特許第6553263号(P6553263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6553263非基本モード伝搬を用いる導波送信デバイス及びそれとともに使用するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553263
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】非基本モード伝搬を用いる導波送信デバイス及びそれとともに使用するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/08 20060101AFI20190722BHJP
   H01P 3/10 20060101ALI20190722BHJP
   H04B 13/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   H01P5/08 G
   H01P3/10
   H04B13/00
【請求項の数】13
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2018-144689(P2018-144689)
(22)【出願日】2018年8月1日
(62)【分割の表示】特願2017-522089(P2017-522089)の分割
【原出願日】2015年9月21日
(65)【公開番号】特開2019-4477(P2019-4477A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2018年8月1日
(31)【優先権主張番号】14/519,487
(32)【優先日】2014年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507220730
【氏名又は名称】エイ・ティ・アンド・ティ インテレクチュアル プロパティ アイ,エル.ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー,ポール シャラ
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゲルツベルグ,アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】バーゼガー,ファルハード
(72)【発明者】
【氏名】バーニッケル,ドナルド ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス,トーマス エム.ザ サード
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0064311(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第00777194(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0155054(US,A1)
【文献】 中島将光 著,「マイクロ波工学 −基礎と原理−」,森北出版株式会社,1975年 4月15日,第182−188頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00−11/00
H04B 13/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデータを含む通信信号を受信する通信インターフェースと、
前記通信インターフェースに結合され、前記第1のデータを搬送する前記通信信号に基づいて第1の電磁波を生成する送受信機と、
前記送受信機に結合され、前記第1の電磁波を、誘電体材料によって取り囲まれる少なくとも1つの内側部分を有する伝送媒体に結合する結合器と、
を備え、
前記誘電体材料は、
外面と、
対応する外周と、
を有し、
前記伝送媒体への前記第1の電磁波の結合は、少なくとも1つの搬送波周波数を有する第2の電磁波を形成し、
前記第2の電磁波は、非基本モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して前記誘電体材料の前記外面に沿って伝搬するように導波される、送信デバイスであって
前記送受信機に結合され、テスト信号又はテストデータの解析に基づいて、前記少なくとも1つの搬送波周波数を選択するトレーニングコントローラを更に備え、
前記誘電体材料は絶縁被覆を含み、前記誘電体材料の前記外面は前記絶縁被覆の外面に対応し、前記非基本モードは、前記絶縁被覆の外面にあり、ローブ内に分布する電磁場強度の大部分を有する非対称モードである、送信デバイス。
【請求項2】
第3の電磁波が第2のデータを搬送し、前記第3の電磁波も前記伝送媒体の前記誘電体材料の前記外面に沿って伝搬し、前記第2のデータは少なくとも1つの遠隔送信デバイスによるテスト信号又はテストデータの前記解析を含み、
前記結合器は、前記伝送媒体から前記第3の電磁波も結合して、第4の電磁波を形成し、
前記送受信機は前記第4の電磁波を受信し、該第4の電磁波を処理して、前記第2のデータを抽出する、請求項に記載の送信デバイス。
【請求項3】
前記トレーニングコントローラは、複数の候補周波数を評価し、前記テスト信号又は前記テストデータの前記解析に基づいて、前記複数の候補周波数のうちの1つとして、前記少なくとも1つの搬送波周波数を選択する、請求項に記載の送信デバイス。
【請求項4】
前記複数の候補周波数は、マイクロ波周波数帯域内にある、請求項に記載の送信デバイス。
【請求項5】
前記複数の候補周波数がミリメートル波周波数帯域内にある、請求項に記載の送信デバイス。
【請求項6】
前記第1の電磁波は、基本モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して前記結合器に沿って伝搬するように導波され、前記結合器と前記伝送媒体との間の接合部が、前記第2の電磁波の前記非基本モードを誘導する、請求項1に記載の送信デバイス。
【請求項7】
前記伝送媒体が分散アンテナシステムの一部である、請求項1に記載の送信デバイス。
【請求項8】
通信インターフェースを介して、第1のデータを含む通信信号を受信するステップと、
送受信機によって、前記第1のデータを搬送する前記通信信号に基づいて、第1の電磁波を生成するステップと、
結合器を介して、前記第1の電磁波を、誘電体材料によって取り囲まれる少なくとも1つの内側部分を有する伝送媒体に結合するステップと、
を含み、
前記誘電体材料は、
外面と、
対応する外周と、
を有し、
前記伝送媒体への前記第1の電磁波の結合は、少なくとも1つの搬送波周波数を有する第2の電磁波を形成し、
前記第2の電磁波は、非基本モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して前記誘電体材料の前記外面に沿って伝搬するように導波され、
前記誘電体材料は絶縁被覆を含み、前記誘電体材料の前記外面は前記絶縁被覆の外面に対応し、前記非基本モードは、前記絶縁被覆の外面にあり、ローブ内に分布する電磁場強度の大部分を有する非対称モードである、
方法であって、
トレーニングコントローラを介して、テスト信号又はテストデータの解析に基づいて、前記少なくとも1つの搬送波周波数を選択するステップを更に含む、方法
【請求項9】
第3の電磁波が第2のデータを搬送し、前記第3の電磁波も前記伝送媒体の前記誘電体材料の前記外面に沿って伝搬し、前記第2のデータは少なくとも1つの遠隔送信デバイスによるテスト信号又はテストデータの前記解析を含み、
前記結合器は、前記伝送媒体から前記第3の電磁波も結合して、第4の電磁波を形成し、
前記送受信機は前記第4の電磁波を受信し、該第4の電磁波を処理して、前記第2のデータを抽出する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記選択するステップは、複数の候補周波数を評価することと、前記テスト信号又は前記テストデータの前記解析に基づいて、前記複数の候補周波数のうちの1つとして、前記少なくとも1つの搬送波周波数を選択することとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の候補周波数は、マイクロ波周波数帯域内にある、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の候補周波数は、ミリメートル波周波数帯域内にある、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の電磁波は、基本モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して前記結合器に沿って伝搬するように導波され、
前記結合器と前記伝送媒体との間の接合部が、前記第2の電磁波の前記非基本モードを誘導する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年10月21日に出願された米国特許出願第14/519,487号の優先権を主張する。上記の内容は、本明細書において全て記載されるかのように、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、通信ネットワークにおけるマイクロ波伝送を介しての通信に関する。
【背景技術】
【0003】
スマートフォン及び他のポータブルデバイスが次第に普及し、データ使用量が増えるにつれ、マクロセル基地局デバイス及び既存のワイヤレスインフラストラクチャは、増加する需要に対処するために、これまで以上に、より高い帯域幅容量を必要としている。更なるモバイル帯域幅を与えるために、スモールセルの展開が推進されつつあり、この展開において、マイクロセル及びピコセルがこれまでのマクロセルよりはるかに小さいエリアのためのカバレッジを提供している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本明細書において説明される種々の態様による、導波通信システムの一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図2】本明細書において説明される種々の態様による、誘電体導波路結合器の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図3】本明細書において説明される種々の態様による、誘電体導波路結合器の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図4】本明細書において説明される種々の態様による、誘電体導波路結合器の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図5】本明細書において説明される種々の態様による、誘電体導波路結合器及び送受信機の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図6】本明細書において説明される種々の態様による、二重誘電体導波路結合器の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図7】本明細書において説明される種々の態様による、双方向誘電体導波路結合器の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図8】本明細書において説明される種々の態様による、双方向誘電体導波路結合器の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図9】本明細書において説明される種々の態様による、双方向リピーターシステムの一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図10】本明細書において説明されるような誘電体導波路結合器を用いて伝送を送信するための方法の一例の非限定的な実施形態の流れ図である。
図11】本明細書において説明される種々の態様による、コンピューティング環境の一例の非限定的な実施形態のブロック図である。
図12】本明細書において説明される種々の態様による、モバイルネットワークプラットフォームの一例の非限定的な実施形態のブロック図である。
図13a】本明細書において説明される種々の態様による、スロット付き導波路結合器の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図13b】本明細書において説明される種々の態様による、スロット付き導波路結合器の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図13c】本明細書において説明される種々の態様による、スロット付き導波路結合器の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図14a】本明細書において説明される種々の態様による、導波路結合システムの一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図14b】本明細書において説明される種々の態様による、導波路結合システムの一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図15】本明細書において説明される種々の態様による、導波通信システムの一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図16】本明細書において説明される種々の態様による、送信デバイスの一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図17】本明細書において説明される種々の態様による、電磁分布の一例の非限定的な実施形態を示す図である。
図18】本明細書において説明される種々の態様による、電磁分布の複数の例の非限定的な実施形態を示す図である。
図19】本明細書において説明される種々の態様による、送信デバイスの一例の非限定的な実施形態を示すブロック図である。
図20】本明細書において説明される伝送方法の一例の非限定的な実施形態の流れ図である。
図21】本明細書において説明される伝送方法の一例の非限定的な実施形態の流れ図である。
図22】本明細書において説明される、搬送波周波数を選択する方法の一例の非限定的な実施形態の流れ図である。
図23】本明細書において説明される、搬送波周波数を選択する方法の一例の非限定的な実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ここで、1つ又は複数の実施形態が図面を参照しながら説明され、図面では、同じ参照符号が、全体を通して同じ要素を指すために用いられる。以下の説明では、説明の目的上、種々の実施態様を完全に理解してもらうために、多数の細部が記載される。しかしながら、これらの細部を用いることなく(そして、任意の特定のネットワーク化された環境又は標準規格に適用することなく)種々の実施形態を実施できることは明らかである。
【0006】
更なる基地局デバイスにネットワーク接続を与えるために、通信セル(例えば、マイクロセル及びマクロセル)をコアネットワークのネットワークデバイスにリンクするバックホールネットワークが、それに応じて拡大する。同様に、分散アンテナシステムにネットワーク接続を与えるために、基地局デバイス及びその分散アンテナをリンクする拡張通信システムが望まれる。代替のネットワーク接続、増設のネットワーク接続、又は付加的なネットワーク接続を可能にするために、導波通信システムを設けることができ、単線伝送線路として動作する電線若しくは他の導体、又は導波路として動作する誘電体材料のような伝送媒体、及び/又は別の方法で電磁波の伝送を導波するように動作する別の伝送媒体上で導波(例えば、表面波)通信を送信及び/又は受信するために、導波路結合システムを設けることができる。
【0007】
一例示的な実施形態において、導波路結合システムにおいて利用される導波路結合器は、誘電体材料若しくは他の低損失絶縁体(例えば、テフロン、ポリエチレン等)、若しくは導電性(例えば、金属、非金属等)材料、又は上記の材料の任意の組み合わせから形成することができる。詳細な説明を通して「誘電体導波路」を参照するのは、例示のためであり、誘電体材料のみから構成される実施形態に限定するものではない。他の実施形態では、他の誘電体材料又は絶縁性材料が可能である。例示的な実施形態から逸脱することなく、導波通信において、種々の伝送媒体、すなわち、絶縁されるか否か、単線又はより線のいずれかの電線;電線束、ケーブル、ロッド、レール、パイプを含む他の形状又は構成の導体;誘電体パイプ、ロッド、レール又は他の誘電体部材のような非導体;導体及び誘電体材料の組み合わせ;又は他の導波伝送媒体等を利用することができることは理解されよう。
【0008】
これらの事柄、及び/又は他の事柄を検討するために、1つ又は複数の実施形態において、送信デバイスが、第1のデータを含む第1の通信信号を受信する通信インターフェースを含む。送受信機が、第1のデータを搬送する第1の通信信号に基づいて、第1の電磁波を生成し、第1の電磁波は、少なくとも1つの搬送波周波数と、少なくとも1つの対応する波長とを有する。結合器が、第1の電磁波を、誘電体材料によって取り囲まれる少なくとも1つの内側部分を有する伝送媒体に結合し、誘電体材料は、外面と、対応する外周とを有し、伝送媒体への第1の電磁波の結合は、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、非対称モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して誘電体材料の外面に沿って伝搬するように導波され、少なくとも1つの搬送波周波数はマイクロ波又はミリメートル波周波数帯域内にあり、対応する単数又は複数の波長は、伝送媒体の外周より短い。
【0009】
1つ又は複数の実施形態において、送信デバイスが、データを搬送する通信信号に基づいて、第1の電磁波を生成する送信機を含み、第1の電磁波は、少なくとも1つの搬送波周波数と、少なくとも1つの対応する波長とを有する。結合器が、第1の電磁波を、外面と、対応する外周とを有する単線伝送媒体に結合し、単線伝送媒体への第1の電磁波の結合は、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、非対称モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して単線伝送媒体の外面に沿って伝搬するように導波され、少なくとも1つの搬送波周波数はミリメートル波又はマイクロ波周波数帯域内にあり、対応する単数又は複数の波長は、単線伝送媒体の外周より短い。
【0010】
1つ又は複数の実施形態において、方法が、データを搬送する通信信号に基づいて、第1の電磁波を生成することを含み、第1の電磁波は、少なくとも1つの搬送波周波数と、少なくとも1つの対応する波長とを有する。結合器が、第1の電磁波を、外側誘電体表面と、対応する外周とを有する単線伝送媒体に結合し、単線伝送媒体への第1の電磁波の結合は、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、少なくとも1つの導波モードを介して単線伝送媒体の外側誘電体表面に沿って伝搬するように導波され、少なくとも1つの搬送波周波数はミリメートル波周波数帯域内にあり、対応する単数又は複数の波長は、単線伝送媒体の外周より短い。単線伝送媒体の外面に沿った伝搬は、例えば、波を導波する役割を果たす伝送媒体の主に又は実質的に外部に存在する場構造によって可能にすることができる。
【0011】
1つ又は複数の実施形態において、送信デバイスが、データを搬送する第1の電磁波を生成する送信機を含む。結合器が第1の電磁波を、外面を有する単線伝送媒体に結合し、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、下側カットオフ周波数を有する非対称モード又は非基本モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して単線伝送媒体の外面に沿って伝搬するように導波される。第2の電磁波の搬送波周波数は、下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入るように選択され、それにより、電場の大部分が単線伝送媒体の最も大きな断面寸法の半分未満である外面からの距離内に集中するように、及び/又は伝搬損失を低減するようになっている。1つ又は複数の実施形態において、方法は、データを搬送する第1の電磁波を生成することを含む。結合器が第1の電磁波を、外面を有する単線伝送媒体に結合し、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、下側カットオフ周波数を有する非対称モード又は非基本モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して単線伝送媒体の外面に沿って伝搬するように導波される。第2の電磁波の搬送波周波数は、下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入るように選択され、それにより、電場の大部分が単線伝送媒体の最も大きな断面寸法の半分未満である外面からの距離内に集中するように、及び/又は伝搬損失を低減するようになっている。
【0012】
1つ又は複数の実施形態において、方法が、データを搬送する通信信号に基づいて第1の電磁波を生成することを含み、第1の電磁波は少なくとも1つの搬送波周波数を有する。第1の電磁波は、外面を有する単線伝送媒体に結合され、単線伝送媒体への第1の電磁波の結合は、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、下側カットオフ周波数を有する非対称モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して単線伝送媒体の外面に沿って伝搬するように導波され、単数又は複数の搬送波周波数は、下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入るように選択される。
【0013】
本明細書において説明される種々の実施形態は、電線から導波(例えば、電磁波である表面波通信)伝送を送出及び抽出するための伝送システムに関する。マイクロ波又はミリメートル波周波数において、波長は機器のサイズに比べて小さく、伝送は、誘電体材料又は他の結合器のストリップ又は長さのような、導波路によって導波される波として伝搬することができる。導波の電磁場構造は、結合器の内部及び/又は外部に存在することができる。この結合器を伝送媒体(例えば、電線、送電線又は他の伝送媒体)に極めて接近させるときに、導波の少なくとも一部が導波路から分離し、伝送媒体に結合し、電線の表面の周りを、表面波のような導波として伝搬し続ける。
【0014】
一例示的な実施形態によれば、表面波は、電線の外部又は外面、誘電被覆又は絶縁被覆の外部及び外面を含むことができる伝送媒体の表面によって、又は異なる特性(例えば、誘電特性)を有する別のタイプの媒体に隣接若しくは露出する伝送媒体の別の表面によって導波されるタイプの導波である。実際には、一例示的な実施形態において、表面波を導波する伝送媒体の表面は、2つの異なるタイプの媒体間の移行表面を表すことができる。例えば、裸線又は非絶縁電線の場合、電線の表面は、空気又は自由空間に露出している、裸線又は非絶縁電線の外側又は外部導電性表面とすることができる。別の例として、絶縁電線の場合、電線の表面は、電線の絶縁体部分に接する電線の導電性部分とすることができるか、そうでなければ、空気又は自由空間に露出している電線の絶縁表面とすることができるか、そうでなければ、電線の絶縁表面と電線の絶縁体部分に接する電線の導電性部分との間にある任意の材料領域とすることができ、それは、絶縁体、空気及び/又は導体の特性(例えば、誘電特性)の相対的な違いによって、更には、導波の周波数及び単数又は複数の伝搬モードによって決まる。
【0015】
一例示的な実施形態によれば、表面波等の導波は、自由空間/空気を介しての無線伝送、又は電線の導体を通しての電力又は信号の従来の伝搬と対比することができる。実際には、本明細書において説明される表面波又は導波システムによれば、電線の導体を通して従来の電力又は信号を依然として伝搬又は伝送することができ、一方、導波(表面波及び他の電磁波を含む)は、一例示的な実施形態によれば、電線の表面の周りの全て又は一部を取り囲み、低損失で電線に沿って伝搬することができる。一例示的な実施形態において、表面波は、場構造(例えば、電磁場構造)を有することができ、その構造は、表面波を導波する役割を果たす伝送媒体の主に、又は実質的に外部に存在する。
【0016】
例示的な実施形態において、本明細書において利用される導波は、電線の外周より大きい、外周以上の波長を有する波に制限される、電線に沿った伝搬手段として使用されるゾンマーフェルト波と対比することができる。例示的な実施形態において、本明細書において利用される導波は、基本モードの伝搬を介して、少なくとも1つの非対称モードの伝搬に基づかずに動作するG波又はE波システムと対比することができる。例示的な実施形態において、本明細書において利用される導波は、導電性材料のγ、すなわち、電子の平均衝突頻度を十分に上回り、それ以上である光周波数のような周波数において導体内に形成される電子バンチを前提とする単線金属線に沿った表面プラズモン波伝搬と対比することができる。これらの従来技術のシステムは、導波が、導電性材料の電子の平均衝突頻度未満である、マイクロ波又はミリメートル波帯域内のような低損失周波数において伝搬する非対称モードを含む場合に、伝送媒体のための導波伝搬に対処できなかった。これらの従来技術のシステムは、導波が、誘電体の外面の周りに集中した場を伴って低損失で伝搬する非対称モードを含む場合に、外側誘電体を含む伝送媒体のための導波伝搬に対処できなかった。
【0017】
一例示的な実施形態によれば、電線に沿って進行する電磁波は、電線に近接する導波路に沿って進行する他の電磁波によって誘導される。電磁波の誘導は、電気回路の一部としての電線を通して注入されるか、又は別の方法で伝送される任意の電位、電荷又は電流から独立していることができる。電線を通した電磁波の伝搬に応答して、電線内に小さな電流が形成される場合があるが、これは、電線表面に沿った電磁波の伝搬に起因している可能性があり、電気回路の一部としての電線の中に注入される電位、電荷又は電流に応答して形成されないことは理解されたい。それゆえ、電線上を進行する電磁波は、電線表面に沿って伝搬するために回路を必要としない。それゆえ、電線は、回路を必要としない単線伝送線路である。また、幾つかの実施形態において、電線は不要であり、電磁波は、電線でない単線伝送媒体に沿って伝搬することができる。
【0018】
一例示的な実施形態によれば、電線によって導波される電磁波を介しての伝送とともに、「単線伝送媒体」という用語が使用されるが、そのような伝搬をサポートするために、電線が回路の一部であることは必要とされない。伝送システムは、そのような導波を伝送する役割を果たす複数の単線伝送媒体を含むことができ、異なる波が、異なる単線伝送媒体によって導波される。
【0019】
一例示的な実施形態によれば、導波(例えば、表面波)とともに使用される電線の「周り」という用語は、基本波動伝搬モード及び他の導波を含むことができる。電線が、円形又はそうでなくても実質的に円形の断面を有すると仮定すると、基本モードは、電線の周囲に少なくとも部分的に円形又は実質的に円形の場分布(例えば、電場、磁場、電磁場等)を有する対称モードである。さらに、導波が、円形又は実質的に円形の断面を有する円形のより線又は他の電線の「周り」を伝搬するとき、導波は、1つの波動伝搬モード(少なくとも1つの導波モード)を介して電線に沿って長手方向に伝搬し、その波動伝搬モードは、基本波動伝搬モード(例えば、0次モード)だけでなく、それに加えて、又はその代わりに、高次導波モード(例えば、1次モード、2次モード等)、非対称モード及び/又は電線の周囲に非円形場分布を有する他の導波(例えば、表面波)のような、他の非基本波動伝搬モードを含むことができる。本明細書において使用されるときに、「実質的に円形」という用語は、(+/−15%)未満だけ真円と異なる形状を意味する。本明細書において使用されるときに、「非円形」という用語は、実質的に円形でない形状を意味する。
【0020】
例えば、このような非円形場分布は、相対的に高い場強度によって特徴付けられる1つ又は複数の軸周りローブ、及び/又は相対的に低い場強度、零場強度又は実質的な零場強度によって特徴付けられる1つ又は複数のヌル又はヌル領域を伴う片側又は多方向とすることができる。さらに、場分布は、一例示的な実施形態に従って、電線の周囲の軸周り方位の1つ又は複数の領域が、軸周り方位の1つ又は複数の他の領域より高い電場強度又は磁場強度(又はその組み合わせ)を有するように、別の方法で、電線周囲の長手方向の軸周り方位の関数として変化することができる。高次モード又は非対称モードの相対的位置は、電線に沿って導波が進行するにつれて変化する可能性があることは理解されよう。
【0021】
非円形の断面(すなわち、実質的に円形でない断面)を有する他の電線、導体又は誘電体を考えるとき、対称モード及び非対称モードという用語は、同じように適用されない場合がある。例えば、長方形導波路の基本モードは、円形又は実質的に円形の場分布を有しない場合がある。したがって、基本モード及び非基本モードという用語は、この、より一般的な意味において使用することができる。
【0022】
ここで図1を参照すると、導波通信システム100の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図が示される。導波通信システム100は、送信デバイス、結合器又は結合モジュールを使用することができる例示的な環境を示す。
【0023】
導波通信システム100は、マクロセルサイト102又は他のネットワーク接続に通信可能に結合される1つ又は複数の基地局デバイス(例えば、基地局デバイス104)を含む事例の分散アンテナシステムを備えることができる。基地局デバイス104は、有線接続(例えば、ファイバー及び/又はケーブル)によって、又はワイヤレス接続(例えば、マイクロ波ワイヤレス)によって、マクロセルサイト102に接続することができる。マクロセルサイト102等のマクロセルは、モバイルネットワークへの専用接続を有することができ、基地局デバイス104は、マクロセルサイト102の接続を共有し、及び/又は別の方法で使用することができる。基地局デバイス104は、電柱116上に設置することができるか、又は電柱116に取り付けることができる。他の実施形態において、基地局デバイス104は、変圧器の近くに存在することができ、及び/又は電力線の近くに位置する他の場所に存在することができる。
【0024】
基地局デバイス104は、モバイルデバイス122及び124のモバイルネットワークへの接続を容易にすることができる。電柱118及び120上に、又はその付近にそれぞれ設置されるアンテナ112及び114は、基地局デバイス104から信号を受信することができ、アンテナ112及び114が基地局104に、又はその付近に位置していた場合よりはるかに広いエリアにわたって、それらの信号をモバイルデバイス122及び124に送信することができる。
【0025】
図1は、簡潔にするために、1つの基地局デバイスとともに、3つの電柱を示すことに留意されたい。他の実施形態において、電柱116は、より多くの基地局デバイス、及び分散アンテナを有する1つ又は複数の電柱を有することができる。
【0026】
誘電体導波路結合デバイス106等の送信デバイスは、電柱116、118及び120を接続する送電線又は電力線(複数の場合もある)を介して、基地局デバイス104からアンテナ112及び114に信号を送信することができる。信号を送信するために、無線発信源及び/又は結合器106は、基地局デバイス104からの信号を(例えば、周波数混合を介して)アップコンバートするか、又は別の方法で、基地局デバイス104からの信号を、マイクロ波又はミリメートル波周波数帯域内の少なくとも1つの搬送波周波数を有するマイクロ波又はミリメートル波帯信号に変換する。誘電体導波路結合デバイス106はミリメートル波帯波を送出し、その波は、送電線又は他の電線に沿って進行する導波(例えば、表面波又は他の電磁波)として伝搬する。電柱118において、別の誘電体導波路結合デバイス108等の送信デバイスが導波を受信し(そして必要に応じて、若しくは所望により任意選択で導波を増幅することができるか、又は導波を受信し、再生するデジタルリピーターとして動作することができ)、送電線又は他の電線上に導波(例えば、表面波又は他の電磁波)として前方に送信する。また、誘電体導波路結合デバイス108は、ミリメートル波帯導波から信号を抽出し、その信号を周波数に関して下方にシフトするか、又は別の方法で元のセルラー帯周波数(例えば、1.9GHz又は他の規定されたセルラー周波数)、又は別のセルラー(又は非セルラー)帯周波数に変換することができる。アンテナ112が、下方にシフトされた信号をモバイルデバイス122に送信する(例えば、ワイヤレスで送信する)ことができる。そのプロセスは、必要に応じて、又は所望により、誘電体導波路結合デバイス110等の送信デバイス、アンテナ114及びモバイルデバイス124によって繰り返すことができる。
【0027】
また、モバイルデバイス122及び124からの送信はそれぞれ、アンテナ112及び114によって受信することができる。誘電体導波路結合デバイス108及び110上のリピーターが、セルラー帯信号をミリメートル波帯に上方にシフトするか、又は別の方法で変換し、その信号を導波(例えば、表面波又は他の電磁波)伝送として電力線(複数の場合もある)を介して基地局デバイス104に送信することができる。
【0028】
一例示的な実施形態において、システム100は、ダイバーシティパスを利用することができ、その場合、2つ以上の送電線又は他の電線が電柱116、118及び120間に張り渡され(例えば、電柱116と120との間にある2つ以上の電線)、基地局104からの冗長伝送が、導波として、送電線又は他の電線の表面を下流に送信される。送電線又は他の電線は、絶縁又は非絶縁のいずれかとすることができ、伝送損失を引き起こす環境条件に応じて、結合デバイスは、絶縁又は非絶縁送電線又は他の電線から信号を選択的に受信することができる。その選択は、電線の信号対雑音比の測定値に基づくことができるか、又は特定された気象/環境条件(例えば、水分検出器、気象予報等)に基づくことができる。システム100とともにダイバーシティパスを使用することは、代替のルーティング能力、負荷バランシング、負荷取扱量の増加、同時の双方向又は同期通信、スペクトル拡散通信等を可能にすることができる(更に例示的な詳細に関しては図8を参照)。
【0029】
図1の誘電体導波路結合デバイス106、108及び110の使用は一例にすぎないこと、及び他の実施形態では、他の使用法が可能であることに留意されたい。例えば、誘電体導波路結合デバイスは、バックホール通信システムにおいて使用することができ、基地局デバイスにネットワーク接続を提供することができる。誘電体導波路結合デバイスは、絶縁されるか否かにかかわらず、電線を介して導波通信を伝送することが望ましい数多くの状況において使用することができる。誘電体導波路結合デバイスは、高い電圧を搬送する場合がある電線と物理的及び/又は電気的に接触しないか、又は接触が限られることに起因して、他の結合デバイスに比べて改善される。誘電体導波路結合デバイスによれば、装置は、電線から離れて位置する(例えば、電線から間隔を置いて配置する)ことができ、及び/又は誘電体が絶縁体としての役割を果たすので、電線と電気的に接触していない限り、電線上に位置することができ、それにより、安価で、容易で、及び/又は複雑でない設置を可能にする。しかしながら、上述されたように、特に、電線が電話網、ケーブルテレビネットワーク、ブロードバンドデータサービス、光ファイバー通信システム又は低電圧を利用するか、若しくは絶縁された伝送線路を有する他のネットワークに対応する構成では、導電性又は非誘電体結合器を利用することができる。
【0030】
一例示的な実施形態において基地局デバイス104及びマクロセルサイト102が例示されるが、他のネットワーク構成も同様に可能であることに更に留意されたい。例えば、アクセスポイント又は他のワイヤレスゲートウェイ等のデバイスを同様に利用して、ワイヤレスローカルエリアネットワーク、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク、又は802.11プロトコル、WIMAXプロトコル、超広帯域プロトコル、Bluetoothプロトコル、Zigbeeプロトコル若しくは他のワイヤレスプロトコル等の通信プロトコルに従って動作する他のワイヤレスネットワーク等の他のネットワークの通信範囲を広げることができる。
【0031】
ここで図2を参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、誘電体導波路結合システム200の一例の非限定的な実施形態のブロック図が示される。システム200は、誘電体導波路204の導波路表面の周りを導波として伝搬する波206を有する誘電体導波路204を備える。一例示的な実施形態において、誘電体導波路204は湾曲し、本明細書において説明されるように、導波路204と電線202との間の結合を容易にするために、導波路204の少なくとも一部を電線202の近くに配置することができる。誘電体導波路204は、湾曲した誘電体導波路204の一部が電線202と平行、又は実質的に平行であるように配置することができる。電線と平行である誘電体導波路204の部分は、曲線の頂点とすることができるか、又は曲線の接線が電線202に対して平行である任意の点とすることができる。誘電体導波路204がこのように位置決め又は配置されるときに、誘電体導波路204に沿って進行する波206は、電線202に少なくとも部分的に結合し、電線202の電線表面の周囲又は周りを、導波208として電線202に沿って長手方向に伝搬する。導波208は、表面波又は他の電磁波として特徴付けることができるが、例示的な実施形態から逸脱することなく、他のタイプの導波208も同様にサポートすることができる。電線202に結合しない波206の部分は、誘電体導波路204に沿って波210として伝搬する。誘電体導波路204は、電線202に対して種々の位置において構成し、配置して、電線202に対する波206の結合又は非結合の所望のレベルを達成することができる。例えば、平行又は実質的に平行である誘電体導波路204の曲率及び/又は長さ、並びに電線202に対するその分離距離(この分離距離は、一例示的な実施形態において、0の分離距離を含むことができる)は、例示的な実施形態から逸脱することなく変更することができる。同様に、電線202に対する誘電体導波路204の配置は、電線202及び誘電体導波路204のそれぞれの固有の特性(例えば、厚さ、組成、電磁的特性等)、並びに波206及び208の特性(例えば、周波数、エネルギーレベル等)の考慮すべき事柄に基づいて変更することができる。
【0032】
導波208は、電線202が曲がり、可撓性であっても、電線202に対して平行、又は実質的に平行である方向に伝搬する。電線202内の曲がりは伝送損失を増加させる可能性があり、その損失は、電線径、周波数及び材料にも依存する。効率的な電力伝達のために誘電体導波路204の寸法が選択される場合には、波206内の電力の大部分が電線202に伝達され、波210内に電力はほとんど残らない。基本伝送モードを使用して、又は使用することなく、電線202に対して平行、又は実質的に平行である経路に沿って進行しながら、導波208は依然として、実際に、非基本又は非対称であるモードを有することを含む、マルチモードにすることができる(本明細書において論じられる)ことは理解されよう。一例示的な実施形態において、非基本モード又は非対称モードを利用して、伝送損失を最小化し、及び/又は長い伝搬距離を得ることができる。
【0033】
平行という用語は、一般に、実際のシステムにおいて多くの場合に厳密には達成できない幾何学的構成であることに留意されたい。したがって、本開示において利用されるような平行という用語は、本開示において開示される実施形態を説明するために使用されるときに、厳密な構成ではなく、近似を表す。一実施形態において、「実質的に平行」は、全ての次元において真の平行の30度以内にある近似を含むことができる。
【0034】
一例示的な実施形態において、波206は、1つ又は複数の波動伝搬モードを示すことができる。誘電体導波路モードは、導波路204の形状及び/又は設計に依存することができる。波206の1つ又は複数の誘電体導波路モードは、電線202に沿って伝搬する導波208の1つ又は複数の波動伝搬モードを生成するか、波動伝搬モードに影響を与える(influence)か、又は強い影響を及ぼす(impact)ことができる。一例示的な実施形態において、波206及び208はいずれも、それぞれ誘電体導波路204及び電線202の外面の周りを伝搬するので、電線202上の波動伝搬モードは誘電体導波路モードに類似である可能性がある。幾つかの実施形態において、波206が電線202に結合するとき、誘電体導波路204と電線202との間の結合に起因して、モードが形を変える可能性がある。例えば、誘電体導波路204と電線202とのサイズ、材料及び/又はインピーダンスの違いが、誘電体導波路モードにおいて存在しない更なるモードを生み出す場合があり、及び/又は誘電体導波路モードのうちの幾つかを抑圧する場合がある。波動伝搬モードは基本横電磁モード(擬似TEM00)を含むことができ、そのモードでは、導波が電線に沿って伝搬する間に、わずかな電場及び/又は磁場のみが伝搬方向に延在し、電場及び磁場が径方向外向きに延在する。この導波モードは、ドーナツの形状をなすことができ、誘電体導波路204又は電線202内に電磁場はほとんど存在しない。波206及び208は、場が径方向外向きに延在する基本TEMモードを含むことができ、他の非基本(例えば、非対称、高次等)モードも含むことができる。特定の波動伝搬モードがこれまでに論じられてきたが、利用される周波数、誘電体導波路204の設計、電線202の寸法及び組成、また同様に、その表面特性、その任意選択の絶縁、周囲環境の電磁的特性等に基づいて、横電場(TE)モード及び横磁場(TM)モード等の他の波動伝搬モードも同様に可能である。周波数、電線202の電気的及び物理的特性、並びに生成される特定の波動伝搬モードに応じて、導波208は、酸化した非絶縁電線、酸化していない非絶縁電線、絶縁電線の導電性表面に沿って、及び/又は絶縁電線の絶縁表面に沿って、進行することができることに留意されたい。
【0035】
一例示的な実施形態において、誘電体導波路204の直径は、電線202の直径より小さい。マイクロ波又はミリメートル波帯波長が使用される場合、誘電体導波路204は、波206を構成する単一導波路モードをサポートする。この単一導波路モードは、表面波208として電線202に結合するときに変化する可能性がある。誘電体導波路204がそれより大きい場合、2つ以上の導波路モードをサポートすることができるが、これらの更なる導波路モードは、電線202に効率的に結合しない場合があり、結果として、より高次の結合損失が生じるおそれがある。しかしながら、幾つかの代替の実施形態では、誘電体導波路204の直径は、例えば、より高次の結合損失が望ましい場合、又は別の方法(例えば、テーパー処理によるインピーダンス整合等)で結合損失を低減するために他の技法とともに使用されるとき、電線202の直径以上にすることができる。
【0036】
一例示的な実施形態において、波206及び208の波長は、誘電体導波路204及び電線202の外周のサイズと同程度であるか、又はそれより小さい。一例において、電線202が0.5cmの直径を有し、約1.5cmの対応する外周を有する場合には、伝送の波長は約1.5cm以下であり、それは20GHz以上の周波数に対応する。別の実施形態において、伝送及び搬送波信号の適切な周波数は、30GHz〜100GHzの範囲内にあり、おそらく、約30GHz〜60GHzであり、1つの例では、約38GHzである。一例示的な実施形態において、誘電体導波路204及び電線202の外周が、伝送の波長のサイズと同程度であるか、又はそれより大きいとき、波206及び208は、本明細書において説明される種々の通信システムをサポートするのに十分な距離にわたって伝搬する基本モード及び/又は非基本(対称及び/又は非対称)モードを含む、複数の波動伝搬モードを示すことができる。それゆえ、波206及び208は、2つ以上のタイプの電場及び磁場構成を含むことができる。一例示的な実施形態において、導波208が電線202を下流に伝搬するとき、電場及び磁場構成は、電線202の端点間で同じままとなる。他の実施形態では、導波208が干渉に直面するか、又は伝送損失に起因してエネルギーを失うとき、導波208が電線202を下流に伝搬するにつれて、電場及び磁場構成が変化する可能性がある。
【0037】
一例示的な実施形態において、誘電体導波路204は、ナイロン、テフロン、ポリエチレン、ポリアミド又は他のプラスチックから構成することができる。他の実施形態では、他の誘電体材料が可能である。電線202の電線表面は、むき出しの金属表面を有する金属とすることができるか、又はプラスチック、誘電体、絶縁体若しくは他の被覆材料を用いて絶縁することができる。一例示的な実施形態において、誘電体導波路又は別の方法により非導電性の/絶縁された導波路は、裸電線/金属電線又は絶縁電線と対にすることができる。他の実施形態では、金属及び/又は導電性導波路を裸電線/金属電線又は絶縁電線と対にすることができる。また、一例示的な実施形態において、電線202のむき出しの金属表面上の酸化層(例えば、むき出しの金属表面を酸素/空気に露出させることから生じる)が、幾つかの絶縁体又は被覆材料によって与えられる特性と類似の絶縁特性又は誘電特性を与えることができる。
【0038】
波206、208及び210のグラフィック表示は、波206が、例えば、単線伝送線路として動作する電線202上に導波208を誘導するか、又は別の方法で送出する原理を例示するために提示されるにすぎないことに留意されたい。波210は、導波208の生成後に誘電体導波路204上に残存する波206の部分を表す。そのような波動伝搬の結果として生成される実際の電場及び磁場は、利用される周波数、単数又は複数の特定の波動伝搬モード、誘電体導波路204の設計、電線202の寸法及び組成、また同様に、その表面特性、その任意選択の絶縁、周囲環境の電磁的特性等に応じて異なる場合がある。
【0039】
誘電体導波路204は、誘電体導波路204の端部において、波210からの残りの放射又はエネルギーを吸収することができる終端回路又はダンパー214を含むことができることに留意されたい。終端回路又はダンパー214は、波210からの残りの放射が反射して送信機回路212に向かって戻るのを防ぐことができ、及び/又は最小化することができる。一例示的な実施形態において、終端回路又はダンパー214は、終端抵抗器、及び/又は反射を減衰させるようにインピーダンス整合を実行する他のコンポーネントを含むことができる。幾つかの実施形態において、結合効率が十分に高い場合には、及び/又は波210が十分に小さい場合には、終端回路又はダンパー214を使用する必要がない場合がある。簡潔にするために、他の図では、これらの送信機212及び終端回路又はダンパー214は示されないが、場合によっては、それらの実施形態において、送信機及び終端回路又はダンパーが使用される場合がある。
【0040】
さらに、単一の導波208を生成する単一の誘電体導波路204が提示されるが、電線202に沿った異なる点に、及び/又は電線の周りの異なる軸周り方位に配置される複数の誘電体導波路204を利用して、同じ又は異なる周波数において、同じ又は異なる位相において、及び/又は同じ又は異なる波動伝搬モードにおいて、複数の導波208を生成し、受信することができる。位相変調、周波数変調、直交振幅変調、振幅変調、マルチキャリア変調等の変調技法によって、及び周波数分割多重、時分割多重、符号分割多重、異なる波動伝搬モードによる多重化等の複数のアクセス技法によって、及び他の変調又はアクセス方法によって、1つ又は複数の導波208を変調してデータを搬送することができる。
【0041】
ここで図3を参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、誘電体導波路結合システム300の一例の非限定的な実施形態のブロック図が示される。システム300は、誘電体導波路304と、電線302とを備える結合器を実装し、電線302は、電線302の電線表面の周りを導波として伝搬する波306を有する。一例示的な実施形態において、波306は、表面波又は他の電磁波として特徴付けることができる。
【0042】
一例示的な実施形態において、誘電体導波路304は湾曲しているか、又は別の方法で、或る曲率を有し、湾曲した誘電体導波路304の一部が電線302に対して平行又は実質的に平行になるように、電線302の近くに配置することができる。電線と平行である誘電体導波路304の部分は、曲線の頂点とすることができるか、又は曲線の接線が電線302に対して平行である任意の点とすることができる。誘電体導波路304が電線の近くにあるとき、電線302に沿って進行する導波306は、誘電体導波路304に結合することができ、誘電体導波路304の周りを導波308として伝搬することができる。誘電体導波路304に結合しない導波306の部分は、電線302に沿って導波310(例えば、表面波又は他の電磁波)として伝搬する。
【0043】
導波306及び308は、電線302及び誘電体導波路304が曲がり、屈曲しても、それぞれ電線302及び誘電体導波路304に対して平行のままである。曲がりは伝送損失を増加させる可能性があり、その損失は、電線径、周波数及び材料にも依存する。効率的な電力伝達のために誘電体導波路304の寸法が選択される場合には、導波306内のエネルギーの大部分が誘電体導波路304に結合され、導波310内にはほとんど残らない。
【0044】
一例示的な実施形態において、波308を受信するために、導波路304の端部に受信機回路を配置することができる。導波路304に結合する導波308に対して反対方向に進行する導波を受信するために、導波路304の反対端部に終端回路を配置することができる。このようにして、終端回路は、受信機回路によって反射が受信されるのを防ぎ、及び/又は最小化することになる。反射が小さい場合には、終端回路は不要な場合がある。
【0045】
誘電体導波路304は、表面波306の選択された偏波が導波308として誘電体導波路304に結合されるように構成できることに留意されたい。例えば、導波306が、それぞれの偏波を有する導波又は波動伝搬モードから構成される場合には、誘電体導波路304は、選択された偏波(複数の場合もある)の1つ又は複数の導波を受信するように構成することができる。したがって、誘電体導波路304に結合する導波308は、選択された偏波(複数の場合もある)のうちの1つ又は複数に対応する導波の組であり、更なる導波310は、選択された偏波(複数の場合もある)に一致しない導波を含むことができる。
【0046】
誘電体導波路304は、誘電体導波路304が配置された電線302の周囲の角度/回転(結合器の軸周り方位)と、導波の場構造の軸周りパターンとに基づいて、特定の偏波の導波を受信するように構成することができる。例えば、結合器が、水平進入路に沿って導波を給電するように向けられる場合に、かつ導波306が水平偏波である(すなわち、導波の場構造が水平軸上に集中する)場合には、導波306の大部分が波308として誘電体導波路に伝達する。別の例において、誘電体導波路304が電線302の周囲で90度だけ回転する場合には、導波306からのエネルギーの大部分が、導波310として電線に結合されたままになり、わずかな部分のみが波308として電線302に結合することになる。
【0047】
本明細書における図3及び他の図において、3つの円形の記号を用いて波306、308及び310が示されることに留意されたい。これらの記号は、一般的な導波を表すために使用されるが、波306、308及び310が必ず円偏波であるか、又は別の方法で環状に向けられることを意味しない。実際には、波306、308及び310は、場が径方向外向きに延在する基本TEMモードを含むことができ、また、他の非基本(例えば、高次等)モードも含むことができる。これらのモードは、実際には非対称(例えば、径方向、両側、三方、四方等)とすることもできる。
【0048】
電線にわたる導波通信は全二重にし、それにより、両方向における同時通信を可能にすることにも留意されたい。1つの方向に進行する波が、反対方向に進行する波を通り抜けることができる。波に適用されるような重ね合わせの原理に起因して、電磁場が、或る特定の点において、短時間だけ相殺する場合がある。反対方向に進行する波は、他方の波がそこに存在しないかのように伝搬するが、観測者に対する合成効果は静止した定在波パターンになる場合がある。導波が互いを通り抜け、もはや重ね合わせの状態にないとき、干渉が弱まる。導波(例えば、表面波又は他の電磁波)が導波路に結合し、電線から遠ざかるとき、他の導波(例えば、表面波又は他の電磁波)に起因するあらゆる干渉が減少する。一例示的な実施形態において、導波306(例えば、表面波又は他の電磁波)が誘電体導波路304に接近するとき、局所的な干渉を引き起こすことによって、電線302上を左から右に進行する別の導波(例えば、表面波又は他の電磁波)(図示せず)が通過する。導波306が波308として誘電体導波路304に結合し、電線302から遠ざかるとき、通過する導波に起因するあらゆる干渉が弱まる。
【0049】
電磁波306、308及び310のグラフィック表示は、導波306が誘電体導波路304上に波308を誘導するか、又は別の方法で送出する原理を例示するために提示されるにすぎないことに留意されたい。波310は、導波308の生成後に電線302上に残存する導波306の部分を表す。そのような導波伝搬の結果として生成される実際の電場及び磁場は、誘電体導波路の形状及び/又は設計、電線に対する誘電体導波路の相対的位置、利用される周波数、誘電体導波路304の設計、電線302の寸法及び組成、並びに、その表面特性、その任意選択の絶縁、周囲環境の電磁的特性等のうちの1つ又は複数に応じて異なる場合がある。
【0050】
ここで図4を参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、誘電体導波路結合システム400の一例の非限定的な実施形態のブロック図が示される。システム400は、誘電体導波路404の導波路表面の周りを導波として伝搬する波406を有する誘電体導波路404を備える結合器を実装する。一例示的な実施形態において、誘電体導波路404は湾曲し、誘電体導波路404の端部は、電線402につなぐことができるか、固定することができるか、又は別の方法で機械的に結合することができる。誘電体導波路404の端部が電線402に固定されるとき、誘電体導波路404の端部は電線402と平行、又は実質的に平行である。代替的には、固定又は結合された部分が電線402と平行、又は実質的に平行であるように、端部を越えた誘電体導波路の別の部分を電線402に固定又は結合することができる。結合デバイス410は、ナイロンケーブルタイ又は他のタイプの非導電性/誘電体材料とすることができ、誘電体導波路404とは別個であるか、又は誘電体導波路404の一体のコンポーネントとして構成される。他の実施形態において、誘電体導波路404を電線402から機械的に切り離し、結合器と電線402との間に空隙を残すことができる。誘電体導波路404は、電線402を取り囲むことなく、電線402に隣接することができる。
【0051】
誘電体導波路404が、その端部が電線402と平行になるように配置されるとき、誘電体導波路404に沿って進行する導波406は、電線402に結合し、電線402の電線表面の周りを導波408として伝搬する。一例示的な実施形態において、導波408は、表面波又は他の電磁波として特徴付けることができる。
【0052】
波406及び408のグラフィック表示は、波406が、例えば、単線伝送線路として動作する電線402上に導波408を誘導するか、又は別の方法で送出する原理を例示するために提示されるにすぎないことに留意されたい。そのような導波伝搬の結果として生成される実際の電場及び磁場は、誘電体導波路の形状及び/又は設計、電線に対する誘電体導波路の相対的位置、利用される周波数、誘電体導波路404の設計、電線402の寸法及び組成、並びに、その表面特性、その任意選択の絶縁、周囲環境の電磁的特性等のうちの1つ又は複数に応じて異なる場合がある。
【0053】
一例示的な実施形態において、誘電体導波路404の端部は、結合効率を高めるために電線402に向かって先細りにする(taper)ことができる。実際には、本開示の一例示的な実施形態によれば、誘電体導波路404の端部のテーパー処理は、電線402とのインピーダンス整合を与えることができる。例えば、誘電体導波路404の端部は、図4に示されるような波406と408との間の所望の結合レベルを得るために、徐々に先細りにすることができる。
【0054】
一例示的な実施形態において、結合デバイス410は、結合デバイス410と誘電体導波路404の端部との間に短い長さの誘電体導波路404が存在するように配置することができる。どの周波数が送信されている場合でも、結合デバイス410を越えている誘電体導波路404の端部の長さが、少なくとも数波長分であるときに、最大結合効率が実現される。しかしながら、より短い長さも可能である。
【0055】
ここで図5を参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、誘電体導波路結合器及び送受信機システム500(本明細書において、まとめてシステム500と呼ばれる)の一例の非限定的な実施形態のブロック図が示される。システム500は、波(例えば、誘電体導波路502上の導波504)を送出及び受信する送信機/受信機デバイス506を備える結合器を有する送信デバイスを実装する。導波504を用いて、通信インターフェース501によって、基地局デバイス508、モバイルデバイス522又は建物524に対して送受信される信号をトランスポートすることができる。通信インターフェース501は、システム500の一体部分とすることができる。代替的には、通信インターフェース501は、システム500にテザリングすることができる。通信インターフェース501は、種々のワイヤレスシグナリングプロトコル(例えば、LTE、WiFi、WiMAX等)のいずれかを利用して、基地局508、モバイルデバイス522又は建物524とのインターフェースを構成するためのワイヤレスインターフェースを備えることができる。また、通信インターフェース501は、光ファイバー線、同軸ケーブル、ツイストペアケーブル、又は基地局508若しくは建物524に信号を送信するのに適した他の有線媒体等の有線インターフェースを備えることもできる。システム500がリピーターとして機能する実施形態の場合、通信インターフェース501は不要な場合がある。
【0056】
通信インターフェース501の出力信号(例えば、Tx)は、周波数混合器510において局部発振器512によって生成されたミリメートル波搬送波と合成することができる。周波数混合器510は、ヘテロダイン技法又は他の周波数シフト技法を用いて、通信インターフェース501からの出力信号を周波数シフトすることができる。例えば、通信インターフェース501に、及び通信インターフェース501から送信される信号は、ロングタームエボリューション(LTE)ワイヤレスプロトコル若しくは他のワイヤレス3G、4G、5G若しくはより高次の音声及びデータプロトコル、Zigbee、WIMAX、超広帯域若しくはIEEE802.11ワイヤレスプロトコル、又は他のワイヤレスプロトコルに従ってフォーマットされた直交周波数分割多重(OFDM)信号等の被変調信号とすることができる。一例示的な実施形態において、この周波数変換はアナログ領域において行うことができ、結果として、周波数シフトは、基地局508、モバイルデバイス522又は建物内デバイス524が使用する通信プロトコルのタイプを考慮することなく行うことができる。新たな通信技術が開発されるにつれて、通信インターフェース501は、アップグレード又は交換することができるが、周波数シフト及び伝送装置はそのままであり、アップグレードを簡単にすることができる。その後、搬送波は電力増幅器(「PA」)514に送ることができ、ダイプレクサ516を経由して、送信機受信機デバイス506を介して送信することができる。
【0057】
送信機/受信機デバイス506から受信され、通信インターフェース501に向けられる信号は、ダイプレクサ516を介して他の信号から分離することができる。その後、その伝送は増幅するために低雑音増幅器(「LNA」)518に送ることができる。周波数混合器520が、局部発振器512からの助けを借りて、その伝送(それは幾つかの実施形態において、ミリメートル波帯又は約38GHzにある)を本来の周波数まで下方にシフトすることができる。その後、通信インターフェース501は、入力ポート(Rx)において、その伝送を受信することができる。
【0058】
一実施形態において、送信機/受信機デバイス506は、円筒形若しくは非円筒形の金属(例えば、一実施形態において中空とすることができるが、必ずしも縮尺どおりに描かれていない)、又は他の導電性若しくは非導電性導波路を含むことができ、誘電体導波路502の端部を導波路若しくは送信機/受信機デバイス506内に、又は導波路若しくは送信機/受信機デバイス506に近接して配置し、それにより、送信機/受信機デバイス506が伝送を生成するときに、導波が誘電体導波路502に結合し、導波504として誘電体導波路502の導波路表面の周りを伝搬するようにすることができる。幾つかの実施形態において、導波504は、一部は誘電体導波路502の外面上を、一部は誘電体導波路502の内部を伝搬することができる。他の実施形態において、導波504は、誘電体導波路502の外面上を実質的に又は完全に伝搬することができる。更に別の実施形態において、導波504は、誘電体導波路502の内部を実質的に又は完全に伝搬することができる。この後者の実施形態において、導波504は、図4の電線402等の伝送媒体に結合するために、誘電体導波路502の端部(図4に示される先細りの端部等)において放射することができる。同様に、導波504が到来しつつある(電線から誘電体導波路502に結合される)場合には、導波504は送信機/受信機デバイス506に入り、円筒形導波路又は導電性導波路に結合する。送信機/受信機デバイス506は、別個の導波路を含むように示されるが、別個の導波路を用いることなく、アンテナ、空洞共振器、クライストロン、マグネトロン、進行波管又は他の放射素子を利用して、導波路502上に導波を誘導することができる。
【0059】
一実施形態において、誘電体導波路502は、いかなる金属又はそれ以外の導電性材料を使用することなく、完全に誘電体材料(又は別の適切な絶縁材料)から構成することができる。誘電体導波路502は、ナイロン、テフロン、ポリエチレン、ポリアミド、他のプラスチック、又は非導電性であり、そのような材料の外面上の少なくとも一部において電磁波の伝送を容易にするのに適している他の材料から構成することができる。別の実施形態において、誘電体導波路502は、導電性/金属製であるコアを含み、外側誘電体表面を有することができる。同様に、誘電体導波路502によって誘導された電磁波を伝搬させるために、又は誘電体導波路502に電磁波を供給するために誘電体導波路502に結合する伝送媒体は、いかなる金属又はそれ以外の導電性材料も使用することなく、完全に誘電体材料(又は別の適切な絶縁材料)から構成することができる。
【0060】
図5は、送信機/受信機デバイス506の開口部が誘電体導波路502よりはるかに広いことを示すが、これは縮尺どおりでないこと、そして、他の実施形態において誘電体導波路502の幅は、中空の導波路の開口部と同程度であるか、又はわずかに小さいことに留意されたい。また、図示されないが、一実施形態において、送信機/受信機デバイス506の中に挿入される導波路502の端部は、反射を少なくし、結合効率を高めるために、先細りになる。
【0061】
送信機/受信機デバイス506は、通信インターフェース501に通信可能に結合することができ、代替的には、送信機/受信機デバイス506は、図1に示される1つ又は複数の分散アンテナ112及び114に通信可能に結合することもできる。他の実施形態において、送信機/受信機デバイス506は、バックホールネットワークのためのリピーターシステムの一部を構成することができる。
【0062】
誘電体導波路502に結合する前に、送信機/受信機デバイス506によって生成された導波の1つ又は複数の導波路モードは、誘電体導波路502に結合し、導波504の1つ又は複数の波動伝搬モードを誘導することができる。導波504の波動伝搬モードは、中空の金属導波路と誘電体導波路との特性の違いに起因して、中空の金属導波路モードとは異なる可能性がある。例えば、導波504の波動伝搬モードは、基本横電磁モード(擬似TEM00)を含むことができ、そのモードでは、導波が誘電体導波路502に沿って伝搬する間に、わずかな電場及び/又は磁場のみが伝搬方向に延在し、電場及び磁場が誘電体導波路502から径方向外向きに延在する。基本横電磁モード波動伝搬モードは、中空である導波路内部には存在しない場合がある。それゆえ、送信機/受信機デバイス506によって使用される中空の金属導波路モードは、誘電体導波路502の波動伝搬モードに実効的、かつ効率的に結合することができる導波路モードである。
【0063】
ここで図6を参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、二重誘電体導波路結合システム600の一例の非限定的な実施形態のブロック図が示される。一例示的な実施形態において、導波608を受信するために、2つ以上の誘電体導波路(例えば、604及び606)を電線602の周囲に位置決めした結合器モジュールが示される。一例示的な実施形態において、導波608は、表面波又は他の電磁波として特徴付けることができる。一例示的な実施形態において、導波608を受信するのに、1つの誘電体導波路で十分である。その場合、導波608は誘電体導波路604に結合し、導波610として伝搬する。導波608の場構造が種々の外部要因に起因して電線602の周囲で振動又は波動する場合には、導波608が誘電体導波路606に結合するように誘電体導波路606を配置することができる。幾つかの実施形態において、電線602の周囲で振動又は回転する場合がある導波、異なる軸周り方位において誘導された導波、又は、例えば、方位に依存するローブ及び/又はヌル若しくは他の非対称性を有する非基本モード若しくはより高次のモードを有する導波を受信するために、4つ以上の誘電体導波路を、電線602の一部の周囲に、例えば、互いに90度に、又は別の間隔で配置することができる。しかしながら、例示的な実施形態から逸脱することなく、電線602の一部の周囲に4つより少ないか、又は4つより多くの誘電体導波路が配置される場合があることは理解されよう。また、幾つかの例示的な実施形態は、電線602の少なくとも一部の周囲に複数の誘電体導波路を提示してきたが、この複数の誘電体導波路は、複数の誘電体導波路サブコンポーネントを有する単一の誘電体導波路システムの一部と見なすこともできることも理解されよう。例えば、2つ以上の誘電体導波路を、一度の設置において電線の周囲に設置することができる単一のシステムとして製造して、それにより、誘電体導波路が、単一のシステムに従って、あらかじめ位置決めされるか、又は互いに対して調整可能(手動又は自動のいずれか)であるようにすることができる。誘電体導波路606及び604に結合される受信機は、信号品質を最大化するために、ダイバーシティ合成を用いて、両方の誘電体導波路606及び604から受信された信号を合成することができる。他の実施形態において、誘電体導波路604及び606のいずれか一方が所定の閾値より高い伝送を受信する場合には、受信機は、どちらの信号を使用するかを決定するときに、選択ダイバーシティを使用することができる。
【0064】
波608及び610のグラフィック表示は、導波608が誘電体導波路604上に波610を誘導するか、又は別の方法で送出する原理を例示するために提示されるにすぎないことに留意されたい。そのような波動伝搬の結果として生成される実際の電場及び磁場は、利用される周波数、誘電体導波路604の設計、電線602の寸法及び組成、並びに、その表面特性、その任意選択の絶縁、周囲環境の電磁的特性等に応じて異なる場合がある。
【0065】
ここで図7を参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、双方向誘電体導波路結合システム700の一例の非限定的な実施形態のブロック図が示される。そのようなシステム700は、2つの誘電体導波路704及び714を備える結合モジュールを有する送信デバイスを実装する。結合モジュールは、電線702の近くに配置して、それにより、電線702に沿って伝搬する導波(例えば、表面波又は他の電磁波)が波706として誘電体導波路704に結合され、その後、リピーターデバイス710によって昇圧又は再現されて、導波716として誘電体導波路714上に送出されるようにすることができる。導波716は、その後、電線702に結合し、電線702に沿って伝搬し続けることができる。一例示的な実施形態において、リピーターデバイス710は、電力線とすることができる電線702との磁気結合を通して、昇圧又は再現するために利用される電力の少なくとも一部を受信することができる。
【0066】
幾つかの実施形態において、リピーターデバイス710は、波706に関連付けられる伝送を再現することができ、他の実施形態において、リピーターデバイス710は、リピーターデバイス710付近に位置する分散アンテナシステム及び/又は基地局デバイスに関連付けることができる。受信機導波路708が、誘電体導波路704から波706を受信し、送信機導波路712は、誘電体導波路714上に導波716を送出することができる。受信機導波路708と送信機導波路712との間において、信号を増幅して、信号損失及び導波通信に関連付けられる他の非効率を補正することができるか、又は信号を受信し、そこに含まれるデータを抽出するために処理し、送信するために再生することができる。一例示的な実施形態において、信号は、伝送から抽出して処理することができ、その後、別の方法で、リピーターデバイス710に通信可能に結合される分散アンテナを介して近隣のモバイルデバイスに放射することができる。同様に、分散アンテナによって受信された信号及び/又は通信を、送信機導波路712によって生成され、誘電体導波路714上に送出される伝送の中に挿入することができる。したがって、図7に示されるリピーターシステム700は、図1の誘電体導波路結合デバイス108及び110と機能的に同等とすることができる。
【0067】
図7は、左から入る導波伝送706及び右に出る導波伝送716を示すが、これは簡単にするためにすぎず、限定することは意図していないことに留意されたい。他の実施形態において、受信機導波路708及び送信機導波路712はそれぞれ、送信機及び受信機としての役割も果たすことができ、それにより、リピーターデバイス710を双方向にできるようにする。
【0068】
一例示的な実施形態において、リピーターデバイス710は、電線702上に断絶又は障害物が存在する場所に配置することができる。これらの障害物は、変圧器、接続、電柱及び他のそのような電力線デバイスを含むことができる。リピーターデバイス710は、導波(例えば、表面波)が線路上のこれらの障害物を飛び越え、同時に伝送電力を昇圧するのを助けることができる。他の実施形態において、誘電体導波路を用いて、リピーターデバイスを使用することなく、障害物を飛び越えることができる。その実施形態において、誘電体導波路の両端を電線につなぐか、又は固定して、それにより、導波が障害物によって阻止されることなく進行するための経路を与えることができる。
【0069】
ここで図8を参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、双方向誘電体導波路検出器800の一例の非限定的な実施形態のブロック図が示される。双方向誘電体導波路結合器800は、2つ以上の電線が電柱に張り渡される場合に、ダイバーシティパスを利用することができる結合モジュールを有する送信デバイスを実装する。導波伝送は、天候、降雨及び大気条件に基づいて、絶縁電線及び非絶縁電線の場合に異なる伝送効率及び結合効率を有するので、或る特定の時点において絶縁電線又は非絶縁電線のいずれかにおいて選択的に伝送することが有利である可能性がある。
【0070】
図8に示される実施形態において、リピーターデバイスは、非絶縁電線802に沿って進行する導波を受信する受信機導波路808を使用し、その伝送を、送信機導波路810を用いて、絶縁電線804に沿った導波として再現する。他の実施形態において、リピーターデバイスは、絶縁電線804から非絶縁電線802に切り替えることができるか、又はその伝送を同じ経路に沿って再現することができる。リピーターデバイス806は、伝送に影響を及ぼす可能性がある条件を示すセンサーを含むか、又はそのようなセンサーと通信することができる。センサーから受信されるフィードバックに基づいて、リピーターデバイス806は、その伝送を同じ電線に沿って維持するか、その伝送を他の電線に転送するかについての判断を行うことができる。
【0071】
ここで図9を参照すると、双方向リピーターシステム900の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図が示される。双方向リピーターシステム900は、分散アンテナシステム又はバックホールシステム内に位置する他の結合デバイスからの伝送を受信し、送信する導波路結合デバイス902及び904を備える結合モジュールを有する送信デバイスを実装する。
【0072】
種々の実施形態において、導波路結合デバイス902は、別の導波路結合デバイスから伝送を受信することができ、その伝送は複数の副搬送波を有する。ダイプレクサ906が他の伝送からその伝送を、例えばフィルタリング(filtration)によって分離し、その伝送を低雑音増幅器(「LNA」)908に送ることができる。周波数混合器928が、局部発振器912の助けを借りて、その伝送(それは幾つかの実施形態において、ミリメートル波帯又は約38GHzにある)をより低い周波数、すなわち、分散アンテナシステムの場合のセルラー帯(約1.9GHz)か、本来の周波数か、又はバックホールシステムの場合の他の周波数まで下方にシフトすることができる。抽出器932が、アンテナ又は他の出力コンポーネント922に対応する副搬送波上の信号を抽出し、その信号を出力コンポーネント922に送ることができる。このアンテナ位置において抽出されていない信号の場合、抽出器932は、それらの信号を別の周波数混合器936にリダイレクトすることができ、別の周波数混合器において、それらの信号を用いて、局部発振器914によって生成された搬送波を変調する。搬送波は、その副搬送波とともに、電力増幅器(「PA」)916に送られ、ダイプレクサ920を介して、導波路結合デバイス904によって別のリピーターシステムに再送される。
【0073】
出力デバイス922において、PA924は、モバイルデバイスに送信するために信号を昇圧することができる。LNA926を用いて、モバイルデバイスから受信された弱い信号を増幅することができ、その後、その信号をマルチプレクサ934に送ることができ、マルチプレクサ934は、その信号を、導波路結合デバイス904から受信されていた信号と融合させる。出力デバイス922は、例えば、具体的には図示されないダイプレクサ、デュプレクサ又は送受信スイッチを介して、分散アンテナシステム内のアンテナ又は他のアンテナに結合することができる。結合デバイス904から受信された信号は、ダイプレクサ920によって分割されており、その後、LNA918に通され、周波数混合器938によって周波数に関して下方にシフトされている。信号がマルチプレクサ934によって合成されるとき、それらの信号は周波数混合器930によって周波数に関して上方にシフトされ、その後、PA910によって昇圧され、送出器に返送されるか、又は導波路結合デバイス902によって別のリピーターに送信される。一例示的な実施形態において、双方向リピーターシステム900は、アンテナ/出力デバイス922を備えない単なるリピーターとすることができる。幾つかの実施形態において、双方向リピーターシステム900は、2つの異なる別々の一方向リピーターを用いて実現することもできることは理解されよう。代替の実施形態において、双方向リピーターシステム900はブースターとすることもできるか、又は別の方法で下方シフト及び上方シフトを行うことなく再送を実行することもできる。実際には、例示的な実施形態において、再送は、信号又は導波を受信することと、信号又は導波の再送前に、幾つかの信号又は導波処理又は整形、フィルタリング及び/又は増幅を実行することとに基づくことができる。
【0074】
図10は、上記のシステムに関連するプロセスを示す。図10のプロセスは、例えば、図1図9にそれぞれ示されるシステム100、200、300、400、500、600、700、800及び900によって実施することができる。説明を簡単にするために、それらの方法は、一連のブロックとして図示及び説明されるが、幾つかのブロックは、本明細書において図示及び説明されるのとは異なる順序において、及び/又は他のブロックと同時に行わる場合があるので、特許請求される主題はブロックの順序によって制限されないことを理解及び認識されたい。さらに、これ以降に説明される方法を実施するために、全ての例示されるブロックが必要であるとは限らない場合がある。
【0075】
図10は、本明細書において説明されるような誘電体導波路結合器を用いて伝送を送信するための方法の一例の非限定的な実施形態の流れ図を示す。方法1000は1002において開始することができ、1002において、導波路の導波路表面上を少なくとも部分的に伝搬する第1の電磁波が送信デバイスによって放射され、導波路の導波路表面は、電線の電線表面の全体又は実質的な部分を取り囲まない。送信機によって生成される伝送は、基地局デバイス、アクセスポイント、ネットワーク又はモバイルデバイスから受信された信号に基づくことができる。
【0076】
1004において、電線に近接して導波路を構成することに基づいて、導波は、その後、第1の電磁波の少なくとも一部を電線表面に結合し、電線表面の周囲を少なくとも部分的に伝搬する第2の電磁波(例えば、表面波)を形成し、電線は導波路に近接している。これは、電線付近に、かつ電線に対して平行に誘電体導波路の一部(例えば、誘電体導波路の曲線の接線)を位置決めするのに応答して行うことができ、電磁波の波長は、電線の外周及び誘電体導波路の外周より短い。導波又は表面波は、電線が曲がり、屈曲しても、電線に対して平行のままである。曲がりは伝送損失を増加させる可能性があり、その損失は、電線径、周波数及び材料にも依存する。本明細書において説明されるように、所望の結合レベルを達成するように、電線と導波路との間の結合インターフェースを構成することもでき、結合インターフェースは、導波路と電線との間のインピーダンス整合を改善するために、導波路の端部を先細りにすることを含むことができる。
【0077】
送信機によって放射される伝送は、1つ又は複数の導波路モードを示すことができる。導波路モードは、導波路の形状及び/又は設計に依存することができる。電線上の伝搬モードは、導波路と電線との特性の違いに起因して、導波路モードとは異なる可能性がある。電線の外周が、伝送の波長のサイズと同程度であるか、又はそれより大きいとき、導波は複数の波動伝搬モードを示す。それゆえ、導波は、2つ以上のタイプの電場及び磁場構成を含むことができる。導波(例えば、表面波)が電線を下流に伝搬するとき、電場及び磁場構成は電線の端部間で実質的に同じままである場合があるか、又は回転、分散、減衰又は他の影響によって伝送が電線を横断するにつれて変化する場合がある。
【0078】
ここで図11を参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、コンピューティング環境のブロック図が示される。本明細書において説明される種々の実施形態に関して更なる状況を与えるために、図11及び以下の検討は、本明細書において説明される実施形態の種々の実施形態を実施することができる適切なコンピューティング環境1100の簡潔で全般的な説明を提供することを意図している。実施形態が1つ又は複数のコンピュータ上で実行することができるコンピュータ実行可能命令の一般的状況においてこれまで説明されてきたが、それらの実施形態を他のプログラムモジュールと組み合わせて、及び/又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実施することもできることは、当業者は認識されよう。
【0079】
一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造等を含む。さらに、本発明の方法を、それぞれが1つ又は複数の関連するデバイスに動作可能に結合することができる、シングルプロセッサ若しくはマルチプロセッサコンピュータシステム、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ及びパーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピューティングデバイス、マイクロプロセッサに基づくか、若しくはプログラム可能な家庭用電化製品等を含む、他のコンピュータシステム構成とともに実施できることは、当業者は理解されよう。
【0080】
「第1の」、「第2の」、「第3の」等の用語は、特許請求の範囲において用いられるときに、文脈によって他に明記される場合を除いて、明確にすることのみを目的としており、他の点では時間に関するいかなる順序も示さず、暗示もしない。例えば、「第1の判断」、「第2の判断」及び「第3の判断」は、第1の判断が第2の判断の前に行われることを示すものでも暗示するものでもなく、その逆も同様である。
【0081】
本明細書における実施形態の例示される実施形態は、或る特定のタスクが通信ネットワークを通してリンクされる遠隔処理デバイスによって実行される分散コンピューティング環境において実施することもできる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールをローカルメモリ記憶デバイス及びリモートメモリ記憶デバイス内の両方に配置することができる。
【0082】
コンピューティングデバイスは通常、種々の媒体を含み、それらの媒体はコンピュータ可読記憶媒体及び/又は通信媒体を含むことができ、その2つの用語は、以下のように、本明細書において互いに異なるように使用される。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセスすることができる任意の入手可能な記憶媒体とすることができ、揮発性及び不揮発性媒体、リムーバブル及び非リムーバブル媒体の両方を含む。例であって、限定はしないが、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読命令、プログラムモジュール、構造化データ又は非構造化データ等の情報を記憶するための任意の方法又は技術に関連して実現することができる。
【0083】
コンピュータ可読記憶媒体は、限定はしないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は所望の情報を記憶するために用いることができる他の有形及び/又は非一時的媒体を含むことができる。この関連で、記憶装置、メモリ又はコンピュータ可読媒体に適用されるような、本明細書における「有形」又は「非一時的」という用語は、修飾語(modifier)として、一時的な伝搬信号それ自体のみを除外するものと理解されるべきであり、一時的な伝搬信号それ自体のみでない全ての標準的な記憶装置、メモリ又はコンピュータ可読媒体に対する権利を放棄しない。
【0084】
コンピュータ可読記憶媒体は、媒体によって記憶される情報に関する種々の動作のために、例えば、アクセス要求、問い合わせ又は他のデータ検索プロトコルを介して、1つ又は複数のローカル若しくはリモートコンピューティングデバイスによってアクセスすることができる。
【0085】
通信媒体は通常、被変調データ信号、例えば、搬送波又は他の搬送機構等のデータ信号において、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他の構造化若しくは非構造化データを具現し、任意の情報送達又は搬送媒体を含む。「被変調データ信号」又は信号という用語は、1つ又は複数の信号内に情報を符号化するように設定又は変更される特性のうちの1つ又は複数を有する信号を指している。例であって、限定はしないが、通信媒体は、有線ネットワーク又は直結される接続等の有線媒体、及び音響、RF、赤外線及び他のワイヤレス媒体等のワイヤレス媒体を含む。
【0086】
図11を再び参照すると、基地局(例えば、基地局デバイス104及び508)及びリピーターデバイス(例えば、リピーターデバイス710、806及び900)を介して信号を送信及び受信するための例示的な環境1100は、コンピュータ1102を備え、コンピュータ1102は、処理ユニット1104、システムメモリ1106及びシステムバス1108を備える。システムバス1108は、限定はしないが、システムメモリ1106を含むシステムコンポーネントを処理ユニット1104に結合する。処理ユニット1104は種々の市販のプロセッサのうちのいずれかとすることができる。処理ユニット1104として、デュアルマイクロプロセッサ及び他のマルチプロセッサアーキテクチャも利用することができる。
【0087】
システムバス1108は、種々の市販のバスアーキテクチャのいずれかを用いて、メモリバス(メモリコントローラを備えるか、又は備えない)、周辺機器用バス及びローカルバスに更に相互接続することができる幾つかのタイプのバス構造のいずれかとすることができる。システムメモリ1106は、ROM1110及びRAM1112を含む。ROM、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、EEPROM等の不揮発性メモリ内に基本入出力システム(BIOS)を記憶することができ、BIOSは、起動中等に、コンピュータ1102内の要素間で情報を転送するのを助ける基本ルーチンを含む。RAM1112は、データをキャッシュするためのスタティックRAM等の高速RAMも含むことができる。
【0088】
コンピュータ1102は、適切なシャーシ(図示せず)において外部で使用するように構成することもできる内部ハードディスクドライブ(HDD)1114(例えば、EIDE、SATA)と、磁気フロッピーディスクドライブ(FDD)1116(例えば、リムーバブルディスケット1118に対する読出し又は書込み用)と、光ディスクドライブ1120(例えば、CD−ROMディスク1122の読出し、又はDVDのような他の大容量光学媒体に対する読出し若しくは書込み用)とを更に含む。ハードディスクドライブ1114、磁気ディスクドライブ1116及び光ディスクドライブ1120はそれぞれ、ハードディスクドライブインターフェース1124、磁気ディスクドライブインターフェース1126及び光ドライブインターフェース1128によって、システムバス1108に接続することができる。外部ドライブを実現するためのインターフェース1124は、ユニバーサルシリアルバス(USB)及び米国電気技術者協会(IEEE)1394インターフェース技術のうちの少なくとも一方又は両方を含む。他の外部ドライブ接続技術も本明細書において説明される実施形態の考慮の範囲内にある。
【0089】
ドライブ及びその関連するコンピュータ可読記憶媒体は、データ、データ構造、コンピュータ実行可能命令等の不揮発性記憶を提供する。コンピュータ1102の場合、ドライブ及び記憶媒体は、適切なデジタルフォーマットにおいて任意のデータの記憶に対応する。上記のコンピュータ可読記憶媒体の説明はハードディスクドライブ(HDD)、リムーバブル磁気ディスケット、及びCD又はDVD等のリムーバブル光媒体を参照するが、ジップドライブ、磁気カセット、フラッシュメモリカード、カートリッジ等の、コンピュータによって読出し可能である他のタイプの記憶媒体も例示的な動作環境において使用できること、更に任意のそのような記憶媒体が、本明細書において説明される方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むことができることは、当業者には理解されたい。
【0090】
ドライブ及びRAM1112内に、オペレーティングシステム1130、1つ又は複数のアプリケーションプログラム1132、他のプログラムモジュール1134及びプログラムデータ1136を含む、複数のプログラムモジュールを記憶することができる。オペレーティングシステム、アプリケーション、モジュール及び/又はデータの全て又は一部をRAM1112にキャッシュすることもできる。本明細書において説明されるシステム及び方法は、種々の市販のオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせを利用して実施することができる。処理ユニット1104によって実施することができるか、又は別の方法で実行することができるアプリケーションプログラム1132の例は、リピーターデバイス806によって実行されるダイバーシティ選択決定を含む。また、図5に示される基地局デバイス508は、メモリ上に、この例示的なコンピューティング環境1100において処理ユニット1104によって実行することができる数多くのアプリケーション及びプログラムを記憶している。
【0091】
ユーザーは、1つ又は複数の有線/ワイヤレス入力デバイス、例えば、キーボード1138及びマウス1140等のポインティングデバイスを通して、コンピュータ1102にコマンド及び情報を入力することができる。他の入力デバイス(図示せず)は、マイクロフォン、赤外線(IR)遠隔制御、ジョイスティック、ゲームパッド、スタイラスペン、タッチスクリーン等を含むことができる。これらの入力デバイス及び他の入力デバイスは、多くの場合に、システムバス1108に結合することができる入力デバイスインターフェース1142を通して処理ユニット1104に接続されるが、パラレルポート、IEEE1394シリアルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IRインターフェース等の他のインターフェースによって接続することもできる。
【0092】
モニタ1144又は他のタイプのディスプレイデバイスも、ビデオアダプタ1146等のインターフェースを介して、システムバス1108に接続することができる。また、代替の実施形態において、モニタ1144は、インターネット及びクラウドベースネットワーク経由を含む、任意の通信手段を経由してコンピュータ1102に関連付けられる表示情報を受信するための任意のディスプレイデバイス(例えば、ディスプレイを有する別のコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ等)とすることもできることは理解されよう。モニタ1144に加えて、コンピュータは通常、スピーカー、プリンタ等の他の周辺出力デバイス(図示せず)を含む。
【0093】
コンピュータ1102は、リモートコンピュータ(複数の場合もある)1148等の1つ又は複数のリモートコンピュータとの有線及び/又はワイヤレス通信を介しての論理接続を用いてネットワーク化された環境において動作することができる。リモートコンピュータ(複数の場合もある)1148は、ワークステーション、サーバコンピュータ、ルーター、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、マイクロプロセッサ内蔵娯楽機器、ピアデバイス又は他の共通ネットワークノードとすることができ、通常、コンピュータ1102に関して説明される要素の多く又は全てを含むが、簡潔にするために、1つのメモリ/記憶デバイス1150のみが示される。図示される論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)1152及び/又はより大きなネットワーク、例えば、ワイドエリアネットワーク(WAN)1154への有線/ワイヤレス接続を含む。そのようなLAN及びWANネットワーク化環境はオフィス及び企業では一般的であり、その全てがグローバル通信ネットワーク、例えば、インターネットに接続することができるイントラネット等の企業規模のコンピュータネットワークを容易にする。
【0094】
LANネットワーク化環境において用いられるときに、コンピュータ1102は、有線及び/又はワイヤレス通信ネットワークインターフェース又はアダプタ1156を通して、ローカルネットワーク1152に接続することができる。アダプタ1156は、LAN1152との有線又はワイヤレス通信を容易にすることができ、LANは、そこに配置され、無線アダプタ1156と通信するためのワイヤレスAPも含むことができる。
【0095】
WANネットワーク化環境において用いられるときに、コンピュータ1102は、モデム1158を含むことができるか、WAN1154上の通信サーバに接続することができるか、又は例えばインターネットによって、WAN1154を介して通信を確立するための他の手段を有する。モデム1158は、内部又は外部、及び有線又はワイヤレスデバイスとすることができ、入力デバイスインターフェース1142を介して、システムバス1108に接続することができる。ネットワーク化された環境では、コンピュータ1102に関して図示されるプログラムモジュール又はその一部は、リモートメモリ/記憶デバイス1150に記憶することができる。図示されるネットワーク接続は例であり、コンピュータ間に通信リンクを確立する他の手段を用いることができることは理解されよう。
【0096】
コンピュータ1102は、ワイヤレス通信において動作可能に配置される任意のワイヤレスデバイス又はエンティティ、例えば、プリンタ、スキャナ、デスクトップ及び/又はポータブルコンピュータ、ポータブルデータアシスタント、通信衛星、ワイヤレスで検出可能なタグに関連付けられる機器又は場所(例えば、キオスク、ニューススタンド、化粧室)の任意の部分、及び電話と通信するように動作可能にすることができる。これは、ワイヤレスフィデリティ(Wi−Fi)及びBLUETOOTH(登録商標)ワイヤレス技術を含むことができる。このようにして、通信は、従来のネットワーク、又は単に少なくとも2つのデバイス間のアドホック通信の場合のような規定された構造とすることができる。
【0097】
Wi−Fiによって、自宅の長椅子から、ホテルの部屋のベッドから、又は仕事中に会議室から、ワイヤレスでインターネットに接続できるようになる。Wi−Fiは携帯電話において使用されるのに類似のワイヤレス技術であり、それにより、そのようなデバイス、例えば、コンピュータが、基地局の範囲内の屋内外いずれの場所にもデータを送信及び受信できるようになる。Wi−Fiネットワークは、安全で、信頼性があり、高速のワイヤレス接続性を提供するために、IEEE802.11(a、b、g、n、ac等)と呼ばれる無線技術を使用する。Wi−Fiネットワークを用いて、コンピュータを互いに、インターネットに、そして有線ネットワーク(IEEE802.3又はイーサネットを使用することができる)に接続することができる。Wi−Fiネットワークは、例えば、免許不要2.4GHz及び5GHz無線帯域において動作するか、又は両方の帯域(デュアルバンド)を含む製品を用いて動作するので、ネットワークは、多くのオフィスにおいて使用される基本10BaseT有線イーサネットネットワークに類似の実世界性能を提供することができる。
【0098】
図12は、本明細書において説明される開示される主題の1つ又は複数の態様を実施し、利用することができるモバイルネットワークプラットフォーム1210の一例示的な実施形態1200を提示する。1つ又は複数の実施形態において、モバイルネットワークプラットフォーム1210は、開示される主題に関連付けられる、基地局(例えば、基地局デバイス104及び508)及びリピーターデバイス(例えば、リピーターデバイス710、806及び900)によって送信及び受信される信号を生成し、受信することができる。一般に、ワイヤレスネットワークプラットフォーム1210は、パケット交換(PS)トラフィック(例えば、インターネットプロトコル(IP)、フレームリレー、非同期転送モード(ATM))及び回線交換(CS)トラフィック(例えば、音声及びデータ)の両方、並びにネットワーク化されたワイヤレス電気通信のための制御生成を容易にするコンポーネント、例えば、ノード、ゲートウェイ、インターフェース、サーバ又は異種プラットフォームを備えることができる。非限定的な例として、ワイヤレスネットワークプラットフォーム1210は、電気通信キャリアネットワーク内に含めることが可能であり、本明細書の他の場所で論じられたように、キャリア側コンポーネントと見なすことができる。モバイルネットワークプラットフォーム1210は、電話網(複数の場合もある)1240(例えば、公衆交換電話網(PSTN)、又は公衆陸上移動ネットワーク(PLMN))、又はシグナリングシステム#7(SS7)ネットワーク1260のような、レガシーネットワークから受信されるCSトラフィックとのインターフェースを有することができるCSゲートウェイノード(複数の場合もある)1212を備える。回線交換ゲートウェイノード(複数の場合もある)1212は、そのようなネットワークから生じるトラフィック(例えば、音声)を許可し、認証することができる。さらに、CSゲートウェイノード(複数の場合もある)1212は、SS7ネットワーク1260を通して生成されるモビリティデータ又はローミングデータ、例えば、メモリ1230内に存在することができるビジターロケーションレジスタ(VLR)に記憶されるモビリティデータにアクセスすることができる。さらに、CSゲートウェイノード(複数の場合もある)1212は、CSベーストラフィック及びシグナリング並びにPSゲートウェイノード(複数の場合もある)1218とのインターフェースを有する。一例として、3GPP UMTSネットワークにおいて、CSゲートウェイノード(複数の場合もある)1212は、ゲートウェイGPRSサポートノード(複数の場合もある)(GGSN)において少なくとも部分的に実現することができる。CSゲートウェイノード(複数の場合もある)1212、PSゲートウェイノード(複数の場合もある)1218及びサービングノード(複数の場合もある)1216の機能及び特定の動作は、電気通信のためにモバイルネットワークプラットフォーム1210によって利用される無線技術(複数の場合もある)によって提供され、決定されることは理解されたい。
【0099】
CS交換トラフィック及びシグナリングを受信及び処理することに加えて、PSゲートウェイノード(複数の場合もある)1218は、サービングされるモバイルデバイスとのPSベースデータセッションを許可し、認証することができる。データセッションは、ワイドエリアネットワーク(複数の場合もある)(WAN)1250、企業ネットワーク(複数の場合もある)1270及びサービスネットワーク(複数の場合もある)1280のようなワイヤレスネットワークプラットフォーム1210の外部にあるネットワークと交換されるトラフィック又はコンテンツ(複数の場合もある)を含むことができ、それらはローカルエリアネットワーク(複数の場合もある)(LAN)において具現することができ、PSゲートウェイノード(複数の場合もある)1218を通してモバイルネットワークプラットフォーム1210とインターフェース接続することもできる。WAN1250及び企業ネットワーク(複数の場合もある)1270は、IPマルチメディアサブシステム(IMS)のようなサービスネットワーク(複数の場合もある)を少なくとも部分的に具現できることに留意されたい。技術リソース(複数の場合もある)において利用可能な無線技術レイヤ(複数の場合もある)に基づいて、パケット交換ゲートウェイノード(複数の場合もある)1218は、データセッションが確立されるときに、パケットデータプロトコルコンテキストを生成することができ、パケット化されたデータをルーティングするのを容易にする他のデータ構造も生成することができる。そのために、一態様において、PSゲートウェイノード(複数の場合もある)1218は、Wi−Fiネットワークのような異種ワイヤレスネットワーク(複数の場合もある)とのパケット化された通信を容易にすることができるトンネルインターフェース(例えば、3GPP UMTSネットワーク(複数の場合もある)(図示せず)におけるトンネル終端ゲートウェイ(TTG))を備えることができる。
【0100】
実施形態1200において、ワイヤレスネットワークプラットフォーム1210は、サービングノード(複数の場合もある)1216も備え、サービングノードは、技術リソース(複数の場合もある)内の利用可能な無線技術レイヤ(複数の場合もある)に基づいて、PSゲートウェイノード(複数の場合もある)1218を通して受信されたデータストリームの種々のパケット化されたフローを搬送する。主にCS通信に頼る技術リソース(複数の場合もある)の場合、サーバノード(複数の場合もある)が、PSゲートウェイノード(複数の場合もある)1218に頼ることなく、トラフィックを送達できることに留意されたい。例えば、サーバノード(複数の場合もある)は、モバイル交換センターを少なくとも部分的に具現することができる。一例として、3GPP UMTSネットワークにおいて、サービングノード(複数の場合もある)1216は、サービングGPRSサポートノード(複数の場合もある)(SGSN)において具現することができる。
【0101】
パケット化された通信を利用する無線技術の場合、ワイヤレスネットワークプラットフォーム1210内のサーバ(複数の場合もある)1214が、複数の異種のパケット化されたデータストリーム又はフローを生成し、そのようなフローを管理する(例えば、スケジューリングする、待ち行列に入れる、フォーマットする...)ことができる、数多くのアプリケーションを実行することができる。そのようなアプリケーション(複数の場合もある)は、ワイヤレスネットワークプラットフォーム1210によって提供される標準的なサービス(例えば、プロビジョニング、課金、顧客サポート...)に対するアドオン機構を含むことができる。データストリーム(例えば、音声通話又はデータセッションの一部であるコンテンツ(複数の場合もある))を、データセッションの許可/認証及び開始のためにPSゲートウェイノード(複数の場合もある)1218に搬送することができ、その後、通信のためにサービングノード(複数の場合もある)1216に搬送することができる。アプリケーションサーバに加えて、サーバ(複数の場合もある)1214は、ユーティリティサーバ(複数の場合もある)を含むことができ、ユーティリティサーバは、プロビジョニングサーバ、運用及びメンテナンスサーバ、認証局及びファイヤウォール並びに他のセキュリティ機構を少なくとも部分的に実現することができるセキュリティサーバ等を含むことができる。一態様において、セキュリティサーバ(複数の場合もある)は、ワイヤレスネットワークプラットフォーム1210を通してサービングされる通信を保護し、CSゲートウェイノード(複数の場合もある)1212及びPSゲートウェイノード(複数の場合もある)1218が規定することができる許可及び認証手順に加えて、ネットワークの運用及びデータインテグリティを確保する。さらに、プロビジョニングサーバ(複数の場合もある)が、異種サービスプロバイダによって運用されるネットワークのような外部ネットワーク(複数の場合もある)からのサービス、例えば、WAN1250又はグローバルポジショニングシステム(GPS)ネットワーク(複数の場合もある)(図示せず)からのサービスをプロビジョニングすることができる。また、プロビジョニングサーバ(複数の場合もある)は、更なるネットワークカバレッジを提供することによりワイヤレスサービスカバレッジを向上させる図1に示される分散アンテナネットワーク等のワイヤレスネットワークプラットフォーム1210に関連付けられる(例えば、同じサービスプロバイダによって展開され、運用される)ネットワークを通して、カバレッジをプロビジョニングすることもできる。図7図8及び図9に示されるようなリピーターデバイスも、UE1275による加入者サービス体感を向上させるために、ネットワークカバレッジを改善する。
【0102】
サーバ(複数の場合もある)1214は、マクロネットワークプラットフォーム1210の機能を少なくとも部分的に与えるように構成される1つ又は複数のプロセッサを備えることができることに留意されたい。そのために、1つ又は複数のプロセッサは、例えば、メモリ1230に記憶されたコード命令を実行することができる。サーバ(複数の場合もある)1214は、上記で説明されたのと実質的に同様に動作する、コンテンツマネージャを備えることができることは理解されたい。
【0103】
例示的な実施形態1200において、メモリ1230は、ワイヤレスネットワークプラットフォーム1210の運用に関連する情報を記憶することができる。他の運用情報は、ワイヤレスプラットフォームネットワーク1210を通してサービングされるモバイルデバイスのプロビジョニング情報、加入者データベース;アプリケーションインテリジェンス、プライシングスキーム、例えば、販売促進料、定額プログラム、クーポン配布キャンペーン;異種無線、又はワイヤレス、技術レイヤの運用のための電気通信プロトコルと一致する技術仕様(複数の場合もある)等を含むことができる。また、メモリ1230は、電話網(複数の場合もある)1240、WAN1250、企業ネットワーク(複数の場合もある)1270又はSS7ネットワーク1260のうちの少なくとも1つからの情報を記憶することができる。一態様において、例えば、データストアコンポーネントの一部として、又は遠隔接続されるメモリストアとして、メモリ1230にアクセスすることができる。
【0104】
開示される主題の種々の態様に関する状況を提供するために、図12及び以下の検討は、開示される主題の種々の態様を実現することができる適切な環境の簡潔で一般的な説明を提供することを意図している。主題は、単数及び/又は複数のコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムのコンピュータ実行可能命令の一般的な状況においてこれまで説明されてきたが、開示される主題を他のプログラムモジュールとの組み合わせにおいて実現することもできることは当業者には認識されよう。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行し、及び/又は特定の抽象データ型を実現するルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造等を含む。
【0105】
ここで、図13a、図13b及び図13cを参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、スロット付き導波路結合器システム1300の一例の非限定的な実施形態のブロック図が示される。詳細には、導波路が電線に沿って導波を送出する接合部付近の種々の導波路の断面が提示される。図13aにおいて、導波路結合器システムは、電線1306が、電線1306に対して長手方向に延在する導波路1302内に形成されたスロット内に、又はその付近に収まるように、導波路1302に対して位置決めされる電線1306を備える。導波路1302の両端1304a及び1304b、並びに導波路1302自体は、電線1306の電線表面の180度未満を取り囲む。
【0106】
図13bにおいて、導波路結合器システムは、導波路1308に対して位置決めされる電線1314を備え、電線1314は、電線1314に対して長手方向に延在する導波路1308内に形成されたスロット内に、又はその付近に収まるようになっている。導波路1308のスロット表面は非平行にすることができ、2つの異なる例示的な実施形態が図13bに示される。第1の実施形態において、スロット表面1310a及び1310bは非平行とすることができ、電線1314の幅よりわずかに広く、外側を向くことができる。他の実施形態において、スロット表面1312a及び1312bは依然として非平行とすることができるが、電線1314の幅より狭いスロット開口部を形成するように幅を狭くすることができる。非平行スロット表面の任意の範囲の角度が可能であり、これらは、そのうちの2つの例示的な実施形態である。
【0107】
図13cにおいて、導波路結合器システムは、導波路1316内に形成されたスロット内に収まる電線1320を示す。この例示的な実施形態におけるスロット表面1318a及び1318bは平行とすることができるが、電線1320の軸1326は、導波路1316の軸1324と位置合わせされない。導波路1316及び電線1320は、それゆえ、同軸上に位置合わせされない。図示される別の実施形態において、1322における電線の取り得る位置も、導波路1316の軸1324と位置合わせされない軸1328を有する。
【0108】
図13a、図13b及び図13cにおいて、a)電線の180度未満を取り囲む導波路表面、b)非平行のスロット表面、及びc)同軸上に位置合わせされない電線及び導波路を示す3つの異なる実施形態が別々に示されたが、種々の実施形態において、列挙された特徴の多様な組み合わせが可能であることは理解されたい。
【0109】
ここで図14を参照すると、本明細書において説明される種々の態様による、導波路結合システム1400の一例の非限定的な実施形態が示される。図14は、図2図3図4等に示される導波路及び電線の実施形態の断面表現を示す。1400において見ることができるように、電線1404は、導波路1402に隣接し、接触して位置決めすることができる。他の実施形態において、図14bの導波路結合システム1410において示されるように、電線1414は依然として導波路ストリップ1412付近に配置することができるが、実際には接触していない。いずれの場合も、導波路に沿って進行する電磁波は、電線上に他の電磁波を誘導することができ、逆も同じである。また、いずれの実施形態においても、電線1404及び1414は、導波路1402及び1412の外面によって画定される断面積の外側に配置される。
【0110】
本開示において、導波路が、断面において見たときに、180度を超える表面の軸周り領域を取り囲まないとき、その導波路は、電線の電線表面を、実質的な部分において取り囲まない。誤解を避けるために、導波路が、断面において見たときに、180度以下の表面の軸周り領域を取り囲むとき、その導波路は、電線の表面を、実質的な部分において取り囲まない。
【0111】
図14a及び図14bは、円形の形状を有する電線1404及び1414と、長方形の形状を有する導波路1402及び1412とを示すが、これは限定を意図しないことを理解されたい。他の実施形態において、電線及び導波路は種々の形状、サイズ及び構成を有することができる。形状は、限定はしないが、長円形又は他の楕円形の形状、鋭い、若しくは丸みを帯びた縁部を有する八角形、四角形若しくは他の多角形、又は他の形状を含むことができる。さらに、幾つかの実施形態において、電線1404及び1414は、ヘリカルストランド、ブレード等のより細いゲージワイヤを含むより線、又は個々のストランドから単一の電線への他の結合とすることができる。図示され、本開示を通して説明される電線及び導波路のいずれかが、これらの実施形態のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0112】
本明細書において、「ストア」、「ストレージ」、「データストア」、「データ記憶装置」、「データベース」という用語、並びにコンポーネントの動作及び機能に関連する任意の他の情報記憶コンポーネントは、「メモリコンポーネント」、「メモリ」において具現されるエンティティ又はメモリを備えるコンポーネントを指している。本明細書において説明されるメモリコンポーネントは、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリのいずれかとすることができるか、又は揮発性及び不揮発性両方のメモリを含むことができ、例示であって、限定はしないが、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ディスクストレージ及びメモリストレージを含むことができることは理解されよう。さらに、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)又はフラッシュメモリにおいて、不揮発性メモリを含むことができる。揮発性メモリは、外部キャッシュメモリとしての役割を果たすランダムアクセスメモリ(RAM)を含めることができる。例示であって、限定はしないが、RAMは、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、SynchlinkDRAM(SLDRAM)及びdirect RambusRAM(DRRAM)等の数多くの形において入手することができる。さらに、本明細書におけるシステム又は方法の開示されるメモリコンポーネントは、限定されないが、これらの、そして任意の他の適切なタイプのメモリを含むことを意図している。
【0113】
さらに、開示される主題は、シングルプロセッサ若しくはマルチプロセッサコンピュータシステム、ミニコンピューティングデバイス、メインフレームコンピュータ、並びにパーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピューティングデバイス(例えば、PDA、電話、腕時計、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ等)、マイクロプロセッサベース又はプログラマブル家電製品又は産業用電子機器等を含む、他のコンピュータシステム構成で実践できることに留意されたい。例示される態様は、通信ネットワークを通してリンクされる遠隔処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境において実践することもできる。しかしながら、本開示の、全てではないが、幾つかの態様は、スタンドアローンコンピュータ上で実践することができる。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、ローカルメモリ記憶装置及びリモートメモリ記憶装置の双方の中に位置することができる。
【0114】
本明細書において説明される実施形態の幾つかは、本明細書において説明される1つ又は複数の特徴を自動化するのを容易にするために人工知能(AI)を利用することもできる。例えば、人工知能を用いて、伝達効率を最大化するために、誘電体導波路604及び606が配置されるべき電線の周囲の位置を判断することができる。複数の実施形態(例えば、既存の通信ネットワークに追加した後に最大の価値/利益を提供する取得セルサイトを自動的に識別することに関連する)は、種々の実施形態を実行するために、AIに基づく種々の方式を利用することができる。さらに、分類器を用いて、取得ネットワークの各セルサイトのランク付け又は優先順位を決定することができる。分類器は、入力属性ベクトルx=(x1,x2,x3,x4,...,xn)を、入力が1つのクラスに属する信頼度にマッピングする関数であり、すなわち、f(x)=信頼度(クラス)である。そのような分類は、ユーザーが自動的に実施されることを望む動作を予測又は推論するために、(例えば分析の有用性及びコストを計算に入れる)確率的解析及び/又は統計に基づく解析を利用することができる。サポートベクトルマシン(SVM:support vector machine)は、利用できる分類器の一例である。SVMは、取り得る入力の空間内で超曲面を見つけることによって動作し、超曲面は非トリガーイベントからトリガー基準を分離しようとする。直観的には、これは、トレーニングデータに近いが、同一ではないデータをテストするために、分類を正確にする。他の有向及び無向モデル分類手法は、例えば、ナイーブベイズ、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、ファジー論理モデルを含み、独立した異なるパターンを提供する確率的分類モデルを利用することができる。本明細書において用いられるときに、分類は、優先順位のモデルを開発するために利用される統計的回帰も包含する。
【0115】
容易に理解されるように、実施形態のうちの1つ又は複数は、暗黙的にトレーニングされる(例えば、UE挙動を観察すること、運用者の好み、履歴情報、外部情報を受信することによる)だけでなく、明確にトレーニングされる(例えば、汎用トレーニングデータによる)分類器を利用することができる。例えば、SVMは、分類器コンストラクター及び特徴選択モジュール内の学習又はトレーニング段階を介して構成することができる。したがって、分類器(複数の場合もある)を用いて、限定はしないが、所定の基準に従って、取得セルサイトのうちのどの取得セルサイトが最大数の加入者に利益を与えることになり、及び/又は取得セルサイトのうちのどの取得セルサイトが既存の通信ネットワークカバレッジに最小値を追加することになるか等を判断することを含む、複数の機能を自動的に学習し、実行することができる。
【0116】
本出願における幾つかの状況において使用されるように、幾つかの実施形態において、「コンポーネント」、「システム」等の用語は、コンピュータ関連エンティティ、又は1つ若しくは複数の特定の機能を有する使用可能な装置に関連するエンティティを指すか、又は含むことを意図しており、そのエンティティは、ハードウェア、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア又は実行中ソフトウェアのいずれかとすることができる。一例として、コンポーネントは、限定はしないが、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド、コンピュータ実行可能命令、プログラム及び/又はコンピュータとすることができる。例示であって、限定はしないが、サーバ上で実行されるアプリケーション及びサーバの両方をコンポーネントとすることができる。1つ又は複数のコンポーネントは、プロセス及び/又は実行のスレッド内に存在する場合があり、コンポーネントは、1つのコンピュータ上に局在し、及び/又は2つ以上のコンピュータ間に分散される場合がある。さらに、これらのコンポーネントは、そこに記憶された種々のデータ構造を有する種々のコンピュータ可読媒体から実行することができる。コンポーネントは、例えば、1つ又は複数のデータパケット(ローカルシステム内、分散システム内の別のコンポーネントとインタラクトするコンポーネントからのデータ、及び/又はインターネット等のネットワークにわたって、信号を介して他のシステムとインタラクトするコンポーネントからのデータ)を有する信号に従って、ローカル及び/又はリモートプロセスを介して通信することができる。別の例として、コンポーネントは、プロセッサによって実行されるソフトウェア又はファームウェアアプリケーションによって運用される電気回路又は電子回路によって操作される機械部品によって提供される特定の機能を有する装置とすることができ、プロセッサはその装置の内部又は外部に存在することができ、ソフトウェア又はファームウェアアプリケーションの少なくとも一部を実行する。更に別の例として、コンポーネントは、機械部品を用いることなく、電子コンポーネントを通して特定の機能を提供する装置とすることができ、電子コンポーネントは、電子コンポーネントの機能を少なくとも部分的に与えるソフトウェア又はファームウェアを実行するために、その中にプロセッサを備えることができる。種々のコンポーネントが別々のコンポーネントとして例示されてきたが、例示的な実施形態から逸脱することなく、複数のコンポーネントを単一のコンポーネントとして実現できるか、単一のコンポーネントを複数のコンポーネントとして実現できることは理解されよう。
【0117】
さらに、種々の実施形態は、開示される主題を実現するために、コンピュータを制御するソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又は任意のその組み合わせを作製するための標準的なプログラミング及び/又はエンジニアリング技法を用いて、方法、装置又は製品として実現することができる。本明細書において使用されるときに、「製品」という用語は、任意のコンピュータ可読デバイス、又はコンピュータ可読記憶/通信媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムを含むことを意図している。例えば、コンピュータ可読記憶媒体は、限定はしないが、磁気記憶デバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード及びフラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)を含むことができる。当然、種々の実施形態の範囲又は趣旨から逸脱することなく、この構成に対して数多くの変更を加えることができることは、当業者は認識されよう。
【0118】
さらに、「例」及び「例示的」という言葉は、事例又は例示としての役割を果たすことを意味するために本明細書において使用される。本明細書において「例」又は「例示的」として説明されたいかなる実施形態又は設計も、必ずしも、他の実施形態又は設計より好ましいか、又は有利であると解釈されるべきではない。むしろ、例又は例示的という言葉を使用することは、概念を具体的に提示することを意図している。本出願において使用されるときに、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包含的な「又は」を意味することを意図している。すなわち、別段の指示がない限り、又は文脈において明らかでない限り、「XがA又はBを利用する」は、自然な包含的置換のいずれかを意味することを意図している。すなわち、XがAを利用する、XがBを利用する、又はXがA及びBの両方を利用する場合には、上記の事例のうちのいずれのもとにおいても、「XがA又はBを利用する」が満たされる。さらに、本出願及び添付の特許請求の範囲において用いられる冠詞「一("a" and "an")」は、一般に、別段の指示がない限り又は単数形を対象とすることが文脈から明らかでない限り、「1つ又は複数」を意味すると解釈されるべきである。
【0119】
さらに、「ユーザー機器」、「移動局」、「モバイル加入者局」、「アクセス端末」、「端末」、「ハンドセット」、「モバイルデバイス」のような用語(及び/又は類似の専門用語を表す用語)は、データ、制御、音声、ビデオ、サウンド、ゲーム又は実質的に任意のデータストリーム若しくはシグナリングストリームを受信又は搬送するために、ワイヤレス通信サービスの加入者又はユーザーによって利用されるワイヤレスデバイスを指すことができる。上記の用語は、本明細書において、そして関連する図面を参照しながら、交換可能に利用される。
【0120】
さらに、「ユーザー」、「加入者」、「顧客」、「消費者」等の用語は、その用語間の特定の差異が文脈において正当化されない限り、全体を通して交換可能に利用される。そのような用語は、実在する人間、又はシミュレートされた視覚、音声認識等を提供することができる、人工知能(例えば、複雑な数学的な形式に少なくとも基づいて推論する能力)を通してサポートされる自動化されたコンポーネントを指すことができることは理解されたい。
【0121】
本明細書において用いられるときに、「プロセッサ」という用語は、限定はしないが、シングルコアプロセッサ、ソフトウェアマルチスレッド実行能力を有するシングルプロセッサ、マルチコアプロセッサ、ソフトウェアマルチスレッド実行能力を有するマルチコアプロセッサ、ハードウェアマルチスレッド技術を用いるマルチコアプロセッサ、並列プラットフォーム、分散共有メモリを有する並列プラットフォームを含む、実質的に任意のコンピューティング処理ユニット又はデバイスを指すことができる。さらに、プロセッサは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、ディスクリートゲート若しくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は本明細書において説明される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを指すことができる。プロセッサは、ユーザー機器の空間利用を最適化するか、又は性能を向上させるために、限定はしないが、分子又は量子ドットに基づくトランジスタ、スイッチ及びゲート等のナノスケールアーキテクチャを利用することができる。また、プロセッサは、コンピューティング処理ユニットの組み合わせとして実現することもできる。
【0122】
ここで、図15を参照すると、導波通信システム1550の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図が示される。動作時に、送信デバイス1500が、通信ネットワーク又は他の通信デバイスから、データを含む1つ又は複数の通信信号1510を受信し、伝送媒体1525を介して送信デバイス1502にデータを搬送する導波1520を生成する。送信デバイス1502は、導波1520を受信し、それらの導波を、通信ネットワーク又は他の通信デバイスに伝送するための、データを含む通信信号1512に変換する。1つ又は複数の通信ネットワークは、モバイルデータネットワークセルラー音声及びデータネットワーク、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(例えばWiFi及び802.xxネットワーク)、衛星通信ネットワーク、パーソナルエリアネットワーク又は他のワイヤレスネットワークのような、ワイヤレス通信ネットワークを含むことができる。1つ又は複数の通信ネットワークは、電話網、イーサネットネットワーク、ローカルエリアネットワーク、インターネットのようなワイドエリアネットワーク、ブロードバンドアクセスネットワーク、ケーブルネットワーク、光ファイバーネットワーク又は他の有線ネットワークのような、有線通信ネットワークを含むことができる。通信デバイスは、ネットワークエッジデバイス、ブリッジデバイス若しくはホームゲートウェイ、セットトップボックス、ブロードバンドモデム、電話アダプタ、アクセスポイント、基地局、若しくは他の固定通信デバイス、車載ゲートウェイ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、セルラー電話のようなモバイル通信デバイス、又は他の通信デバイスを含むことができる。
【0123】
一例示的な実施形態において、導波通信システム1550は、双方向動作することができ、送信デバイス1502は、通信ネットワーク又はデバイスから、他のデータを含む1つ又は複数の通信信号1512を受信し、伝送媒体1525を介して他のデータを送信デバイス1500に搬送する導波1522を生成する。この動作モードにおいて、送信デバイス1500は、導波1522を受信し、その導波を、通信ネットワーク又はデバイスに伝送するための、他のデータを含む通信信号1510に変換する。
【0124】
伝送媒体1525は、絶縁若しくは他の誘電体被覆、コーティング又は他の誘電体材料等の誘電体材料によって取り囲まれる少なくとも1つの内側部分を有する電線又は他の導体若しくは内側部分を含むことができ、誘電体材料は、外面と、対応する外周とを有する。一例示的な実施形態において、伝送媒体1525は、電磁波の伝送を導波する単線伝送線路として動作する。伝送媒体1525が単線伝送システムとして実現されるとき、それは電線を含むことができる。電線は絶縁又は非絶縁、及び単線又はより線(例えば、ブレードによる)とすることができる。他の実施形態において、伝送媒体1525は、電線束、ケーブル、ロッド、レール、パイプを含む、他の形状又は構成の導体を含むことができる。さらに、伝送媒体1525は、誘電体パイプ、ロッド、レール又は他の誘電体部材のような非導体;導体及び誘電体材料の組み合わせ又は他の導波伝送媒体を含むことができる。伝送媒体1525は、別の状況では、図1図14に関連して上記で論じられた伝送媒体のいずれかを含むことができることに留意されたい。
【0125】
一例示的な実施形態によれば、導波1520及び1522は、自由空間/空気を介しての無線伝送、又は電線の導体を通しての電力若しくは信号の従来の伝搬と対比することができる。詳細には、導波1520及び1522は、伝送媒体の表面の全体又は一部を取り囲み、低損失で、伝送媒体に沿って送信デバイス1500から送信デバイス1502に、又はその逆に伝搬する表面波及び他の電磁波である。導波1520及び1522は、伝送媒体1525の主に又は実質的に外部に存在する場構造(例えば、電磁場構造)を有することができる。導波1520及び1522の伝搬に加えて、伝送媒体1525は、任意選択で、1つ又は複数の電気回路の一部として従来通りに電力又は他の通信信号を伝搬する1つ又は複数の電線を含むことができる。
【0126】
ここで図16を参照すると、送信デバイス1500又は1502の一例の非限定的な実施形態を示すブロック図が示される。送信デバイス1500又は1502は、通信インターフェース(I/F)1600、送受信機1610、及び結合器1620を含む。
【0127】
動作の一例において、通信インターフェース1600は、第1のデータを含む通信信号1510又は1512を受信する。種々の実施形態において、通信インターフェース1600は、LTE若しくは他のセルラー音声及びデータプロトコル、WiFi又は802.11プロトコル、WIMAXプロトコル、超広帯域プロトコル、Bluetoothプロトコル、Zigbeeプロトコル、直接放送衛星(DBS)若しくは他の衛星通信プロトコル、又は他のワイヤレスプロファイルのような、ワイヤレス標準プロトコルに従ってワイヤレス通信信号を受信するためのワイヤレスインターフェースを含むことができる。それに加えて、又はその代わりに、通信インターフェース1600は、イーサネットプロトコル、ユニバーサルシリアルバス(USB)プロトコル、ケーブルによるデータサービスインターフェース標準(DOCSIS)プロトコル、デジタル加入者線(DSL)プロトコル、ファイヤウォール(IEEE1394)プロトコル、又は他の有線プロトコルに従って動作する有線インターフェースを含む。標準規格に基づくプロトコルに加えて、通信インターフェース1600は、他の有線プロトコル又は無線プロトコルとともに動作することができる。さらに、通信インターフェース1600は、任意選択で、複数のプロトコルレイヤを含むプロトコルスタックとともに動作することができる。
【0128】
動作の一例において、送受信機1610は、第1のデータを搬送する通信信号1510又は1512に基づいて、第1の電磁波を生成する。第1の電磁波は、少なくとも1つの搬送波周波数と、少なくとも1つの対応する波長とを有する。種々の実施形態において、送受信機1610は伝送媒体1525の外周(又は代替の実施形態では、直径若しくは幅)より短い対応する波長を有する搬送波周波数において動作するマイクロ波送受信機である。搬送波周波数は、30GHz〜300GHzのミリメートル波周波数帯域内に、又はマイクロ波周波数帯域内の3GHz〜30GHzの低い周波数帯域内に存在することができるが、他の実施形態において他の搬送波周波数も可能であることが理解される。1つの動作モードにおいて、送受信機1610は、マイクロ波又はミリメートル波帯域内の第1の電磁信号を伝送するために1つ又は複数の通信信号1510又は1512を単にアップコンバートする。別の動作モードにおいて、通信インターフェース1600は、通信信号1510又は1512をベースバンド信号若しくはベースバンド付近の信号に変換するか、又は通信信号1510若しくは1512から第1のデータを抽出し、送受信機1610が、送信するために、第1のデータ、ベースバンド信号又はベースバンド付近の信号を変調する。
【0129】
動作の一例において、結合器1620が、第1の電磁波を伝送媒体1525に結合する。結合器1620は、誘電体導波路結合器、又は図1図14に関連して説明された結合器及び結合デバイスのいずれかによって実現することができる。一例示的な実施形態において、伝送媒体1525は、外面を有する誘電体材料によって取り囲まれる電線又は他の内側要素を含む。誘電体材料は、伝送媒体1525の外面上に絶縁被覆、誘電体コーティング又は他の誘電体を含むことができる。内側部分は、誘電体若しくは他の絶縁体、導体、空気若しくは他の気体若しくは空所、又は1つ若しくは複数の導体を含むことができる。
【0130】
動作の一例において、伝送媒体1525への第1の電磁波の結合は、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、非対称モードと、任意選択で、基本(対称)モード又は他の非対称モード(非基本)モードを含む1つ又は複数の他のモードとを含む少なくとも1つの導波モードを介して、伝送媒体の誘電体材料の外面に沿って伝搬するように導波される。誘電体材料の外面は、絶縁被覆、誘電体コーティング又は他の誘電体の外面とすることができる。一例示的な実施形態において、送受信機1610によって生成される第1の電磁波は、対称モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して結合器に沿って伝搬するように導波され、結合器と伝送媒体との間の接合部は、第2の電磁波の非対称モードと、任意選択で、第2の電磁波の対称モードとを誘導する。
【0131】
一例示的な実施形態において、伝送媒体1525は、外面と、対応する外周とを有する単線伝送媒体であり、結合器1620は、第1の電磁波を単線伝送媒体に結合する。詳細には、単線伝送媒体への第1の電磁波の結合は、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、少なくとも1つの非対称モードと、任意選択で、対称モード及び他の非対称モードとを含む少なくとも1つの導波モードを介して単線伝送媒体の外面に沿って伝搬するように導波され、少なくとも1つの搬送波周波数はマイクロ波又はミリメートル波周波数帯域内にあり、少なくとも1つの対応する波長は、単線伝送媒体の外周より短い。1つの動作モードにおいて、第1の電磁波は、対称モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して結合器に沿って伝搬するように導波され、結合器と伝送媒体との間の接合部が、第2の電磁波の非対称モードと、存在するときに、第2の電磁波の対称モードとを誘導する。
【0132】
これまでの説明は、送信機としての送受信機1610の動作に焦点を合わせてきたが、送受信機1610は、結合器1620を介して単線伝送媒体から第2のデータを搬送する電磁波を受信し、通信インターフェース1600を介して、第2のデータを含む通信信号1510又は1512を生成するように動作することもできる。伝送媒体1525の誘電体材料の外面に沿って同じく伝搬する第3の電磁波が第2のデータを搬送する実施形態を考える。また、結合器1620は、伝送媒体1525から第3の電磁波を結合し、第4の電磁波を形成する。送受信機1610は第4の電磁波を受信し、第2のデータを含む第2の通信信号を生成する。通信インターフェース1600は、第2の通信信号を通信ネットワーク又は通信デバイスに送る。
【0133】
ここで図17を参照すると、電磁場分布の一例の非限定的な実施形態を示す図が示される。この実施形態において、空気内の伝送媒体1525は、内側導体1700と、誘電体材料の絶縁被覆1702とを含み、断面で示される。その図は、非対称モードを有する導波の伝搬によって生成される異なる電磁場強度を表す異なるグレースケールを含む。導波は、波を導波する役割を果たす伝送媒体1525の主に又は実質的に外部に存在する場構造を有する。導体1700の内部の領域は、ほとんど、又は全く場を有しない。同様に、絶縁被覆1702内部の領域は、低い場強度を有する。電磁場強度の大部分は、絶縁被覆1702の外面にあり、それに極めて近接しているローブ1704内に分布する。非対称導波モードの存在は、絶縁被覆1702の外面の上部及び下部における高い電磁場強度によって示され、絶縁被覆1702の他の側の非常に小さな場強度とは対照的である。
【0134】
図示される例は、1.1cmの直径を有する電線と、0.36cmの厚さの誘電体絶縁材とによって導波される38GHz波に対応する。電磁波は伝送媒体1525によって導波され、場強度の大部分が外面の限られた距離内にある、絶縁被覆1702の外部にある空気内に集中するので、導波は、非常に低い損失で、伝送媒体1525の下流に向かって長手方向に伝搬することできる。図示される例において、この「限られた距離」は、伝送媒体1525の最も大きな断面径の半分未満の、外面からの距離に対応する。この場合、電線の最も大きな断面径は、1.82cmの全径に対応するが、この値は、伝送媒体1525のサイズ及び形状によって異なる可能性がある。例えば、伝送媒体が、0.3cmの高さ及び0.4cmの幅を有する長方形の形状からなる場合には、最も大きな断面径は、0.5cmの対角線になり、対応する限られた距離は0.25cmになる。
【0135】
一例示的な実施形態において、この特定の非対称伝搬モードは、非対称モードの下側カットオフ周波数Fcの限られた範囲(Fc〜Fc+25%等)内に入る周波数、すなわち、特定の非対称又は基本モードをサポートすることができる最低周波数を有する電磁波によって伝送媒体1525上に誘導される。絶縁被覆1702によって取り囲まれる内側導体1700を含む図示されるような実施形態の場合、このカットオフ周波数は、絶縁被覆1702の寸法及び特性と、潜在的には内側導体1700の寸法及び特性とに基づいて異なる可能性があり、所望のモードパターンを有するように実験的に決定することができる。しかしながら、内側導体を使用しない中空の誘電体又は絶縁体の場合にも同様の効果を見いだすことができることに留意されたい。この場合、カットオフ周波数は、中空誘電体又は絶縁体の寸法及び特性に基づいて異なる可能性がある。
【0136】
下側カットオフ周波数より低い周波数では、非対称モードは、伝送媒体1525内に誘導するのは難しく、わずかな距離を除けば、伝搬することができない。カットオフ周波数付近の限られた周波数範囲を超えて周波数が高くなるにつれて、非対称モードは、絶縁被覆1702の更に内側に向かってシフトする。カットオフ周波数よりはるかに高い周波数では、場強度はもはや絶縁被覆の外部に集中するのではなく、絶縁被覆1702の主に内部に存在する。伝送媒体1525が電磁波に強い導波をもたらし、依然として伝搬は可能ではあるが、周囲空気とは対照的に、絶縁被覆1702内の伝搬に起因して損失が増加することによって、範囲が更に限られる。
【0137】
ここで図18を参照すると、種々の電磁場分布の一例の非限定的な実施形態を示す図が示される。詳細には、図17に類似の断面図1800が、類似の要素を参照するために使用される共通の参照番号とともに示される。断面1800において示される例は、1.1cmの直径を有する電線と、0.36cmの厚さの誘電体絶縁材とによって導波される60GHz波に対応する。波の周波数はカットオフ周波数の限られた範囲を超えるので、非対称モードが、絶縁被覆1702の内部にシフトされている。詳細には、場強度は、絶縁被覆1702の主に内部に集中する。伝送媒体1525は電磁波に強い導波をもたらし、依然として伝搬は可能であるが、絶縁被覆1702内の伝搬に起因して損失が増加することによって、図17の実施形態と比べると、範囲が更に限られる。
【0138】
また、図1802、1804、1806及び1808は、図1800と同様であるが、長手方向の断面において、また、より小さい寸法で示される、内側導体と、誘電体材料の絶縁被覆とを含む、空気内の伝送媒体1525の実施形態を提示する。これらの図は、異なる周波数における非対称モードを有する導波の伝搬によって生成される異なる電磁場強度を表す異なるグレースケールを含む。
【0139】
図1808によって表される、カットオフ周波数より低い周波数において、電場は伝送媒体1525の表面に強く結合されない。非対称モードは、伝送媒体1525において誘導するのは難しく、わずかな距離を除けば、伝送媒体に沿って伝搬することができない。図1806によって表される、カットオフ周波数の限られた範囲内の周波数において、電場強度のうちの或る量が絶縁被覆内にあるが、導波は、絶縁被覆の外部及び波を導波する役割を果たす伝送媒体1525の主に又は実質的に外部に存在する場強度を有する。図17に関連して論じられたように、導体1700の内部の領域は、ほとんど、又は全く場を有せず、他の周波数範囲と比べて、伝搬は適度な距離にわたって、また、より低い伝搬損失でサポートされる。図1804によって表される、カットオフ周波数付近の周波数の限られた範囲を超えて周波数が高くなるにつれて、非対称モードは、伝送媒体1525の絶縁被覆の更に内側に向かってシフトし、伝搬損失が増加し、実効進行距離が短くなる。図1802によって表される、カットオフ周波数よりはるかに高い周波数において、場強度はもはや絶縁被覆の外部に集中するのではなく、絶縁被覆1702の主に内部に存在する。伝送媒体1525が電磁波に強い導波をもたらし、依然として伝搬は可能ではあるが、周囲空気とは対照的に、絶縁被覆1702内の伝搬に起因して損失が増加することによって、範囲が更に限られる。
【0140】
ここで、図19を参照すると、送信デバイスの一例の非限定的な実施形態を示すブロック図が示される。詳細には、図16に類似の図が、類似の要素を参照するために使用される共通の参照番号とともに提示される。送信デバイス1500又は1502は、データを含む通信信号1510又は1512を受信する通信インターフェース1600を含む。送受信機1610は、第1のデータを搬送する通信信号1510又は1512に基づいて、第1の電磁波を生成し、第1の電磁波は少なくとも1つの搬送波周波数を有する。結合器1620が、第1の電磁波を、誘電体材料によって取り囲まれる少なくとも1つの内側部分を有する伝送媒体1525に結合し、誘電体材料は、外面と、対応する外周とを有する。第1の電磁波は伝送媒体に結合され、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、少なくとも1つの導波モードを介して誘電体材料の外面に沿って伝搬するように導波される。少なくとも1つの導波モードは、下側カットオフ周波数を有する非対称モードを含み、少なくとも1つの搬送波周波数は、下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入るように選択される。
【0141】
送信デバイス1500又は1502は、任意選択のトレーニングコントローラ1900を含む。一例示的な実施形態において、トレーニングコントローラ1900は、スタンドアローンプロセッサ、又は送信デバイス1500若しくは1502の1つ又は複数の他の構成要素と共有されるプロセッサによって実現される。トレーニングコントローラ1900は、第2の電磁波を受信するために結合される少なくとも1つの遠隔送信デバイスから送受信機1610によって受信されるフィードバックデータに基づいて、下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入るように少なくとも1つの搬送波周波数を選択する。
【0142】
一例示的な実施形態において、遠隔送信デバイス1500又は1502によって送信される第3の電磁波は第2のデータを搬送し、第3の電磁波も伝送媒体に1525の誘電体材料の外面に沿って伝搬する。第2のデータは、フィードバックデータを含むように生成することができる。動作時に、結合器1620は伝送媒体1525から第3の電磁波も結合し、第4の電磁波を形成し、送受信機は第4の電磁波を受信し、第4の電磁波を処理して、第2のデータを抽出する。
【0143】
一例示的な実施形態において、トレーニングコントローラ1900は、フィードバックデータに基づいて、複数の候補周波数を評価し、複数の候補周波数のうちの1つとして、下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入る少なくとも1つの搬送波周波数を選択するように動作する。例えば、候補周波数は、マイクロ波又はミリメートル波周波数帯域内にあること、伝送媒体1525の外周より長い波長を有すること、伝送媒体1525の一部を構成する導体内の電子の平均衝突頻度未満であることのような基準に基づいて、特定の伝送媒体1525及び選択された非対称モードの場合のカットオフ周波数付近の周波数の限られた範囲を示す実験結果に基づいて、及び/又は実験結果若しくはシミュレーションに基づいて、選択することができる。
【0144】
以下の例を考える:送信デバイス1500が、複数の導波を、伝送媒体1525に結合される遠隔送信デバイス1502に宛てられる対応する複数の候補周波数の波又はパイロット波のようなテスト信号として送ることによって、トレーニングコントローラ1900の制御下で動作を開始する。送信デバイス1500は第1の電磁波を生成することができ、第1の電磁波は、第2の電磁波として伝送媒体上に結合される。導波モードは異なる場合があるが、一般に、第2の電磁波の1つ又は複数の搬送波周波数は、第1の電磁波の1つ又は複数の搬送波周波数に等しい。しかしながら、結合が、接合部、結合器の非線形要素又は他の非線形性に起因する非線形性を含む場合、第2の電磁波の1つ又は複数の導波モードの搬送波周波数は、1つ又は複数の高調波周波数になるか、2つ以上の搬送波周波数の和になるか、又は2つ以上の搬送波周波数の差になる可能性がある。いずれの場合も、伝送媒体上に送出される電磁波の1つ又は複数の搬送波周波数は、結合の線形又は非線形効果の知識に基づいて、更には、伝送媒体上に波を送出するために結合される波の1つ又は複数の搬送波周波数の選択に基づいて、選択することができる。
【0145】
導波は、それに加えて、又はその代わりに、伝送媒体1525に結合される遠隔送信デバイス1502に宛てられる対応する複数の候補周波数におけるテストデータを含むことができる。テストデータは、信号の特定の候補周波数を示すことができる。一実施形態において、遠隔送信デバイス1502におけるトレーニングコントローラ1900は、適切に受信された導波のいずれかからテスト信号及び/又はテストデータを受信し、最良の候補周波数、許容できる候補周波数の組、又は候補周波数のランク順序付けを決定する。この1つ又は複数の候補周波数は、受信信号強度、ビット誤り率、パケット誤り率、信号対雑音比、低い、若しくは最も低い伝送損失を有する搬送波周波数、上記の基準のいずれかの解析に基づいて、非基本モードのカットオフの限られた範囲内に入ると検出された搬送波周波数のような1つ若しくは複数の最適化基準に基づいてトレーニングコントローラ1900によって生成されるか、又は他の最適化基準を遠隔送信デバイス1502の送受信機1610によって生成することができる。トレーニングコントローラ1900は、1つ又は複数の候補周波数を示すフィードバックデータを生成し、そのフィードバックデータを、送信デバイス1500に送信するために送受信機1610に送る。その後、送信デバイス1500及び1502は、示された1つ又は複数の搬送波周波数を利用して、互いに通信することができる。
【0146】
他の実施形態において、テスト信号及び/又はテストデータを含む電磁波は、これらの波を開始した送信デバイス1502のトレーニングコントローラ1900によって受信及び解析するために、遠隔送信デバイス1500によって送信デバイス1502に反射して戻されるか、そのまま送り返されるか、又は別の方法でループバックされる。例えば、送信デバイス1502は、遠隔送信デバイス1500に信号を送り、線路上に物理反射体が切り替えられるテストモードを開始することができ、反射を引き起こすように終端インピーダンスが変更され、電磁波を発信元送信デバイス1502に結合して戻すように、ループバック回路がオンに切り替えられ、及び/又は電磁波を増幅し、発信元送信デバイス1502に再送して戻すように、リピーターモードが有効にされる。発信元送信デバイス1502にあるトレーニングコントローラ1900は、適切に受信された導波のいずれかからテスト信号及び/又はテストデータを受信し、最良の候補周波数、許容できる候補周波数の組、又は候補周波数のランク順序付けを決定する。この1つ又は複数の周波数は、受信信号強度、ビット誤り率、パケット誤り率、信号対雑音比のような1つ若しくは複数の最適化基準に基づいてトレーニングコントローラ1900によって生成されるか、又は他の最適化基準を遠隔送信デバイス1502の送受信機1610によって生成することができる。
【0147】
上記の手順は開始又は初期化動作モードにおいて説明されたが、各送信デバイス1500又は1502は、他の時点においても、テスト信号を送ることができるか、又は別の方法で候補周波数を評価することができる。一例示的な実施形態において、送信デバイス1500と1502との間の通信プロトコルは、定期的なテストモードを含むことができ、候補周波数のサブセットのフルテスト、又はより限られたテストが実施され、評価される。他の動作モードにおいて、外乱、気象条件等に起因する性能の劣化によって、そのようなテストモードの再試行をトリガーすることができる。一例示的な実施形態において、送受信機1610の受信機帯域幅は、全ての候補周波数を含むほど十分に広いか、又はトレーニングコントローラ1900によって、送受信機1610の受信機帯域幅が全ての候補周波数を含むほど十分に広いトレーニングモードに選択的に調整することができる。
【0148】
上記の導波は、伝送媒体1525の外側誘電体表面の外面上を伝搬するものと説明されてきたが、裸電線の外面を含む、伝送媒体1525の他の外面も同様に利用することができる。さらに、トレーニングコントローラ1900は、非対称モードの下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入る候補周波数を選択するものとこれまで説明されてきたが、非対称モードを用いて、又は用いることなく、候補周波数が任意の特定のモードの下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入るか否かを考慮して、又は考慮することなく、トレーニングコントローラ1900を用いて、スループット、パケット誤り率、信号強度、信号対雑音比、信号対雑音+干渉比、マルチチャネルシステムにおけるチャネル分離、及び/又は他の性能基準のような1つ又は複数の性能基準に基づいて、伝送媒体1525に沿った伝搬を最適化するか、実質的に最適化するか、又はパレート最適にする候補周波数を確立することができる。
【0149】
ここで図20を参照すると、伝送方法2000の一例の非限定的な実施形態を示す流れ図が示される。その方法は、図1図19に関連して説明された1つ又は複数の機能及び特徴とともに使用することができる。ステップ2002は、データを搬送する通信信号に基づいて第1の電磁波を生成することを含み、第1の電磁波は、少なくとも1つの搬送波周波数と、少なくとも1つの対応する波長とを有する。ステップ2004は、結合器によって、第1の電磁波を、外側誘電体表面と、対応する外周とを有する単線伝送媒体に結合することを含み、単線伝送媒体への第1の電磁波の結合は、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、少なくとも1つの導波モードを介して単線伝送媒体の外側誘電体表面に沿って伝搬するように導波され、単数又は複数の搬送波周波数はマイクロ波又はミリメートル波周波数帯域内にあり、単線伝送媒体の外周よりも短い対応する1つ又は複数の波長を有する。
【0150】
一例示的な実施形態において、第2の電磁波の少なくとも1つの導波モードは、非対称モード及び対称モードを含む。その方法は、第1の電磁波を、対称モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して結合器に沿って伝搬するように導波することを更に含むことができ、結合器と伝送媒体との間の接合部が、第2の電磁波の非対称モード及び第2の電磁波の対称モードの両方を誘導することができる。
【0151】
一例示的な実施形態において、単線伝送媒体は、或る電子の平均衝突頻度を有する電線を含み、少なくとも1つの搬送波周波数は電子の平均衝突頻度未満である。単線伝送媒体は、絶縁被覆によって取り囲まれる電線を含むことができ、単線伝送媒体の外側誘電体表面は、絶縁被覆の外面に対応することができる。単線伝送媒体は、誘電体材料によって取り囲まれる電線を含むことができ、単線伝送媒体の外側誘電体表面は、誘電体材料の外面に対応することができる。
【0152】
ここで図21を参照すると、伝送方法2100の一例の非限定的な実施形態を示す流れ図が示される。その方法は、図1図20に関連して説明された1つ又は複数の機能及び特徴とともに使用することができる。ステップ2102は、データを搬送する通信信号に基づいて第1の電磁波を生成することを含み、第1の電磁波は、少なくとも1つの搬送波周波数を有する。ステップ2104は、結合器によって、第1の電磁波を、外面を有する単線伝送媒体に結合することを含み、単線伝送媒体への第1の電磁波の結合は、第2の電磁波を形成し、第2の電磁波は、下側カットオフ周波数を有する非対称モードを含む少なくとも1つの導波モードを介して単線伝送媒体の外面に沿って伝搬するように導波され、少なくとも1つの搬送波周波数は、下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入るように選択される。
【0153】
一例示的な実施形態において、単線伝送媒体は誘電体材料によって取り囲まれる電線を含み、単線伝送媒体の外面は誘電体材料の外面に対応する。
【0154】
ここで図22を参照すると、搬送波を選択する方法2200の一例の非限定的な実施形態を示す流れ図が示される。その方法は、図1図21に関連して説明された1つ又は複数の機能及び特徴とともに使用することができる。ステップ2202は、第2の電磁波を受信するために結合される少なくとも1つの遠隔送信デバイスから受信されたフィードバックデータを受信することを含む。ステップ2204は、フィードバックデータに基づいて、下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入るように少なくとも1つの搬送波周波数を選択することを含む。
【0155】
一例示的な実施形態において、第3の電磁波が第2のデータを搬送し、第3の電磁波も伝送媒体の誘電体材料の外面に沿って伝搬する。第2のデータはフィードバックデータを含む。また、結合器は、伝送媒体から第3の電磁波を結合し、その方法は、第4の電磁波を受信することと、第4の電磁波を処理して、第2のデータを抽出することとを更に含む。
【0156】
ここで図23を参照すると、搬送波周波数を選択する方法2300の一例の非限定的な実施形態を示す流れ図が示される。その方法は、図1図21に関連して説明された1つ又は複数の機能及び特徴とともに使用することができ、図22において説明されるステップ2202を実行するのに特に適している。ステップ2302は、複数の候補周波数を評価することを含む。ステップ2304は、フィードバックデータに基づいて、複数の候補周波数のうちの1つとして、下側カットオフ周波数の限られた範囲内に入る少なくとも1つの搬送波周波数を選択することを含む。複数の候補周波数は、マイクロ波又はミリメートル波周波数帯域内に入ることができる。
【0157】
本明細書において用いられるときに、「データ記憶装置」、「データベース」、並びにコンポーネントの動作及び機能に関連する実質的に任意の他の情報記憶コンポーネントのような用語は、「メモリコンポーネント」、又は「メモリ」において具現されるエンティティ、又はメモリを備えるコンポーネントを指している。本明細書において説明される、メモリコンポーネント又はコンピュータ可読記憶媒体は、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリのいずれかとすることができるか、又は揮発性及び不揮発性両方のメモリを含むことができることは理解されよう。
【0158】
本明細書において使用されるときに、「ミリメートル波」という用語は、30GHz〜300GHzの「ミリメートル波周波数帯」内に入る電磁波を指すことができる。「マイクロ波」という用語は、300MHz〜300GHzの「マイクロ波周波数帯」に入る電磁波を指すことができる。
【0159】
さらに、流れ図が、「開始」及び/又は「継続」表示を含む場合がある。「開始」及び「継続」表示は、提示されたステップを、任意選択で、他のルーチンに組み込むことができるか、又は他の方法で、他のルーチンとともに使用できることを表す。この関連において、「開始」は、提示される最初のステップの先頭を示し、具体的に図示されない他の活動が先行する場合がある。さらに、「継続」表示は、提示されたステップが、複数回実行される場合があり、及び/又は具体的に図示されない活動によって引き継がれる場合があることを表す。さらに、流れ図が、ステップの特定の順序を示すが、因果関係の原則が維持される場合には、他の順序も同様に可能である。
【0160】
また、本明細書において使用される場合があるとき、「〜に動作可能に結合される」、「〜に結合される」、及び/又は「結合する」という用語は、アイテム間の直接の結合、及び/又は1つ又は複数の介在するアイテムを介してのアイテム間の間接的な結合を含む。そのようなアイテム及び介在するアイテムは、限定はしないが、接合部、通信パス、構成要素、回路要素、回路、機能ブロック及び/又はデバイスを含む。間接的な結合の一例として、第1のアイテムから第2のアイテムに搬送されるデータは、1つ又は複数の介在するアイテムによって、信号内の情報の形態、性質又はフォーマットを変更することによって変更される場合があるが、それにもかかわらず、信号内の1つ又は複数の情報要素は、第2のアイテムが認識することができるように搬送される。間接的な結合の更なる例において、1つ又は複数の介在するアイテム内の作用及び/又は反応の結果として、第1のアイテムにおける作用が第2のアイテムにおける反応を引き起こす可能性がある。
【0161】
これまでに説明されてきたことは、種々の実施形態の単なる例を含む。当然、これらの例を説明するために、コンポーネント又は方法の考えられるありとあらゆる組み合わせを説明することはできないが、当業者は、本実施形態の数多くの更なる組み合わせ及び置換が可能であることを認識することができる。したがって、本明細書において開示され、及び/又は特許請求される実施形態は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲に入る全てのそのような改変、変更及び変形を含むことを意図している。さらに、「備える、含む(includes)」という用語が詳細な説明又は特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される限りにおいて、そのような用語は、「備える、含む(comprising)」という用語が特許請求の範囲において移行語(transitional word)として利用されるときに解釈されるのと同様に、包括的であることを意図している。
図1
図2
図3
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図5
図6
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図9
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図11
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図13a
図13b
図13c
図14a
図14b
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図23