(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電動モータに駆動連結されて、回動規定範囲で回動自在に設けられ、中立領域から前記回動規定範囲の一端側であるクローズ位置に向かって一方向に回動することで半ドア状態にあるドアを全閉状態で保持させ、前記中立領域から前記回動規定範囲の他端側であるリリース位置に向かって他方向に回動することで前記ドアの全閉状態での保持を解除させる作動レバーと、
前記中立領域内の第1中立位置で論理が切り替わる第1中立検知信号を発生する第1中立検知スイッチと、
前記中立領域の前記クローズ位置側の境界位置である第2中立位置で論理が切り替わり、且つ、前記中立領域の前記リリース位置側の境界位置であるリリース開始位置で論理が切り替わる第2中立検知信号を発生する第2中立検知スイッチとを備えた、車両用ドアロック装置。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアロック装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この装置は、車両のドアを全閉状態で保持可能なラッチ(ラッチ機構)と、該ラッチに機械的に連係され電動モータにより回動駆動されるセクトギヤ(作動レバー)とを備えて構成される。そして、予め設定された回動規定範囲で、セクトギヤを所定の中立領域からクローズ領域に向かって一方向に回動させることで、半ドア状態にあるドアを全閉状態で保持するようにラッチを作動させる。あるいは、セクトギヤを中立領域からリリース領域に向かって他方向(逆方向)に回動させることで、ドアの全閉状態での保持を解除するようにラッチを作動させる。そして、セクトギヤを中立領域からいずれかに向かって回動させた後は、該セクトギヤが中立領域に復帰するようにこれを回動させる。
【0003】
また、この装置は、ロータリー式の中立検知第1スイッチ及び中立検知第2スイッチを備える。
図9は、回動規定範囲内のセクトギヤの回動位置と、これに対応して中立検知第1スイッチ及び中立検知第2スイッチから出力される検知信号の論理(H又はLレベル)との関係を簡略化して示す説明図である。同図に示すように、中立検知第1スイッチは、中立領域及びクローズ領域の境界位置である第1中立位置で論理が切り替わる第1中立検知信号を発生し、中立検知第2スイッチは、中立領域及びリリース領域の境界位置である第2中立位置で論理が切り替わる第2中立検知信号を発生する。つまり、中立検知第1スイッチは、クローズ領域でHレベルとなり、中立領域及びリリース領域でLレベルとなる第1中立検知信号を発生する。中立検知第2スイッチは、リリース領域でHレベルとなり、中立領域及びクローズ領域でLレベルとなる第2中立検知信号を発生する。従って、第1及び第2中立検知信号が共にLレベルになることでセクトギヤが中立領域にあることが検出される。
【0004】
そして、通常、セクトギヤをクローズ領域から中立領域へと回動させる際には、第1中立検知信号の論理の切り替わりに基づいて電動モータの駆動(通電)が停止される。このとき、電動モータに対する通電が停止されてから電動モータの回転が実際に停止するまでにタイムラグがあることで、セクトギヤは、中立領域内の第1中立位置よりもリリース領域寄りで停止する。あるいは、セクトギヤをリリース領域から中立領域へと回動させる際には、第2中立検知信号の論理の切り替わりに基づいて電動モータの駆動(通電)が停止される。このとき、電動モータに対する通電を停止されてから電動モータの回転が実際に停止するまでにタイムラグがあることで、セクトギヤは、中立領域内の第2中立位置よりもクローズ領域寄りで停止する。
【0005】
一方、セクトギヤをクローズ領域から中立領域へと回動させる際、何らかの事情(例えば故障など)で第1中立検知信号の論理が切り替わらなかった場合には、第2中立検知信号の論理の切り替わりに基づいて電動モータの駆動(通電)が停止されるようにもなっている。これにより、第1中立検知信号の論理が切り替わらなかったとしても、セクトギヤが第2中立位置に到達することでその回動が速やかに停止される(いわゆるフェールセーフ機能)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、車両用ドアロック装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。
【0017】
図1に示すように、車両のボデーの側部に適宜の支持部材(図示略)を介して支持されるドアとしてのスライドドア10は、前後方向への移動に伴ってボデーに形成された乗降用の開口を開閉する。このスライドドア10内には、ボデー側と係合することでスライドドア10を全閉状態で保持する全閉ドアロック装置11及びスライドドア10を全閉状態又は半ドア状態(閉止状態)で保持するクローザ・リリース装置12が設置されるとともに、ボデー側と係合することでスライドドア10を全開状態で保持する全開ドアロック装置13が設置されている。
【0018】
クローザ・リリース装置12は、半ドア状態にあるスライドドア10を電動で全閉状態まで閉作動させる。また、クローザ・リリース装置12は、リリースケーブルC1を介してスライドドア10内に設置された適宜のリモコン(リモートコントローラ)14に機械的に連係されるとともに、該リモコン14にオープンケーブルC2を介して機械的に連係されている。クローザ・リリース装置12は、その電動による解除操作力がリリースケーブルC1、リモコン14及びオープンケーブルC2を介して伝達されることで、スライドドア10の全閉状態での保持を解除する。
【0019】
なお、リモコン14は、スライドドア10の外面又は内面に露出する操作ハンドル15に接続されており、クローザ・リリース装置12は、操作ハンドル15の手動による解除操作力がオープンケーブルC2を介して伝達されることで、同様にスライドドア10の全閉状態での保持を解除する。
【0020】
また、リモコン14は、オープンケーブルC3,C4を介して全閉ドアロック装置11及び全開ドアロック装置13にそれぞれ機械的に連係されており、クローザ・リリース装置12の電動による解除操作力又は操作ハンドル15の手動による解除操作力を全閉ドアロック装置11及び全開ドアロック装置13に伝達する。このとき、全閉ドアロック装置11がスライドドア10の全閉状態での保持を解除し、あるいは全開ドアロック装置13がスライドドア10の全開状態での保持を解除する。
【0021】
図2に示すように、クローザ・リリース装置12は、スライドドア10の後端面に沿って広がってこれに締結される、例えば金属板からなるベースプレート21を有するとともに、該ベースプレート21に設置されたラッチ機構22を有する。このラッチ機構22は、ベースプレート21に軸支された互いに平行な一対の回転軸23,24にそれぞれ一体回動するように連結されたラッチ25及びポール26を有する。
【0022】
ラッチ25には、略U字状の係合凹部25aが形成されている。そして、ラッチ25は、係合凹部25aを挟んでその一側及び他側(
図2において反時計回転方向及び時計回転方向の側)にそれぞれ第1爪部25b及び第2爪部25cを形成する。また、ラッチ25は、第1爪部25bの長手方向中間部から突出する第3爪部25dを形成する。周方向において、第1爪部25bの先端部の第2爪部25cに対向する端面及び第3爪部25dの第1爪部25bに対向する端面は、フルラッチ係合面25e及びハーフラッチ係合面25fをそれぞれ形成する。このラッチ25は、ベースプレート21に一端の掛止されたラッチ付勢ばね(図示略)の他端が掛止されることで図示時計回転方向に回動する側に付勢されるとともに、該ベースプレート21に設置されたラッチストッパ(図示略)に当接することで当該方向への回動が規制され、所定の初期回動位置(以下、「アンラッチ位置」という)に保持される。なお、ラッチ25は、回転軸23を挟んで第3爪部25dの反対側にアーム状の連動片25gを突出する。
【0023】
一方、ポール26は、回転軸24からその径方向一側(
図2の左側)に延出する略鉤爪状の係合端部26aを形成する。このポール26は、ポール付勢ばね(図示略)により図示反時計回転方向に回動する側、即ち係合端部26aを図示下側に移動させる側に付勢され、所定の初期回動位置に保持される。
【0024】
ここで、ラッチ機構22の基本的な動作について説明する。
スライドドア10が開放されている状態では、アンラッチ位置に保持されるラッチ25は、ボデーに固着されたストライカ29に係合凹部25aを対向させる。つまり、係合凹部25aは、スライドドア10の閉作動に伴うストライカ29の進入経路を開放している。また、所定の初期回動位置に保持されるポール26は、係合端部26aを第3爪部25dの上方に配置する。なお、このときのラッチ機構22の状態をアンラッチ状態(解除状態)という。
【0025】
次に、スライドドア10の閉作動に伴い、係合凹部25a内にストライカ29が進入したとする。この際、ストライカ29により係合凹部25aの内壁面が押圧されることで、ラッチ25は、ラッチ付勢ばねに抗して図示反時計回転方向に回動し、ハーフラッチ係合面25fに係合端部26aが係止されることで回り止めされる。このとき、スライドドア10は、係合凹部25aにおいてストライカ29と係合してこれを抜け止めする半ドア状態にある。このときのラッチ機構22の状態をハーフラッチ状態といい、ラッチ25の回動位置をハーフラッチ位置という。
【0026】
続いて、スライドドア10の更なる閉作動に伴い、係合凹部25a内にストライカ29が更に進入したとする。この際、ストライカ29により係合凹部25aの内壁面が押圧されることで、ラッチ25は、ラッチ付勢ばねに抗して図示反時計回転方向に更に回動し、
図2に示すように、フルラッチ係合面25eに係合端部26aが係止されることで回り止めされる。このとき、スライドドア10は、係合凹部25aにおいてストライカ29と係合してこれを抜け止めする全閉状態にある。このときのラッチ機構22の状態をフルラッチ状態(係合状態)といい、ラッチ25の回動位置をフルラッチ位置という。
【0027】
また、ハーフラッチ状態又はフルラッチ状態において、ポール26がポール付勢ばねに抗して図示時計回転方向に回動すると、係合端部26aによるハーフラッチ係合面25f又はフルラッチ係合面25eの係止が解除される。このとき、ラッチ25は、例えばシール部材の反発力などでスライドドア10が開作動し始めることに伴い、係合凹部25a内から退出するストライカ29により係合凹部25aの内壁面が押圧されることで、図示時計回転方向に回動する。そして、スライドドア10は、係合凹部25aにおけるストライカ29との係合を解除して開放可能となる。
【0028】
なお、
図3に示すように、クローザ・リリース装置12は、例えばロータリスイッチからなるラッチスイッチ80を有する。このラッチスイッチ80は、ラッチ25の回動位置(アンラッチ位置等)を検出するためのものである。また、クローザ・リリース装置12は、回転軸24に一体回動するように連結されたポール駆動レバー27を有する。ポール駆動レバー27の先端部は、上方に向かって凸になるように湾曲されて被押圧部27aを形成する。なお、被押圧部27aが下方に移動するポール駆動レバー27の回動方向は、前述のラッチ25との係合状態を解除するポール26の回動方向に一致している。
【0029】
ベースプレート21には、車両の前方に向かって広がる、例えば金属板からなるベースプレート30が締結されている。ベースプレート30は、ベースプレート21とは別にスライドドア10に締結されている。このベースプレート30の前方下部には、ECU(電子制御装置)100により駆動制御されるアクチュエータ31が設置されている。このアクチュエータ31は、電動モータ32と、該電動モータ32の回転軸の回転を減速する減速機構33とを有する。なお、減速機構33の出力軸には、ピニオン33aが固着されている。
【0030】
また、ベースプレート30には、ピニオン33aの斜め後上方で該ピニオン33aの軸心と略平行に中心線の延びる略円柱状の第1支持ピン34が固着されるとともに、該第1支持ピン34には、例えば金属板からなる作動レバーとしてのアクティブレバー35が軸支されている。すなわち、アクティブレバー35は、第1支持ピン34が貫通してこれに軸支される略円形の支持部36を有する。また、アクティブレバー35は、第1支持ピン34を中心とする径方向において支持部36の外側に配置される略円弧状の連結部37を有するとともに、該連結部37の第1支持ピン34を中心とする周方向一側(図示時計回転方向の側)の端部及び支持部36同士を第1支持ピン34を中心とする径方向に接続する接続部38を有する。そして、アクティブレバー35は、支持部36の外周部、連結部37の内周部及び接続部38の側壁により、第1支持ピン34を中心とする周方向他側(図示反時計回転方向の側)に開口する略扇状の溝部35aを形成する。
【0031】
図4に併せ示すように、アクティブレバー35は、第1支持ピン34を中心とする周方向に並んで連結部37の外周部に第1ギヤ部37a及び第1カム部37bを有する。第1ギヤ部37aは、複数の外歯からなり、アクチュエータ31のピニオン33aに噛合する。従って、アクティブレバー35は、ピニオン33aが回転することでその回転方向に応じた方向に第1支持ピン34の周りを回動する。また、アクティブレバー35は、その回動規定範囲が予め設定されており、第1ギヤ部37aの終端がピニオン33aに到達する等で回動規制される。第1ギヤ部37aの周方向中間部でピニオン33aに噛合する
図4に示すアクティブレバー35の回動位置を含む回動規定範囲の中間部を「中立領域」という。
【0032】
第1カム部37bは、第1支持ピン34を中心とする周方向に延びる円弧面状に成形されており、その直径は第1ギヤ部37aの歯先円及び歯元円の両直径の中間の長さに設定されている。
【0033】
なお、連結部37の接続部38側寄りの内周部には、複数の内歯からなる内歯車部37cが形成されている。また、連結部37の内周部には、基本的に内歯車部37c(内歯)の歯元円の径と同等の内径を有して内歯車部37cから第1支持ピン34を中心とする周方向他側(図示反時計回転方向の側)に延びる解放部37dが形成されている。さらに、
図3に示すように、アクティブレバー35は、支持部36から第1支持ピン34を中心とする斜め後下方の径方向に延出片39を延出する。この延出片39の第1支持ピン34から離間する先端部は、前方に転向して接続部38の近傍で連結部37に接続されている。
【0034】
ベースプレート30には、アクティブレバー35の溝部35a内で第1支持ピン34の中心線と略平行に中心線の延びる略段付き円柱状の第2支持ピン40が固着されるとともに、該第2支持ピン40には、例えば金属板からなるリリースレバー41が軸支されている。すなわち、リリースレバー41は、第2支持ピン40が貫通してこれに軸支される略円形のレバー支持部42を有する。レバー支持部42の外周部には、
図3における斜め前下方の角度位置で複数の外歯からなるギヤ部42aが形成されており、該ギヤ部42aにおいてアクティブレバー35の内歯車部37cに噛合可能となっている。
【0035】
また、リリースレバー41は、レバー支持部42から第2支持ピン40を中心とする斜め後上方の径方向に略弓形のレバー突片43を延出する。
リリースレバー41は、ベースプレート30に一端の掛止された、例えばコイルスプリングからなる付勢部材90の他端が掛止されることで図示時計回転方向に回動する側に付勢されるとともに、ベースプレート30に形成されたストッパ片30aに当接することで当該方向への回動が規制される。このとき、リリースレバー41は、所定の初期回動位置に保持される。
【0036】
図4に併せ示すように、リリースレバー41が初期回動位置にあるとき、該リリースレバー41は、中立領域にあるアクティブレバー35の内歯車部37cの図示反時計回転方向の側に先行してギヤ部42aを配置している。そして、
図5への変化で示すように、アクティブレバー35が図示反時計回転方向に回動すると、所定の空走区間を経てギヤ部42aに内歯車部37cが噛合する。これにより、アクティブレバー35の図示反時計回転方向への回動に伴って、リリースレバー41が付勢部材90の付勢力に抗して図示反時計回転方向に回動し始める。なお、レバー支持部42は、基本的にギヤ部42a(外歯)の歯先円の径と同等の外径を有するものの、連結部37には解放部37dが形成されていることでこれと干渉することはない。
【0037】
図3に示すように、リリースレバー41(レバー突片43)の先端には、リリースケーブルC1の端末が掛止されており、リリースレバー41が初期回動位置から回動することでリリースケーブルC1をクローザ・リリース装置12側に引っ張るように構成されている。つまり、クローザ・リリース装置12の電動による解除操作力は、リリースレバー41が初期回動位置から回動することで発生する。
【0038】
ベースプレート30には、第1支持ピン34の上方でその中心線と略平行に中心線の延びる略円柱状の支持ピン45が固着されるとともに、該支持ピン45には、例えば金属板からなるオープンレバー46が軸支されている。このオープンレバー46は、支持ピン45を中心とする上方の径方向に略弓形の第1レバー突片47を延出するとともに、支持ピン45を中心とする下方の径方向にアーム状の第2レバー突片48を延出する。そして、第1レバー突片47の先端は、ポール駆動レバー27の被押圧部27aの上方で下方に向かって凸になるように湾曲されて押圧部47aを形成する。
【0039】
オープンレバー46は、第2レバー突片48の先端においてオープンケーブルC2の端末が掛止されている。従って、オープンケーブルC2がリモコン14側に引っ張られると、オープンレバー46は、支持ピン45を中心に図示反時計回転方向に回動する。このとき、オープンレバー46は、押圧部47aにおいてポール駆動レバー27の被押圧部27aを下方に押圧することで、該被押圧部27aが下方に移動するようにポール駆動レバー27が回動する。これにより、ポール駆動レバー27と一体回動するポール26がラッチ25との係合状態を解除する。つまり、クローザ・リリース装置12の電動による解除操作力又は操作ハンドル15の手動による解除操作力は、オープンケーブルC2がリモコン14側に引っ張られてオープンレバー46が回動するかたちでクローザ・リリース装置12に伝達される。ポール26がラッチ25との係合状態の解除を完了する
図5に示すアクティブレバー35の回動位置を「リリース位置Pr」という。
【0040】
アクティブレバー35の延出片39の先端部には、第1支持ピン34の中心線と略平行に中心線の延びる略円柱状の支持ピン50が固着されるとともに、該支持ピン50には、例えば金属板からなるクローザレバー51が軸支されている。このクローザレバー51は、支持ピン50を中心とする後方の径方向に延びるレバー突片52を有する。このレバー突片52の先端は、紙面に直交する手前側に起立して略L字状の押上壁52aを形成する。クローザレバー51は、適宜の保持部材により実質的にアクティブレバー35と一体回動するように保持されており、該アクティブレバー35が中立領域にあるときに、ハーフラッチ位置にあるラッチ25の連動片25gの下方に押上壁52aを配置する。従って、アクティブレバー35と共にクローザレバー51が図示時計回転方向に回動すると、押上壁52aにより連動片25gの押圧されるラッチ25がハーフラッチ位置からフルラッチ位置へと回動する。このとき、半ドア状態にあるスライドドア10が全閉状態になることは既述のとおりである。ラッチ機構22によるスライドドア10の全閉状態での保持が完了する
図6に示すアクティブレバー35の回動位置を「クローズ位置Pc」という。
【0041】
図3に示すように、ベースプレート30には、ピニオン33aの上方で、例えばロータリスイッチからなる第1中立検知スイッチ及び第2中立検知スイッチとしての中立スイッチ70が設置されている。この中立スイッチ70は、回路基板及び該回路基板との電気的な接続状態を切り替える可動切片を内蔵しており、該可動切片と一体回動する操作軸70aの軸線は、ピニオン33aの軸線と略平行に延びている。そして、操作軸70aには、例えば樹脂材からなる略扇状の中立スイッチレバー71が一体回動するように連結されている。
【0042】
図4に併せ示すように、中立スイッチレバー71は、操作軸70aを中心とする周方向に並んでその外周部に第2ギヤ部71a及び第2カム部71bを有する。つまり、中立スイッチレバー71は、いわゆる欠歯ギヤ形状を呈する。第2ギヤ部71aは、複数の外歯からなり、アクティブレバー35の第1ギヤ部37aに噛合可能となっている。従って、中立スイッチレバー71は、第1ギヤ部37a及び第2ギヤ部71aが噛合状態にあるとき、アクティブレバー35が回動することでその回動方向に応じた方向に操作軸70aの周りを回動する。アクティブレバー35の回動に伴って中立スイッチレバー71と共に操作軸70aの回動する中立スイッチ70は、アクティブレバー35が中立領域にあることを検出する。
【0043】
第2カム部71bは、円弧面状に成形されており、アクティブレバー35の第1カム部37bに当接可能となっている。
図6に併せ示すように、第2カム部71bは、周方向における全範囲が第1カム部37bに当接する当接状態にあるときに、第1支持ピン34を中心とする周方向に延びる。従って、中立スイッチレバー71は、第2カム部71bにおいて操作軸70aを中心とする径方向内側に第1カム部37bが突出することで回動規制される。一方、アクティブレバー35は、第2カム部71bに第1カム部37bを摺動させることで中立スイッチレバー71に対して回動可能である。
【0044】
次に、回動規定範囲内のアクティブレバー35の回動位置と、これに対応して中立スイッチ70から出力される検知信号の論理(H又はLレベル)との関係についてラッチ機構22の状態と合わせて説明する。なお、中立スイッチ70は、アクティブレバー35の回動位置に応じて2種類の検知信号(以下、「第1中立検知信号N1」、「第2中立検知信号N2」という)を個別に出力するように構成されている。
【0045】
図7に示すように、アクティブレバー35の回動規定範囲は、クローズ位置Pc及びリリース位置Pr間に亘っている。そして、中立領域Znは、クローズ位置Pc及びリリース位置Pr間の挟まれる回動規定範囲の中間部に配置されている。なお、中立領域Znのクローズ位置Pc寄りの境界位置(以下、「第2中立位置P2」という)及びクローズ位置Pc間に亘るアクティブレバー35の回動範囲を「クローズ領域Zc」という。アクティブレバー35がクローズ領域Zcをクローズ位置Pcまで回動するとき、ラッチ機構22はハーフラッチ状態からフルラッチ状態に切り替わる。
【0046】
また、中立領域Znのリリース位置Pr寄りの境界位置(以下、「リリース開始位置Ps」という)及びリリース位置Pr間に亘るアクティブレバー35の回動範囲を「リリース領域Zr」という。アクティブレバー35がリリース領域Zrをリリース位置Prまで回動するとき、ラッチ機構22はアンラッチ状態に切り替わる。
【0047】
ここで、第1中立検知信号N1は、中立領域Znの中間位置である所定の第1中立位置P1を境界にしてそのクローズ位置Pc側及びリリース位置Pr側がそれぞれHレベル及びLレベルになるように論理が切り替わる。一方、第2中立検知信号N2は、中立領域ZnがHレベルになり、クローズ領域Zc及びリリース領域Zrが共にLレベルになるように論理が切り替わる。
【0048】
なお、既述のように、アクティブレバー35がクローズ位置Pcに向かってクローズ領域Zcを回動するとき、第1カム部37bが第2カム部71bに乗り上げて中立スイッチレバー71が中立スイッチ70と共に回動規制される。しかしながら、中立スイッチ70の回動が規制(停止)されたとしても、アクティブレバー35がクローズ位置Pcに到達するまで第1及び第2中立検知信号N1,N2の論理が維持されることには変わりなく、例えばその後のアクティブレバー35が中立領域Znにあることの検出に何ら影響することはない。
【0049】
そして、第1中立位置P1及びリリース開始位置Ps間に相当するアクティブレバー35の回動量A2は、電動モータ32に対する通電が停止されてから該電動モータ32の回転が実際に停止するまでのアクティブレバー35の回動量に合わせて設定されている。また、リリース領域Zrに相当するアクティブレバー35の回動量Bは、ラッチ機構22をアンラッチ状態に切り替える(スライドドア10の全閉状態での保持を実際に解除する)ときの回動量に合わせて設定されている。より具体的には、回動量Bは、内歯車部37cがギヤ部42aに噛合し始めるときのアクティブレバー35の回動位置から、リリースレバー41に連係されたポール駆動レバー27と一体回動するポール26がラッチ25との係合状態の解除を完了するときのアクティブレバー35の回動位置までの範囲に設定されている。さらに、第2中立位置P2及び第1中立位置P1間に相当するアクティブレバー35の回動量Cは、回動量A2等に比べて中立スイッチ70の製造上のばらつきによって第1中立検知信号N1と第2中立検知信号N2の信号が切り替わるタイミングが逆転しない程度の範囲で十分に小さくなる僅少な回動量(C<<A2)に設定されている。
【0050】
次に、ラッチ機構22をフルラッチ状態に切り替える際のECU100による処理態様について概略的に説明する。この処理は、例えばラッチスイッチ80によりラッチ25がハーフラッチ位置にあること(即ちスライドドア10の半ドア状態)が検出されることで開始される。
【0051】
図8に示すように、処理がこのルーチンに移行すると、ECU100は、電動モータ32に通電してこれを正転駆動する(ステップS1)。このとき、アクティブレバー35は、クローズ位置Pcに向かって回動する。続いて、ECU100は、ラッチスイッチ80によりラッチ25がフルラッチ位置にあることが検出されているか否かに基づいて、スライドドア10が全閉状態にあるか否かを判断する(ステップS2)。そして、ECU100は、スライドドア10が全閉状態にあると判断されなければ電動モータ32の正転駆動を継続し、スライドドア10が全閉状態にあると判断されると電動モータ32の駆動を停止する(ステップS3)。このとき、アクティブレバー35は、クローズ位置Pcに到達する。
【0052】
次いで、ECU100は、電動モータ32に通電してこれを逆転駆動する(ステップS4)。このとき、アクティブレバー35は、中立領域Znに向かって回動する。続いて、ECU100は、第2中立検知信号N2の論理がLレベルからHレベルに切り替わったか否か、即ちアクティブレバー35が第2中立位置P2に到達したか否かを判断する(ステップS5)。そして、第2中立検知信号N2の論理がLレベルからHレベルに切り替わっていないと判断されると、ECU100は、第1中立検知信号N1の論理がHレベルからLレベルに切り替わったか否か、即ちアクティブレバー35が第1中立位置P1に到達したか否かを判断する(ステップS6)。そして、第1中立検知信号N1の論理がHレベルからLレベルに切り替わっていないと判断されると、ECU100は、ステップS5に戻って同様の処理を繰り返す。
【0053】
一方、ステップS5において第2中立検知信号N2の論理がLレベルからHレベルに切り替わったと判断され、あるいはステップS6において第1中立検知信号N1の論理がHレベルからLレベルに切り替わったと判断されると、ECU100は、電動モータ32の駆動を停止し(ステップS7)、処理を終了する。つまり、ECU100は、第2中立検知信号N2の論理がLレベルからHレベルに切り替わったと判断され、あるいは第1中立検知信号N1の論理がHレベルからLレベルに切り替わったと判断されるまで電動モータ32の逆転駆動を継続する。なお、第2中立位置P2は、第1中立位置P1よりもクローズ位置Pc寄りに位置することから、通常は、第2中立検知信号N2の論理がLレベルからHレベルに切り替わったと判断されることで、即ちアクティブレバー35が第2中立位置P2に到達することで電動モータ32の逆転駆動が停止される。
【0054】
次に、本実施形態の作用について説明する。
通常、アクティブレバー35をクローズ位置Pcから中立領域Znへと回動させる際には、第2中立位置P2における第2中立検知信号N2の論理の切り替わりに基づいて電動モータ32の駆動(通電)を停止する。この場合、電動モータ32に対する通電が停止されてから該電動モータ32の回転が実際に停止するまでにタイムラグがあることから、このときのアクティブレバー35の回動量が中立領域Znに相当するアクティブレバー35の回動量よりも小されば、該アクティブレバー35が中立領域Znに収まる。
【0055】
一方、アクティブレバー35をクローズ位置Pcから中立領域Znへと回動させる際、何らかの事情(例えば故障など)で第2中立位置P2における第2中立検知信号N2の論理が切り替わらなかったとする。この場合には、第1中立位置P1における第1中立検知信号N1の論理の切り替わりに基づいて電動モータ32の駆動(通電)を停止する(フェールセーフ機能)。この場合も、電動モータ32に対する通電が停止されてから該電動モータ32の回転が実際に停止するまでにタイムラグがあることから、このときのアクティブレバー35の回動量が第1中立位置P1及びリリース開始位置Ps間に相当するアクティブレバー35の回動量と同等若しくはそれよりも小されば、該アクティブレバー35が中立領域Znに収まる。
【0056】
以上により、リリース開始位置Ps及びリリース位置Pr間に相当するアクティブレバー35の回動量は、スライドドア10の全閉状態での保持を実際に解除するときの回動量Bであればよい。そして、第2中立位置P2及び第1中立位置P1間に相当するアクティブレバー35の回動量Cは、論理の切り替わりを確認できる程度の僅少(略零)でよい。従って、スライドドア10の全閉状態での保持を解除するまでの中立領域Znを合わせたアクティブレバー35の回動量は、それらの合計の回動量(=A2+B+C)となる。このため、スライドドア10の全閉状態での保持を解除するまでに要するアクティブレバー35の回動量をより低減することができ、ひいては当該解除するまでに要する時間をより短縮できる。
【0057】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、スライドドア10の全閉状態での保持を解除するまでの中立領域Znを合わせたアクティブレバー35の回動量は、前述の合計の回動量(=A2+B+C)となる。このため、スライドドア10の全閉状態での保持を解除するまでに要するアクティブレバー35の回動量をより低減することができ、ひいては当該解除するまでに要する時間をより短縮できる。そして、操作フィーリングをより向上させることができる。
【0058】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、アクティブレバー35がクローズ位置Pcに到達するまでこれに連動して回動し続ける中立スイッチレバー(71)を採用してもよい。
【0059】
・前記実施形態において、アクティブレバー35にリンク機構又はカム機構を介して連結されることでこれに連動して回動する中立スイッチレバー(71)を採用してもよい。この場合、アクティブレバー35がクローズ位置Pcに到達するまでこれに連動して回動し続ける中立スイッチレバーであってもよいし、クローズ領域Zcの途中で停止する中立スイッチレバーであってもよい。あるいは、アクティブレバー35の回動位置に応じて変速する中立スイッチレバーであってもよい。
【0060】
・前記実施形態において、中立スイッチレバー71を省略して、アクティブレバー35の回動位置を直に検出する中立スイッチ(70)を採用してもよい。
・前記実施形態において、第1中立検知信号N1は、第1中立位置P1で論理が切り替わるのであれば、その論理(H又はLレベル)を反転させてもよい。同様に、第2中立検知信号N2は、第2中立位置P2で論理が切り替わり、且つ、リリース開始位置Psで論理が切り替わるのであれば、その論理(H又はLレベル)を反転させてもよい。
【0061】
・前記実施形態においては、第1中立検知信号N1及び第2中立検知信号N2を個別に発生する単一の中立スイッチ70を採用した。これに対し、第1中立検知信号(N1)及び第2中立検知信号(N2)をそれぞれ発生する互いに独立の第1中立検知スイッチ及び第2中立検知スイッチを採用してもよい。この場合、第1中立検知スイッチ及び第2中立検知スイッチの各々をロータリスイッチで構成してもよいし、中立スイッチレバー(71)又はアクティブレバー(35)の回動位置に合わせてこれに直に押されることで接点か開閉するオン・オフ式のスイッチで構成してもよい。
【0062】
・前記実施形態では、ラッチ機構22をフルラッチ状態に切り替える際の態様について説明したが、本発明はこれに限らず、ラッチ機構22をアンラッチ状態に切り替える際にも適用可能である。具体的には、アクティブレバー35をリリース位置Prから中立領域Znへと回動させる際、何らかの事情(例えば故障など)で第2中立検知信号N2の論理が切り替わらなかった場合には、第1中立位置P1における第1中立検知信号N1の論理の切り替わりに基づいて電動モータ32の駆動(通電)を停止する。電動モータ32の停止後、アクティブレバー35は中立領域Zn又は該中立領域Znを超えてクローズ領域Zcで停止する。その後、電動モータ32を逆転駆動するとともに、第1中立検知信号N1の論理の切り替わりに基づいて電動モータ32の駆動(通電)を停止する。電動モータ32の停止後、アクティブレバー35はクローズ位置Pcから中立領域Znへと回動する際のフェールセーフ機能の作動時と同等の位置で停止する。
【0063】
・本発明は、例えばスイング式のドアに適用してもよいし、車両の後部に配置されるバックドアに適用してもよい。