(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光ガイド(3)は、ASTM−D1003に従って計測された、7%未満の、前記バックライト(2)からの光に対するヘイズ値を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクリーン(1)。
前記光ガイド(3)は、その重量との関係において、少なくとも40wt−%のポリメチルメタクリレートを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスクリーン(1)。
動作モードB2において、バックライト(2)にのみ由来すると共に、前記光ガイド(3)の前記表面に対して垂直に計測された角度β>30度におけるその表面のすべての地点において、且つ、その表面(3)との関係において水平方向の向きにおいて、前記光ガイド(3)から出射した、前記光は、その表面に垂直に前記光ガイド(3)の前記表面のそのような地点から出射する前記光の光強度の最大で5%を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスクリーン(1)。
【背景技術】
【0002】
所謂プライバシモードにおける光学データの保護を実現するべく、マイクロルーバ(microlouver)に基づいたアクセサリフィルムが、モバイル表示スクリーンにおいて既に使用されている。但し、このようなフィルムは、モードの間におけるスイッチングが可能ではなく、手作業により、適用及び除去しなければならない。又、これらは、使用されていない際に、表示スクリーンとは別個に搬送しなければならない。別の大きな欠点は、このようなルーバフィルムの使用に伴う光の損失である。
【0003】
下記特許文献1は、マイクロルーバのフィルタによって提供されるプライバシ保護について記述している。この場合に、最大の欠点は、フィルタを機械的に装着又は除去するニーズと、保護されたモードにおいて発生する光の損失と、である。
【0004】
下記特許文献2は、プライバシモードを生成するべく、小さな規則的に配列されたプリズムストリップがその表面に提供されたフィルムの使用について記述している。このフィルムの開発及び製造は、非常に複雑である。
【0005】
下記特許文献3においては、所謂「クロモニック(chromonic)」層の間において配置された液晶をトリガすることにより、自由な観察と制限された観察との間のスイッチングが実現されている。これは、光の損失を伴っており、且つ、実装も、かなり複雑である。
【0006】
下記特許文献4は、照明システム及び表示装置を構成するための多数の概念を開示している。具体的には、この特許文献の
図3A及び
図3Bに示されているバージョンは、ウェッジ形状の光ガイドから構成された二つのバックライトと、LCDパネルと、を使用しており、この場合に、後部バックライト40は、広い照明角度を肯定的に生成するように意図されており、且つ、前部バックライト38は、狭い照明角度を肯定的に生成するように意図されている。但し、バックライト38を通過する際にバックライト40に由来する広い照明角度を有する光を本質的に狭い照明角度を有する光に変換することなしに、バックライト38が狭い照明角度を生成しようとする方式が不明瞭な状態において留まっている。
【0007】
特許文献4の
図5において示されている実施形態との関連においては、二つの光ガイド46及び48が、それぞれ、「狭い光」、即ち、狭い照明角度を有する光、を生成していることに留意されたい。光ガイド48内における、「広い光」、即ち、広い照明角度を有する光、への光の変換は、部分的ミラー50によってのみ実現されているが、この部分的ミラー50には、複雑なプロセスにおいてプリズム構造を提供しなければならない。この変換は、光の強度を大幅に減少させ、その理由は、最初に狭い照明角度において出射する光(利用可能な唯一の光)が、結果的に、広い照明角度内に、原則的には半空間内に、広がっているからである。この結果、(明るさを意味する)輝度は、パラメータに応じて、5分の1未満に、低減されることになる。従って、この実施形態は、実際的な適用性をほとんど有していない。
【0008】
特許文献4の
図7による実施形態においては、UV光を可視光に変換する蛍光体シートが絶対的な必要条件である。これは、その実行にかなり手間がかかり、且つ、読み取られ得るようにLCDを照明するべくバックライトから十分な光を取得する所望が存在する場合には、非常に大きなUV強度を必要としている。従って、この実施形態は、費用を所要し、且つ、複雑であって、UV放射のみの遮蔽による除去に起因し、実行不能なものとなっている。
【0009】
下記特許文献5は、スクリーン内における非常に複雑なバックライトについて記述している。
図1及び
図15によれば、この設計は、いくつかの光ガイドのみならず、マイクロレンズ要素40及びプリズム構造などのその他の複雑な光学要素をも利用しており、これらの複雑な光学要素は、後部照明から到来する光をその途上において前部照明に変換している。これは、実装が費用を所要すると共に複雑であり、且つ、これには、光の損失が伴っている。特許文献5の
図17に示されているバージョンによれば、両方の光源4R及び18が狭い照明角度を有する光を生成しており、後部光源18によって放出された光が、まず、手間をかけることにより、大きな照明角度を有する光に変換されている。この複雑な変換は、既に上述したように、輝度を大幅に減少させる。
【0010】
下記特許文献6によれば、光の入射角度に応じて、光を変化する狭い又は広い領域内に偏向させるべく、演算及び製造が困難である特別な光学表面19が使用されている。これらの構造は、フレネルレンズに類似している。更には、無効なエッジが存在しており、これらは、光を望ましくない方向に偏向させる。従って、本当に有用な光分布が実現され得るかどうかが、不確実な状態に留まっている。
【0011】
下記特許文献7によって教示されている制限された視野の実現においては、横方向の視野を特別な波長とオーバーレイするように、スクリーンから特定の距離において配置されると共にスクリーンに装着されたホログラムを照明する更なる光源が使用されている。この場合の欠点は、必要とされるスクリーンから光源までの間隔と、適切なホログラムを生成するための複雑さと、である。
【0012】
下記特許文献8は、階段が提供された特別な光ガイドについて記述しており、この光ガイドは、エッジから照明される方向に応じて、大きな面積を有する光を様々な方向に放出している。例えば、LCディスプレイなどの透過性イメージャとの相互作用において、自由観察モードと制限観察モードとの間においてスイッチング可能であるスクリーンを生成することができる。この場合には、例えば、制限された視野効果が、特定の支払動作において望ましい、同時に左/右/上/下においてではなく、左/右方向又は上/下方向においてしか、生成されえないという点が欠点である。これに加えて、制限観察モードにおいても、阻止された観察角度から、ある程度の残留光が可視状態にある。
【0013】
最後に、下記特許文献9は、画像の認識性の任意選択による制限のための方法及び構成について記述している。これを目的として、スクリーンに由来する光の少なくとも70%に対して透明であると共に横方向光源から入射する光を制限された角度範囲内に偏向する特別な光学要素が必要とされており、この偏向は、γ>20°であるγを上回る角度αにおいてスクリーンの表面法線まで延在する方向において、スクリーンから出射した光が、光学要素によって偏向された光と重畳され、これにより、スクリーン上において提示された画像が、基本的に、スクリーンの表面法線に対して角度β<γからのみ、制限を伴うことなしに観察され得るような方式によるものである。
【0014】
上述の方法及び構成は、原則として、明らかに基本的なスクリーンの輝度を低減し、且つ/又は、モードの間におけるスイッチングのための能動的な、但し、少なくとも特別な、光学要素を必要とし、且つ/又は、製造が複雑であると共に費用を所要し、且つ/又は、自由観察モードにおける分解能を劣化させる、という共通的な欠点を有する。
【発明の概要】
【0016】
従って、本発明の課題は、第二の又は更なる動作モードが、可能な限り制限されていない観察角度を有する自由な視野を可能にする状態において、任意選択によって制限された観察角度によって情報の安全な提示を実装し得るスクリーンについて記述するというものである。本発明は、単純な手段によって実装可能となると共に可能な限り安価となることを意図している。両方の動作モードにおいて、最大可能分解能が、特に好ましくは、使用されているスクリーンの固有分解能が、明らかとなることを要する。更には、本発明の解決策は、可能な最小限の光損失を生成するように意図されている。
【0017】
本発明によれば、このタスクは、少なくとも二つの動作モード、即ち、自由観察モード用のB1及び制限観察モード用のB2、において動作し得るスクリーンによって解決されている。このようなスクリーンは、主には、
−自由観察モード用の動作モードB1においては、制限されていない角度範囲において光を放出し、且つ、制限観察モード用の動作モードB2においては、制限された角度範囲において光を放出する、平坦な方式によって延在するバックライトと、
−観察方向において観察された場合にバックライトの前面において配置された透過性イメージャ(imager)と、
を具備する。このイメージャは、LCDパネル又は別の透過性光モジュレータとして構成することができる。画像の表示のために設計されていることにより、イメージャは、画像表示装置と呼称することもできる。
【0018】
第一の実施形態においては、スクリーンは、観察方向において観察された場合に、イメージャの能動的画像表示エリア外において、且つ、同時に、イメージャの上方の少なくとも1ミリメートルの距離において、配置された光源を有する。又、光源は、イメージャの上方の2、3、4、5、又は6ミリメートルの、或いは、更に大きな、距離において配置することもできる。
【0019】
上述のものを代替又は補完する第二の実施形態においては、スクリーンは、観察方向において観察された場合にイメージャの前面において位置した、即ち、透過性イメージャとの接触状態にある、或いは、これから所定の距離に位置した、プレート形状の光ガイドを具備し、距離は、例えば、0mm、1mm、2mm、5mm、8mm、または10mmであり、前記光ガイドは、透明な熱可塑性又は熱弾性材料と、その内部において分散された散乱粒子と、から構成され、このケースにおいては、光源は、光ガイドのエッジにおいて横方向に配置されている。散乱粒子に対する補完又は代替として、プレート形状の光ガイドには、二つの面のうちの少なくとも一つの面の上部において、出射結合要素が提供されもよい。これらの要素は、その製造の際に、プレート形状の光ガイド上において形成することも可能であり、或いは、これに後から装着することもできる。出射結合要素は、例えば、ホログラフィック構造又はエッチングされた構造であってもよい。
【0020】
又、光源がイメージャの上方の少なくとも1ミリメートルにおいて配置された、第一実施形態を補完する、プレート形状の光源が使用される場合には、光ガイドも、イメージャの少なくとも上方の1ミリメートルの距離において配置される。又、光ガイドは、例えば、2、3、4、5、又は6mmの距離などのように、イメージャの上方の1mm超の距離において配置されてもよい。
【0021】
動作モードB1においては、光源は、バックライトから出射すると共に後から透過性イメージャを通過した光が、光源によって基本的に影響されない状態において留まるように、或いは、―光ガイドが提供されている場合には―基本的にそれによって影響されることなしに光ガイドを通過するように、スイッチオフされている。
【0022】
動作モードB2においては、光源は、バックライトによって制限された角度範囲内に放射されると共に、次いで、透過性イメージャを通過した、光が、―光ガイドの使用を伴うことなしに―イメージャが、光源からの光によって照射されることに起因して、観察空間内に散乱又は反射して戻す、或いは、―光ガイドが提供されている状態において―イメージャが、光ガイド(2)からの光によって照射されることに起因して、観察空間内に散乱又は反射して戻す、且つ/又は、広い角度範囲にわたって平坦な方式によって観察空間内に放射する、光に重畳されるように、オン状態にある。この場合に、「広い」は、少なくとも120°以上の、ほとんど最大で光ガイドの前面の半空間である、角度範囲を意味している。
【0023】
全体として、この結果、前記制限された角度範囲外における、透過性イメージャ上において提示された画像の残留視認性が、顕著に低減され、或いは、場合によっては、完全に除去される。
【0024】
動作モードB2においては、角度制限によって阻止されている傾斜した観察方向からの知覚される画像は、(光源の構成に応じて)、原則的に、黒色表面ではなく、灰色又は白色の表面であり、その理由は、光ガイドによって放射される光が、黒色の画像コンテンツをも視覚的に光輝化(outglare)するからである。
【0025】
平坦な方式によって延在しているバックライトは、例えば、国際特許出願第2015/121398号パンフレット又は米国特許出願公開第2013/0308185号明細書において提案されているように構成することができる。当然のことながら、その他の構成も可能である。従来技術において既知である大部分の実施形態においては、平坦な方式によって延在するこのようなバックライトは、制限観察モード用の動作モードB2において、制限された角度範囲内に光を放出しているが、この方向選択は、到底完全なものではなく、このようなバックライトの前面の透過性イメージャ上において、傾斜方向からの場合にも、低い輝度及び/又は明から暗への遷移におけるわずかなコントラストを伴ってではあるものの、完全な画像コンテンツ又はその大きな部分を識別できるという結果を伴っている。本発明は、この依然として可能な傾斜観察を完全に又はほぼ完全に除去している。バックライトによって制限された角度範囲内に放射されると共に、次いで、透過性イメージャを通過した、光が、広い角度範囲にわたって平坦な方式によって光ガイドによって放射された光に重畳されるという事実は、制限された角度範囲外における、透過性イメージャ上において提示された画像の残留視認性を大幅に低減し、或いは、しばしば、完全に除去している。前記残留視認性は、例えば、多くのLCDパネルが体積散乱を示すと共に/又は散乱防眩表面を有するという事実に起因しており、これにより、背後から入射すると共に制限された空間角度内に導かれた光が部分的に散乱され、これにより、傾斜角度においても、残留視認性が提供される。
【0026】
原則的に、プレート形状の光ガイドは、ASTM−D1003に従って計測される、10%未満の、或いは、好ましくは、4%未満の、ヘイズ値を有する。更には、特に、適切な散乱粒子は、二酸化チタンの粒子である。硫酸バリウムの粒子、シルセスキオキサン粒子、架橋ポリスチレン粒子、又は更にその他の種類の粒子を有する光ガイドなどのその他の実施形態が可能である。原則的に、散乱粒子は、光ガイドが、なんらの不均等な光学的構造をも有さないように、均等に分散されている。更には、プレート形状の光ガイドは、互いに対向する少なくとも二つの面を有し、これらの面は、互いに平行に配列されるか、或いは、互いとの関係において傾斜している。ウェッジ形状の構造も同様に可能であるが、面が互いに平行であることが有利である。光ガイドの有用な厚さは、通常、両端を含む0.5mm〜4mmである。その他の厚さも、特定のケースにおいては、有用であり得る。
【0027】
好適な一実施形態においては、バックライトは、横方向において配設された光源を有する好ましくは光ガイドとして構成された表面エミッタと、例えば、二つの交差したBEFフィルム、3M(商標)によって製造された二つの交差した「光学ライティングフィルム」(OLF)のタイプ2301、及び/又は、例えば、3M(商標)によって製造されたVikuitiなどの一つ又は複数のプライバシフィルタなどの、表面エミッタ内に統合された、且つ/又は、その前面において配置された、少なくとも一つのコリメータと、観察方向において観察された場合に光コリメータの前面において配置され、且つ、その内部において分散された散乱粒子を有する透明な熱可塑性又は熱弾性材料から製造された、且つ/又は、面のうちの少なくとも一つの面の上部において出射結合要素が提供された、プレート形状の透明な前部光ガイドと、前部光ガイドのエッジにおいて横方向に配置された前部光源と、から構成されている。ここで、自由視覚範囲用の動作モードB1においては、少なくとも前部光源と、任意選択により、表面エミッタと、がスイッチオンされ、即ち、表面エミッタが光ガイドとして構成されている場合には、当然のことながら、表面エミッタの光源が、スイッチオンされることになる。制限視覚範囲用の動作モードB2においては、前部光源は、スイッチオフされ、且つ、表面エミッタがスイッチオンされ、即ち、表面エミッタが光ガイドとして構成されている場合には、それに対して割り当てられている光源も、スイッチオンされることになる。
【0028】
表面エミッタは、例えば、サイドライト、エッジライト、直接的なLEDバックライト、エッジLEDバックライト、ダークフィールドイルミネータ、OLED、又はその他の表面エミッタとして構成することができる。
【0029】
前部光ガイドと、提供されている場合に、表面エミッタの光ガイドと、の場合には、イメージャの上方の光ガイドの様々な上述の構成が同様に適用される。
【0030】
有利には、透明な光ガイド内の散乱粒子は、個々の光ガイドの重量との関係において0.01〜300wt−ppmの濃度を有する、150〜500nmの平均粒子サイズを有する二酸化チタン粒子である。
【0031】
透明な光ガイドは、それぞれ、マトリックスプラスチックAと、その内部において分散された状態の重合体Bの散乱粒子と、から構成されてもよく、前記散乱粒子は、マトリックスプラスチックAとの関係において0.01〜3wt−%を占めており、且つ、重合体Bは、少なくとも0.002単位だけ、好ましくは、少なくとも0.01単位だけ、マトリックスプラスチックAの屈折率nD(A)を上回る屈折率nD(B)を有する。
【0032】
更には、光ガイドは、その重量との関係において、少なくとも40wt−%の、好ましくは、少なくとも60wt−%の、ポリメチルメタクリレートを含むことができる。
【0033】
更には、例えば、防眩及び/又は反射防止被覆などの反射低減用の手段が、イメージャの上部表面に、且つ/又は、イメージャの前面における光ガイドの面の少なくとも一つに、適用されることが有利であり得る。本発明との関連においては、特に、防眩被覆は、外部光スポットの直接的な反射を低減するのみならず、イメージャ5に向かって光ガイド3によって放射された光が拡散反射して戻ることを許容することになる。
【0034】
更には、スイッチング不能となるように、即ち、光をほぼ半空間内に永久的に放出するように、バックライトを構成することもできる。
【0035】
上述のすべての構成において、前記光源は、LED、LED列、又はレーザダイオードであってもよい。その他のバージョンも、実現可能であるのみならず、本発明の範囲に含まれている。
【0036】
別の好適な実施形態においては、光源は、着色された光を放出するように適合されている。着色された光は、特に、白色ではない可視光、即ち、例えば、赤色、緑色、青色、青緑色、黄色、シアン、又はマゼンタなどの色の光、を意味するものと理解されたい。更には、この光は、任意選択により、様々なレベルの輝度において放出することができる。
【0037】
更には、光源によって放出される光の色及び/又は輝度を時間に伴って変調することもできる。これに加えて、光源は、例えば、同時に、或いは、時間的且つ/又は空間的オフセットを伴って、異なる色及び/又は異なる輝度の光を放出する、LED列内のRGB−LEDなどの、異なる個々の光源又は発光要素によって実装することもできる。
【0038】
この結果、動作モードB2においては、角度制限によって阻止された傾斜観察方向からの知覚される画像は、光源の構成に応じて、個々の色のエリアであるが、原則的に、それは、黒色又は白色のエリアとはならず、その理由は、光ガイドによって放射される着色された光が、傾斜観察方向から、明るい画像コンテンツをも視覚的に光輝化することになるからである。
【0039】
光源は、透過性イメージャによって提示された画像内には存在していない色の光を放出することができる。或いは、この代わりに、光源は、透過性イメージャによって提示された画像に存在している、或いは、色スペクトル内においてその色に近接した、色の光を放出することもできる。又、光源は、透過性イメージャによって提示された画像内に存在しているものの補色にほぼ対応する色の光を放出することもできる。
【0040】
例えば、光源の光の色の選択を通知する画像内において選択された色は、面積の観点において画像内において最も頻繁に存在している色であり得るという更なる規則を設定することができる。光源によって放出される光の波長範囲は、イメージャに由来する光の波長範囲と完全に又は部分的にスペクトル的に同一であってもよく、或いは、まったく同一でなくてもよい。
【0041】
本発明のスクリーンの使用は、例えば、ATM、支払端末、又はモバイル装置におけるPIN番号、電子メール、SMSテキスト、又はパスワードなどのコンフィデンシャルデータの入力又は表示との関連において特に有利である。
【0042】
すべての実施形態において、提供されているそれぞれの光ガイドは、少なくとも一つの光入射表面と、少なくとも一つの光出射表面と、を有し、光出射表面と光入射表面との間の比率は、少なくとも4である。
【0043】
一つ又は複数の光ガイドは、好ましくは、0.1〜50wt−ppmの、特に好ましくは、0.1〜10wt−ppmの、二酸化チタンの散乱粒子の濃度を有する。二酸化チタン粒子は、160〜450nmの、特に好ましくは、170〜400nmの、平均粒子サイズを有する。ASTM−D1003に従って計測された、光ガイドのヘイズ値は、好ましくは、0.2〜2%の範囲である。バックライトの最後部の光ガイドの背後に光ガイドが存在している場合には、例えば、白色の且つ/又は反射性の表面を配置することができる。
【0044】
更には、本発明のスクリーン内には、バックライト、光源、並びに、存在する場合には、更なるコンポーネントを適切にトリガすることにより、動作モードB1から動作モードB2への、或いは、この逆の方向の、遷移を漸進的に制御する電子制御システムを配置することができる。これと共に、時間の経過に伴って、一つ又は複数のコンポーネント(原則的には、光源)の輝度がゼロにまで下方に制御され、同時に、その他のコンポーネント(原則的には、その他の光源)の輝度が最大値又は規定されたレベルにまで上方に制御されるようにしてもよく、且つ、この逆も又真である。
【0045】
更には、特定の実施形態のバージョンにおいては、イメージャの前面の光ガイドが、イメージャに対向しているその面上において部分的にミラー被覆されるようにすることもできる。ミラー化の程度は、動作モードB1における輝度差を補償するように、光ガイドから出射結合された光のエリアに跨って変化してもよく、或いは、部分的ミラー被覆は、ミラーリングを伴わない場合に輝度が規定された限度未満に低下したエリアのみをカバーしてもよい。
【0046】
原則として、特定の限度内における上述のパラメータの変動は、本発明の本質に影響を及ぼすものではない。
【0047】
更には、モードB2用の望ましい制限された角度範囲は、水平方向及び垂直方向における観察制限のために、別個に定義及び実装することができる。例えば、ATMにおいて身長が異なる複数の人物がなにかを観察するように意図されている場合には、側部からの観察が大幅に制限されるようにする一方で、例えば、垂直方向において、水平方向のものよりも大きな角度を有する(或いは、恐らくは、まったく制限を有していない)ことが有用であり得るであろう。その一方で、POS支払端末の場合には、安全規則は、しばしば、モードB2において、水平方向及び垂直方向の両方における視野の制限を必要としている。
【0048】
又、本発明の課題は、少なくとも二つの動作モード、即ち、自由観察モード用のB1と、制限観察モード用のB2と、において動作し得るスクリーンによって解決され、このスクリーンは、主には、平坦な方式によって延在するバックライトを具備し、このバックライトは、自由観察モード用の動作モードB1においては、制限されていない角度範囲内において光を放出し、且つ、制限観察モード用の動作モードB2においては、制限された角度範囲内において光を放出し、この場合に、バックライトに由来する光は、バックライトの表面法線との関係において45度超の角度において位置する少なくとも一つの方向において最大発光強度の6%以下において放射される。スクリーンは、観察方向において観察された場合にバックライトの前面において配置された透過性イメージャと、光ガイドのエッジにおいて横方向に配置された光源と、観察方向において観察された場合にバックライトの前面において配置されると共に、その内部において均一に分散された散乱粒子を有する熱可塑性又は熱弾性材料から構成された、或いは、その面のうちの少なくとも一つの面の上部において出射結合要素が提供された、少なくとも一つのプレート形状の光ガイドと、を更に具備する。
【0049】
光ガイド内に散乱粒子が存在しているケースにおいては、これらは、光ガイドの重量との関係において0.01〜300wt−ppmの濃度において利用される150〜500nmの平均粒子サイズを有する二酸化チタン、硫酸バリウム、シルセスキオキサン粒子、及び/又は架橋ポリスチレン粒子から構成されている。このケースにおいては、光ガイドは、その上部において印刷されたなにものをも有しておらず、且つ、なんらの光散乱不完全性をも有していない。散乱粒子が存在しているケースと、光ガイドが面のうちの少なくとも一つの面の上部において出射結合要素を有しているケース―これらの要素は、例えば、エッチングにより、それぞれの場所において別個に提供又は生成される―と、の両方において、光ガイドは、バックライトに由来する光の少なくとも85%に対して透明である。
【0050】
この結果、一方においては、動作モードB1における自由観察範囲の場合に、バックライトの表面法線との関係において45度〜75度の角度の方向において光ガイド内に横方向に入射する、光源からの光は、表面に対して垂直に光ガイドを出射する光の最大光強度の少なくとも12%によって放射され、他方においては、光源に由来すると共に(光源がスイッチオンされている場合)、前記表面との関係において、α<80度である、少なくとも一つの角度αにおいて、その表面の少なくとも一つの地点から光ガイドを出射する、光は、その表面に対して垂直に光ガイドの表面の前記地点において出射する光よりも大きな光強度を有する。
【0051】
この関連において、動作モードB2においては、バックライトは、オンであり、且つ、光源は、オフであり、動作モードB1においては、少なくとも一つの光源が、オンである。
【0052】
動作モードB1の場合には、光源がスイッチオンされることが必須であり、バックライトは、スイッチオンされてもよく、或いは、スイッチオフされてもよい。バックライトがスイッチオフされている場合には、光源に由来する光のみが、角度制限を伴うことなしに照明を提供する。但し、動作モードB1において、光源及びバックライトの両方がオンである場合には、相対的に大きな輝度を実現することができる。このケースにおいては、(光源がオンである場合に)光源によって放出されると共に、その表面の少なくとも一つの地点から光ガイドを出射した、光が、光ガイドの表面との関係において、α<80度である、少なくとも一つの角度αにおいて、その表面の前記地点において光ガイドの表面に対して垂直に出射する光よりも大きな光強度を有することが特に有利である。即ち、この技術的な実装形態は、一方においては、光源に由来すると共に、スクリーンの垂直方向の二等分線にほぼ沿ってその一つ又は複数の最大輝度を有してはいない光と、他方において、バックライトに由来すると共に、スクリーンの垂直方向の二等分線にほぼ沿ってその最大輝度を有している光とが、少なくとも半角(例えば、照明システムの正面における横軸の角度スペクトル)に跨って、前記光源のみが動作モードB1のためにスイッチオンされた場合に実現可能であるものよりも明るく且つ均一な照明を実現するべく、非常に良好に互いを補完し合っていることを意味している。
【0053】
この実施形態の更なる変形においては、バックライトに由来する光が放射される方向の角度は、バックライトの表面法線との関係において45+γ度超であり、バックライトは、バックライトによって放出される光をコリメートするように意図された少なくとも一つの層を特徴としており、この層は、バックライトの表面法線との関係において0<γ<45度である、γの角度において最大透明度を有している。約γである角度の横方向の傾斜は、様々な用途において有利である。例えば、航空機のコックピット内においては、情報は、任意選択により、例えば、イメージャを含むスクリーンが制御コンソールの中心において配置されている場合にのみ、可視状態にあってもよい。従って、動作モードB2において、傾斜角度γは、視認性をシステムの傾斜視野に、即ち、一人のパイロットにのみ、制限している。
【0054】
光ガイド用の好適な散乱粒子は、光ガイドの重量との関係において、0.1〜50wt−ppmの、或いは、更に良好には、0.1〜10wt−ppmの、濃度における二酸化チタン粒子である。これに加えて、或いは、一代替肢として、二酸化チタン粒子は、好ましくは、160〜450nmの、或いは、特に好適には、170〜400nmの、平均粒子サイズを有する。
【0055】
更には、光ガイドは、いずれのケースにおいても、ASTM−D1003に従って計測された、7%未満の、或いは、好ましくは、2%未満の、ヘイズ値を有する。
【0056】
又、光ガイドが、その重量との関係において、少なくとも40wt−%のポリメチルメタクリレートを含む、或いは、好ましくは、少なくとも60wt−%のポリメチルメタクリレートを含む、ことが有利である。
【0057】
スクリーンの更なる一実施形態は、動作モードB2の場合に、バックライトに由来すると共に、(光ガイドの表面に対して垂直に、且つ、その表面との関係において水平方向の向きにおいて、計測された)β<30においてその表面のそれぞれの地点において光ガイドから観察方向において出射した、光が、前記表面に対して垂直に光ガイドの表面のそのような地点から出射する光の光強度の最大で5%を有するようにしている。
【0058】
特に好ましくは、バックライトには、これに加えて、バックライトによって放出される光の角度制限された放射特性を実現するべく、少なくとも一つの光学的な光コリメーティング層が提供されている。バックライトは、好ましくは、永久的プライバシフィルタ(例えば、3M(商標)によって製造されるVikuiti(商標)、或いは、Shin Etsu(商標)によって製造されるLCF)がその上部において提供される、サイドライト、エッジライト、直接的なLEDバックライト、エッジLEDバックライト、OLED、又はその他の表面エミッタであり、永久的プライバシフィルタは、通過した光が、基本的に、制限された角度範囲内においてのみバックライトによって放射されるようにする、光コリメータ又は特殊光フィルタとして機能している。
【0059】
一つ又は複数のコリメーションレンズに加えて、事前コリメーションを実現するべく、且つ、光を束ねるべく、90度の角度において交差した、3M(商標)によって製造される「光学ライティングフィルム」(OLF)のモデル2301タイプのコンポーネントを提供することもできる。
【0060】
更には、光ガイドの下方の最も近接した光学コンポーネントは、動作モードB1において光ガイドから下向きに出射する光を少なくとも部分的に反射する表面を有することができる。この結果、記述されているように下向きに放射された光は、光ガイド内に少なくとも部分的に反射されて戻り、且つ、これを少なくとも部分的に通過する。光ガイドが、その面の両方から、即ち、上向きに且つ下向きに、光を照射するのに伴って―下向きの方向は、バックライトに対向しているものである―、これは、ある種の光のリサイクルを提供する。この場合に、前記最も近接した光学コンポーネント、即ち、多くの場合に、光学コリメーション層(例えば、プライバシフィルタ)は、防眩処理が施されてはいないか、或いは、下方から、即ち、バックライトから、到来する光に対して可能な限り透明である部分的なミラー化層が提供されていることで十分であり得る。
【0061】
原則的に、特定の限度内における上述のパラメータの変動は、本発明の本質に影響を及ぼすものではない。例えば、バックライトは、バックライトの表面法線との関係において10〜45度超の角度内に位置する方向において最大光強度の最大で0〜20%の放射を生成する放射特性を有する光を放出することができる。
【0062】
更には、これとは無関係に、観察方向において観察された場合にバックライトの前面において位置すると共に、バックライトに由来する光の少なくとも85%―或いは、場合によっては、例えば、70%、或いは、場合によっては、50%のみ、などのように、85%未満―に対して透明である、光ガイドは、バックライトの表面法線との関係において10°〜100°超の角度内に位置する方向において、最大光強度の少なくとも10%〜70%が放射されるように、光源から横方向において入射する光を可能な限り広い角度範囲内に偏向させることができる。
【0063】
光源は、例えば、LED又はレーザダイオードであってもよい。これに加えて、横方向において配置された光源から光ガイド内に結合する光が、少なくとも二つの、好ましくは、反対側の、面から実現されるようにすることが賢明である。
【0064】
特に極めて好適な特徴は、例えば、LCDパネルなどの、スクリーンの前面において配置された―省略して、イメージャとも呼称される―透過性イメージャである。これは、スクリーンにおいて二つの動作モードB1及びB2が同様に実装されることを許容している。
【0065】
或いは、この代わりに、光ガイドは、バックライトに対向するその表面上において部分的にミラー被覆することも可能であり、ミラー化の程度は、動作モードB1における輝度差について補償するように、光ガイドから出射結合された光のエリアに跨って変更されるか、或いは、ミラー化が存在しない状態において輝度が規定された限度未満に低下したエリアのみが、部分的にミラー被覆される。
【0066】
更には、スクリーンは、透過性イメージャ上において知覚される画像が基本的に輝度との関連において均一なものとなるように、動作モードB1において、その輝度差を補完するように透過性イメージャ上において表示された画像コンテンツを制御する手段により、光ガイドから出射結合された光のエリアに跨って輝度差を補償する制御システムを具備することができる。
【0067】
本発明のスクリーンは、ATM、支払端末、又はモバイル装置上における、例えば、PIN番号、電子メール、SMSテキスト、又はパスワードなどのコンフィデンシャルデータの入力又は表示を促進するべく使用することができる。
【0068】
更には、透過性イメージャの背面表面上における部分的なミラー被覆は、光ガイドからの光の歩留まりの更なる均一化のために有利である。又、この部分的なミラー被覆には、光ガイド上の部分的なミラー被覆と同様に、輝度差を補償するべく、変動を提供することも可能であり、或いは、これを特定のエリア内においてのみ提供することもできる。
【0069】
又、バックライトが、その設計自身により、コリメーティング処理を実行しているものであることも有利であり、即ち、光源が、前述のように、制限された角度範囲内においてその光を放出すると想定されていることも有利である。更には、両方の動作モードにおいて、例えば、前記横方向において配置された光源などの、同一の光源を常に使用することも望ましいものであり得る。二つの動作モードB1及びB2の間におけるスイッチングの場合には、結果的に、光は、例えば、光電子的且つ/又は光機械的スイッチにより、例えば、一度、光ガイド内に結合され、且つ/又は、一度、バックライト内に結合されることになる。スイッチは、例えば、シャッタであってもよく、或いは、傾斜ミラーなどのなんらかの機械的なスイッチであってもよい。又、光源は、望ましい又は適切な列のみがスイッチオンされる状態において、二つの列を形成するように構成されてもよい。
【0070】
更には、(制限観察用の)モードB2において望ましい又は許容される放射方向は、水平方向及び垂直方向について、別個に定義及び実装することができる。例えば、異なる身長の複数の人物がATM上において情報を観察することが意図されている場合などのように、例えば、垂直方向における角度が水平方向におけるものを上回っていることが有用であり得る一方において、横方向からの視野は、大幅に制限しなければならない。これは、特に、例えば、プライバシフィルタなどの光コリメーティング層の選択によって実現される。
【0071】
上述の及び後述される特徴は、本発明の範囲を逸脱することなしに、記述されている組合せにおいてのみならず、その他の組合せにおいても、或いは、スタンドアロン特徴としても、適用可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
以下、その他のものに加えて、本発明に不可欠である特徴をも示す、以下の添付の例示用の図面を参照し、本発明について更に詳細に説明することとする。
【0073】
【
図1】
図1は、光ガイドに横方向において入射結合された光が大きな空間角度内に出射結合される原理を示すスケッチである。
【
図2】
図2は、バックライトに由来する光が光ガイドを通過する原理を示すスケッチである。
【
図3】
図3は、制限観察モード用の動作モードにおけるスクリーンの第一実施形態の原理を示すスケッチである。
【
図4】
図4は、自由観察モード用の動作モードにおけるスクリーンの第一実施形態の原理を示すスケッチである。
【
図5】
図5は、制限観察モード用の動作モードにおけるスクリーンの第二実施形態の原理を示すスケッチである。
【
図6】
図6は、自由観察モード用の動作モードにおけるスクリーンの第二実施形態の原理を示すスケッチである。
【
図7】
図7は、制限観察モード用の動作モードにおけるスクリーンの第三実施形態の原理を示すスケッチである。
【
図8】
図8は、バックライトの有利な一実施形態の原理を示すスケッチであり、この場合には、自由観察モード用の動作モードについて示されている。
【
図9】
図9は、
図8のバックライトの原理を示すスケッチであるが、この場合には、制限観察モード用の動作モードにおけるものである。
【
図10】
図10は、制限観察モード用の動作モードにおいてスクリーンを観察する観察状態の例示用の計測である。
【
図11】
図11は、自由観察モード用の動作モードにおいてスクリーンを観察する観察状態の例示用の計測である。
【
図12】
図12は、スクリーンの第四実施形態における光の射出結合を示す。
【
図13】
図13は、クライトがスイッチオフされた状態における自由観察モード用の動作モードにおけるスクリーンの第四実施形態の原理を示すスケッチである。
【
図14】
図14は、バックライトがスイッチオンされた状態における自由観察モード用の動作モードにおけるスクリーンの第四実施形態の原理を示すスケッチである。
【
図15】
図15は、制限観察モード用の動作モードにおけるスクリーンの第四実施形態の原理を示すスケッチである。
【
図16】
図16は、バックライトがスイッチオンされた状態における自由観察モード用の動作モードにおけるスクリーンの第五実施形態の原理を示すスケッチである。
【
図17】
図17は、光学要素から射出結合された光に関する、異なる空間方向における例示用の輝度分布のグラフである。
【0074】
これらの図面は、縮尺が正確ではない。これらは、原理を示すものに過ぎず、その大部分は、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、光源4から光ガイド3に横方向において入射結合された光―この場合には、断面図において小さなセグメントとして示されている―が、大きな空間角度内に出射結合される原理を示すスケッチである。光は、着色されていてもよい。小さなドットは、光源4から横方向において入射結合された光を散乱させる中心として、散乱粒子を表している。全反射に起因して、入射結合された光の光線(太い矢印によって表されている)は、望ましい出射結合を経験するべく散乱粒子に最終的に衝突する時点まで、外側壁によって反射されると共に光ガイド3内に跳ね返される。この出射結合は、多数の細い矢印によって表されている。十分な理解のために、
図1の表現は、非常に概略的なものであり、実際には、光ガイド3は、極めて多くの数の光線経路をガイドしている。
【0076】
図2は、バックライト2(図面には、示されていない)に由来する光が光ガイド3を通過する原理を示すスケッチである。この場合には、散乱粒子は、基本的に無視可能な役割を演じており、その理由は、光がバックライト2から由来している、即ち、光は、光源4からエッジを通じて横方向において入射結合されてはおらず、且つ、従って、光ガイド3内において、全反射により、往復において、まったく又はほとんど偏向されないからである。
【0077】
図3は、制限観察モード用の動作モードB2におけるスクリーン1の原理を示すスケッチであり、この場合には、透過性イメージャ5が、制限された空間角度を有する光によって照明されており、且つ、光ガイド3からの光(破線矢印によって表されている)は、プライバシ保護効果を機能強化するべく、イメージャ5によって変調された光と重畳されている。イメージャ5は、観察方向において観察された場合にバックライト2の前面において配置されており、これは、例えば、LCDパネル又はなんらかのその他の透過性光変調器であってもよい。観察方向において観察された場合にイメージャ5の前面において配置されている、且つ、これと接触状態にある、或いは、これから所定の距離に位置しているものは、プレート形状の光ガイド3であり、これは、この場合には、透明な熱可塑性又は熱弾性材料及びその内部において分散された散乱粒子から構成されているが、一代替肢又は一補完選択肢として、その面のうちの少なくとも一つの面の上部において出射結合要素が提供されてもよい。光ガイド3のエッジにおいて横方向に配置されているのは、光源4である。
図3においては、光源4は、一つのエッジのみにおいて示されているが、これらは、光ガイド3の反対側のエッジにおいて、或いは、三つの、或いは、場合によっては、すべての四つの、エッジ上において、配置されてもよい。
【0078】
制限観察モード用の動作モードB2においては、バックライトは、制限された角度範囲において光を放出している。光源4は、バックライト2によって制限された角度範囲内に放射され、且つ、次いで、透過性イメージャ5(太い矢印によって
図3に表されている)を通過した、光が、光ガイド3が、いまや、平坦な方式により、大きな角度範囲(即ち、このケースにおいては、少なくとも120度の角度をカバーしている、或いは、光ガイド3の前面において最大でほぼセミ空間まで延在している)内に照射する光(破線によって表されている)によって重畳され、これにより、前記制限された角度範囲外において透過性イメージャ5上において表示された画像の残留視認性が(顕著に)低減される、或いは、場合によっては、完全に除去されるように、スイッチオンされる。
【0079】
又、画像(ここでは示されていない)の画像情報によってイメージャ5によって変調された光は、プライバシ保護効果を機能強化するべく、光ガイドからの着色された光によって重畳されてもよい。「着色された光」は、特に、例えば、赤色、緑色、青色、青緑色、黄色、シアン、又はマゼンタという色の光などのように、白色ではない可視光を意味している。更には、この光は、任意選択により、変化する輝度レベルにおいて放射されてもよい。
【0080】
これに加えて、光源4に由来する光の色及び/又は輝度は、時間に伴って変調することもできる。又、更には、光源4は、同時に、或いは、時間的且つ/又は空間的オフセットを伴って、異なる色の光を放出するLED列内のRGBのLEDなどの様々な個々の光源によって実装することもできる。
【0081】
これとの比較において、
図4は、自由観察モード用の動作モードB1におけるスクリーン1の原理を示すスケッチであり、この場合には、イメージャ5は、制限されてはいない空間角度内の光によって照明されており、且つ、イメージャ5によって変調された光は、光源3に由来する光と重畳されてはいない。
【0082】
自由観察モード用の動作モードB1においては、バックライト2は、制限されていない角度範囲内において光を放出している。動作モードB1とは異なり、光源4は、バックライト3に由来すると共に、次いで、透過性イメージャ5を通過した、光が、基本的に影響を受けることなしに、光ガイド3を通過するように、スイッチオフされている。
【0083】
図5は、制限観察モード用の動作モードB2におけるスクリーン1の第二実施形態の原理を示すスケッチである。この場合には、
図3において示されている実施形態とは異なり、光ガイド3は、少なくとも1mmの距離において、或いは、観察者に更に近接した状態において、イメージャ5の上方において配置されている。光源4も、観察方向において観察された場合にイメージャ5の能動的画像表示エリアの外において、且つ、同時に、イメージャ5の上方の少なくとも1ミリメートルの距離において、光ガイド3と同一の高さにおいて、配置されている。動作モードB2においては、光源4は、スイッチオンされ、且つ、(中空矢印によって
図5において表されている)制限された角度範囲内にバックライト2によって放射されると共に、次いで、透過性イメージャ5を通過した、光は、前記制限された角度範囲外において透過性イメージャ5によって表示される画像の残留視認性が減少するように、イメージャ5が、光ガイド3からの光の放射に起因して、拡散により且つ/又は直接的に、観察空間内に散乱及び/又は反射して戻す(ここでは、短い破線矢印によって表されている)、且つ/又は、光ガイド3によって観察空間内に放射される(ここでは、相対的に長い破線矢印によって表されている)、光により、重畳されている。
【0084】
これとの比較において、
図6は、自由観察モード用の動作モードB1におけるスクリーン1の第二実施形態の原理を示すスケッチであり、この場合には、イメージャ5は、その空間角度が制限されていない光によって照明されており(中空矢印を参照されたい)、且つ、イメージャ5によって変調された光は、光ガイド3から到来する光と重畳されてはおらず、その理由は、光源4がスイッチオフされているからである。
【0085】
図7は、制限された観察モード用の動作モードB2において示されている、本発明によるスクリーン1の第三実施形態の原理を示すスケッチであり、この場合には、イメージャ5は、その空間角度が制限されている光によって照明されており(中空矢印を参照されたい)、この場合に、イメージャ5によって変調された光は、所定の距離において配置された光源4に由来する光と重畳されており(光源4における幅広の矢印を参照されたい)、且つ、次いで、光は、プライバシ保護効果を機能強化するべく、スクリーン表面から、観察空間内に反射又は散乱されている(破線矢印によって表されている)。この場合には、
図5に示されている実施形態とは異なり、光源4は、光ガイド3と同一の高さには位置しておらず、依然として、イメージャ5から更に遠く離れている、或いは、恐らくは、場合によっては、空間内においてスクリーン4から分離されている。
【0086】
以下の節においては、一例として、
図7に示されている実施形態の非常に有用な用途について説明する。自動車においては、ナビゲーション、エンターテインメント、及びその他のデータを表示するスクリーン1は、前部乗員側に配置されている。ナビゲーション用などの運転者にとって重要なデータを表示するべく、本発明によるスクリーン1は、データが運転者及び前部乗員によって観察され得るように、自由観察モード用の動作モードB1にスイッチングすることになろう。但し、スクリーンが乗員用のエンターテインメント媒体として使用されている場合には、表示が運転者の気を散らせる場合があろう。従って、スクリーン1は、好ましくは、運転者が、スクリーン1上において、なにも、又はほとんどなにも、識別することにならず、且つ、従って、運転者の注意が運転手順から離れることのないように、制限観察角度用の動作モードB2にスイッチングされることになろう。本発明に従ってイメージャ5上の画像情報のすべての残留視認性を排除するべく、好ましくは、白色LEDである、一つ又は複数の光源4が提供される。車両内において、これらは、例えば、前部乗員ドア内に設置されてもよい。動作モードB2の場合には、これらの光源4は、なんらかの距離から横方向においてイメージャ5を照明するべく、スイッチオンされる。この結果、運転者にとってのイメージャ5上の表示の残留視認性が、完全に、或いは、少なくともほとんど完全に、除去されることになり、その理由は、上述のように、イメージャ5によって反射又は散乱されて戻る光が、イメージャ5から運転者に向かって出射されるすべての光と重畳し、且つ、従って、これを圧倒(outshine)するからである。好ましくは、この実施形態においては、自動車内のいずれの人物も、自身に対して導かれた光によって悩まされることのないように、光源4には、LEDの前面において、例えば、単純なレンズなどの合焦手段と、適切な防眩遮蔽体と、が提供されている。最適には、光源4に由来する光は、ほとんど完全に、イメージャ5上において入射している。
【0087】
上述のすべての構成において、自由観察モード用の動作モードB1においては、バックライト2は、制限されていない角度範囲内において光を放出している。動作モードB2の場合とは異なり、光源4は、バックライト2に由来すると共に、次いで、透過性イメージャ5を通過した、光が、基本的に影響を受けることなしに、光ガイド3を通過するように、スイッチオフされている。
【0088】
原則的に、プレート形状の光ガイドは、ASTM−D1003に従って計測された、10%未満の、好ましくは、4%未満の、ヘイズ値を有する。更には、特に適切な散乱粒子は、二酸化チタン粒子である。但し、例えば、硫酸バリウムの粒子、シルセスキオキサン粒子、又は架橋ポリスチレン粒子、或いは、その他の種類の粒子などを使用するその他の実施形態も可能である。原則的に、散乱粒子は、光ガイド3が、なんらの不均一な光学構造をも有することのないように、均一に分散されている。更には、プレート形状の光ガイド3は、互いに対向する少なくとも二つの面を有し、且つ、平行に、或いは、互いとの関係において傾斜した状態において、配置されている。ウェッジ形状の構造が可能であるが、平行な面が有利である。
【0089】
平坦な方式によって延在するバックライト2は、例えば、国際特許出願公開第2015/121398号パンフレットにおいて提案されているように、構成されてもよい。
【0090】
この関連において、
図8は、この場合には、自由観察モード用の動作モードB1の場合について示された、バックライト2の有利な一実施形態の原理を示している。相応して、
図9は、制限観察モード用の動作モードB2における
図7のバックライト2の原理を示すスケッチである。
【0091】
このようなバックライト2は、例えば、
−好ましくは、横方向において配置された光源2b、例えば、二つの交差したBEFシートなどの、表面エミッタ2a内に統合され、且つ/又は、その前面において配置された、少なくとも二つの光コリメータ2c、3M(商標)によって製造された二つの交差したモデル2301の光学ライティングフィルム(OLF)、及び/又は、例えば、3M(商標)によって製造されたVikuitiなどの一つ又は複数のプライバシフィルタを有する光ガイドとして構成された表面エミッタ2a、
−観察方向において観察された場合に光コリメータ2cの前面において配置されると共に、その内部において分散された散乱粒子を有する透明な熱可塑性又は熱弾性材料から構成された、プレート形状の、透明な光ガイド2d、並びに、
−光ガイド2dのエッジにおいて横方向に配置された光源2e、
から構成されている。
【0092】
図8に示されている自由観察範囲用の動作モードB2においては、少なくとも光源2eと、この例においては、表面エミッタ2aも、スイッチオンされており、即ち、表面エミッタ2aが光ガイドとして構成されている場合には、当然のことながら、表面エミッタ2aの光源2bも、スイッチオンされることになる。
【0093】
図9に示されている制限観察範囲用の動作モードB2においては、光源2eは、オフであり、且つ、表面エミッタ2aは、オンであり、即ち、表面エミッタ2aが光ガイドとして構成されている場合には、光源2bも、同様にオンである。
【0094】
光ガイド2dにおいて、上述の光ガイド3用の可能な構成が同様に適用される。
図3、
図8、及び
図9における光源2b、2e、及び4における幅広の矢印は、これらの光源がオンであることを示している。光源2b、2e、4は、好ましくは、(冷光)白色LED列である。
【0095】
透明な光ガイド2d、3において、且つ、恐らくは、2bにおいても、使用される散乱粒子は、好ましくは、個々の光ガイドの重量との関係において0.01〜300wt−ppmの濃度における150〜500nmの平均粒子サイズの二酸化チタン粒子である。
【0096】
又、透明な光ガイド2d、3と、恐らくは、2bも、マトリックスプラスチックAと、その内部に分散された状態における、重合体Bの散乱粒子と、から構成することが可能であり、重合体Bの散乱粒子の割合は、マトリックスプラスチックAとの関係において0.01〜3wt−%であり、且つ、重合体Bの屈折率nD(B)は、少なくとも0.002単位だけ、マトリックスプラスチックAの屈折率nD(A)よりも大きい。
【0097】
有利な一実施形態においては、例えば、防眩及び/又は反射防止被覆などの反射を減少させる手段が、イメージャ5の上部表面及び/又は光ガイド3の面のうちの少なくとも一つの面の上部において配置されている。本発明との関連において、特に、防眩被覆は、外部光スポットの直接的な反射を低減するのみならず、イメージャ5に向かって光ガイド3によって放射される光が拡散反射されて戻ることをも許容することになる。
【0098】
既知の実施形態の大部分において、上述の平坦な方式によって延在するバックライト2は、制限観察モード用の動作モードB2においては、制限された角度範囲内に光を放射しているが、この方向選択は、完全な状態からはほど遠く、その結果は、傾斜した状態において観察した際にも、低い輝度及び/又は低い明/暗コントラストではあるものの、このようなバックライトの前面の透過性イメージャ5上において、完全な画像コンテンツを、或いは、その大きな部分を、識別し得るというものである。本発明は、完全に又はほとんど完全に、この不完全性を除去することになる。
【0099】
図5及び
図6による第二実施形態のケースにおいては、光源4は、動作モードB2においてスイッチオンされ、従って、バックライト2によって制限された角度範囲内に放射されると共に、次いで、透過性イメージャ5を通過した、光は、イメージャ5が、光源4からの光によって照射されることに起因して、拡散により且つ/又は直接的に、観察空間内に散乱及び/又は反射して戻す、光と重畳され、これにより、透過性イメージャ5上において表示された画像の、前記制限された角度範囲外における、残留視認性を低減しており、或いは、その他の実施形態においては、制限された角度範囲内にバックライト2によって放射されると共に、次いで、透過性イメージャ5を通過した、光は、前記制限された角度範囲外において、透過性イメージャ5上において提示された画像の残留視認性が低減されるように、イメージャ5が、光ガイド3からの光によって照射されることに起因して、拡散により且つ/又は直接的に、観察空間内に散乱及び/又は反射して戻す光、及び/又は、光ガイド3によって観察空間内に放射される光と、重畳されている。
【0100】
図3及び
図4による第一実施形態のケースにおいては、透過性イメージャ上において表示される画像の、前記制限された角度範囲外における、残留視認性は、制限された角度範囲内にバックライト2によって放射されると共に、次いで、透過性イメージャ5を通過した、光が、広い角度範囲にわたって、平坦な方式により、光ガイドによって放射された―恐らくは、着色された―光と重畳されているという事実により、大幅に低減されている。
【0101】
十分な理解のために、これが、計測データにより、
図10及び
図11において視覚化されている。
図10は、動作モードB2において例示用のスクリーンを観察する視認性の状態のグラフであり、且つ、
図11は、動作モードB1において例示用のスクリーンを観察する視認性の状態のグラフである。
【0102】
両方のグラフにおいて、横座標は、スクリーンの中心から計測された、且つ、垂直方向の二等分線との関係における、観察角度をマーキングしており、縦座標は、相対的な―且つ、従って、単位なしの―発光の輝度値をマーキングしている。又、両方のグラフにおいて、破線の信号曲線は、スクリーンの中央部における白色エリアの計測を表しており、且つ、実線の信号ラインは、スクリーンの中央部における黒色エリアの計測を表している。
【0103】
図10においては、すべての光源が白色のLED(又は、LED列)として構成されている場合には、垂直方向の二等分線との関係において左及び右に+/−30度を超えて阻止された傾斜観察方向からの動作モードB2における知覚可能な画像は、灰色又は白色エリアに対応していることが明白であり、ここで、黒色と白色との間のコントラストは、キャンセルされており、その理由は、光ガイド3自体によって放射された光が、灰色又は白色により、すべての黒色画像コンテンツを視覚的に隠蔽しているからである。信号曲線の解釈との関連において、これは、この計測例の実施形態においては、垂直方向の二等分線との関係において左及び右への+/−30度を超えた観察角度からの黒色及び白色エリアの観察の間の差は、実質的に、もはや存在しておらず、従って、画像コンテンツが、もはや知覚可能ではなく、傾斜した観察に対するプライバシ保護が有効であることを意味している。従来技術との比較において、動作モードB2におけるプライバシ保護は、明白に改善されている。但し、この動作モードにおいては、画像情報がその上部において変調されているイメージャ5の光と重畳された、光ガイド3に由来する光に起因して、画像の黒色−白色遷移におけるコントラストが減少しているが、黒色−白色コントラストは、依然として、例えば、垂直方向の二等分線を中心とした20度未満などの小さな角度に対応する方向からスクリーンを観察するユーザが、明瞭であり且つ明るい画像を認識するべく、十分に明瞭である。
【0104】
これとの比較において、
図11は、動作モードB1においては、別個の視覚的コントラストを傾斜角度から実現することも可能であることを示しており、特に、その理由は、光ガイド3からの光の重畳が存在していないからであり、その理由は、この光ガイドが、この動作モードにおいてなんらの光をも放出しておらず、且つ、光が実質的に影響を受けることなしにイメージャ5を通過することを許容しているからである。
【0105】
図12は、スクリーン1の第四実施形態における、光源4(ここでは、断面図においてのみ、小さなセグメントとして示されている)から光学要素3に横方向において入射結合された光の、可能な最大程度の空間角度内への、出射結合の原理を示すスケッチである。小さなドットは、光源4から横方向において入射結合された光の散乱中心として、散乱粒子を表している。ここで、光ガイド3用の好適な散乱粒子は、光ガイド3の重量との関係において、0.1〜50wt−ppmの、或いは、好ましくは、0.1〜10wt−ppmの、濃度における二酸化チタン粒子であり、並びに/或いは、二酸化チタン粒子は、160〜450nmの、特に好ましくは、170〜400nmの、平均粒子サイズを有する。
【0106】
全反射に起因して、入射結合された光の光線は、最終的に望ましい出射結合を実現する散乱粒子に衝突する時点まで、外側壁から光ガイド3に戻るように跳ね返される。十分な理解のために、
図1における表現は、非常に概略的なものであり、実際には、光ガイド3は、非常に多くの数の光線経路をガイドしている。光ガイド3を通じたバックライト2からの光の通過は、
図2に示されているものに類似している。光が、制御された方式によってバックライト2から到来し、且つ、全反射により、光ガイド内において、往復において、まったく又はほとんど偏向されていないことから、散乱粒子は、この場合には、無視可能な役割を演じている。
【0107】
図13は、自由観察モード用の第一動作モードB1における四つの実施形態によるスクリーン1の原理を示すスケッチであり、この場合には、可能な最大程度の空間角度が照明されており、スクリーン1は、イメージャ5と共に使用されており、且つ、バックライト2は、スイッチオフされている。
図14は、バックライト2がスイッチオンされた状態における、その変化を示しており、黒色矢印は、バックライト2に由来する光を表している。
図14によるバージョンの一変形として、
図16は、第五実施形態の原理を示しており、この場合には、バックライト2の表面からの部分的反射は、点線矢印によって表された、光ガイド3の面から下向きに出射する光のある種のリサイクルをもたらしている。この構成は、光の歩留まりを改善する。最後に、
図15は、制限観察モード用の第二動作モードB2におけるスクリーン1の第四実施形態の原理を示すスケッチであり、この場合には、制限された空間角度が照明されており、この場合にも、スクリーン1は、イメージャ5と共に使用されている。
【0108】
少なくとも二つの動作モード、即ち、自由観察モード用のB1と、制限観察モード用のB2と、において動作する、
図13〜
図16という図面において概略的に示されている本発明のスクリーン1は、主には、平坦な方式によって延在するバックライト2を具備しており、これは、自由観察モード用の動作モードB1においては、制限されていない角度範囲内に光を放射し、且つ、制限観察モード用の動作モードB2においては、制限された角度範囲内に光を放射しており、この場合に、バックライト2に由来する光は、バックライト2の表面法線との関係において45度超の角度内に配置された少なくとも一つの方向において、最大光強度の最大で6%によって放射されている。スクリーン1は、(観察方向において観察された場合に)バックライト2の前面において配置された透過性イメージャ5と、こちらも(観察方向において観察された場合に)バックライト2の前面において配置されると共に、その内部において均一に分散された散乱粒子を有する熱可塑性又は熱弾性材料から構成された、或いは、面のうちの少なくとも一つの面の上部において出射結合要素が提供された、少なくとも一つのプレート形状の光ガイド3と、光ガイド3のエッジにおいて横方向に配置された光源4と、を更に具備する。
【0109】
光ガイド3が散乱粒子を含んでいる場合には、これらは、光ガイド3の重量との関係において0.01〜300wt−ppmの濃度において利用される、150〜500nmの平均粒子サイズの、二酸化チタン、硫酸バリウム、シルセスキオキサン粒子、及び/又は架橋ポリスチレン粒子から構成されている。このケースにおいては、光ガイド3は、その上部において印刷されたなにものをも有しておらず、或いは、光散乱不完全性をも有していない。出射結合要素のケースにおいては、これらは、例えば、エッチングにより、表面上において生成することができる。
【0110】
散乱粒子及びアウトカプリング要素のいずれの場合にも、光ガイドは、バックライト2に由来する光の少なくとも85%に対して透明である。その結果、動作モードB1においては、バックライト2の表面法線との関係において45度〜75度の角度内に配置された方向における自由観察範囲の場合に、光源4から光ガイド3に横方向において進入する光は、表面に対して垂直に光ガイドを出射する光の最大光強度の少なくとも12%によって放射される。(光源がスイッチオンされている場合に)光源4に由来すると共に、その表面の少なくとも一つの地点から光ガイド3を出射した、光は、光ガイドの表面との関係において、α<80度である、少なくとも一つの角度αにおいて、その表面の前記地点において光ガイドの表面に対して垂直に出射する光よりも大きな強度を有する。この場合に、動作モードB2においては、バックライト2は、オンであり、且つ、光源4は、オフであり、動作モードB1においては、少なくとも光源4がオンである。
【0111】
散乱粒子が使用されるケースにおいては、光ガイド3は、その上部において印刷されたなんらのものをも有しておらず、或いは、なんらの光散乱不完全性をも有しておらず、且つ、バックライト2に由来する光の少なくとも85%に対して透明である。その上部において印刷されたなにものか、並びに/或いは、光ガイド3の二つの面のうちの一つの面の上部におけるなんらかの光散乱不完全性、が存在している場合には、これは、動作モードB2において、バックライト2に由来すると共に、光ガイド3を通過した、光を散乱させ、従って、この光は、制限された角度範囲を上回るもの内に放射されることになろう。
【0112】
動作モードB1の場合には、光源4がスイッチオンされることが必須である一方で、バックライト2は、オン又はオフであってもよい。バックライト2がオフである場合には、光源4からの光のみが、制限されていない角度の照明を提供する。但し、光源4及びバックライト2の両方が動作モードB1においてオンである場合には、相対的に大きな輝度を実現することができる。その結果、
図17においてスケッチされているように、(光源がオンである場合に)光源4に由来すると共に、光ガイド3の表面の少なくとも一つの地点から出射した、光が、光ガイド3の表面との関係において、α<80度である、少なくとも角度αにおいて、その表面に対して垂直に光ガイド3の表面の前記地点から出射する光よりも大きな光強度を有することが特に有利である。矢印によってラベル付与されている「I」は、光ガイド3に対する水平方向における個々の角度αにおいて放射される光強度を示している。即ち、この技術的実装形態は、光源4に由来すると共に、スクリーン1の垂直方向の二等分線に沿わない状態においてその最大輝度を有する、光が、バックライト2に由来すると共に、スクリーン1の垂直方向の二等分線にほぼ沿ってその最大輝度を有する、光に対する優れた補完体であり、この結果、―例えば、スクリーン1の前面における横軸の角度スペクトルなどの―少なくとも一つの半角に跨って、光源4のみが動作モードB1のためにスイッチオンされた場合に実現されるものよりも、均一な、且つ、全体として明るい、照明がが得られることを意味している。
【0113】
光ガイド3用の好適な散乱粒子は、光ガイド3の重量との関係において、0.1〜50wt−ppmの、或いは、好ましくは、0.1〜10wt−ppmの、濃度における二酸化チタン粒子であり、且つ/又は、二酸化チタン粒子は、160〜450nmの、或いは、特に好ましくは、170〜400nmの、平均粒子サイズを有する。
【0114】
更には、光ガイド3は、ASTM−D1003に従って計測された、7%未満の、或いは、好ましくは、2%未満の、ヘイズ値を有する。
【0115】
更には、光ガイド3が、その重量との関係において、少なくとも40wt−%のポリメチルメタクリレートを含む、或いは、好ましくは、少なくとも60wt−%のポリメチルメタクリレートを含む、ことが有利である。
【0116】
スクリーン1の別の実施形態は、動作モードB2の場合に、バックライト2からのみ由来すると共に、その表面のすべての地点において観察方向において光ガイド3を出射した、光が、光ガイド3の表面に対して垂直において計測された角度β<30度において(角度βの定義については、
図15をも参照されたい)、且つ、光ガイド3の表面との関係において水平方向の向きにおいて、その表面に対して垂直に光ガイド3の表面のこのような地点から出射する光の光強度の最大で5%を有するようにしている。特に好ましくは、バックライト2には、これに加えて、バックライト2によって放出される光の角度が制限された放射特性を実現するべく、光をコリメートする光学層が提供される。
【0117】
バックライト2は、好ましくは、例えば、光コリメータとして又は空間光フィルタとして機能する、永久的なプライバシフィルタ(例えば、3M(商標)によって製造されるVikuiti(商標)又はShin Etsu(商標)によって製造されるLCF)がその上部において提供される、サイドライト、エッジライト、直接的なLEDバックライト、エッジLEDバックライト、OLED、又はなんらかのその他の表面エミッタであり、永久的なプライバシフィルタは、通過した光が、基本的に、制限された角度範囲内においてのみ、バックライト2によって照射されるようにしている。少なくとも一つのコリメーティング層に加えて、90度の角度において交差した、3M(商標)によって製造される「光学ライティングフィルム」(OLF)のモデル2301のタイプのコンポーネントが、事前コリメーションを実現するべく、且つ、光を束ねるべく、提供されてもよい。
【0118】
図5の破線矢印によって示唆されているように、光ガイド3の下方の最も近接した光学コンポーネントが、動作モードB1において光ガイド3から下向きに出射する光を少なくとも部分的に反射する表面を有し、且つ、この結果、下向きに放射された光が、光ガイド3内に少なくとも部分的に反射されて戻り、且つ、これを少なくとも部分的に通過するようにすることが更に可能である。光ガイド3が、その両方の面から、即ち、上向きに且つ下向きに(下向き方向は、バックライト2に対向しているものである)、光を放射することに伴って、これは、ある種の光のリサイクルを提供している。ここでは、前記最も近接した光学コンポーネント、即ち、多くの場合に、バックライト2の光学コリメーション層(例えば、プライバシフィルタ)には、防眩処理が施されてはおらず、或いは、下方から、即ち、バックライト2から、到来する光に対して可能な限り透明である、部分的なミラー化層が提供されることで十分であり得る。
【0119】
光源4は、例えば、LEDである。更には、横方向において配置された光源4から光ガイド3内への光の結合が、少なくとも二つの、好ましくは、反対側の、エッジから実現されることが有用である。
【0120】
光ガイド3の前面において配置されているのは、図面の
図13〜
図16において示されているように、例えば、LCDパネルなどの透過性イメージャ5である。この結果、イメージャ5において、二つの動作モードB1及びB2を同様に実装することができる。この結果、自由観察範囲用の第二動作モードB1において、観察者は、フル分解能において可能な最も広い程度の空間角度から、イメージャ5上の画像を観察することができる。逆に、制限観察範囲用の第二動作モードB2においても、イメージャ5上において表示された画像は、フル分解能において、但し、制限された空間角度からのみ、知覚することが可能であり、これは、プライバシ観察モードに対応している。この結果、照明角度のパラメータの構成に応じて、イメージャ5上において表示された画像の可視エリアも、対応する方式によって制限された空間角度からのみ、観察することができる。
【0121】
透過性イメージャ5の背面表面には、光ガイド3からの光の歩留まりを更に均一化するように、部分的なミラー被覆が提供されることが更に有利である。又、この部分的なミラー被覆も、光ガイド3上の部分的なミラー被覆に類似した方式により、輝度差を補償するべく、変動を特徴とすることが可能であり、或いは、特定のエリア内においてのみ、提供することもできる。
【0122】
又、バックライト2が、「双方向性バックライト」とも呼称される、コリメートされたバックライトとして設計済みであることも有利であり、この場合に、光源は、その光が、上述のように制限された角度範囲内にのみ放射されるものと想定されている。更には、両方の動作モードにおいて、例えば、横方向において配置された光源4などの同一の光源を常に使用することが望ましいものであり得る。その結果、二つの動作モードB1及びB2の間のスイッチングにおいて、光は、交互に変化する方式により、光電子的且つ/又は光機械的スイッチにより、それぞれ、光ガイド3内に、且つ、バックライト2内に、結合される。適切なスイッチは、例えば、シャッタであってもよく、或いは、傾斜可能なミラーなどのなんらかの機械的スイッチング装置であってもよい。又、光源4は、望ましい又は適切である列のみがスイッチオンされる状態において、二つの列を形成するように、構成することもできる。
【0123】
更には、(制限観察用の)モードB2において望ましい又は許容される放射方向は、水平方向及び垂直方向について、別個に定義及び実装することができる。例えば、異なる身長の複数の人物がATM上の情報を観察することが意図されている場合などのように、例えば、垂直方向における角度が水平方向におけるものを上回っていることが有用であり得る一方で、横方向からの視野は、大幅に制限しなければならない。これは、特に、例えば、プライバシフィルタなどの光コリメーティング層の選択により、実現される。
【0124】
スクリーン1の実施形態は、十分に実際的な解決策が、可能な限りわずかな観察角度の制限を有する自由な視野を許容する別の動作モードを提供しつつ、任意選択によって制限された観察角度により、情報の安全な提示を実装できるようにしている。このスクリーン1は、単純な手段により、且つ、低費用において、実装することができる。利用されているイメージャ5の固有の分解能を両方の動作モードB1及びB2において利用することができる。これに加えて、実施形態に応じて、光の損失が、低く維持され、或いは、場合によっては、回避される。
【0125】
透過性イメージャ5を有する上述のスクリーン1は、ATM、支払端末、又はモバイル装置におけるPINの入力又は情報の表示、或いは、モバイル装置上におけるパスワードの入力又はEメール及びSMSテキストの読取りなどの、コンフィデンシャルデータの表示及び/又は入力を促進するべく、使用することができる。
【0126】
原則的に、傾斜した角度からの残留視認性をも示す、従来技術における実施形態とは対照的に、本発明は、実施形態に従って、阻止された観察角度における残留視認性の完全な除去を実現することができる。更には、従来技術とは対照的に、本発明は、ハイパワーのUV光源を必要としてはおらず、(輝度を大幅に低減する)角度が制限された光分布から制限されていないものへの複雑な変換を必要としてはおらず、或いは、複雑なプリズム又はマイクロレンズ構造を必要としてはいない。