(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553513
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】レーザマーキングシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20190722BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20190722BHJP
B21D 51/38 20060101ALI20190722BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/08 D
B21D51/38 C
B21D43/00 A
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-527509(P2015-527509)
(86)(22)【出願日】2013年8月12日
(65)【公表番号】特表2015-531684(P2015-531684A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】US2013054471
(87)【国際公開番号】WO2014028360
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2016年8月8日
(31)【優先権主張番号】13/584,521
(32)【優先日】2012年8月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506026106
【氏名又は名称】クラウン・パッケージング・テクノロジー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ボワヴェール、クリフォード、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】メヒヤ−クィンチア、カルロス、アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ゴールディング、リチャード、マーク、オーランド
【審査官】
岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0084382(US,A1)
【文献】
特開平09−008162(JP,A)
【文献】
特開2001−063731(JP,A)
【文献】
国際公開第02/034454(WO,A1)
【文献】
特開2003−112736(JP,A)
【文献】
特開昭59−035894(JP,A)
【文献】
特開2002−280321(JP,A)
【文献】
特開2009−039753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
B21D 51/38
B21D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブ形成用プレス機械のための材料給送システムに配置されたレーザーマーキングシステムであって、
タブ材料片の移動経路においてタブ材料巻き戻し機と前記タブ形成用プレス機械との間に配置された隔離機構であって、前記巻き戻し機に対して移動するように構成された少なくとも1つのローラーを備え、それにより、前記タブ形成用プレス機械に近接した位置において生じる前記タブ材料片の不連続運動が前記巻き戻し機における前記タブ材料片の連続運動に変換されるものである、前記隔離機構と、
前記タブ材料片をマーキングするために好適なレーザーシステムであって、前記タブ材料片の上方端部が対向する前記タブ材料片の下方端部に対して垂直方向上方となる、垂直方向の配置に前記タブ材料片が配置されることにより、前記タブ材料片の下方端部のみが前記タブ材料片の向きに対して平行なプレートにより支持されるものであり、前記レーザーシステムは、前記タブ材料片が前記垂直方向の配置にあるときにマーキングするように構成されているものであり、前記巻き戻し機と前記隔離機構との間に配置されことにより、前記タブ材料片が比較的一定の速度で移動しているときに前記タブ材料片に作用するものである、前記レーザーシステムと
を有するレーザーマーキングシステム。
【請求項2】
タブ形成用プレス機械のための給送システムに配置されたレーザーマーキングおよび材料片取扱いシステムであって、
タブ材料片をマーキングするために好適なレーザーシステムと、
前記タブ材料片の向きに対して平行なプレートであって、前記タブ材料片から離間して配置され、気流が通過できるように構成された少なくとも1つの穴部を有し、それにより、前記タブ材料片の一方の側に空気の支持層が提供されるようになっており、当該空気の支持層は、反対側の大気と共に前記レーザーマーキングシステムの近傍において前記タブ材料片のための非接触ガイドを生成するものである、前記プレートと、
前記タブ材料片の下方端部を支持する案内部であって、ローラーまたはプレートを有するものである、前記案内部と
を有するレーザーマーキングおよび材料片取扱いシステム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムにおいて、前記タブ材料片はその上方からは拘束されないものであるシステム。
【請求項4】
請求項2記載のシステムにおいて、さらに、
前記少なくとも1つの穴部に気体を供給する気体供給システムを有するものであるシステム。
【請求項5】
レーザーマーキング登録システムであって、
所定の印および位置合わせ用マークを用いてタブ材料片をマーキングするために好適なレーザーマーキングシステムであって、タブ材料コイル巻き戻し機に近接して配置されるものである、前記レーザーマーキングシステムと、
プレス機械に近接して配置され、前記位置合わせ用マークの位置を感知する視覚サブシステムであって、前記位置合わせ用マークの前記感知された位置を前記位置合わせ用マークの所定の望ましい位置と比較してプレス用工具の前記印に対する正確度を確認し、画像ドリフトを補償するために前記レーザーマーキングシステムにフィードバック提供するものである、前記視覚サブシステムと
を有するレーザーマーキング登録システム。
【請求項6】
請求項5記載のシステムにおいて、前記印は、ロゴ、デザイン、レタリング文字および番号のうちの少なくとも1つを有するものであるシステム。
【請求項7】
請求項5記載のシステムにおいて、さらに、
前記プレス機械を有するものであるシステム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムにおいて、前記プレス機械はタブ用プレス機械であるシステム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムにおいて、前記プレス機械は変換プレス機械(conversion press)であるシステム。
【請求項10】
タブ形成用プレス機械のための給送システムに配置されたレーザーマーキングおよび材料片取扱いシステムであって、
タブ材料片をマーキングするために好適なレーザーシステムと、
一対のプレートであって、前記プレートの少なくとも1つは、前記材料片を保持するように構成された少なくとも1つの縦方向に延在するレールと、前記レーザーシステムが前記一対のプレートを通過するとき、前記材料片をマーキングするためのアクセスを提供するように構成された少なくとも1つの開口部とを含むものである、前記一対のプレートと
を有するレーザーマーキングおよび材料片取扱いシステム。
【請求項11】
請求項10記載のレーザーマーキングおよび材料片取扱いシステムにおいて、前記一対のプレートの双方はそれぞれ、前記材料片を保持するように構成された少なくとも1つの縦方向に延在するレールを有するものであるレーザーマーキングおよび材料片取扱いシステム。
【請求項12】
請求項10記載のレーザーマーキングおよび材料システムにおいて、前記一対のプレートの双方はそれぞれ、前記レーザーシステムが前記一対のプレートを通過するとき、前記材料片をマーキングするためのアクセスを提供するように構成された少なくとも1つの開口部を有するものであるレーザーマーキングおよび材料システム。
【請求項13】
タブ形成用プレス機械のための材料給送システムに配置されたマーキングシステムであって、
タブ材料片の移動経路においてタブ材料巻き戻し機と前記タブ形成用のプレス機械との間に配置された隔離機構であって、前記巻き戻し機に対して移動するように構成された少なくとも1つのローラーを備え、それにより、前記タブ形成用プレス機械に近接した位置において生じる前記タブ材料片の不連続運動が前記巻き戻し機における前記タブ材料片の連続運動に変換されるものである、前記隔離機構と、
前記タブ材料片をマーキングするために好適なデジタル印刷システムであって、前記タブ材料片の上方端部が対向する前記タブ材料片の下方端部に対して垂直方向上方となる、垂直方向の配置に前記タブ材料片が配置されることにより、前記タブ材料片の下方端部のみが前記タブ材料片の向きに対して平行なプレートにより支持されるものであり、前記レーザーシステムは、前記タブ材料片が前記垂直方向の配置にあるときにマーキングするように構成されているものであり、前記巻き戻し機と前記隔離機構との間に配置されることにより、前記タブ材料片が比較的一定の速度で移動しているときに前記タブ材料片に作用するものである、前記デジタル印刷システムと
を有するマーキングシステム。
【請求項14】
請求項13記載のマーキングシステムにおいて、前記デジタル印刷システムは、レーザートナープリンタを含むものであるマーキングシステム。
【請求項15】
請求項13記載のマーキングシステムにおいて、前記デジタル印刷システムは、インクジェットプリンタを含むものであるマーキングシステム。
【請求項16】
請求項13記載のマーキングシステムにおいて、前記デジタル印刷システムは、所定の印をネガ画像として印刷するように構成されるものであるマーキングシステム。
【請求項17】
タブ形成用プレス機械のためのタブ材料片をレーザーマーキングする方法において、
前記タブ材料片の移動経路においてタブ材料巻き戻し機と前記タブ形成用プレス機械との間に配置された隔離機構を用いて、前記タブ形成用プレス機械に近接した位置において生じる前記タブ材料片の不連続運動を前記タブ材料巻き戻し機における連続運動に変換する工程であって、前記隔離機構は前記巻き戻し機に対して移動するように構成された少なくとも1つのローラーを備え、それにより、前記タブ材料片の前記不連続運動が前記タブ材料巻き戻し機における前記連続運動に変換されるものである、前記変換する工程と、
レーザーマーキングシステムを用いて前記タブ材料片をマーキングする工程であって、
前記タブ材料片の上方端部が対向する前記タブ材料片の下方端部に対して垂直方向上方となる、垂直方向の配置に前記タブ材料片が配置されることにより、前記タブ材料片の下方端部のみが前記タブ材料片の向きに対して平行なプレートにより支持されるものであり、前記マーキングする工程は、前記タブ材料片が比較的一定の速度で移動する間、かつ前記タブ材料片が前記垂直方向の配置にあるときに行われるものであり、
前記レーザーマーキングシステムは前記タブ材料巻き戻し機と前記隔離機構との間に配置されるものである、
前記マーキングする工程と
を有する方法。
【請求項18】
画像ドリフトを制御する方法であって、
タブ形成用プレス機械に近接して配置された視覚サブシステムを用いてレーザーマーキングシステムによって形成されたタブ材料片上の位置合わせ用マークの位置を感知する工程であって、前記レーザーマーキングシステムはタブ材料コイル巻き戻し機に近接して配置されるものである、前記感知する工程と、
前記視覚サブシステムを用いて前記位置合わせ用マークの位置を前記位置合わせ用マークの所定の望ましい位置と比較する工程と、
前記視覚サブシステムを用いて画像ドリフトを補償するために前記レーザーマーキングシステムにフィードバックする工程と
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年8月13日付けで出願された米国特許出願第13/584,521号に対する優先権を主張するものであり、参照することにより全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
以下の概要および説明は、パッケージ上にマーキングを生成することに関し、より具体的には、缶端部用のレーザーエッチングされたタブ(プルタブ)を作製するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
缶のタブ部は、広告用の印(indicia)または他のマークを含むように構成する場合がある。この印は、塗装、印刷、レーザエッチングおよびレーザマーキングを含む様々な方法で作製することも可能である。これらの印の作製方法は既知のものであり、材料片を切断してタブに圧入する前にその材料片をエッチングする工程と、印のネガ画像を材料片上に印刷する工程とを有する。既知の方法は、プレス機械に導入される前の、材料片の間欠運動に依存する場合もある。
【0004】
プレス機械に導入される前に材料片をマーキングする際の課題の1つは、材料片がプレス機械に移動する際に材料に傷が付かないように取り扱うことである。他の材料、例えば缶製造用の原料やシリコンウェハ等を取り扱う方法が知られている。例えば、長い原材料片を取り扱う既知の一方法では、最終的な製品において引っ掻き傷が容易に分からない原材料片の領域において原材料片がレールに接触するように、原材料の一方の側に着座し、プレート上にある長いレールが使用されている。シリコンウェハを取り扱うための他の既知の方法としては、ベルヌーイグリップ(Bernoulli grip)の利用が挙げられ、この場合、ウェハは、垂直プレートに対面して通過する際に、気流上を浮遊する。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 国際公開第2008/070979号
(特許文献2) 国際公開第01/51295号
(特許文献3) 米国特許第6,476,349号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2011/084051号明細書
(特許文献5) 国際公開第98/16430号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
缶タブ給送システムに配置されたレーザマーキングシステムは、タブ材料片の経路においてタブ材料巻き戻し機とタブ形成用プレス機械との間の配置された隔離機構を有することが可能であり、前記隔離機構は、前記タブ形成用プレス機械に近接した位置における前記タブ材料片の不連続運動を前記巻き戻し機における前記タブ材料片の連続運動に変換する。前記システムはさらに、前記タブ材料片をマーキングするために好適なレーザシステムを有することが可能であり、前記レーザマーキングシステムは前記巻き戻し機と前記隔離機構との間に配置されることにより、比較的一定の速度で移動する際に前記タブ材料片に作用する。
【0006】
タブ給送システムに配置されたレーザマーキングおよび材料片取扱いシステムは、タブ材料片をマーキングするために好適なレーザシステムと、前記タブ材料片の向きに対して平行なプレートとを有することも可能であり、前記プレートは、前記タブ材料片から離間して配置され、気流が通過できるように構成された少なくとも1つの穴部を含み、それによって、タブ原材料の一方の側に空気の支持層が提供されるようになっており、当該空気の支持層は、反対側の大気と共に前記レーザーマーキングシステムの近傍において前記タブ材料片のための非接触ガイドを生成する。
【0007】
レーザマーキング登録システムは、所定の印および位置合わせ用マークを用いてタブ材料片をマーキングするために好適なレーザシステムを有することも可能である。レーザマーキング登録システムはさらに、プレス機械に近接して配置され、前記位置合わせ用マークの位置を感知する視覚サブシステムを有してもよい。前記位置合わせ用マークの感知された位置を前記位置合わせ用マークの所定の望ましい位置と比較してプレス用工具の前記印に対する正確度を確認し、画像ドリフトを補償するために前記レーザーマーキングシステムにフィードバック提供する。
【0008】
タブ給送システムに配置されたレーザマーキングおよび材料片取扱いシステムは、タブ材料片をマーキングするために好適なレーザシステムと、一対のプレートとを有することも可能である。前記プレートの少なくとも1つは、前記材料片を保持するように構成された少なくとも1つの縦方向に延在するレールを含んでもよい。前記プレートの少なくとも1つは、前記レーザーシステムが前記一対のプレートを通過するとき、前記材料片をマーキングするためのアクセスを提供するように構成された少なくとも1つの開口部を含むことも可能である。
【0009】
タブ形成用プレス機械のための材料給送システムに配置されたマーキングシステムは、タブ材料片の経路においてタブ材料巻き戻し機と前記タブ形成用プレス機械との間に配置された隔離機構を有し、前記隔離機構は、前記タブ形成用プレス機械に近接した位置における前記タブ材料片の不連続運動を前記巻き戻し機における前記タブ材料片の連続運動に変換する。前記マーキングシステムはまた、前記タブ材料片をマーキングするために好適なデジタル印刷システムを有し、前記デジタル印刷システムは、前記巻き戻し機と前記隔離機構との間に配置されることにより、前記タブ材料片が比較的一定の速度で移動しているときに前記タブ材料片に作用する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上記概要ならびに本願の様々な実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面を参照して読むと、より良く理解されるであろう。本開示の様々な実施形態を例示するために、図面を参照する。しかしながら、本願は、図面に例示した正確な構成および手段には限定されないことを理解するべきである。
【
図1】
図1は、従来技術の缶タブ給送システムの概略上面図である。
【
図2】
図2は、レーザマーキングシステムを有する缶タブ給送システムの概略上面図である。
【
図3】
図3は、缶タブ給送システムの部分概略図である。
【
図4】
図4は、材料片を有するレーザマーキングシステムの部分斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、
図4に示すレーザマーキングシステムのA部の拡大部分斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、材料片を含むレーザマーキングシステムの部分概略斜視図である。
【
図5】
図5は、レーザマーキングシステムの部分斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、
図4に示すレーザマーキングシステムのA部の拡大部分斜視図である。
【
図6】
図6は、材料片を含むレーザマーキングシステムの部分上面図である。
【
図7】
図7は、レーザマーキングシステムの部分前面図である。
【
図8】
図8は、材料片を有するレーザマーキングシステムの部分前面図である。
【
図9】
図9は、レーザエッチングされた印を含むタブを有する缶の部分前面斜視図である。
【
図10】
図10は、レーザエッチングされた印を含むタブを有する缶の部分背面斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、レーザマーキングプロセス前の材料片の部分斜視断面図である。
【
図11B】
図11Bは、レーザマーキングプロセス前の材料片の部分斜視断面図である。
【
図12A】
図12Aは、レーザマーキングプロセス後の材料片の部分斜視断面図である。
【
図12B】
図12Bは、レーザマーキングプロセス後の材料片の部分斜視断面図である。
【
図13】
図13は、レーザマーキングシステムの部分斜視図である。
【
図14】
図14は、部分的に切り取った状態の
図13に示すレーザマーキングシステムの部分斜視図である。
【
図16】
図16は、デジタルプリンタを有する缶タブ給送システムの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、缶タブ用プレス機12のための給送システム10′はタブ材料巻き戻し機14を有し、このタブ材料巻き戻し機14は、材料片18を、以下で詳細に述べるプレス機12および隔離機構16に給送する。例えば、タブ給送プレス機または変換プレス機であってもよいプレス機12は、材料片の一部分を切断して屈曲することによってタブを形成する(
図1には示さない)。いくつかの実施形態では、プレス機12は、スイス製のブルーダラーBSTA−90/20(Bruderer BSTA−90/20)または米国製のミンスターPM2−80(Minster PM2−80)であってもよい。材料片は、コイル状に缶タブ給送システム10′に配置することも可能である。このコイルは、厚さが0.0110インチ以下のアルミニウム合金5182を有することも可能であり、コーティングされていない状態でも、あるいはコーティングされてもよい。タブ材料巻き戻し機14は、材料片がプレス機12に導入される前に材料片を伸長させるために使用される。
【0012】
図2は、レーザーマーキングシステム等のマーキングシステム30を有する缶タブ用プレス機12のための缶給送システム10を示す。マーキングシステム30は、印15(indicia)を用いて材料片18をマーキングするように構成することも可能である(
図9および
図10に示す)。
図11Aないし
図12Bに示すように、材料片18は、外側コーティング層19および内側コーティング層21で予めコーティングされたアルミニウムベース層23を有することも可能である。いくつかの実施形態では、ベース層23は、(
図11Bおよび
図12Bに示すように)外側コーティング層19および内側コーティング層21で両側からコーティングすることも可能である。あるいは、(
図11Aおよび
図12Aに示すように)ベース層23の一方の側のみを層19および21でコーティングすることも可能である。他の実施形態では、ベース層23の一方の側は、少なくとも2つのコーティング層19および21を有することも可能であり、また他方側は少なくも1つの層19を有することも可能である。コーティング層19および21は、ミシガン州St.Louisのプレコート(Pre−Coat)が提供するエポキシコイルコーティング材料から形成することも可能である。
【0013】
マーキングシステム30は、上部コーティング層19の一部を除去してレーザーエッチング領域19aを作製するように構成してもよく、それにより、底部コーティング層21の露出領域21aが現れて印15が形成される。底部コーティング層21を露出する際に、その一部を除去することも可能である。マーキングシステム30は、材料片18が巻き戻し機14から巻き戻された後であって、且つ隔離機構16およびプレス機12に導入される前に、上部コーティング層19の一部を除去する。巻き戻し機14および隔離機構16は、1台の機械として設けることも可能である。
【0014】
材料片18は、(マーキングシステム30内での位置に関連して述べると)前側18aと対向する後側18bとが上縁18cと対向する下縁18dとによって互いに接続されている。プレス機12は、上記のように、材料片18から(
図9および
図10に示す)タブ13を形成するように構成される。
【0015】
駆動体11によって材料片18が伸長される。プレス機12は、プレス成形タブ間で間欠的に材料片18を引っ張る。
図3に概略的に示すように、隔離機構16を用いて、材料片18がプレス機12に導入される際の不連続的な引っ張り運動を、材料片18が巻き戻し機14から伸長されてマーキングシステム30を通過する間に、連続または半連続的な運動に変換することも可能である。
【0016】
一実施形態では、隔離機構16は弛み除去ローラー(take−up roller)17または多数の弛み除去ローラーを有し、当該ローラーは、巻き戻し機14に連動して移動するように構成され、それにより、材料片18はプレス機12に導入される前に材料片18の弛みを調節可能に除去する。
図3に示すように、弛み除去ローラー17は、垂直方向に上下に、また巻き戻し機14に向かう方向、または巻き戻し機14から離れる方向に移動し、巻き戻し機14とプレス機との間の材料片の長さを変更できるように構成されてもよい。このように、プレス機12が材料片18を引っ張ると、隔離機構16は、材料片18における弛みを減少させる。
図3に例示する実施形態では、プレス機12がその引っ張り運動を停止するか、または遅くすると、弛み除去ローラー17は、より大きい弛みを除去するために、巻き戻し機14に向かって垂直方向下向きに移動する。プレス機が始動するか、または加速すると、弛み除去ローラー17は、巻き戻し機から離れるように垂直方向上向きに移動してより小さな弛みを除去する。弛み除去ローラー17の移動によって、巻き戻し機による伸長が一定速度、またはほぼ一定速度に維持される。このように、缶給送システム10は、マーキングシステム30が隔離機構16以前にタブ材料片18に作用し、その一方で一定速度またはほぼ一定速度で移動するように構成される。弛み除去ローラー17は本実施形態に示されるが、他の型式の機構を採用して、材料片18がマーキングシステム30を通過する速度を調節することも可能である。
【0017】
マーキングシステム30は、例えば、レーザーマーキングおよび材料片取扱いシステムまたはレーザーマーキング登録システムであってもよい。
図9および
図10に示すようにレーザーマーキングシステムは、材料片の前側18a、後側18b、または両側18aおよび18bに、ロゴ、位置合わせマーク、デザイン、レタリング文字または番号(numbering)等の印15で材料片をマーキングするように構成される。レーザーマーキングシステムは、レーザーサブシステム80と、視覚サブシステム90とを有することも可能である。
図5ないし
図8に示すように、レーザーマーキングシステムは、給気サブシステム70と共に作動するように構成された材料取扱いサブシステム40をさらに有することも可能である。あるいは
図13ないし
図15に示すように、レーザーマーキングシステムは、材料取扱いサブシステム140を備えることも可能である。
【0018】
材料取扱いサブシステム40は、レーザーマーキングの際に材料片18を位置決めするように構成されたベースプレート44に取り付けられた支持部42をさらに有することも可能である。同様にベースプレート44に取り付けられた一対のローラー46および48が支持部42の側部に設けられ、支持部42は、当該支持部42に向かう方向、また離れる方向に材料片18を案内するように作動する。ローラー48は、(ベースプレート44に取り付けられた)エンコーダホイール50と共に作動して、材料片18の運動を制御する。
【0019】
図5および
図5Aに最も良く示すように、支持部42は背面プレート52を有しており、この背面プレート52は、伸長された材料片18がローラー46からローラー48まで通過する際に、当該材料片の方向と実質的に平行となる。背面プレート52は、(以下で概説するように)材料片の後側18bに近接して配置されるように構成された前側52aと、対向する後側52bとを有し、この後側52bは材料片の後側18bをマーキングするために使用できるレーザー84に近接して配置される。背面プレート52は、2組の穴部、すなわち空気穴部54とレーザー穴部56とを有する。穴部54および56の組の各々は、背面プレート52の前側52aおよび後側52bの間に配置されたボアとして形成される。空気穴部54は、給気サブシステム70と共に作動して、背面プレート52の近くで材料片18を安定化させる。レーザー穴部56は、材料片18の後側18bでのマーキングを可能にする。
【0020】
背面プレート52は、1もしくはそれ以上の支持ガイド58によってベースプレート44に接続される。背面プレート52および支持ガイド58は、一部品として一体形成することも可能であるか、または別個に形成することも可能である。いくつかの実施形態では、1もしくはそれ以上のガイド58の各々は、材料片の下縁18dを支持するガイドプレート60を有する。他の実施形態では、背面プレート52は、材料片の下縁18dを支持するガイドローラー62(
図4Bに示す)を有する。
【0021】
材料片18が巻き戻し機14から伸長されると、エンコーダホイール50がローラー46に対して材料片18を押圧し、材料片が支持部42によって支持可能になる前に材料片18を位置決めする。ローラー48は、材料片18がマーキングシステム30から離れる方向に、また隔離機構16およびプレス機12に向かう方向に通過する際に、材料片18を位置決めするように構成することも可能である。
【0022】
ガイド58に加えて、材料片は、給気サブシステム70と共に空気穴部54によって生成されたベルヌーイグリップを用いて、背面プレート52に隣接した所定位置に保持される。ベルヌーイグリップは、気流を用いて物理的接触なく物体に付着するベルヌーイ気流原理に依存する。特に、給気サブシステム70は、コンプレッサ72およびブロワ74またはそのいずれかを用いて空気穴部54に連通する高速気流を生成する。
【0023】
高速気流は、材料片18の後側18bと背面プレート52の前側52aとの間に、低静圧領域76を形成する。給気サブシステム70は、この低圧領域76が大気圧よりも低い圧力を有するように構成することも可能である。低圧領域76と該領域76の外側の大気圧との圧力差により、材料片18上に領域76に向かう方向に正味の力が生成される。このように、背面プレート52の前側52aに対して正圧が維持され、その一方で、材料片18と背面プレート52との間に空隙が維持される。このように、マーキングシステム30では、材料片の上縁18cを拘束する必要がなく、材料片の後側18bは背面プレートの前側52aに接触しない。接触を最小限にすることにより、材料片の外側コーティング層19の引っ掻き傷もまた最小限にすることが可能である。
【0024】
材料取扱いサブシステム40の代わりに、
図13ないし
図15に示す材料取扱いサブシステム140をレーザーエッチングプロセスの際に材料片18と共に使用することも可能である。材料取扱いサブシステム140は、材料片18のいずれかの側で平行な2つのプレート152を有する。これらのプレートは、レーザー穴部156を有することも可能である。穴部156の各々は、プレート152の前側152aおよび後側152b間に配置された孔として形成される。レーザー穴部156により、材料片18の前側18aおよび後側18b上にマーキングすることが可能となる。材料取扱いサブシステム140は、プレート152上の縦方向に延在するレール119によって、材料片18が前側レーザー82および後側レーザー84間を通過する際に所定位置に該材料片18を保持する。レール119は、作製されるタブにとって重要ではない領域で材料片18と接触する。例えば、レール119は、後程タブ形成中に破棄される領域で材料片に接触することも可能である。
【0025】
材料片18が材料取扱いサブシステム40および140を通過する際、レーザーサブシステム80は、前部レーザー82および後部レーザー84またはレーザー82および84のうちの一つのいずれかを用いて、材料片のいずれかの側18aもしくは18b、または両側18aおよび18b上に印15を作製する。レーザー82、84は、1もしくはそれ以上の穴部56、156を通過すると、材料片の一方側18aもしくは18b、または両側18aおよび18bをマーキングするように構成することも可能である。いくつかの実施形態では、レーザー82および84は、ビデオジェット(VideoJet)が提供するCO2レーザーであってもよい。これらのレーザーは各々、外側コーティング層19の一部を除去することによって、印15を形成する内側コーティング層21の領域21aを露出するように構成される。図示した両方の実施形態は、材料片18が垂直方向に向いている(すなわち上縁18cが上向きである)際に、エッチングが行われるが、材料片18は、いずれかの側18aまたは18bが上向きの状態で、水平方向である際にエッチング可能であることが認識されるであろう。
【0026】
図16に示すような代替実施形態では、レーザー82および84の代わりに1もしくはそれ以上のデジタルプリンタ82′および84′を用いて、タブ13に形成される前に材料片18上に印を作製することも可能である。このように、材料片18から材料を除去して印15を作製するのではなく、インク等の材料を追加する。例えば、インクジェットプリンタやレーザートナープリンタ等のデジタルプリンタは、材料片18のベース層23の一方側または両側18a、18bにインクを堆積させることも可能である。本例では、材料片18は、コーティング層19および21を備えなくてもよいし、またはコーティング層19を有するのみでもよい。インクは、ネガ画像を提供するように堆積することも可能である。換言すれば、印15の周囲のタブ上領域は、印が材料片18のベース層23の色として出現するように印刷することも可能である。印の周囲のタブ13の少なくとも一部は、インクで着色される。あるいは、印15自体も印刷可能であり、印15の周囲の領域は、材料片18のベース層23の色であってもよい。
【0027】
視覚サブシステム90は、プレス機12に近接して配置することも可能である。視覚サブシステム90は、センサ92を有する。センサ90は、デジタルカメラであってもよい。センサ90は、プレス機12と連動して、材料片18における印15の位置を感知する。印の実際の位置は、その位置の正確度を確認するために、印15の所定の、または望ましい位置と比較することも可能である。実際の位置が所定の位置と異なる場合、視覚サブシステム90は、マーキングシステム30に信号を送り、マーキングプロセスを減速するか、または加速することも可能である。このように、センサ90が提供するフィードバックを用いて、画像ドリフトを補償する。
【0028】
本発明は、特定の型式のレーザーには限定されない。レーザーシステムが、現在の表定速度、例えば、毎分約650ストロークまたは少なくとも毎分480ストロークで、2、3または4タブ構成を有するタブ片をマーキングすることが可能であるのが好ましい。毎分650ストロークは、印の作製に利用可能な約93ミリ秒に等しい。所与の印を作製するのに必要な時間は、印の複雑性およびサイズに依存する。
【0029】
上記説明は、タブ給送プロセスにおいて採用した機械に関して制限するようには意図されていない。特に、いくつかの型式の機械および装置を用いて、タブを形成するための材料をタブ形成機内に搬送することも可能であることが認識されるであろう。さらに、異なる型式のタブ形成機、例えば一体的にマーキングを行ってタブを形成するタブ形成機を採用することも可能である。タブを形成するために使用する材料は、変更することも可能である。例えば、他の種類の金属をベース層として使用することも可能であり、また他の種類のコーティングを使用することも可能である。さらに、本発明は、背景部分で述べた各問題の解決に限定されない。例えば、本発明者らは、コーティングされた材料に対する引っ掻き傷の課題を解決するものではないシステムを請求することを意図している。