特許第6553381号(P6553381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553381
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20190722BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20190722BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   H05K7/20 H
   H05K5/03 A
   H05K7/12 G
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-58086(P2015-58086)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-178227(P2016-178227A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2018年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達規
【審査官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−251298(JP,A)
【文献】 特開2007−279391(JP,A)
【文献】 特開2012−244657(JP,A)
【文献】 特開2005−197421(JP,A)
【文献】 特開2005−273589(JP,A)
【文献】 特開2007−057080(JP,A)
【文献】 米国特許第06483701(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00 − 5/06
H05K 7/12
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にダクト部が収容された筐体と、
この筐体の1つの面に形成され、前記ダクト部と連通する開口部と、
前記ダクト部に配置された送風部と、
前記ダクト部内部に設けられ、前記送風部の背面に当接して前記送風部の移動を規制する拘束部材と、
前記送風部の正面に内面が対向して前記開口部に着脱可能な送風部カバーと、
前記送風部カバーの内面に設けられ、前記送風部カバーが前記開口部の所定の位置に取り付けられた状態において、前記送風部が前記開口部側へ移動しようとしたとき前記送風部を前記拘束部材側へ押し返すように支持する支持部材と、
前記ダクト部内に設けた弾性部材とを、
有し、前記弾性部材が、前記弾性部材と対向する前記ダクト部の対向壁面に向けて前記送風部を押圧し、前記弾性部材の押圧方向は、前記開口部と前記拘束部材とを繋ぐ方向と直交している電気機器。
【請求項2】
請求項1記載の電気機器において、前記支持部材は、前記開口部の内側に進入して前記送風部を支持する電気機器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電気機器において、前記ダクト部の前記開口部は、1つの壁に形成された係合孔と、前記1つの壁に対向する他の壁に形成された軸孔とを有し、
前記送風部カバーは、前記ダクト部の前記開口部の1つの壁を外側から覆う第1の鍔部と前記開口部の他の壁と外側から覆う第2の鍔部とを有し、
前記送風部カバーの第1の鍔部の内面に前記係合孔に係合可能な係合部と、前記第2の鍔部の内面に前記軸孔に挿入可能な回転軸部とが形成された電気機器。
【請求項4】
請求項3記載の電気機器において、前記回転軸部は、前記第2の鍔部の内面から後方に向けて下方に突出形成された段差部と、この段差部後方に連設され前記段差部よりさらに下方に突出した回転軸とを有する電気機器。
【請求項5】
請求項3記載の電気機器において、前記送風部を前記ダクト内部の前記拘束部材で位置規制される位置に配置し、前記送風部カバーをその内面が前記送風部に対向する方向に向けて、前記送風部カバーの前記回転軸を、前記開口部の前記軸孔に対して外側から斜め方向に挿入し、前記送風部カバーを前記回転軸を中心に回転させ、前記送風部カバーの前記係合部を、前記開口部の前記係合孔に外側から係合させることによって、前記送風部カバーを前記ダクト部の前記開口部に取り付けたとき、前記送風部カバーの前記支持部材が前記送風部を支持できるよう前記開口部内部に進入する電気機器。
【請求項6】
請求項3又は4記載の電気機器において、前記係合部が形成された前記第1の鍔部は、前記送風部カバーの下部に設けられ、前記係合孔は、前記開口部の下部に設けられ、前記回転軸が形成された前記第2の鍔部は、前記送風部カバーの上部に設けられ、前記軸孔は、前記開口部の上部に設けられている電気機器。
【請求項7】
請求項3乃至5いずれか記載の電気機器において、前記送風部カバーの前記第1の鍔部は、前記係合部を挟んだ両側に切り込みを有する電気機器。
【請求項8】
請求項1乃至6いずれか記載の電気機器において、前記支持部材は、前記送風部の少なくとも4隅に対応して前記送風部カバーの内面に設けられている電気機器。
【請求項9】
請求項7記載の電気機器において、前記支持部材は、前記係合部の近傍にも設けられ、前記支持部材と、前記送風部カバーの前記第1の鍔部とによって前記開口部の前記1つの壁が挟持されている電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関し、特に送風部を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器には、内部に有する発熱部品を冷却するために、送風部を備えたものがある。そのような電気機器の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の技術では、筐体の背面壁に矩形の孔が形成され、その孔から筐体内部に外観が概略直方体状の送風部が収容されている。この孔を覆うように、送風部カバーが筐体に取り付けられている。その取り付けは、送風部カバーに形成した係止爪を、筐体に形成した係止部に係止させることによって行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−344661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、記載されていないが、送風部は、筐体内に収容された状態でネジによって筐体に固定されていると考えられる。従って、筐体内に送風部を収容して、その送風部を筐体にネジで固定した上で、送風部カバーを筐体に取り付けねばならない。そのため、取り付け作業が面倒である上に、送風部の保守点検作業も面倒である。
【0005】
本発明は、送風部及び送風部カバーの取り付け作業及び送風部の保守点検が容易な電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電気機器は、内部にダクト部が収容された筐体を有している。この筐体の1つの面に形成された前記ダクト部と連通する開口部が設けられており、開口部からダクト部内に送風部が配置されたとき、前記ダクト部内部で送風部に当接して前記送風部の移動を規制する拘束部材が設けられている。前記送風部にその内面が対向して前記ダクト部の前記開口部に着脱可能な送風部カバーと、この送風部カバーが前記開口部の所定の位置に取り付けられた状態において、前記送風部が前記開口部側へ移動しようとしたとき前記送風部を前記拘束部材側へ押し返すように支持する支持部材を有している。前記ダクト部内に設けた弾性部材が、前記弾性部材と対向する前記ダクト部の対向壁面に向けて前記送風部を押圧している。前記弾性部材の押圧方向は、前記開口部と前記拘束部材とを繋ぐ方向と直交している。このように、送風部カバーの内面に設けられた支持部材と拘束部材で、送風部を挟持することによって送風部を固定することができる。従って、送風部カバーを取り付けることによって、同時に送風部の固定を行うことができ、送風部の取り付け作業が容易になる。また、送風部カバーを外すと、自動的に送風部の固定も解除されるので、保守点検作業が容易になる。
【0007】
前記送風部カバーの内面に設けられた前記支持部材は、前記送風部カバーが前記開口部に取り付けられたとき、前記開口部の内側に進入して前記送風部を支持する。このように構成すると、送風部カバーを開口部に取り付けたとき、支持部材が開口部内部で送風部を拘束部材側に支持して送風部を固定する。従って、送風部を配置する位置を、開口部から奥まったダクト部内の任意の位置に選択でき、設計の自由度が増加する。
【0008】
前記ダクト部の前記開口部は、1つの壁に形成された係合孔と、前記1つの壁に対向する他の壁に形成された軸孔とを有し、前記送風部カバーは、前記ダクト部の前記開口部の1つの壁を外側から覆う第1の鍔部と前記開口部の他の壁と外側から覆う第2の鍔部とを有している。前記送風部カバーの第1の鍔部の内面に前記係合孔に係合可能な係合部と、前記第2の鍔部の内面に前記軸孔に挿入可能な回転軸とが形成されている。このような構成にすると、第1の鍔部と第2の鍔部が開口部を外周側から挟み込むようにして送風部カバーが取り付けられるため、開口部の内側に、送風部カバーを取り付けるための構造が不要になり、開口部を筐体ぎりぎりの大きさまで大きくでき、開口部からダクト部内に挿入される送風部も大型のものが選択可能になるなど、設計の自由度が増加する。また、工具やネジを用いなくても容易に送風部カバーの着脱ができる。
【0009】
前記送風部を前記ダクト部内部の前記拘束部材で位置規制される位置に配置し、前記送風部カバーの内面を前記送風部に対向する方向に向けて、前記送風部カバーの前記回転軸を、前記開口部の前記軸孔に対して外側斜め方向から挿入する。この状態から前記送風部カバーを前記回転軸を中心に回転させて、前記送風部カバーの前記係合部を、前記開口部の前記係合孔に外側から係合させることによって、前記送風部カバーを前記ダクト部の前記開口部に取り付けできる。また、開口部に送風部カバーが取り付けるとき、前記送風部カバーの前記支持部材が前記開口部からダクト部の内部に進入し、送風部を支持することができる。このように構成すると、送風部を配置する位置を、ダクト部内部の開口部から奥まった任意の位置に選択でき、工具やネジ等が必要なく、片手でも容易に送風部カバーを取り付けることができる。
【0010】
前記係合部が形成された前記第1の鍔部を、前記送風部カバーの下部に設け、前記係合孔は、前記開口部の下部に設けられる。前記回転軸が形成された前記第2の鍔部は、前記送風部カバーの上部に設けられ、前記軸孔は、前記開口部の上部に設けられる。このように構成すると、送風部カバーを開口部の斜め上側から被せて軸孔に回転軸を挿入して前記回転軸を中心に回転させて、開口部の下部に係合させて取り付けるため、少ない動作で送風部カバーを取り付けることができる。
【0011】
前記送風部カバーの前記第1の鍔部は、前記係合部の両側に切り込みを有する。切り込みがあることで、係合部は第1の鍔部に対して撓むことができ、係合部が係合孔に係合する力に抗して爪を係合孔から外すことで、送風部カバーの開口部への固定が解除できる。
【0012】
前記支持部材は、前記送風部の少なくとも4隅に対応して送風部カバーの内面に設けられたものとする。このように構成すると、送風部の4隅を安定して前記拘束部材側に支持することができる。
【0013】
前記支持部材は、前記係合部の近傍にも設けられ、前記支持部材と、前記送風部カバーの前記第1の鍔部とによって前記開口部の前記1つの壁が挟持されているものとしてもよい。係合部の両側に切り込みを形成することで、第1の鍔部の切り込みの近傍の強度が若干弱くなるが、切り込みの近傍でも、開口部の1つの壁が第1の鍔部と前記支持部材とによって挟持されるので、送風部が動作しているときでも、送風部カバーが、がたつくことがない。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、送風部及び送風部カバーの取り付け作業が容易になる上に、送風部の保守点検作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態の電気機器の部分省略縦断正面図である。
図2図1の電気機器の部分省略縦断側面図及び部分省略横断平面図である。
図3図1の電気機器において使用する送風部取付部の斜視図である。
図4図1の電気機器において使用する送風部カバーの正面図、縦断側面図及び背面図である
図5図1の電気機器において使用する送風部カバーの取り付け図である。
図6図1の電気機器の分解斜視図である。
図7図1の電気機器の図6と反対側から見た分解斜視図である。
図8図1の電機機器において使用する板ばねの正面図及び側面図である。
図9】本発明の第2の実施形態の電気機器の分解斜視図である。
図10】本発明の第3の実施形態で使用する板ばねの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態の電気機器は、例えば電気めっき用電源装置であって、図1及び図2に示すように、例えば樹脂製又は金属製の筐体1を有している。筐体1は、概略直方体状に形成され、概略長方形状の底壁4と2つの平行に配置された側壁10、10と背面壁(図示せず)及び正面壁6によって構成され、図2に示す蓋体3を有している。背面壁と正面壁6は、互いに対向して底壁4の長手縁に設けられており、側壁10は底壁4の両側に、背面壁と正面壁6と直角に位置するように設けられている。筐体1の内部は、側壁10、10の間に設けられている区画板5によって本体2とダクト部8の2つの区画に隔てられている。本実施形態では、蓋体3はダクト部8と本体2の両方の区画を含む筐体1の上面全体を正面壁6から背面壁に亘って覆うよう構成されている。ダクト部8は正面壁6と背面壁に夫々吸気口と排気口を有し、筐体1に蓋体3を被せた状態で、側壁10と区画板5と底壁4及び蓋体3とで筒状に形成されている。底壁4の吸気口側端縁の左右方向の中央部には、後述する送風部カバー30を係合するための係合孔46が穿孔され、底壁4が吸気口の位置でヘミング曲げによって上側に折り曲げて曲げ部4aが形成されている。曲げ部4aは係合孔46の上面に配置され、ダクト部8内を上から見ると係合孔46が曲げ部4aによって隠されており、筐体1を下から見たときに係合孔46が見えるようにされている。曲げ部4aによって底壁4の強度を増すことができるし、後述する送風部14を取り付ける際に、作業者が手を怪我することもない。
【0018】
ダクト部8内に送風部取付部12が取り付けられている。送風部取付部12は、図3に示すように、天板9、側板18、18を有し、概略枠状に形成されている。側板18、18はダクト部8を構成する側壁10と区画板5に平行に形成され、底壁4の曲げ部4aを挟んでダクト部8の内側の吸気口に一致する位置に固定されている。また、送風部取付部12の正面から最も奥側には、間隔を開けて互いに向き合う方向に側板18、18が直角に折り曲げられて拘束部材20が形成されている。天板9は底壁4と並行に形成されており、吸気口から外部に突出するように正面壁6よりも正面側に幾分か張り出した張り出し部9aが設けられている。従って、この張り出し部9aは、蓋体3の正面端よりも正面側に張り出している。また、張り出し部9aの左右両端には後述する送風部カバー30を取り付けるための軸孔44が形成されている。そして、底壁4、送風部取付部12の天板9、側板18、18によって、開口部7が構成されている。送風部取付部12の高さ、すなわち天板9の高さは、図2(a)に示すように、送風部14よりも若干高く設定されている。また、送風部取付部12の奥行き寸法は送風部14の奥行き寸法よりも大きく設定されている。また、送風部取付部12の天板9には弾性手段、例えば板ばね22を取り付けるための窓25、25が前後方向に間隔をあけて形成されている。天板9に取り付けられる板ばね22は、図8(a)、(b)に示すように凸に湾曲させた概略長方形状に形成され、その両短辺の中央には、板ばね22よりも小さい幅の長方形状の取付片23、23が形成されている。取付片23、23が、送付部取付部12の天板9に正面及び背面方向に沿って形成した2つの窓25、25に挿通されて、板ばね22は天板9の内面側に取り付けられる。
【0019】
ダクト部8内の送風部取付部12内に、送風部14が収容されている。送風部14は、正面が底壁4の曲げ部4aよりも奥に配置され、その背面が送風部取付部12の拘束部材20に当接するように、送風部取付部12内に取り付けられている。尚、本実施形態で用いられる送風部14は、図6にも示すように、ファン15を収容した円筒状の胴部14aに、底壁4、側壁10、区画板5及び天板9と並行な平面部14bを設けたものである。 図2に示すように、送風部14の背面が拘束部材20に当接して拘束されることから、送風部14はダクト部8内で、それ以上奥側に移動することが規制されている。
【0020】
送風部14の背面が拘束部材20、20に当接している状態において、送付部取付部12の天板9の内面側に取り付けられた板ばね22によって、送風部14の平面部14bが押圧され、底壁4側に送風部14は押圧されている。
【0021】
板ばね22の凸の部分は広い面積に設定されており、開口部7から送風部14を拘束部材20の近くの位置まで挿入したとき、板ばね22の凸の部分が送風部14の胴部14aに形成された平面部14bに接触し、板ばね22の凸の部分が広い面積を有することから、送風部14を底壁4側に押圧しながら送風部取付部12の内部に引き込むような押圧力が作用し、送風部14を正しい取り付け位置に誘導する。それ以上送風部14が奥に移動しようとしても送風部14の背面が拘束部材20に当接するので、送風部14が奥に入りこむことはない。送風部14が正しい位置に配置されると、その位置で板ばね22の押圧力が送風部14を所定の位置に留めるよう、底壁4の方向、即ち真下に作用するため、送風部14を仮止めすることができる。また、底壁4の曲げ部4aが送風部14の正面下部に対向するため、送風部14が開口部7から簡単には落下しない。従って、送風部14が移動して後述する送風部カバー30の取り付け作業を阻害することはない。
【0022】
なお、ダクト部8の背面壁には、ファン15によってダクト部8内に導入された風を外部に導出するための排気口(図示せず)が多数形成されている。ダクト部8内には、図示していないが、送風部14からの風によって空冷される要冷却部品、例えばめっき用電源装置において使用する半導体素子、コイル、コンデンサ及び変圧器等が取り付けられている。
【0023】
開口部7には、送風部カバー30が取り付けられる。送風部カバー30は、図4(a)乃至(c)に示すように、その外面35bからそれぞれ後方に伸びる第1の鍔部32、第2の鍔部31を有する枠状で、複数の横桟36が形成されて冷却風が通過できるようになっている。横桟36は、上下方向に間隔をおいて配置され、この列が3列横方向に配置されている。また、送風部カバー30の内面35aの横桟36が配置されていない部分に上部エリア33と下部エリア34が設けられており、上部エリア33の内面から後方に向けて突出する支持部材48が配置され、下部エリア34の内面から後方に向けて突出する支持部材52、54が配置されている。支持部材48、52、54の先端面は、送風部14の前面と平行に形成されている。送風部カバー30は、例えば合成樹脂製である。
【0024】
この送風部カバー30の第1の鍔部32の後縁の中央には、図4(c)に示すように切り込み39が形成されて、図4(b)に示すようにアーム状の係合部40が形成されている。係合部40は、送風部カバー30の内面から斜め下方後方に伸びて水平に伸延し、その先端に上方に向けて爪が形成されている。
【0025】
また、同図(c)に示すように送風部カバー30の第2の鍔部31の内面の両端に近い位置に、回転軸部42が形成されている。回転軸部42は図4(b)に示すように、送風部カバー30の内面から後方に向けて、下方に突出した段差部42bと、この段差部42bの後端に、さらに下方に突出した回転軸42aが形成されている。
【0026】
図2(a)に示すように、係合部40と段状の回転軸部42を利用して、送風部カバー30は、開口部7に取り付けられている。送風部カバー30を開口部7に取り付けたとき、第2の鍔部31が送風部取付部12の天板9の上側に位置し、第1の鍔部32が底壁4の下側に配置され、支持部材48、52、54が開口部7からダクト部8内部に進入し、支持部材48、50が送風部14の正面を支持可能な位置関係にある。
【0027】
図6に、本実施形態の電気機器を背面側から見た状態を、図7に正面側から見た状態をそれぞれ示している。図のように開口部7から送風部14を挿入すると、送風部14が、板ばね22の付勢力により斜め下方に押圧されながらダクト部8の奥側に移動するよう誘導されて、拘束部材20の位置に配置される。送風部14が送風部取付部12の正しい位置に配置された状態では、図5に示すように、送風部14は天板9よりも低い位置で、板ばね22により真下に押圧されて、上下左右のがたつきが抑制されている。その後、開口部7の正面側に送風部カバー30が取り付けられるようにされている。
【0028】
送風部カバー30の開口部7への取り付けは、図5に示すように、送風部カバー30の第2の鍔部31を送風部取付部12の天板9の張り出し部9aに近い位置に位置させ、送風部カバー30の第1の鍔部32が底壁4から離れた斜めの体制に配置し、送風部カバー30の段状の回転軸部42、42の回転軸42a、42aを天板9の張り出し部9aの軸孔44、44に斜め上方から挿入し、送風部カバー30の第1の鍔部32が底壁4に近づく方向に、回転軸42a、42aを支点として回転させる。そして送風部カバー30の第1の鍔部32の係合部40が底壁4の下側にくると、係合部40が底壁4に押されて下に撓みながら移動する。さらに送風部カバー30を回転させると、係合部40が底壁4に形成された係合孔46に係合し、送風部カバー30が開口部7に取り付けられる。このとき、回転軸部42の段差部42bが天板9の上に位置することで、回転軸42aが天板9に挿入されて入るが、回転軸42aが天板9から離間して浮いた高さに保持されている。送風部カバー30を開口部7から取り外す場合には、係合部40をその係合力に抗して底壁4の下方側に撓ませて、係合孔42から係合部40を離脱させることで開口部7への固定を解除させ、回転軸42a、42aを支点にして送風部カバー30を取り付けるのと反対方向に回転させる。このように送風部カバー30の開口部7への取付及び取り外しが工具やネジを使用する必要がなく、片手でも容易にできる。ここで、送風部カバー30を外す際に、回転軸部42の段差部42bによって、回転軸42aが天板9から離間した高さにあるため、回転軸42aの回転が天板9に阻害されることがなく、その高さ位置のまま直ちに送風部カバー30を回転軸42aを中心に回転開始することができ、取り外し作業を効率よく行うことができる。
【0029】
図4(c)に示すように、送風カバー30の内面35aの上部エリア33に位置する支持部材48、48は、段状の回転軸部42、42の近傍で、段状の回転軸部部42、42よりもカバー側壁に近い位置に、図4(b)に示すように、第2の鍔部31の後縁よりも後方に先端が突出するように形成されている。これら支持部材48、48に対応するように、カバー内面35aの近傍の下部エリア34のカバー側壁に近い位置にも支持部材50、50が形成されている。支持部材50、50も、第1の鍔部32の後縁よりも後方に先端が突出している。
【0030】
これら支持部材48、48、50、50は、送風部カバー30を開口部7に取り付けたときに、図1及び図4(c)に示すように送風部14の正面の少なくとも4隅に対応する位置に設けられており、これら支持部材48、48、50、50の先端がダクト部8に進入した位置で送風部14を拘束部材20、20側に開口部7の正面側から支持している。このようにしているため、外部から振動などが加えられて、送風部14が開口部7側に移動しようとしても、支持部材48、50がこれを元の拘束部材20で拘束される位置に押し返すように支持する。また、前述のように、送風部14は板ばね22による押圧力も受けているため、容易に移動することがないようにされている。支持部材がダクト部8内に入り込んで、ダクト部8内に収容された送風部14の4隅を支持することができるため、送風部14を開口部7からダクト部8内の奥行き方向に配置する位置の設計の自由度が増し、安定して送風部14を支持することができる。拘束部材20と支持部材48、48、50、50によって送風部14を正面側と背面側の両側から支持しているので、送風部14を開口部7にネジ止めをしなくても、送風部カバー30の取り付けを行うと自動的に送風部14を固定することができ、送風部14の取り付け作業が工具やネジを使用することなく容易になる。また、送風部カバー30を外すと、自動的に送風部14の固定も解除されるので、送風部14の取り外しが容易になるので、保守点検作業が容易になる。また、送風部カバー30は、開口部7に、第1の鍔部32が底壁4の下側から、第2の鍔部31が天板9の上側から、夫々開口部を外周側から挟み込むようにして取り付けられるため、開口部7の内周側に、送風部カバー30を取り付けるための構造が不要なため、開口部7を筐体1のぎりぎりの位置まで大きくしても送風部14を固定することができ、大型の送風部を選択できるなど設計の自由度が増加し、冷却効果も大きくすることができる。
【0031】
また、開口部7に送風部カバー30を取り付けた状態では、支持部材48、48は、図2(a)に示すように開口部7からダクト部8内部に進入した位置にあり、支持部材48、48の上面と、第2の鍔部31とによって天板9を挟持している。また、支持部材50、50は開口部7からダクト部8内部に進入した位置にあり、支持部材50の下面と第1の鍔部32とによって底壁4を挟持している。このように、開口部7を構成する天板9と底壁4を、送風部カバー30で挟んでいるので、送風部カバー30に上下方向の力が働いてもがたつきを押さえることができる。
【0032】
本実施形態では、更に、送風部カバー30の内面35aの下部エリア34に形成された支持部材50、50の間に、図4(c)に示すように、係合部40を形成するための切り込み39の両側の近傍にも、上述の支持部材50、50と同一形状の支持部材52、52、54、54が設けられている。第1の鍔部32の中央部分は、切り込み39を形成したことにより強度が低下しているが、これら支持部材52、52、54、54によっても開口部7を構成する底壁4を挟み込むことができるので、より強固に安定して送風部カバー30を開口部7に固定することができる。
【0033】
このように送風部カバー30によって、開口部7の一部が挟み込まれているので、送風部カバー30を開口部7に取り付けた状態において、送風部カバー30が、がたつくことはない。また、送風部14は、ダクト部8内の送風部取付部12にねじなどで取り付けられておらず、送風部カバー30に設けた支持部材48、50、52、54と拘束部材20、20により挟持固定される。さらに、天板9に設けた弾性手段である板ばね22によって、平面部14bが押圧されて底壁4側に押圧されて、送風部14が位置保持される。このようにして、送風部14は、ねじなどを用いずに固定されているので、送風部カバー30を開口部7から取り外すだけで、送風部14をダクト部8内の送風部取付部12から取り外すことができ、送風部14の保守点検が容易に行える。
【0034】
第2の実施形態を図9に示す。この実施形態は、複数の板ばね22、例えば2つの板ばね22を、送風部取付部12の天板9にその長さ方向に間隔をおいて配置したものである。このように構成すると、第1の実施形態よりも安定して強固に送風部14をダクト部8内に固定することができる。他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同等部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
第3の実施形態に使用する板ばね22aを図10に示す。第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態における板ばね22を、図10に示すように幅広の板ばね22aに変更したものである。このように幅広の板ばね22aを使用すると、送風部14に形成された平面部14bへの板ばね22aの接触面積が増加するので、より強固に送風部14をダクト部8に取り付けることができる。他の構成は、第1または第2の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0036】
上記の両実施形態では、送風部取付部12の側板を折り曲げて拘束部材20を形成したが、ダクト部8内の送風部14を配置したい位置に、送風部14の背面に当接するよう、側壁10と区画板5の間を繋ぐ壁に通気口を設けたり、側壁10、区画板5、底壁4、天板9から突出する凸部を形成し、これらの何れか一つ又は組み合わせを拘束部材として使用することもできる。また、本例では合計8つの支持部材を設けたが、その設置場所及び数を任意に変更することができる。但し、少なくとも送風部14の正面の4隅に対応するように支持部材を設けることが、送風部14の安定した固定の観点から望ましい。また、係合部40を送風部カバー30の第1の鍔部32側に設け、回転軸部42、42を送風部カバー30の第2の鍔部31設けたが、逆に第1の鍔部32側に回転軸部42、42を設け、第2の鍔部31に係合部40を設けることもできる。或いは送風部カバー30を開口部7に対して横方向に開くように取り付けることもできる。さらに開口部7を底壁4と送風部取付部12の天板9と側板18、18で構成する例を示したが、筒状のダクト部8を用いて、筒状のダクト部8の端部軸孔と係合孔を設けて開口部7としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 筐体
7 開口部
14 送風部
20 拘束部材
30 送風部カバー
48、50 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10