(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553243
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】手術用組織接合器を腹腔に送給し且つ手術用組織接合器を腹腔から除去するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
A61B17/02
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-80213(P2018-80213)
(22)【出願日】2018年4月18日
(62)【分割の表示】特願2017-101069(P2017-101069)の分割
【原出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2018-134460(P2018-134460A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2018年5月11日
(31)【優先権主張番号】61/666,380
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315007709
【氏名又は名称】フリーホールド サージカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FREEHOLD SURGICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー スミス
(72)【発明者】
【氏名】ダレン アール.シャーマン
【審査官】
木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−536007(JP,A)
【文献】
特開2008−93407(JP,A)
【文献】
特表2008−514382(JP,A)
【文献】
特表2009−538215(JP,A)
【文献】
米国特許第5507754(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0260344(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/099327(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面(74)を持つ基部(68)を有し、
前記側面(74)が、互いに垂直な軸線方向と半径方向とを前記基部(68)に対して規定する中心軸線を有し、
前記基部(68)が、前記中心軸線と前記側面との間に半径方向寸法を有すると共に、前記側面(74)の軸線方向両端に近位端面(78)と遠位端面(80)とを有する組織接合器(14)と、
前記基部(68)に固定されるフック(72)と、
第一の端部(54)と、第一の部分(114)、第二の部分(116)及び中間部(112)からなる第二の端部(56)とを有し、前記基部の近位端面(78)に接続され且つ前記基部の近位端面(78)から延びるコード(16、54、56、114、112、116)と、
前記コードの第二の端部(56、114、112、116)が通過すると共に、前記コードの第二の端部(56、114、112、116)を前記基部(68)にロックすることによって、前記組織接合器(14)から延びる前記コード(56、114)の長さを調節する操作ができるようになる、解放可能な一方向コードロックとを備え、
前記組織接合器(14)が、内腔(102)と、前記内腔を横切って延びるロッド又はピン(106)とを有し、
前記コードの中間部(112)がロッド又はピン(106)周りに結びを形成することにより、前記コードの第二の端部(56)を前記組織接合器(14)に取り付け、
前記解放可能な一方向コードロックが、前記コードの中間部(112)が、前記コードの第一の部分(114)の、前記組織接合器(14)の前記近位端面(78)から遠ざかる動作に一致する方向に回転することを防止するため、前記コードの中間部(112)に係合するように、前記基部内で軸線方向に摺動可能に配置されるロックピン(126)からなることを特徴とする組織接合器装置。
【請求項2】
前記内腔(102)内に配置されると共に前記ロックピン(126)を前記コードの中間部(112)に対して付勢するのに操作可能な付勢デバイス(132)を備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基部(68)内に側孔(118)を備え、前記コードの第二の部分(116)が、前記側孔(118)を通って前記組織接合器(14)の外まで延びることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の装置。
【請求項4】
前記コードの第一の端部に配置された追加的な組織接合器(12)を備える請求項1〜3の何れかに記載の装置。
【請求項5】
前記追加的な組織接合器(12)が、側面(24)を持つ追加的な基部(18)を有し、
前記側面(24)が、互いに垂直な軸線方向と半径方向とを前記追加的な基部(18)に対して規定する中心軸線を有し、前記追加的な基部(18)が前記中心軸線と側面との間に半径方向の寸法を有すると共に前記側面(24)の軸線方向両端に近位端面(28)と遠位端面(30)を有し、
前記近位端面(28)が、軸線方向に延びて前記基部側面(24)から遠ざかるにつれて先細になる先細形状を有し、
さらに、前記追加的な基部(18)に固定される追加的なフック(22)を有し、
前記第一の端部(54)が、前記基部近位端面(28)に固定されることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
第二のコード(134)を介して前記追加的な組織接合器に接続される第三の組織接合器を備える請求項4又は5記載の装置。
【請求項7】
前記フックが、前記基部遠位端面(80、30)から軸線方向に延び、且つ前記中心軸線と平行且つ前記中心軸線から半径方向に離間する軸部(94、44)と、
前記軸部(94、44)から前記中心軸線を横切って前記フック(72、22)の先端まで延びる湾曲部(98、48)とを有し、
前記フック先端部(100、52)と前記フック軸部(94、44)とが、それぞれ前記中心軸線の反対側で半径方向に前記基部の半径方向寸法より小さい半径距離寸法だけ離間することを特徴とする請求項1又は5記載の装置。
【請求項8】
前記基部側面(74)の直径寸法より大きい内径寸法を持つ内腔を有する組織接合器送給除去管(142)を備える請求項1〜7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記基部近位端面(78)が、円錐形状を有する請求項1〜8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
前記基部近位端面(78)から延び、長さを調節できる長さの前記コード(16)を備える請求項1〜9の何れかに記載の装置。
【請求項11】
前記基部遠位端面が、前記中心軸線と共軸である周縁部(88)を有し、前記フック湾曲部(98)と前記フック先端部(100)とが半径方向に前記遠位端面周縁部を超えて突出しない、請求項1〜10の何れかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術用組織接合器を人体の一領域内に送給し且つ手術用組織接合器を前記人体の領域から除去する際に用いられる装置及びその使用方法を対象とする。特に、本発明は、一定の長さのコードにより接続される少なくとも二つの組織接合器と、送給除去管とを有する手術用組織接合器装置を対象とする。組織接合器のうち少なくとも一つは、基部の一方の端部から突出する先細で斜角になった或いは面取りされた表面を持つ基部を有する。フック又は他の型の組織接合器は、基部の反対側から突出する。フックは、基部の外周側面がフックを思わぬ障害物から保護するように、基部上に位置決めされる。基部の外周面は、又、管の内腔を容易に摺動通過し得るように寸法決めされる。これにより、基部及び突出したフックを、管を通って人体の一領域内に容易に送給することができる。基部上の面取りされた或いは先細の表面は、管の遠位端開口部と係合するように位置決めされると共に、装置を腹腔から除去する際に手術用組織接合器を前記人体の領域から管内に引っ込めるときに基部を管の中心に向けるように位置決めされる。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡視下手術手順においては、ある腹腔鏡視下手術手順で手術用組織接合器が使用される人体の一領域内に組織接合器を送給するために、人体内の切開部を通って位置決めされたカニューレ(排管)、トロカール(套管針)、内視鏡、その他同様のデバイスに接合器を通す必要が生じることが多い。手術用組織接合器と、接合器を体内に送給して更に接合器を体内から除去するために用いられる管状送給デバイスの現行の構造に係る欠点は、接合器が、接合器を送給又は回収するために用いられている管状送給デバイスの一部を、しばしば傷付けたり引っ掛けたりすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、管状送給デバイスを経た体内への手術用組織接合器の送給及びそれに続く管状送給デバイスを経た体内からの手術用組織接合器の除去を容易にする装置を提供することにより、腹腔鏡下その他の手術手順で用いられる組織接合器に係る上述した欠点を解消する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の装置の基本構成は、少なくとも二つの手術用組織接合器を含む。各組織接合器は、基部を有する。基部は、基部の外周を延びる側面と、側面の対向する端部に位置する遠位端面及び近位端面とを有する。組織接合器の一実施形態において、基部側面は、互いに垂直な軸線方向と半径方向とを基部に対して規定する中心軸線を有する円筒状の面である。
【0005】
フックは、基部遠位端面に動かないように固定され、基部遠位端面から軸線方向に突出する。フックは、基部遠位端面から軸線方向に延びる軸部を有する。軸部は、基部中心軸線と略平行であるが、中心軸線から半径方向に離間している。フックは、又、軸部から基部遠位端面を横切って中心軸線を通りフックの遠位先端部まで延びる湾曲部を有する。先端部と軸部は、基部中心軸線を挟んで半径方向に離間しており、先端部が半径方向に基部側面を超えて突出することはない。これにより、基部側面は、フックの先端部が他の物を傷付けたり引っ掛けたりするのを防ぐ。
【0006】
接合器のうち少なくとも一つの基部近位端面は、基部側面から軸線方向に遠ざかるにつれて先細になる面取り又は先細形状を有する。装置の一実施形態において、基部近位端面は、円錐形状を有する。基部近位端面の円錐形状は、基部側面から、基部遠位端面上で芯合わせされた先端部まで、軸線方向に延びる。
【0007】
装置は、又、各組織接合器の近位端面間を延びる一定の長さのコードを含む。装置の一実施形態において、各組織接合器間を延びる一定の長さのコードは、柔軟であり、長さが調節可能である。
【0008】
装置は、又、組織接合器送給除去管を含む。装置の一実施形態において、管は、対向する近位端部及び遠位端部を持つ直線状の長さ部分と、前記管の長さ部分を貫通する円筒状の内腔とを有する。内腔は、基部円筒状側面の外形寸法より僅かに大きい内径寸法を有する。これにより、組織接合器を管に通して送給するとき或いは組織接合器を管に通して除去するときに、組織接合器は容易に管の内腔を通って摺動することができる。更に、組織接合器のうち少なくとも一つの基部近位端面の先細形状により、当該組織接合器を管の遠位端部から容易に管内に引き入れることができる。他方の組織接合器を管の遠位端部を通して引っ張り、次いでコードと先細の組織接合器を管内に引き入れることにより装置を除去すると、基部の近位端面の先細形状が先ず管の端部に入り込む結果、先細の近位端面を管内腔に引き入れるときに先細形状が基部の円筒状側面を管内腔に対して芯合わせする。基部側面が管内腔に芯合わせされた状態では、組織接合器を管内に管を通って引き入れる際に、基部遠位端面から突出するフックが管の遠位端部を傷付けたり引っ掛けたりすることはない。
【0009】
装置は、又、管の内腔を通って組織接合器とそれらの接続コードを押しやって組織接合器と接続コードを管の遠位端部から送給するために管の近位端部内に挿入されるように寸法決めされた直線状の長さ部分を有する。
【0010】
手術手順における装置の使用が完了すると、カニューレ又は切開部を通って管を挿入して管の遠位端部を接合器とコードの近傍に位置決めし次いで手術用グラスパを管を通って挿入して先細の端面を有しない接合器を掴むことにより、装置を人体から容易に除去することができる。組織接合器を掴むときは、そのフックを掴む。グラスパを管を通って引っ込めると、掴んだ接合器が管内に移動し、次いで、コードが管内腔内に引き入れられる。コードが内腔を通って引っ張られると、コードは他の各組織接合器の先細の近位端面を内腔内に引き入れる。接合器の先細の近位端面により、接合器が管の遠位端部に入って内腔を通過するときに、接合器及び接合器の円筒状側面が内腔に対して芯合わせされる。接合器の円筒状側面は、接合器が管の内腔に入って内腔を通過するときに、接合器の遠位端面から延びるフックが管の遠位端部を傷付けたり引っ掛けたりするのを防ぐ。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本発明の装置及びその使用方法は、手術部位への手術用組織接合器の送給を容易にすると共に手術部位からの手術用組織接合器の除去を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の装置及びその使用方法の更なる特徴は、装置及び方法の以下の詳細な説明に記載され且つ図面の各図に示される。
【0013】
【
図1A】コードにより接続された一対の組織接合器を有し、一対の組織接合器の一方が組織接合器間のコード部分の長さを調節することができる解放可能な一方向コードロックを採用している、装置の一実施形態を示す図である。
【
図1B】コードにより接続された一対の組織接合器を有し、一対の組織接合器の一方が組織接合器間のコード部分の長さを調節することができる解放可能な一方向コードロックを採用している、装置の一実施形態を示す図である。
【
図5A】
図3の組織接合器の組立体の説明図である。
【
図5B】
図3の組織接合器の組立体の説明図である。
【
図8A】
図6の組織接合器の組み立て説明図である。
【
図8B】
図6の組織接合器の組み立て説明図である。
【
図12】
図9の組織接合器の構成要素各部の分解斜視図である。
【
図16】装置の送給除去管を用いて腹腔から装置の組織接合器を除去する方法を説明する、装置の部分断面図である。
【
図17】装置の送給除去管を用いて腹腔から装置の組織接合器を除去する方法を更に説明する、装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1A及び
図1Bは、腹腔鏡下手術又はその他の手術の手順で用いるためにカニューレその他の管状送給デバイスを経た人体の手術部位への組織接合器の送給を容易にすると共に手順の完了に続く装置の組織接合器の除去を容易にするように構成された本発明の組織接合器装置の一実施形態を示す。腹腔鏡装置にあっては従来のように、装置の構成要素各部は、切開部を通って、或いは、装置を手術部位に位置決めすべく体内に延びるカニューレ、トロカール、内視鏡、その他の管状送給デバイスを通って、挿入されるように寸法決めされる。装置の構成要素各部は全て、生体適合性を持つ材料から形成される。
【0015】
図1A及び
図1Bには、装置の第一の実施形態が示されている。図示された実施形態は、基本的には、第一の組織接合器12と、第二の組織接合器14と、二つの組織接合器間を延びてそれらを接続する一定の長さのコード16と、から構成される。コードは、縫合糸、IV(静脈注射)管、又はその他の同等のコードでよく、一本であっても、数本を接合したものであってもよい。
【0016】
第一の組織接合器の構成の詳細は、
図3、
図4、
図5A及び
図5Bに示されている。第一の組織接合器12は、基部18とフック22とから構成される。基部18は、その大部分が、基部の外周全体を延びる外側面を有する中実の単一材料体である。図面各図に示した実施形態では、側面24は、円筒状である。円筒状表面24は、基部に対して、互いに垂直な軸線方向と半径方向を規定する中心軸線26を有する。また、基部は、基部の一方の軸線方向端部に近位端面28を、基部の反対側の軸線方向端部に遠位端面30を、有する。
【0017】
近位端面28は、基部側面24から軸線方向に離間する方向に、斜角に又は先細になっている。図示実施形態では、近位端面28は、近位端面と円筒状の基部側面24との交線により画定される円形の周縁部32を持つ円錐形状を有する。近位端面28は、基部側面24から近位端面の先端部34まで軸線方向に次第に細くなっている。
【0018】
基部遠位端面30は、略平坦である。遠位端面30は、遠位端面と円筒状の基部側面24との交線により画定される円形の周縁部36を有する。
【0019】
基部遠位端面30には、フック孔38が形成される。フック孔38は、遠位端面周縁部36から半径方向内側に離間すると共に、中心軸線26から半径方向に離間している。フック孔は、遠位端面30から軸線方向に基部内に短い距離延び、基部を完全には貫通していない。基部には、遠位端面30の中心に、中心孔42も形成される。中心孔42は、基部内を軸線方向に延び、基部近位端面28の先端部34で開口する。中心孔42では、基部近位端面28の先端部34近傍の孔42の内径寸法よりも、基部遠位端面30近傍の内径寸法のほうが僅かに大きい。
【0020】
フック22は、フックの近位端部46から直線的に延びる軸部44を有する。フック近位端部46近傍のフック軸部は、基部遠位端面30のフック孔38にぴったり嵌合する円筒状の外表面により寸法決めされる。フック軸部34は、レーザ溶接又は他の同等の手段を用いて基部にしっかり固定される。フック22は、中心軸線26と略平行に且つ中心軸線から半径方向に離間して遠位端面32から軸線方向に延びるフック軸部34を介して、基部遠位端面32に固定される。遠位端面30から延びるフック軸部44は、手術用グラスパでフックをつかみ易くし且つフック軸部がグラスパ内で回転するのを防ぎ易くするように、正方形又は他の類似の断面形状を有する。軸部44は、基部遠位端面30からフックの湾曲部48まで軸線方向に延び、湾曲部48は、遠位端面30の半径方向に延び、基部中心軸線26を経てフックの遠位先端部52に至る。フックの遠位先端部52と軸部44は、それぞれ、基部中心軸線を挟んで半径方向に離間している。軸部44と先端部52は、いずれも、基部中心軸線26を挟んで基部の半径寸法より小さい半径方向距離寸法だけ離間しており、これにより、フックの湾曲部と先端部が基部の円筒状側面から半径方向に突出することはない。フック22は人体組織に着脱可能な組織接合器12の一部として図示されているが、基部の側面から半径方向に突出しない別の同等のデバイスを使用してもよい。
【0021】
図1A及び
図1Bに示した実施形態では、コード16は、両端の第一の端部54と第二の端部56とを有して変更自在な長さを有する。コードの第一の端部54は、第一の組織接合器12の中心孔42を通って近位端面28から遠位端面30まで延びる。コードの第一の端部54には、結び58が形成される。結び58には、医療等級の接着剤、例えば、シアノアクリレートが塗布される。コードは、基部の近位端面28側から引っ張られ、基部の遠位端面30の中心孔42内に結び58を引き寄せる。結び56は径が大きいので、近位端面28の先端部34に開口する中心孔42の小径部を通過することができない。これにより、コードの第一の端部54は、第一の組織接合器12に固定され、コードが組織接合器の基部近位端面28から延びる。
【0022】
図6、
図7、
図8A、及び
図8Bは、第一の組織接合器の別の実施形態を示し、各図では、アイレットリング64の支軸62が基部近位端面28から基部中心孔42に挿通されている。支軸62は、支軸62の端部を基部遠位端面32で中心孔内にレーザ溶接することにより、基部に固定される。アイレットリング64は、他の同等の手段により基部に固定してもよい。コード16の第一の端部54は、次に、アイレットリング64の近傍のコードに形成されて医療等級の接着剤により固定された結びを介して、アイレット64に固定される。
【0024】
第二の組織接合器14も又、基本的には、基部68と、基部から突出するフック72と、から構成される。基部68は、基部の外周全体を延びる側面74を有する。図面各図に示した実施形態では、側面74は、円筒状であり、互いに垂直な軸線方向と半径方向を基部68に対して規定する中心軸線76を有する。基部68は、又、基部の一方の軸線方向端部に近位端面78を、基部の反対側の軸線方向端部に遠位端面80を、有する。
【0025】
基部近位端面78は、円筒状側面74から軸線方向に離間する方向に、斜角に又は先細になっている。図示した第二の組織接合器68では、基部近位端面78は、近位端面78と円筒状の基部側面74との交線により画定される円形の周縁部82を持つ円錐形状を有する。近位端面78は、円筒状側面74から近位端面の先端部84まで先細になっている。近位端面78の先端部84の中心を通って後述する基部の内腔まで、孔部86が貫通している。
【0026】
基部遠位端面80は、略平坦である。遠位端面80は、遠位端面80と円筒状の基部側面74との交線により画定される円形の周縁部88を有する。
【0027】
基部遠位端面80には、フック孔92が形成される。フック孔92は、遠位端面周縁部88から半径方向内側に離間すると共に、中心軸線76から半径方向に離間している。フック孔92は、遠位端面80から軸線方向に基部内に短い距離延び、基部を完全には貫通していない。
【0028】
第二の組織接合器14のフック72は、第一の組織接合器12のフック22と略同じ構成を有する。フック72は、フックの近位端部96から直線的に延びる軸部94を有する。近位端部96近傍では、フック軸部は、遠位端面80のフック孔88にぴったり嵌合するように寸法決めされた円筒形状を有する。フック軸部94は、レーザ溶接又は他の同等の手段を用いて基部遠位端面80に固定される。フック軸部94は、中心軸線76と略平行に且つ中心軸線から半径方向に離間して基部遠位端面80から軸線方向に延びる。遠位端面80から延びるフック軸部94は、手術用グラスパでフックをつかみ易くし且つフック軸部がグラスパ内で回転するのを防ぎ易くするように、正方形又は他の類似の断面形状を有する。フックの軸部94は、基部からフックの湾曲部98まで軸線方向に延び、湾曲部98は、遠位端面80の半径方向に延びて基部中心軸線26を通る。フック湾曲部98は、軸部94からフックの遠位先端部100まで延びる。フックの遠位先端部100と軸部94は、いずれも、中心軸線76を挟んで基部の半径寸法より小さい半径方向距離寸法だけ互いに離間しており、これにより、フックの湾曲部と遠位先端部100が基部の円筒状側面74から半径方向に突出することはない。フック72は人体組織に着脱可能な組織接合器の一部として図示されているが、基部の側面から半径方向に突出しない他の同等のデバイスを使用してもよい。更に、組織接合器12、14がいずれも傾斜した或いは先細の表面28,78を有するものとして説明されているが、装置の機能を実現出来れば両者が先細の表面を有する必要はない。
【0029】
上述したように、第一の組織接合器12と第二の組織接合器14は同様の構成を持っているが、第二の組織接合器14は、二つの組織接合器12,14間のコード部分の長さを調節することができる解放可能な一方向コードロックを有して構成される。
【0030】
第二の組織接合器の基部68は、外面が基部円筒状側面74となった円筒状のハウジング壁部と、ハウジング壁部内部を長さ方向に貫通する中空の内腔102と、を持つ管状の形状を有する。
【0031】
基部のハウジング壁部の遠位端部には、円盤状のキャップ104が、溶接又は他の同等の手段により固定される。円盤状のキャップ104は、基部の遠位端面80を画定する。
【0032】
基部68には、基部内腔内で、ロッド又はピン106が固定される。ロッド106は、基部の近位端面78近傍で、基部内腔102の半径方向に延びる。ロッド106の両端部は、基部の円筒状ハウジングの内面に固定される。
【0033】
コード16は、基部内腔102内で、第二の組織接合器14に固定される。コード16の第二の端部56は、基部近位端面78の先端部の中心孔86を通って、基部の中空内腔内に延びる。基部内部では、コードの中間部112をロッド106に巻き付けることにより、コード16が第二の組織接合器14に取り付けられる。コードの中間部112は、ロッド周りに結びを形成することにより、ロッド106に巻き付けられる。好適な結び112は、ムンターヒッチノット(Munter hitch knot)である。中間部112から基部中心
孔86を通って、コードの長さの第一の部分114が延びる。コードの第一の部分114は、基部の近位端面78から、第一の組織接合器12に取り付けられたコードの第一の端部54まで延びる。コード中間部112から基部の円筒状側面74及び近位端面78内の側孔118を通って、コードの長さの第二の部分116が延びる。側孔118は、コードの第一の部分114とコードの第二の部分116とを分離して、絡まないようにするために設けられる。更に、側孔118は、コードの第二の部分116をより大きな角度で接合器から引き出すことができるようにする。コードの第二の部分116は、第二の組織接合器14からコードの第二の自由端部122まで延びる。
【0034】
解放可能な一方向コードロックは、基部68の円筒状側壁に半径方向に対向して形成された一対のスロット124から構成される。図面の各図に見られるように、スロット124は、基部68の円筒状壁部の一部に沿って軸線方向に延び、基部中心軸線76の半径方向一方の側に位置決めされる。スロット124内には、ロックピン126が位置決めされ、一方のスロット124から基部68の内腔を横切って他方のスロットまで延びる。ロックピン126は、スロット124に沿って軸線方向に摺動する。
【0035】
基部の円筒状側面74には、アクチュエータ128が取り付けられ、基部の内側でロックピン126に接続される。アクチュエータ128は、基部の円筒状側面74を囲む円筒状スリープとして形成される。アクチュエータ128は、基部68に対してアクチュエータ128を第一の位置と第二の位置との間で軸線方向に往復動させるように、基部68の円筒状側面74上に取り付けられる。ロックピン126の両端部は、基部の円筒状側面74内のスロット124から突出し、アクチュエータ128の両側で固定される。アクチュエータ128を
図11に示したその第一の位置に移動させると、ロックピン126は、ロッド106に巻き付けられたコードの中間部112と係合する。
図11では、ピン126は、結び112が3時の位置に又は
図11に示すようにロッドの右側にあってコードの第一の部分114が引っ張られるとき、結び112が反時計方向に回転しないようにしている。ロックピン126がコードの中間部又は結び112と係合すると、コードはロックされ、コードの長さの第一の部分114が第二の組織接合器14の近位端面78から引き出されないようにする。しかしながら、
図11に示した結び112の位置では、コードの第二の部分116を第二の組織接合器14から引き出してコードの第一の部分114の長さを短くすることはできるが、コードの第一の部分114を接合器から引き出すことはできない。アクチュエータ128をその第二の位置に移動させると、ロックピン126は、コード中間部又は結び112から外れる。ピン126を上方に移動すると、コードの第一の部分を引き出して、結び112を3時の位置から
図11に示す6時の位置まで反時計方向に移動させることができる。これにより、第二の組織接合器14と第一の組織接合器12の間のコードの第一の部分114の長さを第二の組織接合器14から引き出して、コードの第一の部分114の長さを調節又は増加することができる。ピン126を上方に移動すると、コードの第二の部分116も接合器から引き出すことができる。
【0036】
付勢デバイス132は、ロックピン126を
図11に示すその第一の位置まで付勢する。図面の各図において、付勢デバイス132は、コイルばねである。他の同等の付勢デバイスを用いることもできる。
【0037】
コードの第二の部分116が引き出されて、結び112がロッド106に対して時計方向に6時の位置から3時の位置まで移動するときに、結び112がばね132の付勢に抗してピン126を上方に押し上げ易くするために、スロット124とピン126は、基部の円筒状側面74の中心から外れている。
【0038】
上述したような一方向コードロックを有する組織接合器は、本発明の譲受人に譲渡され且つ出典を明記することにより本願明細書の一部となる現在審査中の国際特許出願第PCT/US2011/01494号に開示されている。
【0039】
図2Aは、一定の長さのコード16により接続される第一の組織接合器12と第二の組織接合器14とを備えた本発明の装置の別の実施形態を示す。しかしながら、コードの長さの第一の端部は、先に説明したアイレットリング64を有する第一の組織接合器12に接続される。加えて、第二の長さのコード134が、第三の組織接合器136を第一の組織接合器12に接続する。第三の組織接合器136の構成は、上述した第二の組織接合器14の構成と略同一である。
図2Aの実施形態では、三つの組織接合器のうち少なくとも二つは、後述するように手術部位から装置を除去するに際して装置を意図するように機能させるために先細の近位端面を必要とする。
【0040】
図2Bは、組織接合器フック72又は他の同等のデバイスが第二の組織接合器14の基部68に直接接続されずに別の長さの縫合糸138を介して接続される装置の更に別の実施形態を示す。
【0041】
本発明の装置は、又、
図13及び
図14に示した組織接合器送給除去管142と、
図15に示した送給ロッド144と、を備える。
【0042】
装置の一実施形態において、管142は、対向する近位端部146及び遠位端部148を持つ直線状の長さ部分を有する。管の全長に亘り、滑らかな円筒状の内面152を有する内腔が貫通する。円筒状の内面152は、第一の組織接合器の円筒状側面24と第二の組織接合器の円筒状側面74との外径寸法よりほんの僅か大きい内径寸法を有する。これにより、管を通って組織接合器を送給するとき或いは管を通って組織接合器を除去するときに、組織接合器12、14は、管の内腔を通って容易に摺動することができる。
【0043】
送給ロッド144は、管の内腔を通って組織接合器12,14と接続コード16を押しやって組織接合器と接続コードを管の遠位端部142から体内の手術部位まで送給するために近位端部146内に挿入されるように寸法決めされた直線状の長さ部分を有する。
【0044】
更に、第一の組織接合器12の基部近位端面28の先細形状と、第二の組織接合器14の基部近位端面78の先細形状とにより、組織接合器を管の遠位端部148で管42の内腔内に容易に引き込むことができる。しかしながら、
図1A及び
図1Bに示したような装置の2接合器実施形態においては、一方の組織接合器12だけが先細の近位端面を有すればよい。人体のある領域内の手術部位から組織接合器12,14を除去したいときには、管の遠位端部148を手術部位に位置決めするために、カニューレ又は切開部を通って遠位端部を挿入することにより、管の遠位端部142を領域内に位置決めする。続いて、管142を通って器具例えば手術用グラスパを、管の遠位端部148から出るまで、挿入する。次に、手術用グラスパで、第二の組織接合器14のフック72を掴む。続いて、手術用グラスパを、管142を通って除去し、第二の接合器14のフックを先ず管の遠位端部内に移動させ、次いで、コードを管の遠位端部142内に引き入れる。次に、第一の組織接合器12の基部近位端面28の先細形状が管の遠位端部148内に引き入れられるまで、コード16を、管を通って引っ張り続ける。近位端面28の先細形状により、先細の近位端面を管の内腔に引き入れるときに、管の内腔に対して第一の組織接合器の基部の円筒状側面24が芯合わせされる。管142の内腔内に基部の円筒状側面24が芯合わせされることにより、第一の組織接合器を管内に且つ管を通って引き入れるときに、基部遠位端面30から突出するフック22が管142の遠位端部148を傷付けたり引っ掛けたりすることはない。
【0045】
かくして、上述したように、本発明の装置及びその使用方法は、腹腔鏡視下の手術部位への手術用組織接合器の送給を容易にすると共に手術部位からの手術用組織接合器の除去を容易にする。
【0046】
本明細書で説明し図示した装置及びその使用方法では本発明の範囲から逸脱しない限り種々の変形例が可能であるが、上述した説明に含まれ或いは添付図面に示した全ての内容は限定よりも例示を目的としたものであることを理解されたい。従って、本発明の広さ及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、本明細書に添付した以下の請求の範囲及びその等価物によってのみ定義されるべきである。