【実施例】
【0025】
以下に、実施例、比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0026】
[薬剤溶出バルーンの作製もしくは準備、または薬剤無塗布バルーンの準備]
〈実施例1〉
(1)コーティング溶液1の調製
L−セリンエチルエステル塩酸塩(CAS No.26348−61−8)(56mg)およびパクリタキセル(CAS No.33069−62−4)(134.4mg)を量りとった。これに無水エタノール(1.2mL)、テトラヒドロフラン(1.6mL)、RO(Reverse Osmosis、逆浸透膜)処理水(以下、RO水とする)(0.4mL)をそれぞれ加えて溶解し、コーティング溶液1を調製した。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
拡張時サイズが直径3.0×長さ20mm(拡張部)のバルーンカテーテル(テルモ社製、バルーン(拡張部)の素材はナイロンエラストマー)を準備した。パクリタキセル量が約3μg/mm
2となるように、コーティング溶液1を、拡張したバルーンにコーティング溶液の溶媒がゆっくりと揮発するようにコートした。具体的には、薬剤を吐出するディスペンシングチューブの先端の側面を、常時、バルーンカテーテル表面に接触させながら、ディスペンシングチューブの先端開口から薬剤を吐出させた。薬剤の吐出方向に対して、反対方向(逆方向)に長軸を中心としてバルーンカテーテルを回転させた。ディスペンシングチューブのバルーンカテーテルの軸方向の移動速度及びバルーンの回転速度を調整し、回転開始とともに、薬剤を0.053μL/secで吐出し、コーティングした。
その後、コーティング後のバルーンを乾燥させ、薬剤溶出バルーンを作製した。
【0027】
〈実施例2〉
(1)コーティング溶液2の調製
L−セリンエチルエステル塩酸塩(70mg)およびパクリタキセル(180mg)を量りとった。これに無水エタノール(1.5mL)、アセトン(2.0mL)、テトラヒドロフラン(0.5mL)、RO水(1mL)をそれぞれ加えて溶解し、コーティング溶液2を調製した。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
拡張時サイズが直径3.0×長さ20mm(拡張部)のバルーンカテーテル(テルモ社製、バルーン(拡張部)の素材はナイロンエラストマー)を準備した。パクリタキセル量が約3μg/mm
2となるように、コーティング溶液2を、拡張したバルーンにコーティング溶液の溶媒がゆっくりと揮発するようにコートした。具体的には、薬剤を0.088μL/secで吐出した以外は、実施例1に記載の方法と同様にコーティングした。
その後、コーティング後のバルーンを乾燥させ、薬剤溶出バルーンを作製した。
【0028】
〈実施例3〉
(1)コーティング溶液3の調製
L−セリンエチルエステル塩酸塩(70mg)およびパクリタキセル(168mg)を量りとった。これに無水エタノール(1.5mL)、テトラヒドロフラン(1.5mL)、RO水(1mL)をそれぞれ加えて溶解し、コーティング溶液3を調製した。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
拡張時サイズが直径3.0×長さ20mm(拡張部)のバルーンカテーテル(テルモ社製、バルーン(拡張部)の素材はナイロンエラストマー)を準備した。パクリタキセル量が約3μg/mm
2となるように、コーティング溶液3を、拡張したバルーンにコーティング溶液の溶媒がゆっくりと揮発するようにコートした。具体的には、薬剤を0.101μL/secで吐出した以外は、実施例1に記載の方法と同様にコーティングした。
その後、コーティング後のバルーンを乾燥させ、薬剤溶出バルーンを作製した。
【0029】
〈実施例4〉
(1)コーティング溶液4の調製
L−セリンエチルエステル塩酸塩(70mg)およびパクリタキセル(180mg)を量りとった。これに無水エタノール(1.75mL)、テトラヒドロフラン(1.5mL)、RO水(0.75mL)をそれぞれ加えて溶解し、コーティング溶液4を調製した。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
拡張時サイズが直径3.0×長さ20mm(拡張部)のバルーンカテーテル(テルモ社製、バルーン(拡張部)の素材はナイロンエラストマー)を準備した。パクリタキセル量が約3μg/mm
2となるように、コーティング溶液4を、拡張したバルーンにコーティング溶液の溶媒がゆっくりと揮発するようにコートした。具体的には、薬剤を0.092μL/secで吐出した以外は、実施例1に記載の方法と同様にコーティングした。
その後、コーティング後のバルーンを乾燥させ、薬剤溶出バルーンを作製した。
【0030】
〈実施例5〉
(1)コーティング溶液5の調製
L−アスパラギン酸ジメチルエステル塩酸塩(CAS No.32213−95−9)(37.8mg)およびパクリタキセル(81mg)を量りとった。これに無水エタノール(0.75mL)、テトラヒドロフラン(0.96mL)、RO水(0.27mL)をそれぞれ加えて溶解し、コーティング溶液5を調製した。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
拡張時サイズが直径3.0×長さ20mm(拡張部)のバルーンカテーテル(テルモ社製、バルーン(拡張部)の素材はナイロンエラストマー)を準備した。パクリタキセル量が約3μg/mm
2となるように、コーティング溶液5を、拡張したバルーンにコーティング溶液の溶媒がゆっくりと揮発するようにコートした。具体的には、薬剤を0.055μL/secで吐出した以外は、実施例1に記載の方法と同様にコーティングした。
その後、コーティング後のバルーンを乾燥させ、薬剤溶出バルーンを作製した。
【0031】
〈
例6〉
(1)コーティング溶液6の調製
L−セリンエチルエステル塩酸塩(56mg)およびパクリタキセル(134.4mg)を量りとった。これに無水エタノール(0.4mL)、テトラヒドロフラン(2.4mL)、RO水(0.4mL)をそれぞれ加えて溶解し、コーティング溶液6を調製した。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
拡張時サイズが直径3.0×長さ20mm(拡張部)のバルーンカテーテル(テルモ社製、バルーン(拡張部)の素材はナイロンエラストマー)を準備した。パクリタキセル量が約3μg/mm2となるように、コーティング溶液6を、拡張したバルーンにコーティング溶液の溶媒がゆっくりと揮発するようにコートした。その後、コーティング後のバルーンを乾燥させ、薬剤溶出バルーンを作製した。
【0032】
〈比較例1〉
市販品のバルーンカテーテルであるIN.PACT(INVAtec JAPAN社)を準備した。比較例1のバルーンは、パクリタキセルが表面にコートされた薬剤溶出バルーンである
【0033】
〈比較例2〉
拡張時サイズが直径3.0×長さ20mm(拡張部)のバルーンカテーテル(テルモ社製、バルーン(拡張部)の素材はナイロンエラストマー)を準備した。比較例2のバルーンは、薬剤がコートされていない薬剤無塗布バルーンである。
【0034】
[バルーンにコートされたパクリタキセル量の測定]
実施例1〜
5、および例6の薬剤溶出バルーンについて、バルーンにコートされたパクリタキセル量を、以下の手順により測定した。
1.方法
調製した薬剤溶出バルーンをメタノール溶液に浸して、その後、10分間、振とう機を用いて振とうし、バルーンにコートされたパクリタキセルを抽出した。パクリタキセルを抽出したメタノール溶液の227nmでの吸光度を、紫外可視吸光光度計を用いて高速液体クロマトグラフィーにて測定し、バルーンあたりのパクリタキセル量([μg/balloon])を求めた。さらに、求めたパクリタキセル量と、バルーン表面積とから、バルーンの単位面積あたりのパクリタキセル量([μg/mm2])を算出した。
【0035】
2.結果
表1に示す結果を得た。また、表1中、「バルーン表面積」はバルーンの拡張時表面積(単位:mm2)を、「バルーン上のPTX量」の「バルーンあたり」はバルーン1個あたりのパクリタキセル量(単位:μg/バルーン)を、「バルーン上のPTX量」の「単位面積あたり」はバルーンの表面積1mm2あたりのパクリタキセル量(単位:μg/mm2)を、それぞれ表す。
表1に示すとおり、実施例1〜
5、および例6のいずれも、バルーンにコートされたパクリタキセル量は、約3μg/mm2であり、目標とするパクリタキセル量をバルーン表面にコートすることができた。
【0036】
【表1】
【0037】
[薬剤溶出バルーンの薬剤コート層の走査型電子顕微鏡観察(SEM)]
1.方法
実施例1〜5(
図1〜
図5)、および
例6(
図6)の薬剤溶出バルーンについて、乾燥後の薬剤溶出バルーンを適切な大きさに切断後、支持台にのせ、その上から白金蒸着を行った。また、比較例1の INVAtec JAPAN社の市販の薬剤溶出バルーン(IN.PACT)も同様に、適切な大きさに切断後、支持台にのせ、その上から白金蒸着を行った。これらの白金蒸着後のサンプルの薬剤コート層の表面および内部を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
2.結果
実施例の薬剤コート層では、中空長尺体の形態型、平たい髪の毛状の形態型、平たい髪の毛状結晶の表面にアモルファス膜が存在する形態型の結晶層が観察された。
図1〜
図6に示すSEM写真を得た。実施例1〜5のSEM写真である
図1〜
図5は、中空長尺体の形態型を含む層を示し、約10μm長の中空長尺体の均一なパクリタキセル結晶が、バルーン表面に均一に形成されていることが明らかとなった。それらの中空長尺体のパクリタキセルの結晶は長軸を有し、その長軸を有する長尺体(約10μm)がバルーン表面に対してほぼ直角方向となるように形成されていた。長尺体の径は、約2μmであった。また、長軸に直角な面における長尺体の断面は多角形であった。多角形として、例えば、4角形の多角形を有していた。さらに、これらのパクリタキセルのほぼ均一な中空長尺体結晶は、同様の形態型(構造および形状)にてバルーン表面全体に均一かつ密に(同程度の密度で)形成されていた。
一方、
例6の
図6Aおよび
図6BのSEM写真は、平たい髪の毛状の形態型および平たい髪の毛状結晶の表面にアモルファス膜が存在する形態型を含む層を示し、平たく細長い髪の毛状のパクリタキセルの結晶であった。それらの結晶の大きさは20μm長以上の比較的大きいものが多く、また、長軸がバルーン表面に沿ってねた状態で存在する(
図6A)。さらに、
図6Bのように、平たい髪の毛状の形態型を含む層の上層部がアモルファス膜で覆われている領域も存在した。その領域では、平たい結晶構造の上にアモルファス膜の層が存在しており、結晶とアモルファス(非晶質)の2層になっていて、平たい髪の毛状結晶の表面にアモルファス膜が存在する形態型を含む層を示した。
比較例1の
図7は、INVAtec JAPAN社の市販の薬剤溶出バルーン(IN.PACT)の薬剤コート層のSEM写真である。これらは同一平面に非晶質と結晶とが混在していた。全体はほぼアモルファスであり、一部、針状結晶のようなものも同一平面に混在して観測される。
【0038】
[ブタ冠動脈における血管内狭窄抑制効果および血管リモデリングに対する影響]
実施例1、
例6および比較例1(C1市販バルーン)、比較例2(C2薬剤無塗布バルーン)について、ブタ冠動脈における血管内狭窄抑制効果および血管リモデリングに対する影響を、以下の手順により評価した。
1.方法
(1)ガイドワイヤーとともにガイディングカテーテルを8Fr.シースより挿入し、エックス線透視下でブタの左および右冠動脈開口部まで誘導した。
(2)各冠動脈の造影を行い(冠動脈:左冠動脈前下行枝(LAD)、右冠動脈(RCA)、左冠動脈回旋枝(LCX))、造影で得られた冠動脈の血管経をQCAソフトにより測定した。
(3)血管径に対しステントの径が1.2倍、かつ薬剤溶出バルーンの径が1.3倍になる部位を選択し、ステント留置以降の作業を実施した。
(4)選択した冠動脈内でBMS(bare metal stent)ステント(ステント径3mm×長さ15mm)を1.2倍になるように30秒間拡張した後、ステント留置用バルーンカテーテルを抜去した。ステント留置部位にて上記実施例1、
例6および比較例1,2で作製した薬剤コート層を持つ薬剤溶出バルーン(バルーン径:3mm×長さ20mm)を血管径に対し1.3倍になるように1分間拡張させた後、バルーンカテーテルを抜去した。
(5)薬剤溶出バルーン拡張終了後、ガイディングカテーテルおよびシースを抜去し、頚動脈の中枢側を結紮した後、頚部の創口は剥離した筋肉間を手術用縫合糸で縫合し、皮膚縫合用ステープラーで皮膚を縫合した。
(4)バルーン拡張28日後に、剖検を実施した。
【0039】
[血管内狭窄率の算出方法]
血管内狭窄率は以下の手順に従って算出した。
ライカ顕微鏡および病理画像システムにより血管像を取り込んだ。これらの画像より外弾性板内面積、内弾性板面積、内腔内面積、ステント内面積を計測した。
面積狭窄率(%)は、面積狭窄率=(新生内膜面積/内弾性板面積)×100
として算出した。
【0040】
[フィブリン沈着度の算出方法、Fibrin Content Score]
フィブリン沈着度はSuzukiらの方法(非特許文献1)に従って血管全周で評価を行った。
非特許文献 1:Suzuki Y.,et.al Stent-based delivery of sirolimus reduces neointimal formation in aprocine coronary model. Circulation 2001; 1188-93
Fibrin Content Scoreのスコアの内容は以下の通りである。
Score1: 血管内に限局性にフィブリンが認められるか、ステントのストラットに近接して観察可能な血管全周の25%より少ない範囲に中等度にフィブリンが沈着している。
Score2: 血管全周の25%より広範囲に中等度にフィブリンが沈着しているか、ストラットの近接とストラット間に観察可能な血管全周の25%より少ない範囲に重度にフィブリンが沈着している。
Score3:観察可能な血管全周の25%より広範囲に重度にフィブリンが沈着している。
尚、スコアはすべて、各血管につきステント留置部位の近位、中位、遠位の3箇所の平均値を算出した。
【0041】
[内皮化スコア算出方法、Endothelialization Score]
Endothelialization Scoreの内容は以下のとおりである。
Score1:観察可能な血管内腔全周の25%までが内皮細胞に被覆されている。
Score2:観察可能な血管内腔全周の25%から75%までが内皮細胞に被覆されている。
Score3:観察可能な血管内腔全周の75%以上が内皮細胞に被覆されている。
尚、スコアはすべて、各血管につきステント留置部位の近位、中位、遠位の3箇所の平均値を算出した。
【0042】
2.ブタ冠動脈における血管内狭窄抑制効果に対する結果
血管内狭窄率を上記の手順に従って算出した。表2に示す結果を得た。表2中、実施例/比較例の列の
1は実施例であり、
例6、C1〜C2は比較例である。
また、
図8に、ブタ冠動脈における血管内狭窄抑制効果における、実施例1、および比較例、
例6、C1〜C2の血管狭窄率を表すグラフを示す。
図8において、横軸は実施例または比較例を表し、数字1は、実施例1を意味し、
例6、アルファベット付き数字C1〜C2は、それぞれ、
比較例6、比較例1(C1)、2(C2)を意味する。また、縦軸は血管の面積狭窄率(単位:%)を表す。
【0043】
比較例2(C2)で、薬剤無処置対照として薬剤無塗布バルーンで処置した血管の面積狭窄率は38.9%であった。
例6の薬剤溶出バルーンで処置した血管の面積狭窄率は20.6%であり、薬剤無処置対照と比較して有意な狭窄抑制効果が確認された。一方、比較例1の、市販の薬剤溶出バルーン(IN.PACT)で処置した血管の面積狭窄率は30.4%であり、薬剤無塗布バルーンと比較して低減する傾向が見られたが、効果に改善の余地が十分にあると推測される。
【0044】
これに対して、実施例1の本発明の薬剤放出バルーンで処置した血管の面積狭窄率は、16.8%であり、薬剤無処置対照および比較例1(C2)のIN.PACTと比較して有意な狭窄抑制効果が認められた。また、
例6よりも強い効果を示し、最も優れた狭窄抑制効果が得られた。
以上のことから、実施例
1の本発明のパクリタキセル結晶形態型を有する薬剤コート層の薬剤溶出バルーンは、市販の薬剤溶出バルーンよりも著しく良好な狭窄抑制効果が得られることが明らかとなった。
【0045】
【表2】
【0046】
3.ブタ冠動脈におけるステント留置後の血管リモデリングに対する結果(毒性)
ブタ冠動脈におけるステント留置後の血管リモデリングに対する影響(毒性)として、Fibrin Content ScoreおよびEndothelialzation Scoreを観察した。その結果を表3に示す。尚、Fibrin Content Scoreは、スコアの数字が大きい程、フィブリンの沈着度が大きいことを表し、好ましくなく、一方、Endothelialzation Scoreは、スコアの数字が小さい程、内皮細胞に被覆されていないことを示し、好ましくない。表3中、実施例/比較例の列の
1は実施例であり、
例6、C1、C2は比較例である。
【0047】
比較例2(C2)の、薬剤無処置対照として薬剤無塗布バルーンで処置した血管のFibrin Content ScoreならびにEndothelialzation Scoreは、薬による効果がないため、血管リモデリングに対する影響(毒性)がなく、スコアはそれぞれ1.00±0.00と3.00±0.00となる。
比較例1(C1)のFibrin Content ScoreおよびEndothelialzation Scoreは、それぞれ、1.27±0.15と2.80±0.11であり、薬剤無塗布バルーンとほぼ同程度であった。これは、薬による狭窄抑制効果が小さいため、血管リモデリングに対する影響(毒性)も小さいと推測される。
【0048】
一方、
例6の薬剤溶出バルーンで処置した血管のFibrin Content ScoreおよびEndothelialzation Scoreは、それぞれ、2.61±0.16と1.78±0.17であり、比較例1(C1)および比較例2(C2)と比較して、血管リモデリングに対する影響が大きいことが示唆された。これは、比較例1(C1)および比較例2(C2)よりも狭窄抑制効果が強いためだと考えられる。
これに対して、実施例1の本発明の薬剤溶出バルーンで処置した血管のFibrin Content ScoreおよびEndothelialzation Scoreは、それぞれ、1.53±0.17と2.87±0.09であり、血管リモデリングに対する影響(毒性)は、比較例1(C1)の市販品と同程度であり、高い狭窄抑制効果が得られるにも関わらず、毒性は極めて低いことが明らかとなった。
以上のことから、
例6のパクリタキセル結晶形態型を有する薬剤コート層の薬剤溶出バルーンは、著しく良好な狭窄抑制効果を有する。さらに、実施例1の本発明のパクリタキセル結晶形態型を有する薬剤コート層の薬剤溶出バルーンは、著しく良好な狭窄抑制効果を有すると共に、血管リモデリングに対する影響(毒性)もほとんどなく、有効性および副作用(毒性)の両面で非常に優れた薬剤溶出バルーンであることが明らかとなった。
【0049】
【表3】