【実施例1】
【0022】
本発明の移動式アスファルト材溶解釜1は、
図1乃至
図3に示すように、外釜2と内釜3、該外釜2と内釜3との間の加熱空間部4、該内釜3の下方側の加熱手段5及び移動手段とより構成している。該内釜3は、底部6、側壁部7によって囲まれたアスファルト材収納部8を設け、前面側壁部7a側に溶解アスファルト材を流出させる溶解アスファルト材流出筒体を設けている。該溶解アスファルト材流出筒体は、該アスファルト材収納部8の該前面側壁部7aの内壁側に沿って該前面側壁部7aから小間隔を設けて立設した立ち上げ筒体9、
溶解アスファルト材の流入口として該立ち上げ筒体9の周側壁部に設けた多数の溶解アスファルト材流入孔16、該立ち上げ筒体9の下部に連結して該前面側壁部7a側へ湾曲させた曲り筒体10、該曲り筒体10より外部へ延出させた突出筒管11、該突出筒管11の外方先端側に設けたコック12、該コック12から下方へ折曲させた排出用曲り筒管13とより形成している。該外釜2の外側壁部には、燃焼ガス排出調整板14を設け、該加熱空間部4を形成する底部側には、アスファルト材溶解釜1の移動手段となる車輪15を設けている。
【0023】
上記加熱手段5は、バーナー等を加熱手段とし、その熱を外釜2と内釜3との加熱空間部4に伝え、内釜3となるアスファルト材収納部8内に投入された固化アスファルト材を加熱することになる。
【0024】
本発明で使用するアスファルト材は、固化され、所定の大きさに形成されたもの或いはそれを適宜大きさに切断、破砕したもので、その固化アスファルト材をアスファルト材収納部8に投入することになる。
【0025】
上記のように固化されているので、運搬や投入が簡単にできるもので、本発明はアスファルト成分や他の材料との混合割合、製造方法等について限定されたものが対象ではないが、小量施工対応可能な箇所への使用を目的の一つとしているので、下記する工程で製造したアスファルト材が好適である。
【0026】
固化したアスファルト材の製造方法の一例として下記の材料がある。
1.常温の潤滑油廃液と針入度10〜40で温度約180℃前後の溶融ブロンアスファルトとを該潤滑油廃液が該ブロンアスファルトの10〜25重量%の割合となるように加熱式撹拌混合タンク内にて混合し、温度を160〜190℃に保ちながら約1〜2時間、加熱撹拌混合する。
2.上記混合物にスチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーを上記潤滑油廃液とブロンアスファルトとの混合中の約1〜2時間の間に少量ずつ添加する。上記スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーの混合割合は該ブロンアスファルトの5〜10重量%の割合とする。
3.上記スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーを添加後の混合物を約1時間前後、加熱撹拌融解混合する。
4.その後、温度を160〜190℃に保ちながら消石灰を少量ずつ添加し、約3時間前後、加熱撹拌混練する。上記消石灰の混合割合は該潤滑油廃液とブロンアスファルトの重量に対し20〜40重量%の割合とする。
5.加熱撹拌後、上記混合物を剥離材を施した容器内に一定量流し込み、自然冷却する。
6.冷却後、容器内より取り出し、必要に応じて細かく切断或いは破砕する。
上記工程により固化したアスファルト材を製造する。
【0027】
上記溶解アスファルト材流出筒体となる立ち上げ筒体9は、その周側壁に多数の立ち上げ筒体溶解アスファルト材流入孔16を形成し、アスファルト材収納部8において溶解された溶解アスファルト材の外部への流出のための入口となる。該立ち上げ筒体9の周側壁にはその立ち上げ方向に対して4列にわたって立ち上げ筒体溶解アスファルト材流入孔16を設け、各列における孔間隔寸法を20乃至30mmで曲り筒管の位置から上部まで設けている。該孔径は10乃至15mmとしている。
【0028】
溶解アスファルト材は、アスファルト材収納部8の上方側に浮き上がることになるので、溶解アスファルト材を上方側の該立ち上げ筒体溶解アスファルト材流入孔16より立ち上げ筒体9内に流入させることが可能となる。
【0029】
上記立ち上げ筒体溶解アスファルト材流入孔16から流入した溶解アスファルト材は、曲り筒管10、突出筒管11、その先端のコック12及び排出用曲り筒管13を経由して外部に流出させることができる。
【0030】
該突出筒管11の外方先端に設けたコック12により溶解アスファルト材の外部への流出量を調整することができる。
【0031】
図3に示すように、突出筒管11が延出する箇所の外釜2の外側壁部における孔径は、該突出筒管11の管径より約20mm程大きな外釜貫通孔17を形成し、加熱した燃焼ガスの一部を必要に応じて加熱空間部4より放熱できるように構成している。これにより該突出筒管11を直接加熱し、該管体及びコック周りの流出アスファルト材を常に溶かし続けることができ、管内にアスファルト材を詰まらせることなく継続流出させることができる。
【0032】
内釜3には、その前面側壁部7aに貫通孔を形成し、鉄ソケットを該前面側壁部7aに溶接固定し、ニップル、90°角エルボとなる曲り筒管10をねじ込むことになる。該曲り筒管10には、対向する立ち上がり側壁部となる左右の位置に曲り筒管側部溶解アスファルト材流入孔18を形成し、真下の位置に曲り筒管下部溶解アスファルト材流入孔19を形成し、流動性の良好な溶解アスファルト材の流出口とする。
【0033】
また、上記コック12により溶解アスファルト材の流出量を調整することができるが、該コック12は、開閉体20を
図4(a)に示すように、全開した状態で開口部21が露出し、溶解アスファルト材を流出させることができる。流出させた溶解アスファルト材は、適宜容器内に収め、必要に応じて骨材等を投入して使用することになる。
【0034】
図4(b)は、コック12の開閉体20を閉鎖した状態を示し、閉鎖時の開閉体20にはその露出側に小孔22が出現するように形成している。開閉体20により全面が閉鎖されると、コック12内に留まった流出されなかった溶解アスファルト材がそのまま固化するおそれがある。そこで、該小孔22を設けることにより該小孔22より残留溶解アスファルト材を外部へ流出させることが可能となり、残留アスファルト材を除去することができる。これにより次の使用時にコックを全開した場合、溶解アスファルト材の流出通路に障害が生じることなくスムーズに排出することが可能となる。
【0035】
加熱空間部4を形成する外釜2の外側壁部外面に設けた燃焼ガス排出調整板14a、14bは、
図5(a)に示すように、燃焼時においては外釜貫通孔17を閉鎖する位置に設け、該加熱空間部4の熱を放熱させるときには、
図5(b)に示すように、該燃焼ガス排出調整板14a、14bを横方向へスライド或いは上方へ移動させることにより該外釜貫通孔17を開放させることができ、該加熱空間部4内の温度を調整することができる。
【0036】
アスファルト材は、電動式或いは手動式の撹拌装置(不図示)を内釜3内に設け或いは持ち込み、手動や電動により撹拌させることにより溶解効果を増すことができる。
【0037】
アスファルト材溶解釜1の底部側には、
図1に示すように、回動自在に固定した車軸23を設け、該車軸23の両端に車輪15を設けることにより適宜位置に自由に移動させることができると同時に、その車輪15のいずれかにストッパ24を設けることにより該アスファルト材溶解釜1の所定場所への移動後において、当該場所に該アスファルト材溶解釜1を固定することができ、安全な施工作業を可能としている。
【0038】
該ストッパ24は、車輪15の外周に当接することのできる接面体25と該接面体25の移動を螺合手段により調整可能とするボルト26及びナット27により形成され、該ナット27の回動により該接面体25の車輪15への接触及び離隔を可能とする。