特許第6553335号(P6553335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553335
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】送受信装置、およびレーダ計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/90 20060101AFI20190722BHJP
   G01S 7/02 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   G01S13/90
   G01S7/02 212
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-134579(P2014-134579)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-11921(P2016-11921A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】大泉 拓
(72)【発明者】
【氏名】木村 章紘
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−512175(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0265117(US,A1)
【文献】 特開2006−091028(JP,A)
【文献】 特開2009−080024(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0091965(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0273509(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00−7/42、13/00−13/95
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の移動方向と交差する方向に直線上に並べて配置された複数の送信アンテナと1つの受信アンテナとを有し、前記複数の送信アンテナ及び前記受信アンテナを保持する基部に対して、前記受信アンテナの位置を前記交差する方向に移動させ、前記複数の送信アンテナから順次選択した送信アンテナにより前記対象物にマイクロ波を送信し、前記受信アンテナが受信した該マイクロ波の反射波に応じた信号を合成開口レーダ方式で前記対象物の形状を計測する装置に出力する送受信装置。
【請求項2】
1つの送信アンテナと対象物の移動方向と交差する方向に直線上に並べて配置された複数の受信アンテナとを有し、前記送信アンテナ及び前記複数の受信アンテナを保持する基部に対して、前記送信アンテナの位置を前記交差する方向に移動させ、前記送信アンテナにより前記対象物にマイクロ波を送信し、前記複数の受信アンテナのうち順次選択される受信アンテナが受信した該マイクロ波の反射波に応じた信号を合成開口レーダ方式で前記対象物の形状を計測する装置に出力する送受信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の送受信装置と、
前記送受信装置が備える前記受信アンテナから前記マイクロ波に応じた信号を取得して前記対象物の形状を計測する計測装置と、を備えることを特徴とするレーダ計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小規模な領域に対して合成開口レーダを適用した送受信装置およびレーダ計測システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
合成開口レーダを適用して対象物の形状を計測する技術が開発されている。特許文献1には、フェーズドアレイアンテナが搭載された移動体の移動に伴ってそのビーム方向を電子的に制御しながら画像を取得する合成開口レーダ装置を試験する合成開口レーダ試験装置が記載されている。この合成開口レーダ試験装置は、飛行機における飛行経路のシナリオなど、移動体の模擬の移動情報に基づいて合成開口レーダ装置で受信される信号を模擬した試験信号を合成開口レーダ装置に向けて放射し、この移動情報に基づいて合成開口レーダ装置のフェーズドアレイアンテナを回転させて、試験信号発生部からフェーズドアレイアンテナまでの間の試験信号の伝搬距離に基づいてフェーズドアレイアンテナのバイアス移相量を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−101260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術は、地形などの大規模な領域を走査するものであり、室内における所有物や服飾品などを対象物として小規模な領域を走査するものではない。
また、大規模な領域を走査するための合成開口レーダの技術を、小規模な領域にそのまま適用させると、アンテナビームを複数回数にわたって往復走査する必要があり、走査時間およびアンテナサイズが増大し、かつ、ビーム制御が必要となってコストを増加させることになる。
【0005】
本発明は、合成開口レーダ方式により小規模な領域内に存在する対象物の形状を計測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、対象物の移動方向と交差する方向に直線上に並べて配置された複数の送信アンテナと1つの受信アンテナとを有し、前記複数の送信アンテナ及び前記受信アンテナを保持する基部に対して、前記受信アンテナの位置を前記交差する方向に移動させ、前記複数の送信アンテナから順次選択した送信アンテナにより前記対象物にマイクロ波を送信し、前記受信アンテナが受信した該マイクロ波の反射波に応じた信号を合成開口レーダ方式で前記対象物の形状を計測する装置に出力する送受信装置を、第1の態様として提供する。
【0009】
第1の態様の送受信装置によれば、合成開口レーダ方式により小規模な領域内を移動する対象物の形状を計測することができ、かつ、送信アンテナを移動させなくても、順次選択する方向に送信アンテナの位置を変化させることができる。
【0010】
また、本発明は、1つの送信アンテナと対象物の移動方向と交差する方向に直線上に並べて配置された複数の受信アンテナとを有し、前記送信アンテナ及び前記複数の受信アンテナを保持する基部に対して、前記送信アンテナの位置を前記交差する方向に移動させ、前記送信アンテナにより前記対象物にマイクロ波を送信し、前記複数の受信アンテナのうち順次選択される受信アンテナが受信した該マイクロ波の反射波に応じた信号を合成開口レーダ方式で前記対象物の形状を計測する装置に出力する送受信装置を、第2の態様として提供する。
【0011】
第2の態様の送受信装置によれば、合成開口レーダ方式により小規模な領域内を移動する対象物の形状を計測することができ、かつ、受信アンテナを移動させなくても、順次選択する方向に受信アンテナの位置を変化させることができる。
【0026】
また、本発明は、上述の送受信装置と、前記送受信装置が備える前記受信アンテナから前記マイクロ波に応じた信号を取得して前記対象物の形状を計測する計測装置と、を備えるレーダ計測システムを、第の態様として提供する。
【0027】
の態様のレーダ計測システムによれば、合成開口レーダ方式により小規模な領域内を移動する対象物の形状を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係るレーダ計測システム9の主要構成を示す図。
図2】送受信装置1の構成および動作を示す図。
図3】送受信装置1の機能的構成を示す図。
図4】変形例に係る送受信装置1aの構成および動作を示す図。
図5】変形例に係る送受信装置1bの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
1.実施形態
1−1.レーダ計測システムの全体構成
以下、本発明の一実施形態に係るレーダ計測システム9を説明する。図において、レーダ計測システム9の各構成が配置される空間をxyz右手系座標空間として表す。図に示す座標記号のうち、円の中に点を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表す。空間においてx軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を−x方向という。y、z成分についても、上記の定義に沿ってy軸方向、+y方向、−y方向、z軸方向、+z方向、−z方向を定義する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るレーダ計測システム9の主要構成を示す図である。レーダ計測システム9は、送受信装置1を有するほか、図1に示す例では、計測装置2を有する。送受信装置1と計測装置2とは、信号を遣り取りするためのケーブル3で接続されている。
【0031】
図2は、送受信装置1の構成および動作を示す図である。また、図3は、送受信装置1の機能的構成を示す図である。送受信装置1は、基部13と、アーム10と、アンテナ12とを有する。また、送受信装置1は、図2および図3で示すように、移動部14、スイッチ群15、および制御部11を有する。
【0032】
基部13は、アーム10、およびこのアーム10に取り付けられた複数のアンテナ12を保持する。また基部13は、内部に制御部11や移動部14などを収容する。基部13の上方向、すなわち、+z方向には、基部13の長手方向であるy軸方向に伸びる長穴130が設けられており、この長穴130から上方向に向けてアーム10が突出している。アーム10には、複数のアンテナ12がz軸方向に沿った配列方向D2に並んで設けられている。図1および図2に示す例において、アーム10には、9個のアンテナ12が配列方向D2に配列している。アーム10において、これらのアンテナ12は、いずれも+x方向を向いている。
【0033】
複数のアンテナ12には、それぞれ1つずつ送信アンテナ121および受信アンテナ122が設けられている。各アンテナ12の中において、送信アンテナ121と受信アンテナ122とは決められた位置にそれぞれ固定されている。そのため、アーム10が移動するときにおいても、送信アンテナ121および受信アンテナ122は、決められた位置関係を維持する。
【0034】
送信アンテナ121は、制御部11の制御の下、基部13の+x方向の領域に静止状態で存在する対象物に対して、マイクロ波を送信する。受信アンテナ122は、制御部11の制御の下、送信アンテナ121から送信され対象物に反射したマイクロ波(反射マイクロ波という)を受信する。また、受信アンテナ122は反射マイクロ波を受信すると、制御部11の制御の下、この反射マイクロ波に応じた信号を計測装置2に出力する。
【0035】
アーム10は、下方、すなわち、−z方向の端部を移動部14に支持されている。移動部14は、図2に示すように、例えば、基部13の内部においてx軸方向に沿った軸を有し、y軸方向に並べられた2つのロールと、これら2つのロールに架け渡されたベルトとを有する。また、移動部14は、モータなどの動力源を有する(いずれも図示せず)。なお、ベルトはチェーンであってもよいし、他の部材であってもよい。
【0036】
モータなどの動力を受けて、2つのロールの少なくとも一方が軸を中心にして回転すると、y軸方向に架け渡されたベルトが周回する。ベルトが周回すると、このベルトに支持されたアーム10がy軸方向に沿った移動方向D1に並進移動する。
【0037】
図3に示すスイッチ群15は、アーム10に配置された複数のアンテナ12にそれぞれ電力を供給するスイッチを有する。スイッチ群15は、或る瞬間において複数のアンテナ12のうち、1つのみに電力が供給されるように、制御部11によって制御される。すなわち、スイッチ群15が有する複数のスイッチのうち、同時に2つ以上が閉(オン状態)になることはない。
【0038】
制御部11は、送受信装置1の各部の動作を制御する手段である。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置を備え、これら記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。
【0039】
また、制御部11は、上述のプログラムを実行することにより、移動制御部111、選択部112、および出力部113として機能する。
【0040】
移動制御部111は、決められたタイミングでアーム10が基部13上の所定の位置を通過するように制御信号を送って移動部14を制御する。移動制御部111が移動部14を制御することにより、移動部14は、基部13に対して、送信アンテナ121と受信アンテナ122の両方の位置を、互いの位置関係を維持しながら移動させる。すなわち、移動部14は、本発明における移動手段の一例である。
【0041】
選択部112は、移動制御部111と連動して、スイッチ群15に制御信号を送り、複数のアンテナ12のうち1つのアンテナ12を配列方向D2に沿って順次選択する。選択部112により選択されたアンテナ12には電力が供給され、このアンテナ12に含まれる送信アンテナ121および受信アンテナ122は機能する。すなわち、選択されたアンテナ12に含まれる送信アンテナ121は、対象物に向けてマイクロ波を送信する。そして、選択されたアンテナ12に含まれる受信アンテナ122は、対象物に反射した反射マイクロ波を受信して、この反射マイクロ波に応じた信号を制御部11に送る。
【0042】
出力部113は、受信アンテナ122から送られた信号を、ケーブル3を介して接続された計測装置2に出力する。計測装置2は、出力部113によって決められた期間にわたって出力された信号をそれぞれ取得して、これらの信号が示す反射マイクロ波の強度、およびこれらの反射マイクロ波を反射したときのアンテナ12の各位置などを用いて合成開口レーダ方式により、対象物においてマイクロ波が反射した点の位置をそれぞれ特定し、特定した点を組み合わせることにより、この対象物の形状を計測する。
【0043】
この構成により、送受信装置1は、配列方向D2(z軸方向)に沿ってアンテナ12を順次選択し、移動方向D1(y軸方向)に沿ってアンテナ12が取り付けられたアーム10を並進移動させるので、移動方向D1と配列方向D2とを組み合わせることにより、アンテナ12の軌道または移動経路または移動経路は図2に示す範囲Aを網羅する。
【0044】
したがって、アンテナ12の切り替え速度およびアーム10の移動速度を調節することにより、送受信装置1は、図2に示すyz平面上の範囲Aから+x方向に向かう空間を走査することができる。そして、少なくとも配列方向D2については、送信アンテナと受信アンテナの組を電気的に切り替えることにより走査を行うため、走査時間が短縮される。つまり、レーダ計測システム9は、合成開口レーダ方式により上記の空間のような小規模な領域内に存在する対象物の形状を計測することができる。
【0045】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0046】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0047】
2−1.変形例1
上述した実施形態において、アーム10のz軸方向に沿った配列方向D2に配列された複数のアンテナ12が順次選択され、かつ、アーム10がy軸方向に沿った移動方向D1に並進移動させられることにより、送受信装置1は、図2に示すyz平面上の範囲Aから+x方向に向かう空間を走査していたが、送受信装置1が走査し得る範囲はこれに限られない。
【0048】
図4は、この変形例に係る送受信装置1aの構成および動作を示す図である。送受信装置1aは、送信アンテナ121aおよび受信アンテナ122aをそれぞれ含む複数のアンテナ12a、この複数のアンテナ12aが取り付けられたアーム10a、このアーム10aを回転運動させる移動部14a、および移動部14aを収容する基部13aを有する。
【0049】
アーム10aは、軸Oによって図4に示す回転方向D3に回転可能な状態で支えられている。移動部14aは、アーム10aに動力を伝える。移動部14aは、図示しない制御部11aにより制御され、決められたタイミングで基部13a上の所定の位置を通過するようにアーム10aを回転運動させる。
【0050】
また、アーム10aには、配列方向D4に沿って複数のアンテナ12aが配列されており、図示しない制御部11aにより、これらのうち1つのアンテナ12aが配列方向D4に沿って順次選択され機能する。配列方向D4は、軸Oを中心としてyz平面を放射状に伸びる方向であるから、回転方向D3と組み合わせることにより、アンテナ12aの軌道または移動経路は図4に示す範囲Bを網羅する。選択されたアンテナ12aに含まれる送信アンテナ121aからはマイクロ波が送信され、対象物に反射した反射マイクロ波は、選択されたアンテナ12aに含まれる受信アンテナ122aにより受信される。
【0051】
したがって、アンテナ12aの切り替え速度およびアーム10aの回転速度を調節することにより、送受信装置1aは、図4に示すyz平面上の範囲Bから+x方向に向かう空間を走査することができる。
【0052】
2−2.変形例2
上述した実施形態において、移動部14は、基部13に対して、送信アンテナ121と受信アンテナ122の両方の位置を、互いの位置関係を維持しながら移動させていたが、基部13に対して、送信アンテナ121と受信アンテナ122の少なくとも一方の位置を移動させればよい。
【0053】
2−3.変形例3
上述した実施形態において、アーム10は、複数のアンテナ12を有しており、各アンテナ12は、それぞれ1組の送信アンテナ121と受信アンテナ122とを有していたが、複数のアンテナ12は、1つずつ送信アンテナ121のみを有していてもよい。この場合、これら複数の送信アンテナ121のうち順次選択される1の送信アンテナ121が対象物に向けてマイクロ波を送信し、例えばアーム10に取り付けられた1つの受信アンテナ122が、この送信アンテナ121から送信され対象物に反射した反射マイクロ波を受信すればよい。
【0054】
2−4.変形例4
また、複数のアンテナ12は、1つずつ受信アンテナ122のみを有していてもよい。この場合、例えばアーム10に取り付けられた1つの送信アンテナ121が、対象物に向けてマイクロ波を送信し、これら複数の受信アンテナ122のうち順次選択される1の受信アンテナ122がマイクロ波を受信すればよい。
【0055】
2−5.変形例5
上述した実施形態において、送信アンテナ121は、基部13の+x方向の領域に静止状態で存在する対象物に対して、マイクロ波を送信していたが、対象物は移動していてもよい。例えば、対象物は、ベルトコンベアなどに載せられて決められた方向(例えばy軸方向)に移動してもよい。この場合、移動部14は、送信アンテナ121と受信アンテナ122の少なくとも一方を、この対象物の移動方向と交差する方向、例えば、z軸方向などに移動させればよい。
【0056】
2−6.変形例6
上述した実施形態において、アーム10には、複数のアンテナ12がz軸方向に沿った配列方向D2に並んで設けられていたが、複数のアンテナは、z軸方向だけでなく、z軸方向に直交するy軸方向にも並んで設けられていてもよい。すなわち、複数のアンテナは、yz平面上に固定配置されていてもよい。
【0057】
図5は、この変形例に係る送受信装置1bの構成を示す図である。図5に示す複数のアンテナ12bは、z軸方向に9行、y軸方向に8列、計72個がzy平面上に沿って配置されたアーム10bの面上に格子状に固定配置されている。各アンテナ12bは、図示しない制御部の制御により、z軸方向およびy軸方向のいずれか一方を主走査方向として、他方を副走査方向として、順次選択される。選択されたアンテナ12bによるマイクロ波の送受信の位置は、走査が一巡することにより図5に示す範囲Cを網羅する。
【0058】
各アンテナ12bは、送信アンテナ121bと受信アンテナ122bとを有する。したがって、アーム10bは、面上に固定配置され各々がマイクロ波を送信する複数の送信アンテナ121bと、面上に固定配置され各々がマイクロ波を受信する複数の受信アンテナ122bとを備える。
【0059】
この場合、複数の受信アンテナ122bから順次選択される1の受信アンテナ122bは、複数の送信アンテナ121bから順次選択される1の送信アンテナ121bから送信され対象物に反射したマイクロ波を受信する。そして、このマイクロ波を受信した受信アンテナ122bは、合成開口レーダ方式によりこのマイクロ波に応じた信号を対象物の形状を計測する装置に出力すればよい。
【0060】
2−7.変形例7
上述した変形例6において、アーム10bは、複数のアンテナ12bを有しており、各アンテナ12bは、それぞれ1組の送信アンテナ121bと受信アンテナ122bとを有していたが、複数のアンテナ12bは、1つずつ送信アンテナ121bのみを有していてもよい。この場合、これら複数の送信アンテナ121bのうち順次選択される1の送信アンテナ121bが対象物に向けてマイクロ波を送信し、例えばアーム10bに取り付けられた1つの受信アンテナ122bが、この送信アンテナ121bから送信され対象物に反射した反射マイクロ波を受信すればよい。
【0061】
2−8.変形例8
また、上述した変形例6において、複数のアンテナ12bは、1つずつ受信アンテナ122bのみを有していてもよい。この場合、例えばアーム10bに取り付けられた1つの送信アンテナ121bが、対象物に向けてマイクロ波を送信し、これら複数の受信アンテナ122bのうち順次選択される1の受信アンテナ122がマイクロ波を受信すればよい。
【0062】
2−9.変形例9
上述した変形例7および変形例8において、対象物は移動していてもよい。例えば、対象物は、ベルトコンベアなどに載せられてy軸方向に移動してもよい。この場合、送信アンテナ121bまたは受信アンテナ122bを1つずつ有する複数のアンテナ12bは、この対象物の移動方向と交差する方向、例えば、z軸方向などに並べて配置されていればよい。
【符号の説明】
【0063】
1…送受信装置、10…アーム、11…制御部、111…移動制御部、112…選択部、113…出力部、12…アンテナ、121…送信アンテナ、122…受信アンテナ、13…基部、130…長穴、14…移動部、15…スイッチ群、2…計測装置、3…ケーブル、9…レーダ計測システム、A…範囲、B…範囲、C…範囲、D1…移動方向、D2…配列方向、D3…回転方向、D4…配列方向、O…軸。
図1
図2
図3
図4
図5