(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の方法は、処理液の供給を停止する際にエア弁を閉止するが、エア弁にゴミがかんだり、閉止動作に不具合が生じたりすると、ノズル本体からわずかに処理液が流れ出すことがある。このような事態が生じると、少量であっても意図しないタイミングで処理液が基板に供給されることになり、基板が処理不良となるという問題がある。また、このような事態が装置のオペレータに認識されず処理が継続されると、不適切な処理が継続されて、次々と処理される基板が全て不良となる恐れがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、処理液の供給停止後における処理液の漏れを検知して報知することにより、基板への不適切な処理が継続的に行われることを防止できる基板処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に対して処理液を供給して所定の処理を行う基板処理方法において、流量計を備えた供給管内の処理液の流通を制御する吐出バルブを開放して、前記供給管内に処理液を流す過程と、吐出バルブを閉止して処理液の流れを停止する過程と、前記吐出バルブからの処理液の漏れを検出する過程と、処理液の漏れが検出された場合には、そのことを報知する過程と、を備え、前記処理液の漏れを検出する過程は、所定の流量値以上の処理液の流れが所定時間以上継続したことに基づいて、処理液の漏れを検出
し、前記処理液の漏れを検出する過程は、前記処理液の流れを停止する過程から、前記処理液の発泡が発生しにくい所定の監視時間だけに限って行われることを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、吐出バルブを開放して供給管内に処理液を流し、吐出バルブを閉止して処理液の流れを停止する。そして、吐出バルブからの処理液の漏れを検出し、漏れが検出された場合には、そのことを報知するので、基板への不適切な処理が継続的に行われることを防止できる。また、処理液に気泡が生じると、吐出バルブが正常に閉止され、処理液の漏れが生じない状態であっても、所定の流量値以上の処理液の流れが断続的に検出されることがある。この気泡による誤検出は、泡の消失や移動によって消失するため断続的なものとなる。したがって、所定の流量値以上の処理液の流れが所定時間以上継続したことに基づいて処理液の漏れと検出することにより、気泡に起因する誤検出を防止することができる。
また、処理液の漏れを検出する過程は、処理液の流れを停止する過程から、処理液の発泡が発生しにくい所定の監視時間だけに限って行われるので、処理液の漏れを精度高く検出できる。
【0009】
また、本発明において、前記処理液を流す過程は、前記流量計の下流側において前記供給管から分岐した分岐配管に処理液を流す過程であることが好ましい(請求項3)。(削除)
【0010】
分岐配管に処理液を流すことで、基板処理を行う付近の雰囲気に影響を与えず基板処理に悪影響を与えない。
【0011】
また、本発明において、前記処理液を流す過程は、前記流量計の下流側において前記供給管から分岐した分岐配管が前記供給管に流路接続される位置よりも下流側の前記供給管中の処理液を前記分岐配管に流す過程と、前記流量計の上流から供給される処理液を前記分岐配管に流す過程と、を含むことが好ましい(請求項5)。
【0012】
流量計に仮に泡が発生していたとしても、その泡を洗い流して、流量計内を泡がない状態にすることができる。したがって、発泡の影響を受けることなく処理液の漏れを正確に検出できる。
【0013】
(削除)
【0014】
(削除)
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、基板に対して処理液を供給して所定の処理を行う基板処理装置において、基板を処理する処理部と、前記処理部の基板に対して処理液を供給する供給管と、前記供給管に設けられ、前記供給管の処理液の流通を制御する吐出バルブと、前記供給管における処理液の流量を測定する流量計と、前記吐出バルブを開放させて処理液を前記供給管に流した後に前記吐出バルブを閉止させて処理液の流れを停止させ、前記流量計からの流量に応じた信号に基づいて、処理液の漏れが検出された場合には、そのことを報知する制御手段と、を備え、前記制御手段は、所定の流量値以上の処理液の流れが所定時間以上継続したことに基づいて、処理液の漏れを検出
し、前記処理液の漏れの検出は、前記処理液の流れを停止した時点から、前記処理液の発泡が発生しにくい所定の監視時間だけに限って行われることを特徴とするものである。
【0016】
[作用・効果]請求項7に記載の発明によれば、制御手段は、吐出バルブを開放させて処理液を供給管に流し、処理部の基板に対して処理液を供給する。所定量の処理液の供給後、吐出バルブを閉止させて処理液の供給を停止させる。そして、制御手段は、流量計から流量に応じた信号に基づいて、処理液の漏れが検出された場合には処理液の漏れを報知する。したがって、基板への不適切な処理が継続的に行われることを防止できる。また、処理液に気泡が生じると、吐出バルブが正常に閉止され、処理液の漏れが生じない状態であっても、所定の流量値以上の処理液の流れが断続的に検出されることがある。この気泡による誤検出は、泡の消失や移動によって消失するため断続的ものとなる。したがって、所定の流量値以上の処理液の流れが所定時間以上継続したことに基づいて処理液の漏れと検出することにより、気泡に起因する誤検出を防止することができる。
また、処理液の漏れの検出は、処理液の流れを停止した時点から、処理液の発泡が発生しにくい所定の監視時間だけに限って行われるので、処理液の漏れを精度高く検出できる。
【0017】
(削除)
【0018】
(削除)
【0019】
(削除)
【0020】
(削除)
【0021】
また、本発明において、前記流量計は、超音波流量計であることが好ましい(請求項
5、
8)。
【0022】
吐出バルブに起因する処理液の漏れは、処理液の供給時に比較して極端に流量が小さいので、微少流量の測定が可能な超音波流量計が好ましい。なお、ここでいう微少流量とは、例えば、毎分数十ミリリットルの流量である。
【0023】
また、本発明において、前記超音波流量計は、自己診断に基づき異常がある場合には異常信号を発生する機能を備え、前記制御手段は、前記超音波流量計が異常信号を出力している場合には、処理液の漏れが検出された場合であっても、そのことを報知しないことが好ましい(請求項
9)。
【0024】
超音波流量計から異常信号が出力されている場合は、測定された流量が保証されないので、処理液の漏れが検出されたとしても報知しない。これにより、報知による装置の停止処理の無駄を抑制できる。
【0025】
また、本発明において、前記流量計の下流側において前記供給管から分岐した分岐配管をさらに備えたことが好ましい(請求項
10)。
【0026】
分岐配管に処理液を流すことで、基板処理を行う付近の雰囲気に影響を与えず、基板処理に悪影響を与えない。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る基板処理方法によれば、吐出バルブを開放して基板に処理液を供給し、吐出バルブを閉止して処理液の供給を停止する。そして、吐出バルブからの処理液の漏れを検出し、漏れが検出された場合には、そのことを報知するので、基板への不適切な処理が継続的に行われることを防止できる。また、処理液に気泡が生じると、吐出バルブが正常に閉止され、処理液の漏れが生じない状態であっても、所定の流量値以上の処理液の流れが断続的に検出されることがある。この気泡による誤検出は、泡の消失や移動によって消失するため断続的なものとなる。したがって、所定の流量値以上の処理液の流れが所定時間以上継続したことに基づいて処理液の漏れと検出することにより、気泡に起因する誤検出を防止することができる。
また、処理液の漏れを検出する過程は、処理液の流れを停止する過程から、処理液の発泡が発生しにくい所定の監視時間だけに限って行われるので、処理液の漏れを精度高く検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、第1の実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
本実施例に係る基板処理装置は、基板Wを一枚ずつ処理する、いわゆる枚葉式の基板処理装置である。この基板処理装置は、処理部1と、処理液供給系3と、制御系5とを備えている。
【0031】
処理部1は、図示しないチャンバで全体が覆われ、そのチャンバ内で基板Wに対して処理を行うものである。具体的には、スピンチャック7と、飛散防止カップ9と、電動モータ11と、遮断板13とを備えている。
【0032】
スピンチャック7は、平面視で基板Wの直径よりやや大なる直径を有する板状部材である。本実施例におけるスピンチャック7は、例えば、基板Wの外周縁を当接支持する支持ピン15を有するメカ式であるが、基板Wの裏面を真空吸引して吸着保持する吸引式であってもよい。飛散防止カップ9は、スピンチャック7の周囲を囲うように配置されている。電動モータ11は、スピンチャック7の下面の回転中心部に回転軸の先端部が連結されている。電動モータ11が平面視で時計回り方向に回転駆動すると、スピンチャック7が基板Wとともに水平面内で同方向に回転する。
【0033】
遮断板13は、スピンチャック7の上方に配置されている。遮断板13は、図示しないアームによって指示され、図示しない駆動源によって駆動することにより、
図1に実線で示す上方の待機位置と、
図1に二点鎖線で示す処理位置とにわたって移動可能に構成されている。処理位置は、基板Wの上面に近接した位置である。遮断板13は、下面の回転中心に遮断板ノズル17を形成されている。遮断板ノズル17は、遮断板13が処理位置に移動した際に、基板Wの表面に処理液を供給する。
【0034】
処理液供給系3は、第1のノズル19と、第2のノズル21と、供給管23,25,27とを備えている。
【0035】
第1のノズル19は、ノズルアーム20の先端に取り付けられており、図示しない駆動源によって当該ノズルアーム20を駆動することにより、基板Wの回転中心に先端部が向けられた姿勢となる処理位置と、飛散防止カップ9の側方に退避した退避位置との間で移動可能に設けられている。第1のノズル19は、供給管23の一端側が連通接続されている。供給管23の他端側は、フッ化水素酸(HF)供給源29に連通接続されている。供給管23は、フッ化水素酸(HF)供給源29側から順に、流量調整弁31と、流量計35と、吐出バルブ33とが設けられている。流量調整弁31は、供給管23を流通するフッ化水素酸の流量を調整する。吐出バルブ33は、流量調整弁31で調整されたフッ化水素酸の流通・遮断を制御する。流量計35は、微少流量を検出可能なものであって、供給管23を流通するフッ化水素酸の流量を検出する。
【0036】
第2のノズル21は、上述した第1のノズル19と同様に、ノズルアーム20の先端に取り付けられており、前述した駆動源によって当該ノズルアーム20を駆動することにより、基板Wの回転中心に先端部が向けられた姿勢となる処理位置と、飛散防止カップ9の側方に退避した退避位置との間で移動可能に設けられている。第2のノズル21は、供給管25の一端側が連通接続されている。供給管25の他端側は、純水(DIW)供給源37に連通接続されている。供給管25は、純水(DIW)供給源37側から順に、流量調整弁39と、流量計43と、吐出バルブ41とが設けられている。流量調整弁39は、供給管25を流通する純水の流量を調整する。吐出バルブ41は、流量調整弁39で調整された純水の流通・遮断を制御する。流量計43は、微少流量を検出可能なものであって、供給管25を流通する純水の流量を検出する。
【0037】
遮断板ノズル17は、供給管27の一端側が連通接続されている。供給管27の他端側は、イソプロピルアルコール(IPA)供給源45に連通接続されている。供給管27は、イソプロピルアルコール(IPA)供給源45側から順に、流量調整弁47と、流量計51と、吐出バルブ49とが設けられている。流量調整弁47は、供給管27を流通するイソプロピルアルコールの流量を調整する。吐出バルブ49は、流量調整弁47で調整されたイソプロピルアルコールの流通・遮断を制御する。流量計51は、微少流量を検出可能なものであって、供給管27を流通するイソプロピルアルコールの流量を検出する。
【0038】
上述した流量計35,43,51は、好ましくは超音波流量計である。この超音波流量計は、ここでは処理液の漏れの検出にも用いる。処理液の漏れは、処理液の供給時における流量に比較して極端に流量が小さいので、微少流量の測定が可能な超音波流量計が好適である。なお、ここでいう微少流量とは、例えば、毎分数十ミリリットルの流量である。また、流量計35,43,51は、自己診断機能を備え、流量値が保証できない等の異常を検知した場合には、異常信号を制御部53に対して出力する。
【0039】
制御系5は、制御部53と、記憶部55と、報知部57とを備えている。
【0040】
制御部53は、CPUやタイマ/カウンタなどで構成され、演算部59を内蔵している。制御部53は、後述する処理を制御し、演算部59は、各流量計35,43,51から出力される、処理液の流量に応じた信号に基づいて流量値を算出する。記憶部55は、後述する流量閾値THや監視時間TMなどを予め設定されている。報知部57は、制御部53が処理液漏れを検出した場合、そのことをオペレータに報知する。報知部57は、例えば、異常発生を光で知らせる警告灯や、異常発生を音声で知らせるスピーカが挙げられる。
【0041】
なお、制御部53が本発明における「制御手段」に相当し、流量閾値THが本発明における「所定の流量値」に相当し、監視時間TMが本発明における「所定時間」に相当する。
【0042】
次に、
図2及び
図3を参照して、上述した基板処理装置による処理について説明する。なお、
図2は、第1の実施例の装置の動作例を示すフローチャートであり、
図3は、
図2のステップS5,S8,S12の処理液の漏れ検出処理の詳細を示すフローチャートである。
【0043】
以下に説明する基板Wの処理例の概要は、フッ化水素酸(HF)でエッチング処理を行い、次に純水(DIW)で洗浄処理を行い、最後にイソプロピルアルコール(IPA)で純水を置換させつつスピン乾燥させるエッチング洗浄処理である。
【0044】
次に、処理について詳細に説明する。なお、各吐出バルブ33,41,49は閉止されており、遮断板13は上方の待機位置に位置しているものとする。
【0045】
ステップS1
制御部53は、処理対象である基板Wを搬入し、スピンチャック7に基板Wを載置させる。
【0046】
ステップS2
制御部53は、電動モータ11を作動させ、処理速度で基板Wを回転させる。
【0047】
ステップS3
制御部53は、ノズルアーム20を駆動して第1のノズル19を処理位置へ移動させ、基板Wの回転中心に第1のノズル19の先端部を向ける。そして吐出バルブ33を開放させ、流量調整弁31で予め設定されている流量でフッ化水素酸(HF)を供給させる。これにより、第1のノズル19からフッ化水素酸が供給され、基板Wの表面がエッチング処理される。
【0048】
ステップS4
制御部53は、ステップS3においてエッチング処理のための所定時間が経過した後、吐出バルブ33を閉止させる。これにより、第1のノズル19からのフッ化水素酸の供給が停止される。
【0049】
ステップS5
制御部53は、フッ化水素酸ついて後述する処理液の漏れ検出処理を行う。
【0050】
ステップS6
制御部53は、ノズルアーム20を駆動して第2のノズル21を処理位置へ移動させ、基板Wの回転中心に第2のノズル21の先端部を向ける。そして吐出バルブ41を開放させ、流量調整弁39で予め設定されている流量で純水(DIW)を供給させる。これにより、第2のノズル21から純水が供給され、基板Wの表面に付着しているフッ化水素酸を洗い流す洗浄処理がなされる。なお、このステップS6はステップS4終了後直ちにステップS5と並行して行ってもよい。
【0051】
ステップS7
制御部53は、ステップS6において洗浄処理のための所定時間が経過した後、吐出バルブ41を閉止させる。これにより、第2のノズル21からの純水の供給が停止される。
【0052】
ステップS8
制御部53は、純水について後述する処理液の漏れ検出処理を行う。
【0053】
ステップS9
制御部53は、ノズルアーム20を駆動して第2のノズル21を退避位置へ移動させた後、待機位置にある遮断板13を電動モータ11の回転に同期させて同方向に回転させながら、処理位置まで下降させる。なお、このステップS9はステップS7終了後直ちにステップS8と並行して行ってもよい。
【0054】
ステップS10
制御部53は、吐出バルブ49を開放させ、流量調整弁47で予め設定されている流量でイソプロピルアルコール(IPA)を供給させる。これにより、遮断板ノズル17からイソプロピルアルコールが供給され、基板Wの表面に付着している純水がイソプロピルアルコールによって置換される。
【0055】
ステップS11
制御部53は、ステップS10において置換処理のための所定時間が経過した後、吐出バルブ49を閉止させる。これにより、遮断板ノズル17からのイソプロピルアルコールの供給が停止される。
【0056】
ステップS12
制御部53は、イソプロピルアルコールについて後述する処理液の漏れ検出処理を行う。
【0057】
ステップS13
制御部53は、電動モータ11の回転数を乾燥速度にまで上昇させ、これを処理時間だけ維持させて、基板Wに付着しているイソプロピルアルコールを振り切り乾燥させる。なお、このステップS13はステップS11終了後直ちにステップS12と並行して行ってもよい。
【0058】
ステップS14
制御部53は、遮断板13を待機位置に上昇させ、電動モータ11の回転を停止させる。
【0059】
ステップS15
制御部53は、スピンチャック7に載置された基板Wを搬出させる。
【0060】
上記した一連の処理によって基板Wに対してエッチング洗浄処理が行われる。
【0061】
次に、ステップS5,S8,S12における処理液の漏れ検出処理について
図3を用いて説明する。なお、ここでは、ステップS5における漏れ検出処理、つまり、フッ化水素酸の漏れ検出処理を例にとって説明するが、他のステップS8,S12であっても同様である。
【0062】
ステップT1
制御部53は、流量計35の信号に基づいて演算部59が流量を求め、その流量が流量閾値TH以上であるか否かによって処理を分岐する。また、このとき同時に、制御部53は、タイマによる計時を開始する。これはすなわち、ステップS4において吐出バルブ33を閉止させてからの経過時間である。なお、流量閾値THは、例えば、流量計35が検出可能な最小流量値(保証値)とするのが好ましい。この実施例においては、具体的にはフルスケール3000ml/minの流量計を用い、その1.5%程度である45ml/minを流量閾値THとしている。
【0063】
ステップT2
制御部53は、流量が流量閾値TH以上であった場合には、流量計35から異常信号が出力されているか否かで処理を分岐する。
【0064】
ステップT3
流量が流量閾値TH以上であって、かつ、その流量計35から異常信号が出力されていない場合には、制御部53は、タイマの計測時間が監視時間TMを経過したか否かによって処理を分岐する。監視時間TMは、例えば、5〜20秒の範囲が好ましい。この時間は、吐出バルブの動作時間と、次の基板Wが処理されるまでの時間、供給管内での泡の発生のしやすさ(泡が発生するまでの時間)などを勘案して決定すればよい。
【0065】
ステップT4
制御部53は、流量が流量閾値TH以上であって、かつ、その時間が監視時間TM以上継続し、流量計35から異常信号が出力されていない場合には、報知部57を作動させてオペレータにフッ化水素酸の漏れが生じていることを知らせる。
【0066】
ここで、上述した処理液の漏れ検出処理において、処理液の漏れと判断される場合と、処理液の漏れと判断されない場合と、異常信号が発生した場合との具体的なタイムチャートを示す。
図4は、動作の第1例を示すタイムチャートであり、
図5は、動作の第2例を示すタイムチャートであり、
図6は、動作の第3例を示すタイムチャートである。なお、各タイムチャートでは、t1時点で吐出バルブ33が閉止され、t3時点で次の基板Wの処理のために吐出バルブ33が開放されるものとする。
【0067】
図4は、吐出バルブ33が閉止されたt1時点から監視時間TMのt2時点まで、流量値が流量閾値THを一度も下回ることなく流量閾値TH以上で推移している。また、異常信号は出力されていない状態である。この場合には、制御部53は、吐出バルブ33の故障あるいは動作不具合など何らかの原因によってフッ化水素酸の漏れが発生し検出されたと判断して、t2時点において報知動作を行う。これにより、第1のノズル19から意図しないタイミングでフッ化水素酸が基板Wに供給され、基板Wに対して不適切な処理が行われたことを報知できる。したがって、順次に搬入される基板Wに対して不適切な処理が継続的に行われることを防止できる。
【0068】
図5は、吐出バルブ33が閉止されたt1時点から監視時間TMのt2時点までの間において、瞬間的に流量値が流量閾値TH以上となっている。また、異常信号は出力されていない。この場合、一時的に流量閾値TH以上の液流が生じたという検出結果を意味するが、超音波流量計においては供給管23内に一時的に泡が発生した場合にこのような流量を検出する信号が発生する場合がある。このような場合、泡が消えたり超音波流量計を通過したりすると、かかる信号はなくなる。すなわち、このような短時間の流量閾値THを超える検出、換言すると、すなわち監視時間TMの間を通じて流量閾値THを超える状態が継続し続けない検出の場合、泡による誤検出であると判断する。したがって、制御部53は、吐出バルブ33の故障などに起因するフッ化水素酸の漏れは検出されていないと判断して、t2時点において報知動作を行わない。これにより、処理液の気泡に起因する断続的な処理液の流れを誤検出することを防止できる。
【0069】
図6は、吐出バルブ33が閉止されたt1時点から監視時間TMのt2時点まで、流量値が流量閾値THを一度も下回ることなく流量閾値TH以上で推移している。しかし、異常信号が出力されている状態である。この場合には、流量計35に異常が生じて、流量値が信頼できないものであるので、制御部53はt2時点において報知動作を行わない。これにより、報知による装置の無駄な停止が生じることを抑制できる。
【0070】
本実施例によると、制御部53は、吐出バルブ33を開放させてフッ化水素酸を供給管23から供給し、処理部1の基板Wに対してフッ化水素酸を供給する。所定量のフッ化水素酸の供給後、吐出バルブ33を閉止させてフッ化水素酸の供給を停止させる。そして、制御部53は、流量計35から流量に応じた信号に基づいて、フッ化水素酸の漏れが検出された場合にはフッ化水素酸の漏れを報知する。したがって、基板Wへの不適切な処理が継続的に行われることを防止できる。
【0071】
ところで、処理液の種類(例えば過酸化水素水、オゾン水)や温度変化(例えば、温水や水)によっては、吐出バルブを閉止して処理液の供給を停止した後、処理液が供給管内に滞留している時間が長くなると、処理液に気泡が発生することがある。気泡が発生すると、流量計によって正確に流量を検出することが困難になり、処理液の漏れの検出精度が低下する。そこで、制御部53は、気泡が発生しにくい、処理液の供給を停止した時点から所定の監視時間TMだけに限って処理液の漏れの検出を行う。これにより、処理液の漏れを精度高く検出できる。
【0072】
また、処理液に気泡が生じると、吐出バルブが正常に閉止され、処理液の漏れが生じない状態であっても、処理液の流れが超音波流量計によって断続的に検出されることがある。この断続的な処理液の流れの検出は、実際には基板にまで液流が到達するものではないことから処理液の漏れではない。したがって、流量閾値TH以上の処理液の流れが監視時間TM以上継続したことに基づいて処理液の漏れと検出することにより、気泡に起因する誤検出を防止することができる。
【0073】
次に、次に、本発明の第2の実施例について説明する。なお、以下の図面および説明において、上述した第1の実施例と同一または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
【0074】
図7は、第2の実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。この第2の実施例は、第1の実施例と比べて次の点が異なっている。すなわち、供給管23,25に対してそれぞれ分岐配管としての引き戻し配管24,26およびその周辺構成が追加されていることである。
【0075】
供給管23における引き戻し配管24は、吐出バルブ33の下流側で供給管23から分岐し、バルブ28、真空発生器30を介して廃液排気設備32に接続されている。供給管25における引き戻し配管26は、吐出バルブ41の下流側で供給管25から分岐し、バルブ34、真空発生器36を介して廃液排気設備32に接続されている。バルブ28、34、真空発生器30、36の動作についても制御部53が制御する。
【0076】
この第2の実施例の基板処理装置による処理について説明する。先に説明した、第1の実施例における処理、すなわち、フッ化水素酸(HF)でエッチング処理を行い、次に純水(DIW)で洗浄処理を行い、最後にイソプロピルアルコール(IPA)で純水を置換させつつスピン乾燥させるエッチング洗浄処理を行う場合には、この実施例においても同様に装置を動作させることで、同様の処理が可能であり、また吐出バルブの故障あるいは動作不具合などの原因による処理液の不所望な漏れを検出することができる。
【0077】
上記とは別の処理、例えば、上記の処理のうち、フッ化水素酸によるエッチング処理を行わず、純水で洗浄処理を行い、次にイソプロピルアルコールで純水を置換させつつスピン乾燥させる洗浄処理を考える。この処理をする場合、フッ化水素酸を供給するための供給管23は処理中において基板Wへの処理液の供給には使われない。したがってこの場合、
図2のフローチャートに示す処理のうち、フッ化水素酸の供給に関連するステップS3、S4、S5をスキップすることが考えられる。しかし、そうすると、吐出バルブ33の故障などによるフッ化水素酸の不所望な漏れを検出できなくなり、もし漏れが発生した場合、使用しないはずのフッ化水素酸が基板に供給されてしまい、処理に不具合が生じる恐れがある。
【0078】
さりとて、ステップS5をスキップせずに残したとしても、以下の不都合が考えられる。すなわち、上述のとおり、ステップS5ではステップS4において開いていた吐出バルブ33を閉止させてからの監視時間TMの間に流量計35が検出する流量値を監視することで、吐出バルブの故障等による処理液の漏れを検出するものであるから、ステップS3,S4をスキップしたために吐出バルブ33が開かれることがないこのプロセス処理中においては、ステップS5を実行するときには前回のフッ化水素酸の吐出から長時間が経過しており、供給管23内で発泡が生じている可能性があり、流量計35内やその付近で発泡が生じている場合に、吐出バルブ33にて液の漏れが生じていないにもかかわらず液の流れが生じているとする誤検出の恐れがある。
【0079】
そこでこの第2の実施例では、このようなフッ化水素酸を使わないプロセス処理のためには、次の動作で吐出バルブ33からの処理液の漏れの検出を行う。この供給管23は処理には使用しないので、吐出バルブ33、バルブ28は通常ともに閉止されている。この吐出バルブ33からの漏れの検出を行う際には、まずバルブ28を開放するとともに真空発生器30を作動させ、引き戻し配管24やそれより先端側の供給管23、第1のノズル19を吸引して、供給管23や引き戻し配管24内に液が残存しない状態とする。続いて、バルブ28を開放し真空発生器30を作動させた状態で吐出バルブ33を開放する。真空発生器30による吸引量は、吐出バルブ33から供給される流量より多く設定しておく。これによって、第1のノズル19から液を吐出することなく、流量計35、吐出バルブ33を通って供給管23から引き戻し配管24内にフッ化水素酸が流入する。そしてこのように供給管23内に液を流すことで、流量計35内に仮に泡が発生していたとしても、その泡を流し出して、流量計35内を泡がない状態とすることができる。しかる後に、吐出バルブ33を閉止し、その時から監視時間TMの間、流量計35の出力を監視することで、第1の実施例におけるステップS5と同様に、供給管23内での発泡の影響を受けることなく吐出バルブ33からの処理液の漏れを正確に検出することができる。
【0080】
またこの実施例においては、長時間使用しないフッ化水素酸の吐出動作を、飛散防止カップ9の内部やチャンバ(図示せず)の内部の雰囲気に影響を与えないサックバックライン(引き戻し配管24,26)において行うので、飛散防止カップ9内の雰囲気に悪影響を与えず、そこで実行される基板処理に悪影響を与えることもない。
【0081】
なお、かかる検出動作は、
図2のフローチャートのステップS3〜S5に代えて、基板Wを一枚処理するごとに一回実行するようにしてもよい。その場合、吐出バルブの故障等によって処理液の不所望な漏れが発生しても、それを速やかに検出でき、処理不良の基板の発生を最小限に抑制できる。しかし、この場合は本来の処理に使用しないフッ化水素酸を毎回吐出して消費することになるため、そこまでの必要性がない場合には、基板Wを所定枚数あるいは所定ロット数だけ処理するごとに行ってもよく、また所定時間ごとに行ってもよい。このタイミングは制御部53への設定で任意に決定し制御できる。また以上の説明ではフッ化水素酸の供給管23について説明したが、例えば純水(DIW)やイソプロピルアルコール(IPA)、その他の種類の薬液の供給ラインにおいても同様に実施できる。
【0082】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。なお、以下の図面および説明において、上述した第2の実施例と同一または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
【0083】
図8は、第3の実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。この第3の実施例は、第2の実施例の引き戻し配管24,26に代えて、分岐配管としてのドレン配管24a、26aを設けている。ドレン配管24a、26aはそれぞれドレンバルブ28a、34aを介して廃液設備32aに接続されている。
【0084】
なお、上記の第2および第3の実施例においては、バルブからの液の漏れの検出の際に事前に行う処理液の吐出動作を引き戻し配管24,26またはドレン配管24a、26aにおいて行うことにより、飛散防止カップ9の内部やチャンバ(図示せず)の内部の雰囲気に影響を与えず、ひいては基板の処理に悪影響を与えないようにしていた。しかし、処理の種類や液の種類等によって、基板の処理への悪影響を実質的に無視できるような場合には、第1の実施例の構成においても、次のようにして液の漏れの検出を行うことも可能である。
【0085】
すなわち、例えば吐出バルブ41からの処理液の漏れを検出したい場合には、第2のノズル21を飛散防止カップ9の上方に移動させて、吐出バルブ41を開放して処理液を第2のノズル21から飛散防止カップ9内に吐出する。そしてしかる後に吐出バルブ41を閉止させて、それからの監視時間TMの間に流量計43が検出する流量値を監視することで、吐出バルブの故障等による処理液の漏れを検出する。あるいは、チャンバ内の飛散防止カップ9の側方などに、第1のノズル19、第2のノズル21を待機させるための待機ポット(図示せず)、あるいはプリディスペンスを行うためのプリディスペンスポット(図示せず)を設け、バルブからの液の漏れの検出の際に事前に行う処理液の吐出動作をその待機ポットあるいはプリディスペンスポットの内部に対して行うことも考えられる。この場合、飛散防止カップ9の内部の雰囲気や基板処理に対して悪影響を与えないためには、待機ポットあるいはプリディスペンスポットの開口部を閉止したり、待機ポットあるいはプリディスペンスポットの内部を排気したりするなど、それらのポットから内部の薬液雰囲気が漏れ出るのを阻止する構成とすることが望ましい。
【0086】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0087】
(1)上述した実施例では、いわゆる枚葉式の基板処理装置を例にとって説明したが、本発明は、複数枚の基板Wを一括処理する、いわゆるバッチ式の基板処理装置であっても、処理液を供給する装置であれば適用できる。
【0088】
(2)上述した実施例では、フッ化水素酸、純水、イソプロピルアルコールの処理液を供給する装置を例にとったが、本発明はこのような処理液以外であっても適用できる。
【0089】
(3)上述した実施例では、流量計として超音波流量計を例にとって説明したが、本発明は微少流量を測定可能な流量計であれば適用できる。