(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取付部は、金属線材の両端部所定長さ領域が左右に揃えられて構成され、該左右の金属線材に跨るように左右方向に連続した凹面部が形成されている請求項2記載の釣糸ガイド。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドについて
図1〜
図11を参酌しつつ説明する。本実施形態における釣糸ガイド1は、
図1〜
図3のように、釣糸を直接案内するためのガイドリング2と、該ガイドリング2を保持すると共にガイドリング2と竿体5とを繋ぐためのガイドフレーム3と、該ガイドフレーム3を補強するためのブリッジパーツ4とを備えている。
【0017】
図中、竿体5の軸線方向を前後方向と称すると共に、竿先側(前側)を符号X1で示し、竿尻側(後側)を符号X2で示す。また、竿体5の軸線方向と直交する方向であってガイドリング2の中心線50を通る平面上の方向を上下方向とし、竿体5から離れる方向を上側として符号Z1で示し、竿体5に近づく方向を下側として符号Z2で示す。尚、上側を先端側と、下側を基端側と称する場合がある。また、上側から見た平面視において竿体5の軸線方向と直交する方向を左右方向とし、それを符号Yで示す。尚、竿体5の軸線方向(前後方向)は竿体5の中心線51の方向であって、後述するガイドフレーム3の取付部32の長手方向であり、左右方向は取付部32の短手方向(幅方向)である。
【0018】
<ガイドリング2>
ガイドリング2は、
図1に示すように例えば円形の環状であるが、楕円形や長円形等であってもよい。本実施形態においてはガイドリング2が円形の場合について説明する。ガイドリング2は耐摩耗性に優れた、種々の硬質材料からなり、例えばSiC(シリコンカーバイト)に代表されるセラミックであっても無論よいが、本実施形態ではチタンからなる。チタンとしてはチタン合金が好ましい。チタン合金は、α相とβ相が混在しているものであって、主としてα相であって一部にβ相が残留したニアα型(少量のβ安定化元素を添加したα合金)、α+β型、β型が好適である。特にβ型のチタン合金であることが好ましく、冷間加工性が良く、部材の強度も容易に確保できる。ニアα型としては、例えば、Ti−8Al−1Mo−1VやTi−6Al−2Nb−1Ta−0.8Mo等である。α+β型は、ニアα型よりも多量のβ相が残留しており、例えば、Ti−3Al−2.5VやTi−6Al−4V等である。β型は、準安定β型とも称されるものであって、α+β型に比してβ安定化元素が多く、α安定化元素が少ない。β型では、残留β相中に微細な粒でα相が分散して生成しており、従って、β型においてもその表面にはα相とβ相とがまだら模様となって存在している。β型としては、例えば、Ti−15V−3Cr−3Sn−3Alや、Ti−3Al−8V−6Cr−4Zr−4Moや、Ti−10V−2Fe−3Al等があるが、特に、冷間加工性に優れていることからTi−15V−3Cr−3Sn−3Alが好ましい。
【0019】
ガイドリング2は、釣糸が挿通する糸挿通孔を有しており、ガイドリング2の内周面2aを釣糸が摺動することで釣糸を直接案内する。
図9(b)及び
図11に示しているように、ガイドリング2の内周面2aは、断面視において、内側凸(中心側凸)となるように前後方向に湾曲した曲面である、また、ガイドリング2の外周面2bも断面視において内側凸(中心側凸)となるように前後方向に湾曲した曲面である。即ち、ガイドリング2は、中心線50の方向に切断した断面視において、中心側凸となるように弧状に湾曲した凸状の内周面2aと、中心側凸となるように弧状に湾曲した凹状の外周面2bとを有している。ガイドリング2の内周面2aと外周面2bは互いに対応した形状となっている。また、ガイドリング2は曲げ加工された薄肉の金属板からなり、その金属板の表面と裏面がそれぞれ内周面2aと外周面2bになっている。
【0020】
より詳細には、ガイドリング2は、その中心線50の方向の両端部、即ち、前後両端部に、それぞれ径方向外側に突出した環状の鍔部22,23を備えている。前後両端部にそれぞれ鍔部22,23が形成されていることによってガイドリング2の外周面2bには、両鍔部22,23間に凹状の周溝20が全周に亘って形成されることになる。そして、鍔部22,23から周溝20にかけて滑らかに連続した外周面2bの断面形状となっていて、ガイドリング2の外周面2bは断面視において全体として中心側凸の弧状に湾曲している。即ち、周溝20の断面形状は曲面状である。前後両鍔部22,23の直径G3,G4は何れも後述するガイドフレーム3の枠部30の内径D(枠部30の内周面のうち最も小径の部分である頂点における直径)よりも大きい。前後両鍔部22,23の直径G3,G4は互いに同一であってもよいが、一方の直径G4が他方の直径G3よりも小さいことが好ましく、本実施形態では、前側の鍔部23の直径G4が後側の鍔部22の直径G3よりも小さい。前側の鍔部23の直径G4はガイドリング2の前端部の外径であり、後側の鍔部22の直径G3はガイドリング2の後端部の外径である。
【0021】
後述するように、ガイドリング2の外周面2bの周溝20にはガイドフレーム3の枠部30とブリッジパーツ4が係合する。ガイドフレーム3は断面円形の金属線材からなり、その円形断面の全周のうち90度以上180度未満の角度範囲がガイドリング2の外周面2bの周溝20に係合することが好ましい。また、
図9(b)のように、ガイドリング2の径方向(内外方向)の厚さG1は、即ちガイドリング2の外径(大きい方である後側の鍔部22の直径G3)と内径の差であるが、その厚さは、全周に亘って一定である。ガイドリング2の径方向の厚さG1は、ガイドリング2の中心線50の方向に沿った寸法G2(長さ)よりも小さい。
【0022】
ガイドリング2は、金属板を所定形状にプレス加工することにより形成されている。
図8のように例えばチタン合金からなる金属板をドーナツ状に打ち抜き、この打ち抜いたドーナツ状の金属板21を
図9(a)のように表面と裏面のうち一方の面側から矢印で示すようにプレス加工して筒状に変形させると共に、筒状となった金属板21の一端部を径方向外側に鍔状に湾曲させて鍔部22を形成する。次に、
図9(b)のように反対側である他方の面側から矢印で示すように筒状の金属板21を更にプレス加工してその他端部も一端部と同様に径方向外側に鍔状に湾曲させて鍔部23を形成し、筒状の金属板21の断面形状を全体として中心側凸に湾曲した断面視弧状の断面形状としてガイドリング2を形成する。
【0023】
尚、金属板21の他端部の湾曲の大きさは一端部のそれに比して小さく、即ち、ガイドリング2の他端部の湾曲の大きさは一端部のそれよりも小さい。従って、ガイドリング2の外径は他端部よりも一端部の方が大きい。このようにして形成されたガイドリング2は、その両端部にそれぞれ径方向外側に突出した環状の鍔部22,23を有する形状であって、その両鍔部22,23の間にガイドフレーム3が係合する。詳細には、
図2及び
図3のように径方向外側への湾曲の度合いが相対的に大きい一端部が後側(後端部)となり、径方向外側への湾曲の度合いが相対的に小さい他端部が前側(前端部)となるようにガイドフレーム3に装着される。ガイドリング2はその両端部に鍔部22,23が形成されていてその間が周溝20となっており、その周溝20にガイドフレーム3が係合しているので、ガイドフレーム3に対する前後の移動が周溝20あるいは前後両鍔部22,23によって規制され且つ前側や後側へ抜け落ちも防止される。特に、両鍔部22,23を含めてガイドリング2の外周面2bが中心側凸の断面視弧状に形成されているので、断面円形の金属線材からなるガイドフレーム3の枠部30との係合状態が安定し、ガイドリング2の前後移動を確実に規制できる。
【0024】
尚、ガイドリング2の外周面2bとガイドフレーム3の枠部30とは径方向に切断した断面視において面接触してもよいが、点接触してもよい。ガイドフレーム3は円形断面を有する金属線材であるが、ガイドリング2の外周面2bとガイドフレーム3とが点接触する場合、一点ではなく前後(金属線材の円形断面の周方向)に間隔をあけて複数点で接触する構成とすることが好ましく、二点あるいは三点で接触することがより好ましい。
【0025】
<ガイドフレーム3>
ガイドフレーム3は、竿体5の外周面に取り付けるための取付部32と、該取付部32から上側に向かって即ち竿体5から径方向外側に離れるように立ち上がって、竿体5から所定距離離れた位置でガイドリング2を保持するフレーム本体部とを備えている。フレーム本体部は、ガイドリング2を保持する枠部30と、枠部30と取付部32とを連結する支持脚部31とを備えている。即ち、フレーム本体部は、先端側(上側)の枠部30と基端側(下側)の支持脚部31とからなる。
【0026】
ガイドフレーム3は、金属線材から構成されている。具体的には、ガイドフレーム3は一本の金属線材をガイドリング2の外周面2bに沿ってU字状に曲げ加工することにより形成されている。金属線材は、例えばチタン合金やステンレス、アルミニウム合金からなる。その中でも特に軽量化の観点からはチタン合金が好ましい。チタン合金の詳細についてはガイドリング2と同様であり、冷間加工性が良く、部材の強度も容易に確保できることから、β型のチタン合金が好ましい。金属線材は、円形の断面形状を有している。金属線材は、軽量化と強度の両立の観点と、ガイドリング2との接触面積を確保しやすいことから、中空状のもの、即ち線状パイプ材が好ましい。金属線材の線径(外径)は例えば0.3〜6mm、好ましくは1〜3mmである。
【0027】
ガイドフレーム3は一本の中空状の金属線材を曲げ加工することによって形成されているが、その形状は
図2及び
図4のような背面視、あるいは、前側から見た正面視において、U字状に二つ折り状態に曲げられた形状であって、本実施形態では、金属線材の両端部が一方向に揃えられた状態にある。このように本実施形態では、一本の金属線材を全体としてU字状に曲げてガイドフレーム3を構成しているため、支持脚部31と取付部32は何れも金属線材が左右に二本並んだ二本足の構成となっている。尚、左右の足は左右対称形状とされている。
【0028】
また、フレーム本体部は、
図3及び
図5のように、取付部32の前端部から湾曲しつつ上側に向かった後、直線的に上側に延びている。フレーム本体部において湾曲しつつ上側に向かっている部分が、後述する支持脚部31の根元領域31c及び中間領域31bである。尚、本実施形態においては、取付部32に対してフレーム本体部が最終的に直角に立ち上がっていて、従って、ガイドリング2の中心線50が竿体5の中心線51と平行になっているが、ガイドリング2の中心線50が竿体5の中心線51と平行ではなく傾斜するようにフレーム本体部が立ち上がっていてもよい。即ち、フレーム本体部が前傾姿勢で立ち上がった構成であってもよい。
【0029】
<枠部30>
枠部30は、その内側にガイドリング2を保持するための部分であってフレーム本体部の先端側の領域を構成しており、所定の中心角θを有する円弧状に形成されている。枠部30は、金属線材をガイドリング2の外周面に沿って曲げ加工することによって下側に開口したC字状に形成されている。枠部30はガイドリング2に対応したサイズ、形状となっている。枠部30の形状はガイドリング2の形状によって異なり、本実施形態では円形のガイドリング2を使用しているため枠部30もそれに対応して円弧状であるが、楕円形のガイドリング2を使用する場合には枠部30もそれに対応して楕円弧状となる。枠部30は、ガイドリング2の全周のうち上側所定範囲のみを周回してガイドリング2の外周面2bを支持する。
【0030】
枠部30はガイドリング2の所定角度範囲を周回するが、
図4のように、枠部30の中心角θは180度近傍の角度であることが好ましく、150度〜240度であることが好ましく、特には、160度〜200度であることがより好ましい。本実施形態において枠部30の中心角θはガイドリング2の半周を僅かに越える角度である。
図4に、枠部30の内周面を延長した仮想円52を二点鎖線で示している。この仮想円52は、枠部30の内周面を周方向に360度まで延長し、その360度の内周面をガイドリング2の中心線50の方向に見たときの円である。この仮想円52の直径Dが枠部30の内径D(枠部30の内周面のうち最も小径の部分である頂点における直径)である。また、
図4に、支持脚部31の下端部(根元側の端部)を起点とし仮想円52と接する接線53を二点鎖線で示している。この接線53は、ガイドリング2の中心線50の方向に釣糸ガイド1を見た状態において、支持脚部31の下端部の左右方向の内側の面から仮想円52に向けて引いた接線である。枠部30の中心角θは、二本の接線53が仮想円52と接する接点54間の中心角であって取付部32から離れた側である先側の中心角αよりも小さいことが好ましい。
【0031】
<支持脚部31>
支持脚部31は、枠部30と取付部32との間に位置して枠部30と取付部32とを連結している。支持脚部31は、
図4のように左右に二本並んだ二本足の構成である。まず、支持脚部31を前側から見た正面視あるいは後側から見た背面視における形状について説明する。左右一対の支持脚部31は、互いに左右対称形状とされている。左右一対の支持脚部31は、枠部30の周方向の両端部から下方に向けてそれぞれ延びていて、全体として正面視あるいは背面視においてV字状になっている。より詳細には、左右一対の支持脚部31は、それぞれ左右方向の外側に膨むように湾曲した形状である。左右一対の支持脚部31は、枠部30の両端部から左右方向外側に膨らむようにして下方に延びて、その後、互いに接近するように、即ち、互いの間隔を狭くするように左右方向の内側に向けて延びていて、下端部においては、互いに当接した状態にある。但し、左右一対の支持脚部31の下端部同士が若干の隙間を介して互いに接近した状態となっていてもよい。枠部30の中心角θを、接線53が仮想円52と接する接点54間の中心角であって取付部32から離れた側である先側の中心角αと等しくすると共に、接線53に沿って支持脚部31を直線状に形成することもできるが、枠部30の中心角θを、接線53が仮想円52と接する接点54間の中心角であって取付部32から離れた側である先側の中心角αよりも小さくすると共に、支持脚部31の正面視あるいは背面視の形状を、接線53に対して外側に膨らんだ湾曲形状とすると、糸絡み防止に効果がある。
【0032】
左右一対の支持脚部31がそれぞれ左右方向の外側に膨らんだ湾曲形状となっているが、本実施形態では枠部30の中心角θが180度以上となっていることから、両支持脚部31間の最大離間距離は枠部30の内径Dと等しい。即ち、
図4の仮想円52の直径Dと両支持脚部31間の最大離間距離が等しい。また、本実施形態では、左右一対の支持脚部31は下端部において当接しているので、左右一対の支持脚部31の下端部同士の間の離間間隔は0である。尚、枠部30の中心角θが180度未満であって、左右の支持脚部31がそれぞれ左右方向の外側に膨らんだ湾曲形状となっていて、両支持脚部31間の最大離間距離が枠部30の内径Dよりも大きくなっていてもよい。
【0033】
次に、支持脚部31を
図3及び
図5のように左右方向から見た側面視における形状について説明する。 支持脚部31は、三つの領域に区画することができる。即ち、支持脚部31は、枠部30に近い先領域31aと、取付部32に近い根元領域31cと、先領域31aと根元領域31cとの間の部分である中間領域31bとから構成されている。支持脚部31の先領域31aは、枠部30の周方向の端部から前後方向に湾曲することなく下側に向けて延びていて、枠部30と同一平面上にある。即ち、支持脚部31の先領域31aは、枠部30の中心線(ガイドリング2の中心線50)に対して直交する平面上に位置している。支持脚部31の中間領域31bと根元領域31cは、何れも前後方向に湾曲した湾曲形状である。従って、支持脚部31の中間領域31bと根元領域31cは、枠部30や支持脚部31の先領域31aと同一平面上には位置していない。支持脚部31の中間領域31bは、支持脚部31の先領域31aの下端部から後側に湾曲しつつ下側に向けて延びている。支持脚部31の中間領域31bにおける前後方向の湾曲の程度は、支持脚部31の根元領域31cにおける前後方向の湾曲の程度に比して緩やかである。支持脚部31の根元領域31cは、支持脚部31の中間領域31bの下端部から取付部32の前端部まで後側に湾曲しつつ下側に向けて延びている。支持脚部31の根元領域31cにおける前後方向の湾曲の程度は、支持脚部31の中間領域31bにおけるそれに比してきつく、曲率半径は相対的に小さいが、該根元領域31cにおいて金属線材は押し潰れることなくその断面形状を維持している。即ち、支持脚部31の根元領域31cにおける前後方向の湾曲の程度は、金属線材が前後方向の湾曲によって径方向に潰れない程度のものであって、前後方向の湾曲の曲率半径は金属線材が径方向に潰れない程度に小さい曲率半径である。このように支持脚部31における金属線材は、根元領域31cを含む全領域に亘って断面円形を維持している。
【0034】
<取付部32>
取付部32は、支持脚部31の下端部から後側(竿尻側)に向けて平面視一直線状に延びている。取付部32は、本実施形態では一本の金属線材の両端部所定長さ領域から構成された二本足構成である。即ち、取付部32は、一本の金属線材の両端部所定長さ領域からなる左右一対の線状体が間隔を空けずに左右平行に揃えられて構成されており、各線状体は支持脚部31の下端部から後側に延びている。左右一対の線状体は互いに接合されて一体化されている。接合方法は任意であるが、好ましくは溶接による。
【0035】
取付部32は、全長に亘って厚さが一定ではなく、厚さが異なる三つの領域から構成されている。即ち、取付部32は、前側に位置する断面円形のストレート部32aと、後側に位置する板状の扁平部32cと、ストレート部32aと扁平部32cとの間に位置し、後側に向けて徐々に厚さ(上下方向の寸法)が薄くなっていくテーパ部32bとから構成されている。ストレート部32aは、取付部32の前部を構成していて、支持脚部31の根元領域31cから後側に延びている。該ストレート部32aは、中空状の金属線材がその円形の断面形状を維持している部分である。ストレート部32aは、前後方向には湾曲しておらず、前後方向に沿って直線状に延びている。テーパ部32bは、取付部32の中間部を構成していて、その上面が後側に向けて徐々に下降傾斜しており、この上面の下降傾斜によってその厚さが後側に向けて減少している。テーパ部32bにおいては、中空状の金属線材が上下方向に圧縮され且つその圧縮量が後側に向けて徐々に大きくなっている部分であり、その後端部において扁平部32cとつながっている。扁平部32cは、取付部32の後部を構成しており、中空状の金属線材が上下方向に押し潰されて板状とされた部分である。
【0036】
尚、取付部32の幅(左右方向の寸法)は、一定であってもよいが、
図6のようにその後部の幅を後側に向けて徐々に幅狭とすることが好ましい。詳細には、ストレート部32aとテーパ部32bは幅一定であり、扁平部32cは後側に向けて徐々に幅狭に形成されている。扁平部32cの左右両側部は扁平部32cの幅が後側に向けて徐々に狭くなっていくようにそれぞれ所定部分が切除されている。
図6に切除される前の形状を二点鎖線で示している。
【0037】
扁平部32cの下面には、
図7のように上側が凸となるように左右方向に沿って湾曲した凹面部38が形成されている。上述のように取付部32は、左右一対の線状体が左右平行に揃えられて構成されているが、凹面部38は左右の線状体に跨るように左右方向に連続する滑らかな曲面となっている。尚、扁平部32cの上面は、下面に凹面部38が形成されていることに対応して上側凸となるように左右方向に湾曲した形状とされており、従って、扁平部32cの上面は左右方向に湾曲した凸状の曲面であり、扁平部32cの下面は左右方向に湾曲した凹状の曲面である。この扁平部32cの湾曲形状は、中空状の金属線材を上下方向に押し潰して板状としたうえで、更にその板状の扁平部32cを湾曲変形させることにより形成されている。凹面部38は、竿体5の外周面の周方向の曲面に沿った形状とされることが好ましい。該凹面部38の曲率半径R(
図4及び
図7参照)は、例えば竿体5の外周面の曲率半径(竿体5の外径の1/2)とされる。
【0038】
尚、取付部32は、
図2のように巻糸6によって竿体5の外周面に巻き付けられるが、取付部32の竿体5からの抜け防止のために、取付部32の左右両側部に切欠部(図示省略)を設けてもよい。このように取付部32の左右両側部に切欠部を設けると、該切欠部において巻糸6がより一層強固に巻き付けられる。
【0039】
かかるガイドフレーム3は、まず、一本の金属線材をU字状に曲げ加工すると共に前後方向に湾曲させ、金属線材の両端部所定長さ領域を左右に揃えて並べる。次に、左右に並べた金属線材の両端部所定長さ領域同士を溶接して互いに接合一体化して取付部32を形成する。次に、取付部32の後部における金属線材を上下方向に押し潰して扁平部32cを形成すると同時に、その扁平部32cの左右両側部を斜めに切除する。尚、扁平部32cを形成した後に、それとは別工程で扁平部32cの左右両側部を切除するようにしてもよい。そして、形成した扁平部32cを更に上下に押圧して扁平部32cを左右方向に沿って湾曲変形させて、扁平部32cの下面に凹面部38を形成する。このように金属線材の両端部所定領域を接合した後に扁平部32cを形成することにより、左右の金属線材の下面に一体となった扁平部32cを形成することができる。また、その後に扁平部32cを湾曲変形させることにより、左右の金属線材に跨るように左右方向に連続した凹面部38を形成することができる。
【0040】
<ブリッジパーツ4>
上述のように、枠部30は下方に開口したC字状であって、支持脚部31は左右一対の二本足の構成であって左右に離間している。また、枠部30はガイドリング2の外周面2bの上側所定角度領域のみに当接して支持していて、ガイドリング2の外周面2bのうち下側所定角度領域はガイドフレーム3には当接せず支持されていない。そこで、ガイドフレーム3を補強すると共にガイドフレーム3によるガイドリング2の保持を補完すべく、ガイドリング2の下側の位置にブリッジパーツ4が設けられている。
【0041】
ブリッジパーツ4は、ガイドフレーム3の内側であって、ガイドリング2に対して取付部32側(竿体5への装着状態においては竿体5に近い側)に位置する。ブリッジパーツ4は、ガイドリング2の外周面2bの下側所定角度領域に当接してガイドリング2の外周面2bの下側所定角度領域を保持していると共に、左右一対の支持脚部31同士を左右に連結している。詳細には、ブリッジパーツ4は、支持脚部31同士を支持脚部31の全領域のうち先領域31aの範囲内で連結している。即ち、ブリッジパーツ4は、支持脚部31の中間領域31bではなく先領域31aを連結することが好ましい。ブリッジパーツ4が左右一対の支持脚部31同士を左右に連結して突っ張り部として機能することでガイドフレーム3が補強され、ガイドフレーム3の枠部30の開口部近傍がブリッジパーツ4によって連結されることにもなる。また、ブリッジパーツ4は、ガイドフレーム3がガイドリング2を支持しない角度領域の大部分を支持して、ガイドリング2の保持力をアップさせる。従って、ガイドリング2は、ガイドフレーム3の枠部30とブリッジパーツ4によって上下に狭持されるように保持される。
【0042】
また、ブリッジパーツ4は、ガイドフレーム3がガイドリング2の外周面2bから離れていく左右二箇所においてガイドフレーム3とガイドリング2との間の空間を補填しており、このブリッジパーツ4による空間補填によって糸絡みが防止される。即ち、ガイドフレーム3の左右の支持脚部31がそれぞれガイドリング2の外周面2bから離れていく左右二箇所においては、支持脚部31とガイドリング2の外周面2bとの間に急峻な谷状の空間がV字状となって形成される。この左右二箇所の空間をブリッジパーツ4が補填している。具体的には、ブリッジパーツ4は、ガイドフレーム3がガイドリング2の外周面2bから離れていく左右二箇所においてガイドフレーム3とガイドリング2との間の空間に位置する左右一対の補填部40と、両補填部40同士を連結する連結部41とを備えている。
【0043】
ブリッジパーツ4は一つの部材から構成されており、従って、左右一対の補填部40とその間の連結部41は一体的に形成されている。補填部40は、ガイドリング2とガイドフレーム3との間の空間に対応してその空間に挿入できるように、
図1に示すような正面視において、ガイドリング2からガイドフレーム3が離れる離反点Pに向けて徐々に細くなっていく先細り形状とされていて、逆に言えば、その離反点Pから下側に離れる程に幅広となっている。また、連結部41は、ガイドリング2の外周面2bに沿って弧を描くように延びている。尚、連結部41におけるガイドリング2の径方向の寸法(厚さ)は、連結部41におけるガイドリング2の中心線50の方向の寸法よりも小さいことが好ましく、ブリッジパーツ4を軽量化できる。
【0044】
ブリッジパーツ4は、ガイドリング2側に位置する上面42と、反ガイドリング2側に位置する下面と、左右一対の側面44とを備えている。尚、ガイドリング2の中心に対する内外方向で見れば、ブリッジパーツ4の上面42は内側に位置する面であるから内面であり、またブリッジパーツ4の下面は外側に位置する面であるから外面である。ブリッジパーツ4の上面42はガイドリング2の外周面2bに当接する。従って、ブリッジパーツ4の上面42は、ガイドリング2の外周面2bに沿った形状であって、ガイドリング2の外周面2bの所定角度範囲に当接できるようにその角度範囲に対応した中心角を有する正面視円弧状の凹形状となっている。尚、ブリッジパーツ4の上面42がガイドリング2の外周面2bに当接する角度範囲は180度未満であることが好ましい。
【0045】
また、ブリッジパーツ4の上面42は、ガイドリング2の径方向に沿って切断した断面視において、ガイドリング2の外周面2bとの接触面積を十分に確保できるようにガイドリング2の外周面2bに対応した断面形状であることが好ましい。上述したようにガイドリング2の外周面2bには周溝20が形成されている。従って、ブリッジパーツ4の上面42は、ガイドリング2の径方向に沿って切断した断面視において、ガイドリング2の外周面2bの周溝20に係合する断面形状であることが好ましく、ガイドリング2の中心に向かって凸に湾曲した凸状曲面とされることが好ましい。
【0046】
ブリッジパーツ4の下面は、上面42とは上下反対側に位置する面である。ブリッジパーツ4の下面は、ガイドリング2の外周面2bに対応して、ブリッジパーツ4の上面42やガイドリング2と同心円状である円弧状部43aと、該円弧状部23aの左右両側にそれぞれ形成されて、ガイドフレーム3に近づくにつれて徐々にガイドリング2から離れていくように凹状に湾曲した左右一対の曲面部43bとを備えている。ブリッジパーツ4の下面の曲面部43bは、換言すれば、ブリッジパーツ4の左右方向両端に近づくにつれて徐々にブリッジパーツ4の上面42から離れていくように湾曲している。
【0047】
ブリッジパーツ4の側面44は、ガイドフレーム3の支持脚部31の内側に当接する。ブリッジパーツ4の側面44には、ガイドフレーム3が係合可能な係合溝(図示省略)が形成されることが好ましい。係合溝は、断面視において、中空状の金属線材34の断面形状である円形に対応した円弧状の断面形状である。ブリッジパーツ4は、ガイドフレーム3の支持脚部31のうち枠部30と同一平面上に位置する領域である先領域31aに当接するが、支持脚部31の中間領域31bには当接しない。そのため、ブリッジパーツ4は、前後方向(ガイドリング2の中心線50の方向)の厚さが一定の板状とすることができ、その厚さは、好ましくは、ガイドフレーム3の中空状の金属線材34の外径と等しい。
【0048】
ブリッジパーツ4の材質は、比重の小さいものが好ましく、例えば、硬質樹脂や繊維強化樹脂とすることができ、特に、強化繊維にカーボン繊維を使用した繊維強化樹脂とすることが好ましく、射出成形により形成された樹脂成形品であることが好ましい。尚、ガイドフレーム3と同様にチタン合金等の金属製であってもよい。
【0049】
以上のように構成された釣糸ガイド1は例えば以下のような順で組み立て製造される。上述したが、
図8及び
図9のようにしてチタン合金等の金属板21からガイドリング2を製造する。そして、
図10のように、別途製造しておいたブリッジパーツ4をガイドリング2に合体させる。尚、
図10は、
図2と同様にガイドリング2及びブリッジパーツ4を後側から見ている。
図10(a)は合体前の状態で、
図10(b)は合体後の状態であり、
図10(c)は合体後の状態の要部をガイドリング2のみを部分的に断面で示したものである。ブリッジパーツ4の上面42をガイドリング2の外周面2bの周溝20に係合させるように当接させて、ブリッジパーツ4とガイドリング2とを接着固定する。
【0050】
一方、上述したように一本の中空状の金属線材からガイドフレーム3を形成する。そのガイドフレーム3に、ブリッジパーツ4を合体させたガイドリング2を装着する。尚、ブリッジパーツ4とガイドリング2とを別々に独立してガイドフレーム3に装着してもよい。ガイドフレーム3にガイドリング2を装着する際には、
図11(a)のように、ガイドフレーム3の後側からガイドリング2を前側に向けて押し込むようにする。
【0051】
ガイドリング2の前側の鍔部23の直径G4はガイドリング2の前端部の外径であり、ガイドリング2の後側の鍔部22の直径G3はガイドリング2の後端部の外径である。ガイドリング2の前側の鍔部23の直径G4は、後側の鍔部22の直径G3よりも小さいが、ガイドフレーム3の枠部30の内径Dよりは大きい。そのため、ガイドリング2をガイドフレーム3に向けて中心線50の方向に押し付けることで、ガイドフレーム3の枠部30及び左右の支持脚部31を左右に押し広げるように弾性変形させて、ガイドリング2をガイドフレーム3の枠部30に押し込んで、ガイドリング2の周溝20にガイドフレーム3の枠部30を係合させる。ガイドフレーム3の枠部30は下側に開口するC字状であって支持脚部31も左右離間した二本足構成であるため、ガイドフレーム3がガイドリング2の周溝20に係合する構成であっても、ガイドリング2を押し込むことでガイドフレーム3が左右に開きながら拡径するように弾性変形してガイドリング2を受け入れる。また、ガイドフレーム3を構成する金属線材が断面円形であるので、ガイドリング2をガイドフレーム3の枠部30にスムーズに押し込むことができる。
【0052】
そして、ガイドリング2をガイドフレーム3の枠部30に押し込むと、ガイドフレーム3はそれ自身の弾性復元力によって元の状態に戻るように縮径し、
図11(b)のようにガイドフレーム3の枠部30がガイドリング2の周溝20に自動的に係合してガイドリング2を保持する。また、中空状の金属線材であるため、同一径の中実状の金属線材に比して弾性変形しやすく、容易且つスムーズにガイドリング2を挿入できる。尚、ブリッジパーツ4についても同様にガイドフレーム3が左右に開くように弾性変形することで容易に装着できて、ブリッジパーツ4の両側面44の係合溝にガイドフレーム3の支持脚部31の先領域31aが係入した状態となる。尚、ガイドフレーム3にガイドリング2やブリッジパーツ4を装着するにあたって接着剤を使用してもよい。接着剤は補助的に使用してもよいし、例えば、周溝20や係合溝を設けずに接着剤のみで接着固定する構成としてもよい。
【0053】
このようにして製造された釣糸ガイド1は、
図3のように釣竿の竿体5の外周面に取り付けられる。具体的には、竿体5の上に釣糸ガイド1の取付部32を載置し、取付部32と竿体5とに亘って巻糸6を巻き付けて釣糸ガイド1を竿体5に緊縛する。より詳細には、竿体5から取付部32の扁平部32cにかけて巻糸6を巻き付けて釣糸ガイド1を竿体5に固定する。更に、接着性のある合成樹脂(接着剤)を巻糸6の巻き付け部分に塗布して固める。尚、本実施形態において、竿体5への取付状態においてガイドリング2は直立姿勢、即ち、ガイドリング2の中心線50が竿体5の中心線51と平行になっているが、前側に傾斜した前傾姿勢であってもよい。
【0054】
本実施形態における釣糸ガイド1は、取付部32の後部に扁平部32cが形成されているので、取付部32が押し潰されていない中空状の金属線材のままの形状である場合に比して竿体5への密着性が増し、その扁平部32cにおいて巻糸6をしっかりと巻き付けることができる。従って、竿体5に釣糸ガイド1を強固に取り付けることができる。特に、扁平部32cの下面に凹面部38が形成されているので、扁平部32cの下面が平坦な場合に比して竿体5により一層沿いやすくなって密着性が一段と増し、更に、取付部32において左右の金属線材に跨るように凹面部38が左右方向に連続しているので、金属線材の両端部所定長さ領域が左右に並んだ構成であっても竿体5への良好な密着性が確保される。また、扁平部32cの両側部が後側に向けて斜めに切除されていて後側に向けて幅狭に形成されているので、竿体5により一層強固に取り付けることができると共に巻糸6を綺麗に巻き付けることができて良好な外観体裁が得られる。
【0055】
そして、このようにして竿体5に取り付けられる釣糸ガイド1にあっては、ガイドフレーム3が中空状の金属線材から構成されているので、従来のように金属板を所定形状に打ち抜いて形成した構成に比して容易に軽量化できる。また、従来の金属板を打ち抜いたガイドフレーム3では、エッジの立った断面形状となっているので、ガイドフレーム3に釣糸が接触したときの抵抗が大きく、そのために糸絡みが発生しやすく、また、キャストフィールも良くない。これに対して、本実施形態の釣糸ガイド1のガイドフレーム3は断面円形の金属線材から構成されていてエッジのない円形の断面形状を有しているので、ガイドフレーム3に釣糸が接触したときの釣糸の滑り性が良くスムーズであって、糸絡みが発生しにくく、またキャストフィールも優れている。
【0056】
更に、ガイドフレーム3の左右一対の支持脚部31が左右方向の外側に向けて膨らむように湾曲しているので、ガイドフレーム3がエッジのない円形の断面形状であることと相まって、釣糸ガイド1に釣糸が絡みにくい。また、枠部30の中心角θが両接点54間の中心角αよりも小さいので、支持脚部31を枠部30の周方向の端部からスムーズに膨らんだ形状とすることができ、枠部30と支持脚部31との境界部分に径方向内側に括れた括れ部が生じることがなく、枠部30から支持脚部31へとスムーズに連続した形状となって、より一層糸絡みが防止される。
【0057】
また、支持脚部31の根元領域31cが前後方向に湾曲していてもその根元領域31cにおいて中空状の金属線材が押し潰れることなく断面形状を維持しているので、支持脚部31の根元領域31cにおいてもエッジのない断面形状となって、糸当たりが少なく良好なキャストフィールが得られ、糸絡みがより一層防止される。また、支持脚部31の根元領域31cにおいて金属線材が押し潰れていないので、押し潰されている形態に比して強度も向上する。
【0058】
また、ブリッジパーツ4が左右一対の支持脚部31を連結しているので、ガイドフレーム3が補強されることになり、ガイドフレーム3の強度が向上する。そして、ガイドフレーム3がガイドリング2の外周面2bから離れていく左右二箇所の離反点P近傍において、ガイドフレーム3とガイドリング2の外周面2bとの間の空間をブリッジパーツ4が補填しているので、その二箇所の離反点P近傍において発生しやすい糸絡みをブリッジパーツ4によって防ぐことができる。特に、ブリッジパーツ4の補填部40の下面に凹状の曲面部43bが形成されているので、該曲面部43bによって糸絡みをより一層抑制することができる。
【0059】
更に、ガイドリング2の全周のうちガイドフレーム3の枠部30が周回していない非周回部分がブリッジパーツ4によって保持されるので、ガイドリング2がガイドフレーム3の枠部30のみならずブリッジパーツ4によっても保持されることになってガイドリング2の保持力が向上する。しかも、ブリッジパーツ4もガイドリング2の周溝20に係合していて、ブリッジパーツ4の両側面44にもガイドフレーム3の支持脚部31が係合しているので、ガイドリング2、ガイドフレーム3及びブリッジパーツ4が強固に一体化されて、釣糸ガイド1の強度がより一層向上する。また、ブリッジパーツ4をガイドリング2の周溝20に係合させることにより、ブリッジパーツ4の上下寸法を小さくすることができて軽量化できる。また、ブリッジパーツ4が支持脚部31同士を、前後方向に湾曲していない先領域31aの範囲内で連結しているので、ブリッジパーツ4をガイドフレーム3の枠部30と同一平面上に位置させることができてブリッジパーツ4の前後方向の寸法も抑制できる。このようにブリッジパーツ4を備えることによって釣糸ガイド1の強度アップと糸絡み防止を図りつつも、過度の重量増加を抑制することができる。
【0060】
尚、本実施形態では、支持脚部31が二本足の構成であったが、一本足の構成であってもよい。また、取付部32も一本足の構成であってもよい。