、この場合、加熱素子は、少なくとも50W/cm
2の熱流826を送給することができる。露出面108で材料を結晶化するのに十分な冷却を露出面108まで送給するとき、露出面108への熱流826のこの熱流流率(熱流速)は、結晶シート824を生成するのに使用でき、この結晶シート824は、結晶シート824の前縁(
図1C参照)に供給される高流率(流速)の熱流に起因して、並びに露出面108からの高速冷却に起因して、改良した特性を有する。
【0039】
図8A及び8Bにおいても示すように、サブマージヒーター804は、融液104に接触するサブマージヒーターの接触面818全体を石英ガラスのような不活性材料から成るものとして構成する。例えば、可動部分812が固定部分810に対して上方に移動するとき、固定部分810の壁、は、
図8Aにおいては露出していないが、融液104に露出することができる。しかし、固定部分810の壁はるつぼの一部を形成するため、壁も石英ガラスから構成することができる。固定部分810及び可動部分812の間に隙間が存在して、可動部分812の移動を許容するが、融液104の融液材料は、融解シリコンと石英ガラスとの間における表面エネルギーの相違に起因して、隙間830に浸入しない。この表面エネルギーの相違によって融解シリコンと石英ガラスとの間に高い接触角を生ずる。従って、1ミリメートルの10分の数ミリ程度の隙間830を、サブマージヒーター804において設けることができ、それによって、融液104はサブマージヒーター804の外方表面820に浸入することはない。このようにして、外方表面820に固定することができる加熱素子806は、可動部分812が上方に伸展する時にも保護されたままとなる。
【0040】
前述した、融解シリコン及び石英ガラスの表面エネルギーの相違によって、様々な実施形態において、石英ガラスから成るシェルを有するサブマージヒーターは、シリコン融液によるサブマージヒーターの濡れはじき特性に起因してヒーター表面を遮断するよう、シリコン融液の露出面に十分に近接して配置することができる。この観点において、幾つかの実施形態では、融液処理装置は、シリコン結晶シートの水平成長を開始する前に一連の作業に取り掛かることができる。
図9Aは、結晶シート成長前の融液処理装置700の作業の初期段階を示す。
図9Aに示す段階において、融液922をるつぼ702内で形成する。融液922は、シリコンをるつぼ702に導入するときに形成されるシリコン融液とすることができ、また熱は、
図1Dに示したヒーター152A及びヒーター152Bのような外部ヒーター(図示せず)によって供給する。幾つかの実装において、サブマージヒーター704の頂部からの、露出面900又は露出面902の水平部分までの距離h
3は、1mm又はそれ未満のような小さいものとすることができる。このため、融液922は石英ガラスから成る表面740の濡れをはじき、それによって、図示のような露出面902及び露出面900の湾曲形状を形成する。
図9Aの濡れはじきのシナリオをサブマージヒーター704に対して示すが、いずれの前述したサブマージヒーターの頂面を融液の露出面に近接配置するとき、サブマージヒーター頂面同に様の濡れはじきが起こり得る。サブマージヒーター704のようなサブマージヒーターの頂面を再度濡らすためには、シリコン固体ピースを融液922の頂面領域上に引き込むことができる。
図9Bは次の段階を示し、この段階において、シリコンピース906を、サブマージヒーター704の右側から左側に向かって、
図9Bの図面におけるZ軸に平行な方向908に沿ってサブマージヒーター704上方で引き込む。融液922は、シリコンピース906の底面を濡らし、それによって、融液922がサブマージヒーター704全体を覆うまでシリコンピース906を左方に引き込む。続いて、
図9Cで示した段階において、シリコンシード924を方向908とは逆向きの方向910に沿って引き戻すことができ、上述したように表面熱流164をサブマージヒーター704によって供給し冷却を晶析装置110によって供給するとき、結晶シート912を引き出すことができる。
【0041】
本発明は、上述した特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本発明の他の様々な実施形態及び変更は、上述の実施形態に加えて、先に述べた説明及び添付図面から当業者には明らかであろう。従って、他の実施形態及び変更は本発明の範囲内にあることを意図する。さらに、本発明は、特定の実施の背景において特定の環境において特定の目的のためにここで説明しているが、当業者は、その有効性がそれらに限定されず、本発明が多数の環境において多数の目的のために有益に実施できることを認識するであろう。従って、特許請求の範囲の請求項は、上述するように本発明の全幅範囲及び精神の観点から解釈すべきである。