(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)水溶性アルミニウム化合物の含有量(質量%)と、(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)との質量比(A/C)が、5〜30である請求項1から2のいずれかに記載の制汗剤組成物。
(B)シリコーン樹脂粉体の含有量(質量%)と、(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)との質量比(B/C)が、0.5〜2である請求項1から3のいずれかに記載の制汗剤組成物。
(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが、エチレンオキシドの平均付加モル数が3〜5であるポリオキシエチレンステアリルエーテル、エチレンオキシドの平均付加モル数が5であるポリオキシエチレンラウリルエーテル、エチレンオキシドの平均付加モル数が5であるポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、及びエチレンオキシドの平均付加モル数が5であるポリオキシエチレンオレイルエーテルから選択される少なくとも1種である請求項1から6のいずれかに記載の制汗剤組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、エタノールを50質量%以上含有しても、使用時の肌のべたつきのなさ、及び肌への白残りのなさが良好であり、制汗効果、並びに再分散性に優れる制汗剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、(A)水溶性アルミニウム化合物2質量%〜20質量%と、(B)シリコーン樹脂粉体と、(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテル0.1質量%〜3質量%と、(D)エタノール50質量%〜85質量%と、を含有し、前記(A)成分の含有量(質量%)と、前記(C)成分の含有量(質量%)との質量比(A/C)が、2〜100である制汗剤組成物が、これらの相乗効果によって、50質量%以上のエタノールを含有するエタノール主体の溶媒系においても、前記(C)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルのエチレンオキシドの平均付加モル数を2〜8の範囲とすることにより、水溶性アルミニウム化合物、及びシリコーン樹脂粉体の固化を防止することができ、使用時の肌のべたつきのなさ、及び肌への白残りのなさが良好であり、制汗効果、並びに再分散性に優れることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1> (A)水溶性アルミニウム化合物2質量%〜20質量%と、
(B)シリコーン樹脂粉体と、
(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテル0.1質量%〜3質量%と、
(D)エタノール50質量%〜85質量%と、を含有し、
前記(A)水溶性アルミニウム化合物の含有量(質量%)と、前記(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)との質量比(A/C)が、2〜100であることを特徴とする制汗剤組成物である。
<2> (B)シリコーン樹脂粉体の含有量が、0.2質量%〜3質量%であり、
(D)エタノールの含有量が、60質量%〜80質量%である前記<1>に記載の制汗剤組成物である。
<3> (A)水溶性アルミニウム化合物の含有量(質量%)と、(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)との質量比(A/C)が、5〜30である前記<1>から<2>のいずれかに記載の制汗剤組成物である。
<4> (B)シリコーン樹脂粉体の含有量(質量%)と、(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)との質量比(B/C)が、0.5〜2である前記<1>から<3>のいずれかに記載の制汗剤組成物である。
<5> (A)水溶性アルミニウム化合物の含有量が、5質量%〜15質量%である前記<1>から<4>のいずれかに記載の制汗剤組成物である。
<6> (A)水溶性アルミニウム化合物が、クロルヒドロキシアルミニウムである前記<1>から<5>のいずれかに記載の制汗剤組成物である。
<7> (C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが、エチレンオキシドの平均付加モル数が3〜5であるポリオキシエチレンステアリルエーテル、エチレンオキシドの平均付加モル数が5であるポリオキシエチレンラウリルエーテル、エチレンオキシドの平均付加モル数が5であるポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、及びエチレンオキシドの平均付加モル数が5であるポリオキシエチレンオレイルエーテルから選択される少なくとも1種である前記<1>から<6>のいずれかに記載の制汗剤組成物である。
<8> ロールオン容器に充填されてなる前記<1>から<7>のいずれかに記載の制汗剤組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、エタノールを50質量%以上含有しても、使用時の肌のべたつきのなさ、及び肌への白残りのなさが良好であり、制汗効果、並びに再分散性に優れる制汗剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(制汗剤組成物)
本発明の制汗剤組成物は、(A)水溶性アルミニウム化合物、(B)シリコーン樹脂粉体、(C)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及び(D)エタノールを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0012】
<(A)水溶性アルミニウム化合物>
前記(A)成分の水溶性アルミニウム化合物は、制汗効果を向上させるために含有されている。ここで、前記(A)成分の水溶性アルミニウム化合物の「水溶性」とは、水に溶けて水溶液を作る性質をいう。
【0013】
前記(A)成分の水溶性アルミニウム化合物としては、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム/ジルコニウム・グリシン錯体、クロルヒドロキシアルミニウム・プロピレングリコール錯体、ブロモヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、制汗効果の点から、クロルヒドロキシアルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム・プロピレングリコール錯体、クロルヒドロキシアルミニウム/ジルコニウム・グリシン錯体が好ましく、特に、クロルヒドロキシアルミニウムがより好ましい。
【0014】
前記(A)成分の水溶性アルミニウム化合物の含有量としては、制汗効果、使用時のべたつきのなさ、及び肌への白残りのなさの点から、制汗剤組成物全量に対して、2質量%〜20質量%であり、5質量%〜15質量%が好ましい。前記含有量が、2質量%未満であると、制汗効果が不十分となることがあり、20質量%を超えると、使用時のべたつきのなさ、及び肌への白残りのなさを生じることがある。
【0015】
<(B)シリコーン樹脂粉体>
前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体は、使用時の肌のべたつきのなさを向上させるために含有されている。
前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体は、シロキサン骨格を有する化合物からなる粉体である。前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖状構造、環状構造、分岐鎖状構造、網状構造、架橋構造などが挙げられる。これらの中でも、使用時の肌のべたつきのなさの点から、網状構造、架橋構造が好ましい。
【0016】
前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体としては、前記シロキサン骨格が、ポリエーテル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アラルキル基、メチル基、フェニル基等の1種又は2種以上の置換基で修飾されていてもよい。これらの中でも、使用時の肌のべたつきのなさの点から、メチル基が好ましく、メチル基を有するシルセスキオキサンがより好ましい。
【0017】
また、前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体としては、前記シリコーン樹脂粉体単独でなるものであってもよいが、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄等の無機粉体などで被覆されたものであってもよい。
【0018】
前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体の形状としては、例えば、球状、棒状、板状、不定形などが挙げられる。これらの中でも、使用時の肌のべたつきのなさの点から、球状が好ましい。なお、前記球状とは、真球だけでなく、断面が楕円のものも意味し、これらの中でも、真球が好ましい。
【0019】
前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜30μmが好ましく、4μm〜12μmがより好ましい。前記体積平均粒子径が、3μm未満、又は30μmを超えると、再分散性、及び使用時の肌のべたつきのなさが不十分となることがある。なお、前記体積平均粒子径は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、LS 13 320、ベックマン・コールター社製)などで測定することができる。
【0020】
前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体としては、メチルシルセスキオキサンの網状重合体であるポリメチルシルセスキオキサン、及びジメチコンを3次元構造に架橋させた(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、シリコーンゴム粉体の表面をシリコーン樹脂で被覆した(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、使用時の肌のべたつきのなさの点から、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーが好ましい。
【0021】
前記メチルシルセスキオキサンの網状重合体であるポリメチルシルセスキオキサンの製造方法としては、メチルシルセスキオキサンの加水分解の後、脱水縮合反応により微粒子として析出させて得ることができる。
前記ジメチコンを3次元構造に架橋させた(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーの製造方法としては、ケイ素原子結合水素原子含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素原子結合ビニル基を有するオルガノポリシロキサンと白金系触媒を付加反応させ、硬化したものを球状に微粒子化して得ることができる。
前記シリコーンゴム粉体の表面をシリコーン樹脂で被覆した(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーの製造方法としては、シリコーンゴム球状微粒子の水分散液に、アルカリ性物質とメチルトリメトキシシランを添加し、加水分解、縮合反応させた後、乾燥、解砕により微粒子化して得ることができる。
【0022】
前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、商品名:「トスパール145A」(体積平均粒子径:4.5μm)、商品名:「トスパール2000B」(体積平均粒子径:6μm)、商品名:「トスパール1110A」(体積平均粒子径:11μm)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、商品名:「トレフィルE−506S」(体積平均粒子径:3μm、東レ・ダウコーニング社製)、商品名:「KSP−100」(体積平均粒子径:5μm)、商品名:「KSP−101」(体積平均粒子径12μm)、商品名:「KSP−102」(体積平均粒子径:30μm)(以上、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、使用時の肌のべたつきのなさ、及び再分散性の点から、商品名:「KSP−100」、商品名:「KSP−101」、商品名:「KSP−102」、商品名:「トスパール2000B」が好ましく、商品名:「KSP−100」、商品名:「トスパール2000B」がより好ましい。
【0023】
前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体の含有量としては、制汗剤組成物全量に対して、使用時のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性の点から、0.2質量%〜3質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。前記含有量が、0.2質量%未満であると、使用時のべたつきのなさが不十分となることがあり、3質量%を超えると、肌への白残りのなさに劣り、再分散性が不十分となることがある。
【0024】
<(C)エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテル>
前記(C)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性を向上させるために含有されている。
【0025】
前記(C)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルのエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数としては、使用時の肌のべたつきのなさの点から、2〜8であり、3〜5が好ましい。前記エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数が、8を超えると、(A)成分の水溶性アルミニウム化合物及び(B)成分のシリコーン樹脂粉体が固化しやすく、再分散性に劣り、使用時のべたつきのなさ、並びに肌への白残りのなさが不十分となることがある。なお、前記エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数が2未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、現在、市販されていない。
【0026】
前記(C)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基の炭素数としては、再分散性、及び使用時の肌のべたつきのなさの点から、12〜24が好ましく、12〜22がより好ましい。前記アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状であってもよく、飽和であっても、不飽和であってもよい。前記アルキル基の炭素数が、12未満であると、使用時の肌のべたつきのなさが不十分となることがあり、24を超えると、使用時のべたつきのなさ、及び肌への白残りのなさが不十分となることがある。
【0027】
前記(C)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜8)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)イソセチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(3)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(5)デシルテトラデシルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性の点から、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜8)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)イソセチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(5)デシルテトラデシルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(3〜5)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテルがより好ましく、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテルが特に好ましい。なお、( )内の数字はエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数を示す。
【0028】
前記(C)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル(商品名:「EMALEX703」)、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル(商品名:「EMALEX705」)、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル(商品名:「EMALEX602」)、ポリオキシエチレン(3)ステアリルエーテル(商品名:「EMALEX603」)、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル(商品名:「EMALEX605」)、ポリオキシエチレン(8)ステアリルエーテル(商品名:「EMALEX608」)、ポリオキシエチレン(5)イソセチルエーテル(商品名:「EMALEX1605」)、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル(商品名:「EMALEX1805」)、ポリオキシエチレン(5)オクチルドデシルエーテル(商品名:「EMALEXOD−5」)、ポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(商品名:「EMALEX503」)、ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル(商品名:「EMALEX505」)、ポリオキシエチレン(3)セチルエーテル(商品名:「EMALEX103」)、ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル(商品名:「EMALEX BHA−5」)、ポリオキシエチレン(5)デシルテトラデシルエーテル(商品名:「EMALEX2405」)(以上、日本エマルジョン株式会社製)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性の点から、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル(商品名:「EMALEX705」)、ポリオキシエチレン(3)ステアリルエーテル(商品名:「EMALEX603」)、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル(商品名:「EMALEX605」)、ポリオキシエチレン(5)イソセチルエーテル(商品名:「EMALEX1605」)、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル(商品名:「EMALEX1805」)、ポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(商品名:「EMALEX503」)、ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル(商品名:「EMALEX BHA−5」)、ポリオキシエチレン(5)デシルテトラデシルエーテル(商品名:「EMALEX2405」)が好ましく、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル(商品名:「EMALEX705」)、オキシエチレン(3)ステアリルエーテル(商品名:「EMALEX603」)、オキシエチレン(5)ステアリルエーテル(商品名:「EMALEX605」)、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル(商品名:「EMALEX1805」)、ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル(商品名:「EMALEX505」)がより好ましい。
【0029】
前記(C)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量としては、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性の点から、制汗剤組成物全量に対して、0.1質量%〜3質量%であり、0.5質量%〜2質量%が好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性が不十分となることがあり、3質量%を超えると、使用時の肌のべたつきのなさ、及び再分散性が不十分となることがある。
【0030】
<質量比(A/C)>
前記(A)成分の水溶性アルミニウム化合物の含有量(質量%)と、前記(C)成分のエチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)との質量比(A/C)としては、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性の点から、2〜100であり、5〜30が好ましい。前記質量比(A/C)が、2未満であると、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性が不十分となることがあり、100を超えると、使用時の肌のべたつきのなさ、及び再分散性が不十分となることがある。
【0031】
<質量比(B/C)>
前記(B)成分のシリコーン樹脂粉体の含有量(質量%)と、前記(C)成分のエチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)との質量比(B/C)としては、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性の点から、0.3〜10が好ましく、0.5〜2がより好ましい。前記質量比(B/C)が、0.3未満であると、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性が不十分となることがあり、10を超えると、再分散性が不十分となることがある。
【0032】
<(D)エタノール>
前記(D)成分のエタノールは、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性を向上させるために含有されている。
前記(D)成分のエタノールとしては、例えば、無水エタノール、95体積%エタノール(規格値95体積%〜95.5体積%)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、使用時の肌のべたつきのなさの点から、無水エタノールが好ましい。
【0033】
前記(D)成分のエタノールの含有量としては、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性の点から、制汗剤組成物全量に対して、無水エタノール換算で、50質量%〜85質量%であり、60質量%〜80質量%が好ましい。前記エタノールの含有量が、50質量%未満であると、使用時の肌のべたつきのなさ、肌への白残りのなさ、及び再分散性が不十分となることがあり、85質量%を超えると、再分散性が不十分となることがある。前記エタノールの含有量が、50質量%以上であると、肌に制汗剤組成物を塗布した場合に、肌がべたつかず、塗布した制汗剤組成物が乾きやすく、服に付きにくいという利点がある。
【0034】
前記(D)成分のエタノールの含有量としては、その他の成分として植物エキスなどを含有した場合、これらの成分から持ち込まれるエタノールを含む無水エタノールの合計含有量である。
95体積%エタノールを使用した場合の、無水エタノールに換算した含有量(質量%)としては、下記の式1(独立行政法人医薬品医療機器総合機構発信文書038−1309.pdf)及び式2で求めることができる。
・エタノールの質量%=体積%×0.79422(15℃における100体積%の比重)/d(15℃における比重)・・・式1
=(95×0.79422)/0.81639
=92.42
・無水エタノールの含有量(質量%)=95体積%エタノール含有量(質量%)×92.42/100・・・式2
【0035】
<その他の成分>
前記制汗剤組成物は、前記(A)〜(D)の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有することができる。前記その他の成分としては、制汗剤組成物に通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、ノニオン性ポリマー、多価アルコール、環状シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサン及びアミノ変性シリコーン等のシリコーン油、アニオン性界面活性剤、前記(C)成分以外のノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、グリチルリチン酸2カリウム等の抗炎症剤、キレート剤、殺菌剤、アミノ酸、各種植物エキス、香料、精製水等の水、などが挙げられる。
【0036】
−制汗剤組成物の製造方法−
前記制汗剤組成物は、例えば、前記(A)〜(D)成分、前記その他の成分、及び精製水(制汗剤組成物の全体が100質量%となるように残量含有)を混合して製造することができる。前記制汗剤組成物を作製する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断と全体混合できるプロペラ、タービン、ディスパーなどの複数の攪拌羽根を備えた攪拌装置が挙げられる。なお、前記(A)〜(D)成分、及び前記その他の成分としては、前記制汗剤組成物を作製するにあたり、それぞれ単独で使用してもよく、また、2種以上の成分を含む混合物の状態で使用してもよい。
【0037】
−容器−
前記容器としては、例えば、ロールオン容器、トリガー型スプレー容器、ディスペンサー容器などが挙げられる。これらの中でも、制汗効果の点から、ロールオン容器が好ましい。前記ロールオン容器は、前記制汗剤組成物を肌に高密着に塗布でき、制汗効果を発現できる点で好適に使用できる。更に、前記エタノールの含有量が50質量%以上であることにより、前記ロールオン容器を使用した場合でも、肌がべたつくことなく使用できる。前記ロールオン容器としては、前記制汗剤組成物を充填できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−186997号公報に記載されたものなどが挙げられる。
前記トリガー型スプレー容器としては、例えば、トリガー:商品名:「Z−305」(株式会社三谷バルブ製)、ポリエチレンテレフタレート製ボトル:商品名「F−1223」(株式会社吉野工業所製)などが挙げられる。
前記ディスペンサー容器としては、例えば、商品名:「Z−35−S01」(吐出量:0.045mL、株式会社三谷バルブ製)などが挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明を実施例、及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例、及び比較例の記載の各成分の含有量は、全て純分換算した値である。
【0039】
[実施例1〜33、及び比較例1〜16]
下記表1〜表6に示す組成、及び含有量の制汗剤組成物を以下の方法で調製した。即ち、(A)成分と、(C)成分と、共通成分とを(D)成分の無水エタノールに溶解させた後、(B)成分を添加し、均一に溶解して制汗剤組成物を調製した。実施例1〜33、及び比較例1〜16の前記制汗剤組成物を下記仕様の容器:ロールオン容器に40mL充填した。
【0040】
−容器(実施例1〜33、及び比較例1〜16で用いたロールオン容器)−
・ボトル(株式会社吉野工業所製)
材質:HDPEナチュラル、満注内容量:約56mL、胴径:約33mm、高さ:約87mm
・リング(株式会社吉野工業所製)
材質:LLDPEナチュラル、外径:約26mm、高さ:約18mm
・ボール(株式会社吉野工業所製)
材質:PPホワイト、直径:約20mm
【0041】
なお、(D)成分のエタノールは、無水エタノールを使用した。なお、前記(D)成分の無水エタノールの含有量には、共通成分から持ち込まれる95.3体積%エタノールを下記式で換算した無水エタノールの含有量と(D)成分の無水エタノールの合計含有量である。前記含有量については、小数点以下2桁目を四捨五入し、小数点以下1桁目を記載した。
・エタノールの質量%=95.3×0.79422/0.81523
=92.84
・無水エタノールの含有量(質量%)=95.3体積%エタノール含有量(質量%)×92.84/100
【0042】
作製した実施例1〜33、及び比較例1〜16の制汗剤組成物について、以下のようにして、「制汗効果」、「使用時の肌のべたつきのなさ」、「肌への白残りのなさ」、及び「再分散性」を評価した。結果を表1〜表6に示した。
【0043】
<制汗効果>
20代〜40代の専門パネラー10名が、腋窩2cm×2cmの範囲に、各制汗剤組成物を0.5g塗布し、乾燥させた。この状態で高温条件(38℃、40%RH環境下)下、1時間安静にした後、下記評価基準に基づいて「制汗効果」を評価した。
【0044】
−評価基準−
◎ :専門パネラー10名中8名以上が「制汗効果がある」と回答
○ :専門パネラー10名中6名以上7名以下が「制汗効果がある」と回答
△ :専門パネラー10名中3名以上5名以下が「制汗効果がある」と回答
× :専門パネラー10名中2名以下が「制汗効果がある」と回答
【0045】
<使用時の肌のべたつきのなさ>
20代〜40代の専門パネラー10名が、腋窩2cm×2cmの範囲に、各制汗剤組成物を0.2g塗布し、塗布直後から各制汗剤組成物が乾燥するまでの間において、下記評価基準に基づいて「使用時の肌のべたつきのなさ」を評価した。
【0046】
−評価基準−
◎ :専門パネラー10名中8名以上が肌のべたつきがないと回答
○ :専門パネラー10名中5名以上7名以下が肌のべたつきがないと回答
△ :専門パネラー10名中3名以上4名以下が肌のべたつきがないと回答
× :専門パネラー10名中2名以下が肌のべたつきがないと回答
【0047】
<肌への白残りのなさ>
20代〜40代の専門パネラー10名が、前腕内側部に、各制汗剤組成物を0.2g塗布し、乾燥後、下記評価基準に基づいて「肌への白残りのなさ」を評価した。
【0048】
−評価基準−
◎ :専門パネラー10名中8名以上が肌への白残りがないと回答
○ :専門パネラー10名中6名以上7名以下が肌への白残りがないと回答
△ :専門パネラー10名中3名以上5名以下が肌への白残りがないと回答
× :専門パネラー10名中2名以下が肌への白残りがないと回答
【0049】
<再分散性>
100mL容器(丸底沈澱管、硝子、東京硝子器械株式会社製)10本に各制汗剤組成物を50mLずつ入れ、3,000rpmで10分間遠心分離して制汗剤組成物中の粉体成分を沈降させた後、室温(20℃)で1ヶ月間静置した。これを測定試料とし、専門パネラー1名が前記容器ごと15cmの振り幅で1秒間に1回の条件で振盪を繰返し、前記容器底面の粉体成分が完全に分散するまでの回数(以下、「分散回数」と称することがある。)を測定した。粉体成分が完全に分散したことは、専門パネラー1名が目視にて判断した。10本の分散回数の平均値を算出し、下記評価基準に基づいて「再分散性」を評価した。
【0050】
−評価基準−
◎ :分散回数の平均値が5回未満
○ :分散回数の平均値が5回以上10回未満
△ :分散回数の平均値が10回以上20回未満
× :分散回数の平均値が20回以上
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
*表5中比較例4の「再分散性」の評価結果「−」は、(B)成分のシリコーン樹脂粉体を含まないため、再分散性の評価ができなかったことを意味する。
【0056】
【表6】
【0057】
なお、前記実施例、及び前記比較例で使用した各種成分の詳細について、下記表7に示す。
【表7】
*1:( )内の数字はエチレンオキシドの平均付加モル数を示す。