特許第6553421号(P6553421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホーチキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6553421-火災受信機 図000002
  • 特許6553421-火災受信機 図000003
  • 特許6553421-火災受信機 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553421
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】火災受信機
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20190722BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20190722BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   G08B23/00 530C
   G08B17/00 C
   H02J9/06 110
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-126416(P2015-126416)
(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-10356(P2017-10356A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】金子 茂
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−114973(JP,A)
【文献】 特開平5−207642(JP,A)
【文献】 特開平3−82344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00
G08B17/00
H02J9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警戒区域に設置した火災感知器からの火災信号を受信して警報する受信機回路部と、入力した商用交流電源を直流電源に変換して前記受信機回路部に供給する電源部と、前記商用交流電源の停電を検出した場合にバッテリーからの予備電源を前記電源部に供給する予備電源部とを備え火災受信機に於いて、
前記予備電源部に、
前記バッテリーからの予備電源を前記電源部に供給する予備電源供給ラインをオン、オフするスイッチ回路と、
スイッチオン信号が入力した場合にターンオンして前記スイッチ回路をオン状態に切替え、スイッチオフ信号が入力した場合にターンオフして前記スイッチ回路をオフ状態に切替えるラッチ回路と、
前記電源部からの交流電源検出信号が得られている場合に、前記ラッチ回路に前記スイッチオン信号を出力して前記スイッチ回路をオン状態に切替えるスイッチオン制御回路と、
前記バッテリーからのバッテリー電圧が前記閾値電圧未満に低下した場合に前記スイッチオフ信号を前記ラッチ回路に出力して前記スイッチ回路をオフ状態に切替えるスイッチオフ制御回路と、
を設けたことを特徴とする火災受信機。
【請求項2】
請求項1記載の火災受信機に於いて、
前記スイッチオン制御回路は、前記バッテリーからのバッテリー電圧が所定電圧以上で且つ前記交流電源検出信号が得られていない状態でオン操作された場合に、前記交流電源検出信号を疑似的に発生して前記スイッチオン信号を前記ラッチ回路に出力して前記スイッチ回路をオン状態に切替える予備電源遮断解除スイッチを備えたことを特徴とする火災受信機。
【請求項3】
請求項1記載の火災受信機に於いて、更に、前記スイッチ回路のオン状態で表示灯を消灯し、前記スイッチ回路のオフ状態で前記表示灯を点灯して予備電源遮断中を表示する表示制御回路を設けたことを特徴とする火災受信機。
【請求項4】
請求項1記載の火災受信機に於いて、更に、
前記スイッチ回路のオン状態で表示灯を消灯し、前記スイッチ回路のオフ状態で前記表示灯を点灯して予備電源遮断中を表示する表示制御回路と、
前記バッテリー電圧を入力して所定の定電圧を出力する定電圧回路と、
前記スイッチオフ制御回路が前記スイッチオフ信号の出力を停止している場合にオンして前記定電圧回路からの定電圧を前記スイッチオン制御回路及び前記表示制御回路に供給し、前記スイッチオフ制御回路が前記スイッチオフ信号出力した場合にオフして前記定電圧回路からの定電圧の前記スイッチオン制御回路及び前記表示制御回路に対する供給を停止する定電圧出力制御回路と、
を設けたことを特徴とする火災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用交流電源が停電した場合にバッテリーによる予備電源に切替えて動作する火災受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災報知設備に設けられた例えばP型の火災受信機にあっては、火災受信機から引き出された火報回線に火災感知器や発信機を接続して回線単位に火災を監視しており、火災が発生した場合には、音響や表示灯によって管理人等の建物関係者に警報を出すようにしている。
【0003】
火災受信機は入力した商用交流電源を直流電源に変換して受信機回路部及び火報回線に電源を供給しており、商用交流電源が停電した場合にバッテリーを備えた予備電源からの電源供給に切り替え、所定時間に亘り火災監視を継続可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−035157号公報
【特許文献2】特開平11−086163号公報
【特許文献3】特開2004−013257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような予備電源への切替え機能を備えた火災受信機にあっては、商用交流電源が停電してバッテリーからの予備電源に切替えた場合、商用交流電源が回復しない場合は、バッテリーの放電を継続しており、商用交流電源の停電が長時間になるとバッテリーが過放電となっていしまう場合がある。
【0006】
また、火災報知設備を施工する場合には、商用交流電源の接続工事が完了していない段階で火災受信機に満充電したバッテリーを接続して動作を確認する場合があり、この場合にもバッテリーを接続したままにしていると、バッテリーの放電が継続して過放電となってしまう場合がある。
【0007】
このように予備電源として設けているバッテリーの過放電を繰り返すと、バッテリーの劣化が進んでバッテリー容量が低下し、バッテリー性能が十分に得られなくなる問題がある。
【0008】
本発明は、予備電源に切替えた場合のバッテリーの過放電を抑制してバッテリーの劣化による性能低下を抑制可能とする火災受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(火災受信機)
本発明は、警戒区域に設置した火災感知器からの火災信号を受信して警報する受信機回路部と、入力した商用交流電源を直流電源に変換して受信機回路部に供給する電源部と、商用交流電源の停電を検出した場合にバッテリーからの予備電源を電源部に供給する予備電源部とを備え火災受信機に於いて、
予備電源部に、
バッテリーからの予備電源を電源部に供給する予備電源供給ラインをオン、オフするスイッチ回路と、
スイッチオン信号が入力した場合にターンオンしてスイッチ回路をオン状態に切替え、スイッチオフ信号が入力した場合にターンオフしてスイッチ回路をオフ状態に切替えるラッチ回路と、
電源部からの交流電源検出信号が得られている場合に、ラッチ回路にスイッチオン信号を出力してスイッチ回路をオン状態に切替えるスイッチオン制御回路と、
バッテリーからのバッテリー電圧が閾値電圧未満に低下した場合にスイッチオフ信号をラッチ回路に出力してスイッチ回路をオフ状態に切替えるスイッチオフ制御回路と、
を設けたことを特徴とする。
【0010】
(予備電源遮断解除スイッチ)
スイッチオン制御回路は、バッテリーからのバッテリー電圧が閾値電圧以上で且つ交流電源検出信号が得られていない状態でオン操作された場合に、交流電源検出信号を疑似的に発生してスイッチオン信号をラッチ回路に出力してスイッチ回路をオン状態に切替える予備電源遮断解除スイッチを備える。
【0011】
(予備電源遮断中を表示する表示制御回路)
火災受信機は、更に、スイッチ回路のオン状態で表示灯を消灯し、スイッチ回路のオフ状態で表示灯を点灯して予備電源遮断中を表示する表示制御回路を設ける。
【0012】
(定電圧回路及び定電圧出力制御回路及び表示制御回路)
火災受信機は、更に、
イッチ回路のオン状態で表示灯を消灯し、スイッチ回路のオフ状態で表示灯を点灯して予備電源遮断中を表示する表示制御回路と、
バッテリー電圧を入力して所定の定電圧を出力する定電圧回路と、
スイッチオフ制御回路がスイッチオフ信号の出力を停止している場合にオンして定電圧回路からの定電圧をスイッチオン制御回路及び表示制御回路に供給し、スイッチオフ制御回路がスイッチオフ信号出力した場合にオフして定電圧回路からの定電圧のスイッチオン制御回路及び表示制御回路に対する供給を停止する定電圧出力制御回路と、
を設ける。
【発明の効果】
【0013】
(基本的な効果)
本発明は、警戒区域に設置した火災感知器からの火災信号を受信して警報する受信機回路部と、入力した商用交流電源を直流電源に変換して受信機回路部に供給する電源部と、前記商用交流電源の停電を検出した場合にバッテリーからの予備電源を電源部に供給する予備電源部とを備え火災受信機に於いて、予備電源部に、バッテリーからの予備電源を電源部に供給する予備電源供給ラインをオン、オフするスイッチ回路と、スイッチオン信号が入力した場合にターンオンしてスイッチ回路をオン状態に切替え、スイッチオフ信号が入力した場合にターンオフしてスイッチ回路をオフ状態に切替えるラッチ回路と、電源部からの交流電源検出信号が得られている場合に、ラッチ回路にスイッチオン信号を出力してスイッチ回路をオン状態に切替えるスイッチオン制御回路と、バッテリーからのバッテリー電圧が閾値電圧未満に低下した場合にスイッチオフ信号をラッチ回路に出力してスイッチ回路をオフ状態に切替えるスイッチオフ制御回路とを設けるようにしたため、商用交流電源が正常に入力し且つバッテリーからのバッテリー電圧が所定閾値電圧以上となる通常監視状態では、スイッチオン制御回路から出力したスイッチオン信号によるラッチ回路のターンオンでスイッチ回路をオン状態に切替えてバッテリーからの電源供給ラインを電源部に接続しており、この状態で商用交流電源が停電すると、バッテリーからの予備電源供給に切替え、予備電源供給によりバッテリー電圧が閾値電圧未満に低下すると、スイッチオフ制御回路がスイッチオフ信号をラッチ回路に出力し、ラッチ回路のターンオフによりスイッチ回路をオフ状態に切替え、電源部に対するバッテリーからの予備電源供給ラインを切り離し、それ以上のバッテリー放電を停止し、バッテリーの過放電による劣化と性能低下を防止可能とする。
【0014】
(予備電源遮断解除スイッチによる効果)
また、スイッチオン制御回路は、バッテリー電源のバッテリー電圧が所定電圧以上で且つ交流電源検出信号が得られていない状態でオン操作された場合に、交流電源検出信号を疑似的に発生してスイッチオン信号をラッチ回路に出力してスイッチ回路をオン状態に切替える予備電源遮断解除スイッチを設けるようにしたため、例えば、施工工事において、商用交流電源を供給できない状態で火災受信機に満充電したバッテリーを接続した場合、交流電源検出信号が得られていないことから、スイッチ回路をオン状態に切替えてバッテリーからの予備電源を供給することができないが、スイッチオン制御回路に設けた予備電源遮断解除スイッチをオン操作することで、交流電源検出信号を疑似的に発生してスイッチ回路をオン状態に切替えて、バッテリーからの予備電源の供給による受信機動作を可能とする。
【0015】
この場合にも、バッテリー電圧が所定の閾値電圧未満に低下すると、スイッチオフ制御回路がスイッチオフ信号をラッチ回路に出力し、ラッチ回路のターンオフによりスイッチ回路をオフ状態に切替えて電源部に対するバッテリーからの予備電源供給ラインを切り離し、それ以上のバッテリー放電を停止し、バッテリーの過放電による劣化と性能低下を防止可能とする。
【0016】
(予備電源遮断中を表示する表示制御回路の効果)
また、スイッチ回路のオン状態で表示灯を消灯し、スイッチ回路のオフ状態で表示灯を点灯して予備電源遮断中を表示する表示制御回路を設けるようにしたため、表示灯が点灯している場合は、スイッチ回路のオフによりバッテリーからの予備電源が遮断状態にあることを容易に確認可能し、また、表示灯が消灯している場合は、スイッチ回路のオンよりバッテリーからの予備電源が供給状態にあることを容易に確認可能とする。
【0017】
(定電圧回路、定電圧出力制御回路及び表示制御回路による効果)
火災受信機は、更に、スイッチ回路のオン状態で表示灯を消灯し、スイッチ回路のオフ状態で表示灯を点灯して予備電源遮断中を表示する表示制御回路と、バッテリー電圧を入力して所定の定電圧を出力する定電圧回路と、スイッチオフ制御回路がスイッチオフ信号の出力を停止している場合にオンして定電圧回路からの定電圧をスイッチオン制御回路及び表示制御回路に供給し、スイッチオフ制御回路がスイッチオフ信号の出力した場合にオフして定電圧回路からの定電圧のスイッチオン制御回路及び表示制御回路に対する供給を停止する定電圧出力制御回路とを設けるようにしたため、商用交流電源を半波整流等してバッテリーを充電する充電電圧のピークで過大となっても、バッテリー電圧を定電圧回路で所定電圧に定電圧化することで、回路の損傷を防止して動作を安定化させる。
【0018】
また、バッテリー電圧が所定の閾値電圧未満に低下した場合にスイッチオフ制御回路が出力するスイッチオフ信号により定電圧出力制御回路をオフし、バッテリー電圧が所定電圧未満となった状態での予備電源部におけるバッテリーからの予備電源の使用を抑制し、、バッテリーの過放電による劣化と性能低下を防止可能とする
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】火災受信機の概略を示した説明図
図2図1の火災受信機に設けた電源部と予備電源部を示したブロック図
図3図2の予備電源制御部の実施形態を示した回路図
【発明を実施するための形態】
【0020】
[火災受信機]
図1はP型の火災受信機の機能構成の概略を示した説明図である。図1に示すように、火災受信機10から監視領域に対し火報回線16、更には図示していない制御回線、防排煙回線、警報回線を引き出している。火報回線16には、火災感知器18や発信機20等を接続している。また、図示していない制御回線には防火戸の自動開放装置(ラッチレリーズ装置)を接続し、防排煙回線には防排煙用感知器を接続している。
【0021】
火災受信機10は、制御部12を備え、制御部12は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成している。制御部12に対しては、回線受信部14、表示部22、操作部24、警報部26及び移報部28を設けている。
【0022】
また、火災受信機10には電源部30と予備電源部32を設けている。電源部30は商用交流電源AC100ボルトを入力して所定電圧の直流電源に変換して火災受信機10内の各回路部及び火報回線16に電源を供給している。予備電源部32はバッテリーを備えている。電源部30は商用交流電源の停電を検出すると予備電源部32からの予備電源供給に切替えて、火災受信機10内の各回路部及び火報回線16に電源を供給する。
【0023】
[電源部と予備電源部の概要]
図2図1の火災受信機に設けた電源部と予備電源部を取り出して概要を示したブロック図である。
【0024】
図2に示すように、電源部30はACコネクタ34、整流平滑回路部36、交流電源検出部38、切替リレー接点42を備えたリレー40及びダイオード31を備える。また、予備電源部32は、バッテリー46、バッテリーコネクタ44、予備電源制御部48及び充電回路部45を備える。
【0025】
電源部30は商用交流電圧を変圧器で降圧した所定の交流電圧をACコネクタ34を介して入力し、整流平滑回路部36により所定の直流電圧に変換して出力している。整流平滑回路部36の出力側には交流電源検出部38とリレー40を設けている。リレー40は切替リレー接点42を備え、a側に整流平滑回路部36からの電源供給ラインを接続し、b側に予備電源制御部48からの予備電源供給ラインを接続している。
【0026】
交流電源検出部38は交流電源を検出した場合、即ち整流平滑回路部36からの直流電源電圧を検出した場合に内蔵したスイッチング素子をオンすることでリレー40に通電して、切替リレー接点42を図示のa側に切替え、整流平滑回路部36からの直流電源電圧を受信機回路部側に供給している。
【0027】
商用交流電源が停電した場合には、整流平滑回路部36からの直流電源電圧がなくなることで交流電源検出部38に設けたスイッチング素子がオフし、リレー40の通電を停止して復旧し、これにより切替リレー接点42はb側に切り替わり、予備電源制御部48を介してバッテリー46からの予備電源を受信機回路部に供給する。
【0028】
充電回路部45はACコネクタ34から入力した交流電圧を例えば半波整流してバッテリーコネクタ44に接続したバッテリー46を充電する。また、交流電源検出部38に対するリレー40から通電ラインは分岐した後にダイオード31を介して予備電源制御部48に信号ラインとして接続しており、交流電源検出信号E0を供給する。
【0029】
交流電源検出信号E0は、交流電源検出部38で交流電源を検出している場合は内蔵したスイッチング素子のオンによりリレー40からの通電ラインをアースレベル(Lレベル)に引き込んで作動電流を流してていることから、交流電源検出信号E0はLレベルとなり、予備電源制御部48からの信号電流を流し出す動作となる。
【0030】
一方、商用交流電源の停電を検出すると交流電源検出部38に内蔵したスイッチング素子がオフしてリレー40の通電を停止して復旧することから、交流電源検出信号E0は電気的なフローティング状態(ハイインピーダンス状態)となり、予備電源制御部48からの信号電流の流し出しを停止する。
【0031】
[予備電源制御部の構成]
図3図2に示した予備電源制御部の実施形態を示した回路図である。図3に示すように、予備電源制御部48は、スイッチオフ制御回路50、定電圧回路60、定電圧出力制御回路70、スイッチオン制御回路80、表示制御回路90、ラッチ回路100及びスイッチ回路110を備える。
【0032】
(スイッチ回路
スイッチ回路110はMOS型のFET112及び抵抗114,116を備える。FET112はソースSにバッテリー46からの予備電源供給ラインを接続し、ドレインDから図2の切替リレー接点42のb側に接続する予備電源供給ラインを引き出している。FET112のソース・ゲート間には抵抗114を接続し、またゲートGに抵抗116を介してラッチ回路100の出力側を接続している。
【0033】
(ラッチ回路
ラッチ回路100は、NPNトランジスタ102、PNPトランジスタ104及び抵抗105,106,108を備え、スイッチ回路110のゲート制御回路として機能する。ラッチ回路100はNPNトランジスタ102の入力抵抗105に外部信号による入力電流が流れてベースバイアスが加わるとオンし、コレクタ電流をPNPトランジスタ104のベース電流として流すことによる正帰還動作でPNPトランジスタ104をターンオンし、入力電流が断たれてもオン状態を維持する。ラッチ回路100がターンオンすると、スイッチ回路110の抵抗114,116を介して流れる電流により加わるゲートバイアスによりFET112はオン状態に切り替わる。
【0034】
また、NPNトランジスタ102とPNPトランジスタ104がターンオン状態で、NPNトランジスタ102のベースをLレベルに引き込む外部信号が加わると、NPNトランジスタ102がオフし、これに伴いPNPトランジスタ104もオフするターンオフ動作を行う。ラッチ回路100がターンオフすると、スイッチ回路110の抵抗114,116を介して流れる電流が停止し、ゲートバイアスが無くなることでFET112はオフ状態に切り替わる。
【0035】
(スイッチオン制御回路)
スイッチオン制御回路80は、PNPトランジスタ82、抵抗83,84,85、ダイオード86及び予備電源遮断解除スイッチ88を備える。
【0036】
スイッチオン制御回路80は、図2に示した交流電源検出部38で交流電源の入力を検出した場合にLレベルとなる交流電源検出信号E0により、入力抵抗84を介してPNPトランジスタ82のベースをLレベルに引き込むことでベース電流を流し出してPNPトランジスタ82をオンし、抵抗85を介してスイッチオン信号E1をラッチ回路100に出力し、ラッチ回路100をターンオンすることでスイッチ回路110のFET112をオン状態に切替える。
【0037】
予備電源遮断解除スイッチ88は、図2の交流電源検出部38で交流電源の入力を検出せずに交流電源検出信号E0がフローティング状態にある場合に、オン操作をすることで入力抵抗84を介してPNPトランジスタ82のベースをLレベル(アースレベル)に引き込んでオンし、これによりラッチ回路100を介してスイッチ回路110のFET112をオン状態に切替え、Lレベルとなる交流電圧検出信号が疑似的に加わったと同じ状態を作り出す。
【0038】
(スイッチオフ制御回路)
スイッチオフ制御回路50は、比較器52、定電圧源58,抵抗54,56を備える。比較器52はプラス入力端子にバッテリー電圧Vbを抵抗54,56で分圧した電圧Viを入力して、マイナス入力端子に接続した定電圧源58による基準電圧Vrefと比較し、バッテリー分圧電圧Viが基準電圧Vref以上の場合に比較器52はHレベル信号を出力し、バッテリー分圧電圧Viが基準電圧Vref未満の場合に比較器52はLレベル信号を出力する。
【0039】
比較器52が出力したHレベル信号はダイオード86により阻止されてラッチ回路100に出力されないが、比較器52が出力したLレベル信号はダイオード86を介してラッチ回路100にスイッチオフ信号E2として出力され、このときラッチ回路100がターンオンしていれば、PNPトランジスタ102のベースをLレベルに引き込んでオフし、これに伴いPNPトランジスタ104をターンオフし、スイッチ回路110のFET112をオフ状態に切替える。
【0040】
ここで、比較器52に対する基準電圧Vrefの設定により、スイッチオフ制御回路50はバッテリー46のバッテリー電圧Vbが基準電圧Vrefに対応した所定の閾値電圧Vth、例えば閾値電圧Vth=15.6ボルト以上の場合に、比較器52はHレベル出力を生じ、バッテリー電圧Vbが閾値電圧Vth=15.6ボルト未満に低下すると、比較器52はLレベル出力を生じ、スイッチオフ信号E2を出力することになる。
【0041】
(表示制御回路)
表示制御回路90は、NPNトランジスタ92,95、LEDを用いた予備電源遮断中灯94及び抵抗93,96,97,98,99を備える。
【0042】
ラッチ回路100に設けたNPNトランジスタ102とPNPトランジスタ104のターンオンによりスイッチ回路110のFET112をオン状態に切替えている場合、表示制御回路90のNPNトランジスタ95のベースにスイッチ回路110から出力されたバッテリー電圧Vbが印加されてオンし、これによりNPNトランジスタ92をオフして予備電源遮断中灯94を消灯する。
【0043】
一方、ラッチ回路100に設けたNPNトランジスタ102とPNPトランジスタ104のターンオフによりスイッチ回路110のFET112をオフ状態に切替えている場合、表示制御回路90のNPNトランジスタ95のベースに対するスイッチ回路110の出力側からのバッテリー電圧Vbの印加が停止してオフし、これによりNPNトランジスタ92をオンして予備電源遮断中灯94を点灯する。
【0044】
(定電圧回路)
定電圧回路60は、NPNトランジスタ62,ツェナーダイオード68及び抵抗64,66を備え、バッテリー電圧Vbを入力し、ツェナーダイオード68のツェナー電圧Vzで決まる所定の定電圧、例えば直流5ボルトを出力する。
【0045】
ここで、定電圧回路60の入力には図2に示した充電回路部45からの充電電圧が加わっており、バッテリー46を接続していない場合には、例えば入力交流電圧をAC28ボルトとすると、半波整流により最大ピーク値95ボルト程度の充電電圧が加わる。これに対し本実施形態では、定電圧回路60を設けたことで、定電圧出力制御回路70、スイッチオフ制御回路80及び表示制御回路90側に過大な電圧が加わることを抑止し、回路保護と動作の安定化を図る。
【0046】
(定電圧出力制御回路)
定電圧出力制御回路70は、NPNトランジスタ72、抵抗74,76及びダイオード78を備える。定電圧出力制御回路70は、スイッチオフ制御回路50でバッテリー電圧Vbが所定の閾値電圧Vth以上となって比較器52がHレベル出力を生じている場合に、ダイオード78によりNPNトランジスタ72のベース側を電気的に切り離したフローティング状態とし、抵抗74によるベースバイアスによりNPNトランジスタ72をオンし、定電圧回路60から出力した定電圧を、スイッチオン制御回路80及び表示制御回路90に電源電圧として出力して動作可能としている。
【0047】
一方、定電圧出力制御回路70は、スイッチオフ制御回路50でバッテリー電圧Vbが所定の閾値電圧Vth未満に低下して比較器52がスイッチオフ信号E2となるLレベル出力を生じている場合に、ダイオード78及び抵抗76を介してNPNトランジスタ72のベースをLレベルに引き込むことでオフし、定電圧回路60から出力した定電圧によるスイッチオン制御回路80及び表示制御回路90に対する電源供給を停止して動作しないようにしている。
【0048】
このような定電圧出力制御回路70による定電圧出力のスイッチオン制御回路80及び表示制御回路90に対する供給停止は、バッテリー電圧Vbが所定の閾値電圧Vth未満に低下した状態で、バッテリー46から予備電源制御部48に対する電源供給を抑制し、バッテリー46が過放電になることを防止する。
【0049】
また、表示制御回路90は、スイッチ回路110のFET112をオフ状態に切替えると、NPNトランジスタ95がオフし、NPNトランジスタ92のオンにより予備電源遮断中灯94を点灯するが、このときバッテリー電圧Vbが閾値電圧Vth未満に低下して定電圧出力制御回路70のNPNトランジスタ72がオフして定電圧出力を遮断していると、表示制御回路90に電源電圧が供給されず、予備電源遮断中灯94は点灯しない。
【0050】
[予備電源制御部の動作]
図3に示した予備電源制御部48の動作を説明すると次のようになる。
【0051】
(通常監視状態の動作)
火災受信機10の通常監視状態にあっては、商用交流電源が正常に得られ、バッテリー46は満充電によりバッテリー電圧Vbが閾値電圧Vth以上となっている。このためスイッチオン制御回路80はLレベルとなる交流電源検出信号E0によるPNPトランジスタ82のオンによりHレベルとなるスイッチオン信号E1をラッチ回路100に出力し、NPNトランジスタ102とPNPトランジスタ104をターンオンして保持し、スイッチ回路110のFET112をゲートバイアスしてオンし、バッテリー電圧Vbをスイッチ回路110を介して図2の電源部30に設けた通電状態にあるリレー40の切替リレー接点42のb側までの予備電源供給ラインに印加している。
【0052】
(停電による動作)
通常監視状態で商用交流電源に停電が起きたとすると、図2の交流電圧検出部38で整流平滑回路部36からの直流電圧がなくなることで商用交流電源の停電を検出し、内蔵しているスイッチング素子がオフしてリレー40の通電を停止し、リレー40が復旧して切替えリレー接点42がb側に切り替わり、予備電源制御部48を介してバッテリー46からの予備電源の供給に切り替える。
【0053】
このとき図3に示した予備電源制御部48のスイッチオン制御回路80に対する交流電源検出信号E0はフローティング状態となってPNPトランジスタ82がオフする。PNPトランジスタ82がオフすると、ラッチ回路100に対するスイッチオン信号E1はフローティング状態となるが、ラッチ回路100のNPNトランジスタ102とPNPトランジスタ104はターンオン状態を維持しており、スイッチ回路110のFET112のオン状態を維持し、バッテリー46からの予備電源供給を継続する。
【0054】
バッテリー46からの予備電源供給を行っている時間が長くなると、バッテリー46の放電によりバッテリー電圧Vbが低下し、閾値電圧Vth未満に低下すると、スイッチオフ制御回路50の比較器52の出力がLレベルとなり、ラッチ回路100に対しスイッチオフ信号E2を出力し、ラッチ回路100のNPNトランジスタ102のベースをLレベルに引き込んでオフし、これによりPNPトランジスタ104をターンオフし、スイッチ回路110のFET112をオフ状態に切替え、バッテリー46からの予備電源供給を停止する。
【0055】
また、スイッチオフ制御回路50のLレベル出力によりダイオード78を介して定電圧出力制御回路70のNPNトランジスタ72のベースをLレベルに引き込んでオフし、スイッチオン制御回路80及び表示制御回路90に対する定電圧回路60からの定電圧出力による電源供給を停止し、閾値電圧Vth未満にバッテリー電圧が低下したバッテリー46からの放電を抑制し、過放電になることを防止する。
【0056】
その後、停電していた商用交流電源が回復すると、図2の充電回路部45によるバッテリー46の充電によりバッテリー電圧Vbも回復し、閾値電圧Vth以上になるとスイッチオフ制御回路50に設けた比較器52の出力がHレベルとなり、これにより定電圧出力制御回路70のNPNトランジスタ72がオンしてスイッチオン制御回路80及び表示制御回路90に定電圧回路60の定電圧出力が電源として供給されて動作する。このとき交流電源検出信号E0はLレベルになっていることから、PNPトランジスタ82がオンしてスイッチオン信号E1を出力し、ラッチ回路100のターンオンによりスイッチ回路110のFET112をオン状態に切替え、定常監視状態に戻る。
【0057】
(施工工事に伴う動作)
火災報知設備の施工工事にあっては、火災受信機に対する商用交流電源の供給が準備できていない状態で火災受信機を試験的に動作する場合があり、このような場合には、満充電したバッテリー46をバッテリーコネクタ44に接続する。
【0058】
このようにバッテリー46をバッテリーコネクタ44に接続すると、商用交流電源は得られていないことから交流電源検出信号E0はフローティング状態にあり、スイッチオン制御回路80のPNPトランジスタ82はオフしており、Hレベルとなるスイッチオン信号E1は出力されない。
【0059】
また、バッテリー電圧Vbは閾値電圧Vth以上であることから、スイッチオフ制御回路50の比較器52はHレベル出力を生じており、このため定電圧出力制御回路70の遮断動作が解除されてNPNトランジスタ72がオンし、スイッチオン制御回路80及び表示制御回路90に定電圧回路60から定電圧による電源を供給して動作可能としている。
【0060】
また、スイッチ回路110のFET112のオフにより、表示制御回路90のNPNトランジスタ95はオフし、これによりNPNトランジスタ92がオンし、LEDを用いた予備電源遮断中灯94は点灯し、予備電源が遮断状態にあることを表示している。
【0061】
バッテリー46からの予備電源供給により火災受信機を動作する場合には、スイッチオン制御回路80に設けている予備電源遮断解除スイッチ88をオン操作する。
【0062】
予備電源遮断解除スイッチ88をオン操作すると、PNPトランジスタ82のベースが抵抗84を介してアースレベル(Lレベル)に引き込まれてベース電流が流れ出し、PNPトランジスタ82がオンし、Hレベルとなるスイッチオン信号E1を出力する。即ち、予備電源遮断解除スイッチ88をオン操作すると、Lレベルとなる交流電源検出信号E0が得られたと同じ状態を疑似的に作り出す。
【0063】
スイッチオン制御回路80から出力されたスイッチオン信号E1はラッチ回路100をターンオンしてスイッチ回路110のFET112をオンし、バッテリー46から予備電源供給ラインを介して受信機回路部に予備電源を供給して動作させることができる。
【0064】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、図3の予備電源制御部48に定電圧回路60と定電圧出力制御回路70を設けているが、バッテリー46を接続していない場合の充電回路部45のピーク電圧を抑制可能であれば、定電圧回路60と定電圧出力制御回路70は設けなくとも良い。
【0065】
また、図3に示した予備電源制御回路は一例であり、同じ回路機能を備える適宜の回路構成を含む。
【0066】
また、上記の実施形態は、P型火災報知設備の火災受信機例にとっているが、火災感知器にアドレスを設定して火災を監視するR型火災報知設備に設けた火災受信機についても同様となる。
【0067】
また、上記の実施形態は火災を監視する火災報知設備を例にとるものであったが、火災以外にガス漏れや盗難などの適宜の異常を検知して警報する予備電源切替機能を備えた防災設備の監視盤についても同様に適用できる。
【0068】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0069】
10:火災受信機
12:制御部
18:火災感知器
20:発信機
30:電源部
32:予備電源部
36:整流平滑回路部
38:交流電源検出部
40:リレー
42:切替リレー接点
45:充電回路部
46:バッテリー
48:予備電源制御部
50:スイッチオフ制御回路
52:比較器
58:電圧源
60:定電圧回路
62,72,92,95,102:NPNトランジスタ
70:定電圧出力制御回路
80:スイッチオン制御回路
82,104:PNPトラジスタ
88:予備電源遮断解除スイッチ
90:表示制御回路
94:予備電源遮断中灯
100:ラッチ回路
110:スイッチ回路
112:FET
図1
図2
図3