(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定する方法であって、前記エッジオン型検出器は、前記X線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された複数の検出素子を有し、前記方法は、
X線検出器によって実行される測定から、前記X線検出器および前記X線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度を表す情報を取得し、前記ファントムは、前記X線源と前記X線検出器との間に位置し、かつX線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計され(S1)、
測定から取得した前記情報と、前記X線検出器、前記X線源、および前記ファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて、X線の方向に対する前記X線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを決定する(S2)、
ことを含む方法。
前記幾何学モデルは、前記線源の位置と、前記X線検出器の位置および配向と、前記ファントムの位置と、前記X線検出器および前記X線源に対する前記ファントムの相対運動を表す幾何学的パラメータとを記述する、請求項1に記載の方法。
前記配向に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、前記X線の方向と前記検出器上のX線ビームの軌跡によって画定される検出面内の線との間の少なくとも1つの角度を含み、前記X線ビームは、前記ファントムの特徴によって画定され、および/または、前記配向に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、前記検出面内の前記線の配向をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
X線源からのX線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された複数の検出素子を有するエッジオン型X線検出器から測定情報を取得する方法であって、前記方法は、
前記X線源と前記X線検出器との間にX線が照射される場合に、X線照射野に方向情報を埋め込むように設計されるファントムを提供し(S11)、
前記X線検出器および前記X線源に対する前記ファントムの相対運動を誘発し(S12)、
前記X線検出器および前記X線源に対する前記ファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度の測定を実行して測定情報を取得する(S13)、
ことを含む方法。
前記相対運動は、前記X線源および前記X線検出器を含む回転システムの回転によって誘発され、および/または、前記相対運動は、前記ファントムの移動によって誘発される、請求項9または10に記載の方法。
X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定するように構成されたシステム(100;200)であって、前記エッジオン型検出器は、前記X線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された複数の検出素子を有し、
前記システム(100;200)は、前記X線検出器によって実行される測定から、前記X線検出器および前記X線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度を表す情報を取得するように構成され、前記ファントムは、前記X線源と前記X線検出器との間に位置し、かつX線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計され、
前記システム(100;200)は、測定から取得した前記情報と、前記X線検出器、前記X線源、および前記ファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて、前記X線の方向に対する前記X線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを決定するように構成される、システム。
コンピュータによって実行される場合に、X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定するコンピュータプログラム(225;235)であって、前記エッジオン型検出器は、X線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された複数の検出素子を有し、前記コンピュータプログラムは、命令を含み、前記コンピュータによって実行される場合に、前記命令によって前記コンピュータは、
前記X線検出器によって実行される測定から、前記X線検出器および前記X線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置の前記X線の強度を表し、前記ファントムは、前記X線源と前記X線検出器との間に位置し、かつ前記X線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計される情報を読み出し、
前記測定から取得した前記情報と、前記X線検出器、前記X線源および、前記ファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて、前記X線の方向に対する前記X線検出器の前記配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを決定する、コンピュータプログラム。
【背景技術】
【0002】
X線撮像などのX線写真撮像は、医療用途および非破壊検査において長年使用されてきた。
【0003】
通常、X線撮像システムは、X線源と、1つ以上の検出素子(X線強度/フルエンスを測定する独立した手段)を備える複数の検出器からなるX線検出器アレイとを含む。X線源は、撮像される被験体または物体を通過して検出器アレイによって検知されるX線を放射する。いくつかの材料は他の材料よりも大きな割合のX線を吸収するので、被験体または物体の画像が形成される。
【0004】
一般に使用されるX線撮像システムの一例は、X線コンピュータ断層撮影(CT)システムであり、このシステムは、X線のファンビームまたはコーンビームを生成するX線管と、患者または物体を透過するX線の割合を測定するX線検出器の対向アレイとを含んでもよい。X線管および検出器アレイは、撮像された物体の周囲を回転するガントリに取り付けられる。ファンビームCTのジオメトリの図を
図3に示す。所与の回転位置について、各検出素子は特定の投影線に関する透過X線を測定する。このような測定は投影測定と称される。多くの投影線の投影測定値の集合をサイノグラムと称する。サイノグラムデータは、画像再構成を介して利用され、画像化された物体の内部の画像が得られる。反復再構成または基底物質分解などの特定の種類の画像再構成は、撮像システムを詳細に記述するいわゆる順モデルの形成を必要とする。
【0005】
検出器アレイの寸法およびセグメント化は、CT装置の撮像能力に影響を与える。ガントリの回転軸の方向、すなわち
図3のz方向の複数の検出素子はマルチスライス画像の取得を可能にする。角度方向の複数の検出素子(
図3のξ)は、同一平面において複数の投影を同時に測定することを可能にし、これはファン/コーンビームCTに適用される。ほとんどの従来の検出器は、いわゆるフラットパネル型検出器であり、スライス(z)方向および角度(ξ)方向に検出素子を有することを意味する。
【0006】
低Z材料から製造されたX線検出器は、CTで使用されるのに十分な検出効率を有するようにX線ビームの方向に実質的な厚さを有する必要がある。これは、例えば米国特許第8,183,535号明細書に記載の「横向きの」ジオメトリを用いて解決することができ、該特許文献では、検出器アレイが、衝突するX線にエッジを向けて配向された低原子番号材料の薄膜ウエハを含む多数の検出器から構成されている。一般的には、各検出器はウエハの二次元格子上に複数の検出素子を有している。
図3に概略的に示されるように、各個々のウエハは、例えばスライス方向(z)およびX線方向の検出素子を有するように配向される。半導体検出器の横向きのジオメトリもまた、米国特許第4,937,453号明細書、米国特許第5,434,417号明細書、米国特許出願公開第2004/0251419号明細書、および国際公開第2010/093314号パンフレットにおいて提案されている。X線の方向に対して僅かな角度で配向されたウエハ検出器もまた、通常は「エッジオン型」という用語に含まれる。
【0007】
エッジオン型検出器が設計通りに機能するためには、検出器が衝突するX線の方向に対するように、または少なくとも検出器の配向が把握されかつ考慮されるように設計されることが一般的に重要である。検出器の取り付けおよびX線管の焦点の位置が不確実であるために、各検出器がX線の方向に対して所望の通りに整列しているかどうかは定かではない。検出器がX線の方向に対して誤整列したまま補正されていない場合、例えば検出効率の低下、空間分解能の低下、画像再構成における不正確な順モデル、さらには画質の低下の原因となりかねない。X線の方向に対する検出器の配向を推定することができる場合、画像取得の前または後のいずれかに補正を行うことができる。
【0008】
米国特許出願公開第2014/0211925号明細書、米国特許第8622615号明細書および米国特許出願公開第2014/0153694号明細書は、較正用のファントムまたは装置を使用するフラットパネル型検出器の幾何学的較正に関する。しかし、従来のフラットパネル型検出器では、X線の方向は性能に大きな影響を与えない。
【0009】
米国特許第5,131,021号明細書、米国特許第8,262,288号明細書、米国特許第6,370,218号明細書、米国特許第5,469,429号明細書、米国特許第5,131,021号明細書は、X線管の焦点の位置の較正および/または調整に関する。
【0010】
しかし、先行技術には、CT用のエッジオン型検出器の配向に関連するパラメータを決定する方法が全く記載されていない。
【0011】
国際公開第2010/093314号パンフレットは、上部および下部のセグメントにおいて検出されたX線の予想される比率のモデルに基づいて、X線の方向にセグメント化された半導体検出素子の機械的な誤整列を測定し、かつ補正する可能性を述べているに過ぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定する方法を提供することが目的である。
【0014】
また、X線源からのX線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された複数の検出素子を有するエッジオン型X線検出器から、測定情報を取得する方法を提供することも目的である。
【0015】
別の目的は、X線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを推定する方法を提供することである。
【0016】
さらに別の目的は、エッジオン型X線検出器および/またはX線源の焦点の移動の影響を予測する方法を提供することである。
【0017】
さらに別の目的は、X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定するように構成されたシステムを提供することである。
【0018】
また、コンピュータによって実行される場合に、X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定するコンピュータプログラムを提供することも目的である。
【0019】
別の目的は、対応するコンピュータプログラム製品を提供することである。
【0020】
改善されたX線測定システムを提供することもまた目的とする。
【0021】
これらの目的および他の目的は、提案した技術の実施形態によって満たされる。
【0022】
本発明者らは、X線の方向の検出器の大きさに起因するエッジオン型検出器の追加の次元が、撮像設定の完全な幾何学的記述を得るために決定する必要がある1つ以上の追加のパラメータを導入することを認識している。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1の態様によれば、X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定する方法が提供される。エッジオン型検出器は、X線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された複数の検出素子を有する。
【0024】
この方法は、
X線検出器によって実行される測定から、X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度を表す情報を取得し、ファントムは、X線源とX線検出器との間に位置し、かつX線が照射される場合にX線照射野(x-ray field)に方向情報を埋め込む(embed)ように設計され、
測定から取得した情報と、X線検出器、X線源、およびファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを決定する、
ことを含む。
【0025】
このようにして、多くの異なる目的のために用いることができる有用な情報を効率的に得ることができる。
【0026】
一例として、X線検出器の配向に関連付けられた1つ以上のパラメータを、例えばX線管の焦点の調整、個々の検出器の配列の調整、反復画像再構成に使用される順モデルの改善、および/または後処理による測定データの補正に関してシステム較正を実行するために使用することができ、この後処理は、測定データをサイノグラム空間の格子上に補間することを含んでもよい。
【0027】
第2の態様によれば、また、X線源からのX線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された検出素子を有するエッジオン型X線検出器から、測定情報を取得する方法が提供される。
【0028】
この方法は、
X線源とX線検出器との間にX線が照射される場合に、X線照射野に方向情報を埋め込むように設計されるファントムを提供し、
X線検出器およびX線源に対するファントムの相対運動を誘発し、
X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度の測定を実行して測定情報を取得する、
ことを含む。
【0029】
このようにして、例えばエッジオン型X線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを推定するため、または、エッジオン型X線検出器および/またはX線源の焦点の移動の影響を予測するために使用することができる有用な測定情報を、効率的に取得することができる。
【0030】
第3の態様によれば、X線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを、第2の態様による方法によって取得した測定情報に基づいて推定する方法が提供される。
【0031】
第4の態様によれば、第2の態様による方法によって取得された測定情報に基づいて、エッジオン型X線検出器および/またはX線源の焦点の移動の影響を予測する方法が提供され、この測定は、X線検出器および/または焦点の異なる位置で行われる。
【0032】
第5の態様によれば、X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定するように構成されたシステムを提供する。エッジオン型検出器は、X線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された検出素子を有する。システムは、X線検出器によって実行される測定から、X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度を表す情報を取得するように構成され、ファントムは、X線源とX線検出器との間に位置し、かつX線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計される。システムは、測定から取得した情報と、X線検出器、X線源、およびファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを決定するように構成される。
【0033】
第6の態様によれば、コンピュータによって実行される場合に、X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定するコンピュータプログラムが提供され、エッジオン型検出器はX線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された検出素子を有する。コンピュータプログラムは命令を含み、コンピュータによって実行される場合に、この命令によってコンピュータは、
X線検出器によって実行される測定から、X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度を表し、ファントムがX線源とX線検出器との間に位置し、かつX線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計される情報を読み出し、
測定から取得した情報と、X線検出器、X線源、およびファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを決定する。
【0034】
第7の態様によれば、上記で定義したコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0035】
第8の態様によれば、
X線源からのX線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された検出素子を有するエッジオン型X線検出器と、
X線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計され、X線源とX線検出器との間に配置されたファントムと
を含むX線測定システムが提供され、
ファントムの相対運動は、X線検出器およびX線源に対して誘発されることがあり、
X線測定システムは、X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度の測定を実行して測定情報を取得するように構成される。
【0036】
詳細な説明を読むと他の利点が理解されるであろう。
【0037】
実施形態は、そのさらなる目的および利点とともに、添付の図面と併せた以下の説明を参照することによって最良に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面全体を通して、類似の要素または対応する要素には同じ参照記号が使用されている。
【0040】
第1の態様によれば、X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定する方法が提供される。エッジオン型検出器は、X線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された検出素子を有する。
【0041】
図1を参照すると、この方法は、
S1:X線検出器によって実行される測定から、X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度を表す情報を取得するステップであって、ファントムがX線源とX線検出器との間に位置し、かつX線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計される、取得するステップと、
S2:測定から取得した情報と、X線検出器、X線源、およびファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを決定するステップと
を基本的に含む。
【0042】
このようにして、多くの異なる目的のために用いることができる有用な情報を効率的に得ることができる。
【0043】
一例として、X線検出器の配向に関連付けられた1つ以上のパラメータを、例えばX線管の焦点の調整、個々の検出器の配列の調整、画像再構成に使用される順モデルの改善、および/または後処理による測定データの補正に関してシステム較正を実行するために使用することができる。
【0044】
一例として、幾何学モデルは、線源の位置と、X線検出器の位置および配向と、ファントムの位置と、X線検出器およびX線源に対するファントムの相対運動を表す幾何学的パラメータとを記述してもよい。
【0045】
特定の例では、幾何学モデルは、検出器に対するファントムからの軌跡または陰影の移動を予測することができる。軌跡とは、ファントムによって画定されたX線照射野における特徴と検出器ウエハとの交差を意味する。
【0046】
基本的な例では、全体的なX線検出器の配置は、通常は、入射するX線にエッジを向けて配向された検出器ウエハである複数のエッジオン型X線検出器の検出器アレイに基づいている。各検出器のウエハは、いわゆるスライス方向(
図3のz)において、さらには実質的にX線方向において検出素子を有する。本明細書では、「検出面」は、一般的には検出器ウエハの平面として見なされる。
【0047】
例えば、配向に関連付けられた1つ以上のパラメータは、X線の方向と検出器上のX線ビームの軌跡によって画定される検出面内の線との間の少なくとも1つの角度を含み、X線ビームはファントムの特徴によって画定される。
【0048】
配向に関連付けられた1つ以上のパラメータは、前記検出面内の前記線の配向をさらに含んでもよい。
【0049】
特定の例では、エッジオン型検出器は一般的に2つの方向において素子を有し、エッジオン型検出器の方向のうちの1つはX線の方向において成分を有する。
【0050】
X線照射野に方向情報を埋め込む、多くの異なる種類のいわゆるファントムを使用することができる。例えばファントムは、X線減衰シートに少なくとも1つの孔および/またはエッジを含むか、または少なくとも1つの玉軸受を含んでもよい。換言すれば、1つ以上の孔がファントムに画定されてもよく、ファントムの1つ以上のエッジまたは玉軸受が使用されてもよい。
【0051】
特定の例では、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた1つ以上の決定パラメータを使用して、画像再構成に使用される順モデルを改善してもよい。
【0052】
別の例では、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた1つ以上の決定パラメータを使用して、X線管の焦点の位置を特定してもよい。
【0053】
例えばこの方法は、画質の観点から焦点の最適位置を発見するステップをさらに含んでもよい。
【0054】
さらに別の例では、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた1つ以上の決定パラメータを使用して、検出器アレイの個々のX線検出器を調整してもよい。
【0055】
また、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた1つ以上の決定パラメータを使用して、投影空間におけるオーバーサンプリングが達成されるようにX線検出器の検出素子をX線の方向に意図的に誤整列させてもよい。
【0056】
第2の態様によれば、また、X線源からのX線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された検出素子を有するエッジオン型X線検出器から、測定情報を取得する方法が提供される。
【0057】
図2を参照すると、この方法は、
S11:X線源とX線検出器との間にX線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計されるファントムを提供するステップと、
S12:X線検出器およびX線源に対するファントムの相対運動を誘発するステップと、
S13:X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度の測定を実行して測定情報を取得するステップと
を基本的に含む。
【0058】
このようにして、例えばエッジオン型X線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを推定するため、または、エッジオン型X線検出器および/またはX線源の焦点の移動の影響を予測するために使用することができる有用な測定情報を、効率的に取得することができる。
【0059】
一例として、ファントムは、X線減衰シートに少なくとも1つの孔および/またはエッジを含むか、または少なくとも1つの玉軸受を含んでもよい。
【0060】
特定の例では、相対運動はX線源およびX線検出器を含む回転システムの回転によって誘発され、および/または相対運動はファントムの移動によって誘発される。
【0061】
第3の態様によれば、X線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを、第2の態様による方法によって取得した測定情報に基づいて推定する方法が提供される。
【0062】
一例として、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、取得した測定情報と、X線検出器、X線源、およびファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて決定される。
【0063】
特定の例では、幾何学モデルは、線源の位置と、X線検出器の位置および配向と、ファントムの位置と、X線検出器およびX線源に対するファントムの相対運動を表す幾何学的パラメータとを記述する。
【0064】
一例として、幾何学モデルは、検出器に対するファントムからの軌跡または陰影の移動を予測することができる。
【0065】
例えば、配向に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、X線の方向と検出器上のX線ビームの軌跡によって画定される検出面内の線との間の少なくとも1つの角度を含んでもよく、X線ビームはファントムの特徴によって画定される。
【0066】
任意選択として、配向に関連付けられた前記少なくとも1つのパラメータは、前記検出面内の前記線の配向をさらに含む。
【0067】
特定の例では、エッジオン型検出器は2つの方向において素子を有し、エッジオン型検出器の方向のうちの1つはX線の方向において成分を有する。
【0068】
X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた1つ以上の推定パラメータは、様々な目的に利用することができる。
【0069】
一例として、ガントリに取り付ける検出器の品質は、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた1つ以上の推定パラメータに基づいて評価することができる。
【0070】
別の例では、線源/検出器システムの順モデルの入力パラメータは、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた1つ以上の推定パラメータに基づいて較正することができる。
【0071】
さらに別の例では、投影測定値の位置などのX線源検出器システムの空間的構成を記述する幾何学的パラメータは、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた1つ以上の推定パラメータに基づいて較正される。
【0072】
また、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた1つ以上の推定パラメータに基づいて、X線測定データの補正を実行することも可能である。
【0073】
第4の態様によれば、第2の態様による方法によって取得された測定情報に基づいて、エッジオン型X線検出器および/またはX線源の焦点の移動の影響を予測する方法が提供され、この測定は、X線検出器および/または焦点の異なる位置で行われる。
【0074】
特定の例では、X線検出器の位置および/またはX線源の焦点について少なくとも1つの補正値が計算される。
【0075】
例えば前記少なくとも1つの補正値を、X線検出器の位置、焦点、またはその両方の物理的調整の基礎として使用してもよい。
【0076】
一例として、X線源の位置の空間補正値を、検出器アレイ内の1つ以上のX線検出器の誤整列誤差を同時に最小化するために計算してもよい。
【0077】
以下では、様々な非限定的な例を参照して、提案した技術を説明する。なお、本発明はこれに限定されない。
【0078】
この例示的な実施形態では、検出器アレイは中心軸を中心に回転するCTガントリに取り付けられる。
図3によって一般的なジオメトリが説明されているが、この図では、
【数1】
軸は回転軸を定義し、
【数2】
軸および
【数3】
軸は中央のスライス面を定義し、角度Θはガントリの回転位置を定義し、角度ξは検出器アレイ内の検出器の位置を定義する。
【0079】
X線源は、回転中心から距離を置いてガントリの一方の側に位置する。検出器アレイは、X線源に面するガントリの反対側に取り付けられる。X線源および検出器アレイの両方はガントリと共に回転する。
【0080】
検出器は、例えば二次元(
図5)において複数のピクセルを含み、かつ横向きに取り付けられている半導体ウエハである。
図5のベクトル
【数4】
および
【数5】
は検出面にあり、
【数6】
は検出面の法線である。検出器の横向き取り付けの一例には、例えば線源が検出器の前列の中央に衝突した場合に、X線が
【数7】
軸に沿って移動するように線源が
【数8】
軸上にある場合が挙げられる。
【0081】
本発明のこの例示的な実施形態では、X線を吸収するファントム物体は、ガントリの内側の中心から外れた位置に静止状態で配置される。物体は、例えば複数の孔を含む金属板または高減衰ビーズセットであってもよい。物体は、「陰影」を作り出すことによってX線照射野に方向情報を埋め込む。換言すれば、減衰物体はX線の方向に直交するX線照射野に勾配を作り出し、したがってファントムの後方のX線照射野の勾配における識別可能な特徴によってX線の方向を画定する。簡略化のみのために以下では、ファントムが単一のX線ビームを生成する高減衰シート内に画定された単一の孔を有すると仮定する。ファントムは、孔から回転軸までの径方向の距離が可能な限り正確に分かるようにガントリ内に配置される。
【0082】
ガントリを回転させ、かつファントムを静止状態に保つ場合、X線のビームは、孔の中心から外れた位置のために検出器アレイに対して移動する。ここで、各回転位置θ
kで検出器を用いて測定を行うと仮定し、測定は、検出素子を通過するX線の強度に比例する検出素子ごとに信号を生成する。データ表現は、一般的には各回転位置θ
kに対する検出器上の検出素子ごとのX線強度の測定値のアレイで構成される。
図6は、単一のX線ビームが、ガントリが回転する検出器を通過する場合のデータ表現を視覚化している。
【0083】
本発明には、幾何学的な議論を用いた、検出器に対するX線の方向を推定するための上述の前記測定値の利用が含まれる。この方法の一例を
図7のフローチャートによって説明する。検出器に対するX線の方向を推定するステップを実行する多くの可能な方法が存在する。
図7を参照すると、このような方法の非限定的な例が示されている。
【0084】
検出器に対するX線の方向を推定するために、検出器、光源、およびファントムの相対位置に関して仮定する。X線源の焦点の位置は点
【数9】
でモデル化され、検出器の配向状態は点
【数10】
および
図5に示すような検出面
【数11】
および
【数12】
内の2つのベクトルによってモデル化され、これにより、各検出素子の位置を
【数13】
と表すことができ、式中、x
iおよびy
iは検出器のモデルから判明する。簡略化のために、検出素子は正方形の格子上にあると仮定するが、説明した方法を、検出素子が正方形の格子上にない場合に適用するように容易に適合させることができる。共通のx座標を含む検出素子を、以降では検出器列と呼ぶ。全ての位置は、検出器および線源が静止するようにガントリと共に回転する座標系で表現される。回転軸はz軸として定義される。
【0085】
図4は、本明細書で使用されるX線の方向に対する検出器の誤整列を記述するパラメータの定義を示している。X線が検出器の前面に衝突した場合のX線の方向が基準として使用される。角度βは、ガントリの回転中に検出器を通過する際のX線ビームの軌跡に近似する線の配向を表している。角度γは、検出器におけるビームの軌跡周囲の検出器の配向を表している。回転角度の関数としてのX線強度の前記測定値は、単一のX線ビームが使用される場合は角度γに対して不変である。ファントム内のエッジを回転軸と整列させ、かつ検出器の左右の側がエッジからの陰影に衝突する場合を比較することによって、角度γを推定することができる。しかし、角度γは、エネルギー応答および検出効率の点で検出器の性能に関して重要な役割を果たさないことに留意されたい。以降に説明する方法は、角度αを推定するのに役立つ。
【0086】
ファントムの孔の位置は、(
図4においてそれぞれφ
1およびφ
2によってrと決定されるp
1およびp
2として示された)
【数14】
によってモデル化され、回転座標系において
【数15】
で回転し、式中、ωはガントリの角速度である。これは、与えられたφについて、ファントムの孔によって生成されたビーム中のX線が、k>0の線
【数16】
に沿って移動することを意味している。
【0087】
X線ビームが
【数17】
の検出器のi番目の列と交差するように、検出器が取り付けられていると仮定する。検出器が横向きに整列している場合、X線ビームは同じ値のΘについて全ての列と交差する。一方、検出器が線源に対して誤整列している場合、X線ビームは異なる値のθについて異なる列と交差する。
【0088】
まず、各検出器列について、例えば測定されたX線強度のガウシアンフィッティングを用いて、列に沿った位置と、ビームと列との交差が最大となる回転角度(θ)とを決定する。これらの値をそれぞれ
【数18】
および
【数19】
と称する。
【0089】
X線ビームが第1の検出器列と交差する位置を以下のようにモデル化する。
【数20】
X線ビームが第1の検出器列と交差する瞬間のファントム(
【数21】
)における孔の位置は、線
【数22】
と
【数23】
との間にあり、かつ
【数24】
を満たさなければならない。式中、rはファントムにおける孔と回転軸との間の直交距離である(
図2参照)。
【0090】
【数25】
を得るために、qについて式
【数26】
を解き、ビーズが検出器付近にある場合はqについてより小さな解を選択し、逆もまた同様に、ビーズが検出器から離れている場合はqについてより大きな解を選択する。ここで、
【数27】
は次のように与えられる。
【0091】
【数28】
式中、q
*は(0.1)の解から得られる。測定された回転角度
【数29】
【0092】
の関数としてのファントム上の孔の位置は、以下のようにモデル化することができる。
【0093】
【数30】
式中、
【数31】
はz軸の周囲を回転するので、z成分は全てのiについて等しくなり、
【数32】
および
【数33】
である。
【0094】
X線ビームの範囲は、k>0の線
【数34】
によってモデル化することができる。X線ビームと検出器列とが交差する位置間の相対的な長さは、
【数35】
によって与えられる。したがって、X線ビームが検出器と交差する位置は、kについて式
【数36】
を解き、かつ
【数37】
によってX線ビームが検出器列と交差する位置を推定することによって得ることができる。
【0095】
ファントムの孔が回転すると、ビームは円錐形の面に沿って移動する。錐面の大きさおよび形状は、回転軸および線源に対する孔の位置に依存する。ファントム物体を適切に選択することによって、検出器の誤整列を少なくし、かつ円錐形の曲率を非常に小さくできることを考慮すると、ビームが検出器と交差する位置は直線上にあり、極めて良好な近似をとる。
【0096】
したがって、点集合
【数38】
に適合し、かつ検出面内にある線を画定する方向ベクトル
【数39】
を形成することができる。点
【数40】
を通過する場合のX線の方向は
【数41】
によって与えられる。角度αは、次の式で推定することができる。
【0097】
【数42】
モデルおよび/または測定における小さな誤差は、この方法の結果に実質的に影響しないことを示すことができる。検出器は検出器ガントリのモデルに従って取り付けられているので、上述の相対位置がミリメートル以内のかなり高い精度まで公知であると仮定することは公平である。
【0098】
測定情報を利用する別の例示的な方法は、X線源の焦点の最適な位置決めに関し、すなわち検出器を正確に横向きに整列させる位置に関する。検出器が移動し、かつ焦点が静止している(いくつかの変更を含む)同様の方法もまた可能である。これは、単純な計算によって焦点を平行移動させる方向を認識している場合に、例えば上述の方法を用いて行うことができる。しかし、焦点を平行移動させることができる方向は(検出器座標系において)一般に認識されておらず、また、上述の方法は誤差を誘発する可能性があるモデルを使用している。代わりに、この方法では、焦点が移動された場合にビームが検出器を通過する際のビーム測定値の変化を追跡し、かつシステムの幾何学モデルを使用することなく焦点の最適位置を計算する。
【0099】
本明細書では、ビームが検出器を通過する際の検出器に対するビームの局所運動が線形であり、すなわちビームが回転されずに平行移動されるのみであると仮定する。検出器が一般的に薄膜ウエハ(厚さ約0.5mm)であり、かつX線に対してほぼ横向きに整列していることを考慮すると、ビームは検出器を極めて一時的に通過し、運動の線形性は良好な近似である。しかし、本明細書に記載の方法のようなモデルを使用することなく、ビームを検出器に対して平行移動させる方向を認識することはできない。また、ビームを検出器に対して平行移動させる速度も認識することができない。
【0100】
【数43】
が運動の方向を表す座標系
【数44】
を紹介する。軸
【数45】
は
【数46】
および/または
【数47】
に対して傾斜する可能性がある。この座標系では、ビームがi番目の検出器列と交差する位置を
【数48】
と定義(定義については上述を参照)し、傾斜座標系v
’におけるX線の方向は点p
i’への線形回帰によって与えられる。ここで、焦点の3つの異なる位置、すなわちヌル位置、および線形独立方向(T
1およびT
2)におけるヌル位置からの焦点の2つの平行移動についてv
’を測定する。測定されたベクトルをv
0’、v
1’、v
2’と称する。本方法は、焦点k
1T
1+k
2T
2の平行移動が検出器を横向きに整列させるように、係数k
1およびk
2を得ることを目的とする。検出器を横向きに整列させる状態は、
【数49】
の状態、すなわちv
’のz成分およびy成分がゼロの状態である。この状態が発生する時期を予測するために、x=定数の平面へのv
’の投影が焦点の平行移動とともに直線移動し、極めて良好な近似をとることに注目する。したがって、
【数50】
によってベクトルv
’をx=1の平面に投影し、k
1およびk
2の関数としてのsを次のように表すことができることを見出す。
【0101】
【数51】
整列状態は
【数52】
および
【数53】
によって定義される。したがって、以下の一次方程式を解くことによって検出器を整列させるk
1およびk
2の値を得ることができる。
【0102】
【数54】
本明細書に記載の方法および装置は、様々な方法で組み合わせて再配置することができることが理解されるであろう。
【0103】
例えば実施形態は、ハードウェア、または適切な処理回路によって実行するためのソフトウェア、またはそれらの組み合わせにおいて実施されてもよい。
【0104】
本明細書に記載のステップ、機能、手順、モジュールおよび/またはブロックは、汎用電子回路および特定用途向け回路の両方を含む離散回路または集積回路の技術などの任意の従来技術を使用したハードウェアで実施することができる。
【0105】
特定の例には、例えば特殊機能を実行するために相互接続された離散論理ゲート、または特定用途向け集積回路(ASIC)などの、1つ以上の適切に構成されたデジタル信号プロセッサおよび他の既知の電子回路が含まれる。
【0106】
あるいは、本明細書に記載のステップ、機能、手順、モジュールおよび/またはブロックの少なくとも一部は、例えば1つ以上のプロセッサまたは処理装置などの適切な処理回路によって実行するためのコンピュータプログラムなどのソフトウェアで実施することができる。
【0107】
処理回路の例には、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、1つ以上の中央処理装置(CPU)、ビデオ加速ハードウェア、および/または、1つ以上のフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、または1つ以上のプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)などの任意の適切なプログラマブル論理回路が含まれるが、これらに限定されない。
【0108】
また、提案した技術が実装される任意の従来の装置またはユニットの一般的な処理能力を再利用することが可能な場合もあることが理解されるべきである。また、例えば既存のソフトウェアを再プログラミングすることによって、または新しいソフトウェアコンポーネントを追加することによって、既存のソフトウェアを再利用することも可能である。
【0109】
第5の態様によれば、X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定するように構成されたシステムを提供する。エッジオン型検出器は、X線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された検出素子を有する。システムは、X線検出器によって実行される測定から、X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度を表す情報を取得するように構成され、ファントムは、X線源とX線検出器との間に位置し、かつX線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計される。システムは、測定から取得した情報と、X線検出器、X線源、およびファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを決定するように構成される。
【0110】
特定の例では、システム100はプロセッサ110とメモリ120とを含み、メモリはプロセッサによって実行可能な命令を含み、それによってプロセッサは、
図8に示すようにエッジオン型検出器の配向に関連付けられたパラメータを決定するように動作可能である。任意選択として、システムは入力データを受け取り、かつ結果として生成される出力データを出力するための入力/出力インタフェースを備える。
【0111】
この特定の例では、本明細書に記載のステップ、機能、手順、モジュールおよび/またはブロックの少なくとも一部は、1つ以上のプロセッサを含む処理回路によって実行するためにメモリにロードされるコンピュータプログラムで実施される。プロセッサおよびメモリは相互接続されて、通常のソフトウェアの実行を可能にする。任意の入力/出力装置をプロセッサおよび/またはメモリに相互接続させて、入力パラメータおよび/または結果として生成される出力パラメータなどの関連データの入力および/または出力を可能にしてもよい。
【0112】
「プロセッサ」という用語は、特定の処理、決定または計算のタスクを実行するためにプログラムコードまたはコンピュータプログラム命令を実行可能な任意のシステムまたは装置として一般的な意味で解釈されるべきである。
【0113】
したがって、1つ以上のプロセッサを含む処理回路は、コンピュータプログラムを実行する場合に、本明細書で説明するような明確な処理タスクを実行するように構成される。
【0114】
処理回路は、上述のステップ、機能、手順および/またはブロックを実行するためだけに専用である必要はなく、他のタスクを実行することもできる。
【0115】
図9は、一実施形態によるコンピュータ実装の別の例を示す概略図である。
【0116】
第6の態様によれば、コンピュータによって実行される場合に、X線源からのX線の方向に対するエッジオン型X線検出器の配向を少なくとも部分的に決定するコンピュータプログラムが提供され、エッジオン型検出器はX線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された検出素子を有する。コンピュータプログラムは命令を含み、コンピュータによって実行される場合に、この命令によってコンピュータは、
X線検出器によって実行される測定から、X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度を表し、ファントムがX線源とX線検出器との間に位置し、かつX線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計される情報を読み出し、
測定から取得した情報と、X線検出器、X線源、およびファントムの空間的構成の幾何学モデルとに基づいて、X線の方向に対するX線検出器の配向に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを決定する。
【0117】
提案した技術はまた、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体220および230を含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0118】
一例として、ソフトウェアまたはコンピュータプログラム225および235は、具体的には不揮発性媒体などの通常はコンピュータ可読媒体220および230上に保持されるかまたは記憶されるコンピュータプログラム製品として実現されてもよい。コンピュータ可読媒体は、1つ以上の取外し可能なメモリ装置または取外し不可能なメモリ装置を含んでもよく、例えば、読取専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)記憶装置、フラッシュメモリ、磁気テープ、または任意の他の従来のメモリ装置が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、コンピュータプログラムは、処理回路によって実行するためにコンピュータまたは同等の処理装置の動作メモリにロードされてもよい。
【0119】
本明細書に提示するフロー図または図は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合、コンピュータフロー図または図と見なすことができる。対応する機器、システムおよび/または装置は、機能モジュール群として定義されてもよく、プロセッサによって実行される各ステップは機能モジュールに対応する。この場合、機能モジュールはプロセッサ上で動作するコンピュータプログラムとして実装される。したがって、機器、システムおよび/または装置は機能モジュール群として代替的に定義されてもよく、機能モジュールは少なくとも1つのプロセッサ上で動作するコンピュータプログラムとして実装される。
【0120】
したがって、メモリに常駐するコンピュータプログラムは、プロセッサによって実行される場合に、本明細書で説明するステップおよび/またはタスクの少なくとも一部を実行するように構成された適切な機能モジュールとして編成されてもよい。
【0121】
図10は、一実施形態によるX線測定システムの一例を示す概略図である。基本的には、X線測定システム300は、
X線源320からのX線の方向に空間的に分離したX線強度の測定を可能にするように配置された検出素子を有するエッジオン型X線検出器310と、
X線が照射される場合にX線照射野に方向情報を埋め込むように設計され、X線源とX線検出器との間に配置されたファントム330とを含み、
ファントムの相対運動は、X線検出器およびX線源に対して誘発されることがあり、
X線測定システム300は、X線検出器およびX線源に対するファントムの少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度の測定を実行して測定情報を取得するように構成される。
【0122】
当業者に理解されるように、単にX線システムと呼ばれるX線測定システム300は複数のエッジオン型X線検出器を含んでもよい。
【0123】
図10の特定の例では、測定値読出しモジュール340を各検出器に接続して、測定データを読み出しかつ必要に応じて前処理し、その後に、コンピュータ化された処理のために測定データをコンピュータまたは同様の処理システム(
図10には図示せず)に転送してもよい。
【0124】
一例として、X線測定システム300は、相対運動を誘発すること、および/または少なくとも2つの異なる相対位置のX線の強度の測定を実行することを含む、システムの所望の制御動作を達成するための制御システム350を含んでもよい。
【0125】
上述した実施形態は一例として示したに過ぎず、提案した技術はこれに限定されるものではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正、組み合わせおよび変更を実施形態に加えてもよいことは、当業者であれば理解するであろう。特に、異なる実施形態において異なる部分的解決策は、技術的に可能な場合には他の構成で組み合わせることができる。