(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553358
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】マルチセルバッテリアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6557 20140101AFI20190722BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20190722BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20190722BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20190722BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20190722BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20190722BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M2/10 Y
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6568
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-539047(P2014-539047)
(86)(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公表番号】特表2014-535140(P2014-535140A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】US2012062136
(87)【国際公開番号】WO2013063403
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年10月16日
【審判番号】不服2017-15961(P2017-15961/J1)
【審判請求日】2017年10月27日
(31)【優先権主張番号】61/552,739
(32)【優先日】2011年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/445,458
(32)【優先日】2012年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513099441
【氏名又は名称】ニュークリアス サイエンティフィック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフェック,グラント,ウイリアム
(72)【発明者】
【氏名】ヘモンド,ブライアン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ハンター,ラン,ダブリュー.
【合議体】
【審判長】
酒井 朋広
【審判官】
山田 正文
【審判官】
須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0052960(US,A1)
【文献】
特開2003−36830(JP,A)
【文献】
特開2008−277085(JP,A)
【文献】
特開2000−12071(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0027640(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0325052(US,A1)
【文献】
特開2011−96465(JP,A)
【文献】
特表2011−525690(JP,A)
【文献】
特表2005−518642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M2/10
H01M10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリアセンブリであって、
複数の電池セルと、
複数の波形流れプレートと、
第1のマニホルド内部チャンバを形成する入側の流体マニホルドおよび第2のマニホルド内部チャンバを形成する出側の流体マニホルドと、
を備えており、
前記複数の波形流れプレートの各プレートは、第1の流体不浸透性シートおよび第2の流体不浸透性シートを含む押出プラスチック単位であり、前記第1および第2の流体不浸透性シートは、これら第1および第2のシート間に配置された複数のリブによって接続されており、前記複数のリブは、当該プレートの一端から当該プレートの反対側端へと延びる平行な導管のアレイ(配列)を形成しており、
前記複数の波形流れプレートおよび前記複数の電池セルは、交互に配置されており、
前記複数の波形流れプレートの各プレートは、前記入側の流体マニホルドから前記出側の流体マニホルドへと延びており、且つ、当該プレート内の平行な導管のアレイ(配列)により、複数の流体流路であってその各々が前記第1のマニホルド内部チャンバと前記第2のマニホルド内部チャンバとの間にあると共に前記第1のマニホルド内部チャンバを前記第2のマニホルド内部チャンバに直接的に接続するところの複数の流体流路が形成されるように配置されており、
前記第1のマニホルド内部チャンバは、前記波形流れプレートの平行な導管内での流体の停滞を低減または回避すべく傾斜付きの上側壁部を有しており、
前記複数の波形流れプレートおよび前記複数の電池セルが交互配置された配置構成は、電池セルスタックを形成すると共に、当該配置構成は更に、
前記電池セルスタック内の電池セルに圧縮力を付与する型締システム、及び、
前記電池セルに対し前記型締システムによって付与された圧縮力を調節すべく、前記型締システムに作動的に連結された調節機構、
を具備する、ことを特徴とするバッテリアセンブリ。
【請求項2】
前記複数の電池セル内の電池セルは、リチウムイオンバッテリである、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項3】
前記複数の電池セル内の電池セルは、平坦な電池セルである、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項4】
前記複数の電池セル内の電池セルは、プリズム電池セルである、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項5】
前記複数の波形流れプレートの各波形流れプレートは、ポリプロピレンポリマーを含む、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項6】
第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートを更に備え、
前記第1のエンドプレートは前記電池セルスタックの一端に設けられ、前記第2のエンドプレートは前記電池セルスタックの反対側端に設けられる、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項7】
前記型締システムは、前記第1および第2のエンドプレートのうちの少なくとも一方に力を付加する複数のバネを含む、請求項6に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項8】
前記入側の流体マニホルドは、後壁を有しており、その後壁は前記第1のマニホルド内部チャンバ内に延びる複数のスロットを含んでおり、該スロットのそれぞれの内部に、前記複数の波形流れプレートのうち対応する1つが挿入されると共に、
前記出側の流体マニホルドは、後壁を有しており、その後壁は前記第2のマニホルド内部チャンバ内に延びる複数のスロットを含んでおり、該スロットのそれぞれの内部に、前記複数の波形流れプレートのうち対応する1つが挿入される、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項9】
前記複数の電池セルのうち各電池セルは、前記複数の波形流れプレートのうちの対応する2つの波形流れプレート間にあって前記対応する2つの波形流れプレートと直接接触する、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項10】
前記複数の波形流れプレートおよび前記複数の電池セルは、隣り合う電池セルが背中合わせ及び正面合わせとなるように交互に向きを変えて交互配置されている、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項11】
前記入側および出側の流体マニホルドは、リブ付き構造を有している、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許法第120条に基づく米国特許出願第13/445,458号(出願日:2012年4月12日、名称「A Multi−Cell Battery Assembly」)の利益を主張するものであり、同出願は、仮出願シリアル番号第61/552,739号(出願日:2011年10月28日、名称:「A Multi−Cell Battery Assembly」)に対する優先権を主張する。本明細書中、同出願の内容全体が参照により援用される。
[技術分野]
本発明は、マルチセルバッテリアセンブリ(マルチセル型バッテリ組立体)のための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、再充電可能な高性能のバッテリ(例えば、Liイオンバッテリ)は、電気自動車の充電用途のために広範に用いられている。このような環境において、これらのバッテリには、例えば高速加速または高速ブレイクの結果、異常に高い負荷がかかり得る。このような高負荷に起因して高電流が発生し得、その結果、内部抵抗に起因してLiイオン電池の温度が大幅に上昇し得る。このような無駄な発熱およびその結果発生する温度上昇の存在は、無視することができない。
【0003】
Liイオンバッテリにおいて、例えば、効率的な動作を達成するには、特定の温度範囲内において動作させる必要がある。動作温度が約40℃を超えた場合、バッテリの寿命が大幅に短くなり得る。また、マルチセルバッテリ中の電池(電池セル)間の温度勾配を5〜10℃内に保持する必要がある。
【0004】
そのため、このようなバッテリのための有効な冷却システムを設ける必要がある。冷却システムは、マルチセルバッテリ内で過度の温度勾配が生じないことを保証しつつ、廃熱を廃棄する方法を提供する必要がある。また、冷却システムを低コストかつ軽量にすることも望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】(特になし)
【発明の概要】
【0006】
一般的に、一態様において、本発明は次のようなバッテリアセンブリを特徴とする。このバッテリアセンブリは、複数の電池(電池セル)と、複数の波形流れプレートと、第1の流体マニホルドおよび第2の流体マニホルドとを含む。複数の波形流れプレートの各プレートは、第1の流体不浸透性シートおよび第2の流体不浸透性シートと、第1のシートおよび第2のシート間の波形構造とを含む。この波形構造は、プレートの一端から当該プレートの反対側端へと延びる平行な導管のアレイ(array,配列)を形成する。複数の波形プレートおよび複数の電池は、相互にインターリーブ(interleaved,交互配置)される。複数の波形プレートの各プレートは、第1のマニホルドから第2のマニホルドへと延び、プレート内の複数の導管により第1のマニホルドおよび第2のマニホルドを接続する複数の流体流路が形成されるように、配置される。
【0007】
他の実施形態は、以下の特徴のうち1つ以上を含む。複数の電池(電池セル)内の電池(セル)は、リチウムイオンバッテリである。複数の電池内の電池は、平坦な電池である(例えば、プリズム電池)。複数の波形流れプレートの各波形流れプレートにおいて、第1のシートおよび第2のシートは、プラスチック材料(例えば、ポリプロピレンポリマー)から作られる。複数の波形流れプレートの各波形流れプレートは、押出構造である。各波形流れプレートにおいて、波形構造は、第1のシートおよび第2のシート間を接続する複数のリブである。インターリーブされた配置構成により、電池スタックが形成される。アセンブリは、電池スタック内の電池へ圧縮力を付加する型締システム(clamping system)も含む。バッテリアセンブリは、第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートをさらに含む。第1のエンドプレートは電池スタックの一端上に設けられ、第2のエンドプレートは電池スタックの反対側端上に設けられる。型締システムは、複数のバネを含む。これらの複数のバネは、第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートのうち少なくとも1つ上へ力を付与する。第1のマニホルドおよび第2のマニホルドはそれぞれ、内部空洞と、後壁とを有する。後壁は、内部空洞内に延びる複数のスロットを含む。各スロットには、複数の流れプレートのうち対応する1つが挿入される。複数の電池間の各電池は、複数の流れプレートの対応する2つの流れプレートと直接接触し、これら2つの流れプレート間に設けられる。
【0008】
一般的に、別の態様において、本発明が特徴とするバッテリアセンブリは、複数のプリズム電池(プリズム電池セル)と、第1の流体マニホルドおよび第2の流体マニホルドと、複数の電池とインターリーブされた複数の波形流れプレートとを含む。各流れプレートは、第1のマニホルドから第2のマニホルドへと延び、流体を第1のマニホルドから第2のマニホルドへ搬送するための流路のアレイを提供する。複数の波形流れプレートの各プレートは押出プラスチック構造であり、第1の流体不浸透性シートおよび第2の流体不浸透性シートと、第1のシートと第2のシートとの間を接続する複数の平行リブとを有する。複数のリブにより、流路アレイが形成される。
【0009】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細について、添付の図面と以下の記載において説明する。本発明の他の特徴、目的および利点は、記載および図面ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】液冷式マルチセルバッテリパックアセンブリの補助図(斜視図)である。
【
図2】
図1に示すバッテリパックアセンブリの断面図である。
【
図3】
図1のバッテリパックにおいて用いられる平坦な又はプリズム電池セルを示す。
【
図4】
図1のバッテリパックにおいて用いられる波形流れプレートの一部の側面図である。
【
図5a】
図1のバッテリパックからのマニホルドを構成するカバープレートおよびバックプレートの正面図である。
【
図5b】
図1のバッテリパックからのマニホルドを構成するカバープレートおよびバックプレートの背面図である。
【
図6】
図1のバッテリパックからのエンドプレートを示す。
【
図7a】
図1のバッテリパックからのウェッジ母線プレート(wedge bus bar plate)の下面図である。
【
図7b】
図1のバッテリパックからのウェッジ母線プレートの上面図である。
【
図8】
図1のバッテリパックからの母線端子クランプ(bus bar terminal clamp)を示す。
【
図9】ウェッジ母線プレートの一部分の断面図であり、端子スロットを通じて端子が延びる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および
図2を参照すると、記載された実施形態は、液冷式マルチセルバッテリパックアセンブリ100である。液冷式マルチセルバッテリパックアセンブリ100は、2つの矩形エンドプレート104aおよび104bによってクランプされた16個の再充電可能なリチウムイオン電池(電池セル)102(
図2を参照)のスタックを含む。2つの矩形エンドプレート104aおよび104bは、4つのバネ106から供給される圧縮力下にある。エンドプレート104aおよび104bは、4つの角部それぞれに穴を有し、4つのロッド128上に取り付けられる。各ロッド128は、2つのエンドプレート104aおよび104bそれぞれの対応する穴を通過する。各ロッド128の一端上において、保持リング130(
図2を参照)が設けられている。保持リング130により、ロッドがエンドプレート内の穴から抜け出る事態が回避される。各ロッドの他端上において、調節機構132がロッド上に固定され、これらのバネのうち1つが、エンドプレート104a/bと調節機構132との間のロッド128上に取り付けられる。調節機構132の位置は、バネ106を圧縮するように当該調節機構を1方向に回転、またはバネ106を弛緩させるように他の方向に回転することにより、変更することができる。各ロッド128上において、スラスト針ころ軸受アセンブリ134がバネとエンドプレートとの間に設けられる。バネ106は、調節機構132によって圧縮状態で保持され、バネ106がエンドプレート104a上に力を付加することにより、エンドプレートが電池スタックへ押圧され、電池スタックへ圧力が付加される。調節機構132の位置を調節することにより、電池へ付加される圧縮力の調節が可能になる。軸受アセンブリ134により、圧縮力の調節をより平滑かつより高精度にすることが可能になる。
【0012】
電池(電池セル)102は、
図1に示すアセンブリ内に設けられる。
図1は、ウェッジ母線プレート110を通って延びている正端子108aおよび負端子108bのみを示している点に留意されたい。母線プレート(バスバープレート)110は、(後述する)母線クランプ(バスバークランプ)を保持する。これらの母線クランプは、電池の端子を電気的に相互接続するバスを構成する。アセンブリのための冷却液システムは、2つのマニホルド112aおよび112bを含む。これらのマニホルド112aおよび112bは、電池102のスタックの対向する側部上に設けられている。各マニホルド112aおよび112bは、カバープレート114およびバックプレート116を含む。カバープレート114およびバックプレート116は、2行(2列)のボルト118によって相互に固定される。入力ポート120aを通じてマニホルド112a内へと導入された冷却液は、アセンブリ内の電池間を流れて冷却し、他方の側部上のマニホルド112b(対応する出口ポート120b(図示せず)が設けられた)によって収集される。バッテリパックアセンブリ100はまた、母線プレート110上に取り付けられた回路基板124を含む。回路基板124は、(使用時におけるリチウムイオン電池の充電、放電および均衡を管理するために一般的に用いられるような)感知および制御回路を含む。
【0013】
図3は、バッテリパックアセンブリ内に含まれる電池(電池セル)のうちの1つを示す。この電池(セル)は、プリズム電池(プリズムセル)とも一般的にばれる。この電池は、積層ポリマーパウチ(laminated polymer pouch)であり、平坦かつ肉薄のジオメトリ(幾何学形状)を備えている。2つの端子108a(正端子)および108b(負端子)は、パウチの一端の縁部から延びる。プリズム電池は、複数の供給元から市販されている。本明細書中に記載される電池は、A123(企業名)から入手可能であり、公称出力電圧は3.3ボルトであり、容量は14〜20Ahであり、作動には圧縮圧力約5〜7PSIの付加が必要である。
【0014】
図2を参照して、バッテリパックアセンブリの内部構造の断面図が図示されている。マニホルド112aおよび112bにおいて、カバープレート116およびバックプレート114によって規定された内部チャンバ117は、バッテリパックを通じて流れる冷却液を受容する。
図5a〜
図5bを参照して、カバープレート116の内面は凹状であり、この面は、入口/出口ポート120a/b内へ向かい外側位置から一定傾斜において傾斜する。バックプレート114はまた、マニホルド112aの組立時においてカバープレート116に対向する面上に凹状領域126を含む。凹状領域126内の壁上において、均等間隔を空けて配置されたスロット128のアレイ(配列)がバックプレート114を通じて設けられる。2つのマニホルド112間には、波形流れプレート(corrugated flow plate)160のアレイ(配列)が延びる。これらの波形流れプレート160により、電池セル間の冷却液が一方のマニホルド112aから他方のマニホルド112bへと搬送される。
【0015】
図4を参照すると、波形流れプレート160は、液体不浸透性サイドシート162を2つ有する。これら2つの液体不浸透性サイドシート162は、均等間隔を空けて配置された平行リブ164のアレイ(配列)により、相互に分離される。これらの平行リブ164により、1つのシートが他のシートへと接続される。これらリブのアレイにより、平行な導管166のアレイが形成される。これら平行な導管166は、1方向において流れプレートの内側で延び、それを通して冷却液が流れる。加えて、リブ164により得られる高強度により、圧縮力下の流れシートが圧壊する事態が回避される。記載の実施形態において、波形流れプレートは、市販のCoroplast(商標)シートである。Coroplast(商標)シートは、押出ポリプロピレンポリマー製であり、厚さは約2mmである。他の厚さも利用可能である(例えば、2〜10mm)。
【0016】
図2、
図5aおよび
図5bを参照すると、流れプレート160は、2つのマニホルド112のバックプレート114内のスロット128内へと取り付けられ、流れプレート160は各スロット128内に配置される。スロット128のサイズは、流れプレートがスロット128内にぴったりと嵌まるようなサイズである。流れプレート160は、流れプレート160内の導管166が一方のマニホルドから他方のマニホルドへ延びるように、配置される。流れプレート160は、バックプレート114中のスロット128を通過し、マニホルド112内に規定された空洞117内に延びる。マニホルド112の内側上には、エポキシシール168がスロット128に沿って流れプレート130とバックプレート114との間に設けられており、これにより、冷却液が(電池と接触する場所である)バッテリアセンブリ内の領域に漏れる事態が回避される。各スロット128は、マニホルド内の側部上のテーパー状入口と、反対側の別のより小さなテーパー状入口(図示せず)とを有する。より小さなテーパーにより、組立時におけるスロット128への流れプレート160の挿入が容易になる。内部上のより大きいテーパーにより、エポキシをテーパー状領域中へ引き込み、シール形成のためのより大きな表面を提供することによりエポキシ付加を行う際において、流れプレート160とバックプレート114との間の密閉が促進される。
【0017】
内部チャンバ117の傾斜付きの上側壁部は、カバープレート116の内面によって形成され、コアンダ効果(Coanda Effect)を低減または回避する働きをする。コアンダ効果が発生した場合、流れプレート内の多数の流路のうち一部が流れを支持せず、流体/冷却液の停滞が発生し得る。
【0018】
流れプレートを分離することにより、組立時における電池セルの挿入先となる空間が得られる。流れプレート間の距離は、電池セルの滑り嵌めが得られるように、選択される。これは、バッテリパックが完全に組み立てられかつバネが適切に調節された際、エンドプレートによって得られる圧縮力が電池スタック全体において有効に分散されかつ全ての電池セルが充分な圧力下にあるようにするために、重要である。
【0019】
バックプレート116(正しくは114)の内側上において、導管142がバックプレート116の周囲に形成される。この導管142は、可撓性Oリング(図示せず)を受容する。この可撓性Oリングは、カバープレート114(正しくは116)がバックプレート116上にボルト止めされた際、シールを形成する。
【0020】
図1および
図6に示すように、エンドプレート104aおよび104bは、リブ付き構造を有する。この構造は、エンドプレートの充分な剛性を保持しつつ、エンドプレートの重量を低減するためのものである。アセンブリ全体の重量をできるだけ最小限に抑えることが一般的に望まれ、リブ付きエンドプレートにより、この目的を達成する1つの方法が得られる。
図1から分かるように、マニホルド112は、類似の目的を念頭において設計される。材料に対してフライス加工を行うことにより、カバープレート114内に凹部のアレイを形成する。
【0021】
図7a〜
図7b中により明確に示すウェッジ母線プレート110において、均等間隔を空けて配置された端子スロット146が2列で構成される。各端子スロット146は、電池スタック内の電池(セル)102の対応する端子のためのものである。母線プレート110が電池102のアレイ上に組み立てられると、端子は、母線プレート110内の対応する端子スロット146を通過し、端子への電気接続が可能となるバスプレート110の上に延びる。バスプレート110の前方側(
図7bを参照)において、凹状領域144が端子スロットの各列内の各一対の端子スロットを包囲する。記載の実施形態においては、16個の電池(セル)が設けられ、1つの列内に8個の凹状領域144が設けられ、第2の列内に9個の凹状領域144が設けられる。これらの凹状領域144は、母線端子クランプ148を受容するような形状にされ、クランプ148の一例を
図8に示す。
図9からより明らかなように、凹状領域144の側壁部は、内側方向に若干テーパー状になっているため、凹状領域内に進むほど、凹部が幅狭になっている。母線プレート110の裏側(
図7aを参照)において、端子スロット146の各端部上に配置された穴内にねじ式インサート150が配置される。
【0022】
図8を参照すると、母線端子クランプ148は、2つの同一のL字型金属(例えば、銅)部分154によって構成される。各部分において、3つの穴156a〜156cが設けられる。これらの部分が記載のように相互に組み立てられると、穴156aおよび156cが相互にアライメント(整合)される。組み立てられた母線端子クランプ148は、4つの穴を有する。これら4つの穴は、母線端子クランプ148が凹状領域144内に配置された際、ねじ式インサート150とアライメントされる。その後、これら4つの穴を通じてねじ式インサート内へとねじ込まれるボルト(図示せず)により、組み立てられたクランプを凹状領域内に固定する。
【0023】
電池(セル)102は、アセンブリ内に交互に向きを変えて(in an alternating orientation)、即ち、背中合わせ又は正面合わせで配置される。電池を交互に向きを変えて配置することにより、第1の電池セルの正端子が右側に配置された場合、第2の電池セル(すなわち、スタック内の第2の電池セル)は負端子を右に配置され、第3の電池セルは正端子を右側に配置されるといった具合に配置が行われる。
【0024】
よって、母線端子クランプ148が母線プレート110内の対応する凹状領域144内へと配置された場合、1つの電池負端子が隣接電池の正端子へと電気的に接続される。このようにして、17個の母線端子クランプが1組として電池セルと電気的に直列接続され、これにより、N個の電池を含むバッテリアセンブリからの全体的出力電圧は、個々の電池の電圧のN倍(例えば、3.3×Nボルト)となる。
【0025】
2つの端子が存在する状態で母線端子クランプ148が凹状領域144へ挿入されると、端子108aおよび108bは、凹状領域144の外側壁部と母線端子クランプとの間に挟まれる。母線端子クランプは、4本のボルトによる凹状領域内へと締結された場合、バッテリ端子を母線プレートへ挟み、これにより、2つのバッテリ端子との確実な電気接触が確立される。ケーブル(図示せず)がアレイのいずれかの端部において母線端子クランプへと接続され、これにより、外部負荷へ電力が提供される。
【0026】
エンドプレート104aおよび104bは、いずれかの端部上におけるフランジ152を、より肉厚の中央領域と共に含む点に留意されたい。より肉厚の中央領域は、バネ106からの圧縮力を受けた際、電池スタックへ圧力を付加する部分である。マニホルド112aおよび112bの幅は、パックが組み立てられたときにエンドプレート上のフランジ152がマニホルド112aおよび112bと接触しないような、充分に狭い幅である。バネ106による支援により、2つのエンドプレート104aおよび104bを相互に押圧するための空間(余地)が得られ、これにより、電池スタックへ付加される圧力が増加する。
【0027】
記載の実施形態において、エンドプレート104aおよび104bはアルミニウム製であり、マニホルド112aおよび112b、ウェッジ母線プレート110および下部カバーは、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)またはポリプロピレン製であり、エポキシ接着剤は、DP100Plus(3M社製)である。冷却液は、水またはFluorinert(商標)であり得る。Fluorinert(登録商標)は、導電性の冷却液であり、3Mから販売されている。もちろん、これらの材料の他にも、他にも多数の市販の受容可能な代替例が利用可能である。また、バッテリパックアセンブリは、用途の出力電圧要求に応じて、任意の数の電池(セル)を持ち得る。さらに、基本的には、本明細書中に記載のバネ配置構成以外の型締機構を用いて、同じものを達成することが可能である。
【0028】
加えて、他の波形構造が可能である。Coroplastは、市販されており、低コストでありかつこの特定の用途に適した特性を有しているため、特に簡便である。しかし、波形流れプレートの設計および作製の方法は他にもある。効率は劣るものの、波形プレート作製のための別のアプローチとして、「波状の」シート材料(“wavy” sheet of material)を不浸透性材料の2枚の平坦なシート間に接合する方法がある。このアプローチによって得られた構造は、大衆にとってなじみの深い波形段ボールに類似している。
【0029】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。