【文献】
REGISTRY(STN)[online],2009年,RN: 1177996-59-6, 1177981-13-3, 117948-38-7, 1177920-00-1, 1177898-89-3, 1177808-74-0, 1177743-40-6, 1177735-96-4, 1177679-16-1, 1177643-05-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
一般事項
本発明は、ケモカイン受容体機能、特にCCR(9)機能の変更において有用な、化合物およびその塩、組成物、ならびに方法を対象とする。本明細書においてその様々な形で使用する、ケモカイン受容体活性の変更は、特定のケモカイン受容体、好ましくはCCR(9)受容体と関連する活性のアンタゴニズム、アゴニズム、部分アンタゴニズム、逆アゴニズム、および/または部分アゴニズムを包含するものとする。したがって、本発明の化合物は、哺乳動物CCR(9)、たとえば、ヒトCCR(9)タンパク質の少なくとも1つの機能または特性を変更する化合物である。化合物がCCR(9)の機能を変更する能力は、結合アッセイ(たとえば、リガンド結合またはアゴニスト結合)、走化性(遊走アッセイ)、シグナル伝達アッセイ(たとえば、哺乳動物Gタンパク質の活性化、細胞質ゾル遊離カルシウム濃度の急速かつ一過性の増大の誘発)、および/または細胞応答アッセイ(たとえば、白血球による走化性、開口分泌、または炎症メディエーター放出の刺激)において実証することができる。
略語および定義
本発明の化合物、組成物、方法、および工程について記載するとき、以下の用語は、別段指摘しない限り、次の意味を有する。
【0023】
用語「アルキル」とは、それ自体または別の置換基の一部として、指定した数の炭素原子(すなわち、C
1〜8は、1個〜8個の炭素原子を意味する)を有する、鎖状、環状もしくは分枝状、またはその組合せでよい、炭化水素基を指す。用語「シクロアルキル」は、それ自体または別の置換基の一部として、指定した数の炭素を有する環状アルキル基を指し、用語「アルキル」の亜集団である。用語「アルキル」の他の亜集団には、2種の異なる非環式アルキル基を指す「鎖状」および「分枝状」アルキル基が含まれる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどが挙げられる。この例の一覧において、例メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルアルキルは、「鎖状アルキル」基の例でもある。同様に、イソプロピルおよびt−ブチルは、「分枝状アルキル」基の例でもある。シクロペンチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンは、「シクロアルキル」基の例である。一部の実施形態では、シクロプロピルは、他の2つの部分の間の架橋基として使用され、−CH(CH
2)CH−と表される場合もある。アルキル基は、別段指摘しない限り、置換されていても非置換であってもよい。置換アルキルの例としては、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキルなどが挙げられる。アルキルの適切な置換の追加の例としては、限定はしないが、ヒドロキシ−イソプロピル、−C(CH
3)
2−OH、アミノメチル、2−ニトロエチル、4−シアノブチル、2,3−ジクロロペンチル、3−ヒドロキシ−5−カルボキシヘキシル、2−アミノエチル、ペンタクロロエチル、トリフルオロメチル、2−ジエチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、エトキシカルボニルメチル、メタニルスルファニルメチル、メトキシメチル、3−ヒドロキシペンチル、2−カルボキシブチル、4−クロロブチル、およびペンタフルオロエチルが挙げられる。
【0024】
「アルコキシ」とは、−O−アルキルを指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、
エトキシ、n−プロポキシなどが挙げられる。アルコキシのアルキル部分は、1〜16個の炭素、一部の実施形態では、1〜8個の炭素のアルキルでよい。
【0025】
「アルケニル」とは、鎖状、環状もしくは分枝状、またはその組合せでよい不飽和炭化水素基を指す。2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましい。アルケニル基は、1、2または3個の炭素−炭素二重結合を含んでよい。アルケニル基の例としては、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブタ−2−エニル、n−ヘキサ−3−エニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニルなどが挙げられる。アルケニル基は、別段指摘しない限り、置換されていても非置換であってもよい。
【0026】
「アルキニル」とは、鎖状、環状もしくは分枝状、またはその組合せでよい不飽和炭化水素基を指す。2〜8個の炭素原子を有するアルキニル基が好ましい。アルキニル基は、1、2または3個の炭素−炭素三重結合を含んでよい。アルキニル基の例としては、エチニル、n−プロピニル、n−ブタ−2−イニル、n−ヘキサ−3−イニルなどが挙げられる。アルキニル基は、別段指摘しない限り、置換されていても非置換であってもよい。
【0027】
「アルキルアミノ」とは、−N(アルキル)
2または−NH(アルキル)を指す。アルキルアミノ基が2つのアルキル基を含むとき、アルキル基は、互いに合わさって、炭素環またはヘテロ環を形成していてもよい。アルキルアミノ基のアルキル基は、置換または非置換の場合があると理解される。アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、モルホリノなどが挙げられる。
【0028】
置換アルキル基としての「アミノアルキル」は、最も典型的な場合では1〜2のアミノ基で置換されている、モノアミノアルキルまたはポリアミノアルキル基を指す。例としては、アミノメチル、2−アミノエチル、2−ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。
【0029】
「アリール」とは、単環(単環式)、または互いに縮合もしくは共有結合連結していてもよい多環(二環式)を有する、多価不飽和芳香族炭化水素基を指す。6〜10個の炭素原子を有するアリール基が好ましく、その場合、この炭素原子数は、たとえば、C
6〜10によって表すことができる。アリール基の例としては、フェニル、ナフタレン−1−イル、ナフタレン−2−イル、ビフェニルなどが挙げられる。アリール基は、別段指摘しない限り、置換されていても非置換であってもよい。置換アリールは、1または複数の置換基で置換されたものでよい。アリールに適する置換基としては、置換または非置換C
1〜8アルキルが挙げられ、そうした置換基は、置換アルキルについて上述したとおりである。
【0030】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、それ自体または置換基の一部として、塩素、臭素、ヨウ素、またはフッ素原子を指す。
置換アルキル基としての「ハロアルキル」は、最も典型的な場合では1〜3個のハロゲン原子で置換されている、モノハロアルキルまたはポリハロアルキル基を指す。例としては、1−クロロエチル、3−ブロモプロピル、トリフルオロメチルなどが挙げられる。
【0031】
「ヘテロシクリル」とは、窒素、酸素、または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(通常は1〜5個のヘテロ原子)を含んでいる、飽和または不飽和の非芳香族環を指す。ヘテロシクリル環は、単環式または二環式の場合がある。こうした基は、少なくとも1個のヘテロ原子が存在するという前提で、0〜5個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子、および0〜2個の酸素原子を含むことが好ましい。一部の実施形態では、こうした基は、0〜3個の窒素原子、0〜1個の硫黄原子、および0〜1個の酸素原子を含む。ヘテロ環基の例としては、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロ
ラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン−S−オキシド、チオモルホリン−S,S−ジオキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3−ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどが挙げられる。好ましいヘテロ環基は、単環式であるが、アリールまたはヘテロアリール環系に縮合または共有結合連結していてもよい。
【0032】
上の定義において、置換アルキル、アルケニル(alkeynyl)、およびアルキニルに適する置換基としては、ハロゲン、−CN、−CO2R’、−C(O)R’、−C(O)NR’R’’、オキソ(=Oまたは−O
−)、−OR’、−OC(O)R’、−OC(O)NR’R’’−NO
2、−NR’C(O)R’’、−NR’’’C(O)NR’R’’、−NR’R’’、−NR’CO
2R’’、−NR’S(O)R’’、−NR’S(O)
2R’’’、−NR’’’S(O)NR’R’’、−NR’’’S(O)
2NR’R’’、−SR’、−S(O)R’、−S(O)
2R’、−S(O)
2NR’R’’、−NR’−C(NHR’’)=NR’’’、−SiR’R’’R’’’、−OSiR’R’’R’’’、−N
3、置換または非置換C
6〜10アリール、置換または非置換5〜10員ヘテロアリール、および置換または非置換3〜10員ヘテロシクリルが挙げられる。考えられる置換基の数は、0〜(2m’+1)の範囲であり、ここで、m’は、このようなラジカルにおける炭素原子の合計数である。置換アルキルに関して、R’、R’’、およびR’’’は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
2〜8アルケニル、置換または非置換C
2〜8アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロシクリル、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換アリールオキシアルキルを始めとする様々な基を指す。R’およびR’’は、同じ窒素原子に結合しているとき、その窒素原子と合わさって、3、4、5、6、または7員環を形成していてもよい(たとえば、−NR’R’’として、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルが挙げられる)。さらに、R’とR’’、R’’とR’’’、またはR’とR’’’は、これらが結合している原子と一緒になって、置換または非置換の5、6、または7員環を形成する場合もある。
【0033】
好ましい一実施形態では、ヘテロ環基は、以下の式(AA)によって表されるものでよい。
【0035】
ここで、式(AA)は、M
1またはM
2いずれかに属する自由原子価によって結合しており、M
1は、O、NR
e、またはS(O)
lを表し、M
2は、CR
fR
g、O、S(O)
l、またはNR
eを表し、ここで、M
1またはM
2に属する遊離原子価を創出するために1つのR
f、R
g、またはR
eを省く必要がある場合もあり(たとえば、CR
f、CR
g、またはN)、lは、0、1または2であり、jは、1、2または3であり、kは、1、2または3であり、但し、j+kは、3、4または5であり、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、およびR
gは、水素、ハロゲン、非置換または置換C
1〜8アルキル、非置換または置換C
2〜8アルケニル、非置換または置換C
2〜8アルキニル、−COR
h、−CO
2R
h、−CONR
hR
i、−NR
hCOR
i、−SO
2R
h、−SO
2NR
hR
i、−NR
hSO
2R
i、−NR
hR
i、−OR
h、−SiR
hR
iR
j、−OSiR
hR
iR
j、−Q
1COR
h、−Q
1CO
2R
h、−Q
1CONR
hR
i、−Q
1NR
hC
OR
i、−Q
1SO
2R
h、−Q
1SO
2NR
hR
i、−Q
1NR
hSO
2R
i、−Q
1NR
hR
i、−Q
1OR
hからなる群から独立して選択され、Q
1は、C
1〜4アルキレン、C
2〜4アルケニレン、およびC
2〜4アルキニレンからなる群から選択される要素であり、R
h、R
i、およびR
jは、水素およびC
1〜8アルキルからなる群から独立して選択され、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g、R
h、R
i、およびR置換基それぞれの脂肪族部分は、ハロゲン、−OH、−OR
n、−OC(O)NHR
n、−OC(O)NR
nR
o、−SH、−SR
n、−S(O)R
n、−S(O)
2R
n、−SO
2NH
2、−S(O)
2NHR
n、−S(O)
2NR
nR
o、−NHS(O)
2R
n、−NR
nS(O)
2R
o、−C(O)NH
2、−C(O)NHR
n、−C(O)NR
nR
o、−C(O)R
n、−NHC(O)R
o、−NR
nC(O)R
o、−NHC(O)NH
2、−NR
nC(O)NH
2、−NR
nC(O)NHR
o、−NHC(O)NHR
n、−NR
nC(O)NR
oR
p、−NHC(O)NR
nR
o、−CO
2H、−CO
2R
n、−NHCO
2R
n、−NR
nCO
2R
o、−CN、−NO
2、−NH
2、−NHR
n、−NR
nR
o、−NR
nS(O)NH
2および−NR
nS(O)
2NHR
oからなる群から選択される1〜3個の要素で場合に応じて置換されており、R
n、R
o、およびR
pは、独立して、非置換C
1〜8アルキルである。加えて、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、およびR
gのいずれか2つが合わさって、架橋またはスピロ環系を形成していてもよい。
【0036】
好ましい別の実施形態では、水素以外であるR
a+R
b+R
c+R
d基の数は、0、1または2である。より好ましい実施形態では、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、およびR
gは、水素、ハロゲン、非置換または置換C
1〜8アルキル、−COR
h、−CO
2R
h、−CONR
hR
h、−NR
hCOR
h、−SO
2R
h、−SO
2NR
hR
i、−NSO
2R
hR
i、−NR
hR
i、および−OR
hからなる群から独立して選択され、R
hおよびR
iは、水素および非置換C
1〜8アルキルからなる群から独立して選択され、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、およびR
g置換基それぞれの脂肪族部分は、ハロゲン、−OH、−OR
n、−OC(O)NHR
n、−OC(O)NR
nR
o、−SH、−SR
n、−S(O)R
o、−S(O)
2R
n、−SO
2NH
2、−S(O)
2NHR
n、−S(O)
2NR
nR
o、−NHS(O)
2R
n、−NR
nS(O)
2R
o、−C(O)NH
2、−C(O)NHR
n、−C(O)NR
nR
o、−C(O)R
n、−NHC(O)R
n、−NR
nC(O)R
o、−NHC(O)NH
2、−NR
nC(O)NH
2、−NR
nC(O)NHR
o、−NHC(O)NHR
n、−NR
nC(O)NR
oR
p、−NHC(O)NR
nR
o、−CO
2H、−CO
2R
n、−NHCO
2R
n、−NR
nCO
2R
o、−CN、−NO
2、−NH
2、−NHR
n、−NR
nR
o、−NR
nS(O)NH
2、および−NR
nS(O)
2NHR
oからなる群から選択される1〜3個の要素で場合に応じて置換されており、R
n、R
o、およびR
pは、独立して、非置換C
1〜8アルキルである。
【0037】
より好ましい実施形態では、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、およびR
gは、独立して、水素またはC
1〜4アルキルである。好ましい別の実施形態では、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、およびR
gの少なくとも3つは、水素である。
【0038】
「ヘテロアリール」とは、少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香族基を指し、ヘテロアリール基は、単環式または二環式の場合がある。例としては、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、アザインドリル、アザインダゾリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル
、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、またはチエニルが挙げられる。好ましいヘテロアリール基は、キノリニル、キノキサリニル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、キノリル、イソキノリルなどの、少なくとも1個のアリール環窒素原子を有するものである。好ましい6員環ヘテロアリール系としては、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニルなどが挙げられる。好ましい5員環ヘテロアリール系としては、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、フリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリルなどが挙げられる。
【0039】
ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、利用可能などの環炭素またはヘテロ原子において結合していてもよい。各ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、1つまたは複数の環を有する場合がある。いくつもの環が存在するとき、環は、互いに縮合していても、または共有結合連結していてもよい。各ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、窒素、酸素、または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(通常は1〜5個のヘテロ原子)を含まなければならない。こうした基は、0〜5個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子、および0〜2個の酸素原子を含むことが好ましい。こうした基は、0〜3個の窒素原子、0〜1個の硫黄原子、および0〜1個の酸素原子を含むことがより好ましい。ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基は、別段指摘しない限り、置換されていても非置換であってもよい。置換された基について、置換は、炭素原子上またはヘテロ原子上の場合がある。たとえば、置換がオキソ(=Oまたは−O
−)であるとき、結果として生じる基は、カルボニル(−C(O)−)を有する場合もあり、またはN−オキシド(−N
+−O
−)を有する場合もある。
【0040】
置換アルキル、置換アルケニル、および置換アルキニルに適する置換基としては、ハロゲン、−CN、−CO
2R’、−C(O)R’、−C(O)NR’R’’、オキソ(=Oまたは−O
−)、−OR’、−OSiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−OC(O)NR’R’’−NO
2、−NR’C(O)R’’、−NR’’’C(O)NR’R’’、−NR’R’’、−NR’CO
2R’’、−NR’S(O)R’’、−NR’S(O)
2R’’’、−NR’’’S(O)NR’R’’、−NR’’’S(O)
2NR’R’’、−SR’、−S(O)R’、−S(O)
2R’、−S(O)
2NR’R’’、−NR’−C(NHR’’)=NR’’’、−SiR’R’’R’’’、−N
3、置換または非置換C
6〜10アリール、置換または非置換5〜10員ヘテロアリール、および置換または非置換3〜10員ヘテロシクリルが挙げられる。考えられる置換基の数は、0〜(2m’+1)の範囲であり、ここで、m’は、このようなラジカルにおける炭素原子の合計数である。
【0041】
置換アリール、置換ヘテロアリール、および置換ヘテロシクリルに適する置換基としては、ハロゲン、−CN、−CO
2R’、−C(O)R’、−C(O)NR’R’’、オキソ(=Oまたは−O
−)、−OR’、−OSiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−OC(O)NR’R’’、−NO
2、−NR’C(O)R’’、−NR’’’C(O)NR’R’’、−NR’R’’、−NR’CO
2R’’、−NR’S(O)R’’、−NR’S(O)
2R’’、−NR’’’S(O)NR’R’’、−NR’’’S(O)
2NR’R’’、−SR’、−S(O)R’、−S(O)
2R’、−S(O)
2NR’R’’、−NR’−C(NHR’’)=NR’’’、−SiR’R’’R’’’、−N
3、置換または非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
2〜8アルケニル、置換または非置換C
2〜8アルキニル、置換または非置換C
6〜10アリール、置換または非置換5〜10員ヘテロアリール、および置換または非置換3〜10員ヘテロシクリルが挙げられる。考えられる置換基の数は、0から、芳香族環系に属する空の原子価の合計数までの範囲で
ある。
【0042】
上で使用したとおり、R’、R’’、およびR’’’は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
2〜8アルケニル、置換または非置換C
2〜8アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロシクリル、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換アリールオキシアルキルを始めとする様々な基を指す。R’およびR’’は、同じ窒素原子に結合しているとき、その窒素原子と合わさって、3、4、5、6、または7員環を形成していてもよい(たとえば、−NR’R’’として、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルが挙げられる)。さらに、R’とR’’、R’’とR’’’、またはR’とR’’’は、これらが結合している原子と一緒になって、置換または非置換の5、6、または7員環を形成する場合もある。
【0043】
アリールまたはヘテロアリール環の近接する原子上の置換基2つは、式−T−C(O)−(CH
2)
q−U−[式中、TおよびUは、独立して、−NR’’’’−、−O−、−CH
2−、または単結合であり、qは、0〜2の整数である]の置換基で場合に応じて置き換えられていてもよい。別法として、アリールまたはヘテロアリール環の近接する原子上の置換基2つは、式−A’−(CH
2)
r−B’−[式中、A’およびB’は、独立して、−CH
2−、−O−、−NR’’’’−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−S(O)
2NR’’’’−、または単結合であり、rは、1〜3の整数である]の置換基で場合に応じて置き換えられていてもよい。このように形成された新しい環の単結合の1つは、場合に応じて二重結合で置き換えられていてもよい。別法として、アリールまたはヘテロアリール環の近接する原子上の置換基2つは、式−(CH
2)
s−X−(CH
2)
t−[式中、sおよびtは、独立して、0〜3の整数であり、XIVは、−O−、−NR’’’’−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、または−S(O)
2NR’−である]の置換基で場合に応じて置き換えられていてもよい。R’’’’は、水素または非置換C
1〜8アルキルから選択される。
【0044】
「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、およびケイ素(Si)を包含するものとする。
「薬学的に許容される」担体、希釈剤、または賦形剤とは、製剤の他の成分と適合し、その受容者にとって有害でない担体、希釈剤、または賦形剤である。
【0045】
「薬学的に許容される塩」とは、哺乳動物などの患者への投与が許容される塩(たとえば、所与の投薬計画について哺乳動物への安全性が許容されるものである塩)を指す。そのような塩は、本明細書に記載の化合物上に見出される特定の置換基に応じて、薬学的に許容される無機または有機の塩基から、また薬学的に許容される無機または有機の酸から導くことができる。本発明の化合物が、相対的に酸性の官能基を含むとき、中性形態のそのような化合物を、無希釈または適切な不活性溶媒中で、十分な量の所望の塩基と接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される無機塩基から導かれる塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。薬学的に許容される有機塩基から導かれる塩としては、置換アミン、環状アミン、自然発生アミンなどを含めた、第一級、第二級、第三級、および第四級アミン、たとえば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トロメタミンなどの塩が挙げられる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含むとき、中性形態のそのような化合物を、無希釈または適切な不活性溶媒中で、十分な量の所望の酸と接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸から導かれる塩としては、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸(camphosulfonic acid)、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルコロン酸(glucoronic acid)、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。一部の実施形態では、化合物として、ナトリウム付加塩が挙げられる。
【0046】
また、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸やガラクツロン酸などのような有機酸の塩も挙げられる(たとえば、Berge,S.M.ら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharmaceutical Science、1977、66:1〜19を参照されたい)。本発明のある特定の化合物は、塩基性と酸性の両方の官能基を含み、そのため、化合物を塩基付加塩または酸付加塩のどちらかに変換することが可能になる。
【0047】
中性形態の化合物は、塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を従来どおりに単離することにより再生できる。化合物の親形態は、極性溶媒への溶解性などのある特定の物理的性質が、種々の塩形態と異なるが、本発明の目的では、塩は、他の点で、親形態の化合物と同等である。
【0048】
「その塩」とは、酸の水素が、金属カチオンや有機カチオンなどのカチオンで置き換えられたときに生成する化合物を指す。塩は、薬学的に許容される塩であることが好ましいが、患者に投与することにならない中間体化合物の塩には、その必要はない。
【0049】
本発明は、塩形態に加えて、プロドラッグ形態になっている化合物も提供する。プロドラッグは、ある状況において、親薬物より投与しやすい場合もあるため、多くの場合有用である。たとえば、プロドラッグは、経口投与によって生体利用可能となりうるが、親薬物はそうでない。プロドラッグはまた、医薬組成物への溶解性が親薬物より改善されている場合もある。プロドラッグの加水分解切断または酸化的活性化を利用するものなどの、広範な種類のプロドラッグ誘導体が当業界で知られている。限定なしでプロドラッグの一例となるのは、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次いで活性実在物であるカルボン酸に代謝によって加水分解される、本発明の化合物である。追加の例として、本発明の化合物のペプチジル誘導体が挙げられる。
【0050】
本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物となる化合物である。加えて、プロドラッグは、ex vivo環境において、化学的または生化学的方法によって、本発明の化合物に変換することができる。たとえば、プロドラッグは、適切な酵素または化学試薬と共に経皮パッチレザバーに入れたとき、本発明の化合物にゆっくりと変換することができる。
【0051】
プロドラッグは、化合物中に存在する官能基を、型通りの操作またはin vivoのいずれかにおいて修飾部分が切断されて親化合物になるような方法で修飾することにより調製できる。プロドラッグとしては、哺乳動物対象に投与されたとき、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、またはカルボキシル基が切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、またはカルボキシル基を生成する、いずれかの基に結合している化合物が挙げられる。プロドラッグの例としては、限定はしないが、本発明の化合
物中のアルコールおよびアミン官能基の酢酸、ギ酸、および安息香酸誘導体が挙げられる。プロドラッグの調製、選択、および使用については、T.HiguchiおよびV.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S.Symposium Series第14巻;「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard編、Elsevier、1985;ならびにBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B.Roche、米国薬剤師会およびPergamon Press、1987において論述されており、これら文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0052】
本発明の化合物は、薬学的に許容されるその代謝産物の形で存在してもよい。用語「代謝産物」とは、本発明の化合物(またはその塩)の、薬学的に許容される形の代謝誘導体を意味する。一部の態様において、代謝産物は、in vivoで活性化合物に容易に変換可能である、化合物の機能誘導体でもよい。他の態様において、代謝産物が活性化合物である場合もある。
【0053】
用語「酸同配体」とは、別段記載しない限り、カルボン酸と同様のレベルの活性(または溶解性などの他の化合物特性)をもたらす酸性官能基ならびに立体および電子特性を有する、カルボン酸と差し替えることのできる基を意味する。代表的な酸同配体としては、ヒドロキサム酸、スルホン酸、スルフィン酸、スルホンアミド、アシルスルホンアミド、ホスホン酸、ホスフィン酸、リン酸、テトラゾール、およびオキソオキサジアゾールが挙げられる。
【0054】
「治療有効量」とは、治療を必要とする患者に投与するとき、治療を実施するのに十分な量をいう。
本明細書で使用する「治療する」または「治療」とは、哺乳動物(特にヒトまたは伴侶動物)などの患者において疾患または医学的状態(ウイルス、細菌、もしくは真菌感染症または他の感染疾患、ならびに自己免疫性または炎症性の状態など)を治療することまたはその治療を指し、患者において疾患もしくは医学的状態を寛解させる、すなわち、疾患もしくは医学的状態を解消するもしくは退行させること、患者において疾患もしくは医学的状態を抑制する、すなわち、疾患または医学的状態の発症を緩やかにするもしくは阻止すること、または患者において疾患もしくは医学的状態の症状を緩和することを包含する。
【0055】
本発明のある特定の化合物は、溶媒和していない形態だけでなく、水和形態を含めて、溶媒和した形態で存在しうる。一般に、溶媒和した形態と溶媒和していない形態の両方が、本発明の範囲内に含まれるものとする。本発明のある特定の化合物は、いくつもの結晶形または非晶形で(すなわち、多形として)存在する場合もある。一般に、本発明が企図する使用については、すべての物理的形態が同等であり、本発明の範囲内にあるものとする。
【0056】
当業者には、本発明のある特定の化合物は、互変異性型で存在する場合もあり、そのようなすべての互変異性型の化合物が、本発明の範囲内にあることは明白となろう。たとえば、ヘテロアリールを有する一部の化合物は、1または複数のヒドロキシル基で置換されている場合がある。したがって、互変異性型は、オキソ置換を含むことになる。本発明のある特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し、ラセミ体、ジアステレオ異性体、幾何異性体、および個々の異性体(たとえば、分かれた鏡像異性体)は、すべて、本発明の範囲内に含まれるものとする。本発明の化合物は、こうした化合物を構成する原子の1つまたは複数の箇所において、不自然な割合の原子同位体を含有する場合もある。たとえば、化合物は、放射性同位体、たとえば、トリチウム(
3H)、ヨウ素
125(
125I)、炭素14(
14C)などで放射標識される場合がある。放射性であろうとなかろうと、本発明の化合物のすべての同位体変形形態が、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0057】
本発明の化合物は、検出可能な標識を含む場合もある。検出可能な標識は、普通はマイクロモル未満、大方はナノモル未満、ことによるとピコモル未満の低い濃度で検出可能であり、分子特性(たとえば、分子量、質量対電荷比、放射性、酸化還元電位、発光、蛍光、電磁特性、結合特性など)の差異によって他の分子と容易に区別することのできる基である。検出可能な標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、磁気的、電磁気的、光学的、または化学的手段などによって検出することができる。
【0058】
ハプテン標識(たとえば、ビオチン、または西洋ワサビペルオキシダーゼ抗体などの検出可能な抗体と併せて使用される標識);マスタグ標識(たとえば、安定同位体標識);放射性同位体標識(
3H、
l25I、
35S、
14C、または
32Pを始めとする);金属キレート標識;通常は量子収量が0.1を越える、蛍光標識(フルオレセイン、イソチオシアネート、Texas red、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、燐光標識、および化学発光標識を始めとする発光標識;電気活性および電子伝達標識;補酵素、有機金属触媒西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAにおいて一般に使用される他の標識を始めとする酵素変更因子標識;光増感剤標識;Dynabeadsを始めとする磁気ビーズ標識;コロイド状の金、銀、セレン、もしくは他の金属、および金属ゾル標識(すべての目的でその全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第5,120,643号を参照されたい)、または色ガラスもしくはプラスチック(たとえば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズ標識などの比色標識;ならびにカーボンブラック標識を始めとして、広範な種類の検出可能な標識が、本発明の範囲内にある。このような検出可能標識の使用を教示する特許としては、米国特許第3,817,837号、第3,850,752号、第3,939,350号、第3,996,345号、第4,277,437号、第4,275,149号、第4,366,241号、第6,312,914号、第5,990,479号、第6,207,392号、第6,423,551号、第6,251,303号、第6,306,610号、第6,322,901号、第6,319,426号、第6,326,144号、および第6,444,143号が挙げられ、これら特許は、すべての目的でその全体が参照により本明細書に援用される。
【0059】
検出可能標識は、市販品として入手可能であり、または当業者に知られているとおりに調製することもできる。検出可能標識は、適切などの位置に配置することもできる反応性官能基を使用して、化合物に共有結合によって結合させることができる。検出可能標識を結合させる方法は、当業者に知られている。反応性基を、アリール核につながったアルキルまたは置換アルキル鎖に結合させるとき、反応性基は、アルキル鎖の末端の位置に配置してもよい。
化合物
本発明は、CCR(9)の活性を変更する化合物を提供する。ケモカイン受容体は、ケモカインなどの細胞外リガンドと相互に作用し、リガンドに対する細胞応答、たとえば、走化性、細胞内カルシウムイオン濃度の増大などを媒介する、内在性膜タンパク質である。したがって、ケモカイン受容体機能の変更、たとえば、ケモカイン受容体リガンド相互作用の妨害によって、ケモカイン受容体介在性の応答が変更され、ケモカイン受容体介在性の状態もしくは疾患が治療もしくは予防される。ケモカイン受容体機能の変更は、機能の誘発および阻害の両方を包含する。なされる変更のタイプは、化合物の特性、すなわち、アンタゴニスト、または完全、部分、もしくは逆アゴニストに応じて決まる。
【0060】
たとえば、本発明の化合物は、強力なCCR(9)アンタゴニストとして働き、このア
ンタゴニスト活性は、CCR(9)の象徴的な疾患状態の一つである炎症について、動物試験でさらに確認されている。したがって、本明細書で提供する化合物は、CCR(9)介在性の疾患を治療する医薬組成物および方法において、また競合的CCR(9)アンタゴニストを特定するアッセイにおける対照として有用である。
【0061】
以下で示す式において、同じ式中で変項が2回以上出現するとき、その変項は同じでも異なってもよい。たとえば、式(I)において、一方のR
8は−NH
2でよく、残りのR
8は水素でよい。
【0062】
一実施形態では、本発明の化合物は、式(I)またはその塩によって表される。
【0064】
式中、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、置換または非置換C
1〜8アルキルアミノ、および置換または非置換C
3〜10ヘテロシクリルからなる群から選択され、R
2は、H、F、Cl、置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシであり、またはR
1およびR
2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、非芳香族炭素環またはヘテロ環を形成しており、R
3は、H、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシ、またはハロであり、R
4は、HまたはFであり、R
5は、H、F、Cl、または−CH
3であり、R
6は、H、ハロ、−CN、−CO
2R
a、−CONH
2、−NH
2、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシ、または置換もしくは非置換C
1〜8アミノアルキルであり、R
aは、Hまたは置換もしくは非置換C
1〜8アルキルであり、R
5およびR
6は、一緒になって炭素環を形成する場合もあり、Lは、結合、−CH
2−、または−CH(CH
3)−であり、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、およびA
8はそれぞれ、N、N−O、および−CR
8−からなる群から独立して選択され、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7およびA
8の少なくとも1つかつ2つ以下は、NまたはN−Oであり、R
8は、H、ハロ、−CN、−OH、オキソ、置換または非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、−NR
20R
21、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択され、R
20およびR
21は、それぞれ独立して、Hまたは置換もしくは非置換C
1〜8アルキルである。
【0065】
式(I)の一実施形態では、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキルであり、好ましくは、R
1はt−ブチルであり、R
2、R
3、R
4およびR
5はHであり、R
6は、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、−CN、−CONH
2、−NH
2、またはC
1〜8アミノアルキルであり、好ましくは、R
6は、非置換C
1〜8アルキル、またはC
1〜8ハロアルキルであり、より好ましくは、R
6は、−CH
3、−CH
2F、−CHF
2、または−CF
3であり、Lは結合であり、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、A
8、およびR
8は、式(I)で規定したとおりである。
【0066】
式(I)の別の実施形態では、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキルであり、好ましくは、R
1はt−ブチルであり、R
2はFであり、R
3、R
4およびR
5はHであり、R
6は、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、−CN、−CONH
2、−NH
2、または置換もしくは非置換C
1〜8アミノアルキルであり、好ましくは、R
6は、非置換C
1〜8アルキル、またはC
1〜8ハロアルキルであり、より好ましくは、R
6は、−CH
3、−CH
2F、−CHF
2、または−CF
3であり、Lは結合であり、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、A
8、およびR
8は、式(I)で規定したとおりである。
【0067】
一実施形態では、本発明の式(I)の化合物は、式(II)またはその塩によって表される。
【0069】
式中、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、置換または非置換C
1〜8アルキルアミノ、および置換または非置換C
3〜10ヘテロシクリルからなる群から選択され、R
2は、H、F、Cl、または置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシであり、またはR
1およびR
2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、非芳香族炭素環またはヘテロ環を形成しており、R
3は、H、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシ、またはハロであり、R
4は、HまたはFであり、R
5は、H、F、Cl、または−CH
3であり、R
6は、H、ハロ、−CN、−CO
2R
a、−CONH
2、−NH
2、置換もしくは非置換C
1〜8アミノアルキル、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、または置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシであり、R
aは、Hまたは置換もしくは非置換C
1〜8アルキルであり、R
5およびR
6は、一緒になって、炭素環を形成する場合もあり、Lは、結合、−CH
2−、または−CH(CH
3)−であり、Zは、
【0071】
およびこれらのN−オキシドからなる群から選択され、Z基は、非置換であっても、または独立して選択される1〜3個のR
8置換基で置換されていてもよく、各R
8は、H、ハロ、−CN、−OH、オキソ、置換または非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、−NR
20R
21、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、R
20およびR
21は、それぞれ独立して、H、置換または非置換C
1〜8アルキルである。
【0072】
式IIの一実施形態では、Zは、置換または非置換キノリニル、置換または非置換イソキノリニル、置換または非置換1,6−ナフチリジニル、置換または非置換シンノリニル、置換または非置換フタラジニル、置換または非置換キナゾリニルからなる群から選択される。
【0073】
式(II)の一実施形態では、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキルであり、好ましくは、R
1はt−ブチルであり、R
2、R
3、R
4およびR
5はHであり、R
6は、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、−CN、−CONH
2、−NH
2、または置換もしくは非置換C
1〜8アミノアルキルであり、好ましくは、R
6は、非置換C
1〜8アルキル、またはC
1〜8ハロアルキルであり、より好ましくは、R
6は、−CH
3、−CH
2F、−CHF
2、または−CF
3である。
【0074】
式(II)の別の実施形態では、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキルであり、好ましくは、R
1はt−ブチルであり、R
2はFであり、R
3、R
4およびR
5はHであり、R
6は、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、−CN、−CONH
2、−NH
2、または置換もしくは非置換C
1〜8アミノアルキルであり、好ましくは、R
6は、非置換C
1〜8アルキル、またはC
1〜8ハロアルキルであり、より好ましくは、R
6は、−CH
3、−CH
2F、−CHF
2、または−CF
3である。
【0075】
一実施形態では、本発明の式(I)の化合物は、式(IIIa)もしくは(IIIb)またはその塩によって表される。
【0077】
式中、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、置換または非置換C
1〜8アルキルアミノ、および置換または非置換C
3〜10ヘテロシクリル、好ましくは置換または非置換C
2〜8アルキル、より好ましくはt−ブチルからなる群から選択され、R
2は、H、F、Cl、または置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシ、好ましくはHまたはF、より好ましくはHであり、またはR
1およびR
2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、非芳香族炭素環またはヘテロ環を形成しており、R
3は、H、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシ、またはハロ、好ましくはHまたはハロ、より好ましくはHであり、R
4は、HまたはF、好ましくはHであり、R
5は、H、F、Cl、または−CH
3、好ましくはHであり、R
6は、H、ハロ、−CN、−CO
2R
a、−CONH
2、−NH
2、置換もしくは非置換C
1〜8アミノアルキル、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、または置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシ、好ましくは非置換C
1〜8アルキル、またはC
1〜8ハロアルキル、より好ましくは−CH
3、−CH
2F、−CHF
2、または−CF
3であり、R
aは、Hまたは置換もしくは非置換C
1〜8アルキルであり、またはR
5およびR
6は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環を形成しており、各R
8は、H、ハロ、−CN、−OH、オキソ、置換または非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、−NR
20R
21、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、R
20およびR
21は、それぞれ独立して、Hまたは置換もしくは非置換C
1〜8アルキルであり、nは、0、1、2または3である。
【0078】
式(IIIa)または(IIIb)の一実施形態では、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキルであり、好ましくは、R
1はt−ブチルであり、R
2、R
3、R
4およびR
5はHであり、R
6は、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、−CN、−CONH
2、−NH
2、または置換もしくは非置換C
1〜8アミノアルキルであり、好ましくは、R
6は、非置換C
1〜8アルキル、またはC
1〜8ハロアルキルであり、より好ましくは、R
6は、−CH
3、−CH
2F、−CHF
2、または−CF
3であり、Lは結合であり、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、A
8、およびR
8は、式(I)で規定したとおりである。
【0079】
式(IIIa)または(IIIb)の一実施形態では、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキルであり、好ましくは、R
1はt−ブチルであり、R
2はFであり、R
3、R
4およびR
5はHであり、R
6は、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、−CN、−CONH
2、−NH
2、または置換もしくは非置換C
1〜8アミノアルキルであり、好ましくは、R
6は、非置換C
1〜8アルキル、またはC
1〜8ハロアルキルであり、より好ましくは、R
6は、−CH
3、−CH
2F、−CHF
2、または−CF
3であり、Lは結合であり、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、A
8、およびR
8は、式(I)で規定したとおりである。
【0080】
式(IIIa)または(IIIb)の一実施形態では、R
1は、−CH
2CH
3、−CH(CH
3)
2、−C(CH
3)
3、−C(CH
3)
2CH
2CH
3、C(CH
2CH
2)CN、−C(OH)(CH
3)
2、−OCH
3、−OCH
2CH
3、−OCH(CH
3)
2、−OC(CH
3)
3、−OCH
2CH(CH
3)
2、−OCF
3、およびモルホリノからなる群から選択され、好ましくは、R
1は−C(CH
3)
3であり、R
2は、H、F、またはClであり、好ましくは、R
2はHまたはFであり、R
1およびR
2は、一緒になって、−OC(CH
3)
2CH
2−または−C(CH
3)
2CH
2CH
2−を形成する場合もあり、R
3は、H、−CH
3、または−OCH
3であり、好ましくは、R
3はHであり、R
4は、HまたはFであり、好ましくは、R
4はHであり、R
5はHであり、R
6は、H、−CH
3、−CH
2CH
3、−CH(CH
3)
2、C
3H
7、−CH
2F、−CHF
2、−CF
2CH
3、−CF
3、−CH
2OCH
3、−CH
2OH、−CH
2CN、−CN、または−CONH
2であり、好ましくは、R
6は、−CH
3、−CH
2F、−CHF
2、または−CF
3であり、R
8は、H、F、Cl、Br、−CH
3、−OH、−OCH
3、−OCH
2CH
3、−NH
2、−N(CH
3)
2、および−CNからなる群からそれぞれ独立して選択され、好ましくは、R
8は、Hまたは−NH
2である。
【0081】
一部の実施形態では、R
2はHである。一部の実施形態では、R
2はFである。
一実施形態では、式(IIIa)もしくは(IIIb)の化合物またはその塩は、
【0084】
からなる群から選択される。
好ましいR
1置換基
式(I、II、IIIa、およびIIIb)において、R
1は、置換または非置換C
2〜8アルキル、置換または非置換C
1〜8アルコキシ、置換または非置換C
1〜8アルキルアミノ、および置換または非置換C
3〜10ヘテロシクリルからなる群から選択される。R
1が置換アルキルであるとき、アルキル基は、ハロまたはヒドロキシで置換されていることが好ましい。R
1が置換アルコキシであるとき、アルコキシ基は、ハロで置換されていることが好ましい。R
1は、C
3〜8シクロアルキルを含めた非置換C
2〜8アルキル、C
2〜8ハロアルキル、C
1〜8ヒドロキシアルキル、非置換C
1〜8アルコキシ、C
1〜8ハロアルコキシ、およびC
1〜8アルキルアミノであることが好ましく、より好ましくは非置換C
2〜8アルキル、C
2〜8ハロアルキル、非置換C
1〜8アルコキシ、
およびC
1〜8アルキルアミノ、さらにより好ましくは非置換C
2〜8アルキル、非置換C
1〜8アルコキシ、およびモルホリノ、さらにより好ましくは非置換C
2〜8、最も好ましくはt−ブチルである。
好ましいR
6置換基
式(I、II、IIIa、およびIIIb)において、R
6は、H、ハロ、−CN、−CO
2R
a、−CONH
2、−NH
2、置換もしくは非置換C
1〜8アルキル、置換もしくは非置換C
1〜8アルコキシ、または置換もしくは非置換C
1〜8アミノアルキルである。R
6が置換アルキルであるとき、アルキル基は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはシアノで置換されていることが好ましい。R
6は、−CN、−CONH
2、−NH
2、非置換C
1〜8アルキル、非置換C
1〜8ハロアルキル、および非置換C
1〜8アルコキシであることが好ましく、より好ましくは非置換C
1〜8アルキルまたは非置換C
1〜8ハロアルキル、さらにより好ましくは非置換C
1〜8アルキル、最も好ましくはメチルである。
ケモカイン活性を変更する組成物
別の態様において、本発明は、ケモカイン活性、詳細にはCCR(9)活性を変更する組成物を提供する。一般に、ヒトおよび動物においてケモカイン受容体活性を変更する組成物は、薬学的に許容される賦形剤または希釈剤と、式I〜IIIのいずれかを有する化合物とを含む。
【0085】
本明細書で使用する用語「組成物」は、指定された諸成分を指定された量で含む製品、ならびに指定された諸成分を指定された量で組み合わせた結果、直接または間接的に生じる任意の製品を包含するものとする。「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤、または賦形剤が、製剤の他の成分と適合し、その受容者に有害でないものでなければならないことを意味する。
【0086】
本発明の化合物を投与するための医薬組成物は、好都合に単位剤形の体裁にすることができ、製薬業界でよく知られている方法のいずれかによって調製することができる。方法はすべて、活性成分を、1種または複数の付属成分をなす担体と合わせるステップを含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体もしくは微粉化固体担体または両方と、均質かつ綿密に合わせ、次いで必要なら、製品を所望の製剤に成形することにより調製される。活性目的化合物は、医薬組成物中に、疾患の経過または状態に対して所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。
【0087】
活性成分を含有する医薬組成物は、たとえば、錠剤、トローチ剤、口中錠、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、乳濁液(emulsion)および米国特許第6,451,339号に記載のとおりの自己乳化液(self−emulsification)、硬もしくは軟カプセル剤、またはシロップもしくはエリキシルとしての、経口的使用に適する形態にすることができる。経口的使用向きの組成物は、医薬組成物の製造業者に知られているどんな方法に従って調製してもよい。このような組成物は、薬剤として洗練され、味のよい調製物にするために、甘味剤、着香剤、着色剤、および保存剤から選択される1種または複数の薬剤を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に適する薬学的に許容される他の非毒性賦形剤が混合された活性成分を含有する。そうした賦形剤は、たとえば、セルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤、たとえば、コーンスターチ、アルギン酸;結合剤、たとえば、PVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン、アカシア;および滑沢剤、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクでよい。錠剤は、コーティングされなくてもよいし、または既知の技術によって腸溶コーティングもしくは別な形のコーティングを施して、消化管における崩壊および吸収を遅らせ、それによって、長期間にわたる持効性を実現することもできる。たとえば、モノステアリン酸グリセリ
ルやジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いることができる。錠剤は、米国特許第4,256,108号、第4,166,452号、および第4,265,874号に記載の技術によってコーティングして、徐放のための治療用浸透圧錠剤にすることもできる。
【0088】
経口的使用のための製剤は、活性成分が、不活性固体希釈剤、たとえば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセル剤、または活性成分が、水、または油媒質、たとえば、ラッカセイ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセル剤の体裁にしてもよい。加えて、油などの水と混和性でない成分で乳濁液を調製し、モノ−ジグリセリド、PEGエステルなどの界面活性剤で安定化することもできる。
【0089】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤が混合された活性材料を含有する。そのような賦形剤は、懸濁化剤、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴムであり、分散剤または湿潤剤は、自然発生するホスファチド、たとえば、レシチン、またはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、たとえば、ポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、たとえば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールから導かれる部分エステルとの縮合生成物、たとえば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトール無水物から導かれる部分エステルとの縮合生成物、たとえば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートでよい。水性懸濁液は、1種または複数の保存剤、たとえば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル、1種または複数の着色剤、1種または複数の着香剤、および1種または複数の甘味剤、たとえば、スクロースやサッカリンも含有してよい。
【0090】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、たとえば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはヤシ油、または流動パラフィンなどの鉱油に懸濁させることにより製剤できる。油性懸濁液は、増粘剤、たとえば、蜜ろう、固形パラフィン、セチルアルコールを含有してもよい。上述のものなどの甘味剤、および着香剤を加えて、味のよい経口調製物にすることもできる。こうした組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えて保存することができる。
【0091】
水を加えて水性懸濁液を調製するのに適する分散性粉末および顆粒では、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1種または複数の保存剤が混合された活性成分が供給される。適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤は、上ですでに言及したものが実例となる。追加の賦形剤、たとえば、甘味剤、着香剤、および着色剤も存在してよい。
【0092】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳濁液の形にすることもできる。油相は、植物油、たとえば、オリーブ油やラッカセイ油、または鉱油、たとえば流動パラフィン、またはこれらの混合物でよい。適切な乳化剤は、自然発生するゴム、たとえば、アカシアゴムやトラガカントゴム、自然発生するホスファチド、たとえば、大豆レシチン、脂肪酸とヘキシトール無水物から導かれるエステルまたは部分エステル、たとえば、モノオレイン酸ソルビタン、および前記部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、たとえば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートでよい。乳濁液は、甘味剤および着香剤も含有してよい。
【0093】
シロップおよびエリキシルは、甘味剤、たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、またはスクロースと共に製剤することができる。このような製剤は、
粘滑剤、保存剤、着香剤、および着色剤も含有してよい。経口溶液は、たとえば、シクロデキストリン、PEG、および界面活性剤と組み合わせて調製することができる。
【0094】
医薬組成物は、水性または油性の滅菌注射用懸濁液の形にすることもできる。この懸濁液は、上で言及している適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って製剤することができる。注射用滅菌調製物は、たとえば、1,3−ブタンジオール溶液としての非経口的に許容される非毒性の希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液でもよい。用いることのできる許容される媒体および溶媒の中でも、水、リンガー液、および等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。加えて、滅菌された無菌性油(axed oil)を溶媒または懸濁媒として用いると好都合である。この目的では、合成モノまたはジグリセリドを始めとする、どんな無刺激性固定油を用いてもよい。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も、注射液の調製において使用できる。
【0095】
本発明の化合物は、薬物を直腸投与する坐剤の形で投与することもできる。こうした組成物は、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって、直腸で融解して薬物を放出する、刺激性でない適切な賦形剤と薬物を混合することにより調製できる。そのような材料は、カカオ脂およびポリエチレングリコールである。加えて、化合物は、溶液または軟膏による眼への送達によって投与することもできる。さらにまた、イオン導入パッチなどの手段によって、対象化合物の経皮送達を実現することもできる。
【0096】
局所的使用については、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液、または懸濁液を用いる。本明細書で使用するとき、局所適用は、洗口剤および含嗽剤の使用も含むものとする。
【0097】
本発明の医薬組成物および方法は、上で言及した病的状態の治療において適用されるものなど、本明細書で示す、治療活性のある他の化合物をさらに含んでもよい。
一実施形態では、本発明は、薬学的に許容される担体と本発明の化合物とからなる組成物を提供する。
治療方法
治療する疾患および対象の状態に応じて、本発明の化合物および組成物は、経口、非経口(たとえば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射もしくは注入、皮下注射、または植込錠)、吸入、経鼻、膣内、直腸、舌下、または局所投与経路によって投与することができ、各投与経路に相応しい従来の薬学的に許容される非毒性担体、佐剤、および媒体を含有する適切な投薬量単位製剤に、単独または一緒に製剤することができる。本発明は、デポー製剤にした本発明の化合物および組成物の投与も企図する。
【0098】
ケモカイン受容体の変更が必要となる状態の治療または予防において、適切な投薬量レベルは、一般に、患者の体重1kgあたり1日約0.001〜100mgとなり、これを1回または複数回で投与することができる。投薬量レベルは、1日約0.01〜約25mg/kgになることが好ましく、より好ましくは1日約0.05〜約10mg/kgである。適切な投薬量レベルは、1日約0.01〜25mg/kg、1日約0.05〜10mg/kg、または約0.1〜5mg/kgでよい。この範囲内で、投薬量は、1日0.005〜0.05、0.05〜0.5、0.5〜5.0、または5.0〜50mg/kgとなりうる。経口投与について、組成物は、治療を受ける患者に対する投薬量を症状によって調整するために、1.0〜1000ミリグラムの活性成分、詳細には1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、および1000.0ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形で提供することが好ましい。化合物は、1日1〜4回、好ましくは1日1回または2回の投薬計画で投与することができる。
【0099】
しかし、任意の特定の患者のための詳細な用量レベルおよび投薬頻度は、まちまちとなる場合があり、用いる詳細な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、遺伝的特徴、全般的健康状態、性別、食事、投与方式および投与時間、排出率、薬物の併用、特定の状態の重症度、ならびに療法を受けるホストを含めて、様々な要素に応じて決まることは理解されよう。
【0100】
一部の実施形態では、本発明の化合物は、併用療法の一環として投与される。たとえば、一定量の化学療法薬または放射線を、本発明の化合物より前に、その後に、またはそれと組み合わせて、対象に投与する。一部の実施形態では、その量は、化学療法薬または放射線が単独で投与されるとき、治療量以下である。当業者なら、「combination(組合せ、併用)」が、治療の組合せを包含しうることは理解されよう(すなわち、2種以上の薬物は、混合物として投与される、または少なくとも同時に投与される、または、少なくとも、異なる時点であっても両方が同時に対象の血流に乗るように対象に導入される場合がある)。加えて、本発明の組成物は、第二の治療投薬計画の前または後に、たとえば、1回分の化学療法または照射の前または後に投与することができる。
【0101】
さらに他の実施形態では、本方法は、本発明の化合物または組成物を単独で、または第二の治療薬と組み合わせて投与し、前記第二の治療薬が、抗ヒスタミン薬または抗炎症薬である、アレルギー性疾患の治療を対象とする。組み合わせて使用するとき、施術者は、本発明の化合物または組成物と第二の治療薬の組合せを投与することができる。また、化合物または組成物と第二の治療薬は、いずれかの順序で順次投与してもよい。
【0102】
本発明の化合物および組成物は、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎を含める)、アレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎および喘息、ならびに上で指摘した病状を始めとする炎症性の状態および疾患などの、問題の状態または疾患を予防および治療するために、関係のある有用性を有する他の化合物および組成物と組み合わせることができる。併用療法で使用するのに相応しい薬剤の選択は、当業者が行うことができる。治療薬の組合せは、相乗的に作用して、種々の障害の治療または予防を実現しうる。この手法を使用すると、各薬剤のより少ない投薬量で治療有効性を得ることができ、したがって、不都合な副作用の可能性が低減される場合もある。
【0103】
炎症を治療し、予防し、寛解させ、コントロールし、またはそのリスクを軽減することにおいて、本発明の化合物は、抗炎症薬もしくは鎮痛薬、たとえば、オピエートアゴニスト、5−リポキシゲナーゼの阻害薬などのリポキシゲナーゼ阻害薬、シクロオキシゲナーゼ2阻害薬などのシクロオキシゲナーゼ阻害薬、インターロイキン1阻害薬などのインターロイキン阻害薬、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素の阻害薬もしくは一酸化窒素合成の阻害薬、アミノサリチレート、副腎皮質ステロイドおよび他の免疫抑制薬、非ステロイド性抗炎症薬、またはサイトカイン抑制性抗炎症薬と共に、たとえば、アセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、生物学的TNF封鎖剤(biological TNF sequestrant)、α4β7をターゲットとする生物学的薬剤、ACE2阻害薬、タンパク質キナーゼC(protein linase C)阻害薬、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド性鎮痛薬、スフェンタニル、スンリンダク(sunlindac)、テニダップなどの化合物と共に使用することができる。
【0104】
同様に、本発明の化合物は、疼痛緩和薬(pain reliever);カフェイン、H2アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウムまたはマグネシウムなどの増強薬;プソイドフェドリン(pseudophedrine)などのうっ血除去薬;コデインなどの鎮咳薬;利尿薬;鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン薬;超遅発抗原(VLA−
4)アンタゴニスト;シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、EDG受容体アゴニスト、または他のFK−506型免疫抑制薬などの免疫抑制薬;ステロイド;β2−アゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン生合成阻害薬などの非ステロイド性抗喘息薬;IV型ホスホジエステラーゼ(PDE−IV)の阻害薬;HMG−CoA還元酵素阻害薬、封鎖剤(sequestrant)、コレステロール吸収阻害薬などのコレステロール低下薬;およびインスリン、α−グルコシダーゼ阻害薬、グリタゾンなどの抗糖尿病薬と共に投与することもできる。
【0105】
本発明の化合物の第二の活性成分に対する重量比は、様々でよく、各成分の有効用量に応じて決まる。一般には、それぞれの有効用量を使用する。したがって、たとえば、本発明の化合物をNSAIDと組み合わせるとき、本発明の化合物のNSAIDに対する重量比は、一般に、約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲となる。本発明の化合物と他の活性成分の組合せも、一般に上述の範囲内となるが、各場合において、各活性成分の有効用量を使用すべきである。
CCR(9)介在性の状態または疾患を治療または予防する方法
さらに別の態様において、本発明は、CCR(9)介在性の状態または疾患を、そのような状態または疾患を有する対象に治療有効量の上記式のいずれかの化合物を投与することによって治療または予防する方法を提供する。本方法において使用する化合物には、上記式に従う化合物、上で実施形態として示した化合物、以下の実施例において詳細に例示する化合物、および本明細書において詳細な構造と共に示す化合物が含まれる。「対象」は、本明細書では、限定はしないが、霊長類(たとえば、ヒト)、雌牛、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを始めとする哺乳動物などの動物を含むように定義される。好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。
【0106】
本明細書で使用するとき、表現「CCR(9)介在性の状態または疾患」ならびに関連表現および用語は、不適正な、すなわち、正常より低いまたは高いCCR(9)機能活性を特徴とする状態または疾患を指す。不適正なCCR(9)機能活性は、通常はCCR(9)を発現させない細胞におけるCCR(9)発現、CCR(9)発現の増加(たとえば、炎症性および免疫調節性の障害および疾患につながる)、またはCCR(9)発現の減少の結果として生じることになるかもしれない。不適正なCCR(9)機能活性は、通常はTECKを分泌しない細胞によるTECK分泌、TECK発現の増加(たとえば、炎症性および免疫調節性の障害および疾患につながる)、またはTECK発現の減少の結果として生じることになるかもしれない。CCR(9)介在性の状態または疾患は、全部または一部が不適正なCCR(9)機能活性によってもたらされるものでよい。しかし、CCR(9)介在性の状態または疾患は、CCR(9)の変更によって、根底にある状態または疾患に対して多少の効果が得られる(たとえば、CCR(9)アンタゴニストによって、少なくとも一部の患者において患者の福利が多少改善される)ものである。
【0107】
用語「治療有効量」とは、研究者、獣医師、医師、または他の治療提供者が得ようとしている、細胞、組織、系、またはヒトなどの動物の生物学的または医学的応答を惹起する、対象化合物の量を意味する。
【0108】
炎症、免疫不全、感染症、およびがんと関連する疾患および状態は、本化合物、組成物、および方法で治療または予防することができる。一群の実施形態では、ヒトまたは他の種の、慢性疾患を含めた疾患または状態を、CCR(9)機能の阻害薬で治療することができる。そうした疾患または状態としては、(1)全身のアナフィラキシーまたは過敏症応答、薬物アレルギー、昆虫刺傷アレルギー、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患、(2)クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、回腸炎、腸炎などの炎症性腸疾患、および術後イレウス、(3)膣炎、(4)乾癬、および皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんま疹、そう痒症などの炎症性皮膚疾患、(5)血管炎、
(6)脊椎関節症、(7)強皮症、(8)喘息、およびアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患などの呼吸器アレルギー性疾患、(9)線維筋痛症(fibromyalagia)、強直性脊椎炎、若年性RA、スティル病、多関節型若年性RA、少関節型若年性RA、リウマチ性多発筋痛、関節リウマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、多関節型関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、II型糖尿病、糸球体腎炎などの自己免疫疾患、(10)移植片拒絶(同種移植片拒絶を含める)、(11)移植片対宿主病(急性および慢性の両方を含める)、(12)アテローム性動脈硬化症、筋炎、神経変性疾患(たとえば、アルツハイマー病)、脳炎、髄膜炎、肝炎、腎炎、敗血症、サルコイドーシス、アレルギー性結膜炎、耳炎、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎、ベーチェット症候群、痛風などの、望ましくない炎症応答を阻害すべきである他の疾患、(13)セリアック病などの免疫介在性食物アレルギー、(14)肺線維症および他の線維性疾患、(15)過敏性大腸症候群、(16)原発性硬化性胆管炎、(17)がん(原発性および転移性の両方を含める)、(18)出血性大腸炎や溶血性尿毒症性症候群などの、細菌と関連する症候群、(19)黒色腫、(20)原発性硬化性胆管炎、(21)術後イレウス、(22)肝炎、ならびに(23)炎症性肝疾患が挙げられる。
【0109】
別の群の実施形態では、疾患または状態を、CCR(9)機能のモジュレーターおよびアゴニストで治療することができる。CCR(9)機能の変更によって治療される疾患の例としては、がん、心血管疾患、血管形成または新血管新生が役割を果たす疾患(腫瘍性疾患、網膜症、および黄斑変性)、感染性疾患(ウイルス感染、たとえばHIV感染、および細菌感染)、ならびに臓器移植状態や皮膚移植状態などの免疫抑制性疾患が挙げられる。用語「臓器移植状態」は、骨髄移植状態および固形臓器(たとえば、腎臓、肝臓、肺臓、心臓、膵臓、またはこれらの組合せ)移植状態を包含するものとする。
【0110】
本方法は、クローン病および潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患、アレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎および喘息、関節リウマチなどの自己免疫疾患、ならびにセリアック病などの免疫介在性食物アレルギーから選択される疾患または状態の治療を対象とすることが好ましい。
【0111】
さらに他の実施形態では、本方法は、本発明の化合物または組成物を、単独で、または副腎皮質ステロイド、潤滑剤、角質溶解剤、ビタミンD
3誘導体、PUVA、アントラリンなどの第二の治療薬と組み合わせて使用する、乾癬の治療を対象とする。
【0112】
他の実施形態では、本方法は、本発明の化合物または組成物を、単独で、または潤滑剤や副腎皮質ステロイドなどの第二の治療薬と組み合わせて使用する、アトピー性皮膚炎の治療を対象とする。
【0113】
別の実施形態では、本方法は、本発明の化合物または組成物を、単独で、またはβ2アゴニストや副腎皮質ステロイドなどの第二の治療薬と組み合わせて使用する、喘息の治療を対象とする。
モジュレーターの調製
以下の実施例は、例示のために提示し、請求項に係る本発明を限定しない。
【0114】
加えて、当業者なら、本特許において主張する分子が、様々な標準の有機化学変換を使用して合成できることがわかるであろう。
本発明において目標化合物の合成に広く用いた、ある特定の一般的反応タイプを実施例にまとめて示す。詳細には、スルホンアミド生成およびアザ−アリールN−オキシド生成の一般手順を中に記載し、型通りに用いた。
【0115】
網羅的にする意図はないが、本発明の化合物の調製に使用できる代表的な有機合成変換
は、以下に含まれる。
そうした代表的な変換として、標準の官能基操作;ニトロをアミノにするなどの還元;アルコールおよびアザ−アリールを始めとする官能基の酸化;ニトリル、メチル、およびハロゲンを始めとする様々な基を導入するための、IPSOまたは他の機序によるアリール置換;保護基の導入および除去;グリニャール生成および求電子剤との反応;限定はしないが、Buckwald、鈴木、およびSonigashira反応を始めとする、金属媒介によるクロスカップリング;ハロゲン化および他の求電子性芳香族置換反応;ジアゾニウム塩生成およびそうした種の反応;エーテル化;ヘテロアリール基をもたらす環化縮合(cyclative condensation)、脱水、酸化、および還元;アリールメタル化および金属交換反応、ならびに、結果として生じるアリール−金属種の、酸塩化物やワインレブアミドなどの求電子剤との反応;アミド化;エステル化;求核置換反応;アルキル化;アシル化;スルホンアミド生成;クロロスルホニル化;エステルおよび同類の加水分解などが挙げられる。
【0116】
本特許で主張するある特定の分子は、異なる鏡像異性体型およびジアステレオ異性体型で存在する場合があり、そうした化合物のそのようなすべての変形形態が、本発明の範囲内にある。詳細には、R
8がOHであり、窒素に対してオルトであるとき、式によって−N=C(OH)−と示されるものの、互変異性体型−NH−C(O)−も、その式の範囲内にあると理解される。
【0117】
この後の合成についての記述において、一部の前駆体は、市販品供給元から入手した。そうした市販品供給元には、Aldrich Chemical Co.、Acros Organics、Ryan Scientific Incorporated、Oakwood Products Incorporated、Lancaster Chemicals、Sigma Chemical Co.、Lancaster Chemical Co.、TCI−America、Alfa Aesar、Davos Chemicals、およびGFS Chemicalsが含まれる。
【0118】
活性の表に載せたものを始めとする本発明の化合物は、以下の実験の部に記載の方法および手法によって、また当業者によく知られている標準の有機化学変換を使用して製造することができる。
実施例
本発明の方法および本発明の医薬組成物において使用する例示的化合物としては、限定はしないが、次の表に載せた化合物が挙げられる。この表に載せた化合物の薬学的に許容される塩も、本発明の方法および本発明の医薬組成物において有用である。こうした化合物は、本発明の範囲内であり、CCR(9)活性について、以下に記載のとおりに試験した。
【0119】
本発明の化合物は、活性について、本明細書に記載の走化性アッセイにおいて、「走化性アッセイ」について記載されている「in vitroアッセイの実施例」と題した以下の部に従ってアッセイした。表1に載せたすべての化合物が、走化性アッセイにおいて1000nM未満のIC
50を有する。
【0134】
以下で使用する試薬および溶媒は、Aldrich Chemical Co.(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)などの市販品供給元から入手することができる。
1H−NMRは、Varian Mercury 400 MHz NMR分光計で記録した。重要なピークは、多重度(br、ブロード;s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線)およびプロトン数の順で一覧にする。質量分析結果は、質量の電荷に対する比、続いて各イオンの相対的存在量(括弧内)として報告する。一覧において
、単一のm/e値は、最も一般的な原子同位体を含んだM+H(または、特記するとき、M−H、M+Naなど)イオンについて報告する。同位体パターンは、すべての場合において、予想式に対応する。エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析は、サンプル送達にHP1100 HPLCを使用して、Hewlett−Packard MSDエレクトロスプレー質量分析計で実施した。通常、分析物は、0.1mg/mLでメタノールに溶解させ、1マイクロリットルを送達溶媒と共に質量分析計に注入し、それを100〜1500ダルトンで走査した。すべての化合物は、1%のギ酸を含有するアセトニトリル/水を送達溶媒として使用して、ポジティブESIモードで分析することができた。以下に示す化合物は、2mMのNH
4OAcアセトニトリル/水溶液を送達溶媒として使用して、ネガティブESIモードでも分析することができた。
【0135】
本発明の化合物は、以下に示す一般合成Aによって合成することができる。式Aの塩化アリールスルホニルを、ピリジンなどの塩基の存在下、適切な温度、たとえば80℃で、ピラゾールアミンBで処理すると、式Cのアリールスルホンアミドが得られる。ピラゾールアミンBは、エタノールなどの溶媒中にて、適切な高めの温度で、ヒドラジンDをニトリルCで処理して合成することができる。当業者なら、たとえばR
1、R
2、R
3、R
4、およびR
6を始めとする置換基は、反応条件に対するその反応性に応じて、合成の間、当業者に知られているとおりに、標準の保護基で保護する必要がある場合もあることは理解されよう。
一般合成A
【実施例1】
【0137】
4−t−ブチル−N−(3−メチル−1−(キナゾリン−4−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0138】
【化11】
【0139】
a)4−ヒドラジノキナゾリン(0.16g、1.0mmol)および3−オキソ−ブチロニトリル(0.083g、1.0mmol)をエタノール(10mL)に溶かした撹拌溶液を、60℃で18時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、30%酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の化合物(0.20g、0.089mmol、89%)を得た。
b)4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.084g、0.36mmol)および3−メチル−1−(キナゾリン−4−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.067g、0.30mmol)をピリジン(0.6mL)に混ぜた混合物を、撹拌しながら80℃で15時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、5〜60%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.30g、0.071mmol、24%)として得た。
【0140】
【数1】
【実施例2】
【0141】
4−t−ブチル−N−(1−(イソキノリン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0142】
【化12】
【0143】
a)4−アミノイソキノリン(1.4g、10.0mmol)を5N塩酸水溶液(12mL)に溶かした0℃の撹拌溶液に、内部温度を0℃未満に保ちながら、亜硝酸ナトリウム(NaNO
2、0.069g、10.0mmol)の脱イオン水(1mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、塩化スズ(II)二水和物(SnCl
2・2H
2O、5.6g、25.0mmol)を濃塩酸(5mL)に溶解させた溶液を滴下した。混合物を室温で2時間撹拌し、溶液を20%水酸化ナトリウム水溶液でpH約12〜14に調整した。混合物を2:1のCHCl
3/iPrOHで抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、50%酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の化合物(0.84g、5.3mmol、53%)を得た。
b)4−ヒドラジニルイソキノリン(0.32g、2.0mmol)および3−オキソ−ブチロニトリル(0.16g、0.19mmol)をエタノール(10mL)に懸濁させた撹拌懸濁液を、80℃で3時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に20%水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、80℃で1時間さらに加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空中で濃縮した。未精製残渣を1:1のジクロロメタン/メタノール(40mL)に溶解させ、相を分離した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、セライトパッドで濾過した。濾液を真空中で濃縮し、未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、50〜100%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.36g、1.6mmol、81%)を得た。
c)4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.10g、0.43mmol)および1−(イソキノリン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−アミン(0.080g、0.36mmol)をピリジン(5mL)に混ぜた混合物を、撹拌しながら80℃で15時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、50〜100%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.18g、0.12mmol、27%)として得た。
【0144】
【数2】
【実施例3】
【0145】
4−t−ブチル−N−(1−(8−フルオロキノリン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0146】
【化13】
【0147】
a)8−フルオロキノリン−4−アミン(1.0g、6.2mmol)を濃塩酸(6.2mL)および脱イオン水(6.0mL)に溶かした0℃の撹拌溶液に、NaNO
2(0.51g、7.4mmol)の脱イオン水(3mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで、SnCl
2・2H
2O(2.8g、12.4mmol)を脱イオン水(3mL)に溶解させた溶液を滴下した。混合物を室温で2時間撹拌し、懸濁液を炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性化した。混合物を2:1のCHCl
3/iPrOHで抽出した。有機層を1M硫酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる粗生成物をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.34g、1.9mmol、31%)。
b)未精製4−クロロ−8−フルオロキノリン(0.27g、1.5mmol)およびNH
2NH
2・H
2O(1.5mL、16.6mmol)をエタノール(1.6mL)に溶かした溶液を、マイクロ波装置において160℃で1時間、撹拌しながら加熱した。混合物を室温に冷却した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、水層を2:1のCHCl
3/iPrOH(2×5mL)で抽出した。有機層を合わせて水で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.27g、1.5mmol、100%)。
c)未精製8−フルオロ−4−ヒドラジニルキノリン(0.27g、1.5mmol)および3−オキソ−ブチロニトリル(0.15g、0.19mmol)をピリジン(3mL)に溶かした撹拌溶液を、80℃で15時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.14g、0.76mmol、50%)。
d)4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.13g、0.55mmol)および未精製1−(8−フルオロキノリン−4−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−アミン(0.14g、0.55mmol)をピリジン(1mL)に混ぜた混合物を、80℃で15時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.005g、0.011mmol、2%)として得た。
【0148】
【数3】
【実施例4】
【0149】
4−t−ブチル−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0150】
【化14】
【0151】
a)5−アミノキノリン(0.75g、5.2mmol)の濃塩酸(3.8mL)溶液を0℃で10分間撹拌した。冷反応混合物に、亜硝酸ナトリウム(0.43g、6.2mmol)の脱イオン水(0.5mL)溶液を10分かけて加え、0℃で1時間撹拌して、異成分からなる混合物を生成した。次いで、反応混合物にL−アスコルビン酸(0.95g、5.4mmol)を10分かけて加えた。反応混合物を室温に温め、45分間撹拌した。次いで、反応スラリーを80℃で20分間加熱し、脱イオン水(4mL)を加えた。懸
濁液を0℃に冷却し直し、2時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、メタノールで洗浄して、所望の生成物(0.45g、2.8mmol、54%)を得た。
b)キノリン−5−イル−ヒドラジン(0.25g、1.6mmol)を3:1のエタノール/脱イオン水(2.5mL)に懸濁させた撹拌懸濁液に、3−オキソ−ブチロニトリル(0.13g、1.6mmol)を加えた。次いで、反応混合物を60℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮し、得られる粗生成物をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.21g、1.5mmol、94%)。
c)4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.59g、2.5mmol)および未精製3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.47g、2.1mmol)をピリジン(0.6mL)に混ぜた混合物を、80℃で15時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、1〜10%の10%水酸化アンモニウム含有メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.18g、0.12mmol、6%)として得た。
【0152】
【数4】
【実施例5】
【0153】
N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0154】
【化15】
【0155】
4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.060g、0.23mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.050g、0.22mmol)をピリジン(1.0mL)に混ぜた撹拌混合物を、80℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグ
ラフィー(SiO
2、2〜10%のメタノールジクロロメタン溶液)によって精製し、逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製すると、表題化合物が白色の固体(0.010g、0.022mmol、10%)として得られた。
【0156】
【数5】
【実施例6】
【0157】
4−エチル−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0158】
【化16】
【0159】
4−エチルベンゼンスルホニルクロリド(0.033g、0.16mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.030g、0.13mmol)をピリジン(1.0mL)に混ぜた混合物を、80℃で2時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.019g、0.049mmol、38%)として得た。
【0160】
【数6】
【実施例7】
【0161】
4−イソプロピル−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0162】
【化17】
【0163】
4−t−ペンチルベンゼンスルホニルクロリド(0.028g、0.13mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.023g、0.10mmol)をピリジン(1.0mL)に混ぜた混合物を、80℃で18時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.020g、0.05mmol、50%)として得た。
【0164】
【数7】
【実施例8】
【0165】
4−イソプロポキシ−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0166】
【化18】
【0167】
4−イソプロポキシベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.10g、0.52mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.10g、0.44mmol)をピリジン(2mL)に混ぜた撹拌した混合物を、80℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、2〜10%のメタノールジクロロメタン溶液)、続いて逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.015g、0.036mmol、8%)として得た。
【0168】
【数8】
【実施例9】
【0169】
4−イソブトキシ−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0170】
【化19】
【0171】
a)イソブトキシベンゼン(0.60g、4.0mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶かした−45℃の撹拌溶液に、クロロスルホン酸(0.6mL、9.1mmol)を滴下し、反応混合物を−45℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を0℃に温め、追加のクロロスルホン酸(0.6mL、9.1mmol)を滴下した。次いで、反応混合物を0℃で1時間撹拌し、氷の中に注いだ。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、5〜10%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、4−イソブトキシベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.32g、1.1mmol、28%)を得た。
b)4−イソブトキシベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.060g、0.24mmol)、3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.050g、0.22mmol)、および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP、0.025g、0.20mmol)をピリジン(2mL)に混ぜた撹拌した混合物を、80℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、2〜5%のメタノールジクロロメタン溶液)、続いて逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.041g、0.094mmol、43%)として得た。
【0172】
【数9】
【実施例10】
【0173】
N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−4−t−ペンチルベンゼンスルホンアミドの合成
【0174】
【化20】
【0175】
4−t−ペンチルベンゼンスルホニルクロリド(0.13g、0.53mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.10g、0.44mmol)をピリジン(1.0mL)に混ぜた混合物を、80℃で3時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.11g、0.24mmol、55%)として得た。
【0176】
【数10】
【実施例11】
【0177】
4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0178】
【化21】
【0179】
a)4−アセチルベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.050g、0.22mmol)、3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.060g、0.27mmol)、およびDMAP(0.027g、0.22mmol)をピリジン(2mL)に混ぜた混合物を、80℃で2.5時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に1M水酸化リチウム水溶液(2mL)を加え、2時間撹拌した。溶液に、4:1のジクロロメタン/メタノールを加え、1M塩化アンモニウム水溶液(5mL)で洗浄した。溶液を水酸化アンモニウムでpH約8〜9に調製し、相を分離した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、2〜5%のメタノールジクロロメタン溶液)によって精製した。次いで生成物を最小量の4:1のジクロロメタン/メタノールで再結晶させ、固体を濾過によって収集して、所望の固体(0.059g、0.15mmol、66%)を得た。
b)4−アセチル−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミド(0.059g、0.15mmol)を含有するTHF(6mL)を含んだフラスコに、−45℃で、臭化メチルマグネシウムの溶液(1.4Mの3:1トルエン/THF溶液、1.4mL、2.0mmol)を、撹拌しながら加えた。反応混合物を1時間かけてゆっくりと−10℃に温め、4:1のジクロロメタン/メタノール(2mL)を加えた。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.020g、0.047mmol、32%)として得た。
【0180】
【数11】
【実施例12】
【0181】
2,2−ジメチル−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−スルホンアミドの合成
【0182】
【化22】
【0183】
2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−スルホニルクロリド(0.10g、0.41mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.11g、0.49mmol)をピリジン(0.41mL)に混ぜた撹拌混合物を、80℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。未精製残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、0〜20%の酢酸エチルヘキサン溶液)、続いて逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.070g、0.16mmol、40%)として得た。
【0184】
【数12】
【実施例13】
【0185】
2,2−ジメチル−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)クロマン−6−スルホンアミドの合成
【0186】
【化23】
【0187】
2,2−ジメチルクロマン−6−スルホニルクロリド(0.050g、0.22mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.068g、0.26mmol)をピリジン(1.0mL)に混ぜた撹拌混合物を、80℃で15時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M飽和硫酸水素塩水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる未精製残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、0〜20%の酢酸エチルヘキサン溶液)、続いて逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.010g、0.022mmol、10%)として得た。
【0188】
【数13】
【実施例14】
【0189】
1,1−ジメチル−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−スルホンアミドの合成
【0190】
【化24】
【0191】
a)3,3−ジメチル−1−インダノン(0.10g、0.64mmol)を硫酸(0.63mL)に溶かした0℃の撹拌溶液に、硝酸カリウム(KNO
3、0.063g、0.63mmol)を含有する硫酸(0.2mL)を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に温め、15時間撹拌した。反応混合物を氷で失活させ、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、20%酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.096g、0.47mmol、73%)を得た。
b)Parr振盪機において、3,3−ジメチル−6−ニトロ−1−インダノン(1.0g、4.8mmol)および水酸化パラジウム炭素(Pd(OH)
2、20重量%、0.52g)を含有するメタノール(2mL)およびメタンスルホン酸(MeSO
3H、0.4mL、6.2mmol)を含んだフラスコを、50psiで1.5時間水素化した。反応混合物をメタノールで希釈し、セライトパッドで濾過した。濾液を真空中で濃縮し、得られる未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、100%酢酸エチル)によって精製して、所望の生成物(0.34g、2.1mmol、44%)を得た。
c)0℃の氷酢酸の溶液(8mL)を二酸化硫黄ガス(SO
2)で30分間バブルした。反応混合物に塩化銅(II)(CuCl
2、0.29g、2.16mmol)を加え、0℃で30分間撹拌して、青/緑色の溶液を得た。1,1−ジメチルインダン−5−アミン(0.34g、2.13mmol)を含有する濃塩酸(4.2mL)を含んだ0℃の別のフラスコに、NaNO
2(0.22g、3.2mmol)を加え、30分間撹拌した。次いで、このジアゾニウム溶液を、調製された銅溶液にゆっくりと加え、0℃で30分間撹拌した。次いで、反応混合物を2時間かけてゆっくりと70℃に加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を脱イオン水で失活させ、水層を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、0〜10%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.067g、0.27mmol、13%)を得た。d)1,1−ジメチルインダン−5−スルホニルクロリド(0.030g、0.13mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.028g、0.12mmol)をピリジン(0.12mL)に混ぜた混合物を、80℃で1時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。得られる未精製残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、20%酢酸エチルヘキサン溶液)、続いて逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.015g、0.036mmol、28%)として得た。
【0192】
【数14】
【実施例15】
【0193】
3−フルオロ−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)−4−モルホリノベンゼンスルホンアミドの合成
【0194】
【化25】
【0195】
a)4−ブロモ−3−フルオロベンゼン−1−スルホニルクロリド(1.4g、5.2mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.90g、4.0mmol)をピリジン(10mL)に混ぜた混合物を、室温で2時間撹拌し、次いで80℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に1N塩酸水溶液(1mL)を加え、ジクロロメタン(2×5mL)で抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、0〜10%のメタノール酢酸エチル溶液)によって精製して、所望の生成物(0.20g、0.43mmol、11%)を得た。
b)4−ブロモ−3−フルオロ−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミド(0.07g、0.15mmol)、モルホリン(0.066g、0.75mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ
パラジウム(0)(Pd
2(dba)
3、0.007g、0.008mmol)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP、0.014g、0.023mmol)、およびリン酸二水素カリウム(K
3PO
4・H
2O、0.21g、0.90mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、6mL)に混ぜた撹拌混合物を、5分間窒素パージした。反応混合物を90℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に酢酸エチル(10mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる未精製材料を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.049g、0.11mmol、70%)として得た。
【0196】
【数15】
【実施例16】
【0197】
4−t−ブチル−N−(1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0198】
【化26】
【0199】
a)(エトキシメチレン)マロノニトリル(0.38g、3.2mmol)およびキノリン−5−イル−ヒドラジン(実施例4ステップaから調製される、0.5g、3.2mmol)をエタノール(5mL)に溶かした撹拌溶液を、80℃で15時間加熱した。室温
に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮し、未精製固体をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.70g、3.0mmol、95%)。
b)未精製5−アミノ−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(0.40g、1.7mmol)の濃塩酸(5mL)溶液を100℃で15時間、撹拌しながら加熱した。反応混合物を室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性化した。水層を2:1のクロロホルム/iPrOHで抽出し、有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.36g、1.7mmol、100%)。
c)未精製1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.080g、0.38mmol)、4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.13g、0.57mmol)およびDMAP(0.068g、0.57mmol)をピリジン(1.5mL)に混ぜた撹拌した混合物を、80℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、2:1のクロロホルム/iPrOHで抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を、逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.010g、0.025mmol、7%)として得た。
【0200】
【数16】
【実施例17】
【0201】
4−t−ブチル−N−(3−エチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0202】
【化27】
【0203】
a)3−オキソペンタンニトリル(0.74g、7.6mmol)およびキノリン−5−イル−ヒドラジン(実施例4ステップaから調製される、1.0g、6.3mmol)をエタノール(5mL)に溶かした溶液を、80℃で3時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に20%水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)を加え、次いで70℃で3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空中で濃縮した。未精製残渣を1:1のジクロロメタン/メタノール(40mL)に溶解させ、相を分離した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、セライトパッドで濾過した。濾液を真空中で濃縮し、未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、1〜10%の10%水酸化アンモニウム含有メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.83g、3.5mmol、55%)を得た。
b)4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.064g、0.27mmol)および3−エチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.05g、0.21mmol)をピリジン(0.5mL)に混ぜた混合物を、80℃で15時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をメタノール(3mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1.0mL、1.0mmol)に溶解させた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、真空中で溶媒を除去した。得られる残渣をジクロロメタン(3mL)と1M硫酸水素ナトリウム水溶液(3mL)とに分配し、相を分離した。水層をジクロロメタン(2×5mL)で抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.053g、0.12mmol、58%)として得た。
【0204】
【数17】
【実施例18】
【0205】
4−t−ブチル−N−(3−シクロプロピル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0206】
【化28】
【0207】
a)3−シクロプロピル−3−オキソプロパンニトリル(0.74g、7.6mmol)およびキノリン−5−イル−ヒドラジン(実施例4ステップaから調製される、1.0g、6.3mmol)をエタノール(5mL)に溶かした溶液を、80℃で3時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に20%水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)を加え、70℃で3時間加熱した。混合物を室温に冷却し、真空中で濃縮した。未精製残渣を1:1のジクロロメタン/メタノール(40mL)に溶解させ、相を分離した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、セライトパッドで濾過した。濾液を真空中で濃縮し、未精製材料をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、1〜10%の10%水酸化アンモニウム含有メタノールのジクロロメタン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.80g、3.2mmol、50%)を得た。
b)4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.061g、0.26mmol)および3−シクロプロピル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.05g、0.20mmol)をピリジン(1mL)に混ぜた混合物を、80℃で15時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5
mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる未精製残渣をメタノール(3mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1.0mL、1.0mmol)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、得られる残渣をジクロロメタン(3mL)と1M硫酸水素ナトリウム水溶液(3mL)とに分配した。相を分離し、水層をジクロロメタン(2×5mL)で抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.031g、0.070mmol、35%)として得た。
【0208】
【数18】
【実施例19】
【0209】
4−t−ブチル−N−(3−(シアノメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0210】
【化29】
【0211】
a)キノリン−5−イル−ヒドラジン(実施例4ステップaから調製される、0.62g、3.9mmol)をエタノール(4mL)に溶かした撹拌溶液に、マロノニトリル(0.51g、7.7mmol)を加えた。反応混合物を80℃で15時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(1.5mL)を加え、2:1のクロロホルム/iPrOHで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、0〜5%のメタノールジクロロメタン溶液)によって精製して、所望の生成物を淡褐色の固体(0.60g、2.2mmol、56%)として得た。
b)5−アミノ−3−(シアノメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(0.60g、2.2mmol)の濃塩酸(50mL)溶液を、105℃で22時間、撹拌しながら加熱した。反応混合物を室温に冷却し、溶液を真空中で濃縮した。得られる残渣にメタノール(50mL)および濃塩酸(0.5mL)を加え、反応混合物を3時間還流させた。室温に冷却した後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性化した。水層を2:1のクロロホルム/iPrOHで抽出し、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で抽出し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.40g、1.7mmol、65%)。
c)未精製メチル2−(5−アミノ−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)アセテート(0.55g、2.0mmol)、4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.30g、1.3mmol)、およびDMAP(0.12g、1.0mmol)をピリジン(5mL)に混ぜた混合物を、80℃で2時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機
層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、白色の固体(0.075g、0.16mmol、12%)を得た。
d)メチル2−(5−(4−t−ブチルフェニルスルホンアミド)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)アセテート(0.066g、0.14mmol)をTHF(1mL)およびメタノール(1mL)に懸濁させた懸濁液に、水酸化リチウム(0.05g、2.1mmol)の脱イオン水(0.5mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、得られる溶液を5N塩酸水溶液でpH約5に調整した。水層を2:1のクロロホルム/iPrOHで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製材料をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.065g、0.14mmol、100%)。
e)未精製2−(5−(4−t−ブチルフェニルスルホンアミド)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)酢酸(0.065g、0.14mmol)およびN,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、0.11g、0.28mmol)をDMF(1.5mL)に溶かした撹拌した溶液に、飽和アンモニアのジクロロメタン溶液(0.5mL)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、ブラインを加えた。水層を2:1のクロロホルム/iPrOHで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製材料をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.060g、0.14mmol、92%)。
f)未精製2−(5−(4−t−ブチルフェニルスルホンアミド)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)アセトアミド(0.03g、0.07mmol)および酸化塩化リン(V)(phosphorus(V)oxide chloride)(POCl
3、0.5mL、5.4mmol)の撹拌溶液を、100℃で30分間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。得られる残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、2:1のクロロホルム/iPrOHで抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.006g、0.013mmol、19%)として得た。
【0212】
【数19】
【実施例20】
【0213】
4−t−ブチル−N−(1−(キノリン−5−イル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0214】
【化30】
【0215】
a)4,4,4−トリフルオロ−3−オキソブタンニトリル(0.40g、2.9mmol)およびキノリン−5−イル−ヒドラジン(実施例4ステップaから調製される、0.46g、2.9mmol)をエタノール(3mL)に溶かした撹拌溶液を、マイクロ波装置において140℃で40分間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。得られる未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、5〜60%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物を淡褐色の固体(0.087g、0.31mmol、11%)として得た。
b)4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.067g、0.29mmol)および1−(キノリン−5−イル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.011g、0.04mmol)をピリジン(0.5mL)に混ぜた混合物を、80℃で2時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にジクロロメタンを加え、1M硫酸水素ナトリウム水溶液(1mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をメタノール(3mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1.0mL、1.0mmol)に溶解させ、室温で1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、ジクロロメタン(3mL)と1M硫酸水素ナトリウム水溶液(3mL)とに分配した。相を分離し、水層をジクロロメタン(2×5mL)でさらに抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.006g、0.013mmol、32%)として得た。
【0216】
【数20】
【実施例21】
【0217】
4−イソプロポキシ−N−(1−(キノリン−5−イル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0218】
【化31】
【0219】
4−イソプロポキシベンゼンスルホニルクロリド(0.080g、0.35mmol)および1−(キノリン−5−イル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例21ステップaから調製される、0.032g、0.11mmol)をピリジン(0.5mL)に混ぜた混合物を、80℃で4時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮し、未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.025g、0.052mmol、47%)として得た。
【0220】
【数21】
【実施例22】
【0221】
4−t−ブチル−N−(3−(1,1−ジフルオロエチル)−1−(キノリン−5−イル
)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0222】
【化32】
【0223】
a)カリウムt−ブトキシド(KOtBu、1.7MTHF溶液、32mL、54.4mmol)をTHF(10mL)に溶かした撹拌溶液に、0℃で、2,2−ジフルオロプロパン酸エチル(5.0g、36.2mmol)およびアセトニトリル(2.8mL、54.3mmol)を加えた。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌した。反応混合物に飽和硫酸水素カリウム水溶液を加え、pHを2未満に調整した。水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる褐色の未精製油状物を、それ以上精製せずにそのまま使用した(3.2g、24.1mmol、66%)。
b)5−ヒドラジニルキノリン(実施例4ステップaから調製される、0.90g、5.6mmol)をエタノール(10mL)に溶かした撹拌溶液に、未精製4,4−ジフルオロ−3−オキソペンタンニトリル(0.75g、5.6mmol)を加え、85℃で6時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に酢酸エチルを加え、5M水酸化ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、50〜100%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.20g、0.73mmol、13%)を得た。
c)4−t−ブチルベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.080g、0.34mmol)、3−(1,1−ジフルオロエチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.045g、0.16mmol)、およびDMAP(0.020g、0.16mmol)をピリジン(1mL)に混ぜた混合物を、85℃で5時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に、1M水酸化リチウム水溶液(1mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加えた。得られる混合物を75℃で1.5時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を1N塩酸水溶液で中和した。水層を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.040g、0.085mmol、53%)として得た。
【0224】
【数22】
【実施例23】
【0225】
4−t−ブチル−N−(3−(ジフルオロメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0226】
【化33】
【0227】
a)KOtBuの0℃の撹拌溶液(1.0M THF溶液、121mL、121mmol)に、2,2−ジフルオロ酢酸エチル(10.0g、80.6mmol)およびアセトニトリル(6.3mL、121mmol)を加えた。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌した。反応混合物に飽和硫酸水素カリウム水溶液を加え、pHを2未満に調整した。水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。褐色の未精製油状物を、それ以上精製せずにそのまま使用した(9.0g、75mmol、94%)。
b)未精製4,4−ジフルオロ−3−オキソブタンニトリル(0.65g、4.0mmol)および5−ヒドラジニルキノリン(実施例4ステップaから調製される、0.50g、4.2mmol)をエタノール(8mL)に溶かした撹拌溶液を、85℃で6時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、2〜10%のメタノール酢酸エチル溶液)によって精製して、所望の生成物(0.095g、0.36mmol、9%)を得た。
c)4−t−ブチルベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.070g、0.30mmol)、3−(ジフルオロメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.045g、0.17mmol)、およびDMAP(0.020g、0.1
7mmol)をピリジン(2mL)に混ぜた混合物を、80℃で5時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。未精製残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、5%のメタノール酢酸エチル溶液)、続いて逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.040g、0.085mmol、53%)として得た。
【0228】
【数23】
【実施例24】
【0229】
4−t−ブチル−N−(2−(イソキノリン−5−イル)−2,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラゾール−3−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0230】
【化34】
【0231】
a)イソキノリン−5−アミン(15.4g、10.0mmol)を含有する、撹拌子を備えた丸底フラスコに、濃塩酸(90mL)をゆっくりと加えた。反応スラリーを0℃で30分間撹拌し、NaNO
2(7.3g、105.8mmol)を最小量の脱イオン水に溶かした溶液を滴下した。反応混合物を0℃で30分間、次いで室温で30分間撹拌して、濃赤色の溶液とした。反応混合物を0℃に冷却し直し、次いで、SnCl
2・2H
2O(47.4、210.0mmol)を最小量の濃塩酸に溶解させた溶液を滴下した。濃厚な褐色の混合物を0℃で30分間、次いで室温で4時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、冷エタノール(200mL)で洗浄した。黄色の固体を2:1のCHCl
3/iPrOH(300mL)に懸濁させ、2M水酸化ナトリウム水溶液(300mL)で溶液を
pH約12〜14に調整した。相を分離し、水層をCHCl
3/iPrOH(2×300mL)でさらに抽出した。有機層を合わせて無水硫酸マグネシウム(MgSO
4)で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。得られる粗生成物をそれ以上精製せずにそのまま使用した(12.7g、79.8mmol、75%)。
b)未精製5−ヒドラジニルイソキノリン(0.45g、2.2mmol)および2−オキソシクロペンタンカルボニトリル(Flemingら、J.Org.Chem.、2007、72、1431〜1436にあるとおりに調製したもの、0.24g、2.2mmol)をエタノール(10mL)に懸濁させた撹拌懸濁液を、70℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に3M水酸化ナトリウム水溶液(0.5mL)を加え、室温で1時間撹拌した。次いで、混合物を真空中で濃縮し、得られる残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、5〜10%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.48g、1.6mmol、73%)を得た。
c)4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.075g、0.32mmol)および2−(イソキノリン−5−イル)−2,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタピラゾール−3−アミン(0.050g、0.20mmol)をピリジン(1mL)に混ぜた混合物を、室温で1時間撹拌した。反応混合物に1N塩酸水溶液を加え、2:1のCH
2Cl
2/iPrOH(2×10mL)で抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる材料を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.025g、0.056mmol、28%)として得た。
【0232】
【数24】
【実施例25】
【0233】
N−(1−(1−アミノイソキノリン−5−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−4−t−ブチルベンゼンスルホンアミドの合成
【0234】
【化35】
【0235】
a)5−ヒドラジニルイソキノリン(実施例25ステップaから調製される、0.60g、3.8mmol)および3−オキソブタンニトリル(0.31g、3.8mmol)をエタノール(3mL)に溶かした撹拌懸濁液を、80℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中に置き、得られる未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、0〜20%のメタノール酢酸エチル溶液)によって精製して、所望の生成物(0.067g、2.8mmol、73%)を得た。
b)1−(イソキノリン−5−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−アミン(0.45g、2.0mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、DMAP(0.30g、2.5mmol)および二炭酸ジ−t−ブチル(Boc
2O、1.2g、5.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で15時間撹拌し、酢酸エチルを加えた。得られる溶液を2N水酸化ナトリウム水溶液、2N塩酸水溶液、およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、20〜50%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.76g、1.8mmol、90%)を得た。
c)ジ−t−ブチル1−(イソキノリン−5−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−イルイミノジカーボネート(0.15g、0.35mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶かした0℃の撹拌溶液に、3−クロロ過安息香酸(mCPBA、0.2g、0.90mmol)を加えた。反応混合物をゆっくりと室温に温め、同じ温度で4時間撹
拌した。反応混合物に15%iPrOHのジクロロメタン溶液を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、5〜10%のメタノールジクロロメタン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.12g、0.27mmol、78%)を得た。
d)5−(5−(ビス(t−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)イソキノリン2−オキシド(0.12g、0.27mmol)をトルエン(3mL)およびジクロロメタン(3mL)に混ぜた0℃の撹拌混合物に、t−ブチルアミン(0.3mL、2.86mmol)およびp−トルエンスルホン酸無水物(Ts
2O、0.30g、0.93mmol)を3回で加えた。反応混合物を2時間かけてゆっくりと室温に温め、酢酸エチルを加えた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸水溶液、およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。次いで、得られる粗生成物をジクロロメタン(5mL)に溶解させ、塩酸のp−ジオキサン溶液(4.0N p−ジオキサン溶液、5.0mL、20mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、酢酸エチルを加えた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.026g、0.090mmol、33%)。
e)未精製5−(5−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−t−ブチルイソキノリン−1−アミン(0.055g、0.30mmol)、4−アセチルベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.090g、0.39mmol)、およびDMAP(0.037g、0.30mmol)をピリジン(2mL)に混ぜた混合物を、85℃で1時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に1M水酸化リチウム水溶液(1mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加えた。得られる混合物を75℃で30分間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を1N塩酸水溶液で中和した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製材料を次のステップにそのまま使用した。
f)未精製残渣をTFA(8mL)に溶解させ、80℃で1.5時間、撹拌しながら加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空中で濃縮した。次いで、粗生成物を15%メタノール含有ジクロロメタンに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる粗生成物を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.035g、0.080mmol、2ステップで42%)として得た。
【0236】
【数25】
【実施例26】
【0237】
4−t−ブチル−3−フルオロ−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0238】
【化36】
【0239】
a)テトラフルオロホウ酸ニトロシル(8.4g、71.9mmol)をジクロロメタンに懸濁させた0℃の撹拌した懸濁液に、キノリン−5−イル−ヒドラジン(Laaliら、J.Fluorine Chem.、2001、107、31〜34にあるとおりに調製したもの、12.0g、61.8mmol)を5分かけて少量ずつ加えた。加え終えた後、反応混合物を0℃で1時間撹拌し、1時間かけてゆっくりと室温に温めて、微細な懸濁液とした。この懸濁液に、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムテトラフルオロボレート(イオン性液体、50g、252.6mmol)をゆっくりと加え、得られる混合物を75℃で2時間加熱した。揮発性有機物質をDean−Stark冷却器での蒸留によって除去した。混合物を室温に冷却した後、反応混合物にジイソプロピルエチルアミン(iPr
2NEt、10mL)を加え、10分間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテル(300mL)を加え、1N塩酸水溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をそれ以上精製せずにそのまま使用した(10.0g、50.8mmol、82%)。
b)Parr振盪機において、未精製1−t−ブチル−2−フルオロ−4−ニトロベンゼン(1.0g、5.1mmol)およびPd/C(10重量%、0.040g)を含有するメタノール(60mL)を含んだフラスコを、60psiで2時間水素化した。反応混合物をメタノールで希釈し、セライトパッドで濾過した。濾液を真空中で濃縮し、得られる残渣をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.80g、4.8mmol、94%)。
c)氷酢酸(2mL)を含んだ0℃のフラスコに、二酸化硫黄ガス(SO
2)を30分間バブルした。反応混合物に塩化銅(I)(CuCl
、0.10g、1.0mmol)を加え、0℃で30分間撹拌して、青緑色の溶液を得た。未精製4−t−ブチル−3−フルロアニリン(fluro aniline)(0.20g、1.2mmol)を濃塩酸(3mL)に溶かした−15℃の溶液を含有する別のフラスコに、NaNO
2(0.12g、1.7mmol)の脱イオン水(1mL)溶液を加えた。反応混合物を同じ温度で30分
間撹拌した。このジアゾニウム溶液を、調製された銅溶液にゆっくりと加え、得られる溶液をSO
2でもう5分間バブルした。反応混合物を−15℃で1時間撹拌し、1時間かけて0℃に温めた。次いで、反応混合物にジエチルエーテルを加え、中身を氷上に注いだ。得られる混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を氷水でさらに洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。暗色の未精製油状物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、1〜3%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.075g、0.30mmol、25%)を得た。
d)4−t−ブチル−3−フルオロベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.075g、0.30mmol)、3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.050g、0.22mmol)、およびDMAP(0.027g、0.22mmol)をピリジン(1mL)に混ぜた混合物を、85℃で2.5時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に1M水酸化リチウム水溶液(1mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加えた。得られる混合物を室温で15時間撹拌し、1N塩酸水溶液で中和した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.006g、0.014mmol、6%)として得た。
【0240】
【数26】
【実施例27】
【0241】
N−(1−(2−アミノキノリン−5−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−4−t−ブチル−3−フルオロベンゼンスルホンアミドの合成
【0242】
【化37】
【0243】
a)3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、4.0g、17.9mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に、DMAP(2.2g、17.9mmol)およびBoc
2O(7.8g、35.9mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、酢酸エチルを加えた。有機層を1N塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮し、粗生成物をそれ以上精製せずにそのまま使用した(3.5g、8.3mmol、46%)。
b)未精製ジ−t−ブチル3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イルイミノジカーボネート(3.5g、8.3mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶かした0℃の撹拌溶液に、mCPBA(4.0g、17.8mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物をゆっくりと室温に温め、2時間撹拌した。反応混合物に15%iPrOHジクロロメタン溶液を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、2〜5%のメタノールジクロロメタン溶液)によって精製して、所望の生成物(3.0g、6.8mmol、82%)を得た。
c)5−(5−(ビス(t−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)キノリン1−オキシド(3.0g、6.8mmol)をトルエン(40mL)およびジクロロメタン(40mL)に混ぜた0℃の撹拌混合物に、t−ブチルアミ
ン(5.5mL、52.3mmol)およびTs
2O(5.0g、15.3mmol)を2回で加えた。反応混合物を2時間かけてゆっくりと室温に温め、酢酸エチルを加えた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸水溶液、およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。次いで、粗生成物をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、塩酸のp−ジオキサン溶液(4.0N p−ジオキサン溶液、20mL、80mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、酢酸エチルを加えた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をそれ以上精製せずにそのまま使用した(0.45g、1.52mmol、22%)。
d)未精製5−(5−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−t−ブチルキノリン−2−アミン(0.075g、0.25mmol)、4−t−ブチル−3−フルオロベンゼン−1−スルホニルクロリド(実施例27ステップcから調製される、0.11g、0.44mmol)、およびDMAP(0.031g、0.25mmol)をピリジン(2mL)に混ぜた混合物を、80℃で2時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に1M水酸化リチウム水溶液(1mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、70℃で30分間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を1N塩酸水溶液で中和した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製材料を次のステップにそのまま使用した。
e)未精製残渣をTFA(6mL)に溶解させ、75℃で2時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。次いで、粗生成物を10%メタノール含有ジクロロメタンに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる粗生成物を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.011g、0.024mmol、2ステップで10%)として得た。
【0244】
【数27】
【実施例28】
【0245】
4−t−ブチル−3−クロロ−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0246】
【化38】
【0247】
a)キノリン−5−イル−ヒドラジン(Laaliら、J.Fluorine Chem.、2001、107、31〜34にあるとおりに調製したもの、0.25g、1.29mmol)を濃塩酸(1.3mL)に溶かした0℃の撹拌溶液に、NaNO
2(0.13g、1.9mmol)の脱イオン水(0.64mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、70℃で30分間加熱した。熱い混合物に塩化銅(II)(0.22g、1.6mmol)を加え、70℃で30分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、沈殿が生成され、固体を濾過によって収集した。固体を冷脱イオン水ですすぎ、真空乾燥して、所望の生成物(0.13g、0.61mmol、47%)を得た。
b)1−t−ブチル−2−クロロ−4−ニトロベンゼン(0.13g、0.61mmol)および鉄粉(0.17g、3.0mmol)をエタノール(1.2mL)に溶かした溶液に、濃塩酸(0.25mL)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、スラリーをエタノールで希釈した。次いで、得られる混合物をセライトパッドで濾過し、追加のエタノール(30mL)ですすいだ。濾液を真空中で濃縮し、得られる未精製材料をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、0〜80%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.10g、0.55mmol、90%)を得た。
c)0℃の氷酢酸の溶液(2mL)に、二酸化硫黄ガス(SO
2)を30分間バブルした。反応混合物に塩化銅(II)(0.073g、0.54mmol)を加え、0℃でさらに30分間撹拌した。4−t−ブチル−3−クロロアニリン(0.10g、0.54mmol)を含有する濃塩酸(0.5mL)を含んだ別のフラスコに、0℃で、NaNO
2(0.06g、0.87mmol)の脱イオン水(0.1mL)溶液を撹拌しながら加えた。このジアゾニウム溶液を、調製された銅溶液にゆっくりと加え、0℃で30分間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、相を分離した。水層を酢酸エチル(2×10mL)でさらに抽出し、有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、0〜20%の酢酸エ
チルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.061g、0.23mmol、42%)を得た。
d)4−t−ブチル−3−クロロベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.050g、0.19mmol)および3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.042g、0.095mmol)をピリジン(0.2mL)に混ぜた混合物を、80℃で1時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮し、未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、20%酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.066g、0.16mmol、83%)として得た。
【0248】
【数28】
【実施例29】
【0249】
3−フルオロ−4−イソプロポキシ−N−(3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0250】
【化39】
【0251】
a)2−フルオロ−4−ニトロフェノール(1.6g、10.2mmol)および炭酸カリウム(K
2CO
3、2.5g、18.1mmol)をDMF(10mL)に溶かした撹拌溶液を、室温で5分間撹拌した。次いで、反応液にヨウ化イソプロピル(iPrI、2mL、20.0mmol)を加え、得られる混合物を室温で2時間撹拌し、次いで45℃で6時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ジエチルエーテルを加えた。混合物を脱イオン水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2S
O
4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をそれ以上精製せずにそのまま使用した(2.0g、10.1mmol、99%)。
b)Parr振盪機において、未精製2−フルオロ−1−イソプロポキシ−4−ニトロベンゼン(2.0g、10.1mmol)およびPd/C(10重量%、0.50g)を含有するメタノール(100mL)を含んだフラスコを、35psiで1時間水素化した。反応混合物をメタノールで希釈し、セライトパッドで濾過した。濾液を真空中で濃縮し、得られる残渣をそれ以上精製せずにそのまま使用した(1.7g、10.1mmol、100%)。
c)氷酢酸の溶液(40mL)にSO
2をバブルした。15分後、塩化銅(I)(0.50g、5.1mmol)を加え、溶液が緑/青色のままになるまで、SO
2ガスのバブリングを続けた。未精製3−フルオロ−4−イソプロポキシアニリン(1.5g、8.9mmol)を含有する1:1の氷酢酸および濃塩酸(10mL)を含んだ−15℃の別のフラスコに、NaNO
2(0.75g、10.8mmol)の脱イオン水(3mL)溶液を加え、−15℃で30分間撹拌した。次いで、このジアゾニウム溶液を、調製された銅溶液にゆっくりと加え、−15℃で30分間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテル(30mL)を加え、−15℃で1時間撹拌した。反応混合物を氷の中に注ぎ、追加のジエチルエーテル(30mL)を加えた。相を分離し、水層を酢酸エチル(2×10mL)でさらに抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、5〜10%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.20g、0.79mmol、9%)を得た。
d)3−フルオロ−4−イソプロポキシベンゼン−1−スルホニルクロリド(0.050g、0.19mmol)、3−メチル−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(実施例4ステップbから調製される、0.025g、0.11mmol)、およびDMAP(0.020g、0.16mmol)をピリジン(2mL)に混ぜた混合物を、85℃で2時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮し、未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.015g、0.034mmol、31%)として得た。
【0252】
【数29】
【実施例30】
【0253】
N−(1−(8−アミノキノリン−5−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−4−t−ブチル−3−フルオロベンゼンスルホンアミドの合成
【0254】
【化40】
【0255】
a)5−アミノ−8−ブロモキノリン(1.1g、5.0mmol)を6N塩酸水溶液(10mL)に溶かした0℃の撹拌溶液に、内部温度を0℃未満に保ちながら、固体NaNO
2(1.0g、14.5mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、SnCl
2・2H
2O(3.2g、12.5mmol)を6N塩酸水溶液(3mL)に溶解させた溶液を滴下した。混合物を室温で2時間撹拌し、1M水酸化ナトリウム水溶液で溶液をpH約7に中和した。混合物を2:1のCHCl
3/iPrOHで抽出し、有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、50%酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の化合物を黄色の固体(0.60g、2.6mmol、51%)として得た。
b)8−ブロモ−5−ヒドラジニルキノリン(2.0g、8.4mmol)および3−オキソ−ブチロニトリル(0.70g、8.4mmol)をエタノール(20mL)に懸濁させた撹拌懸濁液を、80℃で3時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に5M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、80℃で1時間加熱した。得られる混合物を室温に冷却し、真空中で濃縮した。未精製残渣を1:1のジクロロメタン/メタノール(40mL)に溶解させ、相を分離した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる未精製材料をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、50〜100%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、褐色の生成物を所望の生成物(1.1g、3.6mmol、43%)として得た。
c)4−t−ブチル−3−フルオロベンゼン−1−スルホニルクロリド(実施例27ステップcから調製される、1.1g、4.2mmol)および1−(8−ブロモキノリン−5−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−アミン(0.97g、3.2mmol)をピリジン(5mL)に混ぜた撹拌混合物を、80℃で15時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。未精製固体を熱エタノール(5mL)から再結晶させ、得られる固体を濾過によって収集して、所望の化合物(0.10g、0.19mmol、62%)を得た。
d)N−(1−(8−ブロモキノリン−5−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−4−t−ブチル−3−フルオロベンゼンスルホンアミド(0.052g、0.10mmol)を水酸化アンモニウム(1mL)およびDMF(1mL)に溶かした撹拌溶液に、2,4−ペンタンジオン(0.006g、0.06mmol)、炭酸セシウム(Cs
2CO
3、0.064g、0.20mmol)、およびヨウ化銅(I)(CuI、0.0095g、0.050mmol)を加えた。反応混合物をマイクロ波装置において120℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に酢酸エチル(100mL)を加え、脱イオン水(20mL)およびブライン(2×20mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる未精製材料を、逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を褐色の固体(0.032g、0.070mmol、70%)として得た。
【0256】
【数30】
【実施例31】
【0257】
N−(1−(2−アミノキノリン−5−イル)−3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−4−t−ブチルベンゼンスルホンアミドの合成
【0258】
【化41】
【0259】
a)未精製5−(5−アミノ−3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−t−ブチルキノリン−2−アミン(実施例28ステップcから調製される、0.090g、0.31mmol)、4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.15g、0.65mmol)、およびDMAP(0.022g、0.18mmol)をピリジン(3mL)に混ぜた混合物を、85℃で2時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に1M水酸化リチウム水溶液(1mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、75℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を1N塩酸水溶液で中和した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製材料を次のステップにそのまま使用した。
b)未精製残渣をTFA(8mL)に溶解させ、85℃で6時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。次いで、粗生成物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に懸濁させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる粗生成物を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.021g、0.048mmol、2ステップで16%)として得た。
【0260】
【数31】
【実施例32】
【0261】
4−t−ブチル−N−(3−(フルオロメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0262】
【化42】
【0263】
a)シュウ酸ジエチル(25.3g、173mmol)のアセトニトリル(100mL)溶液に、カリウムt−ブトキシド(19.5g、173mmol)を3回で加えた。橙色の懸濁液を室温で1.5時間撹拌し、固体を濾過によって収集して、黄色の粉末を所望の生成物(24.3g、135.8mmol、78%)として得た。
b)未精製5−ヒドラジニルイソキノリン(実施例25ステップaから調製される、6.0g、37.7mmol)およびカリウム1−シアノ−3−エトキシ−3−オキソプロパ−1−エン−2−オレート(8.1g、45.2mmol)をエタノール(36mL)に懸濁させた撹拌懸濁液に、6N塩酸水溶液(7.7mL、45.2mmol)と脱イオン水(10mL)からなる溶液を加えた。反応混合物を90℃で5時間加熱した。室温に冷
却した後、反応混合物を真空中で濃縮し、得られる残渣を2:1のクロロホルム/iPrOHで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる固体をジクロロメタン/ジエチルエーテルに懸濁させ、黄色の固体を濾過によって収集して、所望の生成物(3.14g、11.1mmol、30%)を得た。
c)エチル5−アミノ−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(0.25g、0.89mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に、DMAP(0.15g、1.2mmol)およびBoc
2O(0.5g、2.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌し、酢酸エチルを加えた。得られる溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、20〜50%の酢酸エチルヘキサン溶液)によって精製して、所望の生成物(0.36g、0.75mmol、84%)を得た。
d)エチル5−(ビス(t−ブトキシカルボニル)アミノ)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(0.20g、0.41mmol)をTHF(6mL)に溶かした0℃の溶液に、水素化アルミニウムリチウムの溶液(LAH、2.0M THF溶液、0.48mL、0.96mmol)を加えた。反応混合物を0℃で5分間撹拌し、反応混合物に飽和酒石酸カリウムナトリウムを加えた。得られる溶液を酢酸エチル(2×5mL)で抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮して、一保護された粗生成物(0.14g、0.41mmol、100%)を得た。
e)t−ブチル3−(ヒドロキシメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イルカルバメート(0.20g、0.59mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶かした−45℃の撹拌溶液に、N,N−ジエチルアミノ硫黄三フッ化物(DAST、0.15mL、1.2mmol)を滴下し、反応混合物を0℃で15分間撹拌した。次いで反応混合物を氷の中に注ぎ、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。得られる未精製残渣をそれ以上精製せずに使用した(0.20g、0.59mmol、100%)。
f)t−ブチル3−(フルオロメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イルカルバメート(0.20g、0.59mmol)をジクロロメタン(5mL)およびメタノール(1mL)に溶かした撹拌溶液に、塩酸のp−ジオキサン溶液(4N
p−ジオキサン溶液、10mL、40mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、真空中で揮発性有機物質を除去した。得られる残渣を2:1のクロロメタン/iPrOHに溶解させ、1M水酸化ナトリウム水溶液および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣をそれ以上精製せずに使用した(0.14g、0.59mmol、100%)。
g)4−t−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(0.085g、0.37mmol)、3−(フルオロメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.05g、0.21mmol)、およびDMAP(0.025g、0.19mmol)をピリジン(1.0mL)に混ぜた混合物を、85℃で2時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に1M水酸化リチウム水溶液(1mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、75℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を1N塩酸水溶液で中和した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.004g、0.009mmol、4%)として得た。
【0264】
【数32】
【実施例33】
【0265】
4−t−ブチル−3−フルオロ−N−(3−(フルオロメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−イル)ベンゼンスルホンアミドの合成
【0266】
【化43】
【0267】
4−t−ブチル−3−フルオロベンゼン−1−スルホニルクロリド(実施例27ステップcから調製される、0.050g、0.20mmol)、3−(フルオロメチル)−1−(キノリン−5−イル)−1H−ピラゾール−5−アミン(0.025g、0.10mmol)、およびDMAP(0.012g、0.095mmol)をピリジン(3mL)に混ぜた混合物を、85℃で2時間、撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に1M水酸化リチウム水溶液(1mL)および1M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、75℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を1N塩酸水溶液で中和した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮した。未精製残渣を逆相HPLC(C18カラム、溶離液としての0.1%TFA含有アセトニトリル−H
2O)によって精製して、表題化合物を白色の固体(0.003g、0.007mmol、7%)として得た。
【0268】
【数33】
【0269】
ケモカインモジュレーターの有効性の測定
in vitroアッセイ
本明細書で提供する化合物の評価には、シグナル伝達アッセイ、走化性(遊走アッセイ)、リガンド結合アッセイ、および他の細胞応答のアッセイを含めた、様々なアッセイを使用することができる。ケモカイン受容体シグナル伝達アッセイを使用すると、潜在的なCCR(9)アンタゴニストなどの化合物が、CCR(9)リガンド(たとえばTECK)によって誘発されるシグナル伝達をブロックする能力を測定することができる。このようなシグナル伝達をブロックすることは、炎症性腸疾患、アレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、喘息、線維性疾患、移植片拒絶、免疫介在性食物アレルギー、自己免疫疾患、セリアック病、関節リウマチ、胸腺腫、胸腺癌、白血病、固形腫瘍、急性リンパ球性白血病、黒色腫、原発性硬化性胆管炎、肝炎、炎症性肝疾患、または術後イレウスなどの種々の疾患の治療において有用となりうる。走化性アッセイを使用すると、潜在的なケモカインアンタゴニストなどの、目的の化合物が、ケモカインに媒介されるin vitroでの細胞遊走をブロックする能力を測定することができる。後者は、ケモカインによって誘発されるin vivoでの細胞遊走と似通っていると考えられる。リガンド結合アッセイも、潜在的なCCR(9)アンタゴニストなどの化合物が、TECKまたは他のCCR(9)リガンドとその受容体の相互作用をブロックする能力の測定に使用することができる。
【0270】
適切なアッセイでは、哺乳動物ケモカインタンパク質の少なくとも1つの性質、活性、または機能特性を有するケモカインタンパク質(単離されたものでも組換え型でも)または他のリガンドを使用する。性質は、(たとえば、リガンドまたは阻害薬への)結合特性、シグナル伝達活性(たとえば、哺乳動物Gタンパク質の活性化、細胞質ゾル遊離カルシウムイオン濃度の急速かつ一過性の増大の誘発)、細胞応答機能(たとえば、白血球による走化性または炎症性メディエーター放出の刺激)などでよい。
【0271】
アッセイは、ケモカイン受容体をコードする核酸配列を有するベクターまたは発現カセットを安定または一過性にトランスフェクトした細胞を利用する細胞系アッセイでよい。ケモカインを自然に発現させる細胞系または分離初代細胞を使用してもよい。細胞は、受容体の発現に相応しい条件下で維持し、結合が起こるのに相応しい条件下で推定上の薬剤と接触させる。結合は、標準技術を使用して検出することができる。たとえば、結合の程度は、適切な対照を基準として(たとえば、推定上の薬剤不在のバックグラウンドを基準として、または既知のリガンドを基準として)決定することができる。場合に応じて、受容体を含有する、膜画分などの細胞画分を、全細胞の代わりに使用してもよい。
【0272】
結合または複合体形成の検出は、直接または間接的に行うことができる。たとえば、推
定上の薬剤は、適切な標識(たとえば、蛍光標識、化学発光標識、同位体標識、酵素標識など)で標識することができ、標識の検出によって結合を測定することができる。特異的および/または競合的結合は、未標識薬剤またはリガンド(たとえば、TECK)を競合物として使用する、競合または置換研究によって評定することができる。
【0273】
結合阻害アッセイを使用して、本化合物を評価することもできる。こうしたアッセイでは、たとえば、TECKまたは小分子リガンドを使用して、化合物をリガンド結合の阻害薬として評価する。CCR(9)受容体を、試験薬剤の存在下または非存在下でリガンドと接触させ、リガンド結合の測定を行う。リガンド結合の程度の減少は、試験薬剤による結合の阻害を示すものである。結合阻害アッセイは、受容体を発現させる全細胞、または受容体を発現させる細胞の膜画分を使用して実施することができる。
【0274】
さらに、たとえばアゴニストによってGタンパク質共役型受容体が結合される結果、受容体によるシグナル伝達事象が生じる場合もある。したがって、シグナル伝達アッセイを使用して本発明の化合物を評価することもでき、薬剤によるシグナル伝達機能の誘発を、適切ないずれかの方法を使用してモニターすることができる。たとえば、GTPをGDPにする加水分解などのGタンパク質活性や、受容体結合が引き金となる、後のシグナル伝達事象を、既知の方法によってアッセイすることができる(たとえば、PCT/US97/15915;Neoteら、Cell、72:415425(1993);Van Riperら、J.Exp.Med.、177:851〜856(1993);およびDahindenら、J.Exp.Med.、179:751〜756(1994)を参照されたい)。カルシウムシグナル伝達アッセイでも、細胞内カルシウム濃度を、経時的に、好ましくは受容体/リガンド結合の前後に、試験薬剤の存在下または非存在下で測定することにより、GPCR活性が測定される。こうしたアッセイは、本発明の化合物などの化合物が、目的の受容体に結合することにより受容体シグナル伝達メディエーターを生成しうる能力の判定において有用である。また、こうしたアッセイは、本発明の化合物などの化合物が、目的の受容体とリガンドの結合を妨げることにより、受容体シグナル伝達メディエーターの生成を阻害しうる能力の判定においても有用である。
【0275】
化合物がケモカイン受容体と既知のケモカインリガンドの結合を妨げる能力の判定に使用されるカルシウムシグナル伝達アッセイでは、ケモカイン受容体発現細胞(T細胞系MOLT−4細胞などのCCR(9)発現細胞)を、まず、潜在的なケモカインアンタゴニストなどの、漸増濃度の目的の化合物と共にインキュベートする。細胞数は、96ウェルマイクロタイタープレートの1ウェルあたり10
5〜5×10
6細胞とすることができる。試験する化合物の濃度は、0〜100μMの範囲でよい。一定期間インキュベートした後(5〜60分の範囲とすることができる)、処理した細胞を、Fluorometric Imaging Plate Reader(FLIPR(登録商標))(Molecular Devices Corp.、カリフォルニア州サニーヴェールから入手可能)に、製造者の指示に従って配置する。FLIPR(登録商標)システムは、標準のアッセイ実施方法として当業者によく知られている。次いで、細胞を最終濃度5〜100nMの適量のケモカインリガンド(CCR(9)についてはTECK)で刺激し、細胞内カルシウムシグナルの増大(カルシウム流入とも呼ぶ)を記録する。ケモカインとリガンドの結合の阻害薬としての化合物の有効性を、IC50(シグナル伝達の50%の阻害を引き起こすのに必要な濃度)または(90%の阻害での)IC90として算出することができる。
【0276】
走化性アッセイは、受容体機能を評定し、本明細書で提供する化合物を評価するのに使用することができる。こうしたアッセイは、薬剤によって誘発されるin vitroまたはin vivoでの細胞の機能性遊走に基づくものであり、リガンド、阻害薬、またはアゴニストの結合および/または走化性に対する効果の評定に使用することができる。
様々な走化性アッセイが当業界で知られており、適切ないずれかのアッセイを使用して本発明の化合物を評価することができる。適切なアッセイの例としては、PCT/US97/15915;Springerら、WO94/20142;Bermanら、Immunol.Invest.、17:625〜677(1988);およびKavanaughら、J.Immunol.、146:4149〜4156(1991))に記載のアッセイが挙げられる。
【0277】
in vitro細胞走化性アッセイは、(このフォーマットに限定はしないが)96ウェルマイクロチャンバー(ChemoTX(商標)と呼ばれる)を使用して実施することができる。ChemoTX(商標)システムは、走化性/細胞遊走計器の一種として当業者によく知られている。このアッセイでは、CCR(9)発現細胞(MOLT−4など)を、まず、見込みのあるCCR(9)アンタゴニストなどの、漸増濃度の目的の化合物と共にインキュベートする。通常、ウェルあたり5万細胞を使用するが、量は、ウェルあたり10
3〜10
6細胞の範囲とすることができる。ケモカインリガンド(たとえば、通常は50nM(とはいえ5〜100nMの範囲とすることができる)のCCR(9)リガンドTECK)を下段チャンバーに配置し、遊走装置を組み立てる。次いで、20マイクロリットルの試験化合物で処理した細胞を膜に載せる。37℃で一定期間、通常CCR(9)では2.5時間、遊走がなされるようにする。次いで、インキュベートの終盤に、膜を介して下段チャンバーへと遊走した細胞の数を定量化する。ケモカインに媒介される細胞遊走の阻害薬としての化合物の有効性を、IC
50(細胞遊走を50%低減するのに必要な濃度)または(90%の阻害のための)IC
90として算出することができる。
ヒトIBDのin vivo有効性モデル
小腸および結腸へのT細胞浸潤は、セリアック病、クローン病、および潰瘍性大腸炎を包含するヒト炎症性腸疾患の病因と関連付けられている。関係のあるT細胞集団の腸への輸送をブロックすることは、ヒトIBDを治療する有効な手法であると考えられる。CCR(9)は、末梢血中の腸に帰るT細胞上で発現され、クローン病やセリアック病などの小腸の炎症を伴う患者において上昇する。CCR(9)リガンドTECKは、小腸において発現される。したがって、このリガンド−受容体ペアは、T細胞の腸への遊走を媒介することにより、IBD発症において役割を果たすと考えられる。いくつかの動物モデルが存在し、そのようなT細胞遊走および/または状態もしくは疾患に作用しうる能力について、潜在的なCCR(9)アンタゴニストなどの目的の化合物を評価するのに使用でき、これにより、ヒトにおけるアンタゴニストの有効性を予測することが可能になるかもしれない。
ヒト潰瘍性大腸炎と同様の病理を有する動物モデル
Panwalaおよび同僚らが記載しているネズミのモデル(Panwalaら、J Immunol.、161(10):5733〜44(1998))は、ネズミ多剤耐性遺伝子(MDR)の遺伝子欠失を伴う。MDRノックアウトマウス(MDR−/−)は、特異な無病原施設条件下で養われたとき、重篤な自然発生的腸炎症を発症しやすい。MDR−/−マウスで見られる腸の炎症は、ヒト炎症性腸疾患(IBD)の病理と同様の病理を伴い、大腸の粘膜固有層へのTh1型T細胞浸潤が顕著な特徴である。
【0278】
別のネズミモデルは、Davidsonら、J Exp Med.、184(1):241〜51(1986)に記載されている。このモデルでは、ネズミIL−10遺伝子を欠失させ、マウスのインターロイキン10産生に欠陥をもたせた(IL−10−/−)。こうしたマウスは、結腸において際立ち、病理組織学的特色にヒトIBDと共通点のある、慢性炎症性腸疾患(IBD)を発症する。
【0279】
別のネズミIBDモデルは、Powrieら、Int.Immunol.、5(11):1461〜71(1993)に記載されており、免疫適格マウスからの(CD45RB(高)と呼ばれる)CD4+T細胞の亜集団を精製し、(C.B−17scidマウスな
どの)免疫不全マウスに養子移入する。CD45RB高CD4+T細胞集団で復元された動物は、ヒトIBDと病理学的に似通った、結腸に極度の単核細胞浸潤物を伴う致命的な消耗性疾患を発症した。
【0280】
TNF ARE(−/−)モデル。ヒトのクローン病におけるTNFの役割は、より最近になって、Targanら、N.Engl.J Med.、337(15):1029〜35(1997)による、抗TNFα抗体を使用する治療が成功したことにより実証された。TNF遺伝子の遺伝子変化(ARE−/−)のためにTNFαの産生が異所性であるマウスは、クローン病様炎症性腸疾患を発症する(Kontoyiannisら、Immunity、10(3):387〜98(1999)を参照されたい)。
【0281】
SAMP/yitモデル。このモデルは、Kosiewiczら、J Clin. Invest.、107(6):695〜702(2001)に記載されている。SAMP/Yitというマウス系統は、末端回腸に局在する慢性炎症を自然発生的に発症する。結果として生じる回腸炎は、活性化したTリンパ球の粘膜固有層への広範囲の浸潤を特徴とし、ヒトクローン病との著しい類似点をもつ。
in vitroアッセイの実施例
試薬
MOLT−4細胞は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ヴァージニア州マナッサス)から入手し、37℃の加湿した5%CO
2インキュベーターにおいて、10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したRPMI組織培養培地で培養した。組換え型ヒトケモカインタンパク質TECKは、R&D Systems(ミネソタ州ミネアポリス)から入手した。ChemoTX(登録商標)走化性マイクロチャンバーは、Neuro Probe(メリーランド州ゲーサーズバーグ)から購入した。CyQUANT(登録商標)細胞増殖キットは、Molecular Probes(オレゴン州ユージーン)から購入した。カルシウム指示色素Fluo−4AMは、Molecular Devices(カリフォルニア州マウンテンヴュー)から購入した。
カルシウム動員アッセイにおける試験モジュレーター分の評価
細胞質カルシウム動員アッセイを使用して、CCR(9)などのケモカイン受容体によって媒介されるシグナルをブロックする際の、潜在的な受容体アンタゴニストの有効性を明らかにした。このアッセイは、Fluorescent Imaging Plate
Reader(FLIPR、Molecular Devices)を使用して型通りに実施した。MOLT−4細胞は、蛍光指示色素Fluo−4(Molecular Devices)で、製造者の指示に従って標識した。標識した後、細胞を遠心分離(室温で5分間400×g)によって収集し、HBSSに再懸濁して、細胞密度を2.5×10
6細胞/mLとした。試験化合物は、100%DMSO中に最終濃度の100倍で調製し、通常、最終濃度を0.1nM〜10,000nMとして、一定範囲の濃度の各化合物を試験した。96ウェルプレートにおいて、標識した細胞(300μL)を化合物または等体積のDMSO(3μL)と混合し、十分に混合した後、この細胞/化合物混合物50μLを、384ウェルFLIPRプレートの4つのウェルそれぞれに加えた。HBSS中に予め決められたEC
50濃度の5倍の濃度で調製したケモカインアゴニスト(すなわち、hTECK)を各ウェルに加え、結果として生じる、ケモカイン受容体に媒介されるシグナル伝達の指標である蛍光強度の変化を、FLIPRで記録した。Graphpad Prismフトウェア(Graphpad Software)および非線形回帰片側競合モデルを使用して、これらのデータで化合物IC
50値を算出した。
血清走化性アッセイにおける試験モジュレーターの評価
血清走化性アッセイを使用して、CCR(9)などのケモカイン受容体によって媒介される遊走をブロックする際の、潜在的な受容体アンタゴニストの有効性を明らかにした。このアッセイは、5μm孔径のポリカーボネート膜を備えたChemoTX(登録商標)マイクロチャンバーシステムを使用して実施した。MOLT−4細胞は、室温にて400
×gでの遠心分離によって収集し、次いで、50mMのHEPES(最終pH7.2)を含有するヒト血清に5000万/mlで懸濁させた。次いで、細胞/血清混合物に、試験する化合物または同等体積のその溶媒(DMSO)を、最終DMSO濃度0.125%(v/v)で加え、次いでこの混合物を37℃で1時間一緒にインキュベートした。別途、組換え型ヒトTECKを、一般に0.1nM〜500nMの範囲にわたって、走化性緩衝液(HBSS+0.1%BSA)で希釈し、その後、希釈されたケモカイン29μlを、ChemoTX(登録商標)プレートの下段ウェルに入れた。5μm(孔径)ポリカーボネート膜をプレートに載せ、細胞/化合物混合物20μLを膜の各ウェルに移した。プレートを37℃で90分間インキュベートし、その後、ポリカーボネート膜を外し、下段ウェルにDNA挿入剤CyQUANT(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)5μlを加えた。遊走した細胞の数に対応する蛍光の量を、Spectrafluor Plus プレートリーダー(TECAN、カリフォルニア州サンホゼ)を使用して測定した。
【0282】
次の等式からA2値を算出し、試験化合物の有効性を、等活性ケモカインレベルで、DMSOのみの対照の有効性と比較した。
Log(A2)=log[薬物(M)]−log[(A’/A)−1]
式中、Aは、アンタゴニスト不在でのアゴニストの効力を表し、A’は、所与の薬物濃度([薬物(M)])のアンタゴニスト存在下でのアゴニストの効力を表す。
in vivo有効性アッセイの実施例
CCR(9)依存的T細胞輸送モデルにおける試験モジュレーターの評価
OT−I Tg CD45.1マウスの脾臓およびリンパ節から単細胞懸濁液を調製した。15×10
6個の合計細胞(約3×10
6個のCD8T細胞)を、性別を適合させたCD45.2 C57BL/6n類遺伝子マウス(8〜10週齢)に注射した。24時間後、動物を、経口胃管栄養によって、25mgのオボアルブミンタンパク質(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)+10ugのコレラトキシン(Calbiochem、カリフォルニア州サンディエゴ)で免疫処置した。CCR(9)アンタゴニストは、そのマウス薬動学によって必然的に決まる時間枠において、経口オボアルブミンより前に投与し、終始投薬した。免疫処置から5日後、動物を安楽死させ、小腸を採取した。パイエル板を除去し、PBSで勢いよく洗い流した後、湿らせた一枚のOptima布(Allegiance Healthcare)の上で腸を開いた。粘膜をメスでかき落とし、次いで、10%新生仔ウシ血清およびDTT(1mM)を含有する50mlの培地中にて室温で15分間撹拌することにより解離させた。遠心分離後、ペレットを、10%新生仔ウシ血清を含有するPBSに再懸濁し、3分間ボルテックスし、速やかにガラスウールカラム(1.6gが20mlシリンジに装填されたもの、Fisher Scientific)に通した。フローサイトメトリー分析に向けて、IELをFicoll−Paque勾配でさらに精製し、mAbsで染色した。移されたOT−1 Tg CD45.1 T細胞を検出し、フローサイトメトリーによって定量化した。このモデルでは、本発明の化合物で処置した結果、抗原に反応して小腸に輸送されるOT−1 Tg CD45.1 T細胞の出現率が有意に低下した。
大腸炎の細胞移動モデルにおける試験モジュレーターの評価
Balb/cマウスの脾臓およびリンパ節から、精製CD4+CD25−T細胞の単細胞懸濁液を作製した。次いで、1×10
6個のCD4+CD25−T細胞を、性別および年齢を適合させたCB17 SCIDマウスに移した。CD4+CD25レシピエントマウスには、移す2時間前から、媒体または本発明の化合物のどちらかを与えた。マウスの体重を毎週モニターしたが、マウスは、疾患を発症すると、体重が減少する。疾患の進行が緩慢になるまたは阻止されたマウスは、媒体を与えられているマウスと比べたその体重の差が顕著となる。研究の終盤に、ターゲット組織のリモデリングを評定するために、マウスの結腸を秤量し、寸法をとった。結腸組織ホモジネートにおいて、サイトカインの変化も測定した。本発明の化合物で処置した結果、疾患と関連した消耗からの有意な防御に
加えて、結腸リモデリングおよび炎症誘発性サイトカインレベルの正常化が実現される。HIV拡散阻害モデルにおける試験モジュレーターの評価
骨髄/肝臓/胸腺、すなわち「BLT」マウスでは、(内因性T細胞およびB細胞を欠く)非肥満糖尿病(NOD)/SCIDマウスに、SCID−hu系のように、胎児の胸腺および肝臓オルガノイドを外科的に埋め込む。次いで、マウスに致死下で放射線照射し、ネズミ骨髄に定着する、胎児肝臓から得た自己CD34
+幹細胞を移植すると、ヒト骨髄移植が有効になされ、結果として、すべて肝臓、肺、および消化管を始めとする臓器および組織への広範囲の浸潤を示す、成熟TおよびBリンパ球、単球、マクロファージ、および樹状細胞を含めた、一定範囲のヒト細胞が末梢血中に生じる。移植に続いて、移植を受けたマウスに本発明の化合物を投与して、T細胞/HIV相互作用の主要な原因である、ヒト細胞の消化管への移送を阻害する。化合物有効性は、標準技術によって、血中ウイルス量の減少として測定する。
関節炎モデルにおける試験モジュレーターの評価
II型コラーゲンによって誘発される関節炎の17日研究を実施して、関節炎によって誘発される臨床的な足首腫脹に対するモジュレーターの効果を評価する。ラットコラーゲン関節炎は、数多くの抗関節炎薬の前臨床試験に広く使用されてきた、多発性関節炎の実験モデルである(Trenthamら、J.Exp.Med.146(3):857〜868(1977)、Bendeleら、Toxicologic Pathol.27:134〜142(1999)、Bendeleら、Arthritis.Rheum.42:498〜506(1999)を参照されたい)。このモデルの際だった特徴は、強く、容易に測定可能な多関節性炎症の信頼度の高い発病および進行、パンヌス形成および軽度から中程度の骨吸収を伴った顕著な軟骨破壊、ならびに骨膜骨増殖である。
【0283】
この17日研究の0日目および6日目に、雌のLewisラット(およそ0.2キログラム)をイソフルランで麻酔し、2mg/mLのウシII型コラーゲンを含有するフロイント不完全アジュバントを、尾の付け根および背中の2箇所の部位に注射する。試験モジュレーターは、9日目〜17日目に、次の媒体(24.5%のCremaphore EL、24.5%の一般の油、1%のベンジルアルコール、および50%の蒸留水)を用い、100mg/kgの用量、1mL/kgの体積で、皮下注射によって毎日投薬する。足首関節直径のキャリパー測定を毎日行い、軽減する関節腫脹を有効性の尺度として採用する。
潰瘍性大腸炎モデルにおける試験モジュレーターの評価
P−糖タンパク質遺伝子を欠くMDR1aノックアウトマウスは、特異な無病原条件下で自然発生的に大腸炎を発症する。こうした動物における病理は、ヒトにおける潰瘍性大腸炎と同様の、Th1型T細胞に媒介される炎症として特徴付けられている。疾患は通常、生後8〜10週くらいで発症し始める。しかし、疾患が出現する年齢および最終的な浸透レベルは、多くの場合、異なる動物施設間でかなりばらつきがある。
【0284】
MDR1aノックアウトマウスを使用する研究では、本発明のCCR(9)アンタゴニストを、疾患の始まりを遅らせるその能力について、予防的な投与によって評価した。雌のマウス(n=34)に、10週齢から開始して、連続する14週間、10〜100mg/kgを皮下注射によって1日1回投薬した。研究では、IBDと関連する成長遅滞について評価し、試験した化合物は、このモデルにおいて効験があることが示された。
マウス喘息モデルにおける試験モジュレーターの評価
この実施例では、喘息治療についてアンタゴニストの有効性を評価する手順について記載する。喘息の動物モデルは、げっ歯類を標準の免疫処置によって実験抗原(たとえばOVA)に感作し、引き続いて、その同じ抗原をエアロゾル適用によってげっ歯類の肺に導入することにより誘発できる。1群あたり10匹のげっ歯類を含む3組のげっ歯類群を、0日目に、リン酸緩衝溶液(PBS)中100ugのOVAで、アジュバント、たとえば水酸化アルミニウムと共に、1回の腹腔内注射によって能動的に感作する。感作から11
日後、動物をPlexiglasチャンバーに入れ、超音波ネブライザー(De Vilbliss)を使用して、エアロゾル化されたOVA(1%)で30分間抗原負荷する。一組のマウスには、最初の感作時に、またその後は、エアロゾル化OVA抗原負荷まで異なる投薬スケジュールで、PBSおよびTween 0.5%をさらに腹腔内投与する。第二組は、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内、経口、または他のいずれかの投与方式で与えられる異なる用量のCCR4アンタゴニストを、最初の感作時に、またその後は、エアロゾル化OVA抗原負荷まで異なる投薬スケジュールで受け入れるマウスの群からなる。陽性対照となる第三組のマウスは、最初の感作時に、またその後は、エアロゾル化OVA抗原負荷まで異なる投薬スケジュールで、マウスIL−10腹腔内、抗IL4抗体腹腔内、または抗IL5抗体腹腔内のいずれかで処置した群からなる。引き続いて、エアロゾル化OVA抗原負荷後の異なる時点で、肺機能、気管支肺胞洗浄(BAL)においての細胞浸潤、肺の組織学的検査、および血清OVA特異的IgE力価の測定について、動物を分析する。
【0285】
本発明の態様
態様1
式(I)の化合物または塩
【化44】
[式中、
R1は、置換または非置換C2〜8アルキル、置換または非置換C1〜8アルコキシ、置換または非置換C1〜8アルキルアミノ、および置換または非置換C3〜10ヘテロシクリルからなる群から選択され、
R2は、H、F、Cl、または置換もしくは非置換C1〜8アルコキシであり、または
R1およびR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、非芳香族炭素環またはヘテロ環を形成しており、
R3は、H、置換もしくは非置換C1〜8アルキル、置換もしくは非置換C1〜8アルコキシ、またはハロであり、
R4は、HまたはFであり、
R5は、H、F、Cl、または−CH3であり、
R6は、H、ハロ、−CN、−CO2Ra、−CONH2、−NH2、置換もしくは非置換C1〜8アルキル、置換もしくは非置換C1〜8アルコキシ、または置換もしくは非置換C1〜8アミノアルキルであり、
Raは、Hまたは置換もしくは非置換C1〜8アルキルであり、
R5およびR6は、一緒になって炭素環を形成する場合もあり、
Lは、結合、−CH2−、または−CH(CH3)−であり、
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、およびA8はそれぞれ、N、N−O、および−CR8−からなる群から独立して選択され、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、およびA8の少なくとも1つかつ2つ以下は、NまたはN−Oであり、
R8は、H、ハロ、−CN、−OH、オキソ、置換または非置換C1〜8アルキル、置換または非置換C1〜8アルコキシ、−NR20R21、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクリルからなる群からそれぞれ独立して選択され、
R20およびR21は、それぞれ独立して、Hまたは置換もしくは非置換C1〜8アルキルである]。
態様2
A1またはA2の1つがNまたはN−Oであり、A1、A2 A3、A4、A5、A6、A7、およびA8の残りが−CR8−であり、各R8は、独立して選択される、態様1に記載の化合物またはその塩。
態様3
A2 A3、A4、A5の2つがNまたはN−Oであり、A1、A2 A3、A4、A5、A6、A7、およびA8の残りが−CR8−であり、各R8は、独立して選択される、態様1に記載の化合物またはその塩。
態様4
式(II)の、態様1に記載の化合物またはその塩
【化45】
[式中、
R1は、置換または非置換C2〜8アルキル、置換または非置換C1〜8アルコキシ、置換または非置換C1〜8アルキルアミノ、および置換または非置換C3〜10ヘテロシクリルからなる群から選択され、
R2は、H、F、Cl、または置換もしくは非置換C1〜8アルコキシであり、または
R1およびR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、非芳香族炭素環またはヘテロ環を形成しており、
R3は、H、置換もしくは非置換C1〜8アルキル、置換もしくは非置換C1〜8アルコキシ、またはハロであり、
R4は、HまたはFであり、
R5は、H、F、Cl、または−CH3であり、
R6は、H、ハロ、−CN、−CO2Ra、−CONH2、−NH2、置換もしくは非置換C1〜8アミノアルキル、置換もしくは非置換C1〜8アルキル、または置換もしくは非置換C1〜8アルコキシであり、
Raは、Hまたは置換もしくは非置換C1〜8アルキルであり、
R5およびR6は、一緒になって、炭素環を形成する場合もあり、
Lは、結合、−CH2−、または−CH(CH3)−であり、
Zは、
【化46】
およびこれらのN−オキシド
からなる群から選択され、
Z基は、非置換であっても、または独立して選択される1〜3個のR8置換基で置換されていてもよく、
各R8は、H、ハロ、−CN、−OH、オキソ、置換または非置換C1〜8アルキル、置換または非置換C1〜8アルコキシ、−NR20R21、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、
R20およびR21は、それぞれ独立して、H、置換または非置換C1〜8アルキルである]。
態様5
式(IIIa)または(IIIb)の、態様4に記載の化合物またはその塩
【化47】
[式中、
R1は、置換または非置換C2〜8アルキル、置換または非置換C1〜8アルコキシ、置換または非置換C1〜8アルキルアミノ、および置換または非置換C3〜10ヘテロシクリルからなる群から選択され、
R2は、H、F、Cl、または置換もしくは非置換C1〜8アルコキシであり、または
R1およびR2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、非芳香族炭素環またはヘテロ環を形成しており、
R3は、H、置換もしくは非置換C1〜8アルキル、置換もしくは非置換C1〜8アルコキシ、またはハロであり、
R4は、HまたはFであり、
R5は、H、F、Cl、または−CH3であり、
R6は、H、ハロ、−CN、−CO2Ra、−CONH2、−NH2、置換もしくは非置換C1〜8アミノアルキル、置換もしくは非置換C1〜8アルキル、または置換もしくは非置換C1〜8アルコキシであり、
Raは、Hまたは置換もしくは非置換C1〜8アルキルであり、
またはR5およびR6は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環を形成しており、
各R8は、H、ハロ、−CN、−OH、オキソ、置換または非置換C1〜8アルキル、置換または非置換C1〜8アルコキシ、−NR20R21、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、
R20およびR21は、それぞれ独立して、Hまたは置換もしくは非置換C1〜8アルキルであり、
nは、0、1、2または3である]。
態様6
R1が、−CH2CH3、−CH(CH3)2、−C(CH3)3、−C(CH3)2CH2CH3、−C(CH2CH2)CN、−C(OH)(CH3)2、−OCH3、−OCH2CH3、−OCH(CH3)2、−OC(CH3)3、−OCH2CH(CH3)2、−OCF3、およびモルホリノからなる群から選択され、
R2が、H、F、もしくはClであり、または
R1およびR2が、一緒になって、−OC(CH3)2CH2−または−C(CH3)2CH2CH2−を形成する場合もあり、
R3が、H、−CH3、または−OCH3であり、
R4がHまたはFであり、
R5がHであり、
R6が、H、−CH3、−CH2CH3、−CH(CH3)2、−C3H7、−CH2F、−CHF2、−CF2CH3、−CF3、−CH2OCH3、−CH2OH、−CH2CN、−CN、または−CONH2であり、
各R8が、H、F、Cl、Br、−CH3、−OH、−OCH3、−OCH2CH3、−NH2、−N(CH3)2、および−CNからなる群から独立して選択される、態様5に記載の化合物またはその塩。
態様7
R1が−C(CH3)3である、態様6に記載の化合物またはその塩。
態様8
R2がHまたはFであり、
R3がHであり、
R4がHであり、
R6が、−CH3、−CH2F、−CHF2、または−CF3である、態様7に記載の化合物またはその塩。
態様9
【化48-1】
【化48-2】
からなる群から選択される、態様8に記載の化合物またはその塩。
態様10
【化49-1】
【化49-2】
【化49-3】
【化49-4】
【化49-5】
【化49-6】
【化49-7】
【化49-8】
【化49-9】
およびこれらのN−オキシド
からなる群から選択される、態様1に記載の化合物またはその塩。
態様11
薬学的に許容される担体と、任意の態様1から10の化合物とを含む組成物。
態様12
細胞においてCCR(9)機能を変更する方法であって、細胞を、CCR(9)を変更する量の態様1から10のいずれか一項に記載の化合物または態様11に記載の組成物と接触させるステップを含む方法。
態様13
有効量の態様1から10のいずれか一項に記載の化合物または態様11に記載の組成物を対象に投与するステップを含む、CCR(9)介在性の状態または疾患の治療方法。
態様14
対象がヒトである、態様13に記載の方法。
態様15
投与が、経口、非経口、直腸、経皮、舌下、経鼻、または局所である、態様13から14のいずれか一項に記載の方法。
態様16
CCR(9)介在性の疾患または状態が、炎症性腸疾患、アレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、喘息、線維性疾患、移植片拒絶、免疫介在性食物アレルギー、自己免疫疾患、セリアック病、関節リウマチ、胸腺腫、胸腺癌、白血病、固形腫瘍、急性リンパ球性白血病、黒色腫、原発性硬化性胆管炎、肝炎、炎症性肝疾患、または術後イレウスである、態様13に記載の方法。
態様17
CCR(9)介在性の疾患または状態が、クローン病または潰瘍性大腸炎からなる群から選択される炎症性腸疾患である、態様13に記載の方法。
態様18
CCR(9)介在性の疾患または状態が喘息である、態様13に記載の方法。
態様19
抗炎症薬または鎮痛薬を投与するステップをさらに含む、態様13から18のいずれか一項に記載の方法。
したがって、前述の詳細な記述は、限定的というより例示的であるとみなされ、本発明の真意および範囲を規定する意図があるのは、すべての均等物を含めた、以下の特許請求の範囲であると理解されるものとする。