特許第6553463号(P6553463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社総合車両製作所の特許一覧

<>
  • 特許6553463-鉄道車両構体 図000002
  • 特許6553463-鉄道車両構体 図000003
  • 特許6553463-鉄道車両構体 図000004
  • 特許6553463-鉄道車両構体 図000005
  • 特許6553463-鉄道車両構体 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553463
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】鉄道車両構体
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/08 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   B61D17/08
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-185445(P2015-185445)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2017-56900(P2017-56900A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】河田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】根本 直
(72)【発明者】
【氏名】側垣 正
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 翔太
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−020729(JP,A)
【文献】 特開2009−154194(JP,A)
【文献】 特開2014−083982(JP,A)
【文献】 特開2000−247227(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0130705(US,A1)
【文献】 特開2013−052746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口用の開口部が設けられた側構体を備えた鉄道車両構体であって、
前記側構体は、
外板と、
前記外板の車両内面側で前記開口部の周辺に配置された出入口枠と、
前記外板の車両内面側で前記出入口枠に隣接して配置された骨部材と、を有し、
前記骨部材及び前記出入口枠は、前記外板の面方向に延びる取付部と、車両内側に向かって突出する剛性部とをそれぞれ有し、
前記骨部材における前記取付部は、前記外板の車両内面側に重ね合わされていると共に、当該取付部の一部が前記開口部側に張り出す張出部分となっており、
前記出入口枠における前記取付部は、前記骨部材における前記取付部の車両内面側に重ね合わされた状態で、前記骨部材の前記取付部及び前記外板における前記開口部側の端部に接合されている、鉄道車両構体。
【請求項2】
前記外板における前記開口部側の端部、及び前記骨部材における前記張出部分の端部は、面取りされた状態となっている、請求項1記載の鉄道車両構体。
【請求項3】
前記出入口枠の前記取付部と前記骨部材の前記剛性部とが離間している、請求項1又は2記載の鉄道車両構体。
【請求項4】
前記側構体は、前記外板の車両内面側で前記出入口枠の反対側に位置するように前記骨部材に隣接して配置された別の骨部材をさらに備え、
前記別の骨部材は、前記外板の面方向に延びる取付部と、車両内側に向かって突出する剛性部とを有し、
前記骨部材の前記剛性部と前記別の骨部材の前記剛性部とが、補強板によって連結されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の鉄道車両構体。
【請求項5】
前記骨部材における前記張出部分の車両外面側は、視認性向上面となっている、請求項1〜4のいずれか一項記載の鉄道車両構体。
【請求項6】
前記外板は、幕部、吹寄部の上部、及び出入口上部の一部が一体化された第1の分割板と、腰部及び前記吹寄部の下部が一体化された第2の分割板と、を接合してなる、請求項1〜5のいずれか一項記載の鉄道車両構体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両構体に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両構体を構成する側構体には、乗降用のドアなどが取り付けられる開口部が設けられている。従来の構成では、外板の車両外面側に出入口枠を取り付けることによって開口部を形成していたが、かかる構成では車両外面側に出入口枠による段差が生じることがある。
【0003】
このような出入口枠に起因した車両外面側の段差を解消する(フラット化する)技術として、例えば特許文献1に記載の鉄道車両構体がある。この特許文献1では、出入口枠の取付部を外板と略面一に配置すると共に、外板の車両内面側に配置した結合部材によって出入口枠の取付部を外板及び骨部材に結合した構成が開示されている。また、この特許文献1では、出入口枠の取付部に背切部分を形成し、当該背切部分を車両の車両外面側に重ね合わせた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−20729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の前者の構成では、出入口枠の取付部が結合部材を介して外板及び骨部材に間接的に結合されているにすぎないため、出入口枠から外板及び骨部材への力の伝達が不十分となり、出入口枠の強度が十分に確保されないおそれがある。出入口枠の強度を高めるために出入口枠の取付部を骨部材のフランジ部に重ねることが考えられるが、単純に取付部を骨部材のフランジ部に重ねただけでは、フランジ部の寸法公差等に起因して外板と出入口枠との間に隙間が生じる。この隙間が生じた場合、開口部周辺の強度が低下すると共に、腐食等の要因となるおそれがある。
【0006】
また、上述した特許文献1の後者の構成では、一般に出入口枠の厚さが外板及び骨部材の厚さよりも大きいことから、背切加工の困難性が問題となる。厚さの大きい出入口枠に対して開口部の形状に沿った背切部分を精度よく形成することは難しく、背切部分を外板の車両内面側に重ね合わせたときに浮きが生じてしまうことが考えられる。浮きが生じてしまうと、外板と出入口枠との間に健全な溶接部が形成されず、結果として出入口枠の強度が確保できなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、側構体のフラット化を実現でき、かつ出入口周辺の強度の確保及び出入口枠近傍での腐食の抑制が図られる鉄道車両構体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る鉄道車両構体は、出入口用の開口部が設けられた側構体を備えた鉄道車両構体であって、側構体は、外板と、外板の車両内面側で開口部の周辺に配置された出入口枠と、外板の車両内面側で出入口枠に隣接して配置された骨部材と、を有し、骨部材及び出入口枠は、外板の面方向に延びる取付部と、車両内側に向かって突出する剛性部とをそれぞれ有し、骨部材における取付部は、外板の車両内面側に重ね合わされていると共に、当該取付部の一部が開口部側に張り出す張出部分となっており、出入口枠における取付部は、骨部材における取付部の車両内面側に重ね合わされた状態で、骨部材の取付部及び外板における開口部側の端部に接合されている。
【0009】
この鉄道車両構体によれば、外板、骨部材、及び出入口枠を有する側構体において、出入口枠における取付部は、骨部材における取付部の車両内面側に重ね合わされた状態で、骨部材の取付部及び外板における開口部側の端部に接合されている。これにより、出入口枠が外板の車両外面側に取り付けられず、当該出入口枠に起因した段差は外板の車両外面側に形成されないので、側構体のフラット化を実現できる。また、出入口枠は、骨部材及び外板に接合されているので、出入口枠にかかる力が骨部材及び外板に良好に伝達され、側構体における出入口周辺の強度を十分に確保できる。さらに、上記鉄道車両構体における骨部材の取付部の一部が開口部側に張り出す張出部分となっている。これにより、外板の開口部側の端部と出入口枠との間に隙間が生じないので、当該隙間による開口部周辺の強度低下を防ぐことができると共に、出入口枠近傍での腐食を抑制できる。
【0010】
また、外板における開口部側の端部、及び骨部材における張出部分の端部は、面取りされた状態となってもよい。この場合、車両外面側における外板と骨部材の張出部分との継ぎ目、及び車両外面側における骨部材の張出部分と出入口枠の取付部との継ぎ目が滑らかになるので、出入口周辺の安全性が向上すると共に、側構体の美観が向上する。
【0011】
また、出入口枠の取付部と骨部材の剛性部とが離間してもよい。この場合、出入口枠の位置決め自由度を向上できる。
【0012】
また、側構体は、外板の車両内面側で出入口枠の反対側に位置するように骨部材に隣接して配置された別の骨部材をさらに備え、別の骨部材は、外板の面方向に延びる取付部と、車両内側に向かって突出する剛性部とを有し、骨部材の剛性部と別の骨部材の剛性部とが、補強板によって連結されていてもよい。この場合、側構体の剛性を一層向上できる。
【0013】
また、骨部材における張出部分の車両外面側は、視認性向上面となってもよい。この場合、開口部周辺における骨部材の張出部分の視認性が向上するので、鉄道車両構体における出入口の位置を容易に判別することができる。
【0014】
また、外板は、幕部、吹寄部の上部、及び出入口上部の一部が一体化された第1の分割板と、腰部及び前記吹寄部の下部が一体化された第2の分割板と、を接合してなってもよい。このような外板によって構成される側構体では、出入口用の開口部が外板の上部まで到達せず、コの字状となる。このような場合であっても、外板に骨部材を接合した後に外板の車両内面側から出入口枠を上記開口部の周辺に配置できるので、側構体の製造工程における作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、側構体のフラット化を実現でき、かつ出入口周辺の強度の確保及び出入口枠近傍での腐食の抑制を可能とする鉄道車両構体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る鉄道車両用構造部材が適用された鉄道車両の一例を示す斜視図である。
図2】側構体の一部を車両外側から見た概略図である。
図3図2のIII−III線矢視断面図である。
図4】変形例に係る側構体の一部を車両外側から見た概略拡大図である。
図5図4のV−V線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る鉄道車両用構造部材が適用された鉄道車両の一例を示す斜視図である。図1に示すように、鉄道車両構体1は、台枠2と、側構体3と、屋根構体4と、妻構体5とを備えている。鉄道車両構体1は、台枠2、側構体3、屋根構体4、及び妻構体5が相互に接合されることにより、乗客を収容する空間を内部に有する箱型形状をなしている。鉄道車両構体1は主に金属製であり、鉄道車両構体1を形成する各構体は、例えば一辺数m、厚さ1.2mm〜2mm程度のステンレス鋼板又はアルミニウム合金板を1枚又は複数枚用いることによって製造されている。
【0019】
台枠2は、鉄道車両の床部を構成する構体として鉄道車両構体1の底部に配置されている。側構体3及び妻構体5は、車両の側部を構成する構体として、台枠2の左右の縁部及び前後の縁部を囲むように立設されている。側構体3には、ドア6を取り付けるための出入口用の開口部3aが等間隔に複数(例えば3ヶ所)設けられている。
【0020】
また、ドア6,6間と側構体3の両端部とには、窓部7が設けられている。妻構体5は、乗客・乗員らが車両間を行き来するための出入口部8が設けられている。屋根構体4は、鉄道車両の屋根部を構成する構体であり、台枠2、側構体3及び妻構体5によって囲まれる空間に対して蓋をするように鉄道車両構体1の上部に配置されている。車両の屋根構体4には、その上部に車内の温度を調整するためのエアコンディショナー、及びパンタグラフ(図示しない)などが設置されている。
【0021】
図2は、側構体の一部を車両外側から見た概略図である。図2に示されるように、側構体3を形成する複数の外板11のそれぞれは、車両上側に位置する第1の分割板12と、車両下側に位置する第2の分割板13とを接合してなる。本実施形態では、第1の分割板12と第2の分割板13とは、レーザ溶接等により互いに溶接されている。
【0022】
第1の分割板12は、幕部14と、吹寄部15の上部15aと、幕部14の両端部から車両前後方向に沿ってそれぞれ突出する突出部16とが一体化されてなる。吹寄部15の上部15aには、窓部7を形成するための切欠部7aが設けられている。突出部16は、出入口用の開口部3aにおいて車両上部の縁を形成する部分であり、出入口上部の半分を構成する。この突出部16は、隣接する外板11同士の接合部分となっている。隣接する突出部16同士を接合することによって、これらの突出部16が出入口上部を形成する。
【0023】
第2の分割板13は、腰部17と、吹寄部15の下部15bとが一体化されてなる。吹寄部15の下部15bには、窓部7を形成するための切欠部7bが設けられている。
【0024】
複数の外板11のそれぞれには、吹寄部15及び腰部17における開口部3a側の縁から当該開口部3aに向かって張り出す張出部分35と、突出部16における開口部3a側の縁から当該開口部3aに向かって張り出す張出部分36とが設けられている。これらの張出部分35は、後述する骨部材31のフランジ部32の一部である(図3参照、詳細は後述する)。張出部分36は、車両前後方向に延在し、両方の突出部16の車両内面側に取り付けられるプレート(図示せず)の一部である。張出部分35,36はそれぞれ1.0mm〜10mm程度張り出している。本実施形態では、張出部分35,36は、それぞれ5mm程度張り出しており、これらの厚さは1.5mm程度である。
【0025】
側構体3における開口部3aの周辺には、開口部3a周辺の構成の強度を向上させるコの字状の出入口枠21が配置されている。この出入口枠21は、車両上下方向に延在する一対の柱部21a,21bと、柱部21a,21bの上端同士を繋ぐ梁部21cとを有する。出入口枠21は外板11の内面11a側(車両内面側)から取り付けられている。具体的には、柱部21aは一方の外板11における骨部材31のフランジ部32(図3参照)に取り付けられる。柱部21bは、柱部21aと同様に他方の外板11における骨部材のフランジ部に取り付けられる。また、梁部21cは張出部分36を有するプレートに取り付けられる。出入口枠21の一部が外板11の外面11b側(車両外面側)から見て開口部3aから露出するように、出入口枠21が外板11に取り付けられている。出入口枠21は、例えば厚さ4mm程度のステンレス鋼板又はアルミニウム合金板によって製造されている。
【0026】
図3は、図2のIII−III線矢視断面図である。図3に示されるように、側構体3は、出入口枠21に加えて、外板11の剛性向上に寄与する骨部材31,41,51と、骨部材31,41を連結するための補強板61とを備えている。骨部材31,41,51及び補強板61の寸法は、外板11に取り付けられる位置と、外板11に要求される剛性及び強度とによって適宜設定される。
【0027】
骨部材31は、車両上下方向に沿って延在するハット形鋼材(ハット材)であり、外板11の内面11a側で出入口枠21に隣接して配置されている。骨部材31は、外板11に取り付けられる取付部である一対のフランジ部32,33と、外板11の剛性(特にせん断応力に対する剛性)の向上に寄与する剛性部であるチャンネル部34とを有している。
【0028】
フランジ部32,33は、それぞれ外板11の面方向に延在していると共に、外板11の内面11a側に重ね合わされている。フランジ部32はチャンネル部34よりも開口部3aに位置し、フランジ部33はチャンネル部34よりも開口部3aと反対側に位置する。フランジ部32の先端部は、開口部3a側に張り出す張出部分35となっている。換言すれば、フランジ部32の先端部は、外板11の開口部3a側の端部11cよりも開口部3a側に突出している。フランジ部32は溶接部W1によって外板11に接合されており、フランジ部33は溶接部W2によって外板11に接合されている。例えば、フランジ部32,33と外板11とは、車両内側からスポット溶接されることによって接合されている。
【0029】
チャンネル部34は、フランジ部32,33に交差して車両内側に突出している部分である。また、チャンネル部34は、車両内側に突出する一対のウェブ部と、当該ウェブ部の車両内側の先端同士を繋ぎ、外板11と略平行に延びる頂部とによって構成されている。
【0030】
骨部材41は、車両上下方向に沿って延在するハット材であり、内面11a側で出入口枠21の反対側に位置するように骨部材31と隣接して配置されている。骨部材41は、一対のフランジ部42,43と、チャンネル部44とを有している。骨部材31側に位置するフランジ部42は、外板11の面方向に延在しており、溶接部W3によって外板11に接合されている。骨部材31と反対側に位置するフランジ部43は、外板11の面方向に延在しており、溶接部W4によって外板11に接合されている。チャンネル部44は、車両内側に突出する一対のウェブ部と、当該ウェブ部の車両内側の先端同士を繋ぎ、外板11と略平行に延びる頂部とによって構成されている。例えば、フランジ部42,43と外板11とは、車両内側からスポット溶接されることによって接合されている。
【0031】
骨部材51は、車両前後方向に沿って延在するハット材であり、内面11a側で骨部材31の反対側に位置するように骨部材41と隣接して配置されている。骨部材51は、骨部材31,41と同様に、一対のフランジ部52,53と、チャンネル部54とを有している。骨部材51において骨部材41側の端部は、フランジ部43上に位置するように背切り加工されている。フランジ部52の背切り部分は、溶接部W4によってフランジ部43を介して外板11に接合されている。したがって、溶接部W4は、骨部材41上に骨部材51を重ねた後に設けられる。なお、フランジ部52は、溶接部W4以外の他のスポット溶接部によって外板11に直接接合されてもよい。また、骨部材51は、車両上下方向に沿って複数並列して配列されている。
【0032】
出入口枠21は、上述した骨部材31,41,51が接合された外板11の内面11aに取り付けられている。出入口枠21は、外板11の面方向に延びる取付部22と、車両内側に向かって突出する剛性部23とを備えている。取付部22及び剛性部23は、出入口枠21を構成する柱部21a,21b及び梁部21cのそれぞれに設けられており、取付部同士と剛性部同士とは、それぞれ連続して設けられている。
【0033】
取付部22は、骨部材31におけるフランジ部32の車両内面側に重ね合わされていると共に、骨部材31のチャンネル部34から離間している。取付部22は、溶接部W1によってフランジ部32を介して外板11に接合されている。換言すれば、取付部22は、フランジ部32の車両内面側に重ね合わされた状態で、当該フランジ部32及び外板11における開口部3a側の端部11cに接合されている。したがって、溶接部W1は、骨部材31上に出入口枠21を重ねた後に設けられる。なお、取付部22は、溶接部W4に加えて、他のスポット溶接部を介してフランジ部32に接合されてもよい。
【0034】
剛性部23は、出入口枠21の開口部3a側の剛性の向上に寄与する部分であり、取付部22において骨部材31と反対側に設けられる。剛性部23は、屈曲点Bにて屈曲することによって車両内側に突出する部分である。
【0035】
外板11の端部11cは、隅肉溶接部FW1によって骨部材31におけるフランジ部32の張出部分35の外面11b側に接合されている。同様に、張出部分35は、隅肉溶接部FW2によって出入口枠21における取付部22の外面11b側に接合されている。隅肉溶接部FW1,FW2は、例えば車両外側からレーザ溶接等を行うことによって設けられる。また、外板11の端部11cと、張出部分35の端部35aとが面取りされている。切削加工又は研磨加工等が施されることによって、端部11c,35aが面取りされている。なお、張出部分36を有するプレートは、骨部材31と同様に外板11及び出入口枠21に隅肉溶接されており、張出部分36の開口部3a側の端部が面取りされている。
【0036】
補強板61は、骨部材31,41による外板11に対する剛性向上を高めるために用いられる板状部材である。補強板61は、溶接部W5,W6を介して骨部材31のチャンネル部34と骨部材41のチャンネル部44とを連結している。本実施形態では、補強板61は、溶接部W5によってチャンネル部34の頂部に接合されていると共に、溶接部W6によってチャンネル部44の頂部に接合されている。例えば、骨部材31,41と補強板61とは、車両内側からスポット溶接されることによって接合されている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る鉄道車両構体1によれば、外板11、骨部材31、及び出入口枠21を有する側構体3において、出入口枠21における取付部22は、骨部材31におけるフランジ部32の内面11a側に重ね合わされた状態で、骨部材31のフランジ部32及び外板11における開口部3a側の端部11cに接合されている。これにより、出入口枠21が外板11の外面11b側に取り付けられず、出入口枠21に起因した段差は外板11の外面11b側に形成されないので、側構体3のフラット化を実現できる。また、出入口枠21は、骨部材31及び外板11に接合されているので、出入口枠21にかかる力が骨部材31及び外板11に良好に伝達され、側構体3における出入口周辺の強度を十分に確保できる。さらに、鉄道車両構体1における骨部材31のフランジ部32の一部が開口部3a側に張り出す張出部分35となっている。これにより、外板11の開口部3a側の端部11cと出入口枠21との間に隙間が生じないので、当該隙間による開口部3a周辺の強度低下を防ぐことができると共に、出入口枠21近傍での腐食を抑制できる。
【0038】
また、外板11における開口部3a側の端部11c、及び骨部材31における張出部分35の端部35aは、面取りされた状態となっている。この場合、車両外面側における外板11と骨部材31の張出部分35との継ぎ目、及び車両外面側における骨部材31の張出部分35と出入口枠21との継ぎ目が滑らかになるので、出入口周辺の安全性が向上すると共に、側構体3の美観が向上する。
【0039】
また、出入口枠21の取付部22と骨部材31のチャンネル部34とが離間している。この場合、出入口枠21の位置決め自由度を向上できる。
【0040】
また、側構体3は、外板11の内面11a側で出入口枠21の反対側に位置するように骨部材31に隣接して配置された骨部材41をさらに備え、骨部材41は、外板11の面方向に延びるフランジ部42,43と、車両内側に向かって突出するチャンネル部44とを有し、骨部材31のチャンネル部34と骨部材41のチャンネル部44とが、補強板61によって連結されている。この場合、側構体3の剛性を一層向上できる。
【0041】
また、外板11は、幕部14、吹寄部15の上部15a、及び出入口上部の一部である突出部16が一体化された第1の分割板12と、腰部17及び吹寄部15の下部15bが一体化された第2の分割板13と、を接合してなる。このような外板11によって構成される側構体3では、出入口用の開口部3aが外板11の上部まで到達せず、コの字状となる。このような場合であっても、外板11に骨部材31,41,51を接合した後に外板11の内面11a側から出入口枠21を開口部3aの周辺に配置できるので、側構体3の製造工程における作業性を向上できる。
【0042】
また、側構体3に設けられる溶接部W1〜W6は、全て車両内側から形成されている。このため、本実施形態の側構体3を形成するための溶接工程は、隅肉溶接を除いて車両内側から行うことができるので、側構体3の製造工程における作業性を向上できる。
【0043】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0044】
図4は、変形例に係る側構体の一部を車両外側から見た概略拡大図であり、図5は、図4のV−V線矢視断面図である。図4及び図5に示されるように、骨部材31における張出部分35の車両外面側の面35bには、着色されたテープ71が車両上下方向に沿って貼り付けられている。このテープ71は、乗客等が視認しやすいように、例えば側構体3の外面側に施される塗装と異なる色によって着色されている。このようなテープ71が貼り付けられた面35bは、視認性が向上された面(視認性向上面)となる。この場合、開口部3a周辺における骨部材31の張出部分35の視認性が向上するので、側構体3における出入口の位置を容易に判別することができる。なお、テープ71は、蛍光テープであってもよく、光反射テープであってもよい。これらの場合、夜間であってもテープ71の視認性が向上する。
【0045】
本発明は、上記実施形態及び上記変形例に限られるものではない。例えば、溶接部W1〜6は車両内側から施されるレーザ溶接により設けられてもよい。また、出入口枠21の取付部22は、骨部材31のチャンネル部34に接してもよい。また、上記実施形態及び変形例においては、必ずしも補強板61が用いられなくてもよい。
【0046】
また、上記実施形態及び上記変形例において、側構体3における突出部16の車両内面側には、プレートの代わりにフランジ部を有するハット材が取り付けられてもよい。この場合、突出部16の剛性が向上する。また、上記ハット材の開口部3a側のフランジ部が張出部分36を有することにより、出入口枠21における梁部21cは、張出部分36を有するフランジ部の車両内面側に取り付けられる。
【0047】
また、上記変形例において、張出部分36の車両外面側の面は、視認性向上面であってもよい。この場合、張出部分36には、面35bと同様にテープが貼り付けられる。また、視認性向上面は、テープ71以外の構成で実現されてもよい。例えば、外板11の外面11bとは異なる色の塗装を面35bに施すことによって、当該面35bを視認性向上面としてもよい。また、面35bの研磨目を外板11の外面11bの研磨目と異ならせるように面35bに表面仕上げを施すことによって、当該面35bを視認性向上面としてもよい。同様に、張出部分36の車両外面側の面に対しても、上記塗装又は上記表面仕上げを施してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…鉄道車両構体、3…側構体、3a…開口部、11…外板、11a…内面、11c…端部、12…第1の分割板、13…第2の分割板、14…幕部、15…吹寄部、15a…上部、15b…下部、16…突出部、17…腰部、21…出入口枠、22…取付部、23…剛性部、31,41,51…骨部材、32,33,42,43,52,53…フランジ部(取付部)、34,44,54…チャンネル部(剛性部)、35…張出部分、61…補強板、FW1,FW2…隅肉溶接部、W1〜W6…溶接部。
図1
図2
図3
図4
図5