(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図7は壁面に取り付けられた従来の自然給排気装置の外観形状を概略的に示した斜視図であり、
図8は
図7に示したVIII−VIIIラインの端面図である。又、
図7及び
図8の(1)は開閉蓋が閉状態のものであり、(2)は開閉蓋が開状態のものである。
【0003】
これらの図を参照して、家屋等の室内において、壁面63に自然給排気装置61は取り付けられ、室内の空気の入れ替えを行っている。
【0004】
自然給排気装置61は、自然給排気本体65と、通気口用フィルター81とから構成されている。自然給排気本体65は、矩形形状を有する平坦面71と、平坦面71の中央に形成される通気口75と、平坦面71の外縁全周に接続され壁面に沿うように配置される枠体74と、平坦面71に対向すると共に枠体74を塞ぐように取り付けられる開閉蓋66とを備えている。開閉蓋66は、コーナー部68が丸められた正方形平板形状を有している。又、通気口75の中心には、開閉蓋66に形成されている作動杆67を摺動自在とする軸体78が形成されている。
【0005】
尚、自然給排気本体65の軸体78と開閉蓋66の作動杆67との係合状態にあっては、軸体78における作動杆67との係合位置を複数段階に変化させることが可能であり、それによって開閉蓋66の室内方向への移動距離を調節した状態で保持することができる。又、軸体78と作動杆67との係合状態を解除することにより、開閉蓋66を自然給排気本体65から取り外すことも可能である。
【0006】
そして、平坦面71の中央には、通気口75を塞ぐ大きさの通気口用フィルター81が脱着自在に取り付けられている。又、通気口用フィルター81は、不織布82と、不織布82の形状を固定する保持部83とから構成されている。
【0007】
自然給排気装置61の不使用時には、
図7及び
図8においてそれぞれ(1)に示したように、開閉蓋66は、緩衝材73を介して平坦面71と接触している閉状態であり、外気が室内に出入りすることがない。
【0008】
一方、自然給排気装置61の使用時には、
図7及び
図8においてそれぞれ(2)に示したように、開閉蓋66の作動杆67と自然給排気本体65の軸体78との係合状態を調節し、開閉蓋66を室内方向に移動させた開状態で保持することにより、
図8の(2)において矢印で示すように、通気口75を介した外気の室内への出入りが可能となる。そして外気が室内側に流れ込むときには、通気口用フィルター81の不織布82によって外気に含まれている花粉等の粉塵は除去されるので、室内側には新鮮な空気を取り入れることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来の自然給排気装置61の使用を継続すると、粉塵によって通気口用フィルター81の不織布82が汚れ、フィルター性能が低下していくという問題が存在する。通気口用フィルター81を交換することでこの問題は解決するが、通気口用フィルター81を交換するためには、まず開閉蓋66を取り外す必要がある。
【0010】
図9は開閉蓋を取り外した、従来の自然給排気装置の外観形状を概略的に示した正面図である。
【0011】
図を参照して、通気口用フィルター81は、図示しない開閉蓋が覆っていた平坦面71の中央に脱着自在に取り付けられている。それゆえ、通気口用フィルター81を交換するためには、まず開閉蓋を取り外す必要がある。そして開閉蓋を取り外すためには、上述した
図8で示したような、開閉蓋66の作動杆67と自然給排気本体65の軸体78との係合状態を解除する必要があり、一般使用者にとっては容易でない。
【0012】
更に、開閉蓋を取り外した後でも、通気口用フィルター81を交換する際には、更に以下のような問題が存在する。
【0013】
図10は
図9に示した従来の自然給排気装置において、通気口用フィルターを取り外した状態の自然給排気本体及び通気口用フィルターのそれぞれの外観形状を概略的に示した正面図であり、
図11は
図10に示した自然給排気本体の外観形状を概略的に示した斜視図である。
【0014】
これらの図を参照して、通気口75は円筒形状に形成されており、その内部は補強部77によって補強されている。又、補強部77の中央には軸体78が設けられている。
【0015】
そして通気口75の内壁76には、内壁76の一部が通気口75へと突出することで形成されたストッパー79が、補強部77よりも室内側の、通気口75を介して対向する位置4箇所に配置されている。又、各々のストッパー79の間には、平坦面71の一部が通気口75側へ向かって凹むことで形成された取付部72が4箇所に形成されている。
【0016】
一方、通気口用フィルター81は、上述のように不織布82と保持部83とから構成されている。保持部83の中央には開口枠部87が形成され、通気口用フィルター81を自然給排気本体65に取り付ける際には軸体78が開口枠部87を貫通するように構成されている。不織布82は、開口枠部87の内方が開口するようにして、保持部83の一方面側に貼着されている。そのため、通気口用フィルター81を交換する際には、不織布82だけを取り替えることはできず、通気口用フィルター81全体を新品のものと交換する必要がある。
【0017】
このように、従来の自然給排気装置61にあっては、通気口用フィルター81は、その保持部83の外枠形状が取付部72の形状に適合した、当該自然給排気装置専用のフィルターでなければならないため、機種適合性に欠ける。又、この問題は、作動杆等を備えない開閉蓋を有する自然給排気装置にあっても同様に生じる。
【0018】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、自然給排気装置に対する機種適合性が高く、又、容易に取り付け及び取り外しが可能である通気口用フィルター
及び自然給排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、室内側の壁面に取り付けられ、
開閉蓋と開閉蓋と重なる平坦面と平坦面の中央に形成される通気口と平坦面の外縁全周
から延びて壁面
に固定される枠状の枠体と
を有し、開閉蓋は平坦面に対向するように
開閉自在に取り付けられ
、閉状態において枠体の枠状内部を塞ぐように取り付けられ、開状態において枠体から室内方向に一定距離離れて隙間を設けた状態となる自然給排気本体と、自然給排気本体に対して取り付け
られる通気口用フィルター
とを備える自然給排気装置であって、
通気口用フィルターは、平板状の連泡スポンジを備え、連泡スポンジは、
開閉蓋の開状態における隙間全周を塞ぐように10〜20%圧縮状態で設置
され、連泡スポンジの厚さ1cmあたりのJIS L 1096 A法(フラジール形法)によって測定した1秒間に1cm
2の面積を通過する空気量(cc/cm
2/sec)が400以上3000以下の範囲内にあ
り、設置時における連泡スポンジの外縁は、平坦面に対する開閉蓋の外縁の投影位置よりも大きいものである。
【0020】
このように構成すると、通気口用フィルターの取り付け及び取り外しが可能となる。又、通気性能及びフィルター性能が高く、かつ自然給排気本体の設置壁面の汚れの発生を抑えられ
る。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、連泡スポンジは、ウレタンフォームよりなるものである。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、連泡スポンジは、厚さが1〜3cmの範囲内にあり、孔径の相加平均が0.5〜2.5mmの範囲内にあるものである。
【0023】
請求項4記載の発明は、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の自然給排気装置に含まれる、通気口用フィルターである。
【0024】
このように構成すると、
通気性能及びフィルター性能が高く、かつ自然給排気本体の設置壁面の汚れの発生を抑えられる通気口用フィルターとなる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、通気口用フィルターの取り付け及び取り外しが可能となり、又、通気性能及びフィルター性能が高く、更に自然給排気本体の設置壁面の汚れの発生を抑えられ
るため、機種適合性が向上する。又、使い勝手が向上する
。
【0026】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、安定した通気性能及びフィルター性能を有し、又、自然給排気本体の設置壁面の汚れの発生を抑えられ、更に、コスト的にも好ましい
ものとなる。
【0027】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、多様な機種の自然給排気本体における開閉蓋の開状態にある時の枠体と開閉蓋とからなる隙間の距離に対応することができる。又、安定した通気性能及びフィルター性能を有し、更に自然給排気本体の設置壁面の汚れの発生を抑えられる
ものとなる。
【0028】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、
通気性能及びフィルター性能が高く、かつ自然給排気本体の設置壁面の汚れの発生を抑えられる通気口用フィルターとなるため、機種適合性が向上する。又、使い勝手が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1はこの発明の実施の形態による通気口用フィルターの外観形状を示す概略斜視図である。
【0031】
図を参照して、通気口用フィルター1は、ウレタンフォームの連泡スポンジからなる弾性体であり、平板状の本体2と、本体2に形成され、図示しない作動杆又は軸体が挿通できる大きさの開口3と、開口3から本体2の外縁まで連続する波型形状の切れ目4と、本体2に形成され、開口3に対する切れ目4の形成方向の反対方向に突出する突出部6とで構成されている。本体2は、その外縁の頂点部5が、本体2の板厚方向(以下、この方向を正面とする。)から見て丸みを帯びるように延伸した形状となっている。
【0032】
通気口用フィルター1に用いられる連泡スポンジの構造は、気泡体が連続してつながっている状態であり、気体や液体を通し、弾性体として形状回復性に優れる。この実施の形態にあっては、孔径(各気泡体の正面視直径)の相加平均は1.5mm程度である。
【0033】
次に、使用に際して自然給排気本体へ取り付けた状態の通気口用フィルター1について説明する。
【0034】
図2は自然給排気本体に対して取り付けた、
図1で示した通気口用フィルター及び自然給排気本体の外観形状を示す概略斜視図であって、(1)は開閉蓋を取り付けた状態を示すものであり、(2)は開閉蓋を取り外した状態を示すものである。
【0035】
尚、自然給排気本体については、従来例と基本的に同様のものであるので説明を繰り返さない。通気口用フィルター1を使用する際には、開閉蓋16が上述した開状態にある時、切れ目4が自然給排気本体15の軸体28又は作動杆17と対向するようにして通気口用フィルター1を持ち、枠体24と開閉蓋16とからなる隙間に押し込むようにして自然給排気本体15に取り付ける。
【0036】
これらの図を参照して、通気口用フィルター1は、開口3が自然給排気本体15の軸体28又は開閉蓋16の作動杆17に嵌合し、切れ目4は弾性によって形状が回復するように閉じ、自然給排気本体15に対して取り付けが完了した状態である。このとき、開口3に軸体28又は作動杆17が挿通した状態であるため、取り付け状態が安定している。
【0037】
尚、通気口用フィルター1を自然給排気本体15から取り外す際には、取付時に押し込んだ方向とは反対方向に引っ張ることで、切れ目4が広がり、容易に取り外し交換することが可能である。
【0038】
このように、通気口用フィルター1は、上述した弾性体ゆえの形状回復性を利用し、枠体24と開閉蓋16との隙間に押し込むようにして取り付けるため、上記
図10で示したような従来の通気口用フィルター81の保持部83を必要としない。それゆえ、通気口用フィルター1を取り付ける自然給排気本体に対しても、従来の保持部に適合するような構造を要求しない。
【0039】
そして、通気口用フィルター1は、本体2の外縁の位置が、設置時における本体に対する開閉蓋の外縁の投影位置に対して大きく設定されているため、開閉蓋16と枠体24とからなる隙間全周を塞いでおり、設置に誤差が生じてもその誤差を吸収することができ、フィルター効果を維持することが可能である。
【0040】
図3は
図2で示したIII−IIIラインの端面図である。
【0041】
図を参照して、通気口用フィルター1は、取付状態において、厚さがやや圧縮された状態で開閉蓋16と枠体24とからなる隙間全周を塞いでいる。ここで、開閉蓋16の室内方向への移動状態は複数段階に調節でき、また通気口用フィルター1は弾性体からなるため、多様な自然給排気本体に対して通気口用フィルター1の厚さが開閉蓋16と枠体24とからなる隙間に適合するように調節でき、取付状態が安定している。又、それに加えて、上述したように、開閉蓋16と枠体24とからなる隙間全周を塞ぐ大きさも有しているため、通気口25から流入する外気に対して、確実にフィルター効果を奏することが可能である。
【0042】
このように、この発明による通気口用フィルター1は、機種適合性が高く、多様な自然給排気本体に対してフィルター効果を奏することが可能である。
【0043】
ところで、通気口用フィルター1の使用時に、外気の流入によって室外側からの強い圧力を受けると、通気口用フィルター1が圧縮され、枠体24と通気口用フィルター1との間に隙間が発生し、その隙間に外気に含まれる粉塵が付着することによって通気口25の室内側周辺に汚れが発生することがある。この汚れの発生は、枠体24と開閉蓋16とからなる隙間に挟み込むことによって取り付けるタイプの通気口用フィルターにとってはフィルター効果を損なう特有の問題である。
【0044】
そこで、この問題を生じる現象について説明する。
【0045】
図4は所定の弾性係数の通気口用フィルターを用いた、取付状態の通気口用フィルターの圧縮状態を模式的に示した拡大端面図であって、(1)は外気の流入による圧力が相対的に小さい状態のものであり、(2)は外気の流入による圧力が相対的に大きい状態のものである。尚、図の左側が室外側であり、右側が室内側である。
【0046】
まず(1)を参照して、通気口用フィルター1の室外側の面の上端部と枠体24の下部が接しており、又、通気口用フィルター1の室内側の面と開閉蓋16が接している。これによって、通気口用フィルター1は一点鎖線で描いた設置前の非圧縮状態の形状から、実線で描いた設置後の圧縮状態の形状に圧縮されており、その取付状態が安定している。そして、通気口25を通して外気の出入りが行われている。
【0047】
ここで、通気口用フィルター1の圧縮に向けて室外側から働く圧力をP、通気口用フィルター1の弾性により圧縮に対して働く単位面積あたりの反力をF、通気口用フィルター1の非圧縮状態の厚さをT
0、開閉蓋16と枠体24とからなる隙間の距離をT
1、通気口用フィルター1の圧縮による厚さの減少距離をYとおく。
【0048】
このとき、Y=T
0−T
1であり、この実施の形態にあってはYはT
0の15%程度に設定されている。即ち、通気口用フィルター1は開閉蓋16と枠体24とからなる隙間全周を塞ぐように15%程度圧縮状態で設置されている。又、この通気口用フィルター1の厚さがT
1であるときの反力をF
1とおくと、F
1は通気口用フィルター1の圧縮弾性係数により、Y/T
0、即ちYに比例して決定される。
【0049】
図4(1)の状態にあっては、外気の流入により通気口用フィルター1の圧縮に向けて働く相対的に小さい圧力P
1は、反力F
1よりも小さいため、図示しない壁面及び自然給排気本体により位置が固定された枠体24によって仮想的に発生する圧力P
0によって、F
1=P
0+P
1が成り立つと考えられる。そして、P
1を徐々に大きくしていくと、P
0がそれに伴って減少していき、F
1=P
1が成り立つときにP
0=0となる。即ち、F
1=P
1となるまで、通気口用フィルター1の厚さはT
1で固定されている。
【0050】
更にP
1を大きくしていき、相対的に大きい圧力P
2となった状態が(2)である。
【0051】
(2)を参照して、通気口用フィルター1の圧縮に向けてP
2が加わり、通気口用フィルター1は一点鎖線で描いた(1)の状態(厚さT
1)から実線で描いた状態に圧縮され厚さT
2となり、枠体24と通気口用フィルター1との間に隙間が生じている。この開いた隙間の距離をXとおき、通気口用フィルター1が厚さT
2になるときの隙間の距離をX
1とすると、通気口用フィルター1の弾性係数によりX
1/T
0、即ちX
1と比例した反力F
2が更に発生し、P
2=F
1+F
2が成り立ち、通気口用フィルターは厚さT
2の圧縮状態となると考えられる。
【0052】
このように、所定の弾性係数である通気口用フィルターに対しては、外気の流入による圧力Pを徐々に大きくしていくと、P≦F
1の範囲では通気口用フィルターの厚さはT
1で維持されると考えられる。又、P>F
1の範囲では通気口用フィルターが厚さT
1よりも圧縮され、隙間(距離X)が発生し、更にXはPの増大に伴って大きくなると考えられる。
【0053】
ここで、反力Fは通気口用フィルターの弾性係数に比例するため、圧力Pを一定として通気口用フィルターの弾性係数を変化させたときの状態について説明する。
【0054】
図5は所定の圧力の外気の流入を受けた、取付状態の通気口用フィルターの圧縮状態を模式的に示した拡大端面図であって、(1)は弾性係数が相対的に大きい通気口用フィルターのものであり、(2)は弾性係数が相対的に小さい通気口用フィルターのものである。
【0055】
まず(1)を参照して、この通気口用フィルター1にあっては弾性係数が相対的に大きいため、Yに比例して発生する反力F
1も相対的に大きくなる。そのため、P
1<F
1となり、枠体24による圧力P
0が発生してF
1=P
0+P
1が成り立つ状態となり、通気口用フィルター1の厚さはT
1で維持されている。
【0056】
次に(2)を参照して、この通気口用フィルター1にあっては弾性係数が相対的に小さいため、Yに比例して発生する反力F
1も相対的に小さくなる。そのため、P
1>F
1となり、距離X
1の隙間が発生してP
1=F
1+F
2が成り立つ状態となり、通気口用フィルター1の厚さはT
2となる。
【0057】
このように、通気口用フィルターの弾性係数が小さいほど、同一圧力Pに対して伴う反力Fも小さくなるため、枠体と通気口用フィルターとからなる隙間が発生する圧力Pの下限が小さくなると考えられる。又、隙間が発生してからの圧力Pの増加量に対する隙間の距離Xの増加量の比率が高くなると考えられる。
【0058】
図6は以上の理論に基づき、圧力Pと隙間の距離Xの関係を示したグラフである。
【0059】
図を参照して、横軸は圧力Pを表し、縦軸は隙間の距離Xを表す。図においては弾性係数の異なる4種類の通気口用フィルターA〜Dのデータを表し、通気口用フィルターAが最も弾性係数の大きいものであり、通気口用フィルターBが通気口用フィルターAの次に弾性係数の大きいものであり、通気口用フィルターCが通気口用フィルターBの次に弾性係数の大きいものであり、通気口用フィルターDが最も弾性係数の小さいものである。
【0060】
通気口用フィルターAは、X>0となる(隙間が発生する)圧力Pの下限が最も高く、又、傾き(隙間が発生してからの圧力Pの増加量に対する隙間の距離Xの増加量の比率)は最も小さい。通気口用フィルターBは、X>0となる圧力Pの下限が通気口用フィルターAのものより低く、又、傾きは通気口用フィルターAのものより大きい。通気口用フィルターCは、X>0となる圧力Pの下限が通気口用フィルターBのものより低く、又、傾きは通気口用フィルターBのものより大きい。一方、通気口用フィルターDは、X>0となる圧力Pの下限が最も低く、又、傾きは最も大きい。
【0061】
即ち、弾性係数が相対的に大きいほど、隙間が発生し始めるためにより大きい圧力Pを必要とし、又、隙間が発生してからも隙間の距離Xは増加しにくい。
【0062】
そして、隙間の距離Xが大きいほど、通気口用フィルターでなく隙間を外気が通りやすくなるため、外気に含まれる粉塵によって通気口周辺に汚れが発生する虞が高まる。そのため、使用時に想定される圧力Pの上限をQ、汚れの発生という観点から許容しうる隙間の距離Xの上限をδとおくと、圧力Qがかかった時点で隙間の距離がδ以下であるならば、汚れの発生は抑えられることになる。
図6の場合、弾性係数が相対的に大きい通気口用フィルターA及び通気口用フィルターBがその条件を満たす。
【0063】
ここで、通気口用フィルターの弾性係数が大きいということは、その通気口用フィルターが弾性的に硬いということであり、又、通気口用フィルターの弾性係数が小さいということは、その通気口用フィルターが弾性的に軟らかいということである。そして、通気口用フィルターの硬さは、その構造によって定まる。即ち、同じ素材からなるものであれば、通気口用フィルターが密に詰まった連泡スポンジからなるものであれば硬く、又、通気口用フィルターが疎な構造である連泡スポンジからなるものであれば軟らかい。そして、通気口用フィルターの構造は、通気口用フィルターの通気性能と密接な相関関係がある。即ち、密に詰まった連泡スポンジからなる、硬く、弾性係数の大きい通気口用フィルターは通気量が低く、疎な構造である連泡スポンジからなる、軟らかく、弾性係数の小さい通気口用フィルターは通気量が高い。そして、上述したように、弾性係数が相対的に大きい通気口用フィルターほど汚れの発生が抑えられるため、通気量が一定以下の通気口用フィルターは汚れの発生が抑えられ、通気量が一定以上高い通気口用フィルターは汚れが発生してしまうと考えられる。
【0064】
次に、通気口用フィルターとしての性能が高くなる連泡スポンジを求めるため、各種実施例、比較例に対して、通気性、花粉捕集効率、及び汚れの発生について実験を行った結果が以下の表1である。
【0065】
【表1】
実験には、厚さ1cmで平板状の、構造の異なる18種類のウレタンフォームよりなる連泡スポンジの試験体を用いた。尚、構造の違いは連泡スポンジの孔径の違いによるものである。
【0066】
まず、通気量(cc/cm
2/sec)は、JIS L 1096 A法(フラジール形法)により求めた。即ち、まず約200mm×200mmの試験片を5枚調整してフラジール形試験機に取り付ける。次に、傾斜形気圧計が125Paの圧力になるように吸込みファン及び空気孔を調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力を測定する。そして、測定した圧力と使用した空気孔の種類から、試験機に付属している換算表によって、試験体の1秒間に1cm
2の面積を通過する空気量(cc/cm
2/sec)を求めた。この通気量のデータは、各試験体の連泡スポンジを用いた通気口用フィルターの通気性能の指標となるものである。
【0067】
そして、通気量が400以上のもの(実施例1〜12、及び比較例4〜6)は通気性能が良いため、○(適)と評価した。一方、通気量が300以下のもの(比較例1〜3)は通気性能が悪いため、×(不適)と評価した。又、○と評価した通気量400以上の範囲内においては、通気量が高くなるにつれ連続的に通気性能が良くなっていった。
【0068】
次に、花粉捕集効率の測定は、ボーケン規格BQE A 030の花粉通過性試験に準ずる試験条件を利用して試験を行った。尚、スギ花粉に代えて石松子(粒径がスギ花粉と同等の約30μmとされる天然物)を用いた。そして、吸引前の付着花粉重量(a)と吸引前のろ紙の重量(b)と吸引後のろ紙の重量(c)を測定し、花粉捕集効率(%)=100−{(c−b)/a}×100として算出した。この花粉捕集効率のデータは、通気口用フィルターのフィルター性能の指標となるものである。
【0069】
そして、通気量が3200以下のもの(実施例1〜12、及び比較例1〜4)は花粉捕集効率が10%以上であり、フィルター性能が良いため、○と評価した。一方、通気量が3500以上のもの(比較例5、6)は花粉捕集効率が10%未満であり、フィルター性能が悪いため、×と評価した。又、○と評価した花粉捕集効率が10%以上の範囲内においては、通気量が低くなるにつれ連続的にフィルター性能が良くなっていった。
【0070】
次に、汚れの発生の測定には、外気に含まれる粉塵として着色したチョーク粉末を用い、実際の使用時を想定して各実施例、比較例を通気口用フィルターとして自然給排気本体に取り付けた状態で、室外側が想定される方向から、使用時には強風と想定される平均風速5m/sで1分間チョーク粉末を含ませた風を送り、室内側の通気口周辺に汚れが発生したか否かを目視で判断した。尚、試験体の通気口用フィルターは厚さ1cmのもの、厚さ2cmのもの、厚さ3cmのものを用いた。
【0071】
そして、厚さ1〜3cmの範囲の全てのものにおいて、通気量が3000以下のもの(実施例1〜12、及び比較例1〜3)は汚れが確認されなかったため、○と評価した。一方、通気量が3200以上のもの(比較例4〜6)は汚れが確認されたため、×と評価した。又、×と評価した通気量3200以上の範囲内においては、通気量が高くなるにつれ連続的に汚れた範囲の面積が大きくなっていた。
【0072】
以上の実験結果から、通気性、花粉捕集効率、及び汚れの発生のすべてにおいて○と評価した範囲が、通気量(cc/cm
2/sec)が400以上3000以下の範囲内にあるものである。
【0073】
この範囲内にある連泡スポンジからなる通気口用フィルターは、通気性能に優れ、かつフィルター性能に優れ、更に使用時において通気口周辺に汚れが発生しないものである。そのため、連泡スポンジからなる通気口用フィルターにおいては二律背反の関係にある通気性能及びフィルター性能を高い効果で両立するばかりでなく、上述した枠体と開閉蓋とからなる隙間に挟み込むようにして取り付ける通気口用フィルターに特有の問題を解決する、連泡スポンジからなる通気口用フィルターとして顕著に優れた効果を有するものである。
【0074】
尚、通気量が低いものは孔径が小さく密に詰まった構造の連泡スポンジであり、通気量400において孔径は0.5mmである。又、通気量が高いものは孔径が大きく疎な構造の連泡スポンジであり、通気量3000において孔径は2.5mmである。更に、通気量を400から3000まで大きくするにつれ、孔径は対応して連続的に大きくなるため、通気量400以上3000以下の範囲内において、連泡スポンジの孔径は0.5〜2.5mmの範囲内にある。
【0075】
尚、上記の実験では、試験体として厚さ1cmの連泡スポンジを用いたが、実験は厚さ1cmあたりの実験結果によって優れた通気口用フィルターを生産するために用いられる連泡スポンジを求めるのが目的であり、使用時において通気口用フィルターは厚さ1〜3cmの範囲内で同様の効果を奏する。
【0076】
又、上記の実施の形態では、連泡スポンジの孔径が1.5mm程度であるが、0.5〜2.5mmの範囲内にあれば良い。
【0077】
更に、上記の実施の形態では、通気口用フィルターの連泡スポンジが15%程度圧縮された状態で取り付けられているが、圧縮状態が10〜20%の範囲内であれば同様の効果を奏することができる。
【0078】
更に、上記の実施の形態では、ウレタンフォームよりなる連泡スポンジを用いているが、連泡スポンジの素材は天然ゴム系、合成ゴム系、PE(ポリエチレン)系、ビニール系等でも良い。
【0079】
更に、上記の実施の形態では、通気口用フィルターの本体の外縁が、設置時に本体への開閉蓋の投影位置に対して余剰分が設定された略矩形形状であって、更に頂点部分が正面視において丸みを帯びるように延伸した形状であるが、余剰分の無い形状であっても良い。
【0080】
更に、上記の実施の形態では、作動杆等を挿通する挿通部として特定形状の開口を本体に形成しているが、この開口に代えて他の形状の開口や、×状、+状の切込みや、単なる切れ目の先端部等の他の形状による挿通部を使用しても良い。
【0081】
更に、上記の実施の形態では、開閉蓋は、枠体を塞ぐように作動杆を介して取り付けられ、枠体から室内方向に移動自在に構成される自然給排気装置を対象としているが、作動杆等を有さずに枠体から所定距離離れた位置に設置される開閉蓋を備えた自然給排気装置にも同様に適用できる。この場合、通気口用フィルターは開口や切れ目は無くとも同様の効果を奏する。
【0082】
更に、上記の実施の形態では、通気口用フィルターの形状は特定されているが、開閉蓋と枠体との隙間全周を塞ぐことのできる形状であれば良い。