特許第6553478号(P6553478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553478
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】コーナー連結部材
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   E04H17/16 103
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-206025(P2015-206025)
(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-78279(P2017-78279A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀敏
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−098796(JP,A)
【文献】 特開平08−303070(JP,A)
【文献】 実開昭58−009458(JP,U)
【文献】 米国特許第04357000(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 −17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横桟に縦桟を複数取付けたパネルの前記横桟同士を角度自在に連結するコーナー連結部材であって、
前記コーナー連結部材は、前記縦桟と平行に配置される縦材と、前記縦材から側方に突出する突出部と、前記突出部と横桟とを接続する2個の接続部と、縦材の移動を規制する規制材とを備え、
前記突出部、接続部及び規制材は、上下にボルトが挿通されて、突出部と接続部とは前記ボルトを軸として角度自在に連結されるとともに、前記規制材によって、接続部に対する突出部の移動が規制されることを特徴とするコーナー連結部材。
【請求項2】
前記接続部は、前記突出部と上下方向に重合可能な重合部と、前記横桟の側端部に取付けられた横桟固定部を備え、
前記突出部、前記重合部及び規制材は、上下方向に重合され、該突出部、重合部及び規制材それぞれに設けられた上下に貫通する貫通孔を挿通するボルトによって締結されるとともに、前記規制材は、縦材を収納する収納部と、連結される横桟に取付けられたそれぞれの横桟固定部に当接可能な当接部を有していることを特徴とする請求項1に記載のコーナー連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷地境界部や隣地境界部に設けられる塀やフェンスに用いられるパネルについて、特にコーナー部のパネルを連結するためのコーナー連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、道路と敷地の境界、敷地同士の境界等を仕切るために、その境界部に沿ってフェンスが取付けられている。前記フェンスは、通常、境界に沿って立設された支柱間にパネルが取付けられたものであり、支柱の側面間に該支柱とパネルとが略同一面上に取付けられる、いわゆる固定柱タイプと、支柱の前面側にパネルが取付けられる、いわゆる自由柱タイプとがある。
【0003】
前記フェンスにおいて、自由柱タイプの場合、コーナー部では、2枚のパネルの側端部同士を突き合わせて直結するか、継手等を用いてパネル同士を接続することが多い。接続の際は、特に格子状パネルや縦格子パネルの場合、横材や胴縁同士を接続することとなるため、その接続しろによって、端部の縦材間の間隔が不自然にあいてしまうことがある。また、支柱がないため、比較的強度が低く、接続箇所付近から動物等が侵入しやすくなることもある。
【0004】
そのため、例えば、特許文献1には、フェンスの横桟の横桟突出部にヒンジ部材を介設することによってフェンスを連結し、該ヒンジ部材に設置したブラケットによってダミー縦桟を横桟突出部間に配置したフェンスのコーナー連結装置であって、ブラケットがボルトによって回軸支されるものが開示されており、このダミー縦桟によって、フェンスの間に不自然な間隔を形成されるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−98796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記フェンスのコーナー連結装置では、ダミー縦桟によってフェンスの間の不自然な隙間をなくすことはできるが、ブラケットは、ボルトによって回動自在に軸支されているため、ダミー縦桟を幅方向に押すと、ブラケットが回動してダミー縦桟の位置がずれてフェンスの間の隙間に偏りが生じたり、ボルトが緩んでしまったりするおそれがあった。
【0007】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、特にフェンスなどのコーナー部において、パネルを連結して、その連結箇所に縦材を追加して取付ける際、その縦材が位置ずれしにくくなるコーナー連結部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち本発明に係るコーナー連結部材は、横桟に縦桟を複数取付けたパネルの前記横桟同士を角度自在に連結するコーナー連結部材であって、前記コーナー連結部材は、前記縦桟と平行に配置される縦材と、前記縦材から側方に突出する突出部と、前記突出部と横桟とを接続する2個の接続部と、縦材の移動を規制する規制材とを備え、前記突出部、接続部及び規制材は、上下にボルトが挿通されて、突出部と接続部とは前記ボルトを軸として角度自在に連結されるとともに、前記規制材によって、接続部に対する突出部の移動が規制されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明において、前記接続部は、前記突出部と上下方向に重合可能な重合部と、前記横桟の側端部に取付けられた横桟固定部を備え、前記突出部、前記重合部及び規制材は、上下方向に重合され、該突出部、重合部及び規制材それぞれに設けられた上下に貫通する貫通孔を挿通するボルトによって締結されるとともに、前記規制材は、縦材を収納する収納部と、連結される横桟に取付けられたそれぞれの横桟固定部に当接可能な当接部を有したものとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、規制材によって、縦材は連結された二個のパネルに対して位置ずれしにくくなり、ボルトの緩み等の不具合が起こりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るコーナー連結部材を用いたフェンスの実施の一形態を示す正面図である。
図2図1の側面図である。
図3図1の平面図である。
図4図1の支柱付近の拡大縦断面図である。
図5図1のコーナー連結部材付近の拡大正面図である。
図6図5のA−A断面図である。
図7図5の分解説明図である。
図8図6の分解説明図である。
図9】縦材の説明図である。
図10】接続部の説明図である。
図11図3において、縦材と規制材との関係を示す説明図である。
図12図3のコーナー連結部材付近の拡大平面図である。
図13】コーナー連結部材の他の実施形態を示す拡大平面図である。
図14】コーナー連結部材の更に他の実施形態を示す拡大平面図である。
図15】コーナー連結部材の更に他の実施形態を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
図1図3は本発明に係るコーナー連結部材を用いたフェンスにおいて実施の一形態を示す説明図であり、図1は正面図、図2は側面図、図3は平面図である。
【0013】
図面において、1は横桟2と複数の縦桟3とを備えたパネル、4はパネル1同士を連結するコーナー連結部材である。また、コーナー連結部材4を用いてパネル1同士を連結したフェンスFのコーナー箇所は出隅を示しており、特に説明しない限りは、各部材において出隅の外側に位置する側を前側、出隅の内側に位置する側を後側としたものであり、実施例についてもその様に説明する。
【0014】
パネル1は、本形態では、上下の横桟2と、横桟2の間に取付けられて横方向に間隔をあけて取付けられた複数の縦桟3を備えている。
【0015】
隣り合う縦桟3の間隔は特に限定されるものではないが、通行人等が横桟2に足を掛けてパネル1を容易には乗り越えないように、縦桟3間の間隔は靴が入りにくい方が好ましく、本形態では約50mmに設定している。
【0016】
次に、横桟2及び縦桟3は、本形態では、いずれも断面矩形状の筒型であって、その交差部において、横桟2と縦桟3との重合面の一部が溶接によって接合され、縦格子状のパネル1が形成されている。横桟2と縦桟3の断面形状は、矩形状に限定されるものではなく、多角形状の断面でもよく、円形状の断面でもよく、これらを組み合わせたものでもよいが、横桟2と縦桟3との交差部で接合しやすい断面形状が好ましい。多角形状の断面形としては、三角形、五角形、六角形等を挙げることができる。また円形状の断面形状としては、断面円形状でもよく、楕円形状でもよい。
【0017】
横桟2は、一般には強度的に安定しており成型しやすい鋼管が好適に用いられるが、他の金属を用いてもよく、ステンレス鋼やアルミニウム合金を用いることができる。
【0018】
また、縦桟3は、一般には強度的に安定しており成型しやすい鋼管が好適に用いられるが、他の金属を用いてもよく、ステンレス鋼やアルミニウム合金を用いることができる。
【0019】
各パネル1は、本形態では、図1に示すように、その下部が設置面に埋設され適宜間隔をあけて立設された支柱5に取付けられており、図4を参考にして、支柱5に対するパネル1の取付構造について更に詳しく説明する。
【0020】
パネル1は、支柱5の前面側に設けられた係止部材51を介して横桟2が取付けられることによって、支柱5に固定される。また、パネル1は、横桟2が縦桟3より後方に配置され、横桟2の背面に係合部材21が取付けられており、係合部材21の下端部は、横桟2の後面と隙間をあけて係合部22が設けられている。一方、支柱5の係止部材51には上方に向けて開口するが係止溝52が設けられている。そして係合部22を係止溝52に挿入することによって、パネル1を支柱5に仮置きするとともに、この係合部材21と係止部材51とによって、パネル1を取り外し可能な仮置き状態とし、またパネル1の横方向の取付位置を調整することができる。そして、支柱5の前面側に取付けられた固定部材53を用いて係合部材21が支柱5の前面側から離れないように固定する。これにより、パネル1が支柱5に固定される。
【0021】
支柱5は、一般に強度的に安定している鋼管が用いられるが、鋼以外に他の金属を用いてもよい。他の金属としては、アルミニウム合金、ステンレス鋼等を挙げることができる。
【0022】
次に、パネル1同士を連結するためのコーナー連結部材4について、図5図10を用いて詳しく説明する。図5図1のコーナー連結部材付近の拡大正面図、図6図5のA−A断面図、図7図8図5図6の分解説明図である。かかるコーナー連結部材4は、図5図6に示すように、パネル1の縦桟3と略平行に配置される縦材6と、縦材6から側方に突出する突出部61と、突出部61とパネル1の横桟2とを接続する2個の接続部7と、縦材6の移動を規制する規制材8とを備えている。
【0023】
図9は縦材の説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。縦材6は、縦桟3とほぼ同形状であり、パネル1の間、すなわち連結されるパネル1の側端部の縦桟3の間に配置されても縦桟3と比べて違和感が生じにくく好ましい。また縦材6は、一般には強度的に安定しており成型しやすい鋼管が好適に用いられるが、他の金属を用いてもよく、ステンレス鋼やアルミニウム合金を用いることができる。
【0024】
縦材6は、側方に突出する突出部61を有し、本形態では、突出部61の一端から縦材6に沿って形成された固定部62によって縦材6に固定されている。突出部61は、接続部7を介してパネル1の横桟2に接続されている。
【0025】
図10は接続部の説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。接続部7は、横桟2の側端部に取付けられる横桟固定部71と、突出部61と上下方向に重合可能な重合部72とを備えている。横桟固定部71は、横桟2の側端を覆っており、更に横桟2の側端から内部に挿入可能な横桟挿入部73を有しており、図8に示すように、横桟挿入部73を横桟2内に挿入し、横桟2と横桟挿入部73とをビスB1で締結して、横桟2に接続部7を固定するものである。
【0026】
2個のパネル1を連結する際は、図7図8に示すように、横桟2に固定された接続部7の重合部72同士を重合し、更に突出部61に対して上下方向に重合するように配置する。なお本形態では、重合部72が突出部61の下方に位置している。また、突出部61、重合部72には、それぞれに設けられた上下に貫通する貫通孔63、74、74にボルトB2が挿通されることによって、パネル1同士がコーナー連結部材4によって連結され、ボルトB2にナットNを螺入することによって、突出部61、重合部72、72が締結されて、パネル1同士の連結が保持される。
【0027】
また、図5図7に示すように、突出部61と重合部72、重合部72同士が重合する重合面は、ボルトB2を軸としてそれぞれが回動可能となるように形成されており、これにより、パネル1同士を角度自在に連結することができる。本形態では、それぞれの重合面はボルトB2に対して直交する平坦な面が形成されている。
【0028】
更に、図7図8に示すように、突出部61と上下方向に重合するように規制材8が配置されて、ボルトB2が貫通孔8aに挿通されて締結される。規制材8は、パネル1に対して縦材6がボルトB2を軸とする移動を規制するものであって、図11に示すように、縦材6の後部63を収納する縦材規制部81と、接続部7の横桟固定部71に当接する接続部規制部82とを備えている。縦材規制部81は、ボルトB2よりも前側に形成されており、本形態では、縦材6の後面64と対向する対向部83と、対向部83の両側端部から前方に突出する腕部84、84を有し、対向部83と腕部84、84とによって凹部85が形成されておいて、凹部85内に縦材6の後部63を挿入して収納する。なお、凹部85内に後部63を挿入した際、後部63が両腕部84、84に当接した状態が好ましいが、そうすると、僅かな加工誤差によって、縦材6の後部63を凹部85内に挿入できない場合があるので、凹部85内に後部63を収納した際に、腕部84と縦材6の後部63との間に僅かに隙間が生じるようにしていてもよい。
【0029】
次に、接続部規制部82は、縦材規制部81より後側に位置しており、図13に示すように、縦材6が横方向であるX方向に荷重を受けた際の移動、具体的には、ボルトB2を軸とする突出部61の回動を規制するものである。本形態では、規制材8の後方側の両側端部が切り欠かれて両側に斜辺部86が設けられ、後方に頂角が位置する三角形状部を有している。
【0030】
図12に示すように、パネル1同士の連結角度が小さく、横桟固定部71同士が当接している場合は、その当接箇所に接続部規制部82が当接している。具体的には、斜辺部86の一端である三角形状部の頂角付近が横桟固定部71同士の当接箇所に当接している。
【0031】
また、図12の連絡されたパネル1同士よりその連結角度が大きくなった図13においては、横桟固定部71の表面と斜辺部86とが対向する対向面にわたって当接している。
更にパネル1同士の連結角度が大きくなった図14においては、横桟固定部71の一部が、斜辺部86の両側の他端部にそれぞれ当接している。
【0032】
このように、縦材6の後部63が縦材規制部81に収納されるとともに、接続部規制部82の斜辺部86によって、ボルトB2を軸とする規制材8の移動が規制される。したがって、図12図14において、縦材6に対して横方向に荷重がかかった場合でも、規制材8によって、縦材6の移動を規制し、縦材6がボルトB2を軸とする回動を防ぐことができる。
【0033】
規制材8は、パネル1同士の連結角度に応じて用意してもよいが、本形態では、連結角度が異なる場合でも1種類の規制材8で対応できるような形態としている。具体的には、
接続部7は同型を用い、ボルトB2が挿通する規制材8の貫通孔8aを前後方向の縦長孔としている。
【0034】
つまり、図12に示されるボルトB2に対して規制材8が最も後側に位置する場合と、図14示されるにボルトB2に対して規制材8が最も前側に位置する場合において、いずれも、規制材8の貫通孔にボルトB2が挿通するとともに、縦材6の後部63が縦材規制部81に収納できるようにすることによって、パネル1の連結角度が異なる場合でも1個の規制材8で縦材6の移動を規制することができる。
【0035】
以上、本発明のコーナー連結部材について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【0036】
例えば、図15に示すように、接続部7の横桟固定部71と規制材8の接続部規制部82の間に隙間があってもよいが、平面視において、少なくとも縦材6の突出部61の外周部より接横桟固定部71に向けて張り出した張出部87を備えていればよく、この際、接横桟固定部71と張出部87と隙間がなるべく狭いことが好ましい。
【0037】
本発明に係るコーナー連結部材4は、パネル1同士を連結した箇所に縦材を取付ける際に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 パネル
2 横桟
21 係合部材
22 係合部
3 縦桟
4 コーナー連結部材
5 支柱
51 係止部材
52 係止溝
53 固定部材
6 縦材
61 突出部
62 固定部
63 後部
64 後面
65 側面
7 接続部
71 横桟固定部
72 重合部
73 横桟挿入部
8 規制材
8a 貫通孔
81 縦材規制部
82 接続部規制部
83 対向部
84 腕部
85 凹部
86 斜辺部
87 張出部
B1 ビス
B2 ボルト
N ナット
F フェンス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15