特許第6553472号(P6553472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553472
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】コンタクタ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   G01R1/073 D
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-194768(P2015-194768)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-67662(P2017-67662A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】永田 孝弘
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−165414(JP,A)
【文献】 特開2009−94006(JP,A)
【文献】 特開2007−178405(JP,A)
【文献】 特開平9−184852(JP,A)
【文献】 特開2004−309490(JP,A)
【文献】 特開平5−40131(JP,A)
【文献】 特開2007−78456(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0167561(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
G01R 1/067
G01R 31/26
H01R 33/76
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
各々のスプリングは、少なくとも前記接点部側の端部に平坦巻き部を有するコンタクタ。
【請求項2】
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
各々のスプリングは、自身の長さ方向の中間部に斜め密着巻き部を有するコンタクタ。
【請求項3】
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
各々のスプリングは、少なくとも前記接点部側の端部に平坦巻き部を有し、かつ自身の長さ方向の中間部に斜め密着巻き部を有し、開放状態において前記平坦巻き部と前記斜め密着巻き部との間に隙間が存在するコンタクタ。
【請求項4】
各々のスプリングが所定長圧縮されると、前記隙間が無くなって前記平坦巻き部と前記斜め密着巻き部とが相互に接触する、請求項に記載のコンタクタ。
【請求項5】
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
各々の接点部は、前記スプリングの内側に延びる位置合わせ用凸部を有するコンタクタ。
【請求項6】
前記位置合わせ用凸部と前記スプリングとの係合により、前記スプリングからの前記接点部の抜けを防止する抜止め力が発生する、請求項に記載のコンタクタ。
【請求項7】
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記フレキシブル基板を貫通して前記フレキシブル基板の一面側から他面側に延びるストッパ凸部を有するコンタクタ。
【請求項8】
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
前記フレキシブル基板は、各々の接点部の周囲に、前記接点部の接触先の高低差による自身の撓みを防止するための貫通穴を有するコンタクタ。
【請求項9】
前記ハウジングに設けられて前記フレキシブル基板を貫通し、前記ハウジングに対して前記フレキシブル基板を位置決めする複数の位置決めピンを有し、前記フレキシブル基板が前記複数の位置決めピンにより自身の面垂直方向に移動可能に支持されている、請求項1からのいずれか一項に記載のコンタクタ。
【請求項10】
前記フレキシブル基板は、各々の位置決めピンを挿通する複数の長穴を有し、各々の長穴は、短手方向には前記位置決めピンと略同一寸法であり、長手方向には前記位置決めピンより大きい寸法である、請求項に記載のコンタクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス等の被測定デバイスの検査に用いて好適なコンタクタに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の検査対象物の検査に用いられるコンタクタとして、下記特許文献1に示すように、複数のコンタクトプローブをハウジングの貫通穴内に挿入した構造のソケットが知られている。各コンタクトプローブは、スプリングと、前記スプリングにより突出方向に付勢されたプランジャーと、を有する。近年の半導体デバイスは動作周波数がより高くなっており、その高い周波数を測定するために、長さの短いコンタクトプローブが使用されるようになってきている。
【0003】
他の構造のコンタクタとして、複数のバンプを有するコンタクトシートの下方に、シリコーン樹脂シート等の弾性を有する材料中に金属細線を埋め込んだ金属線埋設シートを設けた構造のコンタクト装置がある(下記特許文献2)。金属線埋設シートは、電気的な接続に加え、バンプ高さのバラつきと検査対象物の非平坦性を吸収する役割を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−186210号公報
【特許文献2】特開2000−180506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構造の場合、高周波対応のために長さが短くなってくると、コンタクトプローブの取扱いも難しくなる。具体的には、コンタクトプローブ自体の組立て、及びハウジングの貫通穴に対するコンタクトプローブの挿入などの作業が困難となり、高い熟練技術と多くの工数が必要になるという問題があった。またプランジャの加工も難しく、多くの時間とコストが掛かるという問題があった。一方、特許文献2の構造の場合、ストロークは金属線埋設シートの弾性変形量に依存するため長く取れず、被測定デバイスのコプラナリティによっては安定したコンタクトが得られないという問題があった。
【0006】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、製造容易で長いストロークを確保することの可能なコンタクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、コンタクタである。このコンタクタは、
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
各々のスプリングは、少なくとも前記接点部側の端部に平坦巻き部を有する
【0009】
本発明のもう1つの態様は、コンタクタである。このコンタクタは、
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
各々のスプリングは、自身の長さ方向の中間部に斜め密着巻き部を有する
【0010】
本発明のもう1つの態様は、コンタクタである。このコンタクタは、
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
各々のスプリングは、少なくとも前記接点部側の端部に平坦巻き部を有し、かつ自身の長さ方向の中間部に斜め密着巻き部を有し、開放状態において前記平坦巻き部と前記斜め密着巻き部との間に隙間が存在する
【0011】
各々のスプリングが所定長圧縮されると、前記隙間が無くなって前記平坦巻き部と前記斜め密着巻き部とが相互に接触してもよい。
【0012】
本発明のもう1つの態様は、コンタクタである。このコンタクタは、
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
各々の接点部は、前記スプリングの内側に延びる位置合わせ用凸部を有する
【0013】
前記位置合わせ用凸部と前記スプリングとの係合により、前記スプリングからの前記接点部の抜けを防止する抜止め力が発生してもよい。
【0014】
本発明のもう1つの態様は、コンタクタである。このコンタクタは、
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記フレキシブル基板を貫通して前記フレキシブル基板の一面側から他面側に延びるストッパ凸部を有する
【0015】
本発明のもう1つの態様は、コンタクタである。このコンタクタは、
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられた複数の接点部と、各々の接点部を対象物側に向けて付勢する複数のスプリングと、前記複数のスプリングを収容するハウジングと、を備え、
前記フレキシブル基板は、各々の接点部の周囲に、前記接点部の接触先の高低差による自身の撓みを防止するための貫通穴を有する
【0016】
前記ハウジングに設けられて前記フレキシブル基板を貫通し、前記ハウジングに対して前記フレキシブル基板を位置決めする複数の位置決めピンを有し、前記フレキシブル基板が前記複数の位置決めピンにより自身の面垂直方向に移動可能に支持されてもよい。
【0017】
前記フレキシブル基板は、各々の位置決めピンを挿通する複数の長穴を有し、各々の長穴は、短手方向には前記位置決めピンと略同一寸法であり、長手方向には前記位置決めピンより大きい寸法であってもよい。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、製造容易で長いストロークを確保することの可能なコンタクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係るコンタクタ1のスプリング開放状態における概略断面図。
図2】コンタクタ1のスプリング圧縮状態における概略断面図。
図3図1のフレキシブル基板10の接点部20近傍の拡大断面図。
図4】(A)は図1の要部拡大断面図、(B)は図2の要部拡大断面図。
図5】フレキシブル基板10の平面図(検査対象物側から見た図)。
図6図5の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0022】
図1において、上下左右各方向を定義する。また、図1における紙面垂直方向を前後方向と定義する。図1及び図2に示すように、本実施の形態のコンタクタ1は、半導体デバイス(ICパッケージ)等の検査対象デバイス7の検査に用いられるものであって、図示しない検査装置側の検査用基板5と検査対象デバイス7との間における電源や信号の伝送を行う。なお、図1及び図2に示す検査用基板5及び検査対象デバイス7は、コンタクタ1の構成要素ではない。コンタクタ1は、フレキシブル基板10と、接点部20と、スプリング30と、ハウジング40と、ガイド50と、を備える。
【0023】
フレキシブル基板10は、接点部20を形成するための基材(ポリイミド等)であり、ガイド50のガイド穴51の開口に臨むとともに、ハウジング40及びガイド50の間の空間に延在する。図5に示すように、フレキシブル基板10は、各々の接点部20の周囲に貫通穴13を有する。図5の例では、1つの接点部20に対して4つの貫通穴13が囲むように設けられる。なお、隣接する接点部20は貫通穴13を共有する。各々の貫通穴13は、接点部20の接触先(図2の検査対象デバイス7のバンプ8)の高低差(高さのバラつき)に起因する検査時のフレキシブル基板10の不用意な撓み(波打ち)を防止する役割を持つ。
【0024】
フレキシブル基板10は、複数の(ここでは4本の)位置決めピン60により、前後左右方向の位置が定められ、かつ上下方向(自身の面垂直方向)に移動可能に支持される。各々の位置決めピン60を挿通するためのフレキシブル基板10の複数のピン挿通穴11はそれぞれ長穴であり、フレキシブル基板10の上下移動時の撓みを許容できるようになっている。なお、図5では、ピン挿通穴11と位置決めピン60の大きさの関係を示すため、ピン60を破線で仮想的に示している。各ピン挿通穴11は、短手方向には位置決めピン60と略同一寸法であり、長手方向には位置決めピン60より大きい寸法である。図5に示すように、フレキシブル基板10の左右各部に設けられたピン挿通穴11は左右方向に長い長穴であり、前後各部に設けられたピン挿通穴11は前後方向に長い長穴であり、4本の位置決めピン60により、撓みは許容しつつフレキシブル基板10の前後左右方向の位置決めは正確に行われる。
【0025】
フレキシブル基板10は、図1に示すハウジング40のストッパ凸部42を貫通させるための複数の(ここでは4つの)ストッパ用穴12(図5)を有する。各ストッパ用穴12とストッパ凸部42の大きさの関係は、各ピン挿通穴11と位置決めピン60の大きさの関係と同様であり、ストッパ凸部42によりフレキシブル基板10の上下移動時の撓みを許容できるようになっている。
【0026】
接点部20は、金属体であって例えば電鋳によってフレキシブル基板10上に複数(多数)設けられ、検査時に検査対象デバイス7のバンプ(電極)8と接触する。図3及び図4(A),(B)に示すように、接点部20は、本体部21と、接触用凸部22と、位置合わせ用凸部(脚部)23と、を有する。本体部21は、円柱形状であって上下端部にそれぞれ鍔部21aを有し、鍔部21a間にフレキシブル基板10を挟み込んでいる。フレキシブル基板10の上面側において、接触用凸部22は、本体部21の上面側の鍔部21aの上面から例えば円柱状に上方に突出し、図6に示すように1つの接点部20につき例えば4つ設けられる。フレキシブル基板10の下面側において、位置合わせ用凸部23は、図3に示すように本体部21の下面側の鍔部21aの下面中心部から例えば円柱状に下方に突出し、図4(A),(B)に示すようにスプリング30の内側に延びる(入り込む)。位置合わせ用凸部23は、コンタクタ1の組立時に接点部20及びスプリング30の相互の位置合わせに用いられると共に、スプリング30との係合(例えば軽圧入)により、スプリング30からの接点部20の抜けを防止する抜止め力を発生する。
【0027】
スプリング30は、接点部20と同数設けられた導電性材料からなるコイルスプリングであり、各々の接点部20を検査対象物側に向けて付勢する。スプリング30が接点部20を下方から支持することで、フレキシブル基板10が、ハウジング40のフレキシブル基板10が配置される面から浮いた状態で支持される。フレキシブル基板10は、ハウジング40に対して固定的には支持されない。図4(A),(B)に示すように、各々のスプリング30は、両端部にそれぞれ平坦巻き部31を有し、かつ自身の長さ方向の中間部に斜め密着巻き部32を有する。上端側の平坦巻き部31の内側に、接点部20の位置合わせ用凸部23が嵌入(軽圧入)される。各々のスプリング30の開放状態において、図4(A)に示すように、平坦巻き部31と斜め密着巻き部32との間に隙間Gが存在する。具体的には、各々のスプリング30において平坦巻き部31と斜め密着巻き部32との間を渡す連絡部33は、スプリング30の開放時に斜め密着巻き部32よりも傾斜が急となっており、これにより前述の隙間Gが形成される。一方、各々のスプリング30が所定長圧縮されると、図4(B)に示すように、隙間Gが無くなって平坦巻き部31と斜め密着巻き部32とが相互に接触する。なお、スプリング30の平坦巻き部31を斜め密着巻き部32と比較して小径としている目的は、平坦巻き部31が接点部20の位置合わせ用凸部23の圧入により膨らんでもハウジング40の貫通穴41内に確実に収まること、及び平坦巻き部31が検査用基板5の図示しない電極からはみ出さすことの防止である。
【0028】
ハウジング40は、例えば絶縁樹脂製であり、各々のスプリング30を収容する。具体的には、ハウジング40は、スプリング30と同数の貫通穴41を有し、各々の貫通穴41にスプリング30を1つずつ収容する。ハウジング40は、フレキシブル基板10を貫通してフレキシブル基板10の下面側から上面側に延びる複数の(ここでは4つの)ストッパ凸部(ハードストップ)42を有する。ストッパ凸部42は、図2に示すように、検査時における検査対象デバイス7の下限位置を定める。検査対象デバイス7が下降してストッパ凸部42の上面に接触して検査時の状態に移行するまでの間に、スプリング30の図4(A)に示す隙間Gが無くなるような寸法設計となっている。
【0029】
ガイド50は、例えば絶縁樹脂製であり、検査時に検査対象デバイス7の前後左右方向の位置を定め、検査対象デバイス7を上下方向に移動可能に支持するガイド穴51を有する。ハウジング40及びガイド50は、不図示のネジ等によって相互に固定される。位置決めピン60は、下端側がハウジング40に圧入等により固定され、上端側がガイド50に圧入等により固定され、ハウジング40及びガイド50の間の空間においてフレキシブル基板10のピン挿通穴11を貫通する。
【0030】
コンタクタ1の組立ては、例えば以下の手順による。まず、ハウジング40の各々の貫通穴41に、スプリング30を挿入すると共に、位置決めピン60をハウジング40に圧入固定する。一方、フレキシブル基板10には電鋳等により多数の接点部20を一括形成しておき、そのフレキシブル基板10を、ピン挿通穴11に位置決めピン60を通しながらスプリング30上に配置し、接点部20の位置合わせ用凸部23を、スプリング30の上端部の平坦巻き部31の内側に入り込ませる(嵌め込む)。続いて、ガイド50をハウジング40上にネジ止め等により固定する。
【0031】
コンタクタ1による検査は、例えば以下の手順による。コンタクタ1は検査用基板5上にネジ止め等により固定しておく。そして、図1に示すように検査対象デバイス7をガイド50のガイド穴51に挿入し、図2に示すように検査対象デバイス7を接点部20に向けて押し付けていく。すると、検査対象デバイス7のバンプ8が接点部20に接触し、接点部20がスプリング30の付勢力に抗して後退(下降)する。これにより、バンプ8と接点部20との間に必要十分な接触力が得られ、この状態で検査対象デバイス7の検査が行われる。
【0032】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0033】
(1) 接点部20を例えば電鋳技術によりフレキシブル基板10に多数個一括して形成することができるため、ハウジング40の貫通穴41にプランジャを個別に挿入する作業が不要となり、製造容易で工数が掛からず、コスト安である。
【0034】
(2) 接点部20をスプリング30により付勢する構成であり、特許文献2のように弾性を有する金属線埋設シートで接点部を支持する構成と比較してストロークを長く確保できるため、検査対象デバイス7のバンプ8のコプラナリティがバラついても安定したコンタクトが得られる。
【0035】
(3) 特許文献2において金属線埋設シートを構成するシリコーンゴムシートは高温、低温で硬度が変化するために、高温、低温の環境下では押し圧が変化して安定したコンタクトが得られないという問題があるが、本実施の形態ではスプリング30による付勢のため高温、低温の環境下でも安定した押し圧が得られ、コンタクトの安定性が高い。また、特許文献2の構成と異なりゴムのへたりによる寿命の問題がなく、多数回の使用に耐えられる。
【0036】
(4) スプリング30は、接点部20と係合する上端部が平坦巻き部31となっており、スプリング30による付勢により接点部20の平坦度の悪化を抑制できる。一方、スプリング30は、自身の長さ方向の中間部が斜め密着巻き部32となっており、ストローク長を確保しながら電流経路(電気長)を短くすることができる。ここで、スプリング30の開放状態において図4(A)に示すように平坦巻き部31と斜め密着巻き部32との間に隙間Gが存在するため、隙間Gが存在しない場合と比較して更にストロークを長く確保できる。なお、図4(B)に示す検査時にはスプリング30の圧縮により隙間Gは無くなっており、隙間Gにより電気長が長くなるという問題もない。密着巻き部を通して電気信号を伝達することで、電気長が短くなり、検査対象デバイス7の高速信号を検査用基板5に高品質に伝送できる。
【0037】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0038】
フレキシブル基板10の貫通穴13、接点部20、接触用凸部22、スプリング30、平坦巻き部31の巻数、ストッパ凸部42、及び位置決めピン60等の個数は、実施の形態で示した具体的な数値に限定されず、個々の製品の設計上の要求や都合に合わせて適宜設定すればよい。なお、平坦巻き部31は、複数回巻きとする場合、少なくともスプリング30の圧縮時(検査時)には相互に密着することが望ましい。
【0039】
要求される仕様によっては、スプリング30に斜め密着巻き部32あるいは平坦巻き部31を設けない構成、平坦巻き部31と斜め密着巻き部32との間に隙間Gを設けない構成、フレキシブル基板10に貫通穴13を設けない構成、ハウジング40にストッパ凸部42を設けない構成、接点部20に接触用凸部22や位置合わせ用凸部23を設けない構成等も可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 コンタクタ、5 検査用基板、7 検査対象デバイス、8 バンプ(電極)、
10 フレキシブル基板、11 ピン挿通穴、12 ストッパ用穴、13 貫通穴、
20 接点部、21 本体部、21a 鍔部、22 接触用凸部、23 位置合わせ用凸部(脚部)、
30 スプリング、31 平坦巻き部、32 斜め密着巻き部、33 連絡部、
40 ハウジング、41 貫通穴、42 ストッパ凸部、
50 ガイド、51 ガイド穴、60 位置決めピン、G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6