(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記間隔規制部材は、前記複数列配列された押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士を、前記折り目を中央としてほぼ等しく対向する位置に規制する請求項1記載のシート処理装置。
前記移動手段は、前記移動方向の最初の列の前記押圧ローラ対が一方のシート端部を乗り越えてから最後の列の押圧ローラ対が他方のシート端部を乗り越えるまで前記支持部材を移動する請求項1又は2に記載のシート処理装置。
前記移動手段は、前記移動方向の最初の列の前記押圧ローラ対が一方のシート端部を乗り越えてから最後の列の押圧ローラが他方のシート端部を乗り越えるまで前記支持部材を前記移動方向に往移動した後、
前記移動方向の最後の列の前記押圧ローラ対が前記他方のシート端部を乗り越えてから最初の列の押圧ローラが前記一方のシート端部を乗り越えるまで前記支持部材を前記移動方向と逆の方向に復移動する請求項1又は2に記載のシート処理装置。
前記移動手段は、前記往移動により前記支持部材をホームポジションから移動し、前記復移動により前記支持部材をホームポジションに移動する請求項4記載のシート処理装置。
前記移動手段は、前記移動方向の最初の列の前記押圧ローラ対が一方のシート束端部を乗り越えてから最後の列の押圧ローラが他方のシート束端部を乗り越えるまで前記支持部材を移動する請求項7又は8に記載のシート処理装置。
前記移動手段は、前記移動方向の最初の列の前記押圧ローラ対が一方のシート束端部を乗り越えてから最後の列の押圧ローラが他方のシート束端部を乗り越えるまで前記支持部材を前記移動方向に往移動した後、
前記移動方向の最後の列の前記押圧ローラ対が前記他方のシート束端部を乗り越えてから最初の列の押圧ローラが前記一方のシート束端部を乗り越えるまで前記支持部材を前記移動方向と逆の方向に復移動する請求項7又は8に記載のシート処理装置。
前記移動手段は、前記往移動により前記支持部材をホームポジションから移動し、前記復移動により前記支持部材をホームポジションに移動する請求項10記載のシート処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように画像形成装置などから搬出される折りシート束に対して増し折りをする装置には、それぞれ次の問題がある。
【0008】
まず、特許文献1のものは、互いに圧接状態の一対のローラを圧接状態のままシート束端部の外側からからシート束幅内に移動させるため、ローラがシート束の端部に衝突し、シートに破れや押しつけによるダメージを発生しやすく、この衝突によりシート束が傾いてしまうためシート束に大きな保持機構が必要であった。また、予め圧接状態のローラ対を折り目に沿って移動しているため、このローラがたとえ複数回折り目を往復動しても、ローラ対は同じ位置を押圧することになり、折り位置は一直線上に重なるのみで、押圧後にシート束が開いて広がってしまい、折りシート束の集積性や整合性を向上させることができなかった。
【0009】
一方、特許文献2に示すものは、一対の押圧ローラをシート幅よりも外側の待機位置では相互に離間させ、この離間状態でシート束の折り目がある内側に位置してから、これらのローラを圧接させで増し折りを開始している。従って、シートの幅方向端部を通過しているときは離間して通過するので、この端部に破れや押しつけのダメージを与えることを少なくできる。しかしながら、特許文献2に示す装置も、シート折り目に対する押圧ローラの押圧は、もっぱら同じ押圧力での押圧を繰り返すのみであるので、この場合の増し折りも一直線上に重なるのみで、押圧後にシート束が開いて広がってしまい、折りシート束の集積性やその整合性を向上させることが難しかった。
【0010】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであって、折りシートの折り目に対して増し折りを行う際に、折り目の同じ位置を重ねて押圧するのではなく、シート折り目の厚さ方向で最初と次の押圧の位置を異ならせ、最後の押圧した際に、これまでの折れ線が折りシートを厚さ方向の内側に向けるとの着想に基づいてなされたものである。
これによれば、最初のシート折り目の厚さ方向からの押圧は、シート押圧部材を離間した状態でシート幅方向に移動して折り目をつくり、次の押圧はシート押圧部材の離間間隔を狭めて幅方向に移動して最初の位置とは異なる新たな折り目を作るようにしているので、折りシートの折り目はシート厚さ方向の内側に向くようになる。従って、シート束みずからが閉じ方向に向くことになり折りの完了後シート束が開くことが少なくなる。これにより折りシート束の集積量が多くでき整列性も安定させることができる。
また、最初のシート幅方向にからのシート押圧部材の搬入は相互が最も離間しているので、シートの端部のダメージも極力抑えることができるシート処理装置及びこれを備える画像形成装置並びにシート増し折り方法の提供をその課題している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用する。
請求項1に記載の発明は、
折り処理が施されたシートの折り目に沿って複数列設けられ、前記折り目を厚さ方向から押圧して増し折り処理を施す押圧ローラ対と、前記複数列設けられた押圧ローラ対を各々独立して支持する複数の支持部材と、前記支持部材を前記折り目に沿った所定の移動方向に各々独立して移動する移動手段と、前記押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を前記移動方向の下流側の列から上流側の列に向かって段階的に狭くし、且つ前記移動方向の最後の列の前記押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を無くす間隔規制部材と、前記最後の列の前記押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士を圧接する弾性部材とを備えたシート処理装置である。
これによれば、最初のシート折り目の厚さ方向からの押圧は、一対の押圧
ローラを離間した状態でシート幅方向に移動して折り目を作り、次の押圧は押圧
ローラの離間間隔を狭めて幅方向に移動して新たな折り目を作るようにしているので、折りシートの折り目は折りシートの内側に向くようになる。従って、シート束みずからが綴じ方向に向き折りの完了後シート束が開くことが少なくなり、これらをより整列よく、より多く集積することができる。また、最初のシート幅方向にからの押圧
ローラの搬入は相互が最も離間しているので、シートの端部のダメージも極力抑えることができる処理装置が提供できる。
【0012】
請求項2の発明は、
前記間隔規制部材は、前記複数列配列された押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士を、前記折り目を中央としてほぼ等しく対向する位置に規制する請求項1に記載のシート処理装置である。
これによれば、
押圧ローラの対ごとに折り目を中央として略等しい間隔に構成されているので、各押圧ローラはシートの厚さ方向に等しく間隔を狭くすることになり、この押圧部材により付与される折り線も折り目を挟んで等しく形成され見栄えの良いシート束冊子が作成できるシート処理装置が提供
可能となる。
【0013】
請求項3の発明は、
前記移動手段は、前記移動方向の最初の列の前記押圧ローラ対が一方のシート端部を乗り越えてから最後の列の押圧ローラ対が他方のシート端部を乗り越えるまで前記支持部材を移動する請求項1又は2に記載のシート処理装置である。
これ
によれば、
各移動手段がシート幅方向より長い距離を移動しながら順次折り目を構成できるので、より増し折り効果のあるシート束冊子が製作できるシート処理装置が提供
可能となる。
【0014】
請求項4の発明は、
前記移動手段は、前記移動方向の最初の列の前記押圧ローラ対が一方のシート端部を乗り越えてから最後の列の押圧ローラが他方のシート端部を乗り越えるまで前記支持部材を前記移動方向に往移動した後、前記移動方向の最後の列の前記押圧ローラ対が前記他方のシート端部を乗り越えてから最初の列の押圧ローラが前記一方のシート端部を乗り越えるまで前記支持部材を前記移動方向と逆の方向に復移動する請求項1又は2に記載のシート処理装置である。
これによれば、
折り目に対して増し折り処理を2度実施するので、更に折り効果を高めることができる。
【0015】
請求項5の発明は、
前記移動手段は、前記往移動により前記支持部材をホームポジションから移動し、前記復移動により前記支持部材をホームポジションに移動する請求項4に記載のシート処理装置である。
これによれば、
支持部材をホームポジションに戻すという必然の動作によって、2度目の増し折り処理を実施することができるので動作に無駄がない。
【0016】
請求項6の発明は、前記
複数の支持部材は、少なくとも3列
設けられている前記押圧ローラ対
の各々を独立して支持する請求項1乃
至5のいずれかに記載のシート処理装置である。これによれば、比較的厚い、例えば20枚から30枚のシートの折りシートを増し折りしても、間隔が段階的に狭くなる押圧ローラ対を支持する各移動手段を移動して増し折りするので、折りシートの折り合せが開いて広がってしまうことが軽減でき、整列性や集積性が向上できるシート処理装置の提供が可能となる。
【0017】
請求項7の発明は、シートを集積してシート束を形成するスタッカ部と、前記スタッカ部で形成された前記シート束に所定の折り処理を施す折りローラ対と、前記折りローラ対によって前記折り処理を施された前記シート束の折り目に沿って複数列設けられ、前記折り目を厚さ方向から押圧して増し折り処理を施す押圧ローラ対と、前記複数列設けられた前記押圧ローラ対を各々独立して支持する複数の支持部材と、前記支持部材を前記折り目に沿った所定の移動方向に各々独立して移動する移動手段と、前記押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を前記移動方向の下流側の列から上流側の列に向かって段階的に狭くし、且つ前記移動方向の最終列の前記押圧ローラ対を構成する
押圧ローラ同士の間隔を無くす間隔規制部材と、前記最終列の前記押圧ローラ対を構成する
押圧ローラ同士を圧接する弾性部材とを備えたシート処理装置である。
これによれば、最初のシート折り目の厚さ方向からの押圧は、押圧ローラ間を離間した状態でシート幅方向に移動手段が移動して折り目をつくり、次の押圧は次の移動手段の押圧ローラ間の離間間隔を狭めて幅方向に移動して新たな折り目を作るようにしているので、折りシートの折り目は束の内側に向くようになる。従って、シート束みずからが閉じる方向に向き、折りの完了後シート束が開くことが少なくなり、より整列性よく、より多く集積することができる。また、最初の移動手段の移動によるシート幅方向にからの押圧ローラのシート端部への搬入も相互が最も離間しているので、シートの端部のダメージが極力抑えることができる処理装置が提供できる。
【0018】
請求項8の発明は、前記間隔規制部材は、前記複数列配列された押圧ローラ対を構成する
押圧ローラ同士を、前記折り目を中央としてほぼ等しく対向する位置に規制する請求項7に記載のシート処理装置である。これによれば、押圧ロー
ラ対ごとに折り目を中央として略等しい間隔に構成されているので、各押圧ローラはシートの厚さ方向に等しく間隔を狭くすることになり、この押圧
ローラにより付与される折り線も折り目を挟んで等しく形成され見栄えの良いシート束冊子が作成できるシート処理装置の提供ができる。
さらに、請求項9の発明は、前記移動手段は、前記移動方向の最初の列の前記押圧ローラ対が一方のシート束端部を乗り越えてから最後の列の押圧ローラが他方のシート束端部を乗り越えるまで前記支持部材を移動する請求項7又は8に記載のシート処理装置である。これによれば、各移動部材がシート幅方向より長い距離を移動しながら順次折り目を構成できるので、より増し折り効果のあるシート束冊子が製作できるシート処理装置が提供可能となる。
【0019】
請求項
10の発明は、
前記移動手段は、前記移動方向の最初の列の前記押圧ローラ対が一方のシート束端部を乗り越えてから最後の列の押圧ローラが他方のシート束端部を乗り越えるまで前記支持部材を前記移動方向に往移動した後、前記移動方向の最後の列の前記押圧ローラ対が前記他方のシート束端部を乗り越えてから最初の列の押圧ローラが前記一方のシート束端部を乗り越えるまで前記支持部材を前記移動方向と逆の方向に復移動する請求項7又は8に記載のシート処理装置である。
これによれば、
折り目に対して増し折り処理を2度実施するので、更に折り効果を高めることができる。
請求項11の発明は、前記移動手段は、前記往移動により前記支持部材をホームポジションから移動し、前記復移動により前記支持部材をホームポジションに移動する請求項10記載のシート処理装置。
これによれば、支持部材をホームポジションに戻すという必然の動作によって、2度目の増し折り処理を実施することができるので動作に無駄がない。
【0020】
請求項1
2の発明は、
前記支持部材は、少なくとも3列の前記押圧ローラ対を支持する請求項7乃至請求項11のいずれかに記載のシート処理装置である。
これによれば、
比較的厚い、例えば20枚から30枚のシートの折りシートを増し折りしても、間隔が段階的に狭くなる押圧ローラ対を支持する各移動手段を移動して増し折りするので、折りシートの折り合せが開いて広がってしまうことが軽減でき、整列性や集積性が向上できるシート処理装置が提供できる。
請求項13の発明は、シート上に画像形成する画像形成手段と、前記画像形成手段からのシートに所定のシート処理を施すシート処理装置とを備え、前記シート処理装置は上記請求項1ないし請求項12の何れかに記載のシート処理装置を含む画像形成装置である。
これによれば、上記各項に記載した作用効果を持つシート処理装置を含む画像形成装置が提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記の解決手段を有することにより下記の効果を奏する。
本発明は、最初に移動した移動部材に支持された押圧部材によるシート折り目の厚さ方向からの押圧は、押圧部材を離間した状態でシート幅方向に移動して折り目をつくる。次に、次段の移動部材に支持された押圧部材が離間間隔を狭めている。これが幅方向に移動して新たな折り目を作るようにしているので、折りシートの折り目は折りシートの内側を向くようになる。従って、シート束みずからが複数の折り目位置で閉じ方向に向くことになり、折りの完了後シート束が開いて広がることが少なくなり、これらを整列性よく、より多く集積することができる。また、最初のシート幅方向にからの押圧部材の搬入は最も相互が離間しているので、シートの端部のダメージも極力抑えることができる処理装置、及びこれを備えるシート処理装置並びに画像形成装置を提供することがでる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図示の実施の態様に基づいて本発明を詳述する。
図1は本発明に係わる画像形成装置を含む全体構成を示し、
図2はシート処理装置の全体構成の説明図を、
図3はシート処理装置におけるシート束の折り状態を説明する図面である。さらに、
図4はシート処理装置に内装するシート増し折り装置の排出側から見た斜視図であり、
図5はシート増し折り装置の押し折りユニットの駆動系を示す説明図であり、
図6はシート増し折り装置を折りローラ側から見た斜視図である。
そこで、
図1に示す画像形成システムは画像形成装置Aとシート処理装置Bで構成され、シート処理装置Bにはシート増し折り装置50が組み込まれている。
【0024】
[画像形成装置の構成]
図1に示す画像形成装置Aは、給紙部1からシートを画像形成部2に送り、画像形成部2でシートに印刷した後、本体排紙口3からシートを搬出する。給紙部1は複数のサイズのシートが給紙カセット1a、1bに収納してあり、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部2に給送する。画像形成部2は例えば静電ドラム4と、その周囲に配置された印字ヘッド(レーザ発光器)5と現像器6と、転写チャージャ7と定着器8が配置され、静電ドラム4上にレーザ発光器5で静電潜像を形成し、これに現像器6でトナーを付着し、転写チャージャ7でシート上に画像を転写し、定着器8で加熱定着する。このように画像形成されたシートは本体排紙口3から順次搬出される。図示9は循環経路であり、定着器8から表面側に印刷したシートを、本体スイッチバック経路10を介して表裏反転した後、再び画像形成部2に給送してシートの裏面側に印刷する両面印刷の経路である。このように両面印刷されたシートは本体スイッチバック経路10で表裏反転された後、本体排紙口3から搬出される。
【0025】
図示11は画像読取装置であり、プラテン12上にセットした原稿シートをスキャンユニット13で走査し、反射ミラー、集光レンズを経て光電変換素子14で電気的に読み取る。この画像データは画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ貯蔵部17に転送され、前記レーザ発光器5に画像信号を送る。また、図示15は原稿送り装置であり、原稿スタッカ16に収容した原稿シートをプラテン12に給送するフィーダ装置である。
【0026】
上記構成の画像形成装置Aには制御部(コントローラ)が設けられ、コントローラパネル18から画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などのプリントアウト条件が設定される。一方、画像形成装置Aには上記スキャンユニット13で読み取った画像データ或いは外部のネットワークから転送された画像データがデータ貯蔵部17に蓄積され、このデータ貯蔵部から画像データはバッファメモリに転送され、このバッファメモリ19から順次、レーザ発光器5にデータ信号が移送されるように構成されている。
【0027】
上記コントローラパネル18からは画像形成条件と同時にシート処理条件も入力指定される。このシート処理条件は例えば、(1)「プリントアウトモード」、(2)「ステープル綴じモード」、(3)「シート中綴じ束折りモード」、(4)「折りシート増し折りモード」などが指定される。そして画像形成装置Aは画像形成条件及び後処理条件に応じてシート上に画像形成する。
【0028】
[シート処理装置の構成]
上述の画像形成装置Aに連結されたシート処理装置Bは、画像形成装置Aの本体排紙口3から画像形成されたシートを受け入れ下記のシート処理が可能なように設定されている。
まず、(1)画像形成がされたシートを第1排紙トレイ21に収容する(前述の「プリントアウトモード」)。(2)本体排紙口3からのシートを束状に部揃えして、端面綴じステープル装置33で綴じ後第1排紙トレイ21に収納する(前述の「ステープル綴じモード」)。(3)本体排紙口3からのシートを第2の処理トレイであるスタッカ部35で束状に部揃えしてこのシート束の中程を中綴じステープラ40で綴じ後、冊子状に折り畳んで第2排紙トレイ22に収納する(前述の「シート束中綴じ束折りモード」)。(4)中綴じして冊子状に折り畳んだシート束の折り目でシートループを増し折りして、第2排紙トレイに22に収納する(前述の「折りシート増し折りモード」。)などが指定可能なように構成されている。
【0029】
ところで、シート処理装置Bは
図2に示すようにケーシング20に上記第1排紙トレイ21と第2排紙トレイ22を備え、本体排紙口3に連なる搬入口23を有するシート搬入経路P1が設けられている。このシート搬入経路P1はケーシング20に略々水平方向の直線経路で構成されている。そしてこのシート搬入経路P1から分岐しシートを反転方向に移送する第1スイッチバック搬送路SP1と第2スイッチバック搬送路SP2が配置されている。そして第1スイッチバック搬送路SP1が経路下流側で、第2スイッチバック搬送路SP2が経路上流側でそれぞれシート搬入経路P1から分岐され、両搬送路は互いに距離を隔て配置されている。
【0030】
このような経路構成でシート搬入経路P1には搬入ローラ24と排紙ローラ25が配置されている。排紙ローラ25は正逆転可能となっている。またシート搬入経路P1には第2スイッチバック搬送路SP2にシートを案内する経路切換片(図示せず)が配置されソレノイドなどの作動手段に連結されている。またシート搬入経路P1には搬入口23からのシートに捺印処理するスタンプ手段、或いはシートを1枚ずつ穿孔処理する1枚穿孔ユニット28が搬入ローラ24の下流側に設けられている。
【0031】
[第1スイッチバック搬送路SP1の構成]
図2に示されるようにシート搬入経路P1の下流側(装置後端部)に配置された第1スイッチバック搬送路SP1は次のように構成されている。シート搬入経路P1にはその出口端に排紙ローラ25が設けられ、この排紙ローラ25のシートを積載支持する処理トレイ29が設けられている。この処理トレイ29の上方には正逆転ローラ30がトレイ上のシートと接する位置と離間した待機位置との間で昇降自在に配置されている。この正逆転ローラ30が連結され処理トレイ29上にシートが進入する際は同図時計方向に回転し、シート後端が排紙ローラ25から排紙されトレイ上に進入した後は反時計方向に回転するように制御される。従って処理トレイ29上に第1スイッチバック搬送路SP1が構成されている。
【0032】
上述の第1スイッチバック搬送路SP1の下流側には第1排紙トレイ21が配置され、この第1排紙トレイ21は第1スイッチバック搬送路SP1及び第2スイッチバック搬送路SP2に導かれるシートの先端を支持するように構成されている。
【0033】
上記の処理トレイ29の排紙方向後端部には、端面綴じステープル装置33が配置されている。このステープル装置33は処理トレイ29上に集積されたシート束の後端縁の1個所若しくは複数個所にステープル綴じする。綴じ処理されたシート束は第1排紙トレイ21排出される。
【0034】
上述のように構成された第1スイッチバック搬送路SP1は前記(2)の「ステープル綴じモード」のときには排紙ローラ25からのシートを処理トレイ29上に部揃えし、このシート束を端面綴じステープル装置33で後端縁の1個所又は複数個所をステープル綴じする。また前記(1)の「プリントアウトモード」のときには排紙ローラ25からのシートをスイッチバック搬送することなく、処理トレイ29に沿って送られたシートを正逆転ローラ30の図示時計方向の回転で第1排紙トレイ21に搬出する。
【0035】
[第2スイッチバック搬送路の構成]
前記シート搬入経路P1から分岐された第2スイッチバック搬送路SP2の構成について説明する。この第2スイッチバック搬送路SP2は、
図2に示すようにシートが排紙ローラ25にニップされた状態で正転から逆転してスイッチバック搬送されてくるシートを案内する搬送路である。この搬送路は、
図2に示すようにケーシング20に略々鉛直方向に配置され、経路入口に搬送ローラ36が、経路出口に出口搬送ローラ37が配置されている。また第2スイッチバック搬送路SP2の下流側にはこの搬送路から送られたシートを部揃えし一時集積する第2の処理トレイを構成するスタッカ部35が設けられている。図示のスタッカ部35はシートを移送する搬送ガイドで構成されている。このスタッカ部35には中綴じステープラ40と折りローラ45が配置されている。以下順次これらの構成について説明する。
【0036】
[スタッカ部の構成]
まずスタッカ部35はシートの搬送をガイドするガイド部材で形成され、このガイド上にシートを積載収納するように構成されている。図示のスタッカ部35は第2スイッチバック搬送路SP2に連なり、ケーシング20の中央部に略々鉛直方向に配置されている。これによって装置を小型コンパクトに構成している。このスタッカ部35は内部に最大サイズシートを収納する長さ形状に形成され、特に図示のものは後述する中綴じステープラ40と折りローラ45を配置する側に突出するように湾曲又は屈曲した形状に構成されている。
【0037】
上記スタッカ部35の搬送方向後端側には前述の第2スイッチバック搬送路SP2の出口端とオーバーラップするスイッチバック進入路35aが連設されている。これは第2スイッチバック搬送路SP2の出口搬送ローラ37から送られる搬入(後続)シートの先端とこのスタッカ部35に支持されている積載済(先行)シートの後端をオーバーラップさせることによって集積するシートのページ順位を確保するためである。また、スタッカ部35にはシートの搬入方向先端を規制するストッパ手段としての先端規制部材(以下、ストッパ38という)がガイド下流側に配置してあり、このストッパ38はスタッカ部35に沿って移動可能にガイドレールなどに支持され、図示しないシフト手段でシートをスタッカ部35に搬入する位置、集積方向の中程で綴じる位置及び折りローラ45で折る位置に位置移動するように構成されている。また、スタッカ部35の搬送方向中ほどには、シートを整合する整合部材39が設けられシートの搬入の都度に側縁を押圧して整合を行う。
【0038】
[中綴じステープラの説明]
次に、このスタッカ部35の上方に位置する中綴じステープラ40は、ステープル針をシート束に打ち込むドライバーユニット41と打ち込まれたステープル針の脚部を互いに向き合う方向に折り曲げるクリンチャユニット42で構成され、それぞれのユニットはスタッカ部35を挟んで対向する位置に構成され、通常シート長さの2分の1となる図示Xの綴じ位置でシートを綴じる。尚、この中綴じステープラはシート束の綴じるスープル針として金属の針を用いるほか紙製からなる紙製針や針を使用しない圧着や切り込みをシートに入れて綴じてもよい。
【0039】
[折りローラの説明]
次に、折りローラ45の構成について説明する。上述の中綴じステープラ40の下流側に配置された折位置Yには、
図2に示すようにシート束を折り合わせる折りローラ45とこの折りローラ45のニップ位置にシート束を挿入する折りブレード46が備えられている。
図3も参照すると、折りローラ45は互いに圧接した上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bで構成され、この上圧接ローラ45a下圧接ローラ45bは略々最大シートの幅長さより多少長く形成されている。この折りローラ45は、図示されていない圧縮スプリングで互いに圧接方向に付勢されている。上記一対の折りローラ45はゴムローラなどの比較的摩擦係数の大きい材料で形成されている。
【0040】
上記の折りローラ45の圧接位置には、この位置に向かって侵入する折りブレード46が進退可能に配置されている。この折りブレード46は、シート束が中綴じステープラ40で中綴じされた後、この綴じ位置を折りローラ45に押し込むように移動し、この動作に連動して折りローラ45が圧接回転することにより中綴じシートを二つ折りにしていく。この途中で折りブレード46は元の位置に復帰して次のシート束の搬入に備える。折りブレードの移動位置は、折り位置Yとして
図2に示されており、この位置はシートが束として綴じ針で綴じられた位置Xに一致している。
【0041】
ここで、スタックされあるいはスタック中綴じされたシート束の折り処理手順を
図3により説明する。シートがストッパ38により係止され束となり、このストッパ38が上昇してシートの搬送方向中程の位置を中綴じステープラ40で綴じ処理を行う。綴じ処理後、今度は綴じられたシート束を下降してシート綴じ位置を折り位置になるようにストッパ38を停止する。この状態が
図3(a)に示されている。この位置は、折りローラ45の上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bの圧接位置に一致するように停止している。その後図示しない駆動モータにより上圧接ローラ45aと下圧接ローラが同じ方向に回転し、折りブレード46が圧接位置に押し込むように移動する。この状態は
図3(b)に示されている。
【0042】
次に、
図3(c)に示す様に、引き続き上圧接ローラ45aと下圧接ローラが同じ方向に回転が継続され、折りブレード46が圧接位置手前で一旦停止する。今度は折りブレード46は、元の戻り方向に移動して退避する。その後さらに上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bが同じ方向に回転継続すると、
図3(d)に示す様に、折りシート束BSは一定のループBLを描いて折り処理される。このシート束は、折りブレード46で突いた折り目となる折りループ先端BL1、これを中心に上方に膨らんだ上方ループBL2、下方に膨らんだ下方ループBL3、ループを維持するようにシートを押圧するループ基端部BL4が形成され、この状態で一旦停止する。
ところで、折り目でのループの発生は、シート束自らが折り目位置で外側に開こうする力が働くためである。従って、折りシート束BSの枚数が多ければ多いほど開いて広がろうとする力が強く、このままは排出するとシート束が開いてしまうことになるので、本願のものは以下に述べる増し折りを行っている。
尚、この折りローラ45はシートを折りこまない状態と折りシート束BSを折り込んだ状態とで、互いに圧接する上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bの軸間を測定することで折りシート束BSの厚さを検知することにも利用してもよい。
【0043】
[シート増し折り装置の説明]
ここから、折り処理をおこなった折りシート束BSが開いてしまうのを防止するための本発明に係わるシート増し折り装置をこの装置の排出側から見た斜視図である
図4、装置内部の増し折りユニットの駆動系の説明図である
図5、折りローラ側から見た斜視図である
図6、また、装置内部の増し折りユニットについて折りローラからの斜視図である
図7、その正面図である
図8を参照してその構成について説明する。その後に
図9から
図13までによりその動作を説明する。
シート増し折り装置50は、
図2に示す様に上述した折りローラ45の下流側の折りシート搬送パスBPを横断するように配置されている。より詳しくは、このシート増し折り装置50は、折りローラ45が折りシート束BSを二つ折り状態で搬送して折り処理する。このシート増し折り装置50は、シート幅方向に折り目を有し一定のループを有する折りシート束BSの折り目に対峙している。
なお、
図2の増し折り装置50は折りローラ45と機外に排出する束排出ローラ49の間に設置しているが、折りシート搬送パスBPを横切るようにすれば、束排出ローラ49の下流側に装置することもできる。
【0044】
このシート増し折り装置50は、
図4に示したように装置の一方に配置された右側板53とこれに対向する左側板54と、これらをその上方で連結する連結アングル55で装置全体のフレームを構成している。この右側板53と左側板54との間には、この側板間を順次往復移動する3つの増し折りユニット56が配置してある。
図4においては、最も右側板から離れた位置にある第1増し折りユニット56a、次に第2増し折りユニット56b、最も右側板に近い位置にある第3増し折りユニット56cの3つのユニットに分かれ3列設けられている。これらの増し折りユニット56の側板間の往復移動は、右側板53と左側板54との間で上方に位置する上ガイドレール57と下ガイドレール58によってそれぞれがスライド移動する。すなわち、上ガイドレール57に第1増し折りユニット56aの第1上スライドブロック60a、第2増し折りユニット56bの第2上スライドブロック60b、第3増し折りユニット56cの第3上スライドブロック60cが摺動自在に取り付けてある。また、下ガイドレール58には、第1増し折りユニット56aの第1下スライドブロック61a、第2増し折りユニット56bの第2下スライドブロック61b、第3増し折りユニットの第3下スライドブロック61cも摺動自在に取り付けてある。
【0045】
また、
図5によく示されるように、上記これらの増し折りユニット56の上方には、この装置の右側板53と左側板54との間に移動ベルト65(各々移動ベルト65a、65b、65c)が、右プーリ63(各右プーリ63a、63b、63c)と左プーリ64(各左プーリ64a、64b、64c)にそれぞれ張設されている。そして、束排出ローラ49側から順に第1増し折りユニット56aは第1移動ベルト固定部65f1により第1移動ベルト65aに、第2増し折りユニット56bは第2移動ベルト固定部65f2により第2移動ベルト65bに、第3増し折りユニット56cは第3移動ベルト固定部65f3により第3移動ベルト65cに固定されている。
従って、第1移動ベルト65aを移動して第1移動ベルト固定部65f1を装置奥側(右側)から手前側(左側)に移動すると、第1増し折りユニット56aも上ガイドレール57及び下ガイドレール58に沿って
図5の装置奥側(右側)から手前側(左側)に移動することになる。
図5のものは第1増し折りユニット56aが折り返しポジションである最も左側板54側に寄った位置に位置している。そしてこの第1移動ベルト65aを逆方向に移動すると第1移動ベルト固定部65f1も逆方向に移動し、第1増し折りユニット56aも逆方向に移動する。この構成は第2増し折りユニット56bも第3増し折りユニット56cも同様に構成されている。
【0046】
ところで、第1移動ベルト65aを巻回する第1左プーリ64aには、正逆転可能な駆動モータ69aが左側板54に設けられたモータギアユニット68に取り付けてある。この駆動モータ69aの回転駆動は、モータ出力ギア67aからモータギアユニット68に設けられた第1伝達ギア66aを介して第1移動ベルト65aの左プーリ64aに連結してある。
また、第2移動ベルト65bを巻回する第2左プーリ64bには、正逆転可能な駆動モータ69bが左側板54に設けられたモータギアユニット68に取り付けてある。この駆動モータ69bの回転駆動は、モータ出力ギア67bからモータギアユニット68に設けられた第2伝達ギア66bを介して第2移動ベルト65bの左プーリ64bに連結してある。
さらに、第3移動ベルト65cを巻回する第3左プーリ64cには、正逆転可能な駆動モータ69cが左側板54に設けられたモータギアユニット68に取り付けてある。この駆動モータ69cの回転駆動は、モータ出力ギア67cからモータギアユニット68に設けられた第3伝達ギア66cを介して第3移動ベルト65cの左プーリ64cに連結してある。
このように各駆動モータ69は各移動ベルト65を折りシートの幅方向に移動可能に連結されている。
【0047】
したがって、例えば第1駆動モータ69aの駆動回転方向の選択により、第1増し折りユニット56aも装置奥側(右側)から手前側(左側)に、逆に手前側(左側)から奥側(右側)に選択的に移動することができる。この移動は第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cも同様の構成及び動作を行う。なお、第1増し折りユニット56aの右側板53側の上方端部付近には、右側板53寄りに位置するホームポジション位置にあることを示すユニットフラグ107aが設けてある。このユニットフラグ107aをホームポジションセンサ108aで検出すると第1増し折りユニット56aはホームポジションに位置していることになる。そして、このホームポジション位置から図示左側に第1増し折りユニット56aが移動すると駆動モータ69aに内蔵された図示しないパルス発生機よりその位置が判別され、左側板54寄りの折り返しポジションに位置していることが判別される。以上の構成は、第2増し折りユニット56b及び第3増し折りユニット56cも同様になっている。
また、この折り返しポジションでは第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第の増し折りユニット56cが位置した後、今度は第3増し折りユニット56c、第2増し折りユニット56b、第1増し折りユニット56aの順に各駆動モータ69を逆回転させて、今度はホームポジションに向かって移動するように制御する。従って、第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cは、移動ベルト65等によって移動される移動部材となる。
【0048】
[増し折りユニットの説明]
次に、折りローラ45側から見た
図7と
図8に図示の左右に移動する増し折りユニット56について説明する。本願の増し折りユニット56は、既に説明しているように第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cの3つにユニット化した3列の複数設けた構成からなっている。この3つのユニットはその内部で支持する押圧ローラの間隔が異なるのみなので、第1増し折りユニットについてその構成を説明する。
第1増し折りユニット56aは、このユニットの背面側を構成する第1ユニットベース板62a1と上下に分割された第1フロント上ベース板62b1と第1フロント下ベース板62c1と、この側方を第1先行ユニット側板95aと第1後行ユニット側板96aと、その上下を第1ユニット天板59a1と、第1ユニット底板59b1でフレームが構成されて囲われている。尚、先行ユニット側板95aには比較的大きく開口してある。この開口はシートの折り目を増し折りユニット56が挟んで移動するために設けられている。
【0049】
この第1増し折りユニット56aの内部は、
図7によく示されているように
第1上押えローラ71とこれに対向して所定間隔離れた位置に第1下押えローラ72が配置されている。このローラはそれぞれ第1上押えローラ軸78aと第1下押えローラ軸78bを有し、これらの軸は第1上押えローラブラケット86aと第1下押えローラブラケット86bによって支持されている。そして、第1上押えローラブラケット86aは第1ユニット天板59a1に昇降可能に、第1下押えローラブラケット86bは第1ユニット底板59b1に昇降可能に支持されている。
【0050】
また、この第1上押えローラブラケット86aと第1ユニット天板59a1との間には双方を離間方向に付勢する第1上押えローラ押圧バネ91aが介在し、第1下押えローラブラケット86bと第1ユニット底板59b1との間にも同様の第1下押えローラ押圧バネ91bが介在している。これによって、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72は常時近づく方向に弾性付勢されている。
一方、第1上押えローラ軸78aを支持する第1ユニットベース板62a1と第1フロント上ベース板62b1には第1上押えローラ軸長穴82aがそれぞれ設けられている。従って、第1上押えローラ押圧バネ91aの付勢力は、この第1上押えローラ軸長穴82aによって規制され、第1上押えローラ71の下方への移動も規制されている。また、第1下押えローラ押圧バネ91bの付勢力も、第1下押えローラ軸長穴82bで規制され、第1下押えローラ72の上方への移動も規制されている。これにより
図8によく示されているように、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72との間隔L1は常時一定に保たれている。本実施例においては、このL1は、略14ミリメートルに設定してある。また、第1上押えローラ押圧バネ91a及び第1下押えローラ押圧バネ91bは両ローラが接触時に各4.0キログラムの荷重が与えられるように設定されている。
【0051】
また、2列目の第2増し折りユニット56bも、
図7、
図8からよくわかるように1列目のユニットと同様の構成となっている。
すなわち、2列目のローラは第2上押えローラ73とこれに対向して所定間隔離れた位置に第2下押えローラ74が配置されている。このローラはそれぞれ第2上押えローラ軸79aと第2下押えローラ軸79bを有し、これらの軸は第2上押えローラブラケット87aと第2下押えローラブラケット87bによって支持されている。そして、第2上押えローラブラケット87aは、第2ユニット天板59a2に昇降可能に、第2下押えローラブラケット87bは第2ユニット底板59b2に昇降可能に支持されている。
【0052】
また、この第2上押えローラブラケット87aと第2ユニット天板59a2との間には双方を離間方向に付勢する第2上押えローラ押圧バネ92aが介在し、第2下押えローラブラケット87bと第2ユニット底板59b2との間にも同様の第2下押えローラ押圧バネ92bが介在して弾性力を付与している。
これによって、第2上押えローラ73と第2下押えローラ74は常時近づく方向の付勢力が働いている。一方、第2上押えローラ軸79aを支持する第2ユニットベース板62a2と第2フロント上ベース板62b2には第2上押えローラ軸長穴83aがそれぞれ設けられている。従って、第2上押えローラ押圧バネ92aの付勢力は、この第2上押えローラ軸長穴83aによって位置規制され、第2上押えローラ73の下方への移動も位置規制されている。また、第2下押えローラ押圧バネ92bの付勢力も、第2下押えローラ軸長穴83bで規制され、第2下押えローラ74の上方への移動も規制されている。これにより
図8によく示されているように、第1上押えローラ73と第1下押えローラ74との間隔L1は常時一定に保たれている。本実施例においては、このL2は、略7ミリメートルに設定してある。また、第2上押えローラ押圧バネ92a及び第2下押えローラ押圧バネ92bは両ローラ接触時に各4.0キログラムの荷重が与えられるように設定されている。
【0053】
また、3列目の第3増し折りユニット56c、
図7、
図8からよくわかるように1列目2列目の増し折りユニットと同様の構成となっているので、ここでの説明を省略するが、下記の点で相違している。すなわち、一列目の第1増し折りユニット56aの第1上押えローラ71と第1下押えローラ72とは
図8に示す様に所定各間隔L1(本実施例では略14ミリメートル)、二列目の第2増し折りユニット56bの第2上押えローラ73と第2下押えローラ74とは同様に所定間隔L2(本実施例では略7ミリメートル)離間をしている。しかし3列目第3増し折りユニット56cの第3上押えローラ75と第3下押えローラ76とは常時圧接しているように、ローラ間隔L3=0になるように、第3上押えローラ軸長穴84aと第3下押えローラ軸長穴84bを設定している。なお、第3上押えローラ押圧バネ93a及び第3下押えローラ押圧バネ93bは両ローラ接触時各4.0キログラムの荷重が与えられるように設定されている。これより、折りシート束BSの折り目には両側に4.0キログラム以上の荷重が働きながら、増し折りを行うことになる。
【0054】
以上の様に、本発明のシート押圧部材としての第1上押えローラ71、第2上押えローラ73、第3上押えローラ75夫々とこれに対向する位置に設けられた第1下押えローラ72、第2下押えローラ74、第3下押えローラ76は、移動部材として複数のユニット体である第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cにそれぞれ配列支持されて移動可能となっている。また、移動方向にそれぞれ回転可能となっている。さらに、その移動は相互の間隔が広い第1押えローラ71とこれに対向する第2下押えローラ72から順に折り目方向に移動し、3列目である第3上押えローラ75と第3下押え76はシート折目を4キログラム以上のバネ力で両側から押圧しながら押圧するようになっている。つまり、1つのユニットに収納支持された3列のローラ列が段階的にその間隔を狭くしながらシート折り目に沿って移動する。その移動は最初に第1増し折りユニット56aから順次シート折り目方向に沿って順次独立して移動し折りシートを押圧し、これらは移動方向最終段として3列目の第3増し折りユニット56cまで行われる。なお、第1上押えローラ71、第2上押えローラ73とこれに対向する位置に設けられた第1下押えローラ72、第2下押えローラ74の間隔は所定以上狭くならないよう本実施例では最終段手前の第2増し折りユニット56b、まで同様に設定されている。
【0055】
[シート増し折り装置の動作説明]
ここからは
図9から
図13によりシート増し折り装置50のへの折りシート束BSの搬入、段階的な押圧の動作工程と方法について説明する。
図9は、第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cがホームポジションに位置し折りシート束BSの搬入に備え待機している状態を示している。この位置は、幅方向のシート端部(図示右側の一方端部)から最初に移動する第1増し折りユニット56aが離れた位置となっている。
図10は、第1増し折りユニット56aが折りシート束BSの幅方向中程まで移動し1段目の増し折りを行っている状態を示している。
図11は、第1増し折りユニット56aの増し折り動作が完了して折り返しポジションで待機しているとともに第2増し折りユニット56bが折りシート束BSの幅方向中程まで移動し2段目の増し折りを行っている状態を示している。
図11は、第2増し折りユニット56bの増し折り動作が完了して折り返しポジションで待機しているとともに第3増し折りユニット56cが折りシート束BSの幅方向中程まで移動し最終段の増し折りを行っている状態を示している。
図12は、第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cが折り返しポジションに位置し折りシート束BSの排出されるのを待機している状態を示している。以下各状態について説明する。
【0056】
図9は、第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cがホームポジションに位置し折りシート束BSの搬入に備え待機している状態を示している。この図は束排出ローラ49側から見たもので、説明の都合上、各ユニットベース板62aを省略してある。
この
図9では、第1増し折りユニット56aの第1ユニットフラグ107aが連結アングルに設けられた第1ホームポジションセンサ108aに検出され、第2増し折りユニット56bの第2ユニットフラグ107bが第2ホームポジションセンサ108bに検出され、第3増し折りユニット56cの第3ユニットフラグ107cが第3ホームポジションセンサ108cに検出されて、各ユニットがホームポジションに位置し折りシート束BSの搬入に備え待機している状態を示している。
この位置で、先に述べた「折りシート増し折りモード」が設定されている場合は、折りローラ45の折り処理され折りシート搬送パスBPを搬送されてくる折りシート束BSの搬入を待つ。
ところで、このホームポジションに位置する増し折りユニット56にそれぞれ支持した押圧ローラ70は、移動方向から順に相互の間隔が狭くなり、最終列は圧接可能に設けられている。既に説明しているように本実施例にあっては、1列目は第1増し折りユニットに支持された第1上押えローラ71と第1下押えローラ72が略14ミリメートルの間隔を持って配置されている。また、2列目の第2増し折りユニット56bに支持された第2上押えローラ73と第2下押えローラ74が略7ミリメートルの間隔を有している。さらに3列目の第3増し折りユニット56cに支持された第3上押えローラ75と第3下押えローラ76は相互に弾性圧接している。さらにこれらのローラ相互の離間及び圧接の中心は折りシート束BSの中心である折りシートループ先端(折り目)BL1に一致するように配置されている。
【0057】
そして、
図10に示す様に折りシート束BSの折りループが所定の大きさ(本実施例にあってはループの上下方向が22ミリメートル)になると、折りローラ45を停止させて第1増し折りユニット56aを
図10左側に第1駆動モータ69aを駆動することにより移動させる。この移動が開始すると折りシート束の図示左側端部を1列目の第1増し折りユニットに支持された第1上押えローラ72と第1下押えローラ72が折りシート先端ループBL1からやや上方の位置に折り目をつけながら左側に移動する。先ほど述べたように本実施例におけるループの大きさは22ミリメートル程度であり、第1上押えローラ72と第1下押えローラ72との間隔は略14ミリとされているので、上下に略4ミリメートルほどオーバーラップしこれが第1の折り目を付与することになる。 また、第1上押えローラ72と第1下押えローラ72との間隔が開いているので、折りシート束BS端部をそれほど損傷することなくこれらのローラが乗り越えることになる。また、第1上押えローラ72と第1下押えローラ72を含む押圧ローラは移動方向と交差する方向に回転自在に軸支持されているので、この回転によっても折りシート束端部の乗り越えが容易となる。
【0058】
第1増し折りユニット56aが引き続き移動すると、
図11に示す様に左端の折り返しポジションで停止する。これと併せて第2折りユニット56bを移動する。
図11のものは、第2増し折りユニット56bが折りシート束BSの略中央まで移動した状態を示した図である。従って、第1増し折りユニット56aの第1上押えローラ72と第1下押えローラ72とのとの間隔で押圧されたループは、さらに第2上押えローラ73と第2下押えローラ74とのやや狭められた間隔で折りシート束BSのループを押え付けて第2の折り目をつけることになる。本実施例におけるさらに第2上押えローラ73と第2下押えローラ74との間隔は略7ミリメートルに設定され、第1上押えローラ72と第1下押えローラ72とのとの間隔よりも上下にそれぞれ略3.5ミリメートルオーバーラップすることになる。
【0059】
これに引き続き、
図12では、第2列目の第2増し折りユニット56bが折り返しポジションに移動し、3列目の第3増し折りユニット56cが折りシート束BSの幅方向中程まで移動していることを示している。この第3増し折りユニット56cで支持された第3上押えローラ75と第3下押えローラ76とでその折り目BL1が増し折りされる。すなわち、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76は、その間隔は0として圧接状態となっているので、折り目のシート厚さ方向の分シートを第3上押えローラ押圧バネ93aと第3下押えローラ押圧バネ93bに押圧されながら増し折りされることになる。
【0060】
上記の内容で折りシート束BSを3つのユニット移動で段階的に順次押圧することになる。そして、
図13に示す様に、第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cが折り返しポジションに位置し、増し折りを施した折りシート束BSが折りローラ45及び束排出ローラ49の排出方向への回転により排出されるのを待つ。なお、この位置は幅方向のシート端部(図示左側の他方端部)から最後に移動する第3増し折りユニット56cは離れた位置にある。
次に、増し折りされた折りシート束BSの排出完了が、図示されないシートセンサーで検出されると、折り返しポジションからホームポジションに今度は、第3増し折りユニット56c、第2増し折りユニット56b、第1増し折りユニットの順に復帰させ、
図9の位置で次の折りシート束BSの搬入に備える。
【0061】
なお、上記においては
図13の増し折りした折りシートBSを一旦排出してから第3増し折りユニット56c、第2増し折りユニット56b、第1増し折りユニットの順に復帰するようにしたが、折りシート束BSを排出することなく、第3増し折りユニット56cを
図13の左側から右側に移動して、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76により、折りシート束BSの折り目を再度増し折りさせながら、ホームポジションに復帰させ、その後に折りシート束を排出するようにすれば、最終段の増し折りが2度行うことになり増し折りがより確実に行える。
【0062】
以上のように、本実施例にあっては、二つ折りシート束BSに対して第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cの3つのユニットにより、3段階の折りを実行している。この折り動作を行って排出した折りシート束BSについて
図14により説明する。
これまで説明してきたように、本発明のシート押圧部材としての押圧ローラ70は、最初に上押えローラ71と下押えローラ72で折りシート束BSの折り目厚さ方向(折り目で折りシート束BS搬送方向と交差する上下方向)から、折りローラ45で折り目がつけられループ生じた箇所を折り目方向に移動して複数の折り目を付けている。すなわち、最初の第1段階は第1増し折りユニット56aの上押えローラ71と下押えローラ72との間隔をループよりもやや狭い間隔 (本実施例にあってはループ高さ略22ミリメートルに対して略14ミリメートル) に規定して、折りローラ45によって付けられた折り目に沿って移動して第1段階の折り目をつける。これが、
図14では折りシート束BSに薄いラインで第1折り線100として表れている。
【0063】
次に、第2段階は第2増し折りユニットの第2上押えローラ73と第2下押えローラ74との間隔を第1段階で押圧形成したループよりもやや狭い間隔 (本実施例にあっては略7ミリメートル) で規定してあり、折りローラ45によって付けられた折り目に沿って移動して第2段階の折り目をつける。これが、
図14では折りシート束BSに薄いラインで第2折り線101としてあらわれている。最終の段階として第3増し折りユニットの第3上押えローラ75と第3下押えローラ76は第3上押えローラ押圧バネ93aと第3下押えローラ押圧バネ93bとの弾性力で押圧している。この最終段階では、第1段階、第2段階のように第3上押えローラ75と第1下押えローラ76の間隔を規定以上狭くならないようにしていない(本実施例にあっての規制間隔は0ミリメートル)。従って、最終段階での押圧は折りシート束BSの押圧した厚さの位置を、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76で押圧しながら折り目方向に移動する。この最終段階の折り目は折りシート束BSに比較的濃いラインで最終折り線102として表れている。
なお、折りシート束BSの幅方向端部には、折りローラ45及び押圧ローラ70の圧接状態からシートに乗り上げる際の端部折り目103が形成されている。
【0064】
以上のように、各押圧ローラ70を異なる間隔で折り目が形成されるようにし、これにより第1段階の薄いラインである第1折り線100、第2段階の薄いラインである第2折り線101、及び最終段階の折りシート束BS厚さに応じて生じた比較的濃いラインである最終折り線102の各ライン位置で、折りシート束BSの閉じ方向(折り目を通過する搬送方向の線)側への折り方向が向くことにより、排出後も折りシート束BSが開いてしまい、整列性や集積性が低下することを防止できる。
【0065】
[制御構成の説明]
これまで、説明したシート増し折り装置50を備えるシート処理装置B及びこのシート処理装置を含む画像形装置Aの制御構成を
図15のブロック図により説明する。画像形成手段を備える画像形成装置制御部110は、コントロールパネルに設けられた入力手段111から所望の処理を入力する。この入力はモード設定手段によって、シート処理装置Bのシート処理装置制御部115を制御する。
【0066】
本実施例のシート処理装置Bのモードは既に説明したように、つぎのモードを備えている。
すなわち、(1)画像形成がされたシートを第1排紙トレイ21に収容する「プリントアウトモード」。(2)本体排紙口3からのシートを束状に部揃ええしてー端面綴じステープル装置33で綴じ後第1排紙トレイ21に収納する「ステープル綴じモード」(3)本体排紙口3からのシートを第2の処理トレイであるスタッカ部35で束状に部揃えしてこのシート束の中程を中綴じステープラ40で綴じ後、冊子状に折り畳んで第2排紙トレイ22に収納する「シート束中綴じ折りモード」。(4)中綴じして冊子状に折り畳んだシート束の折り目のループを増し折りして、第2排紙トレイに22に収納する「折りシート増し折りモード」。これらのモードが指定可能なように構成されている。
【0067】
シート処理装置Bは、上記の指定されたモードによって動作可能とされるシート処理装置制御部115と、動作プログラムを格納したROMと、制御データを記憶したRAMを備えている。そして、このシート処理装置制御部115は、この装置内のシート搬送を制御するシート搬送制御部116と、1枚ごとにシートに1枚穿孔ユニット28で押圧処理を行う1枚押圧制御部117と、処理トレイ29でシートの集積制御を行う処理トレイ制御部118と、この処理トレイ29にシート束として集積されたシートの端面側を綴じ、綴じ後排出する端面綴じ制御部119を備えている。
【0068】
シート束のシート搬送方向の1/2付近を綴じる中綴じたり中折りしたりする場合、シートのスタッカ部35にシート束を集積するスタッカ部制御部120で制御される。このスタッカ部制御部120は、1枚ずつスタッカ部35に搬入してくるシートの先端を規制するストッパ38や整合部材39で整列したシート束を生成する。さらに、シート束の中程にステープル針等を打ち込むように中綴じステープラを制御する中綴じ制御部と中綴じされたシート束を折りブレード46で折りローラ45に押し込んで中折りを施すように制御するシート折り制御部122を備える。
【0069】
この折りシート束BSに対して、これまで説明した「折りシート増し折りモード」に従ってシート増し折り装置50を制御する折りシート増し折り制御部123を備える。その後、増し折りが終了した折りシート束BSは、束移送を兼用する折りローラ45、束排出ローラ49を制御する折シート排出制御部124により制御されて第2排紙トレイに排出集積される。
本発明に特に関連する、折りシート増し折り制御については、これまで各機構の説明及び
図9から
図13までの各動作状態説明図で説明したので、ここでの説明は省略するが、特に第1増し折りユニット56a、第2増し折りユニット56b、第3増し折りユニット56cの移動を中心にこれまでに説明した内容でシート増し折り装置50を制御する。