(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。添付図面では、類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表すこととする。
【0020】
なお、本明細書中において、「シート束のオフセット搬送」とは、排紙口から処理トレイ上に搬入されたシートを集積したシート束を、シート搬送方向と直交(又は交差)する方向に移動(幅寄せ移動)させることを意味し、「オフセット量」とはシート束のオフセット搬送の際のシート搬送方向と直交(又は交差)する方向の移動量を意味する。また、「シート束の整合」とは、排紙口から処理トレイ上に搬入された複数のシートを、所定の基準(例えば、シート搬送方向と直交する方向すなわち幅方向の中心位置であるセンター基準、または幅方向の片側に設定される片側基準)に従って処理トレイ上でシート束を予め定められた姿勢及び位置に配置することを意味する。例えば、「シートを整合した後、オフセットする」とは、複数のシートを前述の基準に従って予め定められた位置及び姿勢で配置した後、その状態のままシート束全体をシート搬送方向と直交(又は交差)する方向に移動させることを意味する。
【0021】
図1は、本発明によるシート束処理装置を備えた画像形成システムを示している。
図1に示されている画像形成システムは、画像形成装置Aと、後処理装置(以下、シート束処理装置と記載する。)Bとを含んで構成されており、画像形成装置Aによって画像形成されたシートを、シート束処理装置Bで部揃え集積し、集積されたシート束に針なし綴じなどの後処理を施して、下流側の第1のスタックトレイ21又は第2のスタックトレイ22に収納する。なお、本明細書中において、
図1の画像形成システムの手前側を装置正面側、奥側を装置後部側と称することとする。
【0022】
以下、画像形成装置A、シート束処理装置Bについて詳細に説明する。
【0023】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、
図1に示されているように、ケーシング1内に、給紙部2と画像形成部3と画像データ記憶部(図示せず)とを備えており、給紙部2からシートを画像形成部3へ送り、画像形成部3でシート上に画像を形成した後、本体排紙口12からシートを搬出する。
【0024】
給紙部2は、図示されている実施形態では、複数のカセット2a,2b,2c,2dを含んでおり、各カセット2a,2b,2c,2dには、予め選定された異なる規格サイズのシートを収納可能になっている。また、給紙部2には、手差しトレイ1xが設けられており、使用者が使用目的に応じたシートを挿入できるように構成されている。このような構成の給紙部2にセットされたシートは、サイズ、紙質(コーティング紙、普通紙など)、紙の厚さなどのシート条件に関する情報を後述するコントロールパネル13から入力できるように構成されている。
【0025】
画像形成部3は、給紙部2から送られたシートに画像を形成するように構成されていればよく、種々の画像形成機構が採用可能である。図示されている実施形態では、画像形成部3として、静電式画像形成機構が示されている。しかしながら、画像形成部3は、図示される静電式画像形成機構に限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構などを採用することも可能である。
【0026】
図1に示されているように、画像形成部3には、発光器(レーザヘッドなど)6と、感光ドラム7と、現像器8が設けられており、感光ドラム7の表面に発光器6で潜像(静止画像)を形成し、現像器8でトナーインクを付着するようになっている。感光ドラム7上に付着されたたインク画像(トナーインク)は、給紙部2から送られたシートに転写チャージャ9で画像転写され、画像転写されたシートは、定着ローラ10で定着された後に、排紙経路11へ送られる。
【0027】
画像データ記憶部は、図示されていないが、画像形成部3の発光器6で感光ドラム7上に形成する画像データを記憶する記憶メモリによって構成され、この画像データ記憶部に画像読取ユニット4からデータ転送されるようになっている。また、画像データ記憶部には、例えばネットワークの一部を構成するコンピュータなどからもデータ転送され得る。
【0028】
このように構成された画像形成装置Aの上部には、原稿画像を読み取る画像読取ユニット4が設けられており、画像読取ユニット4のさらに上部に、原稿給送ユニット5が搭載されている。画像読取ユニット4は、透明ガラスで形成されたプラテン4aと、読取キャリッジ4bと、光電変換素子4cとを備え、プラテン4a上に載置された原稿シートの画像を読取キャリッジ4bで走査して読み取り、光電変換素子4cにより電気信号に変換し、画像データ記憶部に記憶する。また、原稿給送ユニット5は、給紙トレイ5aを含み、給紙トレイ5a上に載置された原稿シートを一枚ずつ分離して画像読取ユニット4のプラテン4aに自動的に給送するように構成されている。
【0029】
[シート束処理装置(後処理装置)]
画像形成装置Aに連結されたシート束処理装置(後処理装置)Bは、
図2に全体構成を、
図3に内部構造を示すように、装置ハウジング20と、第1のスタックトレイ21と、第2のスタックトレイ22とを備え、画像形成装置Aの本体排紙口12から排出された画像形成済みのシートを受け取り、(1)本体排紙口12から排出されたシートを、後処理を施すことなく第1のスタックトレイ21に収納する(「プリントアウトモード」)か、(2)本体排紙口12から排出されたシートを束状に部揃えして綴じ処理を施した後、第1のスタックトレイ21に収納する(「綴じモード」)か、又は(3)本体排紙口12から排出されたシートを束状に部揃えした後、冊子状に折り畳んで第2のスタックトレイ22に収納する(「シート束折りモード」)ように構成されている。
【0030】
シート束処理装置Bの装置ハウジング20の内部には、搬入口23と排紙口24との間に略水平方向に略直線状に延びるシート搬入経路P1が設けられている。シート搬入経路P1の搬入口23は、
図1に示されているように、画像形成装置Aの本体排紙口12に連なるように配置され、本体排紙口12から排出されたシートをシート搬入経路P1を介してシート束処理装置B内に搬入できるようになっている。さらに、装置ハウジング20の内部には、シート搬入経路P1から分岐しシートを反転方向に移送する第1のスイッチバック搬送路SP1及び第2のスイッチバック搬送路SP2が設けられており、第1のスイッチバック搬送路SP1はシート搬入経路P1よりも下流側(装置後端部側)に配置され、第2のスイッチバック搬送路SP2は第1のスイッチバック搬送路SP1よりも上流側に配置されている。また、シート搬入経路P1の排紙口24の下流側には、排紙口24と段差を隔てた下方に処理トレイ29が配置されている。
【0031】
[シート搬入経路]
シート搬入経路P1には、搬入口23から受け取ったシートを排紙口24へ向けて搬送する搬入ローラ25と、搬入経路P1の出口端に設けられ搬送されてきたシートを排紙口24から排紙させる排紙ローラ26とが設けられており、これらのローラは正逆転可能な駆動モータ(図示せず)によって駆動されるようになっている。また、シート搬入経路P1の搬入口23及び排紙口24の近傍には、それぞれ、シートの先端及び/又は後端を検出する入口センサS1及び出口センサS2が設けられている。搬入ローラ25は、
図1に示されているように、シート搬入経路P1に沿って複数の箇所に設けてもよい。排紙ローラ26は、
図4に示されているように、駆動軸26xに所定間隔で複数のローラ体が配置されたローラユニットを一対互いに圧接させた構成を有しており、搬入ローラ25も同様の構成を有している。このような構成を有した搬入ローラ25及び排紙ローラ26は、シート搬入経路P1に沿って搬入口23から排紙口24へシートを移送する際に、異なる幅サイズのシートをセンター基準又はサイド基準で搬出するように「排紙基準位置Fx」(
図4参照)が設定されている。排紙基準位置Fxは上流側に位置する画像形成装置Aのシート搬送基準と一致するように設定されることが好ましい。
【0032】
シート搬入経路P1には、さらに、第2のスイッチバック搬送路SP2にシートを案内する経路切換片27が配置され、ソレノイドなどの作動手段(図示せず)によって駆動されるようになっている。また、シート搬入経路P1上には、シートにスタンプ(捺印手段)、パンチ(穿孔手段)などの後処理を施す後処理ユニット28が設けられている。図示されている実施形態では、後処理ユニット28は、装置仕様に応じて装置ハウジング20に着脱可能なようにシート搬入経路P1の搬入口23の近傍に配置されている。
【0033】
[第1のスイッチバック搬送経路]
シート搬入経路P1の下流側に設けられた第1のスイッチバック搬送路SP1は次のように構成されている。シート搬入経路P1には、その出口端に、排紙ローラ26と排紙口24が設けられ、排紙口24の下流側には、排紙口24と段差を隔てた下方に処理トレイ29が設けられている。処理トレイ29は、排紙口24から排出された複数のシートを積載支持するトレイによって構成されている。
【0034】
処理トレイ29には、
図3及び
図4に示されているように、処理トレイ29に搬入されるシートの搬入方向前側の側辺の位置を規制する規制部材30が設けられていると共に、処理トレイ29上でシートを搬送するための搬送機構として、処理トレイ29の上方に配置される正逆転ローラ31と、処理トレイ29上で正逆転ローラと協働する従動ローラ32と、掻き込み回転体33とが設けられている。
【0035】
規制部材30は、後述する押出レバー38と同様に、断面略コの字形状のチャネル部材によって構成されており、その内側に処理トレイ29上を搬送されるシートの搬入方向先端を当接させて停止させる規制面を有している。
【0036】
正逆転ローラ31と従動ローラ32とは、処理トレイ29の搬出方向前端部(第1のスタックトレイ21側の端部)付近に設けられている。
図4に示されているように、正逆転ローラ31は、センター基準Sxを挟んで二つのローラ体が左右各一つずつ対称的に配置されており、従動ローラ32も同様の構成を有する。また、正逆転ローラ31は、処理トレイ29の上方に配置されており、処理トレイ29上の最上のシートと接する作動位置と処理トレイ29上の最上のシートから離間する待機位置との間で昇降自在となるように構成されている。詳細には、
図3に示されているように、装置フレーム(図示せず)に基端部を搖動可能に軸支されたブラケット31aの先端部に正逆転ローラ31が支持されており、ブラケット31aが駆動モータ(図示せず)の正逆転によって基端部を中心として所定角度搖動され、これに伴って正逆回転ローラ31が作動位置と待機位置との間で昇降される。さらに、ブラケット31aの基端部には、正逆転モータ(図示せず)によって駆動される駆動プーリが設けられていると共に、ブラケット31aの先端部(正逆転ローラ31側)には、正逆転ローラ31に連結された従動プーリが設けられており、駆動プーリと従動プーリとの間に掛けられたベルトを介して、正逆転ローラ31が正逆転モータによって駆動され、正逆回転するようになっている。なお、正逆転ローラ31と従動ローラ32は、正逆転ローラ31が作動位置に下降したときに、正逆転ローラ31のローラ体と従動ローラ32のローラ体とがシート束を搬送可能に上下から挟み込むように配置されている。
【0037】
このように構成された正逆転ローラ31は、処理トレイ29上にシートを進入させる際には、処理トレイ29から離間した受け入れ位置(例えば待機位置)に移動し、シートの進行方向後端が処理トレイ29上に到達すると、作動位置に下降して処理トレイ29上の最上のシートの上面に当接した状態で図中の反時計回りに回転するように制御される。
【0038】
掻き込み回転体33は、図示されている実施形態では、二つのプーリの間に掛け渡された無端ベルトで構成され、一方のプーリが下側の排紙ローラ26の駆動軸26xと共に回転するようになっており、他方のプーリが駆動軸26xと同軸のプーリの中心軸線を中心に処理トレイ29上に垂下するように搖動自在に軸支されている。掻き込み回転体33は、処置トレイ29上に積載されているシート束の最上位置のシートの上に搬送されてくる新たなシートの上面に係合し、当該シートの先端を押圧しながら図中反時計回りに回転して、シートを規制部材30に当接するまで送り込む。これにより、処理トレイ29上を規制部材30まで搬送する間に生じ得るシートのカールやスキューを解消させることができる。掻き込み回転体33は、ベルトに限定されるものではなく、パドル部材やローラなどによって構成してもよい。
【0039】
このように構成されたシート搬入経路SP1では、排紙口24から排出されたシートが、処理トレイ29上を第1のスタックトレイ21へ向かって移動し、シートの進行方向後端が排紙口24から排出されて処理トレイ29上に到達した後に、
図3中で反時計回りに回転する正逆転ローラ31により、第1のスタックトレイ21へ向かう方向(以下、「搬出方向」とも記載する。)と逆方向(以下、「搬入方向」とも記載する。)に規制部材30へ向かってスイッチバック搬送される。このとき、掻き込み回転体33は、正逆転ローラ31と協働して、シートを処理トレイ29に沿って規制部材30に当接するまで送り込む。
【0040】
[第2のスイッチバック搬送路]
シート搬入経路P1から分岐された第2のスイッチバック搬送路SP2は、
図1に示されているように、略鉛直方向に延びており、第2のスイッチバック搬送路SP2の下流側には、第2のスイッチバック搬送路SP2から送られるシートを部揃え集積する集積ガイド34が設けられている。集積ガイド34には、一対の折ローラ35と、中綴じステープラ36とが設けられており、集積ガイド34に集積されたシート束の中央部を中綴じステープラ36によって綴じ合わせ、折ローラ35によって冊子状に折り合わせて第2のスタックトレイ22に収納するようになっている。中綴じステープラ36や折ローラ35は、公知であり、適宜のタイプのものを使用することができるので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0041】
[処理トレイ]
上述したように、排紙口24の下流側には、排紙口24と段差を隔てた下方に処理トレイ29が設けられている。本実施形態では、排紙口24から排出されたシートの進行方向前側部分を第1のスタックトレイ21で支持し、それと反対側の進行方向後側部分を処理トレイ29で支持する構造(いわゆるブリッジ支持構造)を採用し、それによって処理トレイ29の寸法を全体として搬出入方向に小型化している。
【0042】
処理トレイ29上には、上述した規制部材30に加えて、サイド整合機構37と、押出レバー38と、綴じ装置がさらに設けられている。規制部材30は、排紙口24から処理トレイ29上に排出されたシートの処理トレイ29への搬入方向前端に当接することにより、シートの搬出入方向の位置を規制する。サイド整合機構37は、処理トレイ29上のシート及びシートが集積されたシート束を搬出入方向に直交する方向(すなわち幅方向)に移動させ、その側辺を基準にしてシートの幅方向の位置及び姿勢を規制及び/又は整合させる。押出レバー38は、シート束の搬出入方向に移動可能になっており、処理トレイ29上のシート束の搬出方向後側の側辺に当接して処理トレイ29から搬出する方向にシート束に力を付与する。綴じ装置は処理トレイ29上で整合されたシート束に綴じ処理を施す。なお、図示されている実施形態では、綴じ装置として、圧着綴じ処理を行う針なし綴じ装置39が設けられている。しかしながら、綴じ装置として、針なし綴じ装置39に加えて、ステープルを使って綴じ処理を行うステープル綴じ装置を設けてもよい。
【0043】
サイド整合機構37は、
図4に示されているように、処理トレイ29のセンター基準Sxを挟んで左右に配置された一対の整合部材40a,40bを含んでいる。整合部材40a,40bは、互いに内側面を対向させて、処理トレイ29の紙載面から垂直上方に延出する平板状の部材によって構成されている。各整合部材40a,40bの内側面は、それぞれ、処理トレイ29上のシートの幅方向の近接する側辺と当接して、シートの幅方向の位置を規制する規制面40xとして機能する。
【0044】
各整合部材40a,40bは、それぞれ、処理トレイ29の背面側に配置された可動支持部材41a,41bと、処理トレイ29に貫設された幅方向の直線状スリット(図示せず)を介して一体的に結合されている。整合部材40a,40bは、各可動支持部材41a,41bに形成されたラック42a,42bに噛合するピニオン43a,43bを駆動モータMa,Mbで個別に回動することによって、それぞれ、独立して互いに接近又は離反する向きに移動させ、所望の幅方向位置に停止させることができる。これにより、処理トレイ29に搬入されるシートのサイズに応じて各整合部材40a,40bの位置を個別に設定し、シート束を幅方向に移動(オフセット搬送)させる際に、その位置、移動量及びオフセット量を決定することができる。
【0045】
押出レバー38は、
図5に示されているように、断面略コの字形状のチャネル部材から構成され、その内側に処理トレイ29上のシート束の搬出方向後端に当接させるための当接面38xを有しており、コンベア装置44によって駆動されるようになっている。コンベア装置44は、駆動モータMcにより駆動される駆動プーリ45aと従動プーリ45bとの間に掛け回され、シートの搬出方向に沿って両方向に周回移動するコンベアベルト46を有し、このコンベアベルト46に押出レバー38が固定されている。押出レバー38は、上述のようなコンベア装置44によって駆動されることにより、
図5(a)に示されている処理トレイ29の搬出方向後端付近の初期位置と、
図5(b)に実線で且つ
図5(c)に想像線で示されている駆動プーリ45aと従動プーリ45bとの略中間である最大押出位置との間で、両方向に移動可能となっている。なお、本実施形態では、コンベア装置の従動プーリ45bが、従動ローラ32と同軸にかつ従動ローラ32から独立して回転可能に設けられている。
【0046】
綴じ処理装置としての針なし綴じ装置39によって綴じ処理を施されたシート束を処理トレイ29から第1のスタックトレイ21へ搬出する場合、
図5(a)に示されているように、シート束の搬出方向後側の側辺に押出レバー38の当接面38xを当接させた状態で、コンベア装置44を駆動して、押出レバー38を搬出方向に上述の最大押出位置まで移動させることによって、シート束が処理トレイ29上を搬出方向に
図5(b)に示される位置まで押し出される。これと同時に、ブラケット31aの下降により、正逆転ローラ31をシート束の上面に圧接させて、正逆転ローラ31を駆動モータにより図中時計回りに回転させ、シート束を搬出方向に搬送し、
図5(c)に示されているように、処理トレイ29上から第1のスタックトレイ21へ搬出する。押出レバー38は、シート束の搬出方向後側の側辺を当接面38xに当接させてその全体を押出レバー38の内側に保持するので、比較的高速で駆動することができる。これに対し、正逆転ローラ31は、シート束の最上面とのみ直接的に接触することから、比較的低速で回転させて、シート束を第1のスタックトレイ21へ向けて徐々に送り出すことが好ましい。正逆転ローラ31による搬送が開始されると、押出レバー38は、コンベアベルト46を逆方向に移動させることによって、初期位置に復帰させる。このように、正逆転ローラ31と押出レバー38とは、綴じ処理を施されたシート束を処理トレイ29から第1のスタックトレイ21へ向けて搬出するためのシート束搬出機構として機能する。
【0047】
針なし綴じ装置39は、互いと対向するように配置され圧接離間可能となっている一対の圧着歯部材39b、39cの間でシート束を加圧変形させて結束する。その一例を
図6を参照して説明する。針なし綴じ装置39は、ベースフレーム部材39aと、一対の圧着歯部材39b,39cと、支軸39xによりベースフレーム部材39aに搖動可能に軸支された可動フレーム部材39dとを備える。ベースフレーム部材39aにドライブカム39eが取り付けられていると共に、可動フレーム部材39dにフォロワーコロ39fが取り付けられており、ドライブカム39eにフォロワーコロ39fが係合している。ドライブカム39eが減速機構を介して駆動モータMdによって駆動されて回転し、フォロワーコロ39fがドライブカム39eのカム面に沿って従動することにより、可動フレーム部材39dが支軸39xを中心に搖動するようになっている。ベースフレーム部材39a及び可動フレーム部材39dには、それぞれ、圧着歯部材39b,39cが互いと対向するように取り付けられている。ベースフレーム部材39aと可動フレーム部材39dの間には、付勢スプリング(図示せず)が配置されており、一対の圧着歯部材39b,39cが互いから離間する方向に付勢されている。
【0048】
対向する圧着歯部材39b,39cの各加圧面には、
図6(a)に拡大図で示されているように、稜線方向に延びる複数の圧着歯が稜線方向と垂直な歯列方向に並んで形成されており、圧着歯部材39b,39cは、二つの加圧面に形成された複数の圧着歯によって形成される凹凸が互いと噛合するように配置されている。本実施形態では、
図6(b)に示されているように、綴じ部Saの波板形状がシート束の側辺に関して斜めに形成されるようにするために、複数の圧着歯の歯列方向が処理トレイ29のセンター基準Sxに関して所定の角度をなすように一対の圧着歯部材39b,39cが配置されている。このような構成により、一対の圧着歯部材39b,39cの間に挟まれて加圧されたシート束の綴じ部Saが、
図6(b)及び(c)に示されているように、断面波板形状に変形して密着し、結束される。また、付勢スプリングによって、シート束を挟圧した状態から一対の圧着歯部材39b,39cを離間させる動作が、より円滑かつ速やかに行われる。
【0049】
ベースフレーム部材39aには、一対の圧着歯部材39b,39cが圧接位置又は離間位置の何れにあるかを検出するために、図示しないポジションセンサを設けてもよい。ポジションセンサを設ければ、ポジションセンサからの一対の圧着部材39b,39cの相対位置関係を表す信号によって、綴じ処理を施した後の後述の引き剥がし処理をより円滑にかつ効率的に行うことができる。
【0050】
本実施形態では、シート束の圧着綴じ処理を行う綴じ処理位置Epが、
図4に示されているように、処理トレイ29の搬入方向奥側で、装置後部側すなわち
図4中左側の角部の外側の隣接領域に、処理トレイ29と重ならないように設定されている。針なし綴じ装置39は、綴じ処理位置Epに対応して、処理トレイ29の角部の外側の隣接領域に配置されている。したがって、処理トレイ29に搬入されたシート束は、搬入方向奥側で装置後部側に位置するコーナー部を綴じ部として、圧着綴じ処理を施される。
【0051】
[制御部]
次に、
図7を参照して、上述した画像形成システムの制御装置50の構成を説明する。画像形成システムの制御装置50は、画像形成装置Aを制御する制御部(以下「本体制御部」と記載する。)51と、シート束処理装置Bを制御する制御部(以下「後処理制御部」と記載する。)52とを備えている。
【0052】
本体制御部51は、画像形成制御部53と、給紙制御部54と、入力部としてのコントロールパネル13とを備えており、コントロールパネル13から「画像形成モード」と「後処理モード」の設定を行うことができる。画像形成モードでは、プリントアウト部数、シートサイズ、シート紙質、カラー印刷・モノクロ印刷、両面印刷・片面印刷、拡大印刷・縮小印刷、その他の画像形成条件を設定することができる。本体制御部51は、設定された画像形成条件に応じて画像形成制御部53及び給紙制御部54を制御して、所定のシートに画像形成した後、本体排紙口12からシートを順次排出させる。また、後処理モードでは、例えば、「プリントアウトモード」、「針なし綴じ仕上げモード(エコ綴じ仕上げモード)」、「シート束折り仕上げモード」などに設定することができる。本体制御部51は、後処理制御部52に後処理の仕上げモードとシート枚数、部数情報と綴じモード(1箇所綴じか2箇所以上の複数綴じか)情報、及び画像形成するシートの紙厚情報などデータを転送すると共に、画像形成の終了毎にジョブ終了信号を後処理制御部52に転送する。
【0053】
後処理制御部52は、ROM55とRAM56に接続された制御CPUによって構成されており、指定された後処理モードに応じて、ROM55に記憶された制御プログラムとRAM56に記憶された制御データとに基づいて、シート束処理装置Bを動作させる。このため、後処理制御装置52には、シート束処理装置Bに搭載された各モータの起動、停止及び正逆回転の制御を行うように、各モータの駆動回路が接続されている。各後処理モードでは、後処理制御部52は、次のような処理動作をシート束処理装置Bに実行させるようにシート処理装備Bの制御を行う。
【0054】
[プリントアウトモード]
プリントアウトモードでは、画像形成装置Aは、一連の文書を例えば第1ページから第nページまで順番に画像形成し、本体排紙口12から順次搬出する。シート束処理装置Bは、画像形成装置Aから搬出されたシートの先端が搬入口23に到達したことを入口センサS1によって検出すると、搬入ローラ25及び排紙ローラ26を回転駆動させて、シート搬入経路P1に沿ってシートを排紙ローラ26に導く。排紙口24付近に設けられた排紙センサS2によってシートの後端が検出されると、シート先端が処理トレイ29の従動ローラ32の位置(すなわち作動位置の正逆転ローラ31の位置)に到達する見込み時間の経過後、正逆転ローラ31が上方の待機位置(
図3に破線で示されている状態)から処理トレイ29上のシートと接する作動位置(
図3に実線で示されている状態)に下降され、正逆転モータによって正逆転ローラ31が
図3における時計回りに回転される。これにより、処理トレイ29上に進入したシートは、第1のスタックトレイ21へ向けて搬出され、第1のスタックトレイ21上に収納される。同様にして、後続するシートが第1のスタックトレイ21へ向けて順次搬出され、第1のスタックトレイ21上に堆積、収納される。
【0055】
このように、プリントアウトモードでは、画像形成装置Aによって画像形成されたシートは、シート束処理装置Bのシート搬入経路P1を経て、第1のスタックトレイ21に収納され、順に上方に積載収納されることとなる。プリントアウトモードでは、シートは、前述の第1のスイッチバック搬送路SP1及び第2のスイッチバック搬送路SP2には導かれない。
【0056】
[シート束折り仕上げモード]
シート束折り仕上げモードでは、シート束処理装置Bは画像形成装置Aから搬出されたシートを束状に部揃えした後、冊子状に仕上げる。詳細には、シート束処理装置Bは、画像形成装置Aから搬出されたシートの先端が搬入口23に到達したことを入口センサS1によって検出すると、搬入ローラ25及び排紙ローラ26を回転駆動させて、シート搬入経路P1に沿って排紙ローラ26に導く。次に、後処理制御部52は、入口センサS1によってシート後端を検出した時に発せられる信号を基準にして、シート後端が経路切換片27を通過したタイミングで、排紙ローラ26の回転を停止させると同時に経路切換片27を
図3に示されている状態から上方に旋回させた後、排紙ローラ26を
図3における反時計回りに逆回転させる。これにより、シート搬入経路P1に進入したシートは、搬送方向を反転され、経路切換片27によって第2のスイッチバック搬送路SP2に導かれ、集積ガイド34に案内される。
【0057】
同様にして、後続のシートが第2のスイッチバック搬送路SP2を経て集積ガイド34上に部揃えされる。後処理制御部52は、ジョブ終了信号を受け取ると、中綴じステープラ36を動作させ、シート束の中央の2箇所にステープル綴じ処理を施した後、シート中央を折り曲げ位置に位置決めして、一対の折ローラ35によって折り処理を施し、冊子状に折り曲げられたシート束を第2のスタックトレイ22に搬出させるように制御する。
【0058】
[針なし綴じ仕上げモード]
本発明によるシート束処理装置Bでは、針なし綴じ仕上げモードにおいて、圧着綴じ処理の後に、針なし綴じ装置39の圧着歯部材39b,39cからのシート束の引き剥がし処理を行う点が特徴的となっている。以下、
図8Aから
図11を参照して、後処理制御部52が、針なし綴じ仕上げモード、特に当該モードにおける引き剥がし処理、において行うシート束処理装置Bの動作の制御について、詳細に説明する。
【0059】
針なし綴じ仕上げモードでは、画像形成装置Aが、プリントアウトモードの場合と同様に、一連の文書を第1ページから第nページまで順番に画像形成して、本体排紙口15から順次搬出し、シート束処理装置Bは、画像形成装置Aから搬出されたシートの先端が搬入口23に到達したことを入口センサS1によって検出すると、搬入ローラ25及び排紙ローラ26を回転駆動させて、シート搬入口経路P1に沿って排紙ローラ26に導く(ステップSt1)。また、シートの先端が搬入口23に到達したことが検出されると、処理トレイ29へのシートの搬入を妨げないようにセンター基準Sxから十分に離れたシート受け入れ位置に整合部材40a,40bを移動させると共に、正逆転ローラ31を待機位置(すなわちシート受け入れ位置)へ移動させる(ステップSt2)。
【0060】
次に、排紙口24付近に設けられた排紙センサS2によってシートの後端が排紙ローラ26を通過したことを検出すると(ステップSt3)、後処理制御装置52は、シート先端が処理トレイ29の従動ローラ32の位置(すなわち作動位置の正逆転ローラ31の位置)に到達する見込み時間の経過後、
図8A(a)に示されているように、正逆転ローラ31を上方の待機位置から処理トレイ29上のシートと接する作動位置へ下降させ(ステップSt4)、
図3中の反時計回りに正逆転ローラ31を所定量回転させて処理トレイ29上で規制部材30へ向けてシートを送り込む(ステップSt5)。このとき、掻き込み回転体33も
図3中の反時計回りに回転させられ、
図8A(b)に示されているように、シートの進行方向前側の側辺が規制部材30に当接するまで、シートが搬送される。
【0061】
処理トレイ29へのシートの搬入がシートの規制部材30への当接によって停止すると、後処理制御部52は、正逆転ローラ31を待機位置へ上昇して停止させ(ステップSt6)、
図8A(b)に示される受け入れ位置から、シートを幅方向の両側から挟み込むように、整合部材40a,40bを内側に移動させる(ステップSt7)。整合部材40a,40bは、それぞれの規制面40xをシートの幅方向の両側の側辺(すなわち幅方向に面した二つの側辺)に当接させ、両規制面40xの離隔距離がシートの幅寸法と一致する位置まで移動させられる。これにより、各シートは、
図8A(c)に示されているように、その幅方向の中心が処理トレイ29のセンター基準Sxに一致するように整合される。一つのシート束として綴じられる所定枚数のシートが処理トレイ29上に上述したように整合されて集積されるまで、上記のステップSt1からステップSt7が繰り返される(ステップSt8)。
【0062】
所定枚数のシートが処理トレイ29上に整合されて集積されると、後処理制御部52は、整合部材40a,40bと押出レバー38を駆動して、シートを集積させたシート束を綴じ処理位置へ移動させる(ステップSt9)。図示される実施形態では、後処理制御部52は、まず、
図8B(d)に示されているように、整合部材40a,40bを受け入れ位置に復帰させずに、シート束を幅方向の両側から挟んだまま、幅方向に綴じ処理位置Ep側へ向けて所定のオフセット量だけオフセット移動させる。このとき、整合部材40a,40bは、シート束の装置後部側の側辺がその幅方向に綴じ処理位置Epを少し越えた位置で停止させられる。
図8B(d)に示されている状態では、シート束の装置後部側の側辺は、針なし綴じ装置39の離間された圧着歯部材39b,39cの間に、圧着歯部材39b,39cから十分に隔離して配置されている。この状態で、後処理制御部52は、コンベア装置44を駆動して搬出方向(処理トレイ29から搬出する方向)に押出レバー38を移動させ、シート束を搬出方向に押し出して、所定の距離だけ搬出方向に移動させる。押出レバー38は、搬出方向に綴じ処理位置Epよりも少し手前の位置でシート束の側辺を停止させる。これにより、
図8B(e)に示されているように、綴じ処理を施そうとするシート束のコーナー部が綴じ処理位置Epに位置決めされる。
【0063】
シート束のコーナー部が綴じ処理位置Epに位置決めされると、後処理制御部52は、コマンド信号を発信して、針なし綴じ装置39を駆動させ、圧着綴じ処理を実行させる(ステップSt10)。これにより、針なし綴じ装置39は、噛合する一対の圧着歯部材39b,39cの間でシート束のコーナー部を、
図6(c)に示されている断面波形形状に加圧変形させて結束させる。圧着綴じ処理後、針なし綴じ装置39は、一対の圧着歯部材39b,39cを離間させると共に、後処理制御部52に処理エンド信号を発信する。
【0064】
圧着綴じ処理が終了すると、後処理制御部52は、押出部材としての押出レバー38及びサイド整合機構37によって構成される引き剥がし機構を駆動して、離間した圧着歯部材39b,39cの一方に密着しているシート束のコーナー部を圧着歯部材39b又は39cから引き剥がす引き剥がし処理を行った後(ステップSt11)、押出レバー38と正逆転ローラ31とによって構成されるシート束搬出機構を駆動して、処理トレイ29から第1のスタックトレイ21へ圧着綴じ処理を施されたシート束を搬出するシート束搬出処理を実行する(ステップSt12)。引き剥がし処理及びシート束搬出処理は以下で詳しく説明する。
【0065】
[引き剥がし処理及びシート束搬出処理]
圧着綴じ処理の際には、圧着歯を有した一対の圧着歯部材39b,39cをシート束に強く押し付けるため、シート束が一対の圧着歯部材39b,39cの一方に食いついて密着した状態となってしまい、この状態でシート束を強制的に搬出すると、結束が弱くなったり、搬送機構やシートの破損を生じる恐れがある。このため、本発明によるシート束処理装置Bでは、圧着綴じ処理後に引き剥がし機構を用いて引き剥がし処理を行った後に、処理トレイ29からシート束を搬出する。また、引き剥がし機構は、線形独立な方向(すなわち非平行な方向)の力をシート束に付与できる二つの押出部材を用いて、圧着歯部材39b,39cの圧着歯に食い込んだシート束の圧着歯に対する抵抗が小さくなる方向に、二つの押出部材が圧着綴じ処理後のシート束にそれぞれ付与する力の合力の作用方向を調整することによって、小さい力で圧着歯からシート束を引き剥がすようにしている。本実施形態では、線形独立な方向の力をシート束に付与できる二つの押出部材として、搬出方向に駆動される押出レバー38と、幅方向に駆動される整合部材40aとを用いている。しかしながら、引き剥がし機構の押出部材は、シート束に線形独立な力を付与できるものであれば、押出レバー38や整合部材40aに限定されるものではなく、例えば、押出レバー38や整合部材40aと同じ方向に移動することができる別の部材を設けてもよい。
【0066】
後処理制御部52は、圧着綴じ処理が終了すると、
図9A(a)に示されているように、シート束の隣接する異なる側辺に押出レバー38及び整合部材40a,40bが当接した状態で、コンベア装置44を駆動して搬出方向に押出レバー38を移動させると共に、駆動モータMa,Mbを駆動して互いからシート幅分だけ離れた状態を保ったまま整合部材40a,40bを幅方向(搬出方向と垂直な方向)に針なし綴じ装置39から離れる向きにオフセット移動させる(ステップSt21)。これにより、押出レバー38がシート束に付与する力と整合部材40a,40bがシート束に付与する力の合力の作用方向に延びる力作用軸線が圧着歯部材39b,39cの圧着歯に食い込んだシート束の圧着歯に対する抵抗が小さくなる方向に向くように、シート束に力を付与して、針なし綴じ装置39に対してシート束を移動させる。本実施形態では、圧着歯部材39b,39cに対するシート束の抵抗が最も小さくなるように、押出レバー38がシート束の搬出方向後側の側縁当接して付与する力と整合部材40a,40bがシート束の幅方向へ向いた側辺に当接して付与する力の合力の作用軸線が圧着歯部材39b,39cの各圧着歯の稜線方向と平行な方向に延びるように、押出レバー38と整合部材40a,40bの動作が後処理制御装部52によって制御される。これにより、
図9A(b)に示されているように、シート束が針なし綴じ装置39に対して圧着歯部材39b,39cの圧着歯の稜線方向に移動させられ、小さい力で圧着歯部材39b,39cからのシート束の引き剥がしを行うことができる。
【0067】
本実施形態では、引き剥がし処理の際に、互いの間の距離をシート幅に保ったまま一対の整合部材40a,40bをシート束の幅方向にオフセット移動させることにより、シート束に幅方向の力を付与している。しかしながら、整合部材は、押出レバー38がシート束に付与する搬出方向の力と線形独立な(すなわち非平行な)幅方向の力をシート束に付与できればよく、一つの整合部材40aのみによってシート束に力を付与してもよい。この場合、例えば、最初に、整合部材40bをシート束の側端縁から幅方向に離間させた後に、整合部材40aを幅方向に整合部材40bへ向かって移動させればよい。
【0068】
引き剥がし処理が完了すると、後処理制御部52は、押出レバー38と整合部材40a,40bの移動を停止させる(ステップSt22)。引き剥がし処理が完了して整合部材40a,40bの移動を停止させた後も、さらに押出レバー38を搬出方向に移動させ、押出レバー38をシート束搬出機構として使用して処理トレイ29からシート束を搬出するようにしてもよい。この場合、押出レバー38は、処理トレイ29からシート束を搬出するシート束搬出機構として機能することになる。次に、後処理制御部52は、
図9B(c)に示されているように、待機位置から処理トレイ29上のシート束の最上のシートと接する作動位置へ正逆転ローラ31を下降させる(ステップSt23)。押出レバー38は、
図8A(a)に示されている初期位置に復帰させる。さらに、後処理制御部52は、
図9B(d)に示されているように、正逆転ローラ31を
図3中の時計回りに回転させることにより、処理トレイ29から第1のスタックトレイ21へ向けてシート束を搬出する(ステップSt24)。このとき、シート束の最上のシートが下側のシートに対して滑らないように、正逆転ローラ31を比較的低速で回転させ、第1のスタックトレイ21へ向けてシート束を徐々に送り出すことが好ましい。このように、正逆転ローラ31は、処理トレイ29からシート束を搬出するシート束搬出機構としても機能する。
【0069】
なお、
図9(d)に示されているように、正逆転ローラ31によるシート束の搬出の際に、シート束の幅方向を向いた側辺に整合部材40a,40bが当接していれば、正逆転ローラ31がシート束の中心軸線から離れた位置に非対称に接触しても、シート束の両側端縁が整合部材40a,40bによって規制されるので、搬出方向に対して真直ぐな姿勢が維持される。
【0070】
次に、シート束の搬出方向後端が正逆転ローラ31を通過すると(ステップSt25)、後処理制御部52は、正逆転ローラ31の回転を停止させ、シート束搬出処理を完了させる(ステップSt26)。
【0071】
以上、図示される実施形態を参照して、本発明によるシート束処理装置、これを備えた画像形成システム及びシート束引き剥がし方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、シート束の綴じ位置及び針なし綴じ装置39の位置は、処理トレイ29に関して異なる位置に設定することができ、その場合にも、針なし綴じ装置39の圧着歯部材39b,39cの圧着歯に対するシート束の抵抗が小さくなる方向にシート束を移動することによって、上記実施形態と同様に、圧着歯部材39b,39cからのシート束の引き剥がし処理を小さい力で容易に行うことができる。