(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記セル群領域において、前記基材の径方向に隣接する2つの前記セル群のうち、内側の前記セル群における前記セル同士の平均間隔をD1、外側の前記セル群における前記セル同士の平均間隔をD2とした場合に、D2/D1が1.5以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の分離膜支持体。
前記セル群領域において、前記基材の径方向の外側の前記セル群における前記セルの平均断面積は、前記基材の径方向の内側の前記セル群における前記セルの平均断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離膜支持体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の分離膜構造体は、軸方向に直交する断面において、断面積が同じセルが例えば径方向に(中心部から外周部に向かって)等間隔に並んで配置されている。ここで、分離膜構造体において、分離膜を通過した分離処理後の流体は、基材の内部を通過し、基材の外周面から外部に取り出される。
【0005】
そのため、基材の中心部のセルに設けた分離膜を通過した流体は、基材の外周部のセルに設けた分離膜を通過した流体に比べて、基材の内部を通過して基材の外周面に到達するまでの距離が長くなる。また、基材の中心部のセルに設けた分離膜を通過した流体が、基材の内部において、基材の外周部のセルに設けた分離膜を通過した流体と干渉することにより、基材の中心部のセルに設けた分離膜を通過する被処理流体の量が低下する。
【0006】
これにより、基材の中心部のセルと外周部のセルとで分離膜による分離処理効率に差が生じる。さらに、基材の外周部のセルが中心部のセルよりも分離処理効率が高い(すなわち分離頻度が高い)ことにより、基材の外周部のセルにおいて、分離膜表面に固形物が付着することによる膜閉塞(ファウリング)が発生し、分離膜構造体として安定した分離処理を長時間行うことができないといった問題が生じる。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、基材における内側のセルと外側のセルとの分離膜による分離処理効率の差を小さくでき、分離処理性能を向上させることができる分離膜支持体、分離膜構造体及び分離膜構造体モジュールを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様である分離膜支持体は、被処理流体を分離するための分離膜を支持する分離膜支持体であって、多孔質である柱状の基材と、該基材を軸方向に貫通して形成された複数のセルと、を備え、前記基材の軸方向に直交する断面において、前記基材の重心を基点として同心状に前記基材の外形と相似形である複数の仮想線を描いた場合、該各仮想線上に複数の前記セルが並んで配置され、同一の前記仮想線上に配置された複数の前記セルを1つのセル群とした場合、前記断面には、複数の前記セル群が設けられ、かつ、該複数のセル群のうち、前記基材の径方向に隣接して配置された2つ以上の前記セル群からなるセル群領域が設けられ、前記セル群領域において、前記基材の径方向の外側の前記セル群における前記セル同士の平均間隔は、前記基材の径方向の内側の前記セル群における前記セル同士の平均間隔よりも広い。
【0009】
前記分離膜支持体において、基材の軸方向に直交する断面には、複数のセル群が設けられ、かつ、複数のセル群のうち、基材の径方向に隣接して配置された2つ以上のセル群からなるセル群領域が設けられている。そして、セル群領域において、基材の径方向の外側のセル群におけるセル同士の平均間隔は、基材の径方向の内側のセル群におけるセル同士の平均間隔よりも広くなっている。
【0010】
そのため、例えば、セルの内壁面に分離膜が設けられ、分離膜を通過した分離処理後の流体が多孔質である基材の内部を通過して基材の外周面から外部に流出する構成の場合、基材の内側のセル群におけるセルの分離膜を通過した分離処理後の流体が、基材の外側のセル群におけるセルの分離膜を通過した分離処理後の流体と干渉することを抑制でき、基材の内側のセル群におけるセルの分離膜による分離処理効率(以下、適宜、単に分離処理効率という)を高めることができる。そして、基材の内側のセル(内側のセル群のセル)と基材の外側のセル(外側のセル群のセル)との分離処理効率の差(ばらつき)を小さくできる。すなわち、基材の内側のセルと基材の外側のセルとの分離処理効率を均一化できる。
【0011】
これは、基材の径方向の内側に配置されたセル群における隣接するセルとセルとの平均間隔よりも、基材の径方向の外側に配置されたセル群における隣接するセルとセルとの平均間隔のほうが広いことにより、基材の内側のセル群におけるセルから基材内部に侵入した分離処理後の流体の流れを基材の外側のセル群におけるセルから基材内部に侵入した分離処理後の流体が阻害しにくい構成となるからである。
【0012】
これにより、従来のような、特定箇所のセル(セル群)において、分離膜表面に固形物が付着することによる膜閉塞(ファウリング)が発生することを抑制できる。そして、効率の良い、安定した分離処理を長期間維持して行うことができ、分離処理性能を向上させることができる。
【0013】
前述のとおり、前記分離膜構造体の前記セル群領域において、前記基材の径方向の外側の前記セル群における前記セル同士の平均間隔は、前記基材の径方向の内側の前記セル群における前記セル同士の平均間隔よりも広くなっている。すなわち、例えば、セル群領域内の複数のセル群のうち、任意に選択した2つのセル群を比較した場合、内側のセル群におけるセル同士の平均間隔が外側のセル群におけるセル同士の平均間隔よりも広くなっている。
【0014】
また、前記基材の前記断面には、前記基材の径方向の最も内側の前記セル群を含む前記セル群領域が設けられていてもよい。この場合には、基材における内側のセルと外側のセルとの分離処理効率の差(ばらつき)を小さくするという効果を十分に発揮することができる。
【0015】
また、前記セル群領域において、前記基材の径方向に隣接する2つの前記セル群のうち、内側の前記セル群における前記セル同士の平均間隔をD1、外側の前記セル群における前記セル同士の平均間隔をD2とした場合に、D2/D1が1.5以上であってもよい。この場合には、基材における内側のセルと外側のセルとの分離処理効率の差(ばらつき)をより小さくできる。
【0016】
また、前記セル群領域において、前記基材の径方向の外側の前記セル群における前記セルの平均断面積は、前記基材の径方向の内側の前記セル群における前記セルの平均断面積よりも小さくてもよい。この場合には、基材における内側のセルと外側のセルとの分離処理効率の差(ばらつき)をより小さくできる。
【0017】
また、前記セル群領域において、同一の前記セル群における前記セル同士の各間隔は、略均等であってもよい。この場合には、同一のセル群におけるセル同士の分離処理効率の差(ばらつき)を小さくできる。なお、セル同士の各間隔が略均等とは、セル同士の各間隔が均等又は均等に近いことを意味し、例えば製造上の誤差等を許容する。
【0018】
また、前記セル群領域において、同一の前記セル群における前記各セルの断面積は、略同一であってもよい。この場合には、同一のセル群におけるセル同士の分離処理効率の差(ばらつき)を小さくできる。なお、各セルの断面積が略同一とは、各セルの断面積が同一又は同一に近いことを意味し、例えば製造上の誤差等を許容する。
【0019】
本発明の他の態様である分離膜構造体は、前記分離膜支持体と、該分離膜支持体の前記セルの内壁面に設けられた分離膜と、を備えている。
前記分離膜構造体は、前述した分離膜支持体を備えている。そのため、基材における内側のセル(内側のセル群のセル)と外側のセル(外側のセル群のセル)との分離処理効率の差(ばらつき)を小さくできる。これにより、効率の良い、安定した分離処理を長期間維持して行うことができ、分離処理性能を向上させることができる。
【0020】
本発明のさらに他の態様である分離膜構造体モジュールは、前記分離膜構造体と、該分離膜構造体を内部に収容する筐体と、を備えている。
前記分離膜構造体モジュールは、前述した分離膜支持体を有する分離膜構造体を備えている。そのため、基材における内側のセル(内側のセル群のセル)と外側のセル(外側のセル群のセル)との分離処理効率の差(ばらつき)を小さくできる。これにより、効率の良い、安定した分離処理を長期間維持して行うことができ、分離処理性能を向上させることができる。
【0021】
このように、本発明によれば、基材における内側のセルと外側のセルとの分離膜による分離処理効率の差を小さくでき、分離処理性能を向上させることができる分離膜支持体、分離膜構造体及び分離膜構造体モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態の分離膜構造体モジュール1は、分離膜構造体11と、分離膜構造体11を内部に収容する筐体12とを備えている。
【0024】
図1、
図2に示すように、分離膜構造体モジュール1における分離膜構造体11は、分離膜支持体21と、分離膜22と、第1シール層23と、第2シール層24とを備えている。分離膜支持体21は、基材31と、複数のセル32とを備えている。
【0025】
基材31は、直径30mm、全長約1000mmの円柱状に形成されたアルミナ製の多孔質体である。基材31は、円形状の第1端面311と、円形状の第2端面312と、外周面313とを有している。基材31には、複数のセル32が設けられている。各セル32は、基材31の軸方向の両端面(第1端面311、第2端面312)を貫通(連通)するように、基材31の軸方向に沿って設けられている。各セル32は、被処理流体を流通させる流路を形成している。セル32の配置については後述する。
【0026】
分離膜22は、基材31よりも平均孔径が小さい微細孔を多数有するアルミナ製の多孔質膜である。分離膜22は、基材31のセル32の内壁面321に設けられている。分離膜22は、基材31のセル32内を流通する被処理流体を分離処理(ろ過)するための膜である。基材31のセル32の内壁面321と分離膜22との間には、分離膜22の下地となる中間膜(図示略)が設けられている。
【0027】
第1シール層23は、基材31の第1端面311と、分離膜22の第1端面311近傍と、基材31の外周面313の第1端面311近傍とを被覆している。第1シール層23は、基材31の第1端面311から連続して、分離膜22の表面、基材31の外周面313に形成されている。
【0028】
第2シール層24は、基材31の第2端面312と、分離膜22の第2端面312近傍と、基材31の外周面313の第2端面312近傍とを被覆している。第2シール層24は、基材31の第2端面312から連続して、分離膜22の表面、基材31の外周面313に形成されている。
【0029】
第1シール層23及び第2シール層24を構成する材料は、被処理流体が分離膜22を通過せずに多孔質体である分離膜支持体21内を通って漏洩することを防止できれば、特に限定されない。第1シール層23及び第2シール層24は、基材31及び分離膜22の細孔内に流入しており、基材31及び分離膜22との密着性を高めている。
【0030】
図1に示すように、分離膜構造体モジュール1における筐体12は、内部に分離膜構造体11を収容する空間を有する中空の金属製容器である。筐体12は、被処理流体を導入する導入口131と、被処理液体が分離膜構造体11によって濃縮された濃縮液を排出する排出口132と、被処理流体が分離膜構造体11によってろ過されたろ過液を回収する第1回収口133及び第2回収口134とを有している。
【0031】
分離膜構造体11における基材31の外周面313に設けられた第1シール層23上には、Oリング141が取り付けられている。このOリング141を介して環状の金属製の遮断部材142が分離膜構造体11の第1端面311側に嵌設されている。分離膜構造体11における基材31の外周面313に設けられた第2シール層24上には、Oリング151が取り付けられている。このOリング151を介して環状の金属製の遮断部材152が分離膜構造体11の第2端面312側に嵌設されている。分離膜構造体11は、筐体12の内壁面と金属製の遮断部材142、152との間にOリング143、153を介して、筐体12内に収容されている。
【0032】
分離膜構造体11を内部に収容した筐体12内には、基材31の第1端面311と筐体12の内壁面とで囲まれた第1空間161と、基材31の第2端面312と筐体12の内壁面とで囲まれた第2空間162と、基材31の外周面313と筐体12の内壁面とで囲まれた第3空間163とが形成されている。第1空間161、第2空間162及び第3空間163は、それぞれ密閉性が保たれている。
【0033】
筐体12の導入口131から筐体12の第1空間161に導入された被処理流体は、分離膜22構造体11のセル32内を流通しつつ、分離膜22を通過可能な成分だけが分離膜22を通過する。分離膜22を通過したろ過液は、基材31の内部を通過し、基材31の外周面313から筐体12の第3空間163に流出した後、第1回収口133及び第2回収口134から回収される。また、分離膜構造体11を通過して濃縮された濃縮液は、筐体12の第2空間162に流出した後、排出口132から排出される。
【0034】
次に、
図3(A)、(B)を用いて、分離膜構造体11(分離膜支持体21)の基材31におけるセル32の配置について説明する。なお、
図3(A)、(B)では、セル32の内壁面321に形成されている分離膜22の図示を省略している(後述する
図4(A)、(B)〜
図7(A)、(B)も同様である)。
【0035】
図3(A)、(B)に示すように、基材31の軸方向に直交する断面314において、基材31の重心(中心40)を基点として同心状に基材31の外形と相似形である複数の仮想線41を描いた場合、各仮想線41上に複数のセル32が並んで配置されている。なお、「重心」とは、「平面図形における重心」をいう。すなわち、基材31の重心とは、基材31の断面図形における重心をいう。本実施形態では、基材31の断面314が円形状であり、基材31の重心が基材31の中心40と同じ位置である。
【0036】
本実施形態において、基材31の断面314には、径方向の内側から外側に向かって、第1仮想線41a、第2仮想線41b、第3仮想線41cの3つの仮想線41が描かれている。3つの仮想線41は、基材31の中心40を基点として、同心状に描かれている。すなわち、3つの仮想線41は、基材31の中心40からの距離がそれぞれ異なる。基材31の中心40からの距離は、第1仮想線41aが4.7mm、第2仮想線41bが9.0mm、第3仮想線41cが13.0mmである。なお、基材31の中心40から各仮想線41までの距離は、任意で設定することができる。各仮想線41の形状は、基材31の外形と相似形であり、円形状である。
【0037】
基材31の断面314において、各仮想線41上には、断面が円形状の複数のセル32が配置されている。第1仮想線41a上には、6個のセル32(直径3.6mm)が配置されている。第2仮想線41b上には、9個のセル32(直径3.2mm)が配置されている。第3仮想線41c上には、24個のセル32(直径2.4mm)が配置されている。各セル32の中心は、ほぼ仮想線41上に位置している。また、基材31の断面314において、基材31の中心40には、1個のセル32(直径4.5mm)が配置されている。このセル32の中心は、基材31の中心40に位置している。
【0038】
同図に示すように、同一の仮想線41上に配置された複数のセル32を1つのセル群51とした場合、基材31の断面314には、複数のセル群51が設けられている。本実施形態において、基材31の断面314には、径方向の内側から外側に向かって、第1セル群51a、第2セル群52b、第3セル群51cの3つのセル群51が設けられている。第1セル群51aは、第1仮想線41a上に配置された6個のセル32からなる。第2セル群52bは、第2仮想線41b上に配置された9個のセル32からなる。第3セル群51cは、第3仮想線41c上に配置された24個のセル32からなる。
【0039】
また、基材31の断面314には、複数のセル群51のうち、基材31の径方向に隣接して配置された2つ以上のセル群51からなるセル群領域61(
図3(B)の内側の点線Aと外側の点線Bとの間の領域)が設けられている。本実施形態において、基材31の断面314には、3つのセル群51のうち、径方向に隣接して配置された第1セル群51a及び第2セル群51bを含むセル群領域61が設けられている。セル群領域61は、基材31の径方向の最も内側のセル群51である第1セル群51aを含んでいる。
【0040】
なお、基材31の中心40に配置されたセル32は、セル群領域61外(セル群領域61の内側)に存在し、セル群領域61に含まれない。基材31の径方向の最も外側の第3セル群51c(第3セル群51cを構成するセル32)も、セル群領域61外(セル群領域61の外側)に存在し、セル群領域61に含まれない。
【0041】
同図に示すように、セル群領域61において、同一のセル群51におけるセル32同士の各間隔は、略均等である。すなわち、第1セル群51aにおけるセル32同士の各間隔は、略均等である。第2セル群51bにおけるセル32同士の各間隔は、略均等である。
【0042】
また、セル群領域61において、基材31の径方向の外側のセル群51におけるセル32同士の平均間隔は、基材31の径方向の内側のセル群51におけるセル32同士の平均間隔よりも広くなっている。本実施形態において、セル群領域61の外側の第2セル群51bにおけるセル32同士の平均間隔は、内側の第1セル群51aにおけるセル32同士の平均間隔よりも広い。さらに、外側の第2セル群51bにおけるセル32同士の各間隔は、内側の第1セル群51aにおけるセル32同士の各間隔よりも広い。
【0043】
ここで、同一のセル群51におけるセル32同士の間隔とは、同一のセル群51において、隣接する2つのセル32のうち、一方のセル32の外縁と仮想線41とが交差する点(
図3(A)のP1)と他方のセル32の外縁と仮想線41とが交差する点(
図3(A)のP2)とを結んだ直線の距離(
図3(A)のP1とP2との間の距離)をいう。同一のセル群51におけるセル32同士の平均間隔とは、同一のセル群51において、各セル32同士の間隔の平均をいう。
【0044】
また、セル群領域61において、基材31の径方向に隣接する2つのセル群51のうち、内側のセル群51におけるセル32同士の平均間隔をD1、外側のセル群51におけるセル32同士の平均間隔をD2とした場合に、D2/D1が1.5以上である。本実施形態において、基材31の径方向に隣接する第1セル群51a及び第2セル群52bのうち、内側の第1セル群51aにおけるセル32同士の平均間隔D1が1.31mmであり、外側の第2セル群51bにおけるセル32同士の平均間隔D2が3.04mmである。D2/D1は、2.31であり、1.5以上である。
【0045】
同図に示すように、セル群領域61において、同一のセル群51における各セル32の断面積は、略同一である。すなわち、第1セル群51aにおける各セル32の断面積は、略同一である。第2セル群51bにおける各セル32の断面積は、略同一である。
【0046】
また、セル群領域61において、基材31の径方向の外側のセル群51におけるセル32の平均断面積は、基材31の径方向の内側のセル群51におけるセル32の平均断面積よりも小さくなっている。本実施形態において、セル群領域61の外側の第2セル群51bにおけるセル32の平均断面積は、内側の第1セル群51aにおけるセル32の平均断面積よりも小さい。さらに、外側の第2セル群51bにおける各セル32の断面積は、内側の第1セル群51aにおける各セル32の断面積よりも小さい。ここで、同一のセル群51におけるセル32の平均断面積とは、同一のセル群51において、各セル32の断面積の平均をいう。
【0047】
同図に示すように、第3セル群51cにおけるセル32同士の各間隔は、略均等である。第3セル群51cにおけるセル32同士の平均間隔は、第3セル群51cの内側にある第2セル群51bにおけるセル32同士の平均間隔よりも狭い。第3セル群51cにおけるセル32同士の各間隔は、第3セル群51cの内側にある第2セル群51bにおけるセル32同士の各間隔よりも狭い。
【0048】
また、第3セル群51cにおける各セル32の断面積は、略同一である。第3セル群51cにおけるセル32の平均断面積は、第3セル群51cの内側にある第2セル群51bにおけるセル32の平均断面積よりも小さい。第3セル群51cにおける各セル32の断面積は、第3セル群51cの内側にある第2セル群51bにおける各セル32の断面積よりも小さい。
【0049】
なお、本実施形態において、最外に位置するセル群51である第3セル群51cは、前述のとおり、セル群領域61に含まれない。最外に位置するセル群51は、分離膜構造体11における基材31の外周面313に最も近く、被処理流体の分離処理量に大きく関与する。そのため、最外に位置するセル群51をセル群領域61に含み、前述したセル群領域61内の規則にしたがって、最外に位置するセル群51のセル32の径を小さくしたり、配置セル数を減らしたりすると、分離処理能力が大幅に低下する要因となり得る。よって、最外に位置するセル群51(本実施形態では第3セル群51c)は、セル群領域61に含まない。
【0050】
次に、分離膜構造体11の製造方法について説明する。
<分離膜支持体作製工程>
この工程では、分離膜支持体21を作製した。具体的には、アルミナ100重量部、メチルセル32ロース10重量部、水25重量部、潤滑剤5重量部をミキサーで混合・混練し、押出成形用坏土を得た。そして、押出成形機を用いて、外径30mm、所定のセル32配置を有する分離膜支持体21の前駆体を成形した。その後、80℃の温風乾燥機中で12時間乾燥を行い、焼成前の成形体を得た。
【0051】
次いで、焼成前の成形体を大気雰囲気下で焼成し、分離膜支持体21を得た。そして、焼成後の分離膜支持体21の両端部を切除・研磨し、全長1000mmとなるように分離膜支持体21の寸法を整えた。これにより、基材31と複数のセル32とを備えた分離膜支持体21を得た。
【0052】
<中間膜成膜工程>
この工程では、分離膜支持体21のセル32の内壁面321に、分離能を有する分離膜22の下地となる中間膜を成膜した。具体的には、アルミナ粉末100重量部、分散剤1.5重量部、水200重量部を混合用ポットに投入し、回転架台上で24時間粉砕混合を行った。そして、有機バインダー30重量部を投入し、さらに6時間混合し、アルミナスラリーを得た。
【0053】
次いで、アルミナスラリー中に分離膜支持体21を浸漬し、各セル32内にアルミナスラリーを接触させて成膜を行った。このとき、分離膜支持体21の側面にマスキングを施した。その後、アルミナスラリー中から分離膜支持体21を引き上げ、80℃の温風乾燥機中で12時間乾燥した。乾燥後の分離膜支持体21を大気雰囲気下で焼成し、中間膜の焼き付けを行った。これにより、分離膜支持体21のセル32の内壁面321に、中間膜を成膜した。
【0054】
<分離膜成膜工程>
この工程では、中間膜上に、分離能を有する分離膜22を成膜した。具体的には、アルミナ粉末100重量部、分散剤2.5重量部、水200重量部を混合用ポットに投入し、回転架台上で24時間粉砕混合を行った。そして、有機バインダー30重量部を投入し、さらに6時間混合し、アルミナスラリーを得た。
【0055】
次いで、アルミナスラリー中に中間膜を形成した分離膜支持体21を浸漬し、各セル32内にアルミナスラリーを接触させて成膜を行った。このとき、分離膜支持体21の側面にマスキングを施した。その後、アルミナスラリー中から分離膜支持体21を引き上げ、80℃の温風乾燥機中で12時間乾燥した。乾燥後の分離膜支持体21を大気雰囲気下で焼成し、分離膜22の焼き付けを行った。これにより、中間膜上に、分離膜22を成膜した。
【0056】
<端面シール工程>
この工程では、分離膜支持体21の基材31の両端面(第1端面311、第2端面312)及びその近傍に、第1シール層23及び第2シール層24を形成した。具体的には、分離膜22を形成した分離膜支持体21の両端部15mmを除いた外周部をマスキングし、分離膜支持体21の両端部15mmの範囲をガラス釉薬スラリー中に浸漬し、分離膜支持体21(基材31)の両端面及びその近傍をコーティングした。そして、80℃温風乾燥機内で1時間乾燥した。その後、大気雰囲気下で釉薬部の焼き付けを行った。これにより、分離膜支持体21の基材31の両端面及びその近傍に、第1シール層23及び第2シール層24を形成した。
【0057】
以上により、前述の
図1〜
図3(A)、(B)に示すような、分離膜支持体21(基材31、セル32)と、中間膜と、分離膜22と、第1シール層23と、第2シール層24とを備えた分離膜構造体11を得た。
【0058】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の分離膜構造体11(分離膜支持体21)において、基材31の軸方向に直交する断面314には、複数のセル群51(第1セル群51a〜第3セル群51c)が設けられ、かつ、複数のセル群51のうち、基材31の径方向に隣接して配置された2つ以上のセル群51(第1セル群51a、第2セル群51b)からなるセル群領域61が設けられている。そして、セル群領域61において、基材31の径方向の外側のセル群51(第2セル群51b)におけるセル32同士の平均間隔は、基材31の径方向の内側のセル群51(第1セル群51a)におけるセル32同士の平均間隔よりも広くなっている。
【0059】
そのため、本実施形態のように、セル32の内壁面321に分離膜22が設けられ、分離膜22を通過した分離処理後の流体(ろ過液)が多孔質である基材31の内部を通過して基材31の外周面313から外部に流出する構成の場合、基材31の内側のセル群51(第1セル群51a)におけるセル32の分離膜22を通過したろ過液が、基材31の外側のセル群51(第2セル群51b)におけるセル32の分離膜22を通過したろ過液と干渉することを抑制でき、基材31の内側のセル群51におけるセル32の分離膜22による分離処理効率を高めることができる。
【0060】
そして、基材31の内側のセル32(第1セル群51aのセル32)と基材の外側のセル32(第2セル群51bのセル32)との分離処理効率の差(ばらつき)を小さくできる。すなわち、基材31の内側のセル32(第1セル群51aのセル32)と基材31の外側のセル32(第2セル群51bのセル32)との分離処理効率を均一化できる。
【0061】
これにより、従来のような、特定箇所のセル32(セル群51)において、分離膜22表面に固形物が付着することによる膜閉塞(ファウリング)が発生することを抑制できる。そして、効率の良い、安定した分離処理(ろ過)を長期間維持して行うことができ、分離処理性能(ろ過性能)を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態の分離膜構造体11(分離膜支持体21)において、基材31の断面314には、基材31の径方向の最も内側のセル群51(第1セル群51a)を含むセル群領域61が設けられている。そのため、基材31における内側のセル32(第1セル群51aのセル32)と外側のセル32(第2セル群51のセル32)との分離処理効率の差(ばらつき)を小さくするという効果を十分に発揮することができる。
【0063】
また、セル群領域61において、基材31の径方向に隣接する2つのセル群51(第1セル群51a、第2セル群51b)のうち、内側のセル群(第1セル群51a)におけるセル32同士の平均間隔をD1、外側のセル群51(第2セル群51b)におけるセル32同士の平均間隔をD2とした場合に、D2/D1が1.5以上である。そのため、基材31における内側のセル32(第1セル群51aのセル32)と外側のセル32(第2セル群51bのセル32)との分離処理効率の差(ばらつき)をより小さくできる。
【0064】
また、セル群領域61において、基材31の径方向の外側のセル群51(第2セル群51b)におけるセル32の平均断面積は、基材31の径方向の内側のセル群51(第1セル群51a)におけるセル32の平均断面積よりも小さくなっている。そのため、基材31における内側のセル32(第1セル群51aのセル32)と外側のセル32(第2セル群51bのセル32)との分離処理効率の差(ばらつき)をより小さくできる。
【0065】
また、セル群領域61において、同一のセル群51におけるセル32同士の各間隔は、略均等である。そのため、同一のセル群51におけるセル32同士の分離処理効率の差(ばらつき)を小さくできる。
【0066】
また、セル群領域61において、同一のセル群51における各セル32の断面積は、略同一である。そのため、同一のセル群51におけるセル32同士の分離処理効率の差(ばらつき)を小さくできる。
【0067】
また、基材31の径方向の最も外側のセル群51、すなわち基材31の外周面313に最も近いセル群51(第3セル群51c)は、その内側のセル群51(第2セル群51b)よりもセル32同士の各間隔及びセル32同士の平均間隔が狭く、各セル32の断面積及びセル32の平均断面積が小さい。そのため、本実施形態のように、分離膜22を通過した分離処理後の流体(ろ過液)が基材31の内部を通過して基材31の外周面313から外部に流出する構成の場合、分離膜構造体11全体としての分離処理効率を高めることができる。
【0068】
また、基材31の径方向の最も外側のセル群51、すなわち基材31の外周面313に最も近いセル群51(第3セル群51c)におけるセル32同士の各間隔は、略均等であり、各セル32の断面積は、略同一である。そのため、分離膜構造体11全体としての分離処理効率をさらに高めることができる。
【0069】
また、本実施形態の分離膜構造体モジュール1は、前述した分離膜支持体21を有する分離膜構造体11を備えている。そのため、基材31における内側のセル32(第1セル群51aのセル32)と外側のセル32(第2セル群51bのセル32)との分離処理効率の差(ばらつき)を小さくできる。これにより、効率の良い、安定した分離処理を長期間維持して行うことができ、分離処理性能を向上させることができる。
【0070】
このように、本実施形態によれば、基材31における内側のセル32と外側のセル32との分離膜22による分離処理効率の差を小さくでき、分離処理性能を向上さセル32ことができる分離膜22支持体21、分離膜22構造体11及び分離膜22構造体11モジュール1を提供することができる。
【0071】
(実施形態2)
本実施形態は、
図4(A)、(B)に示すように、分離膜構造体11(分離膜支持体21)の基材31におけるセル32の配置を変更した例である。なお、実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0072】
同図に示すように、基材31の断面314において、基材31の中心40からの距離は、第1仮想線41aが4.8mm、第2仮想線41bが9.0mm、第3仮想線41cが12.7mmである。第1仮想線41a上には、5個のセル32(直径3.6mm)が配置されている。第2仮想線41b上には、10個のセル32(直径3.2mm)が配置されている。第3仮想線41c上には、20個のセル32(直径2.4mm)が配置されている。基材31の中心40には、1個のセル32(直径4.5mm)が配置されている。
【0073】
また、セル群領域61において、内側の第1セル群51aにおけるセル32同士の平均間隔D1が2.41mmであり、外側の第2セル群51bにおけるセル32同士の平均間隔D2が2.49mmである。D2/D1は、1.03である。したがって、実施形態1とは異なり、D2/D1が1.5未満である。
【0074】
(実施形態3)
本実施形態は、
図5(A)、(B)に示すように、分離膜構造体11(分離膜支持体21)の基材31におけるセル32の配置を変更した例である。なお、実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0075】
同図に示すように、基材31の断面314において、基材31の中心40からの距離は、第1仮想線41aが4.6mm、第2仮想線41bが9.2mm、第3仮想線41cが12.9mmである。第1仮想線41a上には、5個のセル32(直径4.5mm)が配置されている。第2仮想線41b上には、10個のセル32(直径3.6mm)が配置されている。第3仮想線41c上には、20個のセル32(直径2.6mm)が配置されている。また、実施形態1とは異なり、基材31の中心40には、セル32が配置されていない。また、セル群領域61は、
図5(B)の点線Bより内側の領域である。
【0076】
また、セル群領域61において、内側の第1セル群51aにおけるセル32同士の平均間隔D1が1.13mmであり、外側の第2セル群51bにおけるセル32同士の平均間隔D2が2.18mmである。D2/D1は、1.93であり、1.5以上である。
【0077】
(実施形態4)
本実施形態は、
図6(A)、(B)に示すように、分離膜構造体11(分離膜支持体21)の基材31の形状及びセル32の配置を変更した例である。なお、実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0078】
同図に示すように、基材31は、六角柱状に形成されている。基材31の断面314において、各仮想線41の形状は、基材31の外形と相似形であり、六角形状である。第1仮想線上には、6個のセル32(直径3.6mm)が配置されている。第2仮想線上には、12個のセル32(直径3.2mm)が配置されている。第3仮想線上には、24個のセル32(直径2.4mm)が配置されている。基材31の重心400には、1個のセル32(直径4.5mm)が配置されている。
【0079】
また、セル群領域61において、外側の第2セル群51bにおけるセル32同士の平均間隔D2は、内側の第1セル群51aにおけるセル32同士の平均間隔D1よりも広い。D2/D1は、1.5以上である。
【0080】
(実験例)
本実験例では、複数の分離膜構造体を準備した。そして、各分離膜構造体に対して、モデル液ろ過テストを行い、各分離膜構造体の分離処理性能(ろ過性能)を比較した。
【0081】
分離膜構造体としては、本発明の実施例である実施形態1の分離膜構造体11(
図1〜
図3(A)、(B))、実施形態2の分離膜構造体11(
図4(A)、(B))、実施形態3の分離膜構造体11(
図5(A)、(B))を準備した。また、比較例の分離膜構造体911(後述する
図7)も準備した。以下、
図7を用いて、比較例の分離膜構造体911について説明する。なお、実施形態1〜3の分離膜構造体11(
図1〜
図5(A)、(B))と同様の構成については説明を省略する。
【0082】
図7に示すように、基材31の断面314において、基材31の中心40からの距離は、第1仮想線41aが4.1mm、第2仮想線41bが8.2mm、第3仮想線41cが12.3mmである。3つの仮想線41は、基材31の径方向において等間隔である。
【0083】
基材31の断面314において、第1仮想線41a上には、6個のセル32が配置されている。第2仮想線41b上には、12個のセル32が配置されている。第3仮想線41c上には、18個のセル32が配置されている。基材31の中心40には、1個のセル32が配置されている。セル32は、すべて同じ大きさであり、直径が3.0mmである。
【0084】
第1セル群51aにおけるセル32同士の平均間隔d1が1.39mmであり、第2セル群51bにおけるセル32同士の平均間隔d2が1.30mmである。d2/d1は、0.94である。同一のセル群51におけるセル32同士の各間隔は、略均等である。すなわち、第1セル群51a、第2セル群51b、第3セル群51cにおけるセル32同士の各間隔は、略均等である。
【0085】
なお、基材のセルの内表面に形成した分離膜の表面積(膜面積)は、本発明の実施例である実施形態1の分離膜構造体が0.345m
2、実施形態2の分離膜構造体が0.352m
2、実施形態3の分離膜構造体が0.349m
2、比較例の分離膜構造体が0.349m
2である。
【0086】
次いで、準備した各分離膜構造体に対して、モデル液を用いたろ過テストを実施した。具体的には、分離膜構造体に対して、供給タンクからモデル液を供給し、クロスフローろ過方式でろ過を行った。なお、分離膜構造体(分離膜)を通過した濃縮液及びろ過液は、再び供給タンクに戻る配管系とし、供給タンクから供給されるモデル液(被処理流体)の濃度は、常に一定となるようにした。モデル液としては、脱脂粉乳粉末を水で溶解した液を用いた。ろ過条件は、膜間差圧を0.2MPa、モデル液を循環させる線速を2.3m/秒、モデル液の液温25℃とした。
【0087】
そして、分離膜構造体の透水量を測定し、所定時間後の透水量の低下率を求めた。透水量とは、単位時間において、単位面積当たりの分離膜を通過したモデル液の量である。透水量の低下率とは、ろ過開始時点の透水量に対して、所定時間(30分間)ろ過運転後の透水量がどれくらい低下したか、その低下した割合を示す。
【0088】
本発明の実施例である実施形態1の分離膜構造体は、ろ過開始時点の透水量が34L/m
2・hrであり、所定時間ろ過運転後の透水量の低下率が4%であった。また、実施形態2の分離膜構造体は、ろ過開始時点の透水量が32L/m
2・hrであり、所定時間ろ過運転後の透水量の低下率が4%であった。また、実施形態3の分離膜構造体は、ろ過開始時点の透水量が30L/m
2・hrであり、所定時間ろ過運転後の透水量の低下率が3%であった。一方、比較例の分離膜構造体は、ろ過開始時点の透水量が30L/m
2・hrであり、所定時間ろ過運転後の透水量の低下率が6%であった。
【0089】
以上の結果から、本発明の実施例である分離膜構造体(分離膜支持体)は、基材における内側のセルと外側のセルとの分離膜による分離処理効率(ろ過効率)の差を小さくでき、分離処理性能の低下を抑制でき、安定した分離処理ができることがわかった。
【0090】
(その他の実施形態)
本発明は、前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0091】
(1)前述の実施形態では、基材31の断面314におけるセル群51の数は3つであるが、これに限定されるものではなく、4つ以上であってもよい。また、前述の実施形態では、セル群領域61に含まれるセル群51の数は2つであるが、これに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。
【0092】
(2)前述の実施形態では、セル群領域61は、基材31の径方向の最も内側のセル群(第1セル群51a)を含んでいるが、これに限定されるものではなく、基材31の径方向の最も内側のセル群51を含んでいない構成としてもよい。
【0093】
(3)前述の実施形態では、基材31の断面314において、基材31の径方向の最も外側のセル群51(第3セル群51c)は、セル群領域61に含まれていないが、これに限定されるものではない。例えば、セル群領域61に、基材31の断面314におけるすべてのセル群51が含まれている構成としてもよい。
【0094】
(4)前述の実施形態(実施形態1、3、4)では、セル群領域61において、基材31の径方向に隣接する2つのセル群51のうち、内側のセル群51におけるセル32同士の平均間隔をD1、外側のセル群51におけるセル32同士の平均間隔をD2とした場合に、D2/D1が1.5以上であるが、これに限定されるものではなく、例えば、実施形態2のように、D2/D1が1.5未満であってもよい。
【0095】
(5)前述の実施形態では、セル群領域61において、基材31の径方向の外側のセル群51におけるセル32の平均断面積は、基材31の径方向の内側のセル群51におけるセル32の平均断面積よりも小さくなっているが、このような構成に限定されるものではない。
【0096】
(6)前述の実施形態では、セル群領域61において、同一のセル群51におけるセル32同士の各間隔が略均等であるが、これに限定されるものではなく、同一のセル群51におけるセル32同士の各間隔が異なっていてもよい。
【0097】
(7)前述の実施形態では、セル群領域61において、同一のセル群51における各セル32の断面積が略同一であるが、これに限定されるものではなく、同一のセル群51における各セル32の断面積が異なっていてもよい。
【0098】
(8)前述の実施形態では、基材31の断面314において、セル群領域61の外側に1つのセル群51(第3セル群51c)が配置されているが、セル群領域61の外側に2つ以上のセル群51が配置されていてもよい。
【0099】
(9)前述の実施形態1〜3では、基材31の断面形状が円形状であり、前述の実施形態4では、基材31の断面形状が六角形状であるが、基材31の断面形状はこれに限定されるものではなく、例えば、楕円形状、その他の多角形状(三角形状、四角形状、五角形状等)等であってもよい。
【0100】
(10)前述の実施形態では、セル32の断面形状が円形状であるが、セル32の断面形状はこれに限定されるものではなく、例えば、楕円形状、多角形状(三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等)等であってもよい。
【0101】
(11)前述の実施形態では、基材31としてアルミナ製の多孔質体を用いたが、基材31を構成する材料はこれに限定されるものではない。基材31としては、例えば、ムライト、チタニア、ジルコニア等のセラミックを用いてもよいし、ステンレス、チタン等の金属材料を用いてもよい。
【0102】
(12)前述の実施形態では、分離膜22としてアルミナ製の多孔質膜を用いたが、分離膜22を構成する材料はこれに限定されるものではない。分離膜22としては、例えば、ムライト、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、パラジウム、カーボン、アモルファスシリカ、MOF(金属有機構造体)等からなる固液分離膜(精密ろ過膜(MF)、ナノろ過膜(NF)、限外ろ過膜(UF)、逆浸透ろ過膜(RO))、分子レベルでの分離が可能な分離膜等を用いてもよい。
【0103】
(13)前述の実施形態では、基材31のセル32の内壁面321と分離膜22との間に、分離膜22の下地となる中間膜を設けたが、このような中間膜を設けない構成としてもよい。