(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メイン発電装置とサブ発電装置とを負荷を介して電気的に接続する接続経路における前記負荷よりも前記メイン発電装置側の経路部分に設けられ、その設けられた態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第1制御情報を出力し、該経路部分に流れる電流を検出するメイン側電流センサと、
前記接続経路における前記負荷よりも前記サブ発電装置側の経路部分に設けられ、その設けられた態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第2制御情報を出力し、該経路部分に流れる電流を検出するサブ側電流センサと、
前記メイン側電流センサによって検出された電流と、前記接続経路に設けられた電圧センサによる検出結果とに基づいて、前記メイン発電装置から前記負荷に供給される電力の大きさを表す供給電力値を算出する供給電力算出部と、
前記サブ側電流センサによって検出された電流と、前記電圧センサによる検出結果とに基づいて、前記サブ発電装置から出力される電力の大きさを表す発電電力値を算出する発電電力算出部と、
前記供給電力値と、前記発電電力値とを、それぞれ、算出に利用した前記電圧センサによる検出結果と前記電流とが検出された時間を表す時間情報に関連付けられた態様で、内蔵あるいは外部の記憶部に書き込む書き込み部と、
前記供給電力値および前記発電電力値を利用して、前記供給電力算出部により算出される前記供給電力値の正負符号が適正でないことを検知した場合に、前記供給電力値の正負符号が逆の符号となるように前記供給電力算出部を制御する符号制御部と、
前記供給電力値の正負符号が適正でないことが検知された場合に、前記メイン側電流センサから出力された前記第1制御情報と前記サブ側電流センサから出力された前記第2制御情報とを得た日時を表す測定開始日時から前記正負符号が適正でないことが検知されるまでの期間に亘って前記記憶部に書き込まれた前記供給電力値の正負符号を逆の符号に変更する補正部と、
を備えている電力測定装置。
前記第1および第2制御情報の少なくとも何れかが電流を検出可能でないことを表す場合に、少なくとも電力の計測準備が整っていないことを示す情報を提示可能な表示部を、
さらに備えている請求項1乃至請求項5の何れかに記載の電力測定装置。
メイン発電装置とサブ発電装置とを負荷を介して電気的に接続する接続経路における前記負荷よりも前記メイン発電装置側の経路部分に設けられたメイン側電流センサによりその設けられた態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第1制御情報を出力し、該経路部分に流れる電流を検出し、
前記接続経路における前記負荷よりも前記サブ発電装置側の経路部分に設けられたサブ側電流センサによりその設けられた態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第2制御情報を出力し、該経路部分に流れる電流を検出し、
前記メイン側電流センサによって検出された電流と、前記接続経路に設けられた電圧センサによる検出結果とに基づいて、前記メイン発電装置から前記負荷に供給される電力の大きさを表す供給電力値を算出し、
前記サブ側電流センサによって検出された電流と、前記電圧センサによる検出結果とに基づいて、前記サブ発電装置から出力される電力の大きさを表す発電電力値を算出し、
前記供給電力値と、前記発電電力値とを、それぞれ、算出に利用した前記電圧センサによる検出結果と前記電流とが検出された時間を表す時間情報に関連付けられた態様で、内蔵あるいは外部の記憶部に書き込み、
前記供給電力値および前記発電電力値を利用して、前記供給電力値の正負符号が適正でないことを検知した場合に、前記供給電力値の正負符号が逆の符号となるように前記供給電力値を制御し、
前記供給電力値の正負符号が適正でないことが検知された場合に、前記メイン側電流センサから出力された前記第1制御情報と前記サブ側電流センサから出力された前記第2制御情報とを得た日時を表す測定開始日時から前記正負符号が適正でないことが検知されるまでの期間に亘って前記記憶部に書き込まれた前記供給電力値の正負符号を逆の符号に変更する、
電力測定方法。
【背景技術】
【0002】
図8は、発電システムの一構成例が模式的に表されている(例えば、特許文献1を参照)。この発電システム100は、発電装置101と、電力測定装置102とを備えている。発電装置101は、例えば、燃料電池(化学エネルギーを電気エネルギーに変換することにより、発電する装置)であり、発電する構成を備えている。この発電装置101は、単相三線式でもって、負荷105を介して商用電源103に電気的に接続されている。つまり、発電装置101は、2本の電圧線106、107と中性線(グラウンドに接地されている線)108との三本の導線によって商用電源103に電気的に接続されている。
【0003】
電力測定装置102は、電流センサ111、112と、電圧センサ113と、ヒータ114と、制御装置115とを備えている。電流センサ111は、電圧線106において、負荷105よりも商用電源103側の部分に介設されており、電圧線106における介設部分に流れる電流の電流値を検出する構成を備えている。電流センサ112は、電圧線107において、負荷105よりも商用電源103側の部分に介設されており、電圧線107における介設部分に流れる電流の電流値を検出する構成を備えている。電圧センサ113は、電圧線106、107と、中性線108とに、負荷105よりも商用電源103側において接続されている。この電圧センサ113は、電圧線106と中性線108との間の電位差(電圧値)と、電圧線107と中性線108との間の電位差(電圧値)とを検出する構成を備えている。
【0004】
制御装置115は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)を備えており、CPUによって電力測定装置102の全体的な動作を制御する機能を備えている。例えば、制御装置115は、電流センサ111、112と電圧センサ113により検出される電流値と電圧値を利用して、買電電力値と売電電力値を算出する機能を備えている。買電電力値とは、商用電源103から負荷105に供給される電力の値である。売電電力値とは、発電装置101から商用電源103側に流れる電力の値である。
【0005】
ここで、電流センサ111、112と電圧センサ113の取り付け(接続)状態は、次のように定められているとする。つまり、商用電源103から負荷105に向けて電力が供給されている場合に、電流センサ111、112による各電流値に電圧センサ113による電圧値を乗算することによる電力値の正負符号が正となるように、センサ111、112、113は取り付けられる。換言すれば、発電装置101から商用電源103に向けて電流が流れている場合には、当該各電流値に当該電圧値を乗算することにより求められた電力値の正負符号が負となるようにセンサ111、112、113は取り付けられる。
【0006】
このような場合には、制御装置115は、算出した電力値の符号が正である場合には、商用電源103から負荷105に向かって電力が供給されている状態であるから、算出した電力値を買電電力量として算出する。また、制御装置115は、算出した電力値の符号が負である場合には、発電装置101から商用電源103に向かって電力が流れている状態であるから、算出した電力値を売電電力値として算出する。
【0007】
ところで、電力測定装置102では、電流センサ111、112や電圧センサ113が誤った状態で取り付けられてしまう場合がある。そのセンサを取り付ける作業(結線作業)における誤りに起因して、制御装置115が算出する電力値の正負符号は、不適正になってしまうことがある。つまり、発電装置101から商用電源103に向かって電力が流れている場合には、制御装置115により算出される電力値の正負符号は負となるところが、取り付け方を誤ることにより正になってしまうという事態が発生する。換言すれば、センサの取り付け方の誤りに起因して、制御装置115は、買電電力値と売電電力値を逆に算出してしまうという問題が発生する。
【0008】
このような問題が発生することを防止するために、電力測定装置102は、次のような機能を備えている。つまり、発電装置101が発電していない状態において、制御装置115は、ヒータ114を駆動する。制御装置115は、ヒータ114の駆動中における電流センサ111、112による電流値と電圧センサ113による電圧値とに基づいて電力値を算出する。そして、制御装置115は、算出した電力値が閾値以下である場合には、電流センサ111、112が誤った状態で取り付けられていると判断する。制御装置115は、これ以降に算出した電力値の正負符号を逆の符号に変更(補正)する。このような機能によって、制御装置115は、電流センサ111、112の取り付け誤りに起因した誤測定問題を防止しようとしている。
【0009】
また、他の関連技術としては、例えば、特許文献2および3が存在する。特許文献2は、電力表示器に関する技術を開示する。電力表示器は、複数の発電装置毎に、電流センサにより電流値を計測する。また、電力表示器は、計測した電流値と分電盤内における電圧値との演算によって得られる発電電力の値を、発電装置毎に表示する。これにより、特許文献2は、発電装置による発電量や発電状況の違いを提示することができる。
【0010】
特許文献3は、自家発電システムに関する技術を開示する。この自家発電システムは、電流センサによって検出した電流値と、電圧検出手段によって検出した電圧値とに基づき売電および買電電力を演算する。また、自家発電システムは、自家発電手段による発電量が所定量以下で、且つ演算結果が所定量以上の売電となった場合に、演算結果の符号を反転させる。これにより、特許文献3は、電流センサの取り付け方向の違いに起因する影響を受けない設置工事を実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、電力測定装置102(制御装置115)は、電力値を時々刻々と算出(測定)し、算出した電力値を記憶部(図示せず)に格納していく。そのように時々刻々と電力値が記憶部に格納されている状態で、電力測定装置102が電流センサ111、112の取り付け誤りを検知したとする。この場合には、電力測定装置102は、前記の如く、その取り付け誤りを検知した以降に算出した電力値の正負符号を逆の符号に補正する。そして、電力測定装置102は、補正した電力値を記憶部に格納していく。これにより、電力測定装置102は、誤った電力値が記憶部に格納され続けるという問題を回避できる。
【0013】
しかしながら、電力測定装置102が電流センサ111、112の取り付け誤りを検知するまでに記憶部に格納された符号に誤りを有する電力値は、符号を補正されることなく、そのままである。このため、例えば、設定された期間における買電電力値と売電電力値の各合計値を算出する場合に、その算出に利用する複数の電力値には、符号に誤りを有する電力値が含まれている。その結果、電力測定装置102は、正確な買電電力値と売電電力値との各合計値を算出できない。
【0014】
即ち、特許文献1乃至3には、記憶部に格納された符号の誤りを有する電力値を補正することについて、考慮されておらず何ら述べられていない。
【0015】
また、例えば、電力測定装置102が設置された場合や電流センサ111、112や電圧センサ113を交換した場合、或いは電流センサ111、112や電圧センサ113を取り付け直した場合に、工事事業者は、測定の開始日時を示す情報を管理する必要がある。即ち、当該工事事業者は、測定の開始日時を示す情報を、電力測定装置102に設定する必要がある。しかしながら、当該工事事業者が測定開始日時の設定を忘れた場合や設定ミスがあった場合に、測定を開始した日時は不明となる。これにより、電力測定装置102では、供給電力値の正負符号が適正でないと検知した場合であっても、記憶部に書き込まれている過去データをいつから補正したらよいのか判別することができない。その結果、電力測定装置102では、過去データを正しく補正することができない可能性がある。
【0016】
本発明は上記課題を解決するために考え出された。すなわち、本発明の主な目的は、センサの取り付け誤りに起因した電力値の誤測定問題を回避し、その上、符号の誤りを有する過去の電力値をも補正することによって、電力測定に対する信頼性を高めることができる電力測定装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を達成すべく、本発明の一態様に係る電力測定装置は、以下の構成を備えることを特徴とする。
【0018】
即ち、本発明の一態様に係る電力測定装置は、
メイン発電装置とサブ発電装置とを負荷を介して電気的に接続する接続経路における前記負荷よりも前記メイン発電装置側の経路部分に設けられ、その設けられた態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第1制御情報を出力し、該経路部分に流れる電流を検出するメイン側電流センサと、
前記接続経路における前記負荷よりも前記サブ発電装置側の経路部分に設けられ、その設けられた態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第2制御情報を出力し、該経路部分に流れる電流を検出するサブ側電流センサと、
前記メイン側電流センサによって検出された電流と、前記接続経路に設けられた電圧センサによる検出結果とに基づいて、前記メイン発電装置から前記負荷に供給される電力の大きさを表す供給電力値を算出する供給電力算出部と、
前記サブ側電流センサによって検出された電流と、前記電圧センサによる検出結果とに基づいて、前記サブ発電装置から出力される電力の大きさを表す発電電力値を算出する発電電力算出部と、
前記供給電力値と、前記発電電力値とを、それぞれ、算出に利用した前記電圧センサによる検出結果と前記電流とが検出された時間を表す時間情報に関連付けられた態様で、内蔵あるいは外部の記憶部に書き込む書き込み部と、
前記供給電力値および前記発電電力値を利用して、前記供給電力算出部により算出される前記供給電力値の正負符号が適正でないことを検知した場合に、前記供給電力値の正負符号が逆の符号となるように前記供給電力算出部を制御する符号制御部と、
前記供給電力値の正負符号が適正でないことが検知された場合に、前記メイン側電流センサから出力された前記第1制御情報と前記サブ側電流センサから出力された前記第2制御情報とを得た日時を表す測定開始日時から前記正負符号が適正でないことが検知されるまでの期間に亘って前記記憶部に書き込まれた前記供給電力値の正負符号を逆の符号に変更する補正部とを備える。
【0019】
また、同目的を達成すべく、本発明の一態様に係る電力測定方法は、以下の構成を備えることを特徴とする。
【0020】
即ち、本発明の一態様に係る電力測定方法は、
メイン発電装置とサブ発電装置とを負荷を介して電気的に接続する接続経路における前記負荷よりも前記メイン発電装置側の経路部分に設けられたメイン側電流センサによりその設けられた態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第1制御情報を出力し、該経路部分に流れる電流を検出し、
前記接続経路における前記負荷よりも前記サブ発電装置側の経路部分に設けられたサブ側電流センサによりその設けられた態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第2制御情報を出力し、該経路部分に流れる電流を検出し、
前記メイン側電流センサによって検出された電流と、前記接続経路に設けられた電圧センサによる検出結果とに基づいて、前記メイン発電装置から前記負荷に供給される電力の大きさを表す供給電力値を算出し、
前記サブ側電流センサによって検出された電流と、前記電圧センサによる検出結果とに基づいて、前記サブ発電装置から出力される電力の大きさを表す発電電力値を算出し、
前記供給電力値と、前記発電電力値とを、それぞれ、算出に利用した前記電圧センサによる検出結果と前記電流とが検出された時間を表す時間情報に関連付けられた態様で、内蔵あるいは外部の記憶部に書き込み、
前記供給電力値および前記発電電力値を利用して、前記供給電力算出部により算出される前記供給電力値の正負符号が適正でないことを検知した場合に、前記供給電力値の正負符号が逆の符号となるように前記供給電力算出部を制御し、
前記供給電力値の正負符号が適正でないことが検知された場合に、前記メイン側電流センサから出力された前記第1制御情報と前記サブ側電流センサから出力された前記第2制御情報とを得た日時を表す測定開始日時から前記正負符号が適正でないことが検知されるまでの期間に亘って前記記憶部に書き込まれた前記供給電力値の正負符号を逆の符号に変更する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、センサの取り付け誤りに起因した電力値の誤測定問題を回避し、その上、符号の誤りを有する過去の電力値をも補正できることにより、電力測定に対する信頼性を高めることができる電力測定装置等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態の電力測定装置1の構成を簡略化して表すブロック図である。
【0025】
図1において、電力測定装置1は、供給電力算出部3、発電電力算出部4、符号制御部5、書き込み部6、補正部7、記憶部8、メイン側電流センサ13およびサブ側電流センサ14を備える。なお、電力測定装置1は、内蔵の記憶部8に代えて、外部の記憶部8を利用してもよい。
【0026】
電力測定装置1は、サブ発電装置11が負荷12を介してメイン発電装置10に電気的に接続されている場合において、メイン発電装置10から負荷12に供給される電力の電力値と、サブ発電装置11による発電電力の電力値とを測定できる装置である。即ち、電力測定装置1は、メイン発電装置10とサブ発電装置11とが電気的に接続されている接続経路に負荷12が接続されている場合に、メイン発電装置10から負荷12に供給される電力の電力値と、サブ発電装置11による発電電力の電力値とを測定できる。電力測定装置1は、メイン側電流センサ13と、サブ側電流センサ14と、電圧センサ15とからそれぞれ出力される検出値を利用する。このメイン側電流センサ13と、サブ側電流センサ14と、電圧センサ15とは、上述した接続経路に設けられている。
【0027】
なお、以下の説明では、説明の便宜上、メイン側電流センサ13とサブ側電流センサ14とを総称して、単に、「電流センサ」と称する。また、以下の説明では、第1制御情報と第2制御情報とを総称して、単に、「制御情報」と称する(以下、各実施形態においても同様)。
【0028】
メイン側電流センサ13は、メイン発電装置10とサブ発電装置11とを電気的に接続する接続経路16において、負荷12よりもメイン発電装置10側の経路部分に設けられている。即ち、メイン側電流センサ13は、負荷12よりもメイン発電装置10側の経路部分に配置されている。また、メイン側電流センサ13は、当該経路部分に配置された態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第1制御情報を出力する。メイン側電流センサ13は、当該経路部分を流れる電流を検出する構成を備えている。
【0029】
サブ側電流センサ14は、接続経路16において、負荷12よりもサブ発電装置11側の経路部分に設けられている。即ち、サブ側電流センサ14は、負荷12よりもサブ発電装置11側の経路部分に配置されている。また、サブ側電流センサ14は、当該経路部分に配置された態様において電流を計測可能か否かの動作状況を表す第2制御情報を出力する。サブ側電流センサ14は、当該経路部分を流れる電流を検出する構成を備えている。
【0030】
ここで、制御情報(第1および第2制御情報)とは、自電流センサ(13、14)が配置された経路部分に流れる電流を検出(計測)可能か否かの動作状況を表す情報を含む。例えば、電流センサは、経路部分に配置されることにより動作状況が変化するのに応じて、その動作状況を表す情報を含む制御情報を出力する構成を採用してもよい。
【0031】
また、上記2つの電流センサ(13、14)は、一例として、計測対象である接続経路16をクランプ部(不図示)によって挟み込むと共に、その挟み込んだ接続経路16に流れる電流によって生じる磁界の強さに基づいて、その電流の大きさを検出する原理を採用することができる。なお、電流の大きさを検出する原理自体は、現在では一般的な技術を採用することができる。そのため、本実施形態における詳細な説明は省略する(以下、各実施形態においても同様)。
【0032】
電圧センサ15は、接続経路16に接続され(設けられ)、ここでは、基準電位であるグラウンドと接続経路16との電位差(電圧)を検出する構成を備えている。
【0033】
供給電力算出部3は、メイン側電流センサ13が出力する電流の検出結果と、電圧センサ15が出力する電圧の検出結果とに基づいて、メイン発電装置10から負荷12に供給される電力の大きさ(電力値、電力量)を表す供給電力値を算出する機能を備えている。即ち、供給電力算出部3は、当該電流の検出結果と当該電圧の検出結果とに基づいて、メイン発電装置10から負荷12に供給される電力値(電力量)を算出する機能を備えている。
【0034】
発電電力算出部4は、サブ側電流センサ14が出力する電流の検出結果と、電圧センサ15が出力する電圧の検出結果とに基づいて、サブ発電装置11が発電する電力の大きさを表す発電電力値を算出する機能を備えている。
【0035】
書き込み部6は、供給電力算出部3が算出した供給電力値と、発電電力算出部4が算出した発電電力値とを、それぞれ、算出に利用した電圧センサ15による電圧の検出結果と電流とが検出された時間を表す時間情報に関連付けられた態様でもって、記憶部8に書き込む機能を備えている。なお、その時間情報は、時刻情報であってもよいし、時刻情報と日付情報とであってもよい。或いは、時間情報は、時刻情報に限らず、例えば、計測開始時からの経過時間の情報などであってもよい。
【0036】
符号制御部5は、供給電力算出部3により算出された供給電力値と、発電電力算出部4により算出された発電電力値とを利用して、供給電力算出部3により算出される供給電力値の正負符号が適正でないことを検知する機能を備えている。また、符号制御部5は、供給電力値の正負符号が負であり、かつ、供給電力値の絶対値が発電電力値の絶対値よりも大きい場合には、供給電力値の正負符号が適正でないと検知する。そして、符号制御部5は、供給電力算出部3による供給電力値の正負符号が適正でないことを検知した場合に、供給電力算出部3から出力される供給電力値の正負符号が逆の符号となるように供給電力算出部3を制御する機能を備えている。
【0037】
補正部7は、供給電力算出部3による供給電力値の正負符号が適正でないことが検知された場合に、次のように動作する機能を備えている。補正部7は、測定を開始した日時(測定開始日時)から、供給電力値の正負符号が適正でないことが検知されるまでの期間に亘って記憶部8に書き込まれた供給電力値の正負符号を逆の符号に変更(補正)する。
【0038】
ここで、測定開始日時とは、メイン側電流センサ13から出力された第1制御情報と、サブ側電流センサ14から出力された第2制御情報とを得た日時を表す情報である。即ち、測定開始日時は、補正部7が電力測定装置1を構成する全ての電流センサから出力された制御情報を得た(受信した)日時を表す情報である。
【0039】
このように本実施の形態に係る電力測定装置1によれば、センサの取り付け誤りに起因した電力値の誤測定問題を回避し、その上、符号の誤りを有する過去の電力値をも補正できることにより、電力測定に対する信頼性を高めることができる。その理由は、以下に述べる通りである。
【0040】
即ち、電力測定装置1は、供給電力算出部3による供給電力値の正負符号が適正でないことが検知された場合に、検知された以降に供給電力算出部3から出力される供給電力値の正負符号を逆の符号にする制御機能を備えている。このため、電力測定装置1は、メイン側電流センサ13や電圧センサ15の取り付け状態が本来の仕様通りでなくとも、正負符号が正しい供給電力値を出力できる。その上、電力測定装置1は、算出される供給電力値が適正でないことが検知される前に記憶部8に書き込まれた符号の誤りを有する給電力値の正負符号を逆の符号に変更(補正)する機能を備えている。これにより、電力測定装置1は、記憶部8に書き込まれている過去データを利用した算出結果(例えば、設定期間における供給電力値の合計値)の正確性を高めることができる。これにより、電力測定装置1は、電力測定に対する信頼性を高めることができる。
【0041】
特に、電流センサは、制御情報(第1および第2制御情報)を補正部7に対して出力する機能を備えている。また、補正部7は、制御情報を得た日時を表す測定開始日時から、供給電力値の正負符号が適正でないことが検知されるまでの期間に亘って記憶部8に書き込まれた供給電力値の正負符号を逆の符号に補正する機能を備えている。これにより、例えば、電力測定装置1を管理する管理者は、いつから供給電力値の正負符号が適正でないのかを意識する必要が無い。また、電力測定装置1は、電力測定装置1が設置された場合、電流センサや電圧センサを交換した場合、或いは電流センサや電圧センサを取り付け直した場合であっても、次に示す処理を実行することができるからである。即ち、電力測定装置1は、測定開始日時から正負符号が適正でないと検知されるまでの期間に亘って過去データの正負符号を逆の符号に補正することができるからである。
【0042】
<第2の実施形態>
次に、上述した本発明の第1の実施形態に係る電力測定装置1を基本とする第2の実施形態について説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明する。その際、上述した各実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0043】
本発明の第2の実施形態における電力測定装置20について、
図2乃至
図6を参照して説明する。
【0044】
図2は、本発明に係る第2実施形態の電力測定装置20の構成を簡略化して表すブロック図である。
【0045】
第2実施形態の電力測定装置20は、サブ発電装置である発電装置22が負荷23を介してメイン発電装置である商用電源24に電気的に接続されている場合において、次の電力値を測定できる装置である。つまり、電力測定装置20が測定対象としている電力値は、商用電源24から負荷23に供給される電力の値(以下、「供給電力値」と記載する場合もある)、および発電装置22による発電電力の値(以下、「発電電力値」と記載する場合もある)である。
【0046】
この第2実施形態では、発電装置22は、例えば、太陽光発電装置である。この第2実施形態では、発電装置22は、交流電力を出力する。発電装置22は、単相三線式でもって商用電源24に電気的に接続されている。即ち、発電装置22は、第1の電圧線26と、第2の電圧線27と、グラウンドに接続されている中性線28とによる接続経路25によって、商用電源24に電気的に接続されている。商用電源24は、交流電力を負荷23に供給するメインの電力源である。
【0047】
負荷23は、仕様により定められている定格電圧に基づいて、電圧線26、27と中性線28との中から選択された2本の導線に接続される。また、負荷23は、商用電源24および発電装置22から電力が供給される。ここでは、発電装置22による発電電力量が負荷23により消費される電力量よりも多くなった場合には、発電装置22から商用電源24側に電流(電力)が流れる逆潮流と呼ばれる状態になる。なお、負荷23は、1つとは限らず、複数である場合もある。
【0048】
この第2実施形態の電力測定装置20は、メイン側電流センサである第1メイン側電流センサ30および第2メイン側電流センサ31、サブ側電流センサである発電側電流センサ32、第1電圧センサ34および第2電圧センサ35を備えている。さらに、電力測定装置20は、供給電力算出部37、発電電力算出部38、符号制御部39、制御装置40および記憶部41を備えている。なお、電力測定装置20は、内蔵の記憶部41に代えて、外部の記憶部を記憶部41として利用してもよい。
【0049】
第1メイン側電流センサ30(以下、略して「電流センサ30」と記載する場合もある)は、第1の電圧線26において、負荷23よりも商用電源24側の経路部分に介設される。電流センサ30は、当該介設部分に流れる電流の電流値を出力する構成を備えている。
【0050】
第2メイン側電流センサ31(以下、略して「電流センサ31」と記載する場合もある)は、第2の電圧線27において、負荷23よりも商用電源24側の経路部分に介設される。電流センサ31は、当該介設部分に流れる電流の電流値を出力する構成を備えている。
【0051】
発電側電流センサ32(以下、略して「電流センサ32」と記載する場合もある)は、第1の電圧線26において、負荷23よりも発電装置22側の部分に介設される。電流センサ32は、当該介設部分に流れる電流の電流値を出力する構成を備えている。
【0052】
これら電流センサ(電流センサ30、31および32)は、少なくとも当該センサの検出端が介設された電圧線において電流を計測可能か否かの動作状況を表す制御情報として制御信号を出力する。
【0053】
より具体的に、電流センサ30は、少なくとも当該センサの検出端が介設された第1の電圧線26において電流を計測可能か否かの動作状況を表す制御信号を、符号制御部39および制御装置40に対して出力する。電流センサ31は、少なくとも当該センサの検出端が介設された第2の電圧線27において電流を計測可能か否かの動作状況を表す制御信号を、符号制御部39および制御装置40に対して出力する。そして、電流センサ32は、少なくとも当該センサの検出端が介設された第1の電圧線26において電流を計測可能か否かの動作状況を表す制御信号を、符号制御部39および制御装置40に対して出力する。
【0054】
より具体的に、例えば、第2実施形態の電流センサは、電流を検出可能なように少なくとも当該センサの検出端が電圧線を挟み込むクランプ部(不図示)と、制御信号を発生させる信号発生部(不図示)とを有して構成されている。その場合に、当該制御信号は、クランプ部の開閉状態を示す情報である。即ち、クランプ部が閉状態である場合に、制御信号は、電気的に電流を測定可能な状態であることを表す情報を含む。その一方で、クランプ部が開状態である場合には、制御信号は、電流を測定することができない状態であることを表す情報を含む。このように、電流センサは、クランプ部の開閉状態に応じて、制御信号を出力する構成を採用してもよい。但し、本実施形態において、上述したクランプ部は、物理的に開閉可能である必要は無く、電圧線との接続状態を当該電流センサまたはクランプ部によって切り替えられることにより当該クランプ部の開閉状態を実質的に実現する機能を有していればよい。以下の説明では、説明の便宜上、「クランプ部が開いている、閉じている」と表すこととする。
【0055】
第1電圧センサ34(以下、略して「電圧センサ34」と記載する場合もある)は、第1の電圧線26と中性線28に接続される。電圧センサ34は、中性線28に対する第1の電圧線26の電位差(電圧)を検出する構成を備えている。第2電圧センサ35(以下、略して「電圧センサ35」と記載する場合もある)は、第2の電圧線27と中性線28に接続される。電圧センサ35は、中性線28に対する第2の電圧線27の電位差(電圧)を検出する構成を備えている。
【0056】
この第2実施形態では、電流センサ30と電圧センサ34とが本来の仕様通りに接続経路25に取り付けられている状態では、後述する説明の前提として、電流センサ30による電流値と電圧センサ34による電圧値との乗算による電力値(第1供給電力値)の正負符号は次のようになる。つまり、商用電源24から負荷23に電力が供給されている場合には、第1供給電力値の正負符号は正とすることとする。また、発電装置22から商用電源24に向けて電力が流れている場合には、第1供給電力値の正負符号は負とすることとする。さらに、電流センサ31と電圧センサ35とが本来の仕様通りに接続経路25に取り付けられている状態では、前提として、電流センサ31による電流値と電圧センサ35による電圧値との乗算による電力値(第2供給電力値)の正負符号は次のようになる。つまり、商用電源24から負荷23に電力が供給されている場合には、第2供給電力値の正負符号は正とすることとする。また、発電装置22から商用電源24に向けて電力が流れている場合には、第2供給電力値の正負符号は負とすることとする。このような前提の元で、具体的な動作の詳細を以下に説明する。
【0057】
供給電力算出部37は、第1供給電力演算器44と、第2供給電力演算器45とを備えている。
【0058】
第1供給電力演算器44は、電流センサ30による電流値と、電圧センサ34による電圧値とを乗算することにより、第1の電圧線26における負荷23よりも商用電源24側の部分に通電している電力の電力値を第1供給電力値として算出する機能を備えている。この第2実施形態では、第1の電圧線26を流れる電力は交流であることから、第1供給電力演算器44は、その交流の予め定められた周期分の平均電力値を、その周期毎に第1供給電力値として時々刻々と算出する。具体例を挙げると、第1の電圧線26を流れる交流電流の周波数が50ヘルツである場合に、その交流の1周期分の平均電力値を出力すると設定されると、第1供給電力演算器44は、20ミリ秒間分の平均電力値を約20ミリ秒毎に供給電力値として算出する。
【0059】
この第2実施形態では、第1供給電力演算器44は、符号制御部39から算出値の正負符号を逆の符号に変更する指令を表す符号反転信号(第3制御情報)を受けている場合がある。この場合には、第1供給電力演算器44は、算出値の正負符号を逆の符号に変更した値を第1供給電力値として出力する。
【0060】
第2供給電力演算器45は、電流センサ31による電流値と、電圧センサ35による電圧値とを乗算することにより、第2の電圧線27における負荷23よりも商用電源24側の部分に通電している電力の電力値を第2供給電力値として算出する機能を備えている。この第2供給電力演算器45も第1供給電力演算器44と同様に、交流の予め定められた周期分の平均電力値を、その周期毎に第2供給電力値として算出する。また、第2供給電力演算器45は、符号制御部39から符号反転信号を受けている場合には、算出値の正負符号を逆の符号に変更した値を第2供給電力値として出力する。
【0061】
発電電力算出部38は、第1発電電力演算器46と、第2発電電力演算器47とを備えている。
【0062】
第1発電電力演算器46は、電流センサ32による電流値と、電圧センサ34による電圧値とを乗算することにより、第1の電圧線26における負荷23よりも発電装置22側の部分に通電している電力の電力値を第1発電電力値として算出する機能を備えている。
【0063】
第2発電電力演算器47は、電流センサ32による電流値と、電圧センサ35による電圧値とを乗算することにより、第2の電圧線27における負荷23よりも発電装置22側の部分に通電している電力の電力値を第2発電電力値として算出する機能を備えている。これら第1発電電力演算器46および第2発電電力演算器47も、第1供給電力演算器44と同様に、交流の予め定められた周期分の平均電力値を、その周期毎に発電電力値として算出する。なお、この第2実施形態では、第1発電電力演算器46と第2発電電力演算器47は、算出する第1発電電力値または第2発電電力値の正負符号が常に正となるように構成されている。
【0064】
符号制御部39は、供給電力算出部37と発電電力算出部38とがそれぞれ算出した算出値を利用して、供給電力算出部37から出力される第1供給電力値と第2供給電力値とのそれぞれの正負符号が適正でないことを検知できる機能を備えている。
【0065】
ここで、供給電力算出部37と発電電力算出部38とがそれぞれ算出した算出値を利用することにより、前述した仕様通りの正負符号(正負方向)に対して第1供給電力値と第2供給電力値とのそれぞれの正負符号が適正でないことを検知できる理由について、
図3を参照して説明する。
【0066】
図3は、本発明の第2の実施形態における接続経路25に流れる電流の通電状態を模式的に表すモデル図である。
【0067】
以下の説明では、商用電源24から負荷23aに通電する電流の電流値をIzaとする。商用電源24から負荷23bに通電する電流の電流値をIzbとする。商用電源24から負荷23cに通電する電流の電流値をIzcとする。第1の電圧線26における負荷23よりも商用電源24側の部分において、商用電源24側から負荷23a、23cに通電する電流の電流値をIz1(Iz1=Iza+Izc)とする。第2の電圧線27における負荷23よりも商用電源24側の部分において、商用電源24側から負荷23b、23cに通電する電流の電流値をIz2(Iz2=Izb+Izc)とする。さらに、発電装置22が発電したことによって接続経路25に通電する電流の電流値をIpvとする。電流センサ30により検出される電流値をI30とする。電流センサ31により検出される電流値をI31とする。電圧センサ34により検出される電圧値をV34とする。電圧センサ35により検出される電圧値をV35とする。
【0068】
まず、以下の説明では、第1供給電力値Wz1について述べる。
【0069】
第1供給電力値Wz1は、電流センサ30により検出される電流値I30と、電圧センサ34により検出される電圧値V34とを乗算することにより得られる値である。また、電流センサ30により検出される電流I30は、式(1)により表すことができる。これらのことにより、第1供給電力値Wz1は、式(2)のように表される。
【0070】
I30=Iz1−Ipv・・・・・(1)
Wz1=I30×V34=(Iz1−Ipv)×V34・・・・・(2)
ここで、−は、減算を表す。また、×は、乗算を表す(以下、各実施形態においても同様)。
【0071】
逆潮流(つまり、発電装置22の発電電力が商用電源24側に流れる現象)は、発電装置22による発電電力量が負荷23(23a、23b、23c)により消費される電力量よりも多い場合に、その余剰電力が商用電源24側に流れる現象である。この逆潮流が発生している状態では、発電装置22による電流の電流値Ipvが、商用電源24側から負荷23側に流れる電流の電流値Iz1よりも大きくなっている(Iz1<Ipv)。このことから、逆潮流が発生している状態では、式(2)により表される第1供給電力値Wz1は負となる。また、式(2)により表される第1供給電力値Wz1は、式(3)のように表すことができる。このことから、逆潮流が発生している状態では、式(4)が成り立つ。
【0072】
Wz1=(Iz1−Ipv)×V34=Iz1×V34−Ipv×V34・・・・・(3)
Iz1×V34−Ipv×V34<0・・・・・(4)
また、逆潮流が発生している状態では、発電装置22による発電電力のうちの負荷23により消費されなかった余剰電力は、商用電源24側に流れる。そのため、第1供給電力値Wz1の絶対値は、第1発電電力値Wp1(Wp1=Ipv×V34)の絶対値を越えない。これにより、第1供給電力値Wz1の正負符号が負である場合には、式(5)が成り立つ。式(6)は、式(3)などを利用して式(5)を書き改めた式である。
【0073】
|Wz1|<|Wp1|・・・・・(5)
|Iz1×V34−Ipv×V34|<|Ipv×V34|・・・・・(6)
しかしながら、電流センサ30や電圧センサ34が取り付け誤り状態であることに起因して、第1供給電力値Wz1の正負符号が負であっても、式(5)が成り立たない場合が発生する。つまり、逆潮流が発生していない場合には、第1供給電力値Wz1の絶対値の最大値は、発電装置22による発電電力量に規制されない。そのため、第1供給電力値Wz1の絶対値は、第1発電電力値Wp1の絶対値よりも大きくなる場合がある。この場合に、電流センサ30や電圧センサ34の取り付け誤りに起因して、逆潮流が発生していないのに第1発電電力値Wp1の正負符号が負になる事態になっていると、第1供給電力値Wz1の正負符号が負であっても式(5)、式(6)が成り立たない。
【0074】
このようなことから、第1供給電力値Wz1が負であって、かつ、式(7)が成り立つ場合には、第1供給電力値Wz1の正負符号が適正ではないと判断できる。
【0075】
|Iz1×V34−Ipv×V34|>|Ipv×V34|・・・・・(7)
式(1)に基づき、Iz1=I30+Ipvと表すことができるから、これを利用して、式(7)を式(8)のように書き改めることができる。
【0076】
|(I30+Ipv)×V34−Ipv×V34|>|Ipv×V34|・・・・・(8)
つまり、式(8)は、|I30×V34|>|Ipv×V34|であり、さらに、書き改めると、|Wz1|>|Wp1|となる。すなわち、第1供給電力値Wz1が負であって、かつ、第1供給電力値Wz1の絶対値が第1発電電力値Wp1の絶対値よりも大きい場合には、第1供給電力値Wz1の正負符号が適正ではないと判断できる。
【0077】
第2供給電力値Wz2に関しても同様な理由により、第2供給電力値Wz2が負であって、かつ、第2供給電力値Wz2の絶対値が第2発電電力値Wp2の絶対値よりも大きい場合には、第2供給電力値Wz2の正負符号が適正ではないと判断できる。
【0078】
符号制御部39は、上記のような供給電力値と発電電力値との比較により、第1供給電力値Wz1と第2供給電力値Wz2との正負符号が適正ではないことを検知する回路を備えている。
【0079】
より具体的に、この第2実施形態では、符号制御部39は、第1符号制御回路50および第2符号制御回路51を備えている。これら第1符号制御回路50と第2符号制御回路51とは、同様な回路構成を備えている。
図4は、第1符号制御回路50(第2符号制御回路51)の一回路構成例を簡略化して表すブロック図である。この
図4に表されている回路50(51)は、フリップフロップ回路53と、比較器54とを有して構成されている。
【0080】
比較器54は、供給電力演算器44(45)により算出された供給電力値Wz1(Wz2)と、発電電力演算器46(47)により算出された発電電力値Wp1(Wp2)とを比較し、次のような場合に超過信号を出力する回路構成を備えている。この比較器54が超過信号を出力する場合とは、供給電力値Wz1(Wz2)が負であり、かつ、供給電力値Wz1(Wz2)の絶対値が発電電力値Wp1(Wp2)の絶対値よりも大きい場合である。
【0081】
フリップフロップ回路53は、信号入力部であるセット部Sおよびリセット部Rと、出力部Qとを備えている。この
図4の例では、セット部Sは、比較器54の出力部に電気的に接続されている。リセット部Rは、電流センサ(電流センサ30、31および32)に接続されている。フリップフロップ回路53は、比較器54から超過信号がセット部Sに入力した以降には、出力部Qから符号反転信号(第3制御情報)を継続的に出力し、リセット部Rに制御信号が加えられると、符号反転信号の出力を停止する回路構成を備えている。このフリップフロップ回路53から出力された符号反転信号は、第1供給電力演算器44と第2供給電力演算器45と制御装置40に加えられる。前述したように、第1供給電力演算器44と第2供給電力演算器45は、符号反転信号が加えられている状態では、算出した電力値の正負符号を逆の符号にした値を供給電力値として出力する。
【0082】
制御装置40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備える。制御装置40は、当該CPUによって、例えば、記憶部41から読み出したコンピュータ・プログラム(プログラム)を実行することにより、電力測定装置20の全体的な動作を制御する構成を備えている。この第2実施形態では、制御装置40は、機能部として、補正部56と、書き込み部57とを備えている。
【0083】
書き込み部57は、第1供給電力演算器44と第2供給電力演算器45と第1発電電力演算器46と第2発電電力演算器47とがそれぞれ出力した電力値を、算出した時間を表す時間情報に関連付けた態様でもって、記憶部41に書き込む機能を備えている。なお、電力値に関連付けられる時間情報は、制御装置40に内蔵されている時計機構による時刻情報であってもよいし、時刻情報以外の時間を表す他の情報であってもよい。
【0084】
また、書き込み部57は、電流センサ(電流センサ30、31および32)から出力された制御信号を受信した場合に、それら全ての制御信号を受信した日時を表す情報を測定開始日時の情報として記憶部41に格納する機能を備えている。換言すると、書き込み部57は、それぞれの電流センサにおいて電流値を測定可能なように接続されたことを表す制御信号を受信した場合に、その受信した日時を表す情報を測定開始日時の情報として記憶部41に格納する。
【0085】
補正部56は、符号制御部39の第1符号制御回路50から符号反転信号が出力されたことを検知した場合には、記憶部41に書き込まれている第1供給電力値Wz1を次のように補正する機能を備えている。つまり、補正部56は、記憶部41に格納されている測定開始日時から符号反転信号が出力されるまでの期間に算出され記憶部41に書き込まれている第1供給電力値Wz1の正負符号を逆の符号に変更し当該第1供給電力値Wz1を更新する機能を備えている。
【0086】
また同様に、補正部56は、符号制御部39の第2符号制御回路51から符号反転信号が出力されたことを検知した場合には、記憶部41に書き込まれている第2供給電力値Wz2を次のように補正する機能を備えている。つまり、補正部56は、記憶部41に格納されている測定開始日時から符号反転信号が出力されるまでの期間に算出され記憶部41に書き込まれている第2供給電力値Wz2の正負符号を逆の符号に変更し当該第2供給電力値Wz2を更新する機能を備えている。
【0087】
以下の説明において、より具体的に、本実施形態における電力測定装置20の動作について、
図5および
図6を参照して説明する。
【0088】
図5は、本発明の第2の実施形態における電力測定装置20を構成する制御装置40が行う動作を示すフローチャートである。また、
図6は、本発明の第2の実施形態における電力測定装置20の動作を説明するタイムチャートである。この
図6においては、記憶部41に書き込まれている第1供給電力値Wz1と第1発電電力値WP1とが棒グラフにより表されている。また、
図6は、横軸方向に時刻を表す。
【0089】
以下の説明では、説明の便宜上、一例として、制御装置40が、記憶部41に格納されている供給電力値Wz1、Wz2の正負符号を補正する動作について説明する。
【0090】
また、以下の説明では、例えば、電流センサ30、31が交換されたこととする。これにより、電流センサ30、31は、例えば、クランプ部が開状態を表す制御信号を出力していた場合には、クランプ部が閉じられるのに応じて、制御信号の出力を停止する(
図6における時間T1→T2を参照)。符号制御部39のフリップフロップ回路53は、その制御信号を受け取ると、例えば、出力部Qから符号反転信号を出力していた場合には、その符号反転信号の出力を停止する(
図6における時間T1→T2を参照)。
【0091】
制御装置40は、受信した制御信号に基づいて、それぞれの電流センサが有するクランプ部の開閉状態を判別する。制御装置40は、当該開閉状態を判別した結果、クランプ部が閉状態であると判別した場合に、処理をステップS102に進める。一方で、制御装置40は、クランプ部が開状態であると判別した場合には、ステップS101に示す処理を繰り返す(ステップS101)。即ち、制御装置40は、電流センサ30、31および32の何れかのクランプ部が開状態であると検知し、電力演算器44、45、46および47による演算処理を行うことなく、ステップS101に示す処理を繰り返す(
図6に示す時間T1)。制御装置40は、内蔵の時計機構等から測定開始日時(例えば時間T2)の情報を取り込み、当該測定開始時間を記憶部41に書き込む(ステップS102)。
【0092】
その後、制御装置40は、第1供給電力値Wz1、第2供給電力値Wz2、第1発電電力値Wp1、第2発電電力値Wp2を受け取ると(ステップS103)、それら電力値をそれぞれ時間情報に関連付けた態様でもって記憶部41に書き込む(ステップS104)。
【0093】
そして、制御装置40は、符号反転信号の出力が開始された否かを判断する(ステップS105)。つまり、供給電力算出部37と発電電力算出部38とが、電力値Wz1、Wz2、Wp1、Wp2を算出すると、符号制御部39が、それら算出された電力値に基づいて前述したように符号反転信号の出力を開始するか否かを判断する。この符号制御部39の判断によって符号反転信号の出力が開始されていない場合には、制御装置40は、ステップS104の判断動作の後に、ステップS103以降の動作を繰り返す。つまり、制御装置40は、時々刻々と算出される電力値を記憶部41に書き込んでいく。
【0094】
然る後に、例えば、第1供給電力値Wz1の正負符号が負である場合に、符号制御部39は、次に示す処理を実行する。即ち、第1供給電力値Wz1の絶対値が第1発電電力値Wp1の絶対値よりも大きくなった場合(
図6における時間T6を参照)には、符号制御部39の比較器54から超過信号が出力される。これにより、符号制御部39のフリップフロップ回路53から符号反転信号の出力が開始される(
図6における時間T7)。
【0095】
制御装置40の補正部56は、その符号反転信号の出力が開始されたことを検知すると(
図5におけるステップS105)、記憶部41から測定開始日時(
図6における時間T2)の情報を読み出す。そして、補正部56は、測定開始日時T2から符号反転信号が出力されるまで(時間T2から時間T6まで)に亘って記憶部41に書き込まれた第1供給電力値Wz1の正負符号を逆の符号に変更する。つまり、補正部56は、過去データを補正する(ステップS106)。なお、符号反転信号の出力が開始されることにより、供給電力算出部37の第1供給電力演算器44から出力される算出値の正負符号は逆の符号に変更された状態でもって出力されることから、記憶部41のデータ補正は行わなくてよい。
【0096】
なお、上記例では、補正部56が、記憶部41に書き込まれている第1供給電力値Wz1を補正する例を示したが、同様に、記憶部41における第2供給電力値Wz2を変更する場合もある。
【0097】
この第2実施形態の電力測定装置20は、上記のような構成を備えていることにより、第1実施形態と同様に、電力測定に対する信頼性を高めることができる。
【0098】
(その他の実施形態)
なお、本発明は第1と第2の実施形態に限定されず、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第2実施形態の構成に加えて、電力測定装置20は、さらに、表示部61を備える構成を採用してもよい。
【0099】
図7は、本発明に係るその他の実施形態の電力測定装置60の構成を簡略化して表すブロック図である。電力測定装置60は、第2の実施形態において説明した電力測定装置20の構成に、さらに表示部61を備える。
【0100】
表示部61は、例えば、液晶画面であり、その算出された電力値などを表示する機能を備えている。この表示部61の表示内容等は、制御装置40により制御される。
【0101】
例えば、制御装置40は、
図5に示すステップS101において、クランプ部が開状態であると判別した場合には、少なくとも電力の計測準備が整っていないことを示す警告を表示部61によって報知(提示)可能な機能を備えてもよい。即ち、制御装置40は、第1および第2制御情報の少なくとも何れかが電流値を検出可能でないことを表す場合に、上述したように表示部61によって提示してもよい。
【0102】
或いは、表示部61は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を利用したインジケータ等であり、電力の計測準備が整っていないことを点灯の態様によって提示可能な機能を備えてもよい。または、表示部61は、例えば、正負符号の正負判断の結果を点灯の態様によって提示する機能を備えてもよい。
【0103】
これにより、電力測定装置60は、例えば、電力需要家や工事事業者に対して電流センサのクランプ部が開いている状態であることを知らせることができる。
【0104】
或いは、例えば、補正部56が過去データを補正した場合に、そのデータ補正が行われたことを表示部61によって報知する機能を備えてもよい。
【0105】
また、第2実施形態では、供給電力算出部37と発電電力算出部38とは、制御装置40とは別個の演算器を利用して構成されている。これに対し、制御装置40が、供給電力算出部37と発電電力算出部38としても機能する構成としてもよい。この場合には、電力測定装置20には、電流センサ30、31、32から出力される電流値と、電圧センサ34、35から出力される電圧値とに基づいて、電力値Wz1、Wz2、Wp1、Wp2を算出するコンピュータ・プログラムが与えられる。そして、制御装置40がそのコンピュータ・プログラムを実行することにより、電力値Wz1、Wz2、Wp1、Wp2を算出する。この場合には、演算器が省略できるので、電力測定装置20は、小型化を図ることができる。
【0106】
さらに、第2実施形態では、符号制御部39は、比較器54とフリップフロップ回路53というハードウェアにより構成されている。これに対し、制御装置40が符号制御部39としても機能する構成としてもよい。この場合には、電力測定装置20には、供給電力値と発電電力値との比較結果に基づいて供給電力値の正負符号を逆の符号に変更する必要が有ると判断した場合に、供給電力算出部37を制御するコンピュータ・プログラムが与えられる。そして、制御装置40がそのコンピュータ・プログラムを実行することにより符号制御部39としても機能する。この場合には、比較器54およびフリップフロップ回路53が省略できるので、電力測定装置20は、小型化を図ることができる。
【0107】
さらに、第2実施形態では、サブ発電装置である発電装置22は、メイン発電装置としての商用電源24に接続されている。これに代えて、例えば、発電装置22は、商用電源24以外の他の発電装置(メイン発電装置)に接続される構成であってもよい。
【0108】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。