(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
【実施例1】
【0012】
図1から
図4は、本発明の第一実施形態に係るもので、
図1、
図3、
図4は洗濯乾燥機の斜視図、
図2は
図1におけるA−A断面図を示し、説明のために水受け槽である円筒状の水槽3と回転ドラム11の一部を仮想的に破断して図示している。
【0013】
また、以下の説明において、上下左右前後の方向は
図1中に示す上下左右前後の方向を基準とする。
【0014】
図1は蓋体7を閉じた状態であり、
図3と
図4は蓋体7を開いて投入口8から衣類6を出し入れする際の状態である。本実施形態において蓋体7は正面からみて円形である。
【0015】
<本体側概略構成>
ベース1には、ばねと減衰とを備えた支持手段2を介して水槽3が弾性支持されている。ベース1の上部には鋼板と樹脂成形品で組合わされて構成された外枠4(筐体)が載せられて洗濯乾燥機本体5となしている。外枠4の正面には衣類6を出し入れするドアである蓋体7と前面カバー9及び背面には背面カバー10が設けられている。
【0016】
<水槽>
水槽3の内部には衣類6を入れて洗濯、脱水を行なう円筒状の回転する回転ドラム11が設けられ、回転ドラム11の前端側には内部に同心に設けた複数の層に流体を閉じ込めた流体バランサ12が設けられて、回転ドラム11と一体に回転することで衣類6のアンバランスによる回転ドラム11の振動を低減する構成である。回転ドラム11は、側壁に遠心脱水用の多数の小孔(図示せず)を有し、ドラムモータ13によって回転する。
【0017】
<排水弁>
水槽3の底面には排水弁14を介して排水管15が接続されており、水槽3内の洗濯水を排水できる。水槽3には乾燥風路16が接続されており、水槽3内の湿り空気を排出して、図示しない例えばヒータや送風手段を備えた乾燥手段によって乾燥させる。
【0018】
<給水電磁弁>
洗濯乾燥機本体5の背面近傍の上面には、給水栓17が設けられており、水道管を接続して洗濯乾燥機本体5に対して給水を行う。
【0019】
<操作パネル>
外枠4の上面の前面側の一部は例えば電源のオンオフや洗濯、乾燥などの運転コースを選択するスイッチや表示類が設けられた操作パネル22であり、他の一部は開閉可能に設けられた洗剤投入口19である。
【0020】
その構成は従来からある洗濯機ないし洗濯乾燥機と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0021】
<蓋ヒンジ>
蓋体7は蓋周囲分割面23の一部を分割して設けられた所謂ヒンジである蓋支点手段24のまわりに回転自在に軸支されており、例えば90°程度開放できる構成である。
【0022】
蓋支点手段24は洗濯乾燥機本体5に設けられたヒンジブラケット25の円筒状をなしたヒンジピン26と、蓋体7に設けたピン受け穴27と嵌合するよう組み付けることで、蓋体7は回転自在に軸支される。
【0023】
<蓋体構成>
蓋体7の蓋支点手段24の対面側には、蓋体係止手段28が設けられており、蓋体7を閉じ位置でロックおよびロック解除する係止フック29と、さらに、係止フック29のロックを外すよう作用する操作ハンドル30が設けられている。蓋体7の裏面側は、蓋体7を閉じた際に、投入口8の内周に沿って設けられたゴム製のシールパッキンであるベローズ31と全周にわたって接触して水封しつつ閉止する、内側に凸したドアガラス32が設けられている。さらに蓋周囲分割面23の一部であって操作ハンドル30の近傍は操作凹部33として手指を挿入しやすく、操作ハンドル30が操作しやすい構成としており、その詳細については後述する。
【0024】
図4は、蓋体7を外枠4から取り外して示した分解斜視図である。
図4(A)は蓋体7、
図4(B)は洗濯乾燥機本体5の投入口8近傍のみを示す部分斜視図である。
【0025】
蓋体7は前面を構成する円形のドアカバー36と、外周を前記ドアカバー36と略同一径とし蓋体7の背面をなすリング状の第一のフタフレーム35と、第一のフタフレーム35の内周部から背面に向けて突出したドアガラス32と、蓋体7の開き動作の際に操作する操作ハンドル30と、蓋体7を閉止した際にはロックされ、操作ハンドル30の操作と連動してロック解除される係止フック29を備えた蓋体係止手段28が設けられる。
【0026】
<ベローズ>
水槽3のドアガラス32と近接した側には柔軟なゴムなどで作られたリング状のベローズ31が設けられ、ベローズ31の内周はドアガラス32と接するよう構成することで水封を保って密閉する。
【0027】
<係止フック>
先に説明したように、蓋体7には先端を鉤ツメ形状とした係止フック29と操作ハンドル30が設けられている。洗濯乾燥機本体5には、蓋体7を閉止した際に第一のフタフレーム35に対して間隙をもって対向するフタ受け面18が設けられる。フタ受け面18にはさらに、前記係止フック29と噛み合って蓋体7をロックするロック受け手段37が設けられて蓋体係止手段28をなし、蓋体7をロックすることによってドアガラス32とベローズ31とを確実に密着させて水漏れの発生を防止するとともに、洗濯工程、あるいは乾燥工程中で回転ドラム11が回転中に蓋体7が開かないように確実に保持している。またさらに、洗濯工程や脱水工程などの運転中に係止フック29が開かないようロックするロック機能を少なくとも備えた係止フック制御手段38を備えている。
【0028】
<係止フック状態の定義>
本実施形態における係止フック29の状態ないし動作は、係止フック29がロック受け手段37と噛み合って、蓋体7を閉止した「係止状態」と、係止フック29を係止位置から解除位置に移動して、蓋体7を開放可能な状態に遷移する「解除動作」とを有する。
【0029】
<操作ハンドル>
次に、蓋体7の開き動作の際に操作する操作ハンドル30と、操作ハンドル30の操作と連動して「解除動作」を行う係止フック29と、蓋体7が閉止位置まで閉じることを阻害する蓋体閉止阻害手段34の構成について、
図1から
図11を用いて説明する。
【0030】
<操作ハンドル凹部形状>
図1および
図3、
図4において、蓋周囲分割面23の操作ハンドル30と隣接した部分は奥側に向けて凹んだ操作凹部33となっており、その操作凹部33は投入口8の近傍まで延伸されている。
【0031】
図5と
図6により操作ハンドル30と操作凹部33の構成の詳細について説明する。
図5と
図6とは、
図1におけるB−B断面図であり、蓋体7を閉じた際の操作ハンドル30部分の断面構成を図示している。
【0032】
図5は操作ハンドル30を操作して蓋体7を開放しようとして、操作ハンドル30の奥面側すなわち図示下方にまで操作凹部33に手指を挿入した状態を示す。
【0033】
<フタ操作ハンドル>
次に、
図6に示すように操作ハンドル30を前方に引くことにより、操作ハンドル30は前方に移動して、操作ハンドル30と連動して後述するように係止フック29は「解除動作」を行い、ロックを解除して蓋体7を開放できる。
【0034】
次に、
図7から
図10を用いて、
図5と
図6で説明した操作ハンドル30の動作と連動した係止フック29の構成と動作について説明する。
図7と
図8は蓋体7の構成の一部を示す部分斜視図で
図4(A)におけるK部の拡大図であって、第一のフタフレーム35を取り外した状態で操作ハンドル30と係止フック29と係止阻害手段34の構成の詳細を示す。
【0035】
図9と
図10は
図1のE−E方向の断面図である。
【0036】
図11は蓋体閉止阻害手段34の構成の第一実施形態を示しており、(a)は正面図、(b)は蓋体を閉止した状態、(c)は蓋体の閉止を阻害した状態、を示す。
【0037】
操作ハンドル30は
図4(A)にも示すように、概ね蓋体7の外周と同心のリング形状の一部分をなし、蓋体7の裏面側および円筒形状の側面外周に沿って設けられ、その半径方向の断面形状は
図5ないし
図6に示される。係止フック29は蓋支点手段24に対して蓋体7の対面側にあり、蓋支点手段24の回動軸であるヒンジピン26ないしピン受け穴27で構成される回転軸に直交した蓋体7の最大直径部を含んだ面内に設けられる。
【0038】
操作ハンドル30はドアカバー36の外周に沿って係止フック29に近接する方向に延長され、その延長部分には操作ハンドル30を揺動自在に軸支する第一の支軸39が設けられる。操作ハンドル30は第一の支軸39よりもさらに操作ハンドル30の反対側にまで延長され、係止フック操作部40をなす。
【0039】
係止フック29は第一のフタフレーム35に対して係止フック29をロック時である「係止状態」とロック解除時である「解除状態」との間で揺動自在に軸支する第二の支軸41が設けられる。第二の支軸41にはネジリバネ42が同軸に設けられており、係止フック29と洗濯乾燥機本体5に設けられたロック受け手段37とを噛み合わせて蓋体7を閉止位置でロックする方向に付勢している。係止フック操作部40が係止フック29の一部を延伸した受け部43に作用することで、操作ハンドル30を操作すると係止フック29が開いて「解除動作」を行うことができる。
【0040】
図7と
図9は
図5と同様に係止フック29がロック受け手段37と嵌合して蓋体7が閉止した「係止状態」を示す。
【0041】
係止フック29は、先端の鉤ツメ形状の方向に移動しており、蓋体7を閉じればロック受け手段37と噛合って「係止状態」となる。
【0042】
<フタ開・解除動作>
衣類6の出し入れの際に蓋体7を閉止状態から開く際には、
図5から
図6に示すように操作ハンドル30を操作する。
【0043】
図8と
図10は
図6と同様に操作ハンドル30が操作されて、操作ハンドル30の第一の支軸39の反対側に延長された係止フック操作部40が係止フック29側に近接するように動作する。
図10に示すように係止フック操作部40は係止フック29の一端である受け部43を押して係止フック29を矢印方向、すなわち開く方向に回動して、ロック解除する「解除動作」を行う。さらに操作ハンドル30部を手前側に引けば、係止フック29とロック受け手段37との係合は解除されたままなので、
図3に示すように蓋体7を手前に開くことができる。
【0044】
<蓋体閉止阻害手段>
図11において、蓋体7とフタ受け面18との間に突出した第一の位置と、蓋体7とフタ受け面18との間から抜去した第二の位置とを移動自在に支持された閉止阻害部材44を設け、さらに閉止阻害部材44を第一の位置に向けて付勢する押しバネ46を設けて蓋体閉止阻害手段34としている。閉止阻害部材44の一端は前面カバー9の洗濯乾燥機本体5のフタ受け面18よりも外周側に設けたスリット状の操作穴47から凸した操作突起48とし、操作突起48を操作することで閉止阻害部材44を第一の位置から第二の位置に移動可能な構成である。
【0045】
図11(b)に示すように、蓋体が閉止された「係止状態」にある際は、閉止阻害部材44は第二の位置にあり、この状態から操作ハンドル30を手前に引いて係止フック29を解除する「解除動作」を行うと、
図11(c)に示すように蓋体7は開き、閉止阻害部材44は押しバネ46の付勢力によって、フタ受け面18に沿って突出した第一の位置に移動する。
【0046】
一旦、蓋体7を開放した後に再度閉止しようとした際には、蓋体7は閉止阻害部材44に当接して閉止できないので、係止フック29はロック受け手段37とは係合せず、蓋体7が閉止されることがない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0047】
一方、洗濯を行う際には、衣類6を投入口8から回転ドラム11内に投入した後、閉止阻害部材44を押しバネ46の付勢力に抗って操作して
図11(b)に示すように第二の位置を維持したまま蓋体7を閉止すれば、係止フック29がロック受け手段37と係合して蓋体7は「閉止状態」となる。
【0048】
閉止阻害部材44の寸法に応じて
図11(c)に示した蓋体7の閉止を阻害した状態での蓋体7の開き量を所定の開き量より大として、ドアガラス32とベローズ31との間に隙間が生じるよう配置すれば、水槽3内部と外気との換気が行われるので、衣類6から生じる臭いが内部に籠ることがないので好適である。
【実施例2】
【0049】
第二実施形態について
図12を用いて説明する。
【0050】
図12は蓋体閉止阻害手段34の構成の第二実施形態を示しており、(a)は正面図、(b)は蓋体を閉止した状態、(c)は蓋体の閉止を阻害した状態、を示す。
【0051】
第二実施形態が第一実施形態と異なるところは、閉止阻害部材44は支点45のまわりに回動自在に軸支されており、閉止阻害部材44は蓋体7とフタ受け面18との間に突出した第一の位置と、蓋体7とフタ受け面18との間から退避した第二の位置との間を回動自在であり、さらに閉止阻害部材44を第一の位置に向けて付勢する引っ張りバネ49を設け、閉止阻害部材44の一端は前面カバー9の洗濯乾燥機本体5のフタ受け面18よりも外周側に設けたスリット状の操作穴47から凸した操作突起48とし、操作突起48を操作することで閉止阻害部材44を第一の位置から第二の位置に移動可能な構成である。
【0052】
図12(b)に示すように、蓋体が閉止された「係止状態」にある際は、閉止阻害部材44は第二の位置にあり、この状態から操作ハンドル30を手前に引いて係止フック29を解除する「解除動作」を行うと、
図12(c)に示すように蓋体7は開き、閉止阻害部材44は引っ張りバネ49の付勢力によってフタ受け面18に沿って突出した第一の位置に移動する。
【0053】
一旦、蓋体7を開放した後に再度閉止しようとした際には、蓋体7は閉止阻害部材44に当接して閉止できないので、係止フック29はロック受け手段37とは係合せず、蓋体7が閉止されることがない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0054】
一方、洗濯を行う際には、衣類6を投入口8から回転ドラム11内に投入した後、操作突起48を操作して閉止阻害部材44を
図12(b)に示すように第二の位置を維持したまま蓋体7を閉止すれば、係止フック29がロック受け手段37と係合して蓋体7は「閉止状態」となる。
【0055】
閉止阻害部材44の寸法に応じて
図12(c)に示した蓋体7の閉止を阻害した状態での蓋体7の開き量を所定の開き量より大として、ドアガラス32とベローズ31との間に隙間が生じるよう配置すれば、水槽3内部と外気との換気が行われるので、衣類6から生じる臭いが内部に籠ることがないので好適である。
【実施例3】
【0056】
第三実施形態について
図13を用いて説明する。
【0057】
図13は蓋体閉止阻害手段34の構成の第三実施形態を示しており、(a)は正面図、(b)は蓋体を閉止した状態、(c)は蓋体の閉止を阻害した状態、を示す。
【0058】
図13において、フタ受け面18には支点45のまわりに回動可能に軸支された略L字形をした閉止阻害部材44が設けられている。
【0059】
閉止阻害部材44は閉止阻害部材44の一端である阻害部50がフタ受け面18から蓋体7に向けて突出した第一の位置と、蓋体7とフタ受け面18との間から退避した第二の位置との間を回動自在であり、さらに閉止阻害部材44を第一の位置に向けて付勢する引っ張りバネ49を設けた構成である。
【0060】
図13(b)に示すように蓋体7が閉止された「係止状態」にある際は、閉止阻害部材44の一端である阻害部50はフタ受け面18よりも奥側に引き込んだ第二の位置にあり、係止フック29はロック受け手段37と嵌合している。閉止阻害部材44の他端51は引っ張りバネ49によって上方に付勢されており、支点45のまわりに図示反時計方向への回転トルクを閉止阻害部材44に付与している。
【0061】
操作ハンドル30を手前に引いて係止フック29を解除する「解除動作」を行うと、
図13(c)に示すように蓋体7は開き、フタ受け面18と蓋体7との間に隙間が生じると、閉止阻害部材44は支点45のまわりに引っ張りバネ49の付勢力によって回動し、阻害部50が蓋体7に向けて突き出した第一の位置となる。一旦、蓋体7を開放した後に再度閉止しようとした際には、蓋体7は阻害部50に当接して係止フック29はロック受け手段37とは係合せず、蓋体7が閉止されることがない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0062】
阻害部50の寸法に応じて
図13(c)に示した蓋体7の閉止を阻害した状態での蓋体7の開き量を所定の開き量より大として、ドアガラス32とベローズ31との間に隙間が生じるよう配置すれば、水槽3内部と外気との換気が行われるので、衣類6から生じる臭いが内部に籠ることがないので好適である。
【0063】
一方、洗濯を行う際には、衣類6を投入口8から回転ドラム11内に投入した後、引っ張りバネ49による付勢力に抗って阻害部50を操作して
図13(b)に示すようにフタ受け面18から引き込んだ状態を維持したまま蓋体7を閉止すれば、係止フック29がロック受け手段37と係合して蓋体7は「閉止状態」となる。
【0064】
阻害部50を操作するには、阻害部50を直接操作してもよいし、閉止阻害部材44と連結された図示しない操作部材を介して阻害部50を操作する構成であってもよい。
【実施例4】
【0065】
第四実施形態について
図14を用いて説明する。
【0066】
図14は蓋体閉止阻害手段34の構成の第四実施形態を示しており、(a)は正面図、(b)は蓋体を閉止した状態、(c)は蓋体の閉止を阻害した状態、を示す。
【0067】
第四実施形態においては、蓋体7の洗濯乾燥機本体5側に突起部52を設け、フタ受け面18の突起部52と相対した箇所には突起部52が進入退出自在な受け穴53が設けられている。フタ受け面18の蓋体7とは反対側すなわち洗濯乾燥機本体5の内側には、フタ受け面18に沿って突起部52の延伸方向とは直交する方向に摺動自在に支持された閉止阻害部材44が設けられ、閉止阻害部材44の一端が受け穴53を塞ぐように突出した第一の位置と、受け穴53から退避した第二の位置との間を移動自在に支持されており、さらに閉止阻害部材44を第一の位置に向けて付勢する押しバネ46を設けた構成である。
【0068】
図14(b)に示すように、蓋体が閉止された「係止状態」にある際は、閉止阻害部材44は第二の位置にあり、この状態から操作ハンドル30を手前に引いて係止フック29を解除する「解除動作」を行うと、
図14(c)に示すように蓋体7は開き、突起部52が受け穴53から退出すると、押しバネ46の付勢力によって閉止阻害部材44は受け穴53を塞ぐように移動して第一の位置となる。
【0069】
一旦、蓋体7を開放した後に再度閉止しようとした際には、突起部52の先端が閉止阻害部材44に当接して係止フック29はロック受け手段37とは係合せず、蓋体7が閉止されることがない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0070】
突起部52の寸法に応じて
図14(c)に示した蓋体7の閉止を阻害した状態での蓋体7の開き量を所定の開き量より大として、ドアガラス32とベローズ31との間に隙間が生じるよう配置すれば、水槽3内部と外気との換気が行われるので、衣類6から生じる臭いが内部に籠ることがないので好適である。
【0071】
一方、洗濯を行う際には、衣類6を投入口8から回転ドラム11内に投入した後、閉止阻害部材44を押しバネ46の付勢力に抗って操作して、
図14(b)に示すように引き込んだ第二の位置を維持したまま蓋体7を閉止すれば、係止フック29がロック受け手段37と係合して蓋体7は「閉止状態」となる。閉止阻害部材44を操作するには、例えば閉止阻害部材44の一部をドアカバー36の外周よりも外側まで延伸し、前面カバー9に設けたスリット状の操作穴47を通して前方に凸した形状の操作突起48として閉止阻害部材44を直接操作してもよいし、閉止阻害部材44と連結された図示しない操作部材を介して閉止阻害部材44を操作する構成であってもよい。
【実施例5】
【0072】
第五実施形態について
図15を用いて説明する。
【0073】
図15は蓋体閉止阻害手段34の構成の第五実施形態を示しており、(a)は正面図、(b)は蓋体を閉止した状態、(c)は蓋体の閉止を阻害した状態、を示す。
【0074】
第五実施形態においては、蓋体7に設けられた係止フック29が勘合するロック受け手段37とフタ受け面18との間に進入退出自在な蓋体閉止阻害手段34が設けられている。閉止阻害部材44はロック受け手段37とフタ受け面18との間に突出した第一の位置とロック受け手段37とフタ受け面18との間から退避した第二の位置との間を移動自在であり、さらに閉止阻害部材44を第一の位置に向けて付勢する引っ張りバネ49を設け、閉止阻害部材44の一端は前面カバー9に設けたスリット状の操作穴47から凸した操作突起48とし、操作突起48を操作することで閉止阻害部材44を第一の位置から第二の位置に移動可能な構成である。
【0075】
図15(b)に示すように、蓋体が閉止された「係止状態」にある際は、閉止阻害部材44は第二の位置にあり、この状態から操作ハンドル30を手前に引いて係止フック29を解除する「解除動作」を行うと、
図15(c)に示すように蓋体7は開き、閉止阻害部材44は引っ張りバネ49の付勢力によってロック受け手段37とフタ受け面18との間に突出した第一の位置に移動する。
【0076】
一旦、蓋体7を開放した後に再度閉止しようとした際には、係止フック29は閉止阻害部材44に当接して閉止できないので、係止フック29はロック受け手段37とは係合せず、蓋体7が閉止されることがない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0077】
係止フック29の寸法に応じて
図15(c)に示した蓋体7の閉止を阻害した状態での蓋体7の開き量を所定の開き量より大として、ドアガラス32とベローズ31との間に隙間が生じるよう配置すれば、水槽3内部と外気との換気が行われるので、衣類6から生じる臭いが内部に籠ることがないので好適である。
【0078】
一方、洗濯を行う際には、衣類6を投入口8から回転ドラム11内に投入した後、操作突起48を操作して閉止阻害部材44を
図15(b)に示すように引き込んだ状態を維持したまま蓋体7を閉止すれば、係止フック29がロック受け手段37と係合して蓋体7は「閉止状態」となる。
【実施例6】
【0079】
第六実施形態について
図16を用いて説明する。
【0080】
図16は蓋体閉止阻害手段34の構成の第六実施形態を示しており、(a)は蓋体の閉止を阻害した状態、(b)は蓋体を閉止した状態、を示す。
【0081】
第六実施形態が第一実施形態と異なるところは、閉止阻害部材44を操作する電磁アクチュエータであるソレノイド54を設け、さらにプランジャ55と閉止阻害部材44とを接続する連結部材56を設けたことである。
図16(a)に示すように、ソレノイド54に通電されないまま蓋体7を開いた際には、押しバネ46の付勢力によってプランジャ55は閉止阻害部材44とともにドアガラス32に近接する方向に移動し、閉止阻害部材44はフタ受け面18に沿って突き出した第一の位置となって蓋体7の閉止を妨げる。
【0082】
ここで一例として、洗濯乾燥機本体5の主電源ONと連動してソレノイド54に通電して、プランジャ55の吸引力が押しバネ46の付勢力より大なるよう構成すれば、主電源ONとともに閉止阻害部材44はソレノイド54の作用によって
図16(b)に示すように第二の位置に移動して、蓋体7の裏面から引き込んだ状態となるので、蓋体7を閉止することができる。したがって、洗濯を行う際には、衣類6を投入口8から回転ドラム11内に投入した後に主電源をONすれば、蓋体7を閉止して係止フック29をロック受け手段37にロックして洗濯工程を開始することができるので、使用者が閉止阻害部材44を退避する操作を行う必要がなく取扱いが簡便であり、使いやすい洗濯機を提供できる。
【0083】
あるいはまた、別途例えば「閉止ロックスイッチ」を備え、「閉止ロックスイッチ」を押下することによってソレノイドに通電し、閉止阻害部材44を第二の位置に移動してから蓋体7を閉止する構成であってもよい。
【実施例7】
【0084】
第七実施形態について
図17を用いて説明する。
【0085】
図17は蓋体閉止阻害手段34の構成の第七実施形態を示しており、(a)は正面図、(b)は蓋体を閉止した状態、(c)は蓋体の閉止を阻害した状態、を示す。
【0086】
第七実施形態が第三実施形態と異なるところは、支点45のまわりに回動可能に軸支された略L字形をした閉止阻害部材44が蓋体7の内部に設けられていることである。
【0087】
図17(b)に示すように蓋体7が閉止された「係止状態」にある際は、閉止阻害部材44の一端である阻害部50は蓋体7の内部に引き込んだ第二の位置にあり、係止フック29はロック受け手段37と嵌合している。閉止阻害部材44の他端には引っ張りバネ49によって上方に付勢されており、閉止阻害部材44を支点45のまわりに図示時計方向への回転トルクを生じている。
【0088】
操作ハンドル30を手前に引いて係止フック29を解除する「解除動作」を行うと、
図17(c)に示すように蓋体7は開き、フタ受け面18と蓋体7との間に隙間が生じると、閉止阻害部材44は支点45のまわりに引っ張りバネ49の付勢力によって回動し、阻害部50がフタ受け面18に向けて突き出して第一の位置となる。一旦、蓋体7を開放した後に再度閉止しようとした際には阻害部50はフタ受け面18に当接して係止フック29はロック受け手段37とは係合せず、蓋体7が閉止されることがない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0089】
阻害部50の寸法に応じて
図17(c)に示した蓋体7の閉止を阻害した状態での蓋体7の開き量を所定の開き量より大として、ドアガラス32とベローズ31との間に隙間が生じるよう配置すれば、水槽3内部と外気との換気が行われるので、衣類6から生じる臭いが内部に籠ることがないので好適である。
【0090】
一方、洗濯を行う際には、衣類6を投入口8から回転ドラム11内に投入した後、閉止阻害部材44の他端51を操作して阻害部50を引っ張りバネ49による付勢力に抗って
図17(b)に示すように蓋体7内部に引き込んだ状態を維持したまま蓋体7を閉止すれば、係止フック29がロック受け手段37と係合して蓋体7は「閉止状態」となる。
【0091】
<効果>
洗濯機が運転中の洗濯工程や脱水工程中には蓋体が開くことのないよう閉止位置で確実に蓋体を閉止できるとともに、洗濯機の蓋体を開いて衣類の取り出しを完了した後は、蓋体が閉止位置まで閉じることを阻害するので、蓋体を僅かな力で開閉することができ、換言すれば水槽の内側から小さい力で蓋体を開放することができる、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。
【0092】
蓋体の閉止を阻害した状態での蓋体の開き量を所定の開き量より大として、ドアガラスとベローズとの間に隙間が生じるよう配置すれば、水槽の内部と外気との換気が行われるので、衣類から生じる臭いが内部に籠ることがない。
【0093】
<乾燥機>
なお、第一から第七の実施形態として洗濯機および洗濯乾燥機により説明したが、洗濯機および洗濯乾燥機に限定されるものではなく、乾燥機能のみを備えた乾燥機であってもよく、同様な蓋体閉止阻害手段を備えた構成により、蓋体が閉止位置まで閉じることを阻害する効果がある。
【0094】
また本実施形態においては蓋体は洗濯乾燥機本体の左側に開放する構成であるとしたが、右側に開放する左右対称の構成であってもよい。
【0095】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。